日用品、化粧品は国内企業のものだけでなく、外資系企業のものも多く親しまれていますが、その研究開発の内情は国内企業と違いはあるのでしょうか?
というか、国内企業の場合でもどのような研究開発がおこなわれているのか把握するのが難しいのに、外資系企業ではなおさらだと言えます。
日用品、化粧品に関わる外資系企業では、どのような研究開発がおこなわれ、どのような専門性が求められるのでしょうか?
これを特許情報に基づき解き明かします。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
本記事では、採用サイトとは別の視点で、P&G、ユニリーバ、ロレアル、ヘンケルの研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。
結論(概要)は以下の通りです。
・化学系分野(有機化学、物理化学、界面化学、化学工学、高分子化学、応用化学、分析化学、生化学など)
・薬学系分野(薬化学、薬理学、薬学、製剤学など)
・材料系分野(材料工学、材料科学など)
・機械系分野(機械工学など)
・生物系分野(生物学、微生物学など)
・電気系分野(電気工学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 日用品、化粧品業界
2.1 日用品、化粧品業界(外資系)とは
ここでは、国内企業の記事と同じく、日常的に使われる製品(日用品やトイレタリーと言われる製品)を製造、販売、流通させる業界、および化粧品や美容関連商品などを製造、販売、流通させる業界の2つの業界を意図します。
両方の業界にかかわる企業もあり、特許検索において境界があいまいなため、両業界をまとめました。その他、製薬業界との境界もあいまいです。本記事は厳密な区別はしていません。
2.2 サーチ対象
以下の4社を対象にしました。
(2)ユニリーバ(英国)(※1)
(3)ロレアル(フランス)
(4)ヘンケル(ドイツ)(※2)
※1 出願人「ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ」、「ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ」の特許情報に基づきます。
※2 出願人「ヘンケル・アクチェンゲゼルシャフト・ウント・コムパニー・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチェン」、「ヘンケルジャパン株式会社」、「ヘンケル アイピー アンド ホールディング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング」に基づきます。
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
・アルキルベンゼンスルホン酸塩を主成分とする液体洗濯洗剤組成物 |
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法人向け |
・高速押出成形に適した高水分石鹸バーの組成物 |
・化粧品(特にヘアケア製品)のすすぎ特性を定量的に測定する方法 |
3.2 出願件数の推移
下図は日用品、化粧品4社の特許出願件数の推移です。

企業によって、また、出願年によって件数に差がありますが、どの企業も毎年一定数以上の出願をおこなっています。
そのような出願に関わる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
P&G>ヘンケル>ユニリーバ>ロレアル
だと言えます。
ただし、これは日本における特許出願件数に基づくものです。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
コーヒーの調製品などがこれに該当します。
ユニリーバがこの分野から多く出願しています。
肌着類などがこれに該当します。
P&Gがこの分野から多く出願しています。
髪巻ごてなどがこれに該当します。
ロレアルがこの分野から多く出願しています。
有機活性成分を有する医療用製剤などがこれに該当します。
全4社がこの分野から多く出願しています。
分別しやすい構造の容器などがこれに該当します。
ユニリーバがこの分野から多く出願しています。
アルデヒドやケトンの芳香族炭化水素などがこれに該当します。
ヘンケルがこの分野から多く出願しています。
無機成分に基づく接着剤などがこれに該当します。
ヘンケルがこの分野から多く出願しています。
本質的に表面活性化合物を基とする洗浄剤組成物などがこれに該当します。
P&Gがこの分野から多く出願しています。
3.5 日用品、化粧品外資系4社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)P&G|開発トレンドと専門性

上図期間中、Ⅽ11Dが最も多いです。次いでA61K、A61F、B65Dが多いです。
具体例として特定の炭素鎖長分布を持つアルキルベンゼンスルホン酸塩を主成分とする液体洗濯洗剤組成物が挙げられます。
既存の直鎖アルキルベンゼンスルホネート(LAS)は生分解性が高いものの、より優れた性能と炭素効率の向上が望まれていました。また、従来の洗剤は高い洗浄力を得るために複数の添加剤を多量に配合する必要がありました。
これに対し、炭素鎖がC10~C16で50%超のC12を含む特定のHLAS界面活性剤と、平均12~16個の炭素と3~9個のエトキシ基を持つアルコール系非イオン性界面活性剤が特定の重量比で組み合わされることにより、冷水や常温で洗浄力を発揮し、脂質の汚れに対する除去効果を向上させた液体洗濯洗剤組成物が開発されています(以下URL)。
特定の炭素鎖長分布を持つアルキルベンゼンスルホン酸塩を主成分とする液体洗濯洗剤組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7703609/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(目的の特性を持つ界面活性剤を分子レベルで設計、効率的な合成プロセスの確立、C12鎖を50%超含むようにアルキル基の鎖長分布を制御するためのフリーデル・クラフツ反応の触媒や反応条件の最適化、スルホン化反応における副反応を抑制して高純度のHLASを安定的に製造するためのプロセスの探索)、物理化学(界面活性剤の混合系における物理化学的特性の解析、洗浄性能と製品安定性の関係の解明、HLASと非イオン性界面活性剤の混合比が表面張力、ミセル形成濃度および動的粘度に与える影響の測定、さまざまな温度や汚れの種類に応じた界面活性剤の吸着挙動の評価、処方の洗浄力や泡立ちや製品の流動性の最適化)
既存の食器用洗剤では、食器の数が少ない場合に必要以上に洗剤を使いすぎてしまい、結果として過剰な泡が生じてしまい、すすぎに時間と水を多く消費してしまうという問題がありました。
これに対して、スプレーディスペンサーと特定の界面活性剤が組み合わされた洗浄組成物であり、初期発泡と持続性を実現するアルキルポリグルコシドと両性/双性イオン性界面活性剤が特定の重量比(10:1〜1:10)で配合され、泡切れを良くするための第四級アンモニウム界面活性剤を2種類以上含み、アニオン性界面活性剤の含有量が3%未満に抑えられたことで初期の泡立ち阻害を防ぎ、ユーザーに良好な洗浄感を与える食器用手洗い洗剤が開発されています(以下URL)。
スプレー式食器用手洗い洗剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7534459/15/ja
関連する専門分野の例:界面化学(界面活性剤の分子構造と機能の関係性の解析、泡の生成、安定性、崩壊メカニズムの分子レベルでの解明、アルキルポリグルコシド、アミンオキシド、第四級アンモニウム界面活性剤の混合系におけるミセル形成、臨界ミセル濃度、表面張力、界面構造の変化の評価、アニオン性界面活性剤が少ない環境下での各界面活性剤の協同効果の評価)、有機化学(アルキルポリグルコシドと第四級アンモニウム界面活性剤の新規な合成ルートの設計、アルキルポリグルコシドのアルキル鎖長や重合度を厳密に制御するための合成条件の最適化、第四級アンモニウム塩の収率と選択性を向上させるための反応条件(温度、溶媒、触媒など)の検討)
従来の液体洗浄剤は重くて持ち運びに不便であり、輸送中に漏れるリスクや使用時に容器が汚れるといった問題がありました。
