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【特許分析】建設業界の開発職ニーズ(3):土木、機械、情報、建築、化学、材料系の専攻を中心にマリコン3社の出願動向から読み解く

 今回は、建設業界の中の海洋土木(マリコン)の分野について取りあげます。

 これまで紹介した建設と開発内容や求められる専門性は違うのでしょうか?

 過去記事:建設業界(1)建設業界(2)

 

 これを特許情報からみていきます。

 特許情報は企業の開発情報だと言えます。

 実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。

 今回は、海洋土木(マリコン)の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。

 

 結論(概要)は以下の通りです。

建設業界(マリコン)の開発に求められる専門性
土木分野(土木工学、地盤工学、土質力学など)
機械系分野(流体工学、機械工学、生産工学、機械力学など)
情報系分野(情報工学、システム工学、制御工学など)
建築系分野(建築構造学、建設工学など)
化学系分野(化学工学など)
材料系分野(材料科学など)
 ただし、上記専門は企業の一部の特許情報に基づくものであり、全てをあらわすものではありません。また、求められる専門は特許の解釈によって変わってきますので、個々の特許情報をご確認ください。

 

 

1 業界サーチの概要

 特許情報は企業の開発情報だと言えます。

 業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。

 特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。

 すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。

 

2 建設業界

2.1 建設業界とは

 ここでは、海洋・港湾・海岸などの施工を専門とする建設会社(マリン・コンストラクター)が属する業界を意図します。

 

2.2 サーチ対象

 以下のマリコン3社を対象にしました。

(1)五洋建設
(2)東亜建設工業
(3)東洋建設

 

 

2.3 使用プラットフォーム

 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat

 

3 サーチ結果

3.1 結果概要

開発イメージは下表のとおりです。 

 

 

モノの開発

サービスの開発

個人向け

 

 

法人向け

港湾工事等においてクレーン船から石材等の対象物を投入する際の堆積状況をリアルタイムで可視化する管理装置
護岸等のコンクリート構造物下部に設置された大型の支保工を撤去・移設するための天秤型支持装置
倉庫や商業施設などの梁間の距離が広く積載荷重の大きな建造物に用いられる鉄筋コンクリート柱と仕口部鉄骨梁との接合構造
シールドトンネルを建設する際に使用されるサンプル採取装置付き土圧式シールド掘削機
浚渫装備の重厚化を回避しつつ水底に滑らかな法面を形成する浚渫制御システム
二酸化炭素固定化機能を備えたセメント改良杭造成装置
軟弱地盤に打設されるドレーン材に取り付けられるアンカー材
大水深下での高水圧に耐え得る低針入度アスファルトを用いた自己充填型遮水材
ポンプ浚渫船の浚渫施工管理システム
など

港湾や橋梁の基礎となる鋼管矢板の接合方法
海洋構造物等の杭基礎周辺において大量の石材等を用いずに洗掘(砂の流出)を防止する施工工法
巨大な壁状コンクリートにおいて外部拘束による温度ひび割れを自己緩和的に防止する工法
粘性土と鉄鋼スラグとを落下により混合する落下混合方法
バイブロハンマを使用して地盤に打設している杭の下端部が貫入している地層の硬さを把握できる杭打設施工管理方法
陸上や水中などの様々な対象地盤の強度を推定することができる地盤強度の推定方法
バイブロハンマを使用して地盤に打設している杭が支持層に到達したか否かを把握する杭打設施工管理方法
・施工現場での構造物に対する型枠の構築作業に要する労力を低減する型枠の構築方法
施工実績に基づくリアルタイム・フィードバック型基盤層深度予測方法
など

 個人向けか法人向けかについては、明細書だけでは読み取れない場合もあり、上記の区分けは曖昧なものが多々あります。

 

 

3.2 出願件数の推移

 下図はマリコン3社の特許出願件数の推移です。

 

 出願人や出願年によって出願数が大きく異なります。

 ただ、いずれの企業も毎年、一定数以上の特許出願をおこなっており、そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。

 

3.3 開発の活発度

 特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、

 五洋建設>東亜建設工業>東洋建設

だと言えます。

 

3.4 主な開発分野

 各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。

 各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。

 各記号は発明の技術分類をあらわします。

 

 分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)

  

 B09B特定の固体廃棄物の処理に関連する分類です。
 固体廃棄物の破壊などがこれに該当します。
 東洋建設がこの分野から多く出願しています。

 

 E02Bは水工に関連する分類です。
 ダムなどがこれに該当します。
 全3社がこの分野から多く出願しています。
 
 E02D基礎などに関連する分類です。
 矢板壁などがこれに該当します。
 全3社がこの分野から多く出願しています。

 

 E02F掘削などに関連する分類です。
 掘削機などがこれに該当します。
 東亜建設工業がこの分野から多く出願しています。
 
 E21Dはトンネルなどに関連する分類です。
 立て杭掘り下げなどがこれに該当します。
 五洋建設がこの分野から多く出願しています。

 

 

3.5 マリコン3社の近年の開発トレンドと求められる専門の例

 特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。

 ここ10年のトレンドは以下のとおりです。

 発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。

 出願件数が少ない技術分野は除外しています。

 発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。

 関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。

 

 個別の情報を詳しく確認したい場合は、それぞれのリンク先に飛んでください。

 特許は難解ですが、GeminiChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。

参考記事 【AI活用】難解な特許が小学生レベルの内容に!1分で特許を読み解く方法

 

(1)五洋建設|開発トレンドと専門性

 

 上図期間中、E02Dが最も多いです。次いでE02B、E04G、E02F、E04B、E21Dが多いです。

 E02Dは既述のとおり基礎などに関連する分類です。
 具体例として港湾や橋梁の基礎となる鋼管矢板の接合方法が挙げられます。
 従来、施工精度により継手の隙間(隔室)が狭まると洗浄器具が物理的に挿入できず、接合強度が不足する問題がありました。
 これに対し、まず鋼管矢板の継手壁面に表裏で開口径が異なるテーパ状の連通口を交互に配置した継手用鋼管を用いてこれらを互いに係合させて3つの隔室を形成し、次に、継手の偏りに応じて洗浄ロッドを挿入する隔室を中央または両端のいずれかから選択し、洗浄工程では選択した室へロッドから高圧水を噴射し、その水圧をテーパ孔状の連通口を介して隣接する未挿入の隔室へも波及させることで全室の土砂を同時に切削し、続く排土工程では気泡の上昇力や負圧を利用し、連通口を通じて隣接室の土砂を選択した室内へと吸い出し、一括して地上へ排出し、最終段階として選択した室に充填材を注入し、連通口を介して全室へ一斉に充填・硬化させることで、どのような係合状態でも全隔室を一体化させ、強固な接合を完了させる鋼管矢板の接合方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7389932/15/ja

