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【特許分析】広告業界の開発職ニーズ:情報、電気、数学系の専攻を中心に広告代理店3社の出願動向から読み解く

 広告業界と聞くと華やかなCMやクリエイティブな企画を想像しがちかもしれません。

 エンドユーザーの目に触れるのは広告そのものであるため、その基盤を支えるエンジニアリングの実態は外部から見えにくいのが現状です。

 これを特許情報からみていきます。

 特許情報は企業の開発情報だと言えます。

 実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。

 今回は、広告代理店3社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。

 

 結論(概要)は以下の通りです。

広告業界の開発に求められる専門性
情報系分野(情報工学、数理工学、情報ネットワーク学、ソフトウェア工学、通信工学、データサイエンス、経営情報学、コンピュータサイエンス、経営工学など)
電気系分野(電子工学、電気電子工学など)
数学系分野(統計学など)
 ただし、上記専門は企業の一部の特許情報に基づくものであり、全てをあらわすものではありません。また、求められる専門は特許の解釈によって変わってきますので、個々の特許情報をご確認ください。
 

 

1 業界サーチの概要

 特許情報は企業の開発情報だと言えます。

 業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。

 特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。

 すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。

 

2 広告業界

2.1 広告業界とは

 ここでは、企業と消費者の接点を設計し、表現制作や媒体運用を担う業界を意図します。

 

2.2 サーチ対象

 以下の広告代理店3社を対象にしました。

(1)電通
(2)博報堂
(3)サイバーエージェント

 

 

2.3 使用プラットフォーム

 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat

 

3 サーチ結果

3.1 結果概要

開発イメージは下表のとおりです。 

 

 

モノの開発

サービスの開発

個人向け

 

 

 

法人向け

顧客の過去の購買履歴と店舗のリアルタイム在庫情報を高度に連携させて在庫が存在する関連商品の広告を動的に配信する広告決定装置
端末の位置情報、スポンサーの権利関係およびユーザの活動実績を動的に照合し、その場に最適なARコンテンツを抽出・合成する状況連動型ARコンテンツ提供システム
過去の視聴統計データと特定の番組枠の属性情報に基づき放送分数や時間帯による変動を反映させた視聴率予測システム
クラウドストレージのフォルダ構造を利用してファイルのアップロードをトリガーとした自動変換処理と時刻ベースの労務管理機能をネットワーク上で統合したファイル変換システム
スポーツゲームの所定シーンの実況音声をリアルタイムで生成する実況音声リアルタイム生成システム
音楽のテンポや動きの質などのパラメータ変化に応じ、複数の基底モーションデータを動的に合成するパラメータ連動型3DCGアニメーション生成システム
一部の店舗から得た詳細な調査データと全店舗から得られる付随的データを組み合わせて実地調査を行っていない店舗における陳列状況や販促活動を統計的に予測する情報処理システム
消費者の購買行動に潜む共通の関心事やライフスタイルを抽出する統計的潜在意味解析に基づく店舗特性の自動分類・分析システム
画像・動画・テキストといった多様な広告構成要素とそれらの配置形式を統合的に数値化して未知のレイアウトに対しても汎用的に広告の反響を予測する広告効果判定システム
リアルタイム配信中の動画からユーザが任意に切り出した特定場面をメッセージと共にSNSへシームレスに投稿・共有し、第三者がその投稿から対象場面を直接再生可能とするコンテンツ配信システム
など

 

 

 

3.2 出願件数の推移

 下図は広告代理店3社の特許出願件数の推移です。

 

 

3.3 開発の活発度

 特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、

 電通>博報堂>サイバーエージェント

だと言えます。

 ただし、直近数年において博報堂とサイバーエージェントの出願数に大差はありません。

 

3.4 主な開発分野

 各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。

 各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。

 各記号は発明の技術分類をあらわします。

 

 分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)

  

 G06F電気的デジタルデータ処理に関連する分類です。
 制御装置などがこれに該当します。
 全3社がこの分野から多く出願しています。

 