これに対して、水溶性の可溶性繊維構造体からなるパウチ内に粒子状の起泡性界面活性剤、発泡剤および発泡活性化剤を組み合わせた固形の洗浄組成物が封入され固形化された単一のパウチという技術構成により、従来の液体洗浄剤が抱えていた製品の軽量化・小型化および輸送中の液漏れリスクの排除という問題を解決する洗浄剤が開発されています(以下URL)。
水に投入すると可溶性パウチが溶けて洗浄剤が発泡・発泡して便器や硬質表面を洗浄する固形の洗浄剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7500805/15/ja
関連する専門分野の例:界面化学(洗浄組成物中の多成分系(界面活性剤、発泡剤、発泡活性化剤など)における分子レベルの相互作用の解析、発泡性と泡の安定性のメカニズムの解明、泡の形成速度、泡の持続性、泡の液滴への分離挙動などを動的表面張力測定や顕微鏡観察、光散乱法などにより評価、配合成分の濃度や種類が泡の特性に与える影響の解明、洗浄効果を最大化するための最適な界面活性剤の選定や発泡剤と発泡活性化剤の配合比率の決定)、化学工学(粒子状洗浄組成物の製造プロセスと可溶性パウチの製造プロセスの統合および製品全体の品質と生産効率の最適化、界面活性剤、発泡剤、発泡活性化剤などの各成分の粒子径分布がパウチの溶解速度や泡の生成、洗浄性能に与える影響の分析、連続生産プロセスにおける各材料の供給量、混合条件、充填・パウチング工程のパラメータ調整による安定した製品を大量に生産するための最適な製造条件の確立)
具体例としてふけ用シャンプーが挙げられます。
従来のふけ用シャンプーは高価な可溶性の抗ふけ剤の大部分が洗い流されてしまい、頭皮への付着効率が低いという問題がありました。
これに対して、特定の分子量と電荷密度を有するカチオン性ポリマー、アニオン性界面活性剤および可溶性抗ふけ剤の特定の比率の組み合わせにより、界面活性剤が低濃度であってもカチオン性ポリマーが可溶性抗ふけ剤を捕捉し、シャンプー使用時に頭皮や毛髪へ付着させることが可能になり、高価な抗ふけ剤の洗い流しを防ぎ、ふけ防止効果を発揮するヘアケア組成物が開発されています(以下URL)。
ふけ用シャンプー→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7708797/15/ja
関連する専門分野の例:界面化学(カチオン性ポリマーとアニオン性界面活性剤の相互作用の解析、可溶性抗ふけ剤を効率的に捕捉して毛髪に付着させるメカニズムの解明、コアセルベート形成条件(pH、濃度、温度など)の制御とコアセルベートの形成速度、サイズ、安定性の評価、カチオン性ポリマーと可溶性抗ふけ剤の相互作用の分析、付着効率を最大化するための最適なポリマーの分子量、電荷密度および界面活性剤の配合比率の決定)、有機化学(カチオン性ポリマーや界面活性剤、抗ふけ剤など組成物に含まれる各成分の合成経路の最適化および高純度で特定の物性(分子量、電荷密度など)を持つ材料を効率的に製造する方法の探索、特定の分子量と電荷密度を持つカチオン性コポリマーを合成する際の反応条件(モノマー比、反応温度、触媒の種類など)の検討、合成したポリマーの分子量分布や不純物の分析および工業的なスケールアップが可能な生産プロセスの確立)
従来のヘアコンディショナーは加温効果と高いコンディショニング性能を両立させることが困難でした。
これに対して、第1の組成物と第2の組成物が別々のチャンバに収納された二相式化粧料組成物であり、第1の組成物は硫酸マグネシウムなどの無機発熱剤とセチルアルコールなどの相転移剤がポリエチレングリコールのような不活性担体中に分散させた無水組成物で、第2の組成物は塩化ベヘニルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤とセチルアルコールなどの脂肪族アルコールが水に配合されるとコンディショニング効果を発揮するゲルマトリックスを形成するものであり、使用時に両組成物の混合により第1の組成物中の無機発熱剤が第2の組成物中の水と反応して熱を発生させ、この熱を相転移剤が一時的に吸収し、徐々に放出することで心地よい持続的な温感が得られ加温効果とコンディショニング性能の両立が可能なヘアコンディショナーが開発されています(以下URL)。
温感とコンディショニング効果を両立させた二相式ヘアコンディショナー→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7587033/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(発熱剤と水との反応熱や反応速度の解析、硫酸マグネシウムなどの無機発熱剤の水和熱の測定・評価、化粧料として最適な温度上昇と持続性を確保するための相転移剤の融解・凝固エンタルピーと発熱剤の配合比率の最適化、相転移剤の熱特性の分析および安定した温感を提供するための基礎データの構築)、界面化学(カチオン性界面活性剤と脂肪族アルコールの相互作用の制御による毛髪に最適なコンディショニング効果をもたらす安定したゲルマトリックスの設計、カチオン性界面活性剤と脂肪族アルコールの種類や配合比(1:2~1:4)がゲルマトリックスの微細構造(ラメラ構造など)に与える影響の評価、製品のテクスチャー(粘度、伸び広がり)や毛髪への吸着性・摩擦低減効果の最適化)
従来のスキンケア製品は中性pHで配合されますが、低pHにすると特定の成分の効能が向上する一方、組成物の不安定化やべたつき・粘着感、皮膚刺激といった問題が生じていました。
これに対して、ビタミンB3化合物、pH2.0〜5.0の低pHに維持するための乳酸/乳酸ナトリウム緩衝液、低pH環境に耐性を持つポリアクリレートクロスポリマー-6が増粘剤として配合され、特定の粘度(25℃で100cSt以下)を持つ低分子量シリコーン流体が加えられて増粘剤が引き起こす塗布時の粘着感を軽減することにより、低pHによる皮膚への刺激を抑えつつ不安定性やべたつき感を排除した良好な使用感と有効性を両立するスキンケア製品が開発されています(以下URL)。
スキンケアエッセンス→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6985537/15/ja
関連する専門分野の例:薬化学(ビタミンB3化合物、緩衝剤、増粘剤、シリコーン流体といった各成分の分子構造とそれらが低pH環境下でどのように相互作用するかの解析、ビタミンB3化合物と緩衝液のプロトン化/脱プロトン化の状態をNMRや質量分析法で追跡およびpH変動に対する安定性の評価、増粘剤やシリコーン流体の高分子構造が低pH下で凝集や相分離を起こさないかの予測)、薬理学(スキンケア効果と低刺激性を細胞レベルや生体レベルで評価、in vitroの細胞培養実験におけるビタミンB3化合物が皮膚細胞(ケラチノサイトや線維芽細胞)の代謝やコラーゲン産生に与える影響の測評価、組成物が知覚的な刺激(かゆみ、灼熱感)を誘発しないことの証明、in vivo試験の設計、皮膚テクスチャ、水分量、刺激性といったパラメータの評価および臨床的な有用性の検証)
具体例としてレッグガスケットシステム(おむつの足回り部分のことで漏れを防ぎ快適なフィット感を生み出すために複数の素材を組み合わせた複合的な構造)を有する吸収性物品が挙げられます。
既存のおむつは漏れ防止と快適な装着感の両立が難しく、特に着用者の皮膚に赤い斑点が生じたり、外観が下着らしくなかったりする点が問題でした。
これに対して、吸収性コアを内包するコアシャーシと、これを囲むように配置されたレッグガスケットシステムで構成される吸収性物品であり、このレッグガスケットシステムは水不透過性のカフ材料で形成され、着用者側に延びる着用者側カフ領域と衣類側に延びる衣類側カフ領域に分かれており、着用者側カフ領域は内側カフシーリングでトップシートと接合され、内側カフ弾性要素が配置されており、一方、衣類側カフ領域にはコア側領域に重なるように複数の外側カフ弾性要素が配置されており、内側カフシーリングから外側に位置する構成により、着用者への圧迫感を軽減しつつ漏れを防ぎ、下着のような外観を実現した吸収性物品が開発されています(以下URL)。
レッグガスケットシステムを有する吸収性物品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2024-178401/11/ja