  関連する専門分野の例:土木工学(継手部の力学的挙動の解明、実現場における施工プロセスの最適化、三つの隔室が連通口を介して一体化した際の継手全体の鉛直せん断耐力および剛性の解析、現場での鋼管矢板の建込み精度の統計データに基づき洗浄ロッドを挿入すべき選択基準のガイドラインの策定、連通口がずれ止め(ジベル)として機能する際の鋼材と充填材の付着特性の定量化)、流体工学(連通口における高圧水や充填材の流体挙動の解析、確実な洗浄・充填を実現する形状設計、高圧噴射された洗浄水が交互に配置されたテーパ孔を通過する際の流速分布や圧力損失の解析、隣接する隔室の土砂を十分に巻き込み上昇流に乗せて排土するために必要なポンプ圧力や空気混入量の最適値の算出、高粘度の充填材(モルタル)が重力と圧力によって全室に気泡なく充填されるための連通口の適切な開口面積および配置間隔のを設計)

 

 別の例として港湾工事等においてクレーン船から石材等の対象物を投入する際の堆積状況をリアルタイムで可視化する管理装置(投入物対象管理装置)が挙げられます。
 従来、旋回中のバケットは慣性でブーム直下からズレるため、静止時を前提とした従来の測位では投入位置に誤差が生じ、堆積量を精度よく把握できない問題がありました。
 これに対して、まずLiDAR(レーザー光を用いた3次元スキャンセンサー)等を用いて船倉からバケットへ移された対象物の総搬出量を算出し、次に、移動中のバケット位置を特定するためブーム先端のGNSS測位値に加え先端カメラの画像解析によってブーム直下点と実際のバケット中心との偏位距離を算出し、時系列の3次元座標を特定し、投入量特定部ではカメラが捉えたバケットの面積や形状の変化から開度を画像認識し、開度速度と総搬出量に基づいた落下カーブから各瞬間の投入量を導き出し、さらに水底位置算出部において、バケットの移動速度による慣性と水中での潮流・沈下シミュレーションを統合して対象物の着底位置を算出するこの一連の動的な追跡プロセスにより、クレーンを止めずに連続投入した場合でも水底における正確な分布状態と累積堆積高を把握することが可能になる投入物対象管理装置が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7759294/15/ja

  関連する専門分野の例:情報工学(動的な環境下における非定型オブジェクト(バケットおよび対象物)の高精度なトラッキング技術と状態認識アルゴリズムの構築、ブーム先端カメラから得られる魚眼に近い動画像に対する歪み補正、深層学習(CNN等)を用いたセマンティックセグメンテーションによるバケットの輪郭を抽出して開度を0〜100%の連続値として推定するモデルの設計、GNSSの測位周期とカメラのフレームレートの時刻同期アルゴリズムおよび位置特定部における座標変換の精度を数センチメートル単位まで高める処理システムの実装)、流体工学(対象物の空中・水中における運動力学モデルの構築、環境条件を反映した沈下挙動の定量化、石材等の対象物がバケットから放出される際の初速度(慣性成分)を考慮した放物運動計算モデルの構築、着水後における対象物の粒径・形状係数・密度に基づく水深と潮流が沈下軌跡に与える影響の解析、多種多様な石材が「いつ、どこに、どのような厚みで」着底するかを予測する推論エンジンのアルゴリズム設計)

 

 さらに別の例として海洋構造物等の杭基礎周辺において大量の石材等を用いずに洗掘(砂の流出)を防止する施工工法(杭基礎の洗掘防止工法)が挙げられます。
 従来、大水深では捨石やブロックの設置負荷が大きく、杭径拡大に伴う材料費の増大や底質の吸い出しが問題となっていました。
 これに対して、まず水底の杭を包囲するように杭の外径よりも大きい内径を持つ可撓性シート製の円筒状体を設置し、この円筒状体を自重または錘によって水中沈降させ、着底前後に上端部に設けられたリング状部材をROV(水中施工機械)等で水平に牽引することで巾着状に縮径し、全周にわたって杭の外周面に密着させ、同時に、円筒状体の下端側を外方へ拡張させ、水底面においてシート材を杭の周囲へ放射状に敷設するこの一連のプロセスにより、外洋や深海においても大量の石材を運搬・投入することなく、短工期かつ低コストで洗掘防止層を形成する杭基礎の洗掘防止工法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7719742/15/ja

  関連する専門分野の例:土木工学(波浪・潮流下における底質の流動限界および洗掘メカニズムの解析、シート材の敷設範囲(遮蔽領域)が杭周辺の流場に与える影響の評価、現地の波浪条件や底質サンプリングに基づき洗掘が発生する限界掃流力の算出、シートを設置することで杭背後に発生する馬蹄形渦がどのように抑制されるかを数値波動水槽でシミュレーション、洗掘防止に必要な最短のシート敷設径(内径Dの選定根拠)を設計基準として策定)、機械工学(水中施工機械(ROV)による高張力ワイヤーの精密牽引・縮径機構の設計、水中排水ポンプの噴射反力を利用した大口径シートの自動拡径制御系の設計、円筒状体の上端を確実に縮径するため水中施工機械のマニュピレータが把持しやすい引張部の形状設計、不均等な牽引を防ぐための計算、潮流がある中でもシートを目標の直径まで確実に拡径させるためのポンプ配置と出力制御ロジックの実装)

 

