ビルや道路、橋などのインフラに欠かせないセメントですが、一般消費者には馴染みが薄く、製品の差異も見えにくい素材だと言えます。
近年では製造工程でのCO2削減や廃棄物を原料・燃料として再利用するリサイクル技術が活発化していますが、企業サイトの断片的な情報だけでは、どのような研究開発がおこなわれ、どのような専門性が求められるのか、その全体像を把握するのは困難です。
この問題に対し、特許情報を活用します。
特許情報は企業の開発の軌跡であり、客観的なエビデンスになり得る情報です。
本記事では、採用サイトとは別の視点で、太平洋セメント、UBE、住友大阪セメント、デンカの研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。
結論(概要)は以下の通りです。
・材料、化学系分野(材料工学、応用化学、化学工学、材料化学、環境化学、電気化学、高分子化学、無機化学など)
・土木系分野(土木工学など)
・機械系分野(機械工学など)
・電気系分野(電気工学、電気電子工学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 セメント業界
2.1 セメント業界とは
ここでは、主にコンクリートの主原料として、建築・土木といった社会インフラ整備に不可欠な素材を提供する業界と意図します。
ただし、専業、兼業の区別はしていません(他事業分野の製品もカウントしています)。
2.2 サーチ対象
以下のセメントメーカー4社を対象にしました。
(2)UBE
(3)住友大阪セメント
(4)デンカ
UBEにはUBE三菱セメントの情報を含めています。
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
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法人向け |
・重量コンクリート |
・セメント原料代替物からのアルカリ金属除去方法 |
3.2 出願件数の推移
下図はセメントメーカー4社の特許出願件数の推移です。

4社とも平均すると、毎年少なくとも100件程度の出願をおこなっています。
そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
デンカ>UBE>太平洋セメント>住友大阪セメント
だと言えます。
ただし、専業、兼業の違いもありますので、純粋なセメント業界に関わる開発であるとは一概には言えません。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
蒸留などがこれに該当します。
太平洋セメントがこの分野から多く出願しています。
汚染土壌の再生などがこれに該当します。
太平洋セメントがこの分野から多く出願しています。
コンクリートの建築材料などがこれに該当します。
UBE、デンカがこの分野から多く出願しています。
水硬性セメントなどがこれに該当します。
全4社がこの分野から多く出願しています。
重合方法などがこれに該当します。
デンカがこの分野から多く出願しています。
特定の高分子化合物などがこれに該当します。
UBEがこの分野から多く出願しています。
コンデンサーなどがこれに該当します。
住友大阪セメントがこの分野から多く出願しています。
デジタル変換器などがこれに該当します。
住友大阪セメントがこの分野から多く出願しています。
3.5 セメントメーカー4社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)太平洋セメント|開発トレンドと専門性

上図期間中、Ⅽ04Bが最も多いです。次いでG01N、B09B、H01Mが多いです。
具体例として大きな単位容積質量を有するコンクリート(重量コンクリート)が挙げられます。
従来のシールドトンネル用セグメントなどに用いられるコンクリートは浮力対策のために重量骨材を使用すると流動性が著しく低下し、耐火性向上のための有機繊維を配合すると、さらに施工が困難になる問題がありました。また、流動性改善のために混和剤を増やすと材料分離が生じました。
これに対し、単位容積質量が3,000kg/m³以上のコンクリートにおいて、セメント、重量細骨材、重量粗骨材、セメント分散剤、水に加え、増粘剤と有機繊維、膨張材の特定の配合量で組み合わせ(特に、増粘剤0.02〜1.0kg/m³、有機繊維0.05〜0.80体積%、膨張材5〜40kg/m³の範囲で配合)により、材料分離を起こすことなく、流動性を保持しつつ耐火性と重量性を兼ね備えたコンクリートが開発されています(以下URL)。
増粘剤、有機繊維、膨張材等が組み合わされたコンクリート→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7263587/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(増粘剤やセメント分散剤がコンクリートの流動性や材料分離抵抗性に与える影響の分析、有機繊維の分散状態や高温加熱時の挙動(融解による空隙形成)が耐火性に及ぼすメカニズムの解明および高性能な材料選定や配合設計)、化学工学(異なる添加順序、混練時間、ミキサーの種類が得られるフレッシュコンクリートの流動性、空気量、材料分離抵抗性に与える影響の評価、有機繊維の絡み合いを抑制して均一に分散させるための混練方法や増粘剤の分散性を高めるための添加方法の設計)
従来の舗装用コンクリートは高い耐摩耗性を持つものが提案されていましたが、そのセメント組成物の流動性が不十分で、施工性や充填性に課題がありました。
これに対して、セメント、シリカフューム、無機粉末、細骨材、高性能減水剤、消泡剤および水を含むセメント組成物の硬化体であって、圧縮強度300N/mm²以上で、細骨材よりも硬度が高い硬質砂を特定粒径(10%重量累積粒径が1.2mm以上、90%重量累積粒径が5.0mm以下)で、かつ、細骨材と硬質砂の合計量に対して30%〜70%の割合での配合により、耐摩耗性と未硬化状態でのセメント組成物の流動性を維持し、施工性、充填性を向上させたセメント硬化体が開発されています(以下URL)。
セメント硬化体→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7653337/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(高性能減水剤の分子構造がセメント粒子の分散性や水和反応速度に与える影響の解析および高性能な減水剤の設計・合成、増粘剤のポリマー構造とそれがコンクリートの流動性や材料分離抵抗性に及ぼす影響の解明および配合最適化)、土木工学(コンクリートがシールドトンネルのセグメントや舗装として適用された際の圧縮強度、曲げ強度、耐摩耗性、ひび割れ抵抗性、耐久性といった構造物としての性能評価、現場での打設性や充填性を考慮した施工計画の立案および長期的なインフラの維持管理を見据えた材料設計の検討)
高炉で銑鉄を製造する際に発生する副産物である高炉スラグ微粉末はセメント混合材として利用されますが、低塩基度のスラグは活性が低く、多くが路盤材などにしか使えず、利用範囲が限られていました。また、活性を高めるために微粉砕すると製造コストが増大するという問題がありました。
これに対して、通常は活性が低いとされるJIS A 6206:2013に規定される塩基度が1.40〜1.70の範囲にある高炉スラグを原料とする、特定の粒度分布(5%体積累積粒径が1.60μm以下、10%体積累積粒径が2.20μm以下)とブレーン比表面積(3,000〜5,500cm²/g)の微粉砕により、これまで利用が困難だった低塩基度高炉スラグの有効活用が可能となる高炉スラグ微粉末が開発されています(以下URL)。
高炉スラグ微粉末→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7682044/15/ja
関連する専門分野の例:材料化学(線回折(XRD)や走査型電子顕微鏡(SEM)による微細構造解析、熱分析(TG-DTA)による水和生成物の特定、ゼータ電位測定による粒子表面電荷の評価を通じた低塩基度高炉スラグの活性発現メカニズムの分析、粉砕条件が粒子の形状やアモルファス相の割合に与える影響の検討)、機械工学(ボールミル、竪型ローラーミル、ジェットミルなどの粉砕機の内部流動解析や粉砕メカニズムのシミュレーション、粉砕メディアの形状やサイズ、供給速度、回転数といった運転パラメータが目的とする粒度分布とブレーン比表面積を持つ微粉末の生成効率に与える影響の評価)
具体例としてセメント質硬化体の水分量を検出する水分センサが挙げられます。
従来の水分センサはセメント質硬化体の硬化収縮や温度変化による電極と誘電体の間の微小な隙間発生により、測定精度が低下する問題がありました。
これに対して、柱状の誘電体と、その誘電体の表面または内部に対向して設けられた一対以上の電極を備えた水分センサであり、電極が複数の孔を有しており、その孔に誘電体材料が充填されて誘電体と電極が密着していることにより、セメント質硬化体の硬化収縮や実環境での温度変化による誘電体と電極との間の微小隙間の発生を抑制でき、表面や深部の水分量をも正確に把握できる水分センサが開発されています(以下URL)。