関連する専門分野の例:化学工学(不織布、フィルム、超吸収性ポリマーなどの原料特性(吸水速度、吸水容量、柔軟性など)の評価および最適な材料の特定、材料を組み合わせる際の接着剤の種類や塗布量、熱融着条件などの検討および強度、耐久性、製造コストを考慮した生産プロセスの設計・検証)、材料工学(弾性要素を含む複合材料の機械的特性の解析、レッグガスケットシステムに使用される弾性ストランドのデニール(繊維の太さ)、伸長率、収縮力などの評価、カフ材料の不透明度、空気透過率、静水頭といった物理的特性の分析、快適なフィット感と漏れ防止性能を両立させるための材料仕様の決定)
従来のテープ式おむつはウエストバンドに弾性体がなかったり、あっても弾性力が強すぎたりすると、フィット性が悪くなり、ずれや漏れを引き起こすことがありました。また、装着時にしわができやすく、介護者の負担となる問題も存在しました。
これに対して、着用者の腹部に位置する前部ウエストバンドと、背部に位置する後部ウエストバンドに異なる弾性力が付与されたテープ式吸収性物品であり、前部ウエストバンドの弾性力が比較的低い0.03N〜0.32Nの範囲に設定され、後部ウエストバンドの弾性力が前部よりも高い1.1N〜2.9Nの範囲に設定された構成により、後部ウエストバンドの高い弾性力で身体にフィットさせ、前部ウエストバンドの低い弾性力で装着時のしわや変形を防ぎ、快適な装着感を実現し、テープによる締結で介護者の負担を軽減し、漏れ防止効果を高めたテープ式吸収性物品が開発されています(以下URL)。
ウエストバンドの弾性力に差を設けたテープ式吸収性物品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7700377/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(弾性材料の分子構造、重合度、架橋密度などの設計・制御、前部ウエストバンドと後部ウエストバンドの弾性力、伸長回復率、耐久性などの要求性能を満たすためのスチレン系熱可塑性エラストマーやポリウレタン系エラストマーなどの共重合比やフィラーの種類・量の調整および試作と物性評価)、材料工学(弾性ストランドと不織布などの基材との複合材料としての機械的特性の最適化、ウエストバンドを構成する積層体の製造プロセス(接着剤の種類、塗布パターン、積層時の温度・圧力など)の検討、弾性ストランドのせん断や剥離を防ぎつつ意図した弾性力が発現するように材料とプロセスの検討、最適な材料構成と製造条件の確立)
既存技術は吸収層に含まれる超吸収性ポリマーの粗い粒子がエンボス加工時にトップシートを損傷させ、ピンホールや表面の粗さを引き起こすという問題がありました。
これに対して、トップシートと超吸収性ポリマー(SAP)層の間にSAPを含まない第1の分配層が配置され、この分配層がクッション材として機能することにより、エンボス加工のローラーが加える圧力がまずこの柔らかい層で緩和され、その力が下層のSAP粒子に直接伝わりにくくなり、結果として、SAP粒子がトップシートに接触して損傷を与えることがなくなり、製品の品質と着用時の快適性をさせた吸収性物品が開発されています(以下URL)。
エンボス加工された液体通路を含む使い捨て吸収性物品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7695397/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(身体滲出物の種類(尿、経血など)や量に応じた最適な吸水性能と製造プロセスに適した機械的特性を持つ超吸収性ポリマーの分子設計、ポリマー鎖の架橋密度の制御による吸水速度や吸水後の保水能力の向上、SAP粒子の表面の化学修飾による吸水効率や加工時の滑りの改善)、機械工学(複数のロールとヒーターからなるエンボス加工機の設計、ロールの形状や材質、加熱機構の最適化、エンボス加工時の各層にかかる応力やひずみの解析、トップシートの破れを防ぐための条件の特定、各材料を高速で正確に供給・搬送するための搬送システムや張力制御システムの設計)
具体例として洗剤などの重量物を充填し、不慮の開放や内容物の飛散を防ぐ容器が挙げられます。
従来の洗剤容器は消費者が蓋を持って持ち運んだり、輸送中に外部から強い力が加わったりすると蓋のロックが外れ、内容物がこぼれるリスクがありました。
これに対して、洗剤製品を収容する容器と、その開口部を塞ぐ蓋と、蓋を閉位置に維持するロック機構を含む消費者製品であり、蓋は閉位置で容器の開口部に入る支持要素と容器の側壁を覆う側面を含み、支持要素と側面の間に側壁の一部を挟み込むことでクリアランス距離(隙間)が設けられ、このクリアランスは消費者が蓋のアクチュエータに所定の圧力を加えてロックを解除する際に側壁が内側にたわむことでゼロになることにより、偶発的に蓋を引っ張るような力が加わっても支持要素が側壁の変形を抑え、ロックが外れるのを防ぐ消費者製品が開発されています(以下URL)。
不慮の開放や内容物の飛散を防ぐ容器→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7676517/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(容器の蓋、ボックス、ロック機構および支持要素の各部品の強度や変形の物理的解析および最適な材料選定や寸法設計、正確なクリアランス距離を確保するための機械システムの設計、洗剤の重量や外部からの圧力に対する各部品の応力とひずみの予測および製品が不慮の開放を起こさない最適な形状の特定)、材料科学(容器の安定性と製造コスト、環境負荷のバランスに鑑みた容器本体やロック機構、蓋、支持要素に求められる物理的特性(剛性、柔軟性、耐久性など)を満たす材料の選定と配合設計、ポリエチレン、ポリプロピレン、段ボールなどの候補材料の引張係数や耐衝撃性の評価および特定の剛性を持つ材料の特定)
(2)ユニリーバ|開発トレンドと専門性

A61Kが最も多いです。次いでB65D、Ⅽ11D、G01Nが多いです。
具体例として液体コアとシェルを有するコアシェルマイクロカプセルが挙げられます。
従来、ピロクトン化合物をカプセル化して乾燥時に徐々に放出させる安定な系の確立が課題とされていました。
これに対して、ふけ防止活性剤であるピロクトン化合物を液体コアに含み、これをポリ尿素からなるシェルで覆うコアシェルマイクロカプセルであり、シェルの形成にはイソフェロンジイソシアネートとジエチレントリアミンが用いられ、特定量のタウリンが添加され、頭皮上で乾燥した際にマイクロカプセルが潰れることを抑制し、その結果、内包されたピロクトン化合物の放出速度が緩やかになることにより、有効成分の安定した徐放性を実現するコアシェルマイクロカプセルが開発されています(以下URL)。
液体コアとシェルを有するコアシェルマイクロカプセル→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7625584/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(シェルを構成するポリ尿素の重合反応条件の最適化、タウリン添加がポリマー物性に与える影響の評価、重合速度を制御するための反応温度や触媒の検討、タウリンの配合比率と最終的なシェル強度・柔軟性との相関関係の解析、ポリマーの熱安定性の評価およびタウリンの極性が界面重合に与える影響のメカニズム解析)、薬学(マイクロカプセルに内包されたピロクトン化合物の放出プロファイルの評価、頭皮上での持続的な薬効の検証、頭皮の環境(pH、皮脂、温度など)を模倣したin vitro放出試験系の構築、放出速度論に基づいたピロクトン化合物の動態解析、カプセル崩壊度と薬効持続性の関係の評価、in vivo試験による抗ふけ効果の臨床的検証)
従来、美白成分であるアルキルレゾルシノールと抗老化成分であるレチノイドを併用すると、組成物の色が不安定になりやすいという問題がありました。
これに対して、美白作用を持つ油溶性アルキルレゾルシノールとシワ改善などの効果を持つレチノイドが配合された化粧品組成物であり、Hansen総溶解度パラメーターが16から22の特定の範囲にある油性成分が全体の14から28重量%という高濃度で配合され、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)とジラウリルチオジプロピオネートを特定の重量比で含む活性な抗酸化剤混合物を加えられることで、化学的に不安定な両有効成分が酸化によって変色するのを防ぎ、製品の色調が長期間にわたり安定する化粧品組成物が開発されています(以下URL)。
