スマートフォンや家電、自動車、産業機器など、あらゆる製品に組み込まれている電子部品ですが、その多くがBtoBで扱われるため外部からはその実態が見えにくいのが現状です。
近年では電気自動車向けのパワーモジュール、高速通信を支える高周波デバイス、エネルギー効率を極限まで高めるモータ技術やセンサーネットワークなど開発領域は極めて広範囲に及びます。
しかし、企業サイトの断片的な情報だけでは、どのような研究開発がおこなわれているのか、どのような専門性が求められるのか、その全体像を把握するのは容易ではありません。
この問題に対し、特許情報を活用します。
特許情報は企業の開発の軌跡であり、客観的なエビデンスになり得る情報です。
本記事では、採用サイトとは別の視点で、京セラ、村田製作所、TDK、ミネベアミツミ、日東電工、アルプスアルパイン、キーエンスの研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。
結論(概要)は以下の通りです。
・電気系分野(電気工学、電子工学など)
・物理系分野(物理学、応用物理学など)
・機械系分野(機械工学、生産工学、精密工学、制御工学、人間工学など)
・材料、化学系分野(材料工学、材料科学、応用化学、電気化学、高分子化学、有機化学、化学工学など)
・情報系分野(情報工学、通信工学、ソフトウェア工学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 電子部品業界
2.1 電子部品業界とは
ここでは、パソコン、自動車、家電製品などのさまざまな電子機器に内蔵される部品を製造・供給する業界を意図します。
パナソニックは除外しています。
2.2 サーチ対象
以下の電子部品総合メーカー7社を対象にしました。
(2)村田製作所
(3)TDK
(4)ミネベアミツミ
(5)日東電工
(6)アルプスアルパイン
(7)キーエンス
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
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法人向け |
・半導体基板 |
・シート欠陥位置の検出方法 |
モノの開発としては、例えば、半導体基板が挙げられます。
サービスの開発としては、例えば、欠陥位置の検出方法などが挙げられます。
3.2 出願件数の推移
下図は電子部品総合メーカー7社の特許出願件数の推移です。

出願件数上位と下位で年によっては20倍くらい差がありますが、いずれも毎年一定数出願されています。
そのような出願につながる開発が継続的におこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
京セラ>村田製作所、TDK>日東電工>アルプスアルパイン>ミネベアミツミ≧キーエンス
だと言えます(総出願件数において村田製作所とTDKは同程度)。
ただし、近年、その差は縮まっています。
直近5年では、
村田製作所>京セラ>日東電工、TDK>ミネベアミツミ、アルプスアルパイン>キーエンス
です。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
半導体に用いられる積層体などがこれに該当します。
日東電工がこの分野から多く出願しています。
静電印刷などがこれに該当します。
アルプスアルパインがこの分野から多く出願しています。
無機成分に基づく接着剤などがこれに該当します。
日東電工がこの分野から多く出願しています。
照明制御システムなどがこれに該当します。
ミネベアミツミがこの分野から多く出願しています。
測定機器などがこれに該当します。
キーエンスがこの分野から多く出願しています。
露光装置などがこれに該当します。
日東電工、キーエンスがこの分野から多く出願しています。
自動制御装置などがこれに該当します。
キーエンスがこの分野から多く出願しています。
プログラム制御装置などがこれに該当します。
京セラ、アルプスアルパインがこの分野から多く出願しています。
磁気記録媒体と装置などがこれに該当します。
TDKがこの分野から多く出願しています。
コイルなどがこれに該当します。
村田製作所、TDKがこの分野から多く出願しています。
コンデンサの製造方法などがこれに該当します。
村田製作所、TDKがこの分野から多く出願しています。
自動スイッチなどがこれに該当します。
アルプスアルパインがこの分野から多く出願しています。
半導体装置の部品などがこれに該当します。
京セラがこの分野から多く出願しています。
発電機の製造方法などがこれに該当します。
ミネベアミツミがこの分野から多く出願しています。