セメント質硬化体の水分量を検出する水分センサ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7633063/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(セメント質硬化体、セラミックスまたはそれらの複合材料における吸水性、熱膨張率、誘電特性の評価、異なるセメント種や骨材の種類、水/セメント比が誘電体の水分応答に与える影響の分析、メッシュ電極の材質、線径、目開き、空間率が誘電体との密着性、電気的特性および長期耐久性に及ぼす影響の評価および最適な電極構造の設計)、電子工学(広範な周波数領域での静電容量、インピーダンス、誘電正接などの電気特性を安定的に測定できるLCRメーターやインピーダンスアナライザなどの計測機器の選定およびシステム構築、センサから得られる電気信号からセメント質硬化体内の水分量を高精度に算出するためのアルゴリズム設計)
従来の測定方法では、コンクリート供試体が平衡状態に達するまでに長期間を要し、複数の湿度条件を評価する際には装置間のばらつきや測定にさらなる時間がかかるという問題がありました。
これに対して、複数のセメント質硬化体の供試体を配置できる第1配置部と、吸湿剤または放湿剤を配置できる第2配置部を備えた筐体を有し、筐体は分割可能で、その側面に形成された凹部(溝)により各供試体が密閉された模擬空間を形成し、各模擬空間の湿度が個別に測定可能で、第2配置部が第1配置部よりも奥に配置されることで、吸湿剤や放湿剤の十分な容量を確保し、一度に複数の湿度環境下における供試体の平衡質量を短期間で効率よく測定できることにより、コンクリートの湿気移動特性を評価する上で重要な平衡含水率曲線や拡散係数を実用的な期間で取得できる湿度測定装置が開発されています(以下URL)。
セメント質硬化体の湿度測定装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7581090/15/ja
関連する専門分野の例:土木工学(各種配合のコンクリートについて配合、製造方法、養生条件が水分吸脱着特性や耐久性にどう影響するかの評価、装置で得られた平衡含水率や拡散係数のデータをコンクリート構造物の長期的な性能と結びつけるためのモデルの構築)、電気電子工学(装置に組み込まれる湿度センサーの特性の評価および測定環境に適したセンサーの選定・改良、センサーからの微弱な電気信号を正確に増幅・デジタル変換しノイズを抑制するためのアナログ・デジタル回路設計、収集した生データから平衡含水率や拡散係数などの意味のある情報を抽出するためのアルゴリズム設計)
具体例としてセメント原料代替物からのアルカリ金属除去方法が挙げられます。
従来、石炭灰の代替となる粘土資源にはアルカリ金属が多く含まれ、セメントの品質低下(アルカリ骨材反応など)を招く問題がありました。
これに対して、アルカリ金属含有物に水を加えてスラリーとし、そのpHと酸化還元電位(ORP)を特定の関係式(ORP(mV) ≦ 28×pH - 575、pH範囲10≦pH≦14)を満たすように調整することで、従来除去が困難だった非水溶性のアルカリ金属を効率的に液相へ溶出するアルカリ金属除去方法が開発されています(以下URL)。
セメント原料代替物からのアルカリ金属除去方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7503014/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(反応器の種類や攪拌翼の形状、回転数、液深などがアルカリ金属溶出効率に与える影響の評価および最適な反応器設計と運転条件の導出、物質輸送現象を考慮した設計、分離後のケーキの含水率を最小限に抑えつつ排水中のアルカリ金属濃度を許容範囲内に収めるための固液分離装置の選定、操作圧力、ろ過助剤の使用効果などの評価)、環境化学(処理前後のアルカリ金属含有物の結晶構造や元素組成の分析および溶解・腐食プロセスにおける化学反応パスの特定、非水溶性のアルカリ金属成分が液相に溶出するメカニズムの解明および効率的な溶出条件の探求、得られたケーキにより製造されたセメントの品質の評価)
廃リチウムイオン電池は電解液の存在により加熱処理中に急激な温度上昇(熱暴走)を起こし、設備損傷の恐れがあります。従来のガス注入による熱暴走抑制策は専用設備の追加や酸欠リスクを伴う課題がありました。
これに対して、廃リチウムイオン電池と共に、炭酸カルシウム、石灰石またはドロマイトのいずれかを熱処理装置内に所定量(例えば、熱処理装置の内部空間1m³当たり1kg以上の炭酸カルシウムまたは石灰石)収容するシステムであり、内部温度が400℃以上650℃以下となるように加熱されることで、廃リチウムイオン電池の熱分解を促進しつつ、万が一熱暴走の兆候として内部温度が上昇し700℃~900℃に達した際には収容された炭酸カルシウム等が吸熱性の脱炭酸反応を起こし、不燃性の二酸化炭素ガスを発生させ、この自動的な吸熱とガス発生により、炉内の燃焼が抑制され、温度上昇が緩和されるため、特別な設備追加なしで熱暴走を抑制できる加熱システムが開発されています(以下URL)。
廃リチウムイオン電池などを加熱する加熱システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7602928/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(廃リチウムイオン電池の構成物質ごとの熱分解挙動の測定および炭酸カルシウム等の脱炭酸反応の吸熱量と二酸化炭素発生量の評価、熱処理装置の最適サイズ、加熱速度、処理温度範囲および炭酸カルシウム等の最適充填量の決定、熱暴走を確実に抑制しつつ効率的な処理が可能なプロセスフローの設計)、材料工学(熱重量分析(TGA)、示差熱分析(DTA)、X線回折(XRD)、走査型電子顕微鏡(SEM-EDX)などによる加熱処理中の相変化や結晶構造の変化の評価および有価金属回収プロセスへの影響の予測、炭酸カルシウム、石灰石、ドロマイトといった脱炭酸反応を起こす無機材料の純度、粒度、熱分解特性の評価および熱暴走抑制効果を最大化するための最適な材料の選定)
具体例としてリチウムイオン二次電池用正極活物質粒子の製造方法が挙げられます。
従来のリチウム系ポリアニオン正極活物質は導電性が低く、炭素被覆により導電性を改善する試みもなされていましたが、過剰な炭素被覆は電解液との副反応を引き起こし、サイクル特性を低下させるという問題がありました。
これに対して、特定の組成式で表されるリチウム系ポリアニオン粒子表面に炭素被覆率を5%以上70%未満かつ炭素被覆の最大厚みを5nm以上という特定の範囲で炭素被覆を施す製造方法であり、まず水熱反応でリチウム系ポリアニオン粒子の予備粒子を合成(工程I)し、次にこの予備粒子、炭素被覆剤(糖類)および炭素被覆阻害剤(糖類以外のポリオール、アミン、またはアミド) を含むスラリー水を得て(工程II)、このスラリー水を噴霧乾燥して造粒体とし(工程III)、最後に焼成(工程IV)することにより、炭素被覆阻害剤が選択的に焼失する一方で、炭素被覆剤が偏在的に炭化することで適度な炭素被覆率を維持しつつ厚みのある炭素被覆を形成し、電解液との副反応を抑制しながら導電性を確保してサイクル特性を維持するリチウムイオン二次電池用正極活物質粒子の製造方法が開発されています(以下URL)。
リチウムイオン二次電池用正極活物質粒子の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7681989/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(造された正極活物質粒子の表面の炭素被覆率、炭素被覆の厚み、炭素の形態(アモルファス、グラファイト化度など)の分析、構造的特徴がリチウムイオンの拡散挙動、電子伝導性および電解液との界面反応に与える影響の評価、それぞれの材料の熱分解温度や熱量変化の測定および焼成プロセスにおける炭素化と焼失のバランスの評価、さまざまな配合比で得られる正極活物質の炭素被覆率、厚み、均一性の評価およびサイクル特性を最大限に引き出すための最適な材料組み合わせと配合比の決定)、電気化学(定電流定電圧充電・放電試験により初期放電容量、クーロン効率、サイクル劣化率の測定、リチウムイオンの拡散係数や電極反応速度の解析および炭素被覆構造が電気化学反応に与える影響の解明、サイクル劣化の原因となる活物質の構造変化、電解液の分解、SEI(固体電解質界面)層の形成挙動などの解析)
従来の二次電池では、セパレータとして多孔性高分子フィルムを用いると耐熱性が低く、また金属酸化物粒子を用いるとセパレータ層が厚くなりすぎて内部抵抗が増加し、エネルギー密度が低下するという問題がありました