 G06Q管理目的などに適合した情報通信技術などに関連する分類です。
 データ処理システムなどがこれに該当します。
 全3社がこの分野から多く出願しています。
 
 G06Tイメージデータ処理などに関連する分類です。
 イメージ分析などがこれに該当します。
 サイバーエージェントがこの分野から多く出願しています。

 

 H04N画像通信に関連する分類です。
 テレビジョン方式などがこれに該当します。
 電通、博報堂がこの分野から多く出願しています。

 

 

3.5 広告代理店3社の近年の開発トレンドと求められる専門の例

 特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。

 ここ10年のトレンドは以下のとおりです。

 発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。

 出願件数が少ない技術分野は除外しています。

 発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。

 関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。

 

 個別の情報を詳しく確認したい場合は、それぞれのリンク先に飛んでください。

 特許は難解ですが、GeminiChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。

参考記事 【AI活用】難解な特許が小学生レベルの内容に!1分で特許を読み解く方法

 

(1)電通|開発トレンドと専門性

 

 上図期間中、G06Qが最も多いです。次いでG06F、H04N、G06Tが多いです。

 G06Qは既述のとおり管理目的などに適合した情報通信技術などに関連する分類です。
 具体例として顧客の過去の購買履歴と店舗のリアルタイム在庫情報を高度に連携させて在庫が存在する関連商品の広告を動的に配信する広告決定装置が挙げられます。
 従来の広告配信では店舗の在庫状況が考慮されず、広告を見た顧客が来店しても品切れである問題がありました。
 これに対し、店舗識別情報に基づき当該店舗の商品在庫データを取得する取得部と個人識別情報から特定される購買履歴を解析する制御部により構成された広告決定装置であり、制御部は個人の履歴内に特定の広告主による「第1の商品」が存在する場合、その購買傾向から同広告主の「第2の商品」を広告候補として抽出し、その際、取得した在庫情報を参照し、当該店舗に在庫があることを条件に広告を選択することにより、全店舗の在庫を探索することなくユーザのメイン店舗等の特定の在庫情報のみを照合するアルゴリズムとなり、計算負荷を抑制しながら顧客の来店時における欠品による失望を防ぎ、購買行動を促進する広告決定装置が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7427719/15/ja

  関連する専門分野の例:情報工学(全国に散在する多店舗の在庫データと膨大なID-POS(購買履歴)データをミリ秒単位で照合するためのリアルタイム分散処理基盤の設計・構築、在庫データの更新頻度と広告配信リクエストの整合性を保つための超高速データベース(NoSQL等)の選定・設計、計算負荷を軽減するため位置情報や検索履歴からメイン店舗を動的に特定するキャッシングロジックの実装、アドサーバ(広告配信サーバ)と広告決定サーバ間のAPI連携における低遅延な通信プロトコルの最適化)、統計学(蓄積された膨大な購買履歴や位置情報といった過去のデータから不確実な未来の行動(購買や来店)を高い確度で予測するための数理モデルの構築、商品Aを買った人が商品Bも買う確率(リフト値など)を算出して「第1の商品」から提示すべき「第2の商品」を決定するレコメンドルールの最適化、ノイズを含む位置情報データに基づく精度の高いメイン店舗判定ロジックの作成、広告配信の有無によって実際に購買率がどれだけ有意に向上したかを評価して配信アルゴリズムを改善するフィードバックループの設計)

 

 別の例として端末の位置情報、スポンサーの権利関係およびユーザの活動実績を動的に照合し、その場に最適なARコンテンツを抽出・合成する状況連動型ARコンテンツ提供システム(情報処理システム)が挙げられます。
 従来のAR広告は一律な表示が多く、場所やスポンサーの権利、ユーザの実績に応じた動的な制御が困難でした。
 これに対して、端末の位置情報を検出する位置検出部、その場所に紐付いたスポンサー(競合他社の排除情報を含む)を取得する取得部およびARステッカーを保持する記憶部を備えた情報処理システムであり、抽出部は取得したスポンサー情報やユーザのイベント参加実績、自己記録といった多角的な制約条件に基づき記憶部から利用可能なステッカーを特定し、表示制御部がこれらを提示し、決定部による選択を経て画像合成部が人体検出部が特定した被写体の部位(胸部等)に選択されたARステッカーを重畳処理することにより、スポンサーの権利を保護しつつユーザの状況や実績に応じた個別の体験を的確に提供する情報処理システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7364757/15/ja