 E02Bは既述のとおり水工に関連する分類です。
 具体例として護岸等のコンクリート構造物下部に設置された大型の支保工(コンクリートを打設する際の仮設足場や型枠支柱)を撤去・移設するための天秤型支持装置が挙げられます。
 従来、スラブ完成後は上方から吊り上げられず、手作業で解体・落下させて回収するため多大な労力と危険を伴っていました。
 これに対して、クレーンで吊り下げられる上部フレームと支保工を載せるための下部フレームを天秤連結材で結んだ側面視C字型の天秤構造を成す支持装置であり、上部フレームに装備された伸縮可能な複数の仮支持手段(支持脚)を特徴とし、撤去の際は下部フレームを構造物下の支保工底面に挿入し、同時に上部フレームを構造物上面に跨がせ、この状態で支持脚を伸長させて構造物上面に当接・固定することでクレーンの吊り力だけに頼らず構造物そのものを反力受けとして装置を安定させ、この状態で支保工の固定を解除して荷重を下部フレームに預けることで、片持ち構造特有の大きな回転モーメントや切り離し時の衝撃を抑制しつつ支保工を組み立てた状態のまま安全に水平引き出し・転用することを可能となる天秤型支持装置が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7165242/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(片持ち天秤構造における偏心荷重とモーメントの安定解析、支保工切り離し時の動的衝撃荷重を考慮した部材剛性設計、支保工の自重(数トン〜数十トン)が下部フレームに載った瞬間に発生する天秤連結部への極大モーメントの計算、上部フレームの支持脚が構造物から受ける反力とクレーンの吊り点位置の最適バランスを算出するシミュレーションモデルの構築、フレームの破断や過度な変形を防ぐための安全率を設定した部材選定)、システム工学(不均等荷重下における上部・下部フレームの水平度監視システムの構築、油圧または機械式ジャッキを用いた支持脚の自動同期伸縮制御の設計、支持脚の先端にロードセル(荷重計)を配置して支保工を切り離す際に構造物へ加わる反力の変化の計測、反力が急激に変動した際に自動で支持脚の長さを微調整して装置の水平を維持するアクティブ制御ロジックの設計、潜水士の安全を確保するための遠隔操作で支持脚の伸縮やロック解除を確実に行えるインターフェースの設計)

 

 E04Gは足場などに関連する分類です。
 具体例として巨大な壁状コンクリートにおいて外部拘束による温度ひび割れを自己緩和的に防止する工法(外部拘束型温度ひび割れ防止方法)が挙げられます。
 従来、低発熱セメントや冷却配管はコストが嵩み、硬化遅延剤のみの使用は全体の硬化を遅らせ工期を延長させていました。
 これに対して、既設構造物や岩盤(拘束体)上に壁状構造物を構築する際、部材を下部と上部に区分し、打設前に下部には硬化遅延剤を、上部には硬化促進剤を添加することで上部コンクリートのヤング係数を早期に増大させ、下部のヤング係数が低い(柔らかい)段階で上部を硬化・収縮させ、ヤング係数の相対的な差異(時間差)を利用し、下部コンクリートの熱膨張を硬化した上部で抑え込むことで下部にあらかじめ圧縮応力を導入し、後の冷却収縮時に発生する引張応力を相殺して温度応力を低減することにより、従来の複雑な冷却設備等を要さず、工期を短縮しながら確実なひび割れ防止効果が得る外部拘束型温度ひび割れ防止方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7674996/15/ja

  関連する専門分野の例:土木工学(硬化過程におけるコンクリートの非線形なヤング係数発現モデルの構築、水和熱に起因する非定常熱伝導解析と熱応力の時系列評価、ヤング係数の上限点に到達するまでの時間差が温度応力の低減に与える影響の解析、打設後の水和発熱による膨張圧と上部コンクリートの拘束剛性がバランスして下部に最適なプレストレス(圧縮応力)が導入されるための構造断面ごとの力学的条件の算定)、材料科学(セメントの水和反応速度論に基づく硬化調整剤の最適添加量の策定、環境温度(外気温・湿度)が化学混和剤の効果に与える感度分析、使用するセメントの種類に応じた硬化遅延剤と促進剤の相互作用の解析、硝酸化合物を含まない促進剤の選定、化学組成が鉄筋の腐食や長期の緻密性に及ぼす影響の検証)

 

 E02Fは既述のとおり掘削などに関連する分類です。
 具体例として粘性土と鉄鋼スラグとを落下により混合する落下混合方法が挙げられます。
 従来、粘性土の上にスラグを載せると落下時にスラグが飛び出し分離するため、混合に3回以上の落下が必要でした。
 これに対して、第1のベルトコンベアの上流側でまず鉄鋼スラグを供給し、その下流側で粘性土を供給することでコンクリート上のスラグを粘性土が完全に覆い隠す層構成を形成し、この状態でコンベア端部から材料を落下させると粘性土の粘着力と自重によって下層のスラグが空間的に拘束され、材料同士が分離・飛散することなく一体となって衝突点へ到達し、さらに、この1回目の落下で粗混合された材料を第2のベルトコンベアへ供給し、再度落下させる2段落下プロセスにより、従来3回以上必要とされていた落下工程を2回に削減し、スラグへの水分浸透を促進し、最終的な混合材料の発現強度の向上と品質のバラツキ抑制を同時に達成する落下混合方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7185484/15/ja

  関連する専門分野の例:化学工学(異種物性粒子の衝突・流動・混合メカニズムの速度論的解析、粘性流体による固体粒子の包摂・拘束メカニズムの界面力学的検討、粘性土の含水比(流動性)とスラグの粒径分布が落下衝突時の運動エネルギーの交換効率に与える影響の評価、スラグが粘性土を突き抜けて分離しないための最小被覆厚さの算定、材料が第2コンベアに衝突する際の衝撃力を利用したせん断混合モデルの構築、強度のバラツキを最小化する設備レイアウトの設計)、地盤工学(混合土の化学的安定化反応による強度発現特性の評価、含水比および密度が改質土の一軸圧縮強さと変形係数に与える影響の検討、落下回数の低減が長期的な強度発現に及ぼす影響の検証、高含水比の浚渫土を用いた際の鉄鋼スラグへの水分吸収によるコンベア上の逆流防止効果の立証、施工可能な土質範囲を拡張するための管理基準をの策定)

 