これに対して、活物質層の表面にセルロースナノファイバー(CNF)にセラミックスナノ粒子が線状に担持されたセラミックスナノ粒子集合体からなる薄層を形成する電極であり、このセラミックスナノ粒子集合体はCNFを軸としてセラミックスナノ粒子が規則的に配列しているため、単独のセラミックス粒子よりも薄膜化が可能となり、セパレータ層の厚さを1μmから4μmにまで薄くでき、内部抵抗の低減と活物質層の割合増加による高エネルギー密度化を実現し、また、セラミックスの耐熱性とCNFの機械的強度により230℃以上の耐熱性と機械的強度を両立する二次電池用電極が開発されています(以下URL)。
二次電池用電極→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7329089/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(セルロースナノファイバーとセラミックスナノ粒子の複合材料における界面相互作用の解析、透過型電子顕微鏡(TEM)や原子間力顕微鏡(AFM)によるナノアレイの形態観察、X線回折(XRD)による結晶構造解析、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)やX線光電子分光法(XPS)によるCNFとセラミックスナノ粒子の結合状態評価、最適な材料選択と合成条件の導出)、電気化学(セラミックスナノ粒子集合体層が二次電池の充放電特性、サイクル寿命、安全性に与える影響の評価と最適化、サイクリックボルタンメトリー(CV)や電気化学インピーダンス分光法(EIS)によるセパレータ層のイオン伝導性や電極反応速度評価およびデンドライト成長抑制効果やSEI形成挙動の解析、実用的な電池性能を向上させるための電極設計指針の確立)
(2)UBE|開発トレンドと専門性

Ⅽ04Bが最も多いです。次いでⅭ08G、Ⅽ08L、H01M、B01Dが多いです。
具体例としてセメント代替材料であるジオポリマーが挙げられます。
従来のジオポリマー組成物はセメントに比べてCO2排出量が少ないものの、さらなる削減が求められていました。また、フレッシュ性状と強度を両立させることも課題でした。
これに対して、無機フィラー、シリカフューム、遅延剤を含む固体組成物とアルカリ源、水、減水剤、消泡剤を含む液体組成物を別々に調製し、これらを混合してジオポリマー組成物を製造する方法であり、無機フィラーとしてフライアッシュ、高炉スラグ微粉末に加え、CO2吸収源となる炭酸カルシウムを特定の割合(0体積%超70体積%未満)での配合により、製造時におけるCO2排出量を削減しつつ、良好な流動性(フレッシュ性状)と、従来のセメントコンクリートと同等以上の強度を両立できるジオポリマー組成物が開発されています(以下URL)。
ジオポリマー→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7274034/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(固体組成物と液体組成物の混合プロセスにおける攪拌条件、温度、反応時間などの操作因子がジオポリマーの反応速度や最終的な物性に与える影響の評価、CO2排出量削減と材料コストのバランスを考慮した原料供給システム、混合装置、養生設備などのプロセス全体の設計・最適化)、土木工学(ジオポリマー組成物の実構造物における耐久性の評価、長期的な性能を確保するための配合設計や施工方法の検討、大規模な現場での施工性を確保するためのジオポリマーの練り混ぜ、運搬、打設、締固め、養生といった一連の施工手順の確立)
従来の塩素バイパス設備では、抽気管内のダスト堆積による閉塞が頻繁に発生し、安定稼働が困難でした。
これに対して、セメントキルンから高温の排ガスを抽気する塩素バイパス設備において、断熱された抽気管の内部に高温の排ガスを供給する排ガス供給部が設けられ、抽気管の閉塞を抑制し、この排ガス供給が抽気管内のダストの付着性を低下させ、堆積したダストを吹き飛ばすことで、流路の閉塞を防ぐ塩素バイパス設備が開発されています(以下URL)。
塩素バイパス設備→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7663394/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(抽気管内の排ガス供給部の形状、吐出口の配置、供給圧力などがダストの飛散効率と管内温度分布に与える影響の解析、高温環境下での材料選定(耐熱鋼、耐火材など)と構造設計)、化学工学(セメントキルンへの塩素含有廃棄物投入量と塩素バイパス設備での塩素除去量とのバランスを考慮したセメント製品品質に影響を与えない最適な塩素濃度管理プロセスの設計、抽気ガスや排ガスの熱回収システムを検討および設備全体のエネルギー効率を最大化するための熱交換器や熱ネットワークの設計)
従来の技術では、ツノガイのコンクリーション形成メカニズムをセメントに応用する具体的な組成や製造方法が不明でした。
これに対して、セメントに加えて、水に溶解しやすい特定の炭酸塩(例えば炭酸カリウム)または炭酸エステルが、セメント100質量部に対して30質量部以上という特定の割合で配合されたことで、セメント硬化反応中に炭酸イオンを放出し、硬化後のセメント体と外部の陽イオン(例えば海水中のカルシウムイオン)が接触することで、その表面に炭酸カルシウムの堆積物(コンクリーション)を形成させ、硬化物の圧縮強度が向上するだけでなく、微細な亀裂を自己修復する機能や注入材としての高い密着性が発揮される水硬性組成物が開発されています(以下URL)。
水硬性組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7538660/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(硬化後の水硬性組成物におけるセメント水和生成物と炭酸カルシウム堆積物(コンクリーション)の相組成、結晶構造、結晶形態および粒子サイズの分析、炭酸塩の種類や添加量が硬化物の気孔構造、密度および強度発現に与える影響の評価、形成される炭酸カルシウムがセメントマトリックスとどのように界面結合しているかの評価、複合材としての機械的特性向上メカニズムの解明)、無機化学(セメント水和反応が進行する高アルカリ環境下での炭酸塩の溶解挙動と炭酸エステルの加水分解挙動の解析、溶液中の陽イオンと炭酸イオンの反応における溶解度積、pH、温度などの条件が炭酸カルシウムの析出速度、結晶相および形態に与える影響の評価、炭酸カルシウムがセメント硬化体の表面に強固に付着するメカニズムの解析)
具体例としてフレキシブル電子デバイス基板などに利用されるポリイミド前駆体組成物が挙げられます。
従来のポリイミドフィルムはディスプレイ用途で求められる高光透過性や製造工程における基材との高密着性を十分に満たせませんでした。特に、デバイス製造時の高温処理や切断工程で剥離が生じやすい問題がありました。
これに対して、特定の構造を持つポリイミド前駆体を必須成分とし、任意成分としてイミダゾール化合物を特定の割合で含有するポリイミド前駆体組成物であり、ポリイミド前駆体は、その繰り返し単位において、特定の4価の脂肪族基または芳香族基(X1)と2価の脂肪族基または芳香族基(Y1)を特定のモル比で含み、X1はオキシジフタル酸二無水物(ODPA)および/または3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(s-BPDA)に由来する構造を70モル%以上含み、Y1は4-アミノフェニル-4-アミノベンゾエート(4-BAAB)に由来する構造を70モル%以上含む構造とイミダゾール化合物の配合により、得られるポリイミドフィルムが耐熱性や低線熱膨張係数を維持しつつ光透過性、ガラス基板などの基材との密着性を高め、フレキシブルディスプレイ製造プロセスにおける剥離の問題が解決するポリイミド前駆体組成物が開発されています(以下URL)。
ポリイミド前駆体組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7235157/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(一般式(I)で示される繰り返し単位を持つポリイミド前駆体の設計、X1およびY1の構造がポリマーの物性(特に光透過性、耐熱性、機械的強度、基材密着性)に与える影響の解析、合成条件(モノマー比、溶媒、温度、触媒など)の最適化による分子量や分子量分布の制御)、材料科学(ポリイミド前駆体組成物の塗布方法の検討と膜厚均一性の評価、熱イミド化プロセスの最適化によるフィルムの機械的特性(弾性率、引張強度)、熱的特性(Tg、CTE)、光学特性(光透過率、YI)および基材との剥離強度(JIS K6854-1準拠)の測定と解析、ポリイミドフィルムと基材界面の接着メカニズムの解明および密着性向上に寄与する要因の特定)
