今回は電気設備工事業界に焦点をあてます。
電気設備工事業界は電力業界(以下のリンク先)と密接な関係にあります。
過去記事:電力業界
電気設備工事は建物やインフラに電力を供給する上で不可欠な役割を果たしています。
しかし、その技術開発の多くは表からは見えづらいのが実情です。
これを特許情報からみていきます。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
今回は、電力会社系列の電気設備工事6社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。
結論(概要)は以下の通りです。
・機械系分野(機械工学、生産システム工学など)
・材料系分野(材料工学、材料科学など)
・電気系分野(電気電子工学、電気工学、電子工学など)
・情報系分野(情報工学、ソフトウェア工学、制御工学など)
・土木、建築系分野(土木工学、建築学、地盤工学など)
・その他系分野(化学工学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 電気設備工事業界
2.1 電気設備工事業界とは
ここでは、ビルや工場、インフラ施設などにおいて電力の供給・制御、照明、空調、通信網などを構築する専門工事業界を意図します。
2.2 サーチ対象
以下の電力会社系列の電気設備工事6社を対象にしました。
(2)きんでん
(3)トーエネック
(4)九電工
(5)中電工業
(6)ユアテック
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
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法人向け |
・地中送電線路などでケーブルの滑落や波乗り現象による移動を抑制するための小スペースケーブル移動抑制装置 |
・商用電力系統の周波数低下時に、無停電電源装置を電力供給源として活用する調整力提供方法 |
3.2 出願件数の推移
下図は電気設備工事6社の特許出願件数の推移です。

企業によって出願件数に差があり、また、年によってもばらつきが大きいです。
出願件数は他のメーカーなどに比べると少ないです。
ただ、6社とも一定程度、特許出願をおこなっており、そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
関電工>トーエネック≒きんでん>ユアテック>九電工>中電工
だと言えます。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
火災の防止または封じ込めなどがこれに該当します。
九電工がこの分野から多く出願しています。
静電噴霧装置などがこれに該当します。
中電工がこの分野から多く出願しています。
液体または他の流動性材料を適用する方法などがこれに該当します。
中電工がこの分野から多く出願しています。
堆積物からの物品の分離などがこれに該当します。
ユアテックがこの分野から多く出願しています。
足場のための構成部品などがこれに該当します。
中電工がこの分野から多く出願しています。
建設の設計・施工・管理等の支援システムに関するものなどがこれに該当します。
ユアテックがこの分野から多く出願しています。
立て坑掘下げなどがこれに該当します。
関電工がこの分野から多く出願しています。
空気調和のためのルームユニットなどがこれに該当します。
トーエネック、九電工がこの分野から多く出願しています。
特定機器の細部などがこれに該当します。
関電工、きんでん、トーエネックがこの分野から多く出願しています。
制御装置などがこれに該当します。
きんでんがこの分野から多く出願しています。
電気ケーブルなどの据付けのための装置などがこれに該当します。
関電工、きんでん、トーエネック、九電工、ユアテックがこの分野から多く出願しています。
3.5 電気設備工事6社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)関電工|開発トレンドと専門性

上図期間中、H02Gが最も多いです。次いでH01R、E21D、H02Jが多いです。
具体例として地中送電線路などでケーブルの滑落や波乗り現象による移動を抑制するための小スペースケーブル移動抑制装置が挙げられます。
従来のケーブル拘束装置は十分な拘束力を得るために複数の装置を広い間隔で設置する必要があり、スペースが限られた場所では適用が困難でした。
これに対し、ケーブルの外周に密着する筒状のスペーサと、その外側を覆うスプリング付きクリートでケーブルを固定する装置であり、スペーサが硬度60度のクロロプレンゴム製で従来のスペーサよりも突出幅と横幅を大きくした鍔(つば)を両端に有し、ケーブルの外周に接着剤で固定されていることにより、スペーサがケーブルに強固に接着し、ケーブルが引っ張られても滑らず、また、強化された鍔がクリート内への入り込みを防ぐ構成により、限られたスペースで高い拘束力を実現して装置全体を小型化できる小スペースケーブル移動抑制装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7550908/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ケーブルにかかる張力や応力の解析およびスペーサの鍔や胴部が変形しない最適な形状と素材の組み合わせの決定、スプリング付きクリートによる圧着力がケーブルに与える影響の評価、ケーブルの損傷を防ぎつつ最大の拘束力を得るための設計)、材料工学(クロロプレンゴムの硬度や耐候性の試験および長期間の使用に耐える材料の選定、ケーブルのシース(外皮)とスペーサを強固に固定する接着剤の強度や耐久性、ケーブルへの化学的な影響の評価、さまざまな温度条件下での接着力の変化の測定および使用環境に応じた最適な接着方法の確立)
従来の地中ケーブル線路では、地上の車両通行による管路のたわみでケーブルが移動する波乗り現象が発生し、接続部の損傷などの問題が生じていました。