電動機などの制御装置などがこれに該当します。
ミネベアミツミがこの分野から多く出願しています。
LC共振回路などがこれに該当します。
村田製作所がこの分野から多く出願しています。
無線通信システムなどがこれに該当します。
京セラがこの分野から多く出願しています。
3.5 電子部品総合メーカー7社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)京セラ|開発トレンドと専門性

上図期間中、H01Lが最も多いです。次いでH04W、H02J、G06F、H03Hが多いです。
具体例として窒化物半導体層を形成するための半導体基板が挙げられます。
従来の半導体薄膜の結晶欠陥密度を低減するために用いられるELO法では横方向成長した半導体層がマスク部と接触することで平坦性が低下したり、成長速度が遅く幅広の半導体層を形成しにくいという問題がありました。
これに対し、テンプレート基板上にシード領域を起点として横方向に成長する半導体部において、成長抑制領域との間に特定のアスペクト比(幅/厚さ ≥ 5.0)を有する空隙が設けられることで半導体層が成長抑制領域と非接触で成長し、結晶性の高い幅広のウィング部を高速に形成できて平坦性が向上する半導体基板が開発されています(以下URL)。
成長抑制領域との間に特定のアスペクト比の空隙が設けられた半導体基板→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7255037/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(長時の表面エネルギー、原子の吸着・脱離、応力分布などの評価、最適な空隙設計指針の確立)、応用化学(シード層や成長抑制層の材料、空隙形成に必要なエッチングプロセス、MOCVD法などの成長法における温度、圧力、原料ガス流量などのパラメータの制御)
従来の半導体素子実装用基板では高周波信号の伝送損失や反射損失、特性インピーダンスの変動が問題となっていました。また、実装時に短絡が発生するリスクや熱応力による基板の破損も懸念されていました。
これに対して、半導体素子を実装する領域を囲むように多層構造(第1~第3基板)が形成され、側面に溝部、側面導体、切欠き部、凹部、側面接地導体、縮幅部などが設けられることで高周波信号を効率的に伝送し、不要な電界の広がりや特性インピーダンスの変動を抑制し、上下で幅が異なる縮幅部を有する凹部が設けられることで高周波信号のカットオフ周波数を高め、広帯域化を実現し、各導体層の配置や形状の最適化により実装時の短絡リスクを低減し、熱応力による破損を抑制する半導体素子実装用基板が開発されています(以下URL)。
半導体素子実装用基板→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7617296/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(縮幅部の形状や寸法が広帯域特性に与える影響、各接地導体の配置がノイズ抑制に寄与する度合いの評価、最適な設計パラメータの探索)、材料工学(基板材料の誘電特性、熱膨張係数、機械的強度などの評価、高周波特性と実装信頼性を両立する材料選定、材料の熱的・機械的特性に基づいた構造設計の検討)
具体例として異なるサービス品質(QoS)要求を持つユーザに対して基地局内の無線リソースを割り当てる基地局が挙げられます。
従来の基地局では複数の異なるQoS要求を持つユーザが接続した場合、特定種類のQoSフローが他のQoSフローの性能に悪影響を与えシステム全体のパフォーマンス低下を招く可能性がありました。
これに対して、基地局内に複数の無線ユニットとそれぞれ異なるサービス向けのスケジューラを含む複数の分散ユニットを備え、これらを制御する制御部が確立されたQoSフローの種類に応じて適切な分散ユニットを選択し、そのスケジューラに無線リソースの割り当てをおこなわせることにより、異なるQoS要求を持つ複数のユーザが同時に接続してもそれぞれのサービス品質を維持し、基地局及び移動通信システム全体のパフォーマンス低下を抑制する基地局が開発されています(以下URL)。
基地局→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7645205/15/ja
関連する専門分野の例:通信工学(基地局アーキテクチャにおけるQoS制御の有効性の評価、効率的な分散ユニット選択アルゴリズムやQoSパラメータ設定方法の検討)、情報システム工学(基地局内の制御部における分散ユニット選択ロジック、QoSフロー管理機能、ハンドオーバ制御シーケンスなどの設計、リアルタイム性を要求されるQoSフローとそうでないQoSフローの処理アルゴリズムの設計)