  関連する専門分野の例:情報工学(サーバと端末の間で多種多様なデータを齟齬なく受け渡すためのスケーラブルなバックエンドシステムおよび通信プロトコルの設計・構築、地理空間インデックスを用いたスポンサー情報の高速検索クエリの最適化、数万人のユーザが同時にアクセスしても破綻しないイベント参加履歴管理データベースの設計、通信負荷を軽減するためのAR素材の差分更新ロジックの構築、端末側のメモリ消費を抑えるデータ管理エンジンの設計)、電子工学(カメラやGPS等のセンサから得られる物理信号の解析、画像信号処理による被写体識別および合成制御アルゴリズムの設計、撮像素子から得られた映像データに対するリアルタイムなノイズ除去と人体検知(骨格抽出)フィルタの実装、GPSやWi-Fi信号の強度に基づく高精度な室内外位置推定ロジックの構築、合成されるARステッカーを被写体の姿勢変化に追従させるための座標変換行列の計算最適化、モバイル端末のプロセッサで効率的に描画処理を行うための表示制御回路の論理設計)

 

 さらに別の例として過去の視聴統計データと特定の番組枠の属性情報に基づき放送分数や時間帯による変動を反映させた視聴率予測システムが挙げられます。
 従来の10分単位の平均視聴率に基づく予測モデルでは、放送分数の短いミニ番組や番組の切り替わり時に発生する急激なトレンドの変化を正確に捉えられないという問題がありました。
 これに対して、過去番組の視聴率に基づく基準特徴量を記憶する記憶部と対象番組から特定の番組枠をリクエスト枠として定める設定部を備えた予測システムであり、抽出部がリクエスト枠の放送分数、時間帯、放送局、祝日フラグ等の固有属性を特徴量として抽出し、取得部が記憶された基準特徴量に対し、抽出されたリクエスト枠の特徴量を掛け合わせ、曜日毎の時系列推移や最近のトレンドを反映した補正処理を行い、最終的な予測特徴量を算出することにより、従来の10分刻みの画一的な学習モデルでは困難だった、ミニ番組等の特殊な番組枠における予測精度を向上させ、実測値に近い予測を実現する予測システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7351975/15/ja

  関連する専門分野の例:数理工学(曜日や季節周期といった長期的なトレンドと直近の視聴率変動という短期的なトレンドを融合させる数理モデルの構築、ミニ番組特有の視聴行動をリクエスト枠特徴量としてどのように数式化して基準値に加算・乗算すべきかの重み付けを統計解析に基づき決定)、電子工学(膨大な世帯から送られてくるサンプリングデータに含まれるノイズ(突発的な電源OFF等)を除去して純粋な視聴トレンド信号を抽出するためのデジタル処理ロジックの設計、モバイル端末やサーバ上でのリアルタイムな予測を実現するため指数移動平均や加重平均を効率的に計算する信号処理パイプラインの構成の検討)

 

 G06Fは既述のとおり電気的デジタルデータ処理に関連する分類です。
 具体例としてクラウドストレージのフォルダ構造を利用してファイルのアップロードをトリガーとした自動変換処理と時刻ベースの労務管理機能をネットワーク上で統合したファイル変換システムが挙げられます。
 従来のRPA(パソコン上のマウス操作やキー入力といった人間の動作をソフトウェアがなぞって自動化する技術)は画面表示を待つなどの冗長な動きにより処理に時間がかかり、マクロ等は配布後の保守管理が困難でした。
 これに対して、未処理および処理済みフォルダが設定されたクラウドストレージ、作業者用端末およびファイル変換装置で構成されたシステムであり、ファイル変換装置は未処理フォルダを常時監視しファイルの取得とソースの削除を行う未処理ファイルチェック部、定義されたプログラムに基づきデータを所望の形式へ加工するファイル変換部、入力データや変換後の整合性を検証しエラーファイルを生成するエラーチェック部および現在時刻に基づき業務時間外のアクセス制限と警告メッセージの生成を行う制限部を備え、作業者がファイルをアップロードするだけで変換、検証および就業規則に準じたアクセス制御が自動で実行され、結果が処理済みフォルダに集約され、RPAのような人間の動作を介さない高速なデータ直接処理を実現し、かつプログラムの集中的な保守管理と作業者の労務適正化を同時に達成するファイル変換システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6909384/15/ja