 E04Bは建築構造一般などに関連する分類です。
 具体例として倉庫や商業施設などの梁間の距離が広く積載荷重の大きな建造物に用いられる鉄筋コンクリート柱と仕口部鉄骨梁との接合構造が挙げられます。
 従来、柱と梁の接合公差は数mmしかなく、重量物の仕口部材を目視と手作業で精密に設置するには多大な時間を要していました。
 これに対して、鉄筋コンクリート造の柱を構成するコンクリート柱体とその上に配置される直交した仕口用鉄骨材からなる接合構造であり、柱体上面の対角方向には基板とそれから直立する複数のガイド用凸部を備えた一対のガイド部材が固定されており、この凸部は互いに直交する方向を向いたガイド面を有しており、クレーン等で載置される仕口用鉄骨材の側面がこれらの面に物理的に接触・誘導される構成となっているため、仕口部材は柱体上面の所定位置にXY両方向の移動が規制された状態で保持され、また、このガイド部材は後の工程で打設される仕口コンクリート内に埋設される一体不可分な構成要素となるこの構造により、外部の位置決め治具を不要とし、重量物の高精度な自動誘導と設置後の撤去・補修作業の省略を実現し、施工効率と構造的安定性を向上させる接合構造が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7773912/15/ja

  関連する専門分野の例:建築構造学(異種構造接合部における応力伝達経路のモデル化と剛性評価、埋設型ガイド部材がパネルゾーンのコンクリート拘束力に与える影響の解析、ガイド部材がコンクリート内部に残留することによるせん断耐力の変化の解析、地震荷重下でガイド部材の基板や凸部がコンクリートのひび割れ進展にどう影響するかの検証、接合部全体の靭性(粘り強さ)を損なわないためのガイド部材の最適形状と配置寸法の決定)、生産工学(クレーン揚重サイクルと部材据付時間の短縮プロセスの最適化、コンクリート上面への墨出し精度とアンカー固定の施工誤差解析、コンクリート柱体の硬化後に上面に施す墨出し(位置表示)の精度を±1mm以内に維持するための測量プロセスの確立、仕口部材を降下させる際の吊りワイヤの揺動特性の分析、ガイド凸部が衝突エネルギーに耐えうる板厚や溶接強の設計、ガイド部材の設置から仕口コンクリート打設までのクリティカルパスの分析)

 

 E21Dは既述のとおり掘削などに関連する分類です。
 具体例としてシールドトンネルを建設する際に使用されるサンプル採取装置付き土圧式シールド掘削機が挙げられます。
 従来、排土装置後のサンプル採取では性状変化や採取位置の特定が困難で、スクリュー式は装置の大型化が問題となっていました。
 これに対して、カッタヘッドと隔壁間のチャンバ内に充填された掘削土を採取するための装置を備えた土圧式シールド掘削機であり、隔壁を貫通する貫通孔とこれに直結された止水弁および止水弁へ着脱自在に連結されるサンプル採取管を主要な要素とし、さらに、採取管内を負圧(真空圧)状態に操作する圧力調節手段と採取後に管内を大気開放するための圧抜き弁を備え、動作時は止水弁を開放した状態で圧力調節手段により管内を負圧にすることでチャンバ内の掘削土を管内へ強力に引き込み、その後、止水弁を閉じて圧抜き弁で減圧することで安全に管を分離しサンプルを回収できるこの構造により、カッタヘッドや攪拌機との物理的干渉を排除しつつ掘削中であっても任意のタイミングでチャンバ内の鮮度の高い掘削土を採取でき、地盤改質(添加材注入)の最適化を可能にするシールド掘削機が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7719681/15/ja

  関連する専門分野の例:流体工学(高粘度かつ不均質な混相流体(掘削土)における圧力損失と吸引挙動のモデル化、負圧環境下での掘削土のせん断流動特性および管内閉塞限界の解析、掘削土を粘塑性流体として管径や負圧強度が吸引速度に与える影響のシミュレーション、礫(石)の混入による管内閉塞を防ぎつつ土質が変化した場合でも確実に土砂を引き込めるピストン速度やポンプ容量の設計、吸引失敗を防ぐ制御ロジックの構築)、地盤工学(掘削土の塑性流動性および不透水性における有効応力原理に基づく強度評価、採取サンプルの粒度分布・含水比と添加材(加泥材)による改質効果の相関解析、取したサンプルのスランプ試験や三軸圧縮試験、現場の掘削土が切羽を支える不透水な壁として機能しているかの定量的評価、異常値が検出された際にどの貫通孔(位置)から得られたデータかに基づき添加材の配合(ベントナイトやポリマーの添加量)を即座に修正するための地盤改質判断アルゴリズムの設計)

 

(2)東亜建設工業|開発トレンドと専門性
 
 E02Dが最も多いです。次いでE02B、E02Fが多いです。
 E02Dは既述のとおり基礎などに関連する分類です。
 具体例としてバイブロハンマ(振動式杭打機)を使用して地盤に打設している杭の下端部が貫入している地層の硬さを把握できる杭打設施工管理方法が挙げられます。
 従来、ボーリング調査地点と実際の打設地点の支持層深度のズレにより貫入深さの管理だけでは到達を保証できませんでした。
 これに対して、バイブロハンマによる杭の貫入工程において杭体の貫入方向における加速度または速度と杭体に生じるひずみとを連続的に測定し、得られた測定データに基づき演算装置を用いて打設振動の1周期ごとに杭に作用する貫入方向の地盤抵抗力の最大値と最小値の差である地盤抵抗力の振幅量(杭先端が貫入している地層が硬いほど増大し、軟らかいほど減少するという物理的相関性を有)を逐次算出し、算出された振幅量の推移を監視することで杭先端が現在位置する地層の相対的な硬さを特定することにより支持層への到達をリアルタイムで判別できる杭打設施工管理方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7550680/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(打撃・振動荷重下における杭体の波動伝播理論に基づく動的挙動の定式化、計測された応力波形から地盤抵抗力を分離・抽出する解析アルゴリズムの設計、バイブロハンマの振動周波数と杭の共振特性が測定精度に及ぼす影響の動的解析、杭頭部および先端部における衝撃・振動に対するセンサ保護構造の設計)、土木工学(標準貫入試験と動的地盤抵抗力の相関関係のキャリブレーションおよび評価、地層の硬軟境界における抵抗力振幅の急変メカニズムの土質力学的検討、礫層等による一時的な抵抗増大と真の支持層到達を判別するための判定ロジックの策定、施工地点ごとの支持層深度のばらつきが杭の支持力発現に与えるリスク評価)

 