従来の溶剤系ポリウレタンに比べて水性ポリウレタンは造膜性が劣り、特に耐アルコール性が低いという問題がありました。
これに対して、特定の構造を有するポリウレタン樹脂(A)を水系媒体中に分散させた水性ポリウレタン樹脂分散体であり、ポリウレタン樹脂(A)は脂環構造を有するポリカーボネートポリオール(Aa)、ポリイソシアネート(Ab)、酸性基含有ポリオール(Ac)および水酸基含有ポリアミン(Ad)に由来する構造を必須構成成分とし、ポリウレタン樹脂(A)の水酸基価が3.0~15mgKOH/gの範囲であることにより、耐アルコール性の向上させた水性ポリウレタン樹脂分散体が開発されています(以下URL)。
水性ポリウレタン樹脂分散体→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7512789/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(異なる脂環構造含有ポリカーボネートポリオールや水酸基含有ポリアミンの種類・分子量・官能基数などを選択してその組み合わせがポリウレタン樹脂の構造に与える影響の評価、反応温度、時間、触媒の種類と量、溶媒の種類といった合成条件の最適化および目的の物性を持つポリウレタン樹脂を効率的に合成するための反応メカニズム解析)、材料工学(作製された塗膜について耐アルコール性、密着性、硬度、引張強度、伸び、耐摩耗性、耐候性などの機械的・化学的特性の測定・分析、各特性値とポリウレタン樹脂の組成や構造との相関関係から塗膜の性能をさらに向上させるための指針の導出、SEMやAFMなどによる塗膜の表面・断面構造の観察およびミクロな構造とマクロな物性の関係の解明)
具体例として自動車部品などに用いられるポリアミド樹脂組成物が挙げられます。
従来のポリアミド樹脂は離型性、機械特性、耐塩化カルシウム性が不十分であり、特定の酸変性ポリオレフィンへの接着性も課題でした。
これに対して、特定の分子量範囲のアミノ基濃度(46~110 µmol/g)を有する脂肪族ポリアミド樹脂(A)を主成分とし、これに芳香族ポリアミド樹脂(B)、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル(C)、ポリオレフィンワックス(D)、結晶核剤(E)、脂肪酸ビスアミド(F)および炭素原子数20~30の有機酸のエステルや金属塩(G)の特定配合比の組み合わせ、および、酸変性ポリオレフィン(ポリアミド樹脂組成物を接着させる相手側の材料)の酸変性量8~100 µmol/gにより、離型性、機械的特性、耐塩化カルシウム性を有するポリアミド樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
ポリアミド樹脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-037237/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(脂肪族ポリアミド樹脂(A)のアミノ基濃度が接着性や機械特性に与える影響び解析および最適な範囲の導出、芳香族ポリアミド樹脂(B)の導入がポリアミド樹脂組成物の耐熱性や機械特性に及ぼす影響の評価および適切な共重合組成や分子量の設計、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル(C)やポリオレフィンワックス(D)などの滑剤成分が樹脂の溶融粘度や離型性さらには最終製品の表面品質に与える影響の検討および最適な分子量や官能基の種類の選定)、材料工学(各種添加剤の配合量と分散状態が組成物の結晶構造やミクロ組織に与える影響の評価および物性との関連性の解明、射出成形時の温度、圧力、冷却速度などの加工条件が成形品の接着界面の形成や内部応力に与える影響の解析および接着性を最大化するための最適な条件の決定)
従来のポリアミド樹脂組成物は押出成形やブロー成形など、異なる成形方法ごとに材料特性を調整する必要がありました。また、成形品の表面に模様や凹凸が生じやすく、外観の改善が課題でした。
これに対して、脂肪族ポリアミド樹脂(a)を主成分とし、これに無水マレイン酸変性エチレン/ブテン共重合体であるエラストマー(b)と、(メタ)アクリル酸および/またはその誘導体で変性された含フッ素系重合体(c)が特定比率で配合された脂肪族ポリアミド樹脂組成物であり、エラストマー(b)のカルボキシル基と酸無水物基の合計濃度[X]、エラストマー(b)の含有量[Y]および変性された含フッ素系重合体(c)の含有量[Z]の積が2,900未満となることで、押出成形では良好な外観と安定した連続製造を可能にし、ブロー成形では高いパリソン保持率(溶けた樹脂のチューブが垂れ下がらずに形を保つ力)と優れた外観を実現するポリアミド樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
ポリアミド樹脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7413894/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(核磁気共鳴(NMR)やフーリエ変換赤外分光(FT-IR)による各重合体の官能基の種類と量の特定、重合度や分岐度などの分子量分布の評価、示差走査熱量測定(DSC)や動的粘弾性測定(DMA)による各成分および組成物のガラス転移温度、融点、結晶化挙動の分析、組成物中の各成分の分散状態やミクロ相分離構造の観察に基づく外観不良(表面の模様や凹凸)の原因となる因子の特定)、材料工学(ブロー成形機による異なる温度、圧力、冷却速度でのパリソン挙動(垂れ下がり、膨張挙動)の測定およびパリソン保持率を向上させるための成形条件の特定、押出成形機によるさまざまなダイ形状やスクリュー回転数での樹脂の流動性、押出安定性および得られるシートやパイプの外観(表面粗さ、うねり)の評価と連続製造に適した条件の導出)
具体例として全固体二次電池における電極が挙げられます。
従来の全固体二次電池の電極は電極活物質層に固体電解質を必須成分として含んでおり、その製造工程や性能において課題を抱えていました。
これに対して、電極活物質層に固体電解質を実質的に含まないことを特徴とし、バインダー樹脂としてポリイミド系樹脂、特定の溶解度を有するリチウム塩、導電助剤を含む電極活物質層を集電体上に有することで、イオン伝導性がほとんどないポリイミド系樹脂と特定の溶解度を持つリチウム塩を組み合わせにより電極活物質層内でイオン伝導性を確保し、固体電解質なしでも電極として機能させ、製造工程の簡略化や高性能な全固体二次電池に貢献する電極が開発されています(以下URL)。
全固体二次電池における電極→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7533581/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(透過型電子顕微鏡(TEM)やX線回折(XRD)による電極活物質層の微細構造解析、固体NMRやIR分光法によるポリイミド系樹脂とリチウム塩間の結合状態およびイオン輸送メカニズムの解析、密度汎関数理論(DFT)計算による新規ポリイミド構造の設計とイオン伝導パスの最適化、複合材料としての熱的安定性や機械的特性の評価)、電気化学(交流インピーダンス測定による電極活物質層内のイオン伝導抵抗および電荷移動抵抗の評価、定電流充放電試験による電池のサイクル寿命と容量維持率の測定、サイクリックボルタンメトリーによるリチウムイオンの挿入脱離挙動の解析、電気化学クォーツクリスタルマイクロバランス(EQCM)を用いた電極活物質層の膨潤収縮挙動の評価、電極設計の最適化)
具体例として水蒸気分離が可能なポリイミド製ガス分離膜が挙げられます。
従来のガス分離膜は透過速度が低いか、機械的強度や耐アルコール性に課題があり、特に水蒸気とアルコールを含む混合蒸気の高効率分離が困難でした。
これに対して、ガス分離機能を持つスキン層と支持層からなる非対称構造のポリイミド製中空糸膜であって、特定の化学構造を有するポリイミド(テトラカルボン酸成分の90mol%以上が3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸類、ジアミン成分の90mol%以上がジアミノジフェニルエーテル類および/またはビス(アミノフェノキシ)ベンゼン類)で構成され、エタノールと水蒸気の混合蒸気に対する水蒸気透過速度が100×10-5cm³(STP)/(cm²・sec・cmHg)以上、水蒸気とエタノールの透過速度比が100以上、中空糸膜の引張破断伸度が50%以上、150℃の60質量%エタノール水溶液で処理後も引張破断伸度が処理前の40%以上を保持することで、耐アルコール性を備え、水蒸気と有機物の混合蒸気からの水蒸気分離を可能なガス分離膜が開発されています(以下URL)。