  関連する専門分野の例:情報ネットワーク学(クラウド上の共有リソースに対する排他制御およびイベントドリブンなファイル同期プロトコルの設計・構築、ファイルのアップロードをトリガーとしたWebhookの設計、ファイル変換装置がファイルをダウンロードしてから未処理フォルダから削除するまでの整合性を担保するトランザクション処理の設計)、ソフトウェア工学(多様な入力形式に対する柔軟な解析ロジックの実装、例外処理を包含した堅牢な自動処理パイプラインの設計、特定のアプリケーション(Excel、CSV等)に依存しない抽象化されたデータモデルの構築、異なるファイル形式間でのデータマッピング(変換規則)の定義、エラーチェック部においてデータ型不一致や範囲外数値を検知するバリデーションアルゴリズムの設計、制限部において就業カレンダーや時間帯設定を動的に反映させるためのステートマシンの設計およびシステムの可用性と保守性の評価)

 

 H04Nは既述のとおり画像通信に関連する分類です。
 具体例としてスポーツゲームの所定シーンの実況音声をリアルタイムで生成する実況音声リアルタイム生成システムが挙げられます。
 従来のアニメーション実況では視覚情報に頼る部分が大きく、視覚障害者がリアルタイムで試合の状況を詳細に把握し、観戦を楽しむための音響的手段が不足していました。
 これに対して、映像解析と音声合成の二段階の推定プロセスで構成されたシステムであり、まず、第1機械学習部が過去の映像と実況テキストの関係を学習し、それに基づき第1推定部が入力されたライブ映像から「投球」や「安打」といった基本的な実況情報を抽出し、並行して、第2機械学習部が過去の実況テキスト・ファクト情報(選手名やカウント等)・実況音声の三者の相関を学習しており、これに基づき第2推定部が第1推定部の出力とファクト情報取得部から得た具体的な試合状況を統合し、実況音声を生成・出力することにより、単なる状況説明に留まらず、選手名や詳細な戦況を反映した視覚障害者にとっても情報密度の高いスポーツ実況をリアルタイムで自動提供することが可能となる実況音声リアルタイム生成システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7768852/15/ja

  関連する専門分野の例:情報工学(映像データから特定のパターンを抽出するコンピュータビジョンと状況に合わせた文章を導き出す自然言語処理モデルの統合・最適化,、試合映像の各フレームから投球動作や打球の軌道などの特徴的な動きを検出してストライクやホームランといったラベルに変換するディープラーニングモデルの構築、実況が実際のプレーから遅れないようモデルのパラメータの軽量化、過去の膨大な試合映像とアナウンサーの音声の解析および機械学習に最適な教師データセットを自動作成するスクリプトの設計)、通信工学(多地点のカメラ映像やデータベース上のファクト情報を遅滞なく集約するリアルタイム・ネットワーク通信と聞き取りやすい音声信号合成の制御、複数の会場カメラから届く大容量映像データを欠損なくかつ最小のタイムラグで処理サーバーへ伝送するための通信プロトコルの最適化、推定されたテキスト情報を特定のトーンやリズムを持つ音声波形に変換するデジタル信号処理アルゴリズムの設計、映像入力部で捉えた視覚情報と外部データベースから取得したファクト情報(選手名等)が時間軸上で完全に一致して出力されるようパケットのバッファリングと同期制御の設計)

 