美白・抗老化成分を配合した化粧品組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7618662/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(活性成分と賦形剤の相互作用の解析、組成物の物理化学的安定性を確保するための最適な原料選定と配合比の決定、Hansen溶解度パラメーターを用いた適切な油性溶媒のスクリーニング、BHTとジラウリルチオジプロピオネートの酸化防止における相乗効果のメカニズム解明、各種配合比における活性成分の長期保存安定性試験の実施)、生物学(組成物全体の肌に対する安全性と美容効果の検証、皮膚モデルを用いた経皮吸収性の評価、細胞培養系を用いた美白および抗老化作用のin vitro評価、ヒト被験者による臨床試験での皮膚刺激性試験(パッチテスト)、色素沈着やシワに対する有効性の評価)
従来のフケ防止剤は高い抗真菌効果を得るために高濃度で使用する必要があり、コストが高いという問題がありました。
これに対して、ピロクトンオラミンという既存の抗真菌剤をイタコン酸またはそのエステルと安息香酸またはその塩と組み合わせた抗微生物性組成物であり、ピロクトンオラミンが1:10〜1:250の重量比で他の二成分と配合されるように調整されることでピロクトンオラミンの低濃度での効果を高め、この三成分の組み合わせがフケの原因となる真菌(マラセチア・フルフル)の増殖に対して単独または二成分での使用よりも抗真菌作用を発揮することにより、有効成分の総量を減らしつつフケ防止効果を維持できて製品のコストを抑えることが可能になる抗微生物性組成物が開発されています(以下URL)。
フケの原因となる真菌の増殖を抑制する抗微生物性組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7717675/15/ja
関連する専門分野の例:薬化学(ピロクトンオラミン、イタコン酸、安息香酸の分子構造を基にそれぞれの抗真菌作用メカニズムの解明、各成分が真菌細胞の代謝経路や細胞壁合成にどのように影響するかの評価および高い相乗効果を発揮する新規誘導体の合成の検討)、微生物学(マラセチア・フルフルの培養条件の最適化、各種成分の最小発育阻止濃度の測定、複数の成分を組み合わせた際の相乗効果の評価、組成物の長期保存における抗菌活性の変化や他の皮膚常在菌への影響の解析)
具体例として詰め替えカプセルのキャップアセンブリが挙げられます。
従来の詰め替えシステムでは濃縮液の取り扱いが不便で希釈時の濃度調整が難しく、こぼれるリスクがありました。
これに対して、洗浄剤の濃縮液を充填したカプセルに装着するキャップアセンブリであり、易破断接続部でシールされた閉塞部材と周囲に円周方向の空隙が設けられた内壁と外壁で構成され、内壁と外壁の間は接続壁で隔てられ、内部導管を通る流体の流れのみを許容し、キャップアセンブリが詰め替え容器にねじ込まれると容器のリムがプラグを押し上げてプラグが閉塞部材を圧迫し、閉塞部材が易破断接続部で円周方向に破断して内部の濃縮液が排出される構造により、濃縮液が外部に漏れることなく正確な量が安全に分注されるため、ユーザーは希釈の手間やリスクから解放されるキャップアセンブリが開発されています(以下URL)。
詰め替えカプセルのキャップアセンブリ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7625539/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(液体を精密に分注して混合するシステムの挙動の解析および装置の最適化、キャップアセンブリ内の流体の流れ(流体力学)と易破断接続部の破断に必要な力(材料力学)の解析、プラグが閉塞部材を押し込む際の圧力分布や液体が導管を流れる際の抵抗の計算、材料の厚みや形状が分注効率に与える影響の評価)、機械工学(詰め替えシステム全体の機械的設計、キャップアセンブリとプラグの射出成形に適した形状の設計、製造時の公差を考慮した設計、ユーザーがキャップを回した際のトルクと易破断接続部が破断する際の力との関係の解析、適切な操作感と確実な破断を両立させるための機構の検討)
具体例として高速押出成形に適した高水分石鹸バーの組成物が挙げられます。
既存技術には石鹸バーの水分を増やすと軟化して製造時の押出成形性が低下すること、また、硬度を上げるために電解質を加えるとひび割れや表面に白い粉を吹くエフロレッセンスが発生するという問題がありました。
これに対して、重量で25〜40%の水分レベル、20〜75%の無水石鹸およびデンプンやカルボキシメチルセルロースなどの構造化剤を含有する押出石鹸バー組成物であり、アルカリ金属塩化物とアルカリ金属クエン酸塩またはアルカリ金属硫酸塩との組合せである電解質の量が水のレベルに応じて特定の数式(一次式および二次式)で規定される特定の配合量とされることで、高い水分レベルを維持しながら押出成形が可能な適切な硬度と低い粘着性を両立させ、電解質に起因する過度のひび割れやエフロレッセンスの発生を回避する押出石鹸バー組成物が開発されています(以下URL)。
高速押出成形に適した高水分石鹸バーの組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7520860/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(水、石鹸、電解質、構造化剤の相互作用の評価、石鹸のレンガとモルタル構造(可溶性相と不溶性相)に電解質が与える影響を核磁気共鳴(NMR)やX線回折などの分析手法を用いて解析、異なる炭素鎖長の石鹸や各種電解質を配合した複数の試作品の作製および組成と最終的な硬度、粘着性、ひび割れ耐性との相関関係の評価)、化学工学(組成物を大量生産するためのプロセス全体の設計、配合物の粘度、弾性などの解析、毎分200本以上の高速押出成形に適した運転条件(押出機のスクリュー形状、回転数、ノズル温度・圧力など)の決定、ひび割れやエフロレッセンスの発生を抑制するための押出後の冷却プロセスの設計と制御方法の確立、最適な冷却速度や温度条件の決定)
具体例として化粧品(特にヘアケア製品)のすすぎ特性を定量的に測定する方法が挙げられます。
既存技術では、泡の量を目視で測定する従来の評価方法が水温や流量、作業者によって結果にばらつきが生じ、正確性や再現性に欠ける点が問題でした。
これに対して、ヒトの毛髪表面に組成物を適用し、水ですすいだ後にそのすすぎ水を一定量ずつ集め、各サンプルの濁度を連続的に測定する工程を濁度が一定値に達するまで繰り返すことですすぎの終点を客観的に決定することができ、従来の泡の測定に代わり濁度計を用いることでより正確で迅速な測定が可能になり、この方法を第1の組成物と第2の組成物で比較することで、それぞれの相対的なすすぎ速度を決定し、効率的なすすぎが可能な組成物の開発に貢献するすすぎ特性の測定方法が開発されています(以下URL)。
化粧品のすすぎ特性を定量的に測定する方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7562667/15/ja
関連する専門分野の例:分析化学(水の硬度、pH、温度、流量および組成物の塗布量といった外部要因が濁度測定値に与える影響の解析、多成分系であるすすぎ水中の微粒子(未溶解成分、ミセルなど)のサイズや濃度分布の測定および濁度計による評価の妥当性の検証)、界面化学(組成物中の界面活性剤やポリマーなどの成分が毛髪表面にどのように吸着してすすぎ水中でどのように挙動するかの解明、毛髪や皮膚のモデル表面を用意してカチオン性界面活性剤や脂肪アルコールの吸着・脱着挙動の評価、組成物の構造(ゲル相、ミセルなど)とすすぎ特性との関係性の評価、すすぎ速度を向上させるための新規界面活性剤や添加剤の分子設計指針の導出)
(3)ロレアル|開発トレンドと専門性

A61Kが最も多いです。次いでA45Dが多いです。
具体例としてレチノール(脂溶性ビタミンであるビタミンAの1つの形態)安定化のための化粧品組成物が挙げられます。
従来、レチノールは高い抗老化効果を持つ反面、光、酸素、熱などにより分解しやすく、不快な匂いを発するという不安定性が問題でした。