これに対して、地中に埋設された管路とトラフに連続的に布設された電力ケーブルを備えたケーブル線路であり、トラフ内では電力ケーブルがS字状に屈曲させて配置され、電力ケーブル以外の空間に充填物を充填する構造で、この充填物は砂やモルタルを含むことが想定されるこれらの構成により、S字状に屈曲したケーブルと充填物の間に摩擦力が生じ、ケーブルの軸方向への移動を抑制し、また、S字状の形状が充填物で固定されることでケーブルの異常な曲げを防止し、接続部への応力集中を抑制することにより機械的な拘束装置を必要とせず、小型の設備でもケーブルの安全性を確保できるケーブル線路が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7336567/15/ja
関連する専門分野の例:土木工学(地上の車両通行による管路のたわみやそれに伴うケーブルへの応力伝達の評価、トラフと充填物の組み合わせが地盤や土壌の種類によってどのようにケーブル拘束力に影響するかの検証、最適な埋設方法や材料仕様の策定)、材料工学(電力ケーブルのシース(外皮)と充填物(砂、モルタル)との間の摩擦係数の測定および拘束力の安定性の評価、モルタル中の砂の割合が拘束力やケーブルの損傷に与える影響の解明、充填物の経年劣化(ひび割れ、崩壊など)を抑制するための材料選定や配合比の検討)
従来の地中ケーブルは外部からの力でコアがシースからずれることがあり、従来のクリートではケーブルを締め付ける力を強めるとケーブル自体を損傷する恐れがありました。
これに対して、地中のハンドホール等に布設されたケーブルをスネーク状に屈曲させ、このスネーク状の頂部を1個のスプリング付きクリートで両端の直線部をそれぞれ1個ずつ、計2個のスプリング付きクリートで固定し、さらに、これらのクリートの取り付け向きを180度逆にし、台座の配置を工夫(具体的には、頂部のクリートの台座はケーブルの凹部側に、両端のクリートの台座はケーブルの頂部側に配置して、それぞれを支持材に固定)することにより、ケーブルに引張力が加わるとスネーク状の曲げが広がり、クリートの隙間が増加し、コアとシース間の摩擦力がさらに増大し、ケーブルを損傷することなくコアのずれを抑制する効果が得られるケーブルのコアずれ抑制装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7248768/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ケーブルの引張力や熱伸縮によるコアとシース間の相対的なずれの予測、摩擦モデルや非線形構造解析シミュレーション、スプリング付きクリートのばね定数や台座の形状がケーブルの変形や拘束力に与える影響の評価、コアのずれを最小限に抑えるための最適な配置と寸法の決定)、材料工学(コアとシースの界面における摩擦係数をさまざまな環境条件下で測定、材料の選定や表面処理がコアのずれ抑制効果に与える影響の評価、長期間の使用や温度変化がコアとシースの付着力に与える影響の評価および製品の信頼性を担保するための材料特性の解明)
従来の通線作業では、高所作業台や足場を組む必要があり、落下の危険性や多大なコスト、時間、労力がかかるという問題がありました。
これに対して、長尺のケーブル挿通管、その先端に設けられた柔軟なフレキシブル管、フレキシブル管の先に接続されたソケット部から構成される配管通線用補助具であり、ソケット部は通線用配管に接続するための部品で先端がラッパ状に広がる導入開口部と内部に複数のフック部を備え、このフック部は逆U字状の切り込みによる片持ちアーム状になっており、通線用配管を挿入するとフックがたわんで管を内部に確実に係止することにより、地上からでも高所の斜めになった通線用配管に補助具を接続でき、高所作業台や足場が不要となり、安全で作業コストや労力を削減できる補助具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6810598/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(フック部の材質、厚さ、切り込み形状について挿入・係止時の応力と変形の評価、ケーブル挿通管の伸縮・連結機構の強度の計算およびさまざまな作業現場での使用に耐えうる最適な設計仕様の決定)、材料工学(フレキシブル管用の高い可撓性と耐久性を持つ高分子材料の選定、ソケット部用の通線用配管を確実に係止できる剛性と衝撃に耐える強靭性を持つ材料の選定)
具体例として既存の建物の接地極を活用しつつ電子機器を雷サージとノイズの両方から保護する接地線端子箱が挙げられます。
従来の独立接地方式は電子機器をノイズから守る一方、新たな接地極の設置が必要で工事の負担が大きく、また雷撃時に機器を損傷させる可能性がありました。
これに対して、複数の接地端子台、これらを共通の避雷用接地極に接続する共通バー、各接地端子台の一方と他方の端子を接続する接続バー、電子機器用端子台に備わる避雷器で構成された設置線端子箱であり、建物の鉄筋や電力設備は接続バーで接地極に接続され、電子機器は通常、接続バーが外されることで接地極から切り離されることにより、共通バーを介したノイズの伝播を防ぎ、一方、落雷時には避雷器が作動して電子機器が接地極に接続され、高電圧による機器の損傷を防止することで、平時のノイズ対策と雷撃時のサージ対策を両立させ、既存の接地極を利用して安価かつ簡便に電子機器を保護する接地端子箱が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6265800/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(落雷時のサージ電流の伝播経路の解析、避雷器の性能や配置が機器に加わる電圧に与える影響の評価、電力設備からのノイズが電子機器に与える影響の評価、最適なフィルタリング手法の検討)、材料工学(避雷器に用いられる酸化亜鉛バリスタなどの材料について繰り返しサージ耐量や経時変化の評価、接続バーの導電率や耐腐食性の測定および安定した接地性能を長期間維持できる合金の選定、端子台の絶縁材料について高電圧下での絶縁破壊電圧やトラッキング特性の試験および安全性の確保)
具体例として地中に埋設された管内の計測機器を地上から着脱するための装置(ターゲット着脱装置)が挙げられます。
従来の推進工法(開削せずに地中に推進管を押し込んでケーブルなどを敷設する工法)では、地中に埋設された管内の計測機器が故障した場合、管を引き抜くか工法を変更する必要があり、多大なコストと労力がかかっていました。