 G06Tは既述のとおりイメージデータ処理などに関連する分類です。
 具体例として音楽のテンポや動きの質などのパラメータ変化に応じ、複数の基底モーションデータを動的に合成するパラメータ連動型3DCGアニメーション生成システム(装置)が挙げられます。
 従来のテンポ変更(倍速再生等)は単一データの時間伸縮に留まり、速度に応じた歩幅や姿勢の変化を表現できず、動作が不自然でした。
 これに対して、3DCGモデルの動きを制御する装置であり、モーションデータの生成と再生を多段階で制御し、まず、複数のモーションデータを保持しており、これらはモデル構成要素の座標を拍単位で時系列指定するデータ構造を有し、制御部は入力された特定のパラメータ値(BPM、動きのノリ、質の少なくとも1つ)に基づき、これら複数のデータを合成して、その特定値に最適な特定データを動的に生成(例えば、BPMの上昇に伴い「歩行」と「走行」のデータを補間することで中間的な速度における自然な遷移を実現)し、最終的に、再生部がこの特定データに基づいてCGモデルを再生することにより、単なる再生速度の変更では得られない物理的・感性的に妥当で滑らかな動作変化を音楽的テンポに同期させつつリアルタイムで実現する装置が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6805422/15/ja

  関連する専門分野の例:情報工学( 高次元の時系列データであるモーションの動的補間アルゴリズムの設計、ユーザー操作に対するリアルタイム応答アーキテクチャの構築、BPMや動きの質といった複数のパラメータ空間においてスケルトン構造の整合性を保ちながら各関節の回転角を計算する合成アルゴリズムの構築、楽曲の拍とモーションのキーフレームを精密に紐付けるためのコリオデータのフォーマットの設計、大量の座標データを低遅延で処理するためのメモリ管理手法の検討、外部入力装置(コントローラー)からのパラメータ変動がCGモデルの視覚的な滑らかさに与える影響をサンプリングレートの観点から解析)、電気電子工学(モーションデータを時系列信号として捉えた動的システム制御の設計、音楽やセンサ入力に応じたリアルタイム信号変換パイプラインの構築、BPMの急激な変化に対しても動作の破綻や振動を起こさずに滑らかに目標値へ追従させる制御フィルタの設計、電子楽器やセンサから送られてくる異なるサンプリングレートの信号を共通の時間軸で精度高く同期させ映像出力における揺らぎを抑制する信号処理ロジックの設計、加速度センサ等で計測された人間の実際の歩行・走行データの周波数解析)

 

(2)博報堂|開発トレンドと専門性
 
 G06Qが最も多いです。
 G06Qは既述のとおり管理目的などに適合した情報通信技術などに関連する分類です。
 具体例として一部の店舗から得た詳細な調査データと全店舗から得られる付随的データを組み合わせて実地調査を行っていない店舗における陳列状況や販促活動を統計的に予測する情報処理システムが挙げられます。
 従来、店舗調査には人手やカメラ設置に多大なコストがかかり、全店舗の陳列状況を網羅的に把握することは困難でした。
 これに対して、まず、第一の取得部が調査員による訪問やカメラ撮影を通じて得られた商品の陳列・販促活動という直接的な第一の特徴(第一のデータ)を一部の第一店舗群から取得し、次に、第二の取得部が全対象店舗について販売計画、店舗環境、業績といった第一の特徴と相関を持ちつつも収集が容易な第二の特徴(第二のデータ)を取得し、そして推定部が第一店舗群における第一と第二のデータの相関関係を学習し、その結果に基づき未調査の第二店舗群における第二のデータからその店舗での実際の陳列・販促状況を推定することにより、全ての店舗に赴くことなく、比較的容易に入手可能なPOSデータや計画情報等から高精度に全店舗の店頭状況を可視化する情報処理システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7328434/15/ja

  関連する専門分野の例:データサイエンス(第一の特徴(陳列位置・フェース数等)と第二の特徴(売上・店舗属性等)の間の相関関係のモデル化、未観測データの推定精度を最大化するアルゴリズムの設計、第一店舗群のデータを教師データとして売上高や棚割り計画から実際の陳列フェース数を予測する回帰モデルの実装、商品棚の二次元平面上における陳列位置のばらつきの定量化および推定値の信頼区間の算出)、経営情報学(推定されたデータのビジネス上の妥当性の検証、小売店やメーカーが実際の施策立案に活用できる意思決定支援プラットフォームとしての要件定義、推定された欠品確率や販促ツール設置率が特定ブランドの市場シェアに与える影響の分析、調査員の訪問ルートやカメラ設置店舗のサンプリング手法の最適化、推定モデルの更新に必要な第一のデータを効率的に収集する運用フローの構築)