水蒸気分離が可能なポリイミド製ガス分離膜→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7647230/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(さまざまなモノマーの組み合わせや重合条件がポリイミドの分子量、分子量分布、立体構造に与える影響の評価および最適なポリイミド骨格の特定、熱分解挙動、ガラス転移温度、結晶性といった熱的特性の分析および高温・高湿環境下での膜の安定性の予測、リイミドの自由体積、分子間相互作用、特定のガス分子との親和性などの解析)、材料科学(膜の性能を最大限に引き出すための供給ガスと透過ガスの流量バランス、圧力差、温度プロファイルの最適化、膜モジュールのスケールアップにおける流体分布の均一性、熱および物質移動効率を考慮した設計)
(3)住友大阪セメント|開発トレンドと専門性

G02Fが最も多いです。次いでⅭ04B、H01L、H01Mが多いです。
具体例として高周波ディップ現象(光導波路素子の透過特性が特定の高周波で大きく低下する現象)を抑制するL字多段構造接地電極を有する光導波路素子が挙げられます。
従来の光導波路素子は高周波帯で基板モード共振による透過特性のディップ現象が生じ、高性能化の妨げとなっていました。
これに対して、電気光学効果を有する基板上の光導波路に信号電極と接地電極が配置された光導波路素子であり、接地電極を信号電極に近い第1接地電極と遠い第2接地電極に分離するスリットが変調作用部分に形成されており、このスリット幅は40μm以上に設定され、第1接地電極は下側部分が上側部分よりも信号電極に近接したL字形状の多段構造を有し、その突出幅が信号電極の幅の20~70%の範囲に設定されていることにより、電界が第1接地電極に集中し、基板モードとの結合が抑制されるため、高周波特性のディップ現象が効果的に抑制できる光導波路素子が開発されています(以下URL)。
光導波路素子→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7677102/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(信号電極、第1接地電極、第2接地電極の各寸法がマイクロ波の伝搬特性、インピーダンス整合および電界分布に与える影響の評価、基板の誘電率、損失タンジェント、厚みおよび接着層の誘電率や厚みが基板モードの共振周波数やQ値に及ぼす影響の解析、電極構造の変更が光変調性能に与える影響の評価)、材料科学(ニオブ酸リチウム(LiNbO₃)などの電気光学結晶の結晶成長条件やドーピングが電気光学係数、誘電率、機械的強度に与える影響の評価、光導波路形成(Ti熱拡散やプロトン交換)後の基板表面の組成、結晶構造、屈折率分布の評価および導波路の光学特性との相関の解明、電極材料(例:Au, Cr)の選択、成膜方法(スパッタリング、蒸着)および後処理が電極の電気伝導性、接着性、熱膨張特性、長期安定性に与える影響の検討)
従来の光変調器は外部のDSP(デジタル信号処理装置)から高周波信号が入力されるため、信号伝送経路での損失が大きく、特に高周波インターフェースでの劣化が問題でした。
これに対して、電気光学変換素子とそれを駆動するドライバ回路を同一筐体内に収容する光変調器であり、筐体外部からの低周波入力用変調信号をより高周波の出力用変調信号に変換してドライバ回路に供給するマルチプレクサを筐体内に内蔵し、このマルチプレクサとドライバ回路は1つのフリップチップ基板(半導体実装基板)上に配置され、このフリップチップ基板も筐体内に収容され、入力用変調信号は筐体外に設けられたフレキシブル基板を介して入力されることにより、筐体外部からの信号は低周波となり伝送損失が抑制され、筐体内部ではマルチプレクサ以降の配線長が極限まで短縮されるため、高速信号の伝搬損失を低減する光変調器が開発されています(以下URL)。
光変調器→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7687421/15/ja
関連する専門分野の例:電子工学(マルチプレクサ、ドライバ回路および電気光学変換素子間の信号経路におけるフリップチップ接続やワイヤボンディングなどによる寄生インダクタンス・キャパシタンスの影響を考慮した伝送線路設計、各コンポーネント間のインピーダンス整合、信号反射およびクロストークを最小化するためのレイアウトの検討)、応用物理学(電気光学変換素子の基板材料における電気光学効果のメカニズムの解析および高効率で高速な変調が可能な材料選定や結晶構造の最適化、光導波路内における光のモード分布、伝搬損失、分散特性などの解析およびドライバ回路から印加される電界との相互作用が光信号に与える影響の評価、電気光学変換素子の光導波路構造(幅、深さ、形状)や電極配置が光の閉じ込め、伝送特性、変調効率に与える影響の予測および最適な設計パラメータの導出)
従来の光変調器は小型化に伴う光導波路の微細化で信号電極幅が狭くなり、配線基板との電気接続が困難でした。
これに対して、光波を2つに分岐する分岐導波路と、電界印加用の制御電極を有する光制御基板および変調信号を中継する配線を設けた配線基板を備えた光変調器であり、信号電極と配線基板の信号配線を電気的に接続する部分において信号電極を挟む分岐導波路の間隔が電界印加作用部分での間隔よりも広く設定されていることにより、接続部分における信号電極の幅を十分に確保し、微細な光導波路構造を持つ場合でも、配線基板との電気的接続を確実に実現し、また、変調信号の進行方向に対し、先に接地電極と接地配線を接続し、その後方で信号電極と信号配線を接続することで、電気信号の安定的な伝搬を可能にする光変調器が開発されています(以下URL)。
光変調器→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7619060/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(光導波路(分岐導波路)の微細構造内での光の挙動(モード解析、伝搬損失、分散)の解析、高速・低損失な光信号伝送を実現するための最適な導波路設計、変調効率を最大化するための材料特性の評価、光導波路と電極の界面における光と電気信号の結合効率の分析および不要な光吸収や反射を抑制するための表面状態や構造の最適化の検討)、電気電子工学(電極の幅、間隔、厚さおよび材料の電気的特性(導電率、誘電率)を考慮した特性インピーダンス整合と信号反射を最小限に抑える設計、信号電極と配線基板の接続部分における高周波特性の解析、最適なパッド形状やバンプ配置の設計、変調信号の進行方向に対する接地電極と信号電極の接続順序が信号の波形歪みやノイズに与える影響の評価、高速デジタル信号の完全性を確保するための回路設計とレイアウト最適化)
具体例としてセメント組成物が挙げられます。
従来のセメントでは、原料に含まれるマグネシウム酸化物(MgO)量が多いとモルタルの長期強度が低下するという問題がありました。
これに対して、特定の化学組成(MgO、Fe2O3、SO3、C4AFの量およびそれらの比率)を満たすポルトランドセメントに、0.001〜0.025質量%のアルカノールアミンが配合されることで、高MgO条件下でもモルタルの長期強度を向上させるセメント組成物が開発されています(以下URL)。
セメント組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7180742/15/ja
関連する専門分野の例:無機化学(セメントの主要構成鉱物であるケイ酸三カルシウム(C3S)、ケイ酸二カルシウム(C2S)、アルミン酸三カルシウム(C3A)、鉄アルミン酸四カルシウム(C4AF)の結晶構造や電子状態の解析およびこれらの鉱物が水と反応する水和反応の初期段階から長期にわたるメカニズムの解明、高MgO環境下でのC4AF相へのMgOやSO3の固溶状態およびアルカノールアミンがこれらの固溶挙動や水和生成物の結晶成長に与える影響の解明)、土木工学(セメント組成物を用いたコンクリート構造物の長期的な性能(強度、ひび割れ抑制、耐久性など)の検証、コンクリート内部のひび割れ進展、透水性変化、電気抵抗の変化といった劣化状況のモニタリングによる長期的な健全性の評価)
従来のセメント製造では、バイオマス燃料が水分を多く含むため燃焼しにくく、石炭などの代替燃料として利用しづらい、また燃料由来のCO2排出削減が困難という問題がありました。
これに対して、バイオマス燃料を間接加熱式の熱分解炉で熱分解し、得られた分解ガスを仮焼炉の燃料とし、仮焼炉から排出される高純度なCO2を熱交換器で冷却回収するとともに、その排熱(水蒸気)を熱分解炉の加熱源として再利用することで、CO2回収効率とシステム全体の熱利用効率を同時に高めたセメント燃焼炉が開発されています(以下URL)。
