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化学系の就活|研究内容から企業を特定する方法(特許活用)【事例あり】

 (本記事は研究内容を活かせる企業を探したい理系学生向けです)

 自分の研究内容を活かせる企業をどうやって探していますか?

 化学系を例にとると、有機合成、無機材料、環境技術——研究テーマが専門的になるほど、どの企業が自分に合っているのかを見極めるのは難しくなります。

 企業HPや就活サイトを見ても、実際にどんな研究開発をしているのかまでは見えてきません。

 本記事では、特許情報を活用して、研究内容から企業を特定する方法を解説します。特許は無料のデータベースで誰でも簡単に検索でき、企業の技術領域を客観的に把握することができます。

 具体的には、環境技術をテーマにした化学系の研究を例に、

 ①研究テーマや論文から検索条件を導出する考え方

 ②自分の希望を言語化

 ③「研究内容① × 希望②」による企業のターゲティング

これらを実際の事例をもとに順を追って解説します。

 この方法で自分の研究内容に合った企業を見つけやすくなります

 私の近いところの学生を見ていると、就活における最優先の情報源は、大企業などから内定をもらった先輩学生になっている場合が多いです。この手法もそれなりに有用なのかもしれませんが、選択肢を自ら狭めており、非常にもったいないです。

 まずは、自分の可能性を最大限拡大し、そこからターゲティングしていく本手法を提示します。

 本手法は化学に限らず、他専攻でも適用できます。

(私が化学出身なので化学系の就職シーンをイメージした記事タイトルにしました。)

 

■結論(超簡略版)

 まずは、自分の研究テーマからキーワードを1~3つ抽出し、J-PlatPatで検索してみてください。そこから企業が見えてきます。

1.論文または研究内容から技術キーワードを1~3つ抽出

2.J-PlatPatで抽出したキーワードを使って検索

3.検索結果に出てくる出願人を確認する(そこにある企業が目当て企業の可能性)

 

■結論(概要)

研究内容から企業を特定するには次の3ステップで進めます。

1.研究テーマや論文から検索条件(キーワード・FI)を導出する
 技術を材料・反応・用途に分解して特許検索に使える形にする(AI活用)

2.自分の志向に基づいて条件を追加する
 分野・用途・企業などの観点で絞り込む

3.「研究内容 × 志向」で企業を特定する
 検索結果をもとに企業を抽出し、条件を調整しながら精度を高める

この手順により研究内容に合った企業を客観的、網羅的に見つけることができます。

 

 

1.化学系の就活で起業選びが難しい理由

 化学系の就活では企業選びが難しいと感じる人が多いのではないでしょうか。

 その理由は、大学での研究内容と企業の研究開発との対応関係が見えにくいことにあります。

 有機合成、無機材料、環境技術といった専門分野ごとに扱う技術は異なるものの企業側の情報は製品や事業単位で示されることが多く、自分の研究がどの企業で活かせるのかを判断するのが困難です。

 また、企業HPや就活サイトでは研究開発の具体的な中身まで詳しく把握することはできません。そのため、知名度やイメージあるいは先輩の進路といった限られた情報に依存した企業選びになりがちです。

 このように、技術ベースで企業を比較・選択するための情報が不足していることが化学系の就活において企業選びを難しくしている大きな要因です。

 

2.研究内容から企業を特定する全体の流れ

 一般的な就活では企業から探しますが、本手法では研究内容から企業を逆引きします。

 研究内容から企業を特定するにはいくつかのステップに分けて考えると整理しやすくなります。

 本記事では、次の3つのステップで進めます。

①研究テーマや論文の内容から検索条件(キーワード等)を抽出

 研究テーマや論文の内容から検索キーワードを抽出します。

 次に、自分の扱っている技術を言語化します。

 技術を材料・反応・用途といった要素に分解します。

 こうすることで、特許検索に使える形に落とし込めます。

 キーワードだけでなく、特許分類(FI)も併用します(無理にやる必要無)。

 これにより、技術分野をより正確に絞り込めます。

 

 これらは、生成AIに丸投げしてもよいです。

 研究テーマがない人は本ステップをスキップしてもOKです。

 例えば、

ここに添付した私の研究要旨から特許検索用のキーワードとFIを3つ挙げてください

といったプロンプトで簡単に導出できます。

 