これに対して、先頭の推進管に磁力で着脱可能に取り付けられ、計測要素を備えたターゲットユニットと、それを遠隔操作で着脱するための連結治具および引出棒を有するターゲット着脱装置であり、ターゲットユニットには後端に第1のねじ部(雌ねじ)が、連結治具には前端にこれと螺合する第2のねじ部(雄ねじ)が形成されているいとにより、計測要素が故障した場合、発進立坑から連結治具を挿入し、ねじを締結してターゲットユニットを回収・交換し、再度設置することができ、さらにターゲットユニットには推進管との位置決めをおこなうための突起と穴が設けられており、正しい位置に正確に戻すことが可能であるため、計測機器の保守作業が容易になり、地中に埋設された管列を引き抜く必要がなくなるためコストと工期を削減できるターゲット装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6433823/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(推進管内でのターゲットユニットの滑らかな移動を可能にするための寸法精度やねじ部の係合・分離に必要なトルクの計算、磁石の吸着力と引出棒の引張力とのバランスのシミュレーションおよび確実にターゲットユニットを回収できる最適な設計)、電気電子工学(地中の過酷な環境(振動、温度変化、湿気など)に耐えうるカメラ、バッテリおよび無線通信モジュールの選定、計測データの精度を確保するためのノイズ対策を施した回路の設計および地中での無線通信の安定性の評価)
具体例として商用電力系統の周波数低下時に無停電電源装置(UPS)を電力供給源として活用する調整力提供方法が挙げられます。
従来の調整力は応動に最短でも10秒程度の時間を要するため、周波数低下といった急激な電力系統の変化に対応できず、大規模停電につながる危険性がありました。
これに対して、複数のUPSを商用電力系統に接続し、電力系統の周波数が所定の閾値以下になった場合にUPSが電力系統へ電力を逆潮流供給することで周波数安定化に寄与する調整力提供方法であり、複数のUPSが同時に電力供給を開始すると一時的に過剰な電力供給が発生し系統に負担をかける可能性があるため、各UPSには周波数低下を検出してから逆潮流を開始するまでの待機時間が個別に設定されていることにより、各UPSが時間差で段階的に電力供給を開始し、全体の調整力供給時間を長くすることが可能となり、この待機時間は各UPSが配電網上のどこに位置するか、また提供可能な電力量などを考慮して計画されることで、ミリ秒単位での瞬時的な調整力提供が可能となり、電力系統の安定性が向上する調整力提供方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7727681/15/ja
関連する専門分野の例:電子工学(周波数低下をミリ秒単位で検知するデジタル信号処理アルゴリズムの設計、UPSのインバータ回路の制御による必要なタイミングで安定した電力を系統へ供給するための制御ロジックの設計、複数台のUPS間の待機時間を正確に同期させるための通信プロトコルの設計・検証)、電気工学(多数のUPSが系統に接続された際の潮流計算と安定度解析、各UPSの待機時間や出力容量といったパラメータが電力系統の周波数や電圧の変動に与える影響の評価、系統全体が不安定になることなく効果的に周波数低下を抑制するための待機時間の最適化や逆潮流電力の配分計画立案)
(2)きんでん|開発トレンドと専門性

H02Gが最も多いです。次いでH02J、G06Fが多いです。
具体例として垂直ケーブルラックにケーブルを効率的に布設するためのケーブル布設治具が挙げられます。
従来のケーブル布設作業はケーブルの湾曲により作業効率が低く、また、大掛かりな装置が必要になったり、中間地点に監視員を配置する手間があったりしました。
これに対して、垂直ケーブルラックに上下に張設されたガイドワイヤーを挿通するワイヤー挿通具と、布設対象のケーブルを連結するケーブル連結具を主要な技術要素として備えたケーブル敷設治具であり、ケーブルと共に自重でガイドワイヤーに沿って降下するためケーブルの先端が湾曲してラックに引っかかるのを防ぎ、効率的な布設を可能にし、また、布設治具にはブザーやライトが内蔵されており、布設位置や到達を作業者に知らせることで作業の安全性と効率をさらに高め、加えて、ケーブルのねじれを防止するより戻しや落下時の衝撃を吸収する緩衝材を備えていることにより、大掛かりな装置や監視員が不要となり作業の効率と安全性を向上させるケーブル敷設治具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7645516/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(治具の材質選定やワイヤー挿通具とガイドワイヤー間の摩擦抵抗を考慮した形状設計、治具の落下速度や落下終了時の衝撃力、ケーブルにかかる張力の計算・シミュレーション、治具の安定した降下とケーブルや治具自体の破損を防ぐための構造の最適化)、電気工学(治具に搭載するブザーやライトの電源供給方法(例:小型バッテリー)や動作を制御する回路の設計、布設中にケーブルが受ける物理的な負荷(ねじれ、張力など)が内部の電気信号の伝送品質や絶縁性能に与える影響の評価および治具の仕様の決定)
従来の接地用具は送電線の動きに追従できず、また、接地作業に際して作業者が送電線に直接触れる必要があり、感電の危険性を完全に排除できませんでした。