既存技術ではRRCアイドル(ユーザ装置が基地局との間に無線リソース制御接続を確立していない状態)/インアクティブ状態からコネクティッド状態へ遷移する際に基地局がユーザ装置のMBS興味(ユーザ装置がマルチキャストブロードキャストサービス(MBS)の特定のブロードキャストセッションを受信しているか今後受信したいと考えている状態)を把握する前に専用帯域幅部分(BWP)を設定することで、共通周波数リソース(CFR)で提供されるブロードキャストセッションを受信できなくなるという問題がありました。また、セキュリティ設定が完了するまでMBSセッション識別子を含む興味通知を送信できない制約もありました。
これに対して、ユーザ装置がRRCアイドル/インアクティブ状態からコネクティッド状態へ遷移する際にMBSセッション識別子を含まない代わりに共通周波数リソースに関する情報を含むMBS興味通知をサービングセルに送信することで、セキュリティ設定前でも早期にMBS興味を基地局に通知でき、基地局が共通周波数リソースを考慮したBWP設定を行うことが可能となりブロードキャストセッションの継続受信を改善する通信方法が開発されています(以下URL)。
ブロードキャストセッションを受信するための通信方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7640751/15/ja
関連する専門分野の例:通信工学(MBS興味通知のタイミング、内容および基地局におけるBWP設定アルゴリズムの設計、効率的かつロバストなMBS興味通知の送信方法の確立)、情報システム工学(BWPの割り当てと管理に関する具体的なプロトコル設計、異なるQoS要件を持つ他の通信との優先度制御、ネットワーク全体の効率性を考慮したリソース配分の検討)
具体例として電力系統に接続された複数の蓄電装置を電力需給調整制御(VPP制御)に活用するための電力管理装置が挙げられます。
従来、停電に備えて蓄電装置が自律的に充電をおこなう特定制御と電力需給バランスを調整するVPP制御とが連携せず、特定制御中の蓄電装置がVPP制御を妨げる可能性がありました。
これに対して、複数の蓄電装置から特定制御の自律実行機能に関する情報に基づいてVPP制御の対象とする蓄電装置を制御、具体的には、特定制御を自律的に実行中または実行予定の蓄電装置をVPP制御の対象から除外し、そうでない蓄電装置を対象に含めることで適切にVPP制御の実行をおこなう電力管理装置が開発されています(以下URL)。
VPP制御の実行をおこなう電力管理装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7662591/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(VPP制御と蓄電装置の自律的な特定制御が両立するための制御アルゴリズム設計、特定制御の実行状況や電力系統の需給状況に応じて各蓄電装置への充放電指令を最適化するロジックの構築)、制御工学(複数の蓄電装置からなるシステム全体の効率的な運用を実現するための制御システムの設計、各蓄電装置の状態を監視し情報を統合的に管理するシステム基盤の構築)
具体例として画像処理装置で発生したエラー情報をインターネット接続なしに端末装置で確認できる画像処理システムが挙げられます。
既存技術ではエラー発生時に画像処理装置の小さな画面での情報表示やURLをコード表示して端末からWebサイトへアクセスする方法が一般的でしたが、画面が見にくい、インターネット接続が必須である、などの問題がありました。
これに対して、画像処理装置がエラーに関する直接的な情報または識別子をコード化することで、端末装置がインターネット接続なしにコードを撮像してテキスト情報を復号したり、識別子に基づいて端末内や画像処理装置内の情報を参照したりしてエラー情報を取得し端末の表示部に表示するため、ネットワーク環境に依存せず詳細なエラー情報を見やすい形で確認できる画像処理システムが開発されています(以下URL)。
画像処理システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7549160/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(限られた表示領域でも視認性の高いコード表示方法の検討、端末装置側でコードを高速かつ正確に認識しエラー情報を抽出・表示するアプリケーションの設計)、電気電子工学(画像処理装置の制御部と表示部の連携、および端末装置の撮像部と制御部の連携に関するハードウェアおよびソフトウェアの設計、画像処理装置のエラー発生を確実に検知し、適切なタイミングでエラーコードを表示させる制御機構の検討)