 別の例として陸上や水中などの様々な対象地盤の強度を推定することができる地盤強度の推定方法が挙げられます。
 従来の人力による貫入試験や直接的な変位計測では水底や災害現場等の危険・特殊な地盤への適用が困難でした。
 これに対して、油圧重機のブームを後端の回転中心を軸として下方へ回転させ、アタッチメントを対象地盤に押し当て、この際、機体各所に設置された傾斜計等のセンサを用いてブーム自体の回転に伴う先端部の上下変位量と地盤からの反力によって車体が接地支点を中心に浮き上がることで生じるブーム後端部(回転中心)の上下変位量の二つを同時に測定し、演算部ではこれら二つの変位量を幾何モデルに基づき統合処理し、アタッチメントが地盤を実際に押し込んだ正味の押込み量を間接的に算出し、得られた押込み量と別途算出した押圧荷重や事前の相関データ(コーン指数等)を照合することで現地に直接立ち入ることなく地盤の強度を推定できる地盤強度の推定方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7198957/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(多関節リンク機構における座標変換を用いたアタッチメント位置の幾何学的特定、油圧シリンダの圧力変化とリンク系モーメントのつり合いによる作用力解析、機体の重心位置と接地圧分布を考慮した車両安定性・転倒挙動の動的モデル化、センサ誤差や機体の剛性不足が計測精度に及ぼす影響の感度解析)、土木工学(地盤の支持力特性とコーン指数の相関関係の理論的・実験的検証、アタッチメント形状(バケット、貫入体等)に応じた地盤反力係数の同定、異なる含水比や粒度分布を持つ土質における荷重ー沈下曲線のモデル化、建設機械の走行可能性判定基準の策定と現場実証)

 

 さらに別の例としてバイブロハンマを使用して地盤に打設している杭が支持層に到達したか否かを把握する杭打設施工管理方法が挙げられます。
 従来、地質調査地点と打設地点で支持層の深度が異なる場合があり、杭の深度管理だけでは確実な到達を判定できませんでした。
 これに対して、地盤のN値測定と歪みセンサ・加速度センサを装着した杭による事前打設試験を行う相関データ取得工程で、バイブロハンマの振動周期ごとに杭が未貫入地盤へ食い込む際の貫入抵抗具と地盤の硬さ(N値)との相関関係をデータベース化し、次に、管理対象となる対象杭を同様のセンサ構成で打設し、リアルタイムで得られる測定データから貫入抵抗の判定値を算出し、この判定値と事前データに基づき設定された支持層の目標値(目標N値または目標抵抗値)を逐次比較することで対象杭が支持層へ到達したか否かを物理的根拠に基づいて把握することにより、地層の起伏や深度のばらつきに左右されず各杭が確実に支持層に定着したことを現場で直接、検証できる杭打設施工管理方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7436321/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(激しい振動条件下における弾性波動伝播とエネルギー減衰の理論解析、ひずみ・加速度の動的計測データから貫入抵抗を抽出する信号処理アルゴリズムの設計、センサ取付け位置(杭先端部)における衝撃耐性と信号伝送信頼性の検討、打設振動周期と貫入挙動のサンプリング同期システムの構築)、土木工学(標準貫入試験(N値)と動的貫入抵抗具合の力学的相関モデルの構築、土質(砂質土・粘性土)の違いが動的抵抗特性に及ぼす影響の評価、支持層到達判定における判定しきい値(目標値)の統計的設定と検証、施工計測データに基づいた地盤支持力の品質管理基準の策定)

 

 E02Bは既述のとおり水工に関連する分類です。
 具体例として施工現場での構造物に対する型枠の構築作業に要する労力を低減する型枠の構築方法が挙げられます。
 従来、型枠と構造物の隙間が小さいと位置合わせに高い精度と労力を要し、水中や高所での作業は極めて困難でした。
 これに対して、まず型枠を複数の分割体で構成し、隣り合う分割体間をスペーサ機構によってあえて離間させた拡大状態を維持し、このとき、分割体には付勢手段(バネやゴム等)により常に互いを引き寄せる方向の力を付与しておき、この状態で構造物の外周に対して型枠を余裕を持って遊嵌して設置し、配置完了後、遠隔操作可能なトリガー部材等でスペーサ機構を解除すると蓄えられていた付勢力によって分割体同士が瞬時に接近し、端部が当接またはオーバーラップすることで構造物に外嵌した型枠が形成されることにより、構造物の外面にはみ出した障害物(吊ワイヤのフック等)があっても容易に設置でき、潜水士や高所作業員による煩雑な位置調整作業を削減する型枠の構築方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7766664/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(不整地や水中という過酷な条件下で紐を引くだけで確実に型枠が閉まる機構の設計、必要なバネの力や部材の強度の計算、バネの復元力(付勢力)が型枠の自重や摩擦に負けないよう必要な弾性係数の算出、スペーサが外れる際のトリガー荷重のシミュレーション、隣り合うパーツがスムーズにスライドするためのガイドレールのクリアランス設計、海水や泥による錆び・噛み込みを防ぐための可動部のシール構造の検討)、土木工学(構造物(杭や梁)のバラツキを考慮した運用ルールの策定、打設されるコンクリートの圧力に耐えられる施工手順の確立、現場ごとの杭の太さの誤差を許容できる型枠のオーバーラップ量の設定、生コンクリートを流し込んだ際に型枠が破裂しないための吊りワイヤや支持部材の配置計画の策定、水中での作業時間をどれだけ短縮できるかの工程設計、設置後のコンクリート漏れを防ぐための介在部材の選定と止水性の評価)

 

 E02Fは既述のとおり掘削などに関連する分類です。
 具体例として浚渫装備の重厚化を回避しつつ水底に滑らかな法面を形成する浚渫制御システムが挙げられます。
 従来、重厚なラダーの昇降速度を頻繁に変えると駆動系に過大な負荷がかかるため高精度な法面(斜面)形成が困難でした。
 これに対して、ポンプ浚渫船において装置への負荷が大きいラダーの上下回動速度を一定に保持したまま水平方向の旋回速度を可変制御することで高精度な法面形成を実現するシステムであり、構成として設計深度マップを保持する記憶部、船体の三次元位置を取得するGNSS等の計測手段およびこれらに接続された制御装置を備え、制御装置は現在の掘削部の三次元位置と設計深度との差分をリアルタイムで算出し、ラダーの上下動が一定である条件下で目標とする斜面勾配に応じて水平旋回速度を自動調整(具体的には勾配が急な場所では旋回を遅く、緩やかな場所では速く制御)することにより、既存の重厚な昇降設備を強化することなく、オペレータの技量に依存しない滑らかで高精度な法面施工を可能にする浚渫制御システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7565853/15/ja