これに対して、レチノールを主成分とする水中油型乳化ゲルの形態の組成物であり、レチノール、特定の抗酸化剤であるペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル、特定のキレート剤であるエチレンジアミンジコハク酸塩を必須成分とし、これらに加えて組成物の安定性と使用感を向上させるために特定の含有量でポリオール、親水性ゲル化剤、ポリエチレングリコールと特定の酸のグリセリドの誘導体、不揮発性エーテル油、不揮発性モノエステル油が配合されることで、レチノールの分解が抑制されて長期にわたり安定性が確保される化粧品組成物が開発されています(以下URL)。
レチノール安定化のための化粧品組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7554268/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(レチノール、ペンタエリスリチルテトラヒドロキシケイ皮酸ジ-t-ブチル、エチレンジアミンジコハク酸塩、その他の油性成分や界面活性剤の化学構造、反応性、相互作用の解析、各成分の分子軌道計算、反応経路の予測、レチノール分解におけるラジカル捕捉反応の動力学解析、分子間相互作用(水素結合、疎水性相互作用など)のシミュレーション、最適な配合比率や製造条件の検討)、製剤学(水中油型乳化ゲルの物理化学的安定性、レオロジー特性(粘性、弾性)、経皮吸収性の評価、化粧品としての性能と使用感を最適化する製造プロセスの確立、ゲル化剤の種類と濃度がゲルの硬度やチクソトロピー性に与える影響の測定、各成分の溶解度と分散安定性の評価、レチノールの経皮吸収速度のin vitro試験系での評価、組成物の効果を最大化する製剤設計)
既存のテカリ抑制技術では皮脂吸収性フィラーなどが使用されますが、肌に不快なケバつきやざらつき感を与えるという問題がありました。
これに対して、水中油型エマルションの形態であり特定の3つの成分を含有する組成物であり、第1に肌の余分な皮脂を吸着してマット効果を発揮する疎水性シリカエアロゲル粒子を組成物全体の0.5~13重量%という比較的高い割合で含有し、第2にカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリドに代表されるエステル油を1~15重量%含有し、第3にジカプリリルエーテルなどに代表されるエーテル油を2~20重量%含有し、このエーテル油とエステル油の重量比が1~2の範囲とされる組み合わせによって、ベタつきやひきずり感を解消して滑らかで心地よい使用感を実現する組成物が開発されています(以下URL)。
肌のテカリを抑制する組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7407819/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(疎水性シリカエアロゲル粒子と油相(エステル油とエーテル油)間の相互作用の解析、エマルション中のエアロゲル粒子の分散状態と凝集挙動の評価および油相の組成が粒子の安定性に与える影響の分析、油相の粘度やエマルションの構造が温度変化やせん断応力に対してどう振る舞うかの確認および製剤の安定性や塗布時の感触変化の予測、特定の油(エーテル油、エステル油)がエアロゲル粒子にどのように吸着・吸収されるかの解析)、有機化学(エーテル油やエステル油および疎水性シリカエアロゲルの表面を改質するシリル化剤の目的に合わせた分子設計、ジカプリリルエーテルのようなエーテル油やカプリル酸/カプリン酸トリグリセリドのようなエステル油の工業的な合成プロセスの最適化、シリル化剤のアルキル鎖の長さや分岐度の変更によるエアロゲル粒子の疎水性や油相との親和性の微調整手法の検討)
従来の泡状クリームは軽いテクスチャーを実現する一方で、不安定で分離しやすい、あるいは重くべたつくという問題がありました。
これに対して、水中油型エマルションに空気を導入してフォーム状の軽いテクスチャーを持たせた含気組成物であり、加工デンプン、乳化剤、油分散性構造化剤、増粘剤、油性相および水性相を必須成分として含み、ヒドロキシプロピルデンプンホスフェートなどの加工デンプンが組成物全体に対して4重量%以上と高配合され、さらにステアリン酸グリセリルやシアバターなどの油分散性構造化剤が特定量で組み合わされることで、皮膚に塗布した際に軽やかで新鮮な感触と、べたつきのない快適な使用感を与える化粧品組成物が開発されています(以下URL)。
新鮮な使用感を与える化粧品組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6883426/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(乳化剤、加工デンプン、増粘剤、油分散性構造化剤が油-水界面や気泡-液界面でどのように吸着して安定な構造を形成するかの評価、フォーム中の気泡のサイズ分布、気泡の合一速度やエマルションの分離の追跡および各成分の役割の解明、安定化に寄与する物理化学的な要因の特定、組成物の粘弾性特性の測定および感触(塗り広げやすさ、べたつきのなさ)にどのように影響するかの解析)、有機化学(加工デンプン(例:ヒドロキシプロピルデンプンホスフェート)の化学修飾の程度や分子鎖の長さ・分岐度が水中での膨潤性や粘度にどう影響するかの評価、ステアリン酸グリセリルやシアバターといった油分散性構造化剤の融点、結晶性、および油相中での溶解度がエマルションの油滴や気泡の安定化にどう関わるかの解析)
具体例としてマイクロ波を利用して毛髪をカールさせるデバイスが挙げられます。
従来のパーマ液は高濃度の化学物質を含み、髪や頭皮への刺激や不快な臭気、髪の不可逆的な劣化を引き起こす問題がありました。
これに対して、毛髪に機械的応力を与えるカーラー、そのカーラーおよび毛髪の一部を収容するマイクロ波不透過チャンバー、カーラー内部に配置された螺旋状のマイクロ波放出アンテナで構成されたデバイスであり、チャンバーはカーラーの着脱を可能にする開閉機構(ドロワーや旋回カバー)を有し、閉鎖位置でマイクロ波を外部に漏らさないようになっており、この状態で螺旋状アンテナからマイクロ波が放出され水分を介して毛髪を均一に加熱することにより、化学物質の使用を最小限に抑えつつ毛髪のケラチン構造を再構築し、長期間持続するカールを形成することが可能になるデバイスが開発されています(以下URL)。
マイクロ波を利用して毛髪をカールさせるデバイス→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7049354/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(イクロ波放出アンテナの設計、電磁界シミュレーション、安全性の検証、マイクロ波周波数(2.45GHzなど)、出力、螺旋形状のピッチや半径といったパラメータが毛髪への加熱効率と均一性に与える影響のシミュレーション、チャンバーの閉鎖機構におけるマイクロ波の漏洩量の測定および国際的な安全基準を満たすためのシールド設計の最適化)、材料工学(デバイスを構成する各部品の材料選定と性能評価、マイクロ波に対する物性(誘電率、誘電正接)と熱的安定性の検討、マイクロ波が透過して毛髪を効率的に加熱できるようカーラー本体の材料(PTFEなど)の誘電特性の測定・評価、マイクロ波不透過チャンバーの内面に施される導電性コーティング(静止状態ではスリットを塞ぐ構成)についてマイクロ波遮断性能、耐久性、繰り返し使用における変形や劣化がないかの検証)
従来のヘアアイロンは髪に塗布された化粧品が溶けて流れ出し、手や床を汚したり、使用者を不快にさせるという問題がありました。
これに対して、髪の房に沿って動かす直毛化アイロンとそれに結合された収集具から構成されたヘアアイロンであり、収集具はアイロンの動作によって髪から絞り出される水や化粧品からなる液体や泡状の流出物を集めるためのもので流出物を受け取る容器と容器上に取り外し可能に配置された格子を有し、格子は流出物を容器内に導き不慮のこぼれを防ぐ機能を持ち、保持部材によって流体の流れを誘導し、収集具は摺動、スナップ留め、ねじ留め、磁気吸引などの方式でアイロンに固定され、衝撃や化学物質、熱に強い材料で構成されたこれらの技術要素により、髪の手入れをより清潔で安全におこなえるヘアアイロンが開発されています(以下URL)。