二酸化炭素を回収するセメント焼成炉→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7120426/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(メント製造プロセス全体の物質収支とエネルギー収支の解析、熱分解炉、仮焼炉、キルンおよび熱交換器を含む各ユニットの最適な運転条件の導出、バイオマス燃料の熱分解反応速度論や分解ガスの組成変化がセメント焼成プロセスにおける熱効率、CO2回収率および製品品質に与える影響の評価)、機械工学(高温下での熱分解炉および仮焼炉の伝熱管や炉壁材料の選定、炉内でのバイオマスやセメント原料の供給・排出機構の設計と最適化、熱交換器の伝熱面汚染(ファウリング)対策およびクリンカクーラーにおける熱回収効率を最大化するための空気流量制御システムの設計)
従来の下水道施設などで問題となるコンクリートの硫酸腐食に対し、ポルトランドセメント系は耐酸性が不十分で、アルミナセメント系は相転移による強度低下やひび割れが発生しやすいという問題がありました。
これに対して、ポルトランドセメント、スラグ、特定のポリマーセメント比(3~10質量%)とガラス転移温度(5℃以上)を持つセメント混和用ポリマー、フライアッシュの組み合わせによって、耐酸性を高めるとともに水酸化カルシウムの生成抑制と硫酸イオンの侵入抑制を実現し、ひび割れ発生時にポリマーフィルムが剥離してスラグの未反応面が水和反応を起こすことでひび割れを自己修復するセメント組成物が開発されています(以下URL)。
セメント組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7465451/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(セメント混和用ポリマーの分子構造とセメント水和物との相互作用の解析、ポリマーのガラス転移温度がセメント組成物の自己治癒性メカニズムに与える影響の解明、ポリマーのモノマー組成、分子量、架橋度などが、スラグ表面へのフィルム形成能、剥離特性および水和反応促進効果にどう影響するかの設計・評価)、材料科学(セメント組成物を用いたモルタルやコンクリートの微細構造と力学特性、耐久性との関係の評価、スラグのブレーン比表面積とポリマーフィルムの付着挙動、ひび割れ自己治癒時の水和生成物の形態や充填効果の解析および材料設計にフィードバック)
具体例として半導体製造プロセスにおける静電チャック部材(異物付着による異常放電を抑える高機能な半導体ウェハ固定具)が挙げられます。
従来の静電チャックでは、吸着用電極の拡大により側面への帯電した異物粒子の付着が増加し、プラズマの不安定化や歩留まり低下、静電チャックの絶縁破壊が問題でした。
これに対して、板状試料を載せる基体の側周面に、静電吸着用電極の外縁が重なるように環状突起部が配置され、この環状突起部の外周側に第1曲面、そして第1曲面とは異なる高さ位置に第2曲面といった凸曲面を設けられており、さらに、環状突起部の内周側には第3曲面という凸曲面が設けられ、これらの曲面の曲率半径を電極厚さ以上とし、かつ算術平均粗さを2μm以下にすることで、従来の角部で発生しやすかった電界集中を緩和し、帯電した異物粒子の特定箇所への集中付着を抑制し、単位表面積あたりの付着量を低下させて異常放電の発生を抑制する静電チャック部材が開発されています(以下URL)。
半導体製造プロセスにおける静電チャック部材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7529008/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(静電チャックの電極形状、電極の配置、誘電体の材料特性がチャック表面および側周面における電界分布に与える影響の評価、側周面の曲面加工が電界集中緩和に及ぼす効果の検証、最適な電極および絶縁層の設計)、機械工学(静電チャック部材のセラミックス材料の機械的特性の評価、精密研削・研磨による曲面加工時の応力集中や微細亀裂発生を抑制するための加工条件の最適化、半導体製造装置内のガスフローと異物粒子の輸送経路の解析、静電チャック側周面への異物粒子の衝突・付着メカニズムの解明)
従来の静電チャックでは、静電吸着電極の拡大に伴い側面に帯電した異物粒子が付着しやすく、プラズマの不安定化や異常放電による絶縁破壊が問題でした。
これに対して、板状試料を固定する載置面を有する基体の側周面に、静電吸着用電極の外縁よりも外側に突出する突出部が設けられた静電チャック部材であり、この突出部により電極によって発生する電気力線が突出部に引き寄せられ、側周面への異物粒子の付着が抑制、突出部の幅が電極厚さよりも大きいこと、突出部の比誘電率が周囲よりも高いことで、異物粒子の付着をさらに抑制し、異常放電による静電チャック部材の絶縁破壊を防ぎ、半導体製造プロセスの安定性と歩留まり向上に寄与する静電チャック部材が開発されています(以下URL)。
静電チャック部材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7248182/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(誘電体材料の平均一次粒子径が電気的特性(特に耐電圧性)に与える影響の評価および最適な粒子径範囲の特定、導電性材料と絶縁性材料の複合セラミックスにおける両者の含有比率が導電率や比誘電率、機械的強度に及ぼす影響の検証および最適な配合比の決定)、電気電子工学(静電チャック部材の突出部の有無や形状、比誘電率の違いが側周面における電界強度と電気力線分布に与える影響の評価、突出部が異物粒子付着抑制に与える効果の予測、静電チャック部材の高電圧印加時の表面電位分布測定やプラズマ環境下での放電挙動評価)
具体例としてリチウムイオン二次電池用正極材料が挙げられます。
既存のリチウムイオン二次電池では、正極材料の微細化による高容量化の試みがなされてきましたが、これにより材料の充填性が低下し、電池の体積エネルギー密度や充放電容量が減少するという問題がありました。
これに対して、リン酸鉄リチウム(LiFePO4)一次粒子が凝集した特定の密度を持つ凝集体の正極材料、具体的には、凝集体の体積密度が70体積%以上85体積%以下で、特定のタップ密度や比表面積であることで、電極中の活物質充填量を高めつつ電解液の浸透性を確保し、高い体積エネルギー密度と充放電容量を両立するリチウムイオン二次電池用正極材料が開発されています(以下URL)。
リチウムイオン二次電池用正極材料→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7010402/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(LiFePO4一次粒子の合成条件の検討および最適なプロセス条件の確立、LiFePO4の結晶構造、一次粒子および凝集体の形態、炭素被覆の状態の解析および電池性能に与える影響の評価)、電気化学(LiFePO4正極材料におけるリチウムイオンの脱挿入反応の速度論、拡散挙動および電極界面での電荷移動抵抗などの解析、凝集体の構造がリチウムイオンの移動に与える影響の解明、正極材料の諸特性(例: 凝集体の緻密性、炭素被覆の質)が電池の出力特性や寿命にどのように影響するかの分析、正極材料と電解液との間の界面における反応や安定性の評価および副反応の抑制や電解液の劣化メカニズムの解明)
(4)デンカ|開発トレンドと専門性

Ⅽ04Bが最も多いです。次いでⅭ08L、Ⅽ09K、Ⅽ08F、Ⅽ01B、H01Lが多いです。
具体例としてセメントを使用しない環境負荷の低い吹付け材料が挙げられます。
従来の吹付け材料は初期強度を確保するためにセメントを必須としていましたが、セメント製造時に大量の二酸化炭素(CO2)が排出されるという環境問題がありました。
これに対して、スラグと消石灰そしてカルシウムアルミネートの組み合わせ、特に、消石灰の含有量が5kg/m³以上であることで、スラグの水和反応を促進し、早期の凝結と強度発現を可能にしてトンネルや地下空洞の建設において環境負荷を低減しながら迅速かつ安全な支保を可能とする吹付け材料が開発されています(以下URL)。
セメントを使用しない環境負荷の低い吹付け材料→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7473604/15/ja
関連する専門分野の例:無機化学(各成分(スラグ、消石灰、カルシウムアルミネート、急結促進剤など)の配合比率や粒度分布、化学組成が凝結時間、初期強度、長期強度、付着強度、リバウンド率といった吹付け材料の物性にどのように影響するかの評価および最適な組成範囲の特定、副生消石灰の品質変動が製品性能に与える影響の評価)、土木工学(吹付け材料の圧送性、吹付け時のリバウンド率、粉じん発生量、ノズル詰まりの有無の評価、吹付け硬化体の長期的な強度変化、凍結融解抵抗性、中性化抵抗性、ひび割れ抵抗性、耐薬液性などの評価)
従来の電子機器の小型化・高性能化に伴い、発熱密度が増加し、効率的な放熱が喫緊の課題となっています。しかし、従来の放熱材料であるセラミックス粉末分散型シートでは熱伝導率に限界があり、さらに、シート状の焼結体自体を製造しようとすると、熱伝導率が低くなるなど問題がありました。