  関連する専門分野の例:制御工学(船体の揺動や外部負荷の変動を考慮した非線形な多慣性系の動的制御アルゴリズムの設計、船体位置情報とラダー角度から掘削部座標を特定する順運動学モデルの構築、設計深度と現在深度の偏差を最小化するPID制御やモデル予測制御の適用、ワイヤのテンションを維持しつつ油圧リールの応答遅れを補償する旋回速度制御ロジックの実装、過掘りを防ぐためのインターロック(非常停止)機能の設計)、情報工学(GNSS、傾斜計、潮位計等の多種多様なセンサから得られる情報を統合して高精度な三次元座標を算出する手法の確立、RTK-GNSSを用いた船体位置のリアルタイム座標変換プログラミング、波浪による船体のピッチング・ローリングが掘削部先端に与える誤差の補正計算、設計図面を格子状(メッシュ)や円弧状のデジタルマップデータとして記憶部に最適化して展開するデータ構造の設計、音響測深機による施工前後の深度比較アルゴリズムの構築)

 

(3)東洋建設|開発トレンドと専門性

 

 E02Dが最も多いです。次いでE02B、E02Fが多いです。

 E02Dは既述のとおり基礎などに関連する分類です。
 具体例として二酸化炭素固定化機能を備えたセメント改良杭造成装置が挙げられます。
 従来、地盤改良現場におけるCO2排出削減が不十分であり、従来の地中への自然吸収法では固定量が極めて少ないという問題がありました。
 これに対して、地盤改良工法においてセメントミルクの製造・圧送過程で二酸化炭素(CO2)を強制的に接触・溶解させ、炭酸カルシウムとして地中に化学的に固定化する装置であり、構成として、気密性を確保したミキサー容器とアジテータ容器からなる密閉容器、これらにCO2を供給する手段および地中へ送り出す圧送管を備え、ミキサーまたはアジテータ内のセメントミルクに対し、供給手段からCO2を直接投入して撹拌することでセメント中のカルシウムイオンとCO2を反応させ、炭酸カルシウムを生成し、また、バブル生成手段によりCO2を微細気泡化し、比表面積を増大させて溶解効率を高める構成も有することにより、工事車両等の排ガス由来のCO2を有効利用して地中に永続的に固定できるだけでなく、生成された炭酸カルシウムの結晶による杭強度の向上とそれに伴うセメント使用量の低減を実現する杭造成装置が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7755404/15/ja

  関連する専門分野の例:化学工学(セメントミルクのpH挙動とCO2の気液接触効率の解析、短時間の撹拌で最大限の炭酸カルシウムを生成させるプロセスの最適化、密閉容器内の加圧条件がCO2溶解速度に与える影響の定量評価、セメントミルクの粘性と微細気泡の滞留時間の相関解析、ミキサー内での撹拌翼の回転数や翼形状が気液界面更新に及ぼす影響の計算、反応完結時間を最小化する容器設計)、建設工学(炭酸化反応によって生成された炭酸カルシウムが改良杭の長期的なせん断強度や耐久性にどのような影響を及ぼすかの解明、CO2固定化量と改良体の無一軸圧縮強度の相関試験、セメント添加量低減時における地盤改良体の品質保証基準の策定、実施工環境下(水圧・土圧下)での炭酸化プロセスの再現実験、改良杭からの成分溶出が周辺環境(地下水・海洋)のpHに与える影響の環境負荷評価)

 

 別の例として軟弱地盤に打設されるドレーン材に取り付けられるアンカー材が挙げられます。
 従来、ケーシング引き抜き時にアンカーが先端に付着し、ドレーン材が共に上昇する「共上がり」による施工不良が発生していました。
 これに対して、ドレーン材先端を固定し打設方向およびケーシング側を向く2面を有する板状の本体部と、そのケーシング側の面に配置された弾性体を備え、ケーシングの貫入行程において弾性体はケーシング先端の押し込み力と地盤からの反力によって本体部との間で圧縮され、内部に弾性エネルギー(反発力)を蓄積し、設計深度到達後の引き抜き開始時には、押し込み力の消失に伴い、蓄積されたエネルギーが解放されて弾性体が元の形状へ復帰し、この際、ケーシングの引き抜き方向と同方向に作用する能動的な復元力が生じ、ケーシング先端からアンカー材を物理的に突き放して強制的に離脱させることにより、アンカーの付着に起因するドレーン材の共上がりを防止し、再施工の手間を省くことで施工効率を向上させることができるアンカー材が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7477415/15/ja

  関連する専門分野の例:機械力学(地盤貫入時の最大荷重に耐えつつ引き抜き時に確実な離脱を促すための弾性体のバネ定数およびストロークの最適化設計、ケーシング貫入時の土圧による受圧荷重と弾性体の圧縮限界の構造解析、軟弱地盤の粘着力が引き抜き抵抗として作用する際の離脱必要トルクの算定、本体部を切り起こして板バネを形成する場合の応力集中を考慮した疲労強度評価、多様なケーシング径に対応可能な板バネの配置パターン設計)、土質工学(アンカー材が地盤内に残置される際の定着性能の評価、周辺土砂の物性が弾性体の復元動作に与える影響の解析、打設深度における有効応力を考慮したアンカー本体の支持力計算、粘性土の吸着力が弾性体の復元力を上回らないための受圧面積と復元力の比率検討、ーシング引き抜き時に発生する負の摩擦力(周辺土砂の引きずり込み)がドレーン材の定着安定性に及ぼす影響のシミュレーション、施工後の排水効率を阻害しないアンカー配置の最適化)

 

 さらに別の例として施工実績に基づくリアルタイム・フィードバック型基盤層深度予測方法が挙げられます。
 従来、事前測量の地点不足や地層の起伏により推定深度が実態と乖離し、施工精度の低下や作業効率の悪化を招く問題がありました。
 これに対して、地盤改良工法において、事前測量による静的な予測を施工中の実績データで動的に補正し、未施工地点の基盤深度予測精度を向上させる方法であり、まず事前測量から全施工地点の推定深度を算出し、地点間の位置関係を保持する記録手段に格納し、施工開始後、各地点で判明した実績深度を記録するたびに、その近傍にある未施工地点の推定深度を実績値および地点間の距離に応じた重み付けを用いて逐次補正・更新(推定深度更新工程)し、この際、基盤層まで到達させる必要のない短尺の支持体については更新対象から除外することで計算負荷を最適化することにより、施工が進むほど現場全体の地層モデルが実態に即して精緻化され、着底判定のミス防止や施工管理の高度化ひいては工事全体の効率化と品質向上を実現する基盤層深度予測方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7405694/15/ja