水や化粧品が付着した髪を整える際に生じる液体を回収する機構付きヘアアイロン→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6595465/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学( ヘアアイロン本体と収集具を統合したアセンブリ全体の構造設計および固定機構の最適化、収集具とヘアアイロンの結合部における摺動・スナップ留め・ねじ留めといった各固定方式の繰り返し着脱に対する耐久性や使用中の安定性の評価、流出物のスムーズな回収を可能にする容器と格子の形状の設計)、化学工学(髪に用いる化粧品組成物の熱応答特性の解析、流出物の回収に最適な材料や構造の決定、さまざまな化粧品(例えば、油性、水性、エマルジョンなど)を対象にヘアアイロンの加熱プレート温度下での粘度変化、相変化(液化、発泡など)および熱分解挙動の分析)
従来のアプリケータは睫毛を適切に捉え分離する能力や製品を均一に塗布する性能が不十分でした。
これに対して、成形材料からなるアプリケータ部材を備え、この部材は長手方向軸を持つコアとそのコアから突出する多数のスパイクで構成され、このスパイクがコアの軸に実質的に垂直な対向する2つの辺を持つ、少なくとも6辺の凸多角形断面(好ましくは六角形)を有し、また、スパイクはコアの周囲に周方向に延びるクラウン(アプリケータのコアを輪状に取り巻くスパイクの列)を形成しており、隣接するクラウン間でスパイクの数が異なるように配置(例えば、あるクラウンがn1個のスパイクを持つなら隣接するクラウンはn2個のスパイク(n2>n1)を持ち交互に配列)され、これにより、睫毛をスパイク間に効果的に導入し、製品との接触面積を増大させて睫毛を適切に分離して製品を均一に塗布する効果が得られるアプリケータが開発されています(以下URL)。
マスカラ用アプリケータ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6366701/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(アプリケータ部材の材料選定と成形プロセスの最適化、製品(マスカラ液など)との化学的適合性や洗浄時の耐久性の評価、成形後の寸法安定性や表面の平滑性が目標性能を満たすかの検証)、機械工学(スパイクの幾何学的配置と構造の力学的特性の解析、スパイクの断面形状(六角形)と隣接クラウン間のスパイク数変化が、睫毛への引っかかりや抵抗にどのように影響するかの解析、睫毛をより効果的に分離して均一に製品を塗布できる最適なスパイク配置(角度、高さ、間隔)の設計)
(4)ヘンケル|開発トレンドと専門性

Ⅽ09Jが最も多いです。次いでA61K、Ⅽ08G、Ⅽ08L、Ⅽ08Fが多いです。
具体例としてホットメルト接着剤が挙げられます。
従来のホットメルト接着剤は塗布時の糸引きや接着後の耐熱性、高温環境下での接着強度に問題がありました。
これに対して、4つの必須成分を特定の比率で含むホットメルト接着剤であり、ベースポリマーとして、(A)メタロセン系プロピレン/エチレン共重合体とメタロセン系エチレン/オクテン共重合体(広い温度領域での接着性と耐熱性)、(B)エチレンとエチレン性二重結合を有するカルボン酸エステルとの共重合体(塗布時の糸引きを抑制)、(C)粘着付与樹脂(初期接着力の向上)、(D)ワックス(溶融粘度を下げ、低温での塗布性や高速での固化性能(高速セット性)の向上)により、幅広い温度環境下でも接着強度と熱安定性を示す接着剤が開発されています(以下URL)。
ホットメルト接着剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7536133/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(各ポリマーの分子構造と物性との関係の分析、メタロセン触媒を用いて合成された各共重合体(プロピレン/エチレン、エチレン/オクテンなど)の構成モノマー比率や分子量分布、結晶性、分岐構造が接着剤の溶融粘度や耐熱性、接着強度にどう影響するかの分析)、化学工学(接着剤の製造プロセスにおける各成分の混合条件の最適化、(A)〜(D)の各成分を溶融混合する際の混合温度、攪拌速度、混合時間といった製造パラメータの検討、さまざまな混合条件下でのゲル化の有無や粘度の均一性、熱安定性(炭化物の発生抑制)の評価、大量生産スケールでも安定した品質の接着剤を効率的に製造するためのプロセスの構築)
従来のオレフィン系ホットメルト接着剤は初期接着力、保持力、剥離性のバランスが不十分で粘着剤としての用途に適していませんでした。
これに対して、(A)メタロセン系プロピレンホモポリマーと(B)メタロセン系エチレン/α-オレフィンコポリマーとの配合(粘着力、保持力の向上)、(C)粘着付与樹脂(初期接着強度の向上、部材への容易な貼り付け)、可塑剤として、(D1)低分子量のオイルと(D2)特定の重合体の組合わせ(柔軟性の向上、過度な剥離強度や糊残りの抑制)により、部材への貼り付けやすさ、保持力、剥離性のバランスのとれたホットメルト接着剤が開発されています(以下URL)。
特定のオレフィン系ポリマーと可塑剤が組み合わされたホットメルト粘着剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7289952/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(ホットメルト接着剤の主成分であるポリマーの分子構造と粘着性能の関係の解析、(A)と(B)の重合条件(触媒の種類、モノマー比率、重合温度など)の制御による分子量、分子量分布、結晶性の調整、ポリマーの配合により貯蔵弾性率や損失弾性率が初期接着強度、保持力、剥離性にどのように影響するかの評価)、化学工学(各成分の配合プロセスの最適化、複数の異なる物性を持つ成分(固体ポリマー、粘性樹脂、オイルなど)を均一に混合するための攪拌翼の形状や攪拌速度、混合釜の温度プロファイルの設計、接着剤の製造過程における熱履歴がポリマーの劣化(分子量低下、炭化物の生成など)に与える影響の評価)
従来の接着剤は作業時間が長いと硬化にも時間がかかり、作業効率が悪いという問題がありました。
これに対して、(a)第1パートに(メタ)アクリレート成分と特定の構造を有するアミンを含み、(b)第2パートに従来のベンゾイルペルオキシドの代わりに、特定の直鎖の炭素数を持つ脂肪酸ペルオキシドを第2パートの20重量%~60重量%で含む構成により、2つのパートの混合後もすぐに硬化が始まらず、塗布などの作業に時間を確保でき、一度硬化が始まるとアミンの触媒作用と脂肪酸ペルオキシドの働きによって速やかに硬化が完了する硬化特性を実現する2パート硬化性組成物が開発されています(以下URL)。
(メタ)アクリレート成分およびアミンを含む第1パートと脂肪酸ペルオキシドを含む第2パートとを含む2パート硬化性組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7724220/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(接着剤の硬化反応メカニズムの解析、ラジカル重合開始剤である脂肪酸ペルオキシドと重合促進剤である特定のアミンの構造が硬化反応速度に与える影響の解明、電子吸引基の位置や数、アルキル鎖の長さが反応性にどう影響するかの検証、副反応の抑制や目的とするポリマー構造を効率的に得るための分子構造の設計)、高分子化学(接着剤の硬化後の物性(強度、耐熱性、耐久性など)の評価、ガラス転移温度の測定および接着剤の耐熱性の評価、引張試験やせん断試験で機械的強度の測定および接着力が向上する要因の解析、電子顕微鏡による添加されたフィラーやブロックコポリマーの分散状態の観察および接着剤の靭性や衝撃強度に与える影響の検証)
具体例として特定のシラン化合物と着色剤を組み合わせた2剤式の毛髪染色方法が挙げられます。
従来の顔料や直接染料による毛髪染色は色の強度や洗髪に対する耐久性が不十分でした。
これに対して、有機C1-C6アルコキシシランやその縮合物、顔料、直接染料からなる第一組成物(A)と酸性化剤からなる第二組成物(B)の2つの組成物をケラチン物質(特に毛髪)に適用する方法であり、第一組成物(A)を毛髪に塗布し、次いで第二組成物(B)で後処理をおこなうことにより、シラン化合物が毛髪上で強固な被膜を形成し、顔料や染料をその被膜内に閉じ込めることができ、シラン化合物が有する塩基性官能基が酸性化剤との相互作用によって重合を促進して強固な被膜を形成することで、従来よりも色強度、洗浄堅牢性、摩擦堅牢性を向上させることができる毛髪染色方法が開発されています(以下URL)。