具体例として圧電体上に励振電極と感温膜を積層した圧電振動素子が挙げられます。
既存技術では感温素子は圧電振動素子とは別部品としてパッケージに実装されており、圧電体の温度を直接的かつ精度良く計測することが困難でした。
これに対して、圧電体の表面、特に励振電極が重なる領域とは異なる領域に感温膜が直接積層された構成、具体的には、板状の圧電体の第一面と第二面に励振電極が配置され、第一面の励振電極と外縁との間の領域に感温膜が重ねられ、圧電体の第一面の平面透視において励振電極と感温膜との間に緩衝部(凹部、凸部、貫通孔のいずれか1つ以上)が設けられることで、感温膜が圧電体の振動に与える影響を抑制し、圧電体近傍の温度を精度良く計測し、温度変化に対する圧電振動素子の特性変化を効率的に補償することが可能な圧電振動素子が開発されています(以下URL)。
圧電振動素子→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7633927/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(緩衝部の有無や形状が圧電振動素子の共振周波数やQ値に与える影響の評価、感温膜の積層による振動特性の劣化を最小限に抑えるための設計指針の確立)、材料科学(圧電体表面への感温膜の均一な成膜の検討、動作温度範囲における剥離や特性劣化を防ぐための界面制御の検討)
(2)村田製作所|開発トレンドと専門性

H01Fが最も多いです。次いでH01G、H03H、H01Mが多いです。
具体例として巻芯部に2本のワイヤを螺旋状に巻回したコイル部品が挙げられます。
既存技術では巻回時に外側のワイヤが内側のワイヤの隙間に落ち込むなどして位置ずれが生じやすく、コイルの特性ばらつきやモード変換特性の悪化を招く可能性がありました。
これに対して、巻芯部に2本の電線である第1ワイヤと第2ワイヤを螺旋状に巻回したコイル部品に関し、第1ワイヤが巻芯に直接巻かれて最も内側の層である第1層を形成し、その外側に巻かれる第2ワイヤが第1層の第1ワイヤの隙間に嵌り込みながら第2層を構成する第1部分、その第1部分から一旦内側に戻って第2層の外側まで導かれる第2部分、さらにその第2部分に連なり第3層を構成する第3部分、そして第3部分から再び第1層の外側の第2層の位置まで導かれる第4部分、その第4部分に連なり第1層の第1ワイヤの隙間に嵌り込みながら第2層を構成する第5部分を含む特有の巻き方が採用され、第2ワイヤの張力を保ち位置ずれを抑制し、第1部分と第5部分の境界に意図的にずれ量が設けられていることで、第1ワイヤと第2ワイヤ間の浮遊容量を調整し、ノイズ除去性能であるモード変換特性の低減を図るコイル部品が開発されています(以下URL)。
コイル部品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7661955/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(コイルのインダクタンス、寄生容量、結合係数などの電気的特性の評価、所望の特性を実現するためのワイヤの巻回パターン、ずれ量、ターン数などの設計パラメータ最適化)、生産工学(ワイヤの張力制御、巻回速度、位置決め精度などの最適化、量産に適した効率的な生産プロセスの確立)
既存の積層型インダクタ部品では層間絶縁層の厚みに製造誤差などによるばらつきが生じるとインダクタ配線における電流損失が増大するという問題がありました。特に層間絶縁層に分散されたフィラーの平均粒径が過度に大きいと層間絶縁層の厚みばらつきを助長する可能性がありました。
これに対して、主面に垂直な方向に積層された配線部間の層間絶縁層においてフィラーの平均粒径が当該層間絶縁層の厚みの標準偏差以下とされることで、フィラー由来の厚みばらつきの増大が抑制され、インダクタ配線に電流が流れた際の損失を低減するインダクタ部品が開発されています(以下URL)。
積層構造を有するインダクタ部品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7632431/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(層間絶縁層の母材とフィラーの材料選定、配合比率、分散方法の最適化、フィラーの平均粒径と層間絶縁層の厚み標準偏差の関係の評価、絶縁信頼性と低損失化の両立を目指した材料設計)、電気電子工学(層間絶縁層の厚みばらつきとインダクタンス特性、損失との相関関係の解析、高周波領域におけるインダクタの損失メカニズムの解析)