これに対して、絶縁体の操作棒の先端に導体の送電線把持具と接地線が取り付けられた誘導災害防止用接地ローラーであり、送電線把持具が軸心側に凹んだ周面を持つ3つのローラーで構成されており、2つのローラーが間隔を固定し、残りの1つが操作棒の手元操作で進退することで送電線を三方から把持する仕組みであり、ローラーは送電線の線長方向に回転可能なため、把持したまま送電線の動きに追従でき、また、操作棒の軸周り回転でローラーの間隔を調整するねじ機構や送電線の動きに追従する自在継手、適切な把持力を保つ緩衝装置を備えていることにより、作業者は送電線に直接触れることなく安全に接地作業ができ、緊線作業中の送電線の動きにも対応できる誘導災害防止用接地ローラーが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6545331/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ローラーの最適な形状(凹んだ周面)や材質の選定および送電線を確実に把持しつつ滑らかに追従するための摩擦特性の解析、操作棒の回転をローラーの進退運動に変換するねじ機構のトルクと耐久性の評価および緩衝装置が適切な把持力を維持するバネ定数の決定)、材料工学(高電圧に耐えうる操作棒の絶縁材料(FRPなど)の選定および強度、耐候性、軽量性の評価、把持具やローラーに用いる導体材料について十分な導電性を確保しつつ送電線との接触部分で摩擦や摩耗が最小限になるような表面処理や合金の特性の検討)
従来の難着雪リング取り外し装置は難着雪リングの根詰まりや架空線の損傷リスクがあり、また、破砕刃の同期調整が必要なため構造が複雑になる問題がありました。
これに対して、架空線に沿って移動する走行装置と、難着雪リングを除去する破砕装置を備えた自走式難着雪リング取り外し装置であり、破砕装置は架空線の左右両側に配置され、垂直面内で回転する一対の破砕刃を有し、これらの破砕刃はそれぞれの回転軸を中心とする径方向に風車状に延び出す複数の刃先部が形成されており、両破砕刃が同じ向きに回転することで難着雪リングに前後から当接し、捻るように破砕し、破砕刃の回転面が架空線と平行な垂直面であるため刃先部と架空線との間隔が常に一定に保たれ、架空線を損傷することなく難着雪リングを破砕することができ、駆動機構や制御機構が簡素化されて小型・軽量で故障が少ない自走式難着雪リング取り外し装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6496064/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(走行装置の駆動部(ローラー、モーター)と破砕装置の機構(破砕刃、ガイドローラー、伝達機構)の統合的な設計、破砕刃の刃先形状(風車状、凹凸状など)の最適化、最小限の駆動力で最大の破砕効果を得るためのトルク、回転速度および破砕時の衝撃力の計算および装置の耐久性評価)、電気工学(走行用モーターと破砕用モーターの協調制御をおこなうためのマイコンベースの制御回路の設計、難着雪リングの破砕異常を検知した際に走行を停止・後退させるシーケンス制御ロジックの設計、高電磁界下での安定した動作を確保するための設計、装置の軽量化に貢献する効率的なバッテリーマネジメントシステムの構築)
具体例として太陽光発電と蓄電池を利用して電力系統への逆潮流を抑制する発電制御システムが挙げられます。
従来の技術は太陽光発電による電力の余剰分が売電されない場合に有効利用されず、また、逆潮流を回避するためのシステム構成が複雑になるという問題がありました。
これに対して、太陽電池と蓄電池およびこれらを電力網や負荷に接続する片方向インバータを有するパワーコンディショナ、全体の出力を制御する監視制御装置から構成される発電制御システムであり、監視制御装置が太陽電池からの電力とパワーコンディショナに流れる電力の差分が正の場合に余剰電力を蓄電池の充電に回せるようにパワーコンディショナの入力インピーダンスを制御することにより、太陽光発電電力が負荷の消費電力を上回る場合でも発電電力の一部を意図的に抑制し、その不足分を電力網から補うことで抑制した電力を蓄電池の充電に充てることができ、これは片方向インバータのみで構成可能であり、システムを簡素化しつつ太陽光発電のエネルギーを効率的に利用して電力系統への逆潮流を抑制できる発電抑制システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7248997/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(パワーコンディショナの入力インピーダンスを動的に制御する回路の設計、太陽電池の最大電力点追従制御と蓄電池の充放電制御を統合した制御アルゴリズムの設計、太陽光発電の出力変動や負荷の消費電力変化に対応して最適な電力配分がなされるようなシステムの調整)、情報工学(太陽電池の発電量と負荷の消費電力量の予測データの収集・解析、翌日の電力受電ピークを抑制するための最適な蓄電池の充放電計画を立てるアルゴリズム設計、発電システム全体を遠隔で監視・制御するための通信プロトコルとユーザーインターフェースの設計)
具体例としてコンピュータを備える管理システムが挙げられます。
既存の技術では、ルータ等のコンピュータ本体が不安定になった場合に自己再起動する仕組みはあるものの、外部に接続された機器の動作が不安定になった際にコンピュータの再起動を伴うようなシステム全体の安定化を図ることは困難でした。
これに対して、コンピュータと通信するサブ基板が設けられ、サブ基板が異なる通信方式で接続された複数の外部機器との通信状態を監視し、通信が途絶える等の異常を検知し、サブ基板はコンピュータに段階的な再起動処理を実行(具体的には、サブ基板はソフトウェアリブート、ハードウェアリブート、電源の抜き差しに相当する処理を段階的に試み、それでも解決しない場合はサブ基板自身の自己リブート、管理者へのアラート発信)させることで、外部機器を含めたシステム全体の動作を安定化させる管理システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7579418/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(異なる通信方式に対応するための信号変換回路やトランシーバーの設計、サブ基板とコンピュータ間の電源供給の安定化、リレーを制御するための電源回路設計およびそれに伴う消費電力の評価と最適化)、ソフトウェア工学(サブ基板とコンピュータの双方で動作する通信監視プログラムや再起動処理を段階的に実行するためのロジックの設計、外部機器からの通信データが一定時間途絶えた場合のタイムアウト処理やエラー発生時に再起動のレベルを判断する状態遷移管理、再起動処理が失敗した場合に管理者へ通知するアラートシステムの実装)