 

 別の例として消費者の購買行動に潜む共通の関心事やライフスタイルを抽出する統計的潜在意味解析に基づく店舗特性の自動分類・分析システム(情報処理システム)が挙げられます。
 従来の店舗分類は立地や面積などの外的な属性に頼っており、実際にそこで買い物をしている消費者の多様な購買特性を商品の売れ行きから直接的に反映させることは困難でした。
 これに対して、まず、取得部が複数の店舗それぞれについて販売されている商品の種類とそれらの店舗内での販売シェア(販売量の大きさ)を示す販売商品データを取得し、次に、判別部がこのデータを自然言語処理の枠組みに投影し、各店舗を「文書」、各商品を「単語」、販売シェアを「出現頻度」とみなしてトピックモデル(潜在ディリクレ配分法など)を適用することにより、各店舗がどのような購買特性(トピック)の組み合わせで構成されているかを示すトピック分布を数学的に算出し、さらに、算出されたトピック分布の類似性に基づいて店舗をグループ化(クラスタリング)するこれらのプロセスにより、単なる売上規模や立地条件の比較では見えてこない消費者の潜在的なライフスタイルや嗜好に基づいた高精度な店舗特性の可視化を実現し、マーケティング施策の最適化に寄与する情報処理システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7248858/15/ja

  関連する専門分野の例:コンピュータサイエンス(販売実績という膨大な構造化データの解析、店舗の潜在的な特徴を抽出するための統計的学習アルゴリズムの設計、文書解析に用いるLDA(潜在ディリクレ配分法)を店舗(文書)と商品(単語)のデータ構造へ適応させるための数理モデルの再定義、万種類に及ぶ膨大な商品データから店舗の特性を代表する主要なトピックを効率よく抽出するための演算アルゴリズムの設計全国展開する店舗群のPOSデータをリアルタイムで処理してトピック分布の推定からクラスタリングまでを低遅延で実行するためのスケーラブルなシステムアーキテクチャの設計)、経営工学(抽出されたトピックを実務上のマーケティング施策へと変換するための商圏特性・購買行動の定量的評価、分類結果に基づく店舗運営戦略の最適化手法の設計、トピック分布が類似する店舗群を抽出してそれぞれのグループに適した商品ラインナップやプロモーション案を自動生成するロジックの構築、抽出されたトピックに含まれる商品群から「健康志向」「時短料理派」といった消費者属性を推定して実地データとの整合性を検証する評価フレームワークの策定、分類された店舗グループごとの販売傾向に基づき新商品を投入した際の売上予測精度を向上させるための予測モデルの設計)

 

(3)サイバーエージェント|開発トレンドと専門性

 

 G06Q、G06Fが多いです。 

 G06Qは既述のとおり管理目的などに適合した情報通信技術などに関連する分類です。
 具体例として画像・動画・テキストといった多様な広告構成要素とそれらの配置形式を統合的に数値化して未知のレイアウトに対しても汎用的に広告の反響を予測する広告効果判定システムが挙げられます。
 従来は広告媒体のフォーマットごとに専用の予測モデルを構築する必要があり、新しい媒体やレイアウトが登場するたびに多大な学習コストと労力が発生していました。
 これに対して、まず、広告構成特徴量取得部が文字列や画像・動画などの広告要素データから個別の特徴量を抽出し、ここで、各要素の種別(テキスト、画像等)や属性(サイズ、再生時間等)を示す広告フォーマット情報を抽出した特徴量と結合した上で所定の演算(トランスフォーマー等のアテンション機構やベクトル加算)を行い、広告全体の構造を記述した広告構成特徴量を生成し、次に、判定部がこの構成特徴量とあらかじめ学習された判定モデルを用いることで特定の配信対象に対する広告効果を算出するこの一連の構成により、要素の種類や配置が異なる多様なフォーマットを単一の数理空間で表現可能となり、新たな広告媒体に対しても再学習の労力を最小限に抑えつつ高精度な効果推定を実現する広告効果判定システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7615268/15/ja