具体例としてキャリアフィルム上に成型されたセラミックグリーンシート(焼結前のシート状のセラミック材料)の欠陥位置を検出するシート欠陥位置検出方法が挙げられます。
従来の技術ではシート成型工程で検出された欠陥情報は後工程でシートが変形するとその位置がずれ、正確な品質管理が困難でした。特に、熱処理によってシートが伸縮すると欠陥の相対的な位置が変わり後工程での不良品特定や除去が難しくなるという問題がありました。
これに対して、セラミックグリーンシート成型後にキャリアフィルム上に一定間隔で複数のマークを付与し、熱履歴付与後にこれらのマーク間の距離を測定し、成型時に取得した欠陥の位置情報と熱履歴後のマーク間距離の情報に基づいて熱履歴によるシートの変形を補正し、より正確な欠陥位置を特定することにより、後工程においても欠陥位置を精度良く把握し不良品を効率的に除去し、品質管理を向上させるシート欠陥位置検出方法が開発されています(以下URL)。
シート欠陥位置検出方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7658357/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(温度変化に伴う材料の線膨張率や収縮率の測定、シート全体の変形を予測するモデルの構築、マークの読み取り精度に影響を与える可能性のある光学的な歪みやノイズ要因の解析)、精密工学(キャリアフィルムへの正確なマーク付与機構、熱履歴後のマーク間距離を高精度に計測する光学系の設計、情報をリアルタイムに処理し欠陥位置を算出する情報処理アルゴリズムの設計)
既存技術では熱処理時にリードフレーム表面の低融点金属が溶融し、重力で下方に流れることで上側のリードフレーム端子部が厚くなり、製品の厚み寸法不良を引き起こす問題がありました。
これに対して、熱処理を行う前に、上側に位置するリードフレームの幅方向に沿って段差(この段差が、熱処理中に溶け出した金属の流れを堰き止めて、上側の端子への過剰な金属の付着を防止する効果を発揮する)を設け、熱処理後、段差と封止体の間でリードフレームを切断することで、金属が偏って厚くなった不要な部分を取り除き、結果として、均一な厚みの端子を持つ電解コンデンサとなる電解コンデンサの製造方法が開発されています(以下URL)。
電解コンデンサ製造→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7647722/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(リードフレームの基材であるCuと表面の低融点金属層の材質、厚さ、界面の特性の分析、熱処理温度における各材料の溶融、凝固挙動、表面張力などの評価)、生産工学(リードフレームへの段差部形成の自動化技術、熱処理時のワークの搬送・保持方法、高精度な切断技術および最終製品の寸法測定・評価方法などの検討)
具体例として差動信号をシングルエンド信号に変換する信号変換回路が挙げられます。
従来、トランスを用いた差動-シングルエンド変換において1次巻線と2次巻線間の寄生容量が1次巻線の入力インピーダンスに非対称性を生じさせ、信号の歪みや位相ずれを引き起こす問題がありました。また、従来の解決策では寄生容量を含めたトランス設計が必要となりインピーダンス変換比の自由度が低下するという課題がありました。
これに対して、1次巻線の一端が基準電位に第1コンデンサで接続されるとともに、1次巻線の他端と2次巻線の一端との間に負性容量が接続されることでトランスにおける寄生容量に起因する入力インピーダンスの非対称性を解決する信号変換回路、すなわち、第1コンデンサが一方の寄生容量の影響を補償し、負性容量がもう一方の寄生容量の影響を打ち消すように機能することで、寄生容量の影響を低減し、1次巻線の入力インピーダンスの対称性を改善し、回路設計の自由度が高い信号変換回路が開発されています(以下URL)。
信号変換回路→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7632409/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(トランスの動作原理、等価回路および周波数特性の解析、寄生容量が回路のインピーダンス特性や信号伝達特性に与える影響の評価、補償素子導入による改善効果の検証、回路全体の最適化設計)、電子工学(負性容量を実現するための回路構成の検討、適切なデバイスの選定、バイアス回路および増幅回路の設計)