(3)トーエネック|開発トレンドと専門性

G01Rが最も多いです。次いでH02J、H02Gが多いです。
具体例として電動機や発電機などの回転機の巻線における短絡の種類と発生箇所を特定する診断装置が挙げられます。
従来の技術では回転機の巻線に短絡があるかどうかは診断できるものの、短絡がどの部分で、どのような態様で発生しているのか特定できませんでした。
これに対して、交流電圧を回転機の巻線に印加し、巻線の延出方向に沿って複数の位置で磁界の強さを計測する磁界センサを備えた巻線短絡診断装置であり、プロセッサは計測された磁界の強さと交流電圧または電流との位相差から各計測位置での磁界の向きを決定し、その向きの変化パターンに基づいて短絡の態様を判別(具体的には、磁界の向きがすべて第1方向であれば正常、第1方向から第2方向へ変化した後に第1方向に戻るパターンであれば隣接巻線間の短絡、第1または第2方向から第2または第1方向へ変化した後にそのまま推移するパターンあるいはすべて第2方向のパターンであれば層間短絡と判定)することにより、短絡の態様を特定できる巻線短絡診断装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7196297/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(高周波交流電圧を安定して巻線に印加するための電圧発振回路の設計、巻線の微小な磁界変化を高感度に検出できる磁界センサ(例えば、サーチコイルやホール素子)の選定と配置設計、ノイズの影響を最小化するためのシールドやグランド設計、診断精度を向上させるための交流信号の周波数や電圧レベルの最適化)、情報工学(磁界の向きの変化パターンを識別するためのパターン認識アルゴリズムや閾値や基準変化割合を自動で学習・設定する機械学習モデルの設計、リアルタイムでのデータ処理を可能にするためのプロセッサの選定やソフトウェアのバグを排除するためのロバスト性検証、計測データと診断結果を関連付けて保存・解析するためのデータベースシステムの構築)
従来の技術では短絡がどの相の巻線で発生したかは特定できても、具体的にどのスロットで短絡が発生したかを特定することは困難でした。
これに対して、回転機の巻線の両端に商用周波数より高い交流電圧を印加する電圧発振部を備えた診断システムであり、磁界センサが各スロットの真上に配置され、電圧印加中に生じる磁束密度を計測(磁束密度が巻線に短絡が発生すると正常時より低下するという物理現象に基づく)し、診断部は計測された各スロットの磁束密度の値を正常な値と比較し、所定以上の差がある場合に当該スロット内の巻線に短絡が発生していると診断することにより、短絡の有無だけでなく、どのスロットで短絡が起きたかをピンポイントで特定できる診断システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6403994/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(高周波交流電圧を安定して巻線に印加するための電圧発振回路の設計、巻線の微小な磁界変化を高感度に検出できる磁界センサ(例えば、サーチコイルやホール素子)の選定と配置設計、ノイズの影響を最小化するためのシールドやグランド設計、診断精度を向上させるための交流信号の周波数や電圧レベルの最適化)、情報工学(各スロットの磁束密度データを正常時と比較するデータ解析アルゴリズムの設計、短絡箇所を特定するための閾値設定ロジックの設計、リアルタイムでのデータ処理を可能にするためのプロセッサの選定やソフトウェアのバグを排除するためのロバスト性検証、計測データと診断結果を関連付けて保存・解析するためのデータベースシステムの構築)
具体例として電力需要家の最大デマンド値を時間帯別に制御するデマンド制御装置が挙げられます。
従来、デマンド時限全体で一律に制御するため、停止した機器が長時間再起動されず機器の効率的な運用を妨げる問題がありました。
これに対して、電力機器の総消費電力量積算値を算出し、これをデマンド契約値よりも小さい第1目標値と第2目標値と比較して制御するデマンド制御装置であり、デマンド時限を3つの時間帯に分け、それぞれ異なる制御をおこない、デマンド時限の開始から第1時間までは消費電力量に関わらず一時停止中の機器の起動を優先し、続く第2時間までは総消費電力量が第1目標値を超えた場合に機器を停止し、第2目標値以下であれば機器の起動を許可する一方、その中間では機器の運転を維持することにより、電力機器の運転を確保しながら最大デマンド値を抑制するデマンド制御装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7220265/15/ja
関連する専門分野の例:制御工学(デマンド時限内の電力消費予測モデルの構築、第1目標値、第2目標値および各時間帯の制御ロジックの最適化、機器の運転状態、電力特性および需要家の利便性をトレードオフさせながら電力機器の起動・停止タイミングを決定するアルゴリズムの設計)、情報工学(電力計からのデータをリアルタイムで収集・処理するためのデータ処理システムの構築、デマンド時限の各時間帯に応じた制御アルゴリズムの実装およびCPUやPLC上で安定的に動作するようシステムの最適化、消費電力のグラフ表示やデマンド超過の警告などをユーザーに分かりやすく提示するための表示部の設計)
具体例として外径の異なる複数のケーブルを支持するケーブル支持具が挙げられます。
従来のケーブル固定具は特定のケーブル径にしか対応できず、多種多様なケーブルに対応できないという問題がありました。
これに対して、基準平面に沿って分割された一対の支持ユニットで構成されたケーブル支持具であり、各ユニットは半筒状の収容部を持ち、内壁から基準平面に向かって突出する複数のひだ状の弾性片が形成され、一方のユニットには突起部があり、他方には嵌合可能な受け部が設けられており、複数のケーブルを収容した状態でこの突起部が受け部に嵌め込まれることで、一対の支持ユニットが一体となりケーブルを固定し、このとき、弾性片はケーブルの外径に合わせて弾性変形するため、最小径から最大径までのさまざまなケーブルをまとめて支持できるため、ケーブルの仕様が変更されても同じ支持具を使い続けることができ、多種多様なケーブルに対応できるケーブル指示具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-112854/11/ja