  関連する専門分野の例:コンピュータサイエンス(異なる形式のメディアデータを共通の計算空間で扱うためのマルチモーダル特徴量融合アルゴリズムの設計、入力情報の種別や属性に応じた高精度なエンコーダーモデルの選定と最適化、CNN(画像用)やTransformer(テキスト用)など広告要素ごとの特性に適した既存のニューラルネットワークを統合して特徴量を固定次元のベクトルへ変換する処理の実装、配置位置や属性情報をベクトル化してメディア特徴量に加算・結合する際の数学的整合性を確保するための位置エンコーディング等の技術検討)、データサイエンス(広告効果という不確実な人の反応を数理モデル化するための統計的予測モデルの設計、予測精度の信頼性を担保するための多変量データの相関および因果の解析、クリック率やコンバージョン率といったビジネス指標、機械学習モデルが最適化可能な数式へと変換するロジックの構築、広告要素(画像・テキスト)から抽出された膨大な特徴量のうちどの要素が効果に真に寄与しているか特定)

 

 G06Fは既述のとおり電気的デジタルデータ処理に関連する分類です。
 具体例としてリアルタイム配信中の動画からユーザが任意に切り出した特定場面をメッセージと共にSNSへシームレスに投稿・共有し、第三者がその投稿から対象場面を直接再生可能とするコンテンツ配信システムが挙げられます。
 従来の動画共有技術はサーバ側での格納や配信、投稿方法の具体的な連携手段が乏しく、視聴中のライブ動画の任意箇所をユーザ端末のみの操作で簡易かつ即座にSNS投稿することが困難でした。
 これに対して、コンテンツプロバイダ(CP)、SNSプロバイダ(SNS)およびユーザ端末の相互連携により構成されたシステムであり、まず、CPはリアルタイムストリームを複数のフラグメント単位で記憶し、第1のユーザ端末が動画再生中に特定のフラグメントBを選択すると、その選択信号をCPへ送信し、同時にメッセージCを添えた投稿リクエストをSNSへ送信し、CPは選択信号に基づき該当フラグメントを特定・格納し、SNSは受信したメッセージCを掲載し、次に、閲覧側である第2のユーザ端末がSNS上で閲覧要求を行うと、SNSがメッセージCを提示するとともにCPへ閲覧リクエストを通知し、これに応答してCPが格納済みのフラグメントBを直接第2の端末へ配信するこの一連の要素技術により、ユーザは視聴中のライブ映像の「今、この瞬間」を端末の簡単な操作のみで即座にSNSへ拡散・共有できるコンテンツ配信システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6709624/15/ja

  関連する専門分野の例:情報通信工学(動画像伝送における低遅延かつ高効率なストリーミング・プロトコルの最適化、複数のプロバイダ間を跨ぐセッション制御とシグナリング・シーケンスの設計、モバイル環境の帯域変動(CNR)に基づきパケット誤り率を目標値以下に抑えつつ最適な解像度で配信するロジックの構築、リアルタイム性を担保するための階層型品質制御の導入、ジッタや遅延が再生品質に与える影響を最小化する設計)、ソフトウェア工学(膨大なビデオストリームを効率的に管理する動的フラグメント管理システムの構築、異なるサービス基盤(CPとSNS)間でデータを紐付ける分散型データベース連携アーキテクチャの設計、リアルタイム入力をMPEG-2 TS等の形式で細分化してプレイリスト(M3U8)と同期させながら各フラグメントを高速に検索・呼び出し可能な構造で格納する処理の構築、ユーザID、コンテンツID、フラグメントポインタおよびSNS側の投稿メッセージを不整合なく紐付けるためのメタデータ・スキーマの設計および高速なポインタ参照テーブルの作成、SNSサーバとCPサーバ間で閲覧リクエストをリアルタイムに受け渡すためのWeb APIの設計、端末側でのザッピング操作に対応した低遅延なフロントエンド・ロジックの実装)

 

(4)まとめ

 発明の目的は配信広告の決定や視聴率予測や消費者行動の分析など様々ですが、情報処理を伴う出願が多くを占めます。

 そのような出願につながる開発がおこなわれていることが予想されます。 

 