  関連する専門分野の例:情報工学(施工地点間の空間的相関を定義して実績深度を周辺の推定値に伝播させるための空間補間アルゴリズムの実装と記録構造の最適化、隣接地点との距離に基づく重み付け関数のモデル化、施工進捗に伴う推定深度の逐次更新アルゴリズムの設計、格子状や千鳥状といった異なる支持体配置に対応できる空間データベースの設計、計算コストを抑えつつ予測精度を最大化するための近傍点選定ロジックのコーディングおよびシミュレーションによる検証)、土木工学(処理機のトルクや貫入速度等の変動から基盤層への着底を正確に識別する判定アルゴリズムの設計と予測深度の工学的妥当性の評価、各種地盤改良機の稼働データに基づく土質ごとの着底判定基準値の定量化とキャリブレーション、更新された補正深度が地盤工学的に見て不自然な勾配(断層や急激な変化)を示していないかの妥当性検証、長尺・短尺支持体の混在条件下における施工ステップごとの不確実性排除プロセスの構築)

 

 E02Bは既述のとおり水工に関連する分類です。
 具体例として大水深下での高水圧に耐え得る低針入度アスファルトを用いた自己充填型遮水材が挙げられます。
 従来、水深20m以深の高水圧下では、従来の遮水材は強度不足で過剰変形し、かつ潜水士による施工は安全面と効率面で限界がありました。
 これに対して、水深20m以上の大水深海洋構造物(海上ダムや海底ドーム等)におけるアスファルト系遮水材であり、アスファルト、石粉、砂の3成分のみで構成され、かつ針入度20〜40の低針入度ストレートアスファルトが主材とされることで、大水深下の高水圧に対し砂の摩擦抵抗と粘性による十分な反力を発揮して過度な流動を抑制しつつ、あらかじめ陸上で成形したブロック体を自重や化学的発熱反応により施工箇所へ自動的に密着させる無人施工プロセスを実現し、過酷な深海環境における確実な遮水性能の維持と施工の安全性を両立する遮水材が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7593986/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(高水圧下における「硬いアスファルト+砂」の変形メカニズムの解析、生石灰の化学反応を利用した熱伝達の制御設計、大水深(200kP以上の高圧)環境を再現したシミュレーションによる遮水材の変形予測、水中での熱拡散を考慮した生石灰の必要量の算定、ブロックが自重で隙間に流れ込む際の流動性の最適化、遮水材と構造物表面の摩擦特性の評価)、土木工学(潜水士に頼らない自動設置システムのプロセス設計、現場(海底)の不確実性を考慮した品質保証基準の策定、クレーンや水中ロボットを用いたブロックの遠隔配置システムの施工計画、海底の凹凸に対する遮水ブロックの追従性能(密着度)の検証、地震や地盤変動による構造物の変位に対して遮水性が破綻しないかの長期耐久性評価、施工中の環境負荷(化学反応による影響など)の管理)

 

 E02Fは既述のとおり掘削などに関連する分類です。
 具体例としてポンプ浚渫船の浚渫施工管理システムが挙げられます。
 従来、浚渫は潮位や船体姿勢に応じた繊細な手動操作が必要で、オペレータの技量による精度のバラツキと大きな作業負担が問題でした。
 これに対して、水底の掘削を行うポンプ浚渫船において熟練者の操作技術をエリアごとに学習し、自動施工を実現する管理システムであり、GNSSによる位置計測、潮位計および船体姿勢センサを備え、これらからカッターの三次元位置をリアルタイムに算出する演算管理手段を有し、掘削対象の凹路を幅方向に複数の仮想エリア(法肩、法尻など)へ分割し、各エリアに紐付けて「学習モード」で熟練者の操作ログを記録し、「自動制御モード」では現在位置に対応するエリアの操作ログを逐次切り替えながら参照し、設計深度に合わせて補正を加えた制御データを算出し、このデータに基づき制御手段がラダーおよびスイングの両ウィンチを自動駆動することで熟練者の動きを再現しながら設計通りの施工を行うことにより、オペレータの技量に依存せず安定した施工精度を確保しかつ省力化を実現する浚渫施工管理システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7701838/15/ja

  関連する専門分野の例:制御工学(熟練者の操作ログからウィンチの応答特性や船体の慣性を考慮した動的な制御アルゴリズムの構築、ラダーおよびスイングウィンチの非線形な応答遅れを補償する制御モデルの設計、操作ログに含まれるノイズの除去フィルタリング、学習データと現在の施工環境(土質や波浪)の差分を吸収するための適応制御ロジックの構築とそれによるアクチュエータへの最適指令値の算出)、土木工学(地形の変化点(法肩・法尻)に基づいた最適な仮想エリア分割指針の策定、施工現場の外的要因(土質・水深)が掘削効率に与える影響の定量評価、設計図面に基づく凹路の仮想エリア分割位置の定義、土質の硬軟や浚渫土厚の変化がスイング速度に与える影響の解析、マルチビームソナーによる施工後の水底形状と設計値の比較検証によるシステム全体の施工精度および品質管理基準の策定)

 

(4)まとめ

 海洋・港湾・海岸の施工などに関係する出願が多く、そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。

 こうした出願に求められる専門性としては、土木系、機械系が特に多いです。

 その他、情報系、建築系、化学系、材料系が求められることもあります。 

 

3.6 共同出願人との開発例

 共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。

 技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。

 各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。

(1)五洋建設

 

 詳細の説明は省略します。

 

(2)東亜建設工業

 

 詳細の説明は省略します。

 

(3)東洋建設

 

 詳細の説明は省略します。

 

(4)上記(1)~(3)(共同出願人)のまとめ

 港湾工事や水中における作業などを想定した出願が多く確認されます。

 そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。

 土木、機械、情報が深く関わる場合が多いです。

 

4 開発に求められる専門性

 上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。

 上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。

 

土木分野(土木工学、地盤工学、土質力学など)