関連する専門分野の例:材料工学(ケーブル支持具の主材料であるポリエチレンやエラストマー系樹脂の機械的特性の評価、さまざまなケーブル径に対応し、かつケーブルを傷つけない適切な弾性変形量と反発力が得られる材料配合や成形条件の決定)、生産システム工学(一体成形を前提とした生産ラインのレイアウトや射出成形機の選定および金型の設計の最適化、製品の寸法精度や突起部と受け部の嵌合力、弾性片の弾性力などの品質を維持するためのインラインでの検査プロセスの構築)
(4)九電工|開発トレンドと専門性

F24Fが最も多いです。次いでH02Gが多いです。
具体例として空調機の運転状態に基づいて冷温水ポンプの出力を自動制御する空調システムが挙げられます。
従来の空調システムは空調機の稼働状況に関わらずポンプの差圧を大きく設定するため、無駄なエネルギーを消費するという問題がありました。
これに対して、熱源、複数の空調機、流量を制御する制御弁および冷温水を供給する冷温水ポンプを備えた空調システムであり、検出部が空調機の運転状態(例えば、流量、電力使用量、外気条件など)が予め設定された状態(低負荷時など)に適合しているかを検出すると設定部が冷温水ポンプの出力を通常時よりも低い第2の出力に設定してポンプを制御し、一方、低負荷でないと判断した場合はポンプ出力を第1の出力に戻すことにより、空調システムの稼働状況に応じてポンプの出力を制御できるようになり、必要以上の差圧をかけずに済むため消費エネルギーを削減できる空調システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-163599/11/ja
関連する専門分野の例:機械工学(配管内の冷温水の流動解析、空調機コイル、制御弁、配管、ポンプにおける圧力損失や熱交換効率の評価、さまざまな運転条件下での空調負荷とポンプ出力の関係のシミュレーションモデルの構築および最小限のエネルギー消費で要求される空調能力を満たす最適なポンプの運転曲線や制御アルゴリズムの導出)、制御工学(複数のセンサーからの情報を統合して空調機の負荷状態を推定するアルゴリズムの設計、外乱(急な温度変化、外気条件の変化など)にロバストなポンプ出力のフィードバック制御システムの設計、システム全体の安定性を確保しつつ過渡応答を最適化するためのゲイン調整やパラメータチューニング)
従来の局所空調は調和空気が広範囲に拡散してしまい暖房時は暖気が上昇、冷房時は冷気が拡散し、人の周囲に留まらないため非効率でした。
これに対して、人の在席位置の直上に開口部が下向きの凹部を持つ天蓋部が配設され、その下の床に室内空気と異なる温度に変化させた空気を上向きに移動させる空気温度調整装置を備える空気調和システムであり、空気温度調整装置は床から調和空気を吹き出すか、床面を加熱・冷却して空気を温度調整し、上向きに移動した空気は天蓋部の凹部に捕捉され、人の周囲に滞留し、天蓋部は周縁部を外側に曲げることで空気の流れを誘導することにより、調和空気が拡散することなく人の周囲に留まる環境を維持できる空気調和システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2019-138580/11/ja
関連する専門分野の例:機械工学(空調システム全体の設計、空気温度調整装置から放出される熱気や冷気が天蓋部によっていかに効率的に閉じ込められるかの解析、天蓋部の形状や配置が対流や熱拡散を抑制して無駄なエネルギー消費を減らす効果の評価)、建築学(天蓋部の設置がその下の居住域における温熱環境や空気質に与える影響の評価、床からの熱供給や冷気供給が人の足元から頭部にかけてどのような温度分布を生み出すかの分析、快適性を損なう不快なドラフト(すきま風)が発生しないように天蓋部の形状や空気の吹き出し方の調整)
具体例として架空電線にスリット付きの防護管をスムーズに装着するための防護管挿入器が挙げられます。
従来の装置は駆動部との接触面積が小さく、雨天時に防護管がスリップしやすいため、安定した作業が困難でした。
これに対して、架空電線を把持する電線把持部と、スリットを拡幅する割込板、防護管の内側を案内するガイドレールを備えた防護管挿入器であり、防護管の挿入を推進する駆動部として中空のゴムローラーが配置され、これがガイドレールに圧接されることで変形し、防護管との接触面積を増大させ、さらに、無変形時の内部圧力が大気圧とされることで圧接時に外周部に高圧が集中して防護管を包み込むようにしてグリップ力を生み出すことで、防護管が濡れていてもスリップを防ぎ、安定した挿入作業が可能となる防護管挿入器が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2020-078117/11/ja
関連する専門分野の例:材料工学(ゴムローラーの材質について耐候性、耐摩耗性、摩擦係数および弾性率の評価、ウェットグリップに優れる特定の合成ゴム(例えば、SBRやBRなど)の選定、ゴム厚や溝形状、内部に充填する気体の種類と圧力を最適化するための実験やシミュレーション)、機械工学(ギアやローラーの配置、把持片の開閉機構、遠隔操作部と駆動部の連結方法などの設計および全体の重量と操作性の最適化、ゴムローラーと防護管との接触時の応力分布や摩擦力の解析、効率的な動力伝達とスリップを防止するための最適な駆動トルクの決定)
(5)中電工|開発トレンドと専門性

Ⅽ09D、E04Hが複数件出願されています。
具体例として送電鉄塔用塗料が挙げられます。
従来の送電鉄塔用塗料は高い耐久性を得るために塗膜を厚くすると作業時間が長くなるほか、帯電防止に必要な導電性が失われる問題がありました。
これに対して、下塗り塗料と上塗り塗料の2つから構成された塗料であり、下塗り塗料は亜鉛めっきが施された鉄塔表面に直接塗布されるものでアルミニウム微粉末、エポキシ樹脂および第1溶剤を含み、防食性と密着性を有し、一方、上塗り塗料は下塗り塗料の上に重ねて塗布されるもので黒鉛、フッ素樹脂および第2溶剤を含み、耐候性と導電性を有し、これらの塗料の組み合わせにより従来の3回塗りに代えて2回塗りで耐久性と帯電防止効果を両立できる送電鉄塔用塗料が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2015-145585/19/ja