②希望を言語化

 次に、自分の希望を言語化します。

 例えば、

 「環境」「自動車」「食品」といった分野

 「光触媒」「脱炭素」「機械学習」といった技術

 「トヨタ」「パナソニック」といった企業

など切り口は様々です。

 これらを検索条件として組み合わせることで、自分の志向に合った方向へ絞り込みます。

 

③「研究内容 × 志向」による企業のターゲティング

 最後に、①と②で導出した条件を掛け合わせて企業を特定します。

 ただし、一度で最適な結果が得られるとは限りません。

 条件を調整し、繰り返し検討します。

 これにより研究内容と志向の両面から適合度の高い企業を見つけることができます。

 

3.事例:環境技術系の研究テーマの例

 本記事では、化学系の研究を例に企業の特定方法を解説します。

 研究テーマは、「シクロデキストリンを用いた農薬の機能制御」です。

 シクロデキストリンは、特定の分子を内部に取り込む性質(包接能)を持つ化学物質であり、この性質を利用することで、農薬の安定性向上や放出制御といった応用可能性があります。

 このような技術は、環境負荷の低減や農薬使用量の最適化といった観点から環境分野における応用が期待されていました。

 本記事では、この研究テーマをもとに、

 ・どのように検索条件を抽出するか

 ・どのように希望を言語化するか

 ・どのように企業へとつなげるか

という流れを具体的に見ていきます。

 

<本研究テーマに係る補足情報>
・本テーマは管理人の友人が関わった20年以上前のもの(友人の承諾あり)。
・友人の最初の就職先は水処理系の企業(当時も今もこの業界への就職は多い)。
・紹介による入社であり、当時、それ以外の就活は一切なし。
・本研究テーマで他にどのような企業が見つかるかという観点から本記事採用。

 

4.研究テーマ・論文から検索条件を導出する方法

 次の3ステップでおこないます。

検索条件導出ステップ1.研究テーマや論文から検索条件を導出

 生成AIを使えば、簡単に検索条件を導出できます。

 (プロンプト入力情報の例)

 ・学会発表要旨

 ・論文

 ・研究内容を箇条書きで示したワード文書1枚もの

 どのような表現形式でもOKです(文章の体裁が整っている必要はないです)。

 4-1-1. プロンプト入力

 論文情報(PDF)とともに、以下のプロンプトを作成しました。

 「ここに添付した私の研究要旨から特許検索用のキーワードとFIを3つ挙げてください」

 

 

 4-1-2. AIからの回答取得(検索キーワード)

 検索キーワードとして、「シクロデキストリン」、「農薬」、「包接」、「徐放」、「蛍光」がでてきました(下図)。これらの中から好きなものを選びます。

 

 <AIの回答(ご参考)>

 

 

 4-1-3. AIからの回答取得(特許分類(FI))

 特許分類(FI)として、「A01N 25/28」、「C08B 37/16」、「G01N 21/64」が出てきました(下図)。

 右半分の数字は削り、「A01N」、「C08B」、「G01N」とします。

 削ることで、同一の技術コンセプトのまま、より広い技術範囲になります(※)。

 

 <AIの回答(ご参考)>

 

  ※「A01N 25/28」の「A」はセッション(Aは生活必需品の分野)、「01」はクラス、「N」はサブクラス、「25/28」はグループと言われます。右側の表示にいくほど、技術範囲が絞られていきます。

 ご参考:特許・実用新案分類照会(特許庁)

 

検索条件導出ステップ2.希望を言語化

 ここは人によっては悩みどころです。

 希望する企業名や関わりたい製品名、技術名であれば、それでいけばよいです。

 ステップ1の検索結果に希望内容を表現するもがある場合、例えば、「G01N」の材料分析がまさに自分のやりたいことの場合、「G01N」がこの部分の回答になります。

 ここでは、自動車関連技術に関わることが希望だとします。

 自動車に関わりたいのでダイレクトに「自動車」という言葉を使います。

 また、自動車を意味する他の言葉「車両」も使います。

 このように「自動車 車両」と言語化しました。

 

検索条件導出ステップ3.企業のターゲティング

 ステップ1とステップ2の結果を掛け合わせます。

 本事例では以下のように掛け合わせました。

 G01N(材料分析)×(「自動車」OR「車両」) 

 この掛け合わせ条件の意味合いは、

自分の研究スキル(高感度分析)を憧れの自動車業界や自動車技術に関連する業界で活かす道を探る』ものだと言えます。

 

 ここまでで、企業を特定するための条件が揃いました。

 