 鋼管矢板の接合方法、杭基礎の洗掘防止工法、外部拘束型温度ひび割れ防止方法、粘性土と鉄鋼スラグとを落下により混合する落下混合方法、サンプル採取装置付き土圧式シールド掘削機、杭打設施工管理方法、地盤強度の推定方法、杭打設施工管理方法、型枠の構築方法、アンカー材、基盤層深度予測方法、遮水材、浚渫施工管理システムなどに関する出願が関係します。
 不連続面を有する複合構造体の剛性評価および解析、連通口によるずれ止め効果を考慮したせん断耐力設計、境界剥離と局所流速の増大を抑制する遮蔽領域の設計、底質の移動限界特性に基づく洗掘ポテンシャルの評価、幾何学的拘束条件下における温度応力の時空分布解析、改質土の一軸圧縮特性およびせん断強度発現メカニズムの検討、水中打設時における材料分離抵抗性と有効応力の時系列評価、複合応力下における改質土の塑性流動および止水性能の評価、地盤構成粒子の物理的特性に応じた添加材反応プロセスと強度発現の解析、土細孔構造の変化を考慮した地盤の動的貫入抵抗のモデル化、地盤の支持力特性と貫入抵抗力の相関メカニズムの評価、動的な貫入エネルギーと土の力学特性(N値等)の相関モデルの構築、施工誤差(不測の突起や傾斜)を許容する遊嵌クリアランスの策定、土圧および間隙水圧に基づくアンカー体の地中定着性能の検討、地層境界における物理的抵抗値の変位特性に基づく着底閾値の設計、不均質地盤および構造物境界における遮水界面の追従性検討、地形変化点および法面勾配に基づく施工エリアの空間的最適分割の設計などが求められます。

 

機械系分野(流体工学、機械工学、生産工学、機械力学など)

 鋼管矢板の接合方法、投入物対象管理装置、杭基礎の洗掘防止工法、天秤型支持装置、鉄筋コンクリート柱と仕口部鉄骨梁との接合構造、サンプル採取装置付き土圧式シールド掘削機、杭打設施工管理方法、地盤強度の推定方法、杭打設施工管理方法、型枠の構築方法、アンカー材、遮水材などに関する出願が関係します。
 多孔質・連通空間における高圧流体の圧力伝播特性の解析、管路内の固液二相流(水・土砂・空気)の動的挙動の解明、慣性力と流体抵抗を考慮した固液二相流の運動力学モデルの立案、多層的な環境外乱(潮流・波浪)下における沈降軌跡の確率論的解析、高静水圧・非定型環境下における遠隔操作型マニピュレーションの設計、流体反力を利用した大投影面積構造物の空間展開制御の検討、偏重心吊り荷における動的平衡および姿勢安定化機構の設計、多体系モデルを用いた荷重受渡し時の過渡応答と反動抑制の解析、重量部材の揚重・据付プロセスにおける動的挙動の制御と安全マージンの策定、負圧制御による高粘性流体の強制移動プロセスおよび流路設計、高速振動・衝撃荷重下における弾性体の波動伝播解析、内圧と外部反力のモーメントバランスに基づく作用力推定モデルの構築、激しい往復過渡荷重下における部材の弾性波動伝播解析、変位エネルギーを利用した自動閉合機構の設計、弾性エネルギーの蓄積・解放特性を利用した離脱機構の設計、高圧環境下における粘弾性複合体の変形挙動解析などが求められます。

 

情報系分野(情報工学、システム工学、制御工学など)

 投入物対象管理装置、天秤型支持装置、浚渫制御システム、基盤層深度予測方法、浚渫施工管理システムなどに関する出願が関係します。
 異種センサーフュージョンによる時空間同期システムの設計、動的画像認識を用いた非定型オブジェクトの状態推定アルゴリズムの構築、環境外乱を考慮した多自由度アクチュエータの同期制御系の設計、センサーフュージョンによる部材間相対変位のリアルタイム監視と解析、多慣性系における非線形な軌道追従制御の設計、異種センサデータの同期統合プロセスの設計、空間的自己相関に基づく適応型補間アルゴリズムの設計、不連続なエリア境界における制御パラメータの平滑化および遷移アルゴリズムの設計などが求められます。

 

建築系分野(建築構造学、建設工学など)

 鉄筋コンクリート柱と仕口部鉄骨梁との接合構造、杭造成装置などに関する出願が関係します。
 異種材料接合部における応力伝達メカニズムのモデル化と剛性設計、埋設型治具が構造躯体の有効断面およびコンクリート拘束力に及ぼす影響の解析、炭酸塩の結晶成長を考慮した改良体の内部構造設計、セメント添加量と反応固化体の力学的安定性の相関検討などが求められます。

 

化学系分野(化学工学など)

 粘性土と鉄鋼スラグとを落下により混合する落下混合方法、杭造成装置などに関する出願が関係します。
 混相流体(固液混合物)における不均質系の移動速度論的解析、衝突エネルギーを利用した物理的撹拌および分散プロセスの最適設計、多成分系材料の接触界面における物質移動と濃度均一化の検討、分圧制御と微細気泡化による気液溶解効率の最適化検討などが求められます。

 

材料系分野(材料科学など)

 外部拘束型温度ひび割れ防止方法などに関する出願が関係します。
 化学混和剤による水和反応速度の能動的制御手法の確立、セメントペーストの凝結プロセスの高度化に伴う粘弾性物性の解析などが求められます。

 

 ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。

 

5 まとめ

 海洋・港湾・海岸の施工などに関係する出願が多いです。

 装置、工法、情報処理、材料などが開発対象として挙げられます。

 大学の専攻としては、土木、機械、情報が関連する可能性が高いです。

 その他、建築、化学、材料に関する専門性が求められる場合もあります。

 

 本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。

 参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4

 以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

 業界横断記事:

 研究開発職のキャリアマップ|60業界の開発環境を特許データから分析

 研究開発職の技術分野と需要のマトリクス(一覧表)|60業界335社の企業ニーズを特許データから分析

 

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 総合メーカーの研究開発職の環境の相違|主要10社の開発環境を特許データから分析

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 化学系横断記事:

 化学系の研究開発職の業界・企業ニーズ(第1部/全3部)

 化学系の研究開発職の業界・企業ニーズ(第2部/全3部)

 化学系の研究開発職の業界・企業ニーズ(第3部/全3部)

 

<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社

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