関連する専門分野の例:化学工学(エポキシ樹脂とフッ素樹脂の硬化反応速度を制御するための溶剤の種類や添加剤の配合比率の検討、アルミニウム微粉末や黒鉛といった導電性フィラーの粒径分布や含有量が塗膜内部での導電経路の形成にどのように影響するかの解析、最小限の添加量で求められる導電性を確保するための処方設計)、材料科学(フッ素樹脂の分子鎖構造や黒鉛の結晶構造が紫外線や風雨による劣化にどう抵抗するかの評価、下塗り層と上塗り層の界面における密着強度の評価、最適な塗料の組み合わせの検証)
具体例としてバイオマス燃料であるパームヤシ殻を貯蔵するサイロ装置が挙げられます。
従来のサイロ貯槽はパームヤシ殻による摩耗と弱酸性の湿潤環境によって鋼板の防錆塗膜が損傷し腐食する問題がありました。
これに対して、パームヤシ殻を貯留するサイロ装置の貯槽の内面に特定のライニング膜が形成されたサイロ装置であり、ライニング膜は耐摩耗性を持つ無機粒子(セラミック粒子やガラス粒子など) と耐薬品性のビニルエステル樹脂などの樹脂を少なくとも含み、これらの成分の組み合わせにより、パームヤシ殻との擦過による機械的な摩耗とパームヤシ殻から生じる弱酸性の水による化学的な腐食の両方から貯槽を保護するサイロ装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2025-075983/11/ja
関連する専門分野の例:化学工学(無機粒子と樹脂の最適な配合比率の決定、複数の配合パターンで試験片のライニング膜の硬度、引張強度、耐酸性などの評価、ライニング材の粘度や流動性といった物性の制御によるサイロ装置の大きな内面に均一な膜厚で塗布するための塗装方法や乾燥条件の確立)、材料科学(ライニング膜中に分散された無機粒子の形状、サイズ、分布の観察に基づく摩耗痕と膜構造の関係の解析、弱酸性環境下での腐食抑制メカニズムの解明、耐腐食性向上のための新しい材料の組み合わせの探索)
(6)ユアテック|開発トレンドと専門性

H02Gが最も多いです。
具体例として地中埋設された電力ケーブルのケーブル線路構造が挙げられます。
従来の浅層埋設管路では、地上の車両通行による地盤の撓みで電力ケーブルが波打つように移動し、損傷する可能性がありました。
これに対して、地中に埋設された管路とトラフおよびその中に連続的に布設された電力ケーブルを備えたケーブル線路であり、トラフ内に布設された電力ケーブルをS字状に屈曲させ、電力ケーブル以外のトラフ内の空間に砂やモルタルを含む充填物が充填されることでS字状の屈曲を固定する構造により、車両の通行等で管路が撓んでもトラフ内の屈曲部と充填物との摩擦および物理的な拘束力が発生するため電力ケーブルの軸方向の移動(波乗り現象)を抑制し、従来の複雑な拘束装置を用いることなくケーブルの損傷を防ぐケーブル線路が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7336567/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ケーブルの屈曲部と充填物との間の摩擦係数や接触面積および充填物の剛性がケーブルに加わる引張荷重に対してどれだけの拘束力を生み出すか予測、異なるS字曲線の形状や充填物の物性(例えば、砂とモルタルの混合比率)が軸方向の移動抑制効果に与える影響の評価および最適な構造パラメータの特定)、地盤工学(地盤の土質特性(せん断強度、圧縮性)や管路・トラフの剛性および車両の走行速度や荷重を考慮した地盤の動的挙動シミュレーション、管路の撓みとそれに伴うケーブルの波乗り現象の発生条件の予測、トラフの設置位置やS字屈曲部の設計が地盤の動きからケーブルを守る効果の検証)
従来の電線張替作業では複数の電線を1本ずつ交換するため作業効率が低く、多くの時間と労力を要していました。
これに対して、複数の既設電線を同時に回収し、新設電線を架設するための電線張替作業用ローラユニットであり、複数の電線を取り囲むように配置された複数のローラを含むローラユニット本体と、電柱の腕金などの電線支持部に装着される取付部から構成され、複数のローラのうち電線の下側に配置される底部ローラの直径が電線支持部が収容される空間の前後方向の長さと等しいか、それよりも長く設計されることにより、電線連結部材や他の付属品が電線支持部に引っ掛かることを抑制し、複数本の電線の同時牽引を可能にし、従来に比べて作業効率の向上と作業員の負担が軽減される電線張替作業用ローラユニットが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6813866/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(複数の電線を同時に案内する際のローラへの接触応力や摩擦力の計算およびローラベアリングの耐久性の評価、底部ローラの直径が電線や付属品が電線支持部に引っ掛かるのを防ぐ力学的根拠の検証および適切な直径と強度の導出)、材料工学(ローラの表面に求められる耐摩耗性や摩擦係数を考慮した高強度ポリマーや特定配合の金属合金などの最適な素材の探索、屋外での使用に耐えるための耐候性試験(UV劣化、温度変化、塩害など)の実施および長期にわたる性能維持が可能な部材の材料特性の評価)
従来の電柱建替工法は仮設柱を地面に埋設したり、重りを用いて支持したりするため、作業時間がかかり車両台数も多くなっていました。
これに対して、既設電柱の撤去と新設電柱の設置を同一の場所で効率的におこなうための電柱元穴建替用工具であり、入れ子状で伸縮可能な仮柱本体と、この仮柱本体を運搬・支持する作業用車両を主要な構成要素とし、作業用車両はクレーンを備えたトラックなどで構成され、仮柱本体を把持する支持アームと補助支持手段を備えることにより、仮柱本体は重りや地面の穴掘り作業なしで車両から直接支持され、仮柱本体を垂直に保持した状態での電線の移設、既設電柱の撤去と新設電柱の設置後、仮柱本体の撤去により、現場に出入りする車両台数を削減し、基礎工事が不要となるため作業時間が短縮できる電柱建替用工具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2018-148735/11/ja