5.企業検索の具体的な進め方

 以下の3ステップで企業検索(特許検索)おこないます。

企業検索ステップ1 特許検索データベース(J-PlatPat)の準備

J-PlatPatを開き、トップ画面から特許実用新案検索へと移ります(下図)。

 

② 「外国文献」の欄のチェックを外します。

 これにより「検索項目」のプルダウンメニューの選択肢が増えます。

 

企業検索ステップ2 先に導出した検索条件を入力欄に入力し、検索

① 「検索キーワード」のプルダウンメニューを選択します。

 ・「FI」の選択、「請求の範囲」の選択

 

 

 ※ プルダウンメニューにある対象範囲(「全文」、「発明、考案の名称/タイトル」、「要約/抄録」、「請求の範囲」、「明細書」)については以下の記事をご確認ください。

 特許情報検索の基本ガイド「2.3 特許情報の具体的な内容

 

② 「検索キーワード」の入力欄(「キーワード」という欄)に条件を入力します。

 ・「FI」⇒「G01N」

 ・「請求の範囲」⇒「自動車 車両」

 ・「検索」クリック

 

 

③ 検索結果出し、必要に応じて情報取得します。

 これがまさに欲しかった情報です。

 「文献番号」や「CSV出力」からアクセスできます。

 

 ただし、J-PlatPatは表示数は3000件が限界の仕様です。 

 3000件超の情報取得にはプルダウンメニューから「出願日」で対象期間を区切って小分け取得します。まずは期間を直近3〜5年に絞ると今のトレンドに合った企業が見つかりやすいです。

 「CSV出力」ではIDとパスワードを求められます。

 IDとパスワードの設定はすぐにやれます。

 

 

6.検索結果から企業を特定する方法

 「CSV出力」情報を編集します。

6-1.全体の把握

 下図は、「自動車 車両」関連、かつ、材料分析(「G01N」)関連の発明数です。

 つまり、下図は、今回の検索条件の技術要素を含む研究開発を多くおこなっている可能性がある企業のランキングです。

 トヨタ自動車、JFEスチール、東芝といった企業が抽出されました。

 

 

 表化して確認するのが手間だという人は、

 ・今回ヒットした2923件の検索結果を下にスクロール

 ・企業名や発明の名称を確認

 ・気になる発明の文献番号をクリック

 というやり方でもよいです。

 または、AIにまとめさせるというのもありです。

 

6-2.個別情報の確認

 トヨタ自動車の出願件数が最も多いことがわかりました。

 しかし、検索条件が妥当だったか、専門性が活かせるか、まだわかりません。

 個別情報(特許出願情報)をチェックする必要があります。

 これもAIにやらせます。

 まず、「文献番号」をクリックします(赤枠)。

 

 

 文献表示画面に映ります。

 表示画面の中から

 ・「請求の範囲」の【請求項1】の部分の文章

 ・【詳細な説明】の全文

 をAIに解釈させます。

 以下は、特許の解釈と専門性との相性を分析させるプロンプトです(必要に応じてカスタマイズしてください)。

 

<コピペ用>
大学生ですが、次の特許文献を技術的に理解したく、200字程度にまとめて。
「【請求項1】(請求項1の文)【詳細な説明】(詳細な説明の文)」
また、先に添付した私の研究経験を、この発明に活かすことができるかも評価して。

 

 以下、特許出願に記載された発明の解釈です。

 <AI回答>

 

 

 以下、研究経験がどう活きるかの解釈です。

 <AI回答>

 

 AIの回答を踏まえ、検索の妥当性、専門性が活きるかどうか、判断します。

 (上記のAIの回答が妥当かどうかはここでは論じません。)

 

 上記以外にも企業の特定方法はいくらでもあります。

 以下の各記事を参考にしてください。

 ・製品名から探す

 ・製品名+キーワードで探す

 ・射程範囲を異分野に拡大して探す

 ・1社に絞って探す

 

6-3.再検討(さらに見たい人用)

 別の検索条件でも探ってみました。

 本事例に関わった友人は博士課程までいき、学士、修士とは異なり、より専門性が期待されるため、技術的関連性にこだわって再検討していきます。

 トヨタ自動車との関係で見ていきます。

 特許庁は特許出願人に対し、識別番号という相手を識別するための番号を自動的に付与します。この識別番号(トヨタ自動車の場合「000003207」)を検索条件にします。

 識別番号の確認⇒1社に絞って開発職を見つける方法4 2.4

 