これに対して、窒化ホウ素焼結体の主面の少なくとも一方に網目模様の溝部が設けられ、反りが0.60mm以下、熱伝導率が30W/mK以上であることで、電子機器の放熱部材として有効な窒化ホウ素焼結体が開発されています(以下URL)。
窒化ホウ素焼結体→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7322323/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(窒化ホウ素粉末の製造方法、焼結助剤の種類や配合量、焼結条件(温度、時間、雰囲気)などを調整による組成や製造プロセスの検討、窒化ホウ素焼結体の微細構造(結晶粒径、気孔分布)、結晶配向、残留応力などの解析および測定された熱伝導率や反り量といった物性値との相関関係の解明)、電気電子工学(材料の熱伝導率、絶縁耐圧、誘電率などの電気的特性の測定、放熱経路の最適化、冷却機構との組み合わせ、異種材料との接合信頼性評価、材料の熱膨張率の違いによる応力発生やそれに伴うクラックや剥離の発生リスクを低減するための界面設計、絶縁劣化メカニズムの解明、材料特性を考慮した熱マネジメントシステム全体の設計)
具体例としてトンネル内セグメントや上下水道用U字溝などの管の接続部に漏水防止や止水の目的でテープ状やフィルム状などに用いられる水膨張性止水材が挙げられます。
従来の止水材は水を吸収すると膨張するものの、その際に形状が崩れやすいという相反する問題がありました。
これに対して、特定量の非共役ジエン単位を含むエチレン-α-オレフィン-非共役ジエン共重合ゴムを基材とし、これに吸水性樹脂や軟化剤が特定の割合で配合されることで、架橋剤や架橋促進剤をほとんど使用しなくても、水膨張性と形状保持性を両立できる水膨張性止水組成物が開発されています(以下URL)。
水膨張性止水材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7091538/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(エチレン-α-オレフィン-非共役ジエン共重合ゴムの非共役ジエン単位の含有量やα-オレフィン単位の含有量、ムーニー粘度といった分子設計パラメータが水膨張時の形状保持性や膨張率にどのように影響するかの解明、吸水性樹脂の種類やその架橋構造が高分子マトリクス中での水吸収挙動や膨張時の形状保持性に与える影響の評価)、材料工学(エチレン-α-オレフィン-非共役ジエン共重合ゴム、吸水性樹脂、軟化剤、必要に応じて充填材などの各成分の最適な配合比率の決定、混練条件や成形条件が最終的な止水組成物の均一性、成形加工性および水膨張性・形状保持性に与える影響の評価)
従来のゴム成分を含む耐火材は保管中に自身の重みで変形するコールドフローという問題がありました。
これに対して、ゴム成分に加えて、特定の含有量で熱膨張性黒鉛と無機充填材が配合され、さらに特定のメルトマスフローレイト(MFR)を持つ熱可塑性樹脂が1〜50質量部含有することで、耐火性能を損なわずにコールドフローによる変形を抑制する耐火材が開発されています(以下URL)。
耐火材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6960028/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(異なるMFRを持つ熱可塑性樹脂を合成または選定およびそれらの分子量、分子量分布、結晶性、分岐構造などの分析、構造的特徴と複合材の粘弾性特性(クリープ挙動、応力緩和)との相関をの評価およびコールドフロー抑制メカニズムの解明、ゴム成分と熱可塑性樹脂およびその他の充填材が混合された際の相溶性や分散状態の評価)、材料工学(ゴム成分、熱膨張性黒鉛、無機充填材、熱可塑性樹脂の最適な配合比率とこれらを均一に混合するための混練条件(温度、時間、装置の種類)の決定、シート状やブロック状の耐火材を効率的かつ安定的に製造するための成形プロセスの最適化)
具体例として放熱グリースが挙げられます。
電動車両や電子機器の高性能化・小型化に伴い、発熱量が増大し、その効率的な放熱が課題であり、従来の放熱グリースには、熱伝導率を高めるために窒化ホウ素粒子を多量に配合すると粘度が高くなり、塗布性が悪化するという問題がありました。
これに対して、窒化ホウ素粒子と、アニオン性基およびカチオン性基を有する特定の界面活性剤の配合、25℃の測定及び1s-1のせん断速度で測定したときの粘度が3000Pa・s以下であることにより、比重を低く保ちながら優れた塗布性と放熱性能を発揮する放熱グリースが開発されています(以下URL)。
放熱グリース→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7262699/15/ja
関連する専門分野の例:界面化学(窒化ホウ素粒子の表面電荷特性、表面エネルギー、官能基などの分析、アニオン性基およびカチオン性基を有する両性界面活性剤が窒化ホウ素粒子の表面にどのように吸着して電気二重層の形成や立体障害反発に寄与するかの評価、界面活性剤のアニオン性基、カチオン性基の種類や配置および親油性鎖の長さや構造が放熱グリース全体の粘度、チクソトロピー性、貯蔵安定性にどのように影響するかの評価)、化学工学(窒化ホウ素粒子、液状ポリマー、界面活性剤などの原料を均一に混合・分散させるための混練条件(混練機(遊星攪拌機、ニーダーなど)の種類、回転速度、時間、温度、圧力)の最適化、混練中のトルク変化や電力消費量などのプロセスパラメータと最終製品の粘度、熱伝導率および凝集粒子の有無といった品質特性との相関の分析)
従来の地盤改良工法では、高圧噴射されたセメント系スラリーと地盤が混合する際に混合物の粘性が高まり排出が困難になること、また、粘性低減剤を用いると地盤の硬化強度が低下する問題がありました。
これに対して、セメントなどにポリアクリル酸類とアルカリ金属炭酸塩からなる粘性低減剤が配合され、スラリー中の塩素量が40~2000ppm、pHが10~13、酸化還元電位が-0.4~0.1Vであることで、高温環境下でもスライムの排出が容易になり、かつ地盤を十分に硬化させる高い強度を発現できる地盤改良材料スラリーが開発されています(以下URL)。
地盤改良材料スラリー→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7510834/15/ja
関連する専門分野の例:土木工学(軟弱地盤の土質や地下水条件といった現場データに基づく地盤改良材料スラリーの最適な配合(セメント量、高炉スラグ微粉末量、粘性低減剤の種類と量など)の決定、スラリーが注入され硬化した地盤改良体の強度(一軸圧縮強度など)、変形特性、透水性といった力学特性の評価)、化学工学(地盤改良材料スラリーの各成分がスラリーの粘度、凝結時間、pH、酸化還元電位に及ぼす影響の解析、高温環境下でも安定した流動性と長期的な貯蔵安定性を持つスラリーの製造プロセスの設計、地盤改良材料スラリーと粘性土が混合して生成されるスライムの排出時の粘度やその後の固化特性および最終的な強度発現メカニズムの解明)
具体例としてアレルギーリスクの低い高強度ゴム材料(ジエン系ブロック共重合体)が挙げられます。
従来、手術用手袋などに用いられるゴム材料はアレルギーの原因となるラテックス蛋白や加硫促進剤の使用が不可欠であり、アレルギーや加硫促進剤による製品の物性劣化が問題でした。
これに対して、ガラス転移温度が80℃以上の高硬度ポリマーブロック(A)5~30質量%と、ジエン系単量体と多官能性単量体を含む柔軟なジエン系ポリマーブロック(B)70~95質量%の組み合わせと、JIS K 6251に準拠して測定した切断時引張強さが14MPa以上であることで、アレルギーの原因物質である加硫剤や加硫促進剤を低減または使用せずに高引張強度と柔軟性、耐熱老化性を両立するジエン系ブロック共重合体が開発されています(以下URL)。
ジエン系ブロック共重合体→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7665370/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(RAFT剤の種類(ブチルベンジルトリチオカルボナートなど)、開始剤(VA-044など)、温度、反応時間および単量体の添加順序や速度の評価、ブロック共重合体の組成、ブロック比率および分子量を制御する合成条件の確立、合成されたブロック共重合体中のハードセグメント(Aブロック)とソフトセグメント(Bブロック)が形成するミクロ相分離構造(例えば、球状、円筒状、ラメラ構造)の解析)、有機化学(特定の化学構造や官能基を持つ新規な単量体や多官能性単量体の設計・合成、さまざまな置換基や官能基を導入したRAFT剤の合成およびそれらの重合制御能の評価)