関連する専門分野の例:機械工学(仮柱本体を把持して支持する際の電線の張力や風荷重によって支持アームにかかる曲げ応力やせん断応力の計算および応力集中箇所の特定、部材間の摩擦力やクリアランスを考慮した設計、作業車両のクレーン機能と連動した際の車体の安定性(転倒リスク)の評価およびアウトリガーの配置や支持力の最適化)、電気電子工学(電線の移設作業中に発生しうる誘導電圧や漏電リスクの評価、作業者の安全を確保するための絶縁体や保護回路の設計、電動ウインチやアームを動かすモーターの精密な速度・位置制御システムの設計)
(7)まとめ
ケーブルやケーブルの布設、ケーブルの管理や工具など電気ケーブル関連の出願が多く確認されます。
このような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
ただし、電力会社などと共同出願が多い企業(九電工、中電工、ユアテック)もあり、開発の主体がどの出願企業にあるのかは不明なものもあります。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)関電工

共同出願の例として地中に埋設されたケーブルとその周囲の充填材を同時に撤去するケーブル撤去装置が挙げられます。
従来のケーブル撤去作業は大規模な地面掘削と残土処理が必要で、高コスト・長期間の作業となり、交通渋滞も引き起こす問題がありました。
これに対し、ケーブルを包み込む管体と、管体をトラフ内に押し込むためのケーブル搬送装置、そしてトラフ内の充填材を管体内に吸引・排出する充填材排出装置からなる装置であり、まず立坑が設けられて管体がケーブルの一端に取り付けられ、ケーブル搬送装置で管体をトラフ内に前進させ、この際に充填材排出装置が管体先端の充填材が吸引・排出されることで、管体がケーブルを包み込みながらスムーズに前進し、管体がトラフの終端に到達するとケーブルが充填材から解放された状態となり、容易に引き抜いて撤去可能となることより、大規模な掘削が不要となり、作業の簡素化、工事費の削減、作業時間の短縮、交通渋滞の緩和が実現されるケーブル撤去装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6223235/15/ja
(2)きんでん

(3)トーエネック

詳細は省略します。
(4)九電工

詳細は省略します。
(5)中電工

詳細は省略します。
(6)ユアテック

詳細は省略します。
(7)上記(1)~(6)(共同出願人)のまとめ
共同出願の件数トップはいずれも系列の電力会社です。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・機械系分野(機械工学、生産システム工学など)
構造物の応力と変形の解析、外部荷重に対する構造的安定性の設計、構成部品の強度と剛性の検討、機器と材料の相互作用の評価、機構の構造設計と部品の材質選定、成形工程の最適化、生産ラインの全体設計などが求められます。
・材料系分野(材料工学、材料科学など)
充填材とケーブル間の相互作用の最適化検討、各構成材料の劣化メカニズムの解析、外部環境に耐えうる耐久性材料の選定、材料の物理特性と力学特性の評価、絶縁特性および導電特性の評価、摩擦・摩耗特性と力学的特性の解析、接合界面の物性評価などが求められます。
・電気系分野(電気電子工学、電気工学、電子工学など)
系統連系部の電気的安全性評価、ノイズおよびサージ伝播経路の解析、機器保護のための回路設計、信号と電力の相互干渉の検討、リアルタイム信号処理アルゴリズムの設計、電源回路および制御システムの設計、通信プロトコルの設計、電力系統の動的安定度の解析、バッテリー駆動システムの最適化などが求められます。
・情報系分野(情報工学、ソフトウェア工学、制御工学など)
予測モデルの構築と検証、データ収集システムと通信プロトコルの設計、リアルタイム制御アルゴリズムの設計、ユーザーインターフェースの検討、異常検知ロジックの設計、段階的自動復旧プロセスの構築、マルチプロトコル通信の統合管理システムの検討などが求められます。
・土木、建築系分野(土木工学、建築学、地盤工学など)
地中構造物への外部応力影響の解析、埋設環境と構造物の相互作用の評価、地中インフラの力学的安定性に配慮した設計、施工方法と維持管理技術の検討、快適な居住域環境の設計、熱環境と空気質の総合的検討、建築物と空調システムの調和性の解析、土壌と構造物の相互作用解析、動的荷重に対する地盤の応答予測、埋設構造物の安定性評価と設計などが求められます。
・その他系分野(化学工学など)
化学工学には多層系材料の組成設計、塗料の化学反応プロセス制御、材料物性の定量化および評価、反応プロセスおよび硬化条件の最適化などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
電気設備工事に関するさまざまな出願(電気ケーブルそのもの、ケーブル布設関わる治具、管理システムなど)が確認されました。
ただし、出願に係る発明の完成に求められる専門性は必ずしも電気関係にはとどまりません。
大学の専攻と関連づけるとしたら、主に機械、材料、電気、情報の研究が該当する可能性があります。
また、土木、建築、化学も関係する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
業界横断記事:
研究開発職のキャリアマップ|60業界の開発環境を特許データから分析
研究開発職の技術分野と需要のマトリクス(一覧表)|60業界335社の企業ニーズを特許データから分析
総合メーカー横断記事
総合メーカーの研究開発職の環境の相違|主要10社の開発環境を特許データから分析
総合メーカーの研究開発職の需要マトリクス(一覧表)|主要10社の技術領域と開発職ニーズを特許データから分析
化学系横断記事:
<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
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