特定のシラン化合物と着色剤を組み合わせた2剤式の毛髪染色方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-548693/11/ja
関連する専門分野の例:有機化学(有機ケイ素化合物の合成と構造解析、毛髪への密着性や耐久性を高めるための最適な分子設計、アルコキシシランの加水分解・縮合反応を制御するための反応条件(pH、温度、溶媒)の最適化および毛髪表面のケラチンとの相互作用の解明、さまざまな官能基(アミノ基、アルキル基など)を持つシランの合成および官能基が被膜の形成速度、厚さ、着色剤の保持力に与える影響の評価)、界面化学(組成物中の顔料の分散安定性と毛髪表面への吸着メカニズムの解明、顔料粒子の表面特性(表面電荷、親水性/疎水性)の調整およびシラン化合物と顔料の相互作用の制御による毛髪への均一な顔料の吸着とシラン被膜内での安定な固定化の実現、顔料の粒度分布の測定および被膜の透明性や色強度に最適な顔料粒子のサイズや形状の決定)
従来のブリーチ剤は髪を明るくする効果が高い一方で、髪の主成分であるタンパク質を破壊し、髪がもろくなるなどのダメージを与えるという問題がありました。さらに、化粧品に使用される一般的な錯化剤であるEDTAは生分解性が低く、環境負荷が懸念されていました。
これに対して、酸化剤である過硫酸塩、アルカリ化剤、特定の錯化剤を含む乾燥した粉末状の組成物であり、従来使用されていたEDTAの代わりに、金属イオンへの親和性が高いグルタミン酸二酢酸4ナトリウム(GLDA)が特定の重量%で配合されており、GLDAは髪のブリーチやカラーリングの際に水道水や髪の毛に含まれる銅イオンや鉄イオンなどの金属と反応して活性酸素種が生成されるのを防ぐことで髪のタンパク質が酸化的に分解されるのを抑制し、髪へのダメージを最小限に抑えつつ過酸化水素の脱色効果を引き出すことができ、提供時は水分含有量が10.0重量%未満の乾燥した状態で、使用時に過酸化水素含有剤や水と混合されることでアルカリ性のブリーチ剤として機能するものであり、このようにGLDAが用いられることで環境に配慮しつつ髪のダメージを低減してブリーチング効果を両立する化粧剤が開発されています(以下URL)。
髪のブリーチやカラーリングに使用する化粧剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7579786/15/ja
関連する専門分野の例:薬化学(GLDAが髪の酸化プロセスにおいてどのように金属イオンと錯体を形成して活性酸素種の生成を抑制するのかという錯形成反応の化学的メカニズムの解明、GLDAと銅イオン、鉄イオンなどとの錯形成定数の測定および既存の錯化剤であるEDTAとの比較、分子軌道計算や分子動力学シミュレーションによる錯体の立体構造や安定性、反応経路の予測、GLDAの錯化能力がなぜ優れているのかの解明)、生化学(システインやシスチンに対するGLDA含有化粧剤の作用の分析および髪のダメージ抑制効果の検証、ブリーチ処理前後の髪の毛のシステイン含量やシステイン酸含量の変化の評価、髪の表面構造の観察およびキューティクルの損傷度合いの評価、GLDAが髪のタンパク質構造を保護するメカニズムの解明)
具体例として硬化性ポリウレタンポリマーを主成分とする接着剤が挙げられます。
従来の接着剤やコーティング材、石油由来の原料に大きく依存しており、持続可能性や環境負荷の面で問題がありました。
これに対して、再生可能な植物油由来の油性骨格(A)、ウレタン結合(U)、および(メタ)アクリレート含有基やアルコキシ含有基などの官能基(MA)からなる「MA-U-A-U-MA」という構造を持つ重合性ポリマーを主成分とする接着剤であり、このポリマーはヒドロキシル化された大豆油などの植物油とジイソシアネートや特定のアルコキシ含有化合物との反応で合成(植物油由来成分がポリマーの30〜70重量%)されることにより、石油由来の原料に頼らずとも接着剤として性能を発揮することができる持続可能な接着剤が開発されています(以下URL)。
硬化性ポリウレタンポリマーを主成分とする接着剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7374164/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(再生可能な植物油を原料とするポリウレタンポリマーの合成経路の最適化およびポリマーの分子構造解析、植物油の二重結合をヒドロキシル基に変換する反応の収率向上やイソシアネートとのウレタン化反応における触媒や反応条件(温度、時間など)の最適化、NMR、IR、GPCなどの分析機器により合成されたポリマーの分子量、官能基の種類と数や分子構造の特定・検証)、材料工学(合成ポリマーの物理的・化学的性質の評価および接着剤としての性能を最大限に引き出すための配合設計と硬化プロセスの検討、接着強度、耐熱性、耐水性、柔軟性、耐久性といった接着剤の性能を評価するための試験方法の確立、ポリマーの組成や官能基の比率、硬化剤の種類や添加量の調整による接着剤の粘度や硬化速度の制御)
従来の接着剤は光硬化性か湿気硬化性のいずれかであり、それぞれ一長一短でした。
これに対して、ポリオキシエチレンやポリエステルなどのポリマー主鎖に光で硬化する(メタ)アクリレート基(式I)と湿気で硬化するアルコキシシリル基(式II)がウレタン結合や尿素結合を含む連結基を介して導入された二重硬化性ポリマーであり、OH末端を持つポリマーにジイソシアネートを反応させてNCO末端のポリマーが合成された後、このNCO末端に(メタ)アクリレート含有化合物とアルコキシシリル含有化合物の反応により両末端に異なる硬化性官能基を持たせることで、光による迅速な仮硬化と湿気による確実な最終硬化を両立させることができる二重硬化性ポリマーが開発されています(以下URL)。
UVなどの光と湿気の両方で硬化する放射線/湿気二重硬化性ポリマー→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7728179/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(原料となるポリオール(ポリエーテル、ポリエステルなど)の分子量、分子量分布、官能基数の制御、(メタ)アクリレート基やアルコキシシリル基をポリマー末端に効率的に導入するための最適な反応条件(温度、触媒、溶媒、反応時間など)の確立、合成したポリマーの構造をNMR、IR、GPCなどにより解析)、材料科学(ポリマーの硬化メカニズム(ラジカル重合、シラノール縮合)の解析、硬化速度や最終的な架橋密度の評価、硬化後の接着剤の機械的特性(引張強度、伸び率、弾性率)、熱的特性(耐熱性、Tg)、耐候性(UV耐性)、各種基材(金属、プラスチック、ガラスなど)に対する接着強度の測定および用途に応じた性能の最適化、フィラー、硬化触媒、光開始剤などの添加剤の種類や量の調整および組成物の加工性や最終的な製品性能への影響の評価)
具体例として非粘着性のホットメルト接着剤用カバー材料(ポリマー組成物)が挙げられます。
従来のホットメルト接着剤のカバー材料は接着剤の加工に必要な温度が大幅に上昇してしまうという問題がありました。
これに対して、表面が粘着性であるホットメルト接着剤ペレットを被覆するためのポリマー組成物であり、特定の融点を有するフィッシャー-トロプシュワックスと特定の軟化点およびメルトフローインデックスを持つ複数のメタロセン触媒型ポリオレフィンの特定の重量比での組み合わせにより、室温(20〜60℃)で非粘着性を保持し、ホットメルト接着剤ペレットの自動供給システムでの固着や凝集を防ぎ、取り扱いが容易なポリマー組成物が開発されています(以下URL)。