 ここでは以下の絞り込みをかけました。

 

 検索結果は、上記の通り0件でした。

 すなわち、シクロデキストリンを頼みの綱にトヨタ自動車への突破口を見出しても難しいことが予想されます。

 「シクロデキストリン」という検索ワードはあまり良くないです。

 この物質は、農薬を包接することで農薬の分解性や分析感度を分子レベルで制御・向上させるという役割を持つものですが、研究の本質がこの物質の利用にあるのではありません。

 この研究の本質は、シクロデキストリン(ホスト)と農薬(ゲスト)がどう組み合わされるのかを、包接深度という独自の指標で数値化したプロセスそのものだと言えます。

 そして、このプロセスを通じて、化学物質の反応の場の設計、徐放・安定・活性などの機能制御が可能になります。

 検索結果から見ても、シクロデキストリンそのもの知見は、出願人であるトヨタ自動車にとっても価値が薄いことが推測されます。

 であれば、シクロデキストリンにこだわっても意味がありません。

 研究の本質に近い検索ワードとしては「包接」の方がよいです。

 

 「包接」を検索キーワードにしてみました(下図)。

 

 

 この条件だと79件がヒットしました。

 その多くは今が旬の電池技術に関する発明です(下の赤枠)。

 

 

 分子の包接を通じ、イオン電導性を制御する固体電解質の開発、特定の大きさの分子のみを通す燃料電池の電解質膜の開発などに役立つ可能性があります。

 この判断は自身でおこなわれるべきであり、本記事では一連の進め方を示すにとどめます。

 

7.本手法のメリットと注意点

メリット

研究内容から企業を客観的に特定できる
 ⇒特許情報に基づくため企業の実際の技術領域を把握できる。

網羅的に企業を洗い出せる
 ⇒知名度やイメージに依存せず、知らなかった企業も含めて幅広く抽出できる。

再現性が高い
 ⇒同じ手順を踏めば誰でも同様に企業を特定できる。

志向に応じた絞り込みが可能
 ⇒「研究内容 × 志向」により自分に合った企業に効率よく絞り込める。

注意点

検索条件の精度に依存する
 ⇒キーワードやFIの設定が不適切だと適切な企業が抽出されない可能性がある。

一度で最適な結果が得られるとは限らない
 ⇒検索結果を見ながら条件を調整する試行錯誤が必要となる。

特許が全てではない
 ⇒企業の研究開発の一部しか反映されていない場合もある(他の情報と併せて最終判断を行う必要がある)。

初学者にはややハードルがある
 ⇒特許や分類に不慣れな場合、最初は理解に時間がかかることがある。

 

8.まとめ:研究内容から企業を選ぶ就活へ

 本記事では、特許情報を活用して研究内容から企業を特定する方法を解説しました。

 研究テーマや論文から検索条件を導出し、そこに自分の志向を掛け合わせ、容易に企業選定ができるようになります。

 この方法を使うことで企業HPや就活サイトだけでは見えてこない技術領域まで把握でき、より納得感のある企業選びにつながります。

 まずは、自分の研究テーマをもとにキーワードを抽出し、簡単な特許検索から試してみてください。

 実際に手を動かすことで企業の見え方が大きく変わるはずです。

 

9.次に何をすべきか迷っている方へ

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👉 研究開発職に強い企業を専攻別に簡易的に整理した入口編です

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研究開発職の全体像を知りたい方へ

👉 まずは全体を把握したい方

 ・理系の就職・転職先一覧|専攻・業界別の研究開発に強い企業

 ・研究開発職のキャリアマップ

👉 総合メーカー志望の方はこちら

 ・総合メーカーの就職・転職先一覧|研究開発に強い企業の技術分野

 ・総合メーカーの研究開発職の環境の相違

 

化学系で就職・転職できる業界を網羅的に知りたい方へ

 化学系の研究開発職の業界・企業一覧|需要特大(第1部)

 化学系の研究開発職の業界・企業一覧|需要大(第2部)

 化学系の研究開発職の業界・企業一覧|需要有(第3部)

 

業界選びで迷っている方へ

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 総合電機メーカーと電子部品メーカーの相違点

 自動車業界と自動車部品業界の相違点

 半導体製造装置業界と半導体業界の相違点

 印刷業界と複写機業界の相違点

 建設業界と戸建住宅業界と住宅設備業界の相違点

 

<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報

<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
・特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
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