具体例として二酸化ケイ素粉末が挙げられます。
従来の半導体封止材に用いられる二酸化ケイ素粉末は製造過程で含まれる微量のウランがα線を放出し、半導体メモリーエラーを引き起こす問題がありました。
これに対して、ウラン含有率が0.8質量ppb以下、球形度が0.80以上、特定の粒度分布(d10が0.1〜0.5μm、d50が0.3〜12.0μm、d90が1.5〜22.0μm)を満たすことで、半導体封止材への高充填性と良好な流動性を両立し、また、シリカ粉末原料が溶融・球状化した後にハロゲン(特に塩素)雰囲気下での加熱処理によって不純物(ウラン、鉄、チタンなど)が塩化物として揮発除去する工程の繰り返しにより半導体デバイスの信頼性を向上させることできる二酸化ケイ素粉末が開発されています(以下URL)。
二酸化ケイ素粉末→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7656692/15/ja
関連する専門分野の例:無機化学(シリカ粉末の結晶構造や非晶質構造と不純物元素の取り込みメカニズムの分析、塩素処理における不純物とハロゲンとの反応生成物(塩化物)の同定やその揮発特性の評価、最適な反応温度、圧力、ハロゲン濃度および処理時間の決定および不純物除去効率の最大化)、機械工学(ウラン含有率の低い二酸化ケイ素粉末を効率的かつ安定して製造するための高温耐性材料の選定、熱効率の最大化、粉末の飛散やコンタミネーションを防ぐためのガス流路や排気システムの設計、製造プロセス全体の自動化を推進するための粉末の供給量、炉内温度、圧力、ガス流量などを精密に制御できるシステムの構築)
具体例としてアルミニウムを含む平板状の金属-炭化珪素質複合体を備えた放熱部材が挙げられます。
従来の金属-炭化ケイ素複合放熱部材は軽量・高熱伝導性を持つものの、ネジ穴の加工性や締め付け容易性に課題がありました。特に、複合材中にネジ穴を形成する際に空隙(鬆)が発生しやすく、ネジ山が潰れることが問題でした。
これに対して、アルミニウムを含む平板状の金属-炭化ケイ素複合体中に、板厚方向を貫通する貫通孔が設けられ、この貫通孔の端部に外側に向かって内径が広がるテーパー部が形成され、このテーパー部により金属含浸工程において溶融アルミニウムがネジ穴形成予定部分に十分に充填され、空隙の発生が抑制され、貫通孔内部に形成されたアルミニウムを含む金属部にネジ穴が設けられ、その内部表面にめっき層が形成されることで、ネジ締め付けの容易性とネジ山の耐久性を向上させた放熱部材が開発されています(以下URL)。
放熱部材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7689194/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(炭化ケイ素質多孔体の粒子径分布、相対密度、結合材の種類などが含浸されるアルミニウム合金との濡れ性および最終的な複合体の熱膨張係数や熱伝導率に与える影響の評価、テーパー部の有無や角度が金属部へのアルミニウムの充填状態(特に鬆の発生抑制)に及ぼす影響の検証、ネジ穴内部に形成されるめっき層の種類(Ni、Au、Agなど)や厚みがネジ山の硬度、耐摩耗性、締め付けトルク特性に与える影響の評価および最適なめっき条件と層構成の決定)、機械工学(放熱部材の形状、特にテーパー部の角度やネジ穴の寸法がネジ締め付け時の応力分布やネジ山の耐久性に与える影響の評価、炭化ケイ素質多孔体への貫通孔やテーパー部形成におけるドリル加工、研削加工、レーザー加工といったさまざまな加工方法の適合性評価、溶融アルミニウムの含浸プロセスにおいてプレス圧力、温度、冷却速度などのプロセス条件が複合材の内部応力、熱伝導特性および機械的強度に与える影響の解析)
(5)まとめ
セメントやセメントに関連する出願、セメント代替物、他事業の製品に関する出願が確認されました。
これらに関連する開発が日々おこなわれていることが推測されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)太平洋セメント

共同出願の例として太陽電池、タッチパネルなどの透明電極に用いられるZnO焼結体の製造方法が挙げられます。
従来の硼素添加ZnО焼結体は緻密化が困難で、スパッタリング後の膜抵抗ばらつきが大きいという問題がありました。
これに対し、まずZnО粉末とB2O3粉末を混合・焼成・粉砕し、Zn4B6O13粉末を特定の粒径(0.2~0.5 µm)で得て、次に、このZn4B6O13粉末と主原料であるZnО粉末(0.5~1 µm)をZn4B6O13粉末の平均粒径がZnО粉末の1/2以下となるように混合し、成形・焼成する二段階の粉末調製と粒径制御により、硼素(B)がZnО中に均一かつ高割合で固溶し、結晶粒径のばらつきが小さい均質なZnО焼結体を得るZnО焼結体の製造方法が開発されています(以下URL)。
ZnO焼結体の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5602820/15/ja
(2)UBE

共同出願の例として高流動性コンクリートの経時的な流動性変化の評価方法が挙げられます。
従来の高流動性コンクリートは練り混ぜ後すぐにこわばりが生じやすく、経時的な流動性変化を正確に評価する方法が確立されていませんでした。
これに対し、低熱ポルトランドセメント組成物を含む高流動性コンクリートを対象とし、特定の練り混ぜ(ミキサ内で5分間静置後15秒練り混ぜ)後のスランプフローDと、練り混ぜてから60分経過後のスランプフローEをJIS A 1150に基づき測定し、これらの測定値から算出される差D-Eが10cm未満であるかを評価基準とすることで、高流動性コンクリートの経時的な流動性の変化を正確に評価できる方法が開発されています(以下URL)。
高流動性コンクリートの経時的な流動性変化の評価方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5686388/15/ja
(3)住友大阪セメント

件数が少ないので詳細は省略します。
(4)デンカ

共同出願の例として粘性検体に対応した糖鎖抗原抽出・測定用イムノクロマト試験キットが挙げられます。
従来のイムノクロマト法では、粘性検体使用時に展開不良や展開遅延、非特異反応が生じる問題がありました。
これに対し、亜硝酸塩溶液または酸性溶液と混合した検体を添加するサンプルパッド、標識体領域、検出領域に加え、標識体領域の上流に中和試薬含浸領域が配置され、さらにその上流に検体に応じて固形状酸性試薬または亜硝酸塩を含浸させた領域が配置されることで、粘性検体使用時の展開速度を改善し、非特異反応を抑制するイムノクロマト試験キットが開発されています(以下URL)。
糖鎖抗原抽出・測定用イムノクロマト試験キット→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7313830/15/ja
(5)上記(1)~(4)(共同出願人)のまとめ
共同出願は多くないです。
また、吸収合併や出願人名義変更がなされたものが確認されます。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・材料、化学系分野(材料工学、応用化学、化学工学、材料化学、環境化学、電気化学、高分子化学、無機化学など)
製品材料などが製品特性に与える影響の評価、配合の選定、製造プロセスや処理プロセスの検討などが求められます。
・土木系分野(土木工学など)
舗装体の強度や耐久性などの評価、材料の配合設計などが求められます。
・機械系分野(機械工学など)
所定物の混合の流動性などの解析、装置の運転条件などが目的物の特性に与える影響の評価、所望の処理をおこなうための装置の構造設計などが求められます。
・電気系分野(電気工学、電気電子工学など)
電気的特性を測定するための装置設計や測定値に基づき所望のデータを出力するためのアルゴリズム設計などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
セメントやセメント代替物といった物質に関する出願、焼成炉や塩素バイパス設備といった設備に関する出願が確認されました。これらはセメント関連の開発に関わる出願です。
また、二次電池の電極や電子機器の放熱部材、半導体の封止材などセメントと無関係な出願が確認されました。このような出願は兼業メーカーに限らず、専業メーカーにおいても見られました。
これらを大学の専攻と関連づけるとしたら、主に材料、化学、土木、機械、電気に関わる研究が該当する可能性があります。ただし、その境界はあいまいですし、専門性に関わる単なる名称にまどわされないでください。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
・特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
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