非粘着性のホットメルト接着剤用ポリマー組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6807858/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(高分子の構造と物性の関係の解析、フィッシャー-トロプシュワックスやメタロセン触媒型ポリオレフィンの分子量、分子量分布、立体規則性が組成物全体の非粘着性、溶融時の混和性などにどのように影響するかの解明、異なる分子量やアイソタクティシティを持つポリオレフィンを合成・選定してフィッシャー-トロプシュワックスとブレンドし熱特性、分子量、粘弾性挙動の測定・評価)、化学工学(ポリマー組成物を効率的に製造するためのプロセス設計と最適化、組成物をホットメルト接着剤に被覆する共押出しプロセスの工業化の検討、成分の混合からペレット化までの各工程における温度、圧力、流量などの運転条件の最適化、共押出機のダイ設計においてホットメルト接着剤コアとカバー材料が均一な厚みで被覆されるように押出圧力と温度プロファイルの制御、冷却工程でのペレットの固化速度の調整および非粘着性の表面を確実に形成するプロセスの確立)
従来のシリコーンシーラントは硬化する前に基材を保持する能力がなく、正確なシーリングが困難でした。
これに対して、まず融点未満に制御したポリアミドを加熱溶融し、次に攪拌しながらOH末端化された液体ポリシロキサンとアミノ官能性シロキサンを添加して混合する工程により、ポリアミドとポリシロキサンが均一に混ざり合い、熱可塑性を維持し、シリコーンシーラントの柔軟性や耐候性を持ちながら従来のホットメルト接着剤が持つ初期接着力(グリーン強度)を兼ね備えた接着剤の製造方法が開発されています(以下URL)。
初期接着力とシーラント特性を兼ね備えたホットメルト接着剤を製造するための方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6793646/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(ポリアミドとポリシロキサンという本来相溶しにくい2種類のポリマーを均一に混合するための界面・分子レベルの相互作用の解明、アミノ官能性シロキサン安定化剤がポリアミドとOH末端化ポリシロキサンの反応をどのように制御して組成物の相分離を抑制するかの分析、官能基の反応を追跡してブレンド物の相溶性や粘弾性挙動の評価により最適な分子構造や配合比の導出)、化学工学(ポリアミドとポリシロキサンを効率的かつ安全に製造するための混合プロセス(加熱、攪拌、冷却)の工業生産用最適化、混合器の設計(攪拌羽根の形状、回転数)や温度プロファイル(加熱・冷却速度)が組成物の均一性や安定性に与える影響の検証、押出機や反応器の熱および物質収支の解析、各成分の添加順序や速度、混合時間などの制御による製品の品質を一貫して保ちながらエネルギー消費を最小限に抑えるための設計)
具体例として活性・非活性両方の表面に接着して大きな隙間でも不粘着に硬化する2液性アクリレート系接着剤が挙げられます。
従来の嫌気性接着剤は空気遮断が必要なため、大きな隙間では硬化せず、表面が粘着性を帯びる問題がありました。
これに対して、硬化性(メタ)アクリレート成分と過酸化物および特定の構造を持つフェノール脂質を含む第1液(パートA)と硬化性(メタ)アクリレート成分および遷移金属成分を含む第2液(パートB)から構成される2パート硬化性組成物であり、過酸化物と遷移金属のレドックス反応でフリーラジカルを発生させるアクリレート硬化システムに特定のC10〜C30脂肪族側鎖を持つフェノール脂質が組み込まれることでフェノール脂質が硬化を促進し、酸素による重合阻害を抑制することにより、金属やプラスチックの活性・非活性を問わず、大きな隙間でも硬化して表面がベタつかない不粘着性を実現する硬化性組成物が開発されています(以下URL)。
活性・非活性両方の表面に接着して大きな隙間でも不粘着に硬化する2液性アクリレート系接着剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7234212/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(フェノール脂質が硬化反応において果たす役割の解明および高機能な誘導体の設計、フェノール脂質の側鎖Rの長さや不飽和度、官能基R1およびR2の種類が過酸化物の分解やラジカル重合の効率に与える影響の評価、ラジカルの発生と寿命の測定および反応中間体や生成物の構造の特定によりフェノール脂質が触媒的役割を果たすメカニズムの解明)、材料科学(接着剤の硬化後の機械的特性(強度、柔軟性)とさまざまな被着体(基材)への接着性の評価・最適化、接着剤組成物の硬化速度、硬度、引張強度および接着剪断強度の評価、硬化性成分、フェノール脂質、増粘剤、充填剤などの配合比率や種類を変化させて得られる硬化物の架橋密度や微細構造(例えば、相分離の有無)の分析、金属やプラスチックなど異なる基材に最適な接着性能を発現させるための配合設計指針の確立)
(5)まとめ
洗剤、化粧品、接着剤などの組成物(化学品)、吸収性物品(おむつなど)、容器などの物理的的形状を有する成形品に関する出願が多く確認されます。
これらに関する開発がおこなわれていることが推測されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)P&G

詳細は省略します。
(2)ユニリーバ
共同出願は確認されませんでした。
(3)ロレアル

詳細は省略します。
(4)ヘンケル

詳細は省略します。
(5)上記(1)~(4)(共同出願人)のまとめ
共同出願は多くないです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・化学系分野(有機化学、物理化学、界面化学、化学工学、高分子化学、応用化学、分析化学、生化学など)
界面活性剤分子の構造設計と合成プロセスの確立、特定のアルキル鎖長分布を制御する合成方法の検討、目的の化合物純度を達成するための反応条件の最適化、複数の界面活性剤を混合した際の物理化学的特性の解析、製品の流動性や洗浄メカニズムの解明、さまざまな使用環境下での性能を予測するための評価手法の確立、界面活性剤の多成分系における分子間相互作用の解析、液体/固体界面、液体/気体界面における分子配向・凝集構造の検討、固形物の製造・配合プロセスの最適化、機能性高分子材料の設計、重合プロセスの最適化、高分子物性の評価と制御、生体への影響評価などが求められます。
・薬学系分野(薬化学、薬理学、薬学、製剤学など)
有効成分の分子構造設計と最適化、組成物の化学的安定性に関する検討、成分間の相互作用メカニズムの解析、in vitro/in vivo試験による有効性評価系の構築、標的分子・細胞への作用機序の解明、毒性・刺激性評価による安全性プロファイルの確立、活性物質の動態と効果の解析、放出制御機構の設計と評価、製剤の物理化学的安定性の評価などが求められます。
・材料系分野(材料工学、材料科学など)
高分子複合材料の構造設計、弾性体・非弾性体の機械的特性評価、繊維材料の表面特性解析、複合材料の耐久性・信頼性試験、要求される機能とコストを両立させるための材料選定、製造プロセスにおける材料の熱的・機械的特性の検討、マイクロ波透過性と熱的安定性を持つ誘電体材料の選定、電磁波を効果的に遮蔽する導電性材料の創製と加工などが求められます。
・機械系分野(機械工学など)
多層材料の精密な供給・積層システムの設計、ウェブの張力・位置を制御する機構の検討、各加工工程における物理的特性の定量的な解析と最適化、製品構造と製造機械の相互作用の評価、外部応力に対する製品の変形と安定性の物理的解析などが求められます。
・生物系分野(生物学、微生物学など)
有効成分の分子レベルでの作用機序の解析、製品の安全性と細胞毒性の評価、細胞・組織モデルを用いた薬効の検討、標的微生物の増殖阻害に関する評価系の構築、抗菌作用のメカニズム解析と相乗効果の検討などが求められます。
・電気系分野(電気工学など)
マイクロ波発生源の選定と制御回路の設計、電磁界解析によるアンテナとチャンバーの相互作用の最適化、人体安全性とデバイス性能を両立させる電磁波シールドの設計と検証などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
日用品・化粧品メーカーの特許出願は洗剤、化粧品、接着剤などの化学品や吸収性物品(おむつなど)、容器などの成形品に関するものが多く、当該分野の開発が多くおこなわれていることが推測されます。
大学の専攻と関連づけるとしたら、主に化学、薬学、材料、機械における研究分野が該当する可能性があります。
また、生物や電気における分野も関係する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
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