3.6 共同出願人との開発例

 共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。

 技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。

 各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。

(1)電通

 

 詳細の説明は省略します。

 

(2)博報堂

 

 詳細の説明は省略します。

 

(3)サイバーエージェント

 

 詳細の説明は省略します。

 

(16)上記(1)~(15)(共同出願人)のまとめ

 共同出願は多くないです。

 

4 開発に求められる専門性

 上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。

 上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。

 

情報系分野(情報工学、数理工学、情報ネットワーク学、ソフトウェア工学、通信工学、データサイエンス、経営情報学、コンピュータサイエンス、経営工学など)

 広告決定装置、端末の位置情報、状況連動型ARコンテンツ提供システム、視聴率予測システム、ファイル変換システム、実況音声リアルタイム生成システム、パラメータ連動型3DCGアニメーション生成システム、店舗における陳列状況や販促活動を統計的に予測する情報処理システム、広告効果判定システム、コンテンツ配信システムなどに関する出願が関係します。
 高頻度更新データと配信リクエストを同期させる低遅延アーキテクチャの設計、異種ドメイン間(在庫・購買・広告)におけるデータ整合性と可用性の検討、大規模ID-POSデータを高速に照合・処理するための分散ストレージ基盤の最適化、分散型環境における多次元的な属性フィルタリングエンジンの設計、膨大なコンテキスト情報(位置・履歴・権利)を高速処理するためのデータモデルの検討、時系列データの非線形推移を考慮した再帰型ニューラルネットワークの数理モデル設計、多次元的な番組属性が視聴率に与える影響度の統計的感度解析、組織のガバナンスと整合した動的アクセス制御ポリシーの設計、異種データ構造間の高精度なマッピングおよび変換アルゴリズムの設計、多次元時系列データからの特徴抽出およびパターン認識モデルの設計、分散された構造化データ(ファクト情報)と非構造化データ(映像)の精密な時間同期手法の検討、観測データと未観測データの統計的偏差を補完する数理モデルの検討、経営資源の最適配分に向けた推定データ駆動型意思決定システムの設計、多変量時系列データからの潜在的特徴抽出および次元圧縮アルゴリズムの設計、データ駆動型分析に基づく店舗ポートフォリオ管理およびセグメンテーション戦略の設計、異種メディア情報を統合するマルチモーダル記述子の設計、構成要素と心理的反応の相関に基づく広告効果推定モデルの設計、異種ネットワーク間におけるシグナリング・シーケンスの設計、多対多の連携を可能にするサービス指向アーキテクチャの設計などが求められます。

 

電気系分野(電子工学、電気電子工学など)

 状況連動型ARコンテンツ提供システム、視聴率予測システム、パラメータ連動型3DCGアニメーション生成システムなどに関する出願が関係します。
 物理センサ群の信号融合による高精度な空間認識・被写体特定ロジックの設計、動的環境下におけるリアルタイムなパターン抽出と追従アルゴリズムの解析、計算資源の制約下における高効率な信号処理と動画像合成プロセスの検討、大規模な時系列観測データからの有意な信号抽出およびデジタル信号処理の設計、非線形動的システムにおける安定性を担保した動作追従制御の設計、異種サンプリングレート信号間の精密な位相同期および補間手法の検討などが求められます。

 

数学系分野(統計学など)

 広告決定装置などに関する出願が関係します。
 多次元的な行動ログから特定拠点への帰属度を導出する確率的推論モデルの設計、購買履歴に基づく商品間の相関性解析と、在庫制約下での推薦ロジックの検討、不完全な位置情報や検索履歴を用いたユーザー行動パターンの特徴抽出と精度解析などが求められます。

 

 ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。

 

5 まとめ

 広告などに関する目的のための情報処理関連の出願が多くを占めます。

 関連する大学の専攻としては、主に、情報、電気における研究分野が該当する可能性があります。

 また、数学が求められる場合もあります。 

 

 本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。

 参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4

 以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

 関連記事:【特許分析】放送局業界の開発職ニーズ:情報、電気、数学、化学系の専攻を中心に放送局6社の出願動向から読み解く

 

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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社

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