従来の弾性波装置では特定の支持基板の面方位を用いた場合に高次モードを十分に抑制できないという問題がありました。
これに対して、シリコン支持基板上に窒化ケイ素膜、酸化ケイ素膜が積層され、その上に特定のオイラー角((0±5°,θ,0±5°)、θが117.5°≦θ<129.5°)を有するYカットX伝搬のタンタル酸リチウム圧電体層とIDT電極が設けられた構造において、圧電体層の膜厚が特定の波長以下とされ、さらに圧電体層のオイラー角θと窒化ケイ素膜の膜厚が特定の関係に設定されることで、高次モードの位相を大きくずらして抑制する弾性波装置が開発されています(以下URL)。
高次モードを抑制する弾性波装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7497750/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(圧電体層の結晶方位が弾性波の速度や結合係数に与える影響、基板や中間層の材料特性、膜厚が弾性波の反射や透過に与える影響の解析)、材料科学(弾性波デバイスに用いられる材料の物理的特性の評価、最適な成膜条件の検討)
具体例として半固体電極を用いた二次電池が挙げられます。
従来のバインダーを用いた電極ではバインダーが抵抗となりレート特性が低下する、製造工程が複雑でコストがかかるなどの問題がありました。半固体電極はこれらの課題を解決する可能性を持つ一方で、電極内の導電性粒子がセパレータの細孔を通過・滞留し、短絡やサイクル特性の低下を引き起こす新たな問題がありました。
これに対して、半固体電極に含まれる導電性粒子(導電助剤または活物質表面に導電助剤が一体化された粒子)の最小粒径(D5P)をセパレータの中間層領域の最大細孔径(D95)よりも大きく設定することで、導電性粒子がセパレータを物理的に通過したり細孔内に滞留して短絡を引き起こしたりするのを防ぎ、その結果として、レート特性とサイクル特性に優れた二次電池が開発されています(以下URL)。
半固体電極を用いた二次電池→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7643574/15/ja
関連する専門分野の例:電気化学(半固体電極におけるイオン伝導と電子伝導の挙動の解析、電解液の種類や添加剤が半固体電極の流動性や導電性粒子の分散状態、セパレータとの界面特性に与える影響の評価)、化学工学(半固体電極のスラリーの流動性、電解液中での粒子の分散挙動、電極活物質の反応、固体電解質界面膜の形成などの解析、電池の製造プロセス全体の設計)
(3)TDK|開発トレンドと専門性

H01Fが最も多いです。 次いでH01L、H01M、H01Gが多いです。
具体例としてスピンインダクタが挙げられます。
従来の小型スピンインダクタでは薄膜積層構造において電極と薄膜との電気的な接続の確保が課題であり、安定した電流供給が難しいという問題がありました。
これに対して、第1配線層と第1強磁性層を備える第1インダクタ層を有し、その第1インダクタ層の積層方向に対して傾斜した第1側面に第1端子が、異なる第2側面に第2端子が接する構造を持ち、この傾斜により第1端子および第2端子と第1インダクタ層の薄膜との接触面積が増加して電気的な接続が安定化し、第1端子と第2端子のそれぞれが第1配線層と第1強磁性層にわたって接することで、より低抵抗で安定した電流経路が確保されるスピンインダクタが開発されています(以下URL)。
スピンインダクタ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7287593/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(配線層の材料、強磁性層の材料や膜厚、積層構造がスピン注入効率や磁気特性にどのように影響するか評価、最適な材料や構造の検討)、電子工学(スパッタリング、蒸着などの成膜の最適化検討、傾斜した側面を持つインダクタ層や微細な配線パターンなどを形成するプロセスの検討)
従来の積層コイル部品では素体と外部電極の熱膨張率の差により、温度変化時に外部電極が剥がれ電気的・磁気的特性が劣化する問題がありました。
これに対して、第一方向に並ぶ複数のコイル導体を有するコイルと、同様に第一方向に並ぶ複数の電極導体を有する外部電極を備え、複数のコイル導体のうち最外に位置する第二コイル導体と第三コイル導体は複数の電極導体と同層に位置せず、それぞれ最外の第一最外電極導体、第二最外電極導体と電気的に接続されていることにより、第一方向における外部電極の体積が小さくなり、素体との熱膨張差に起因する剥がれを抑制し、特性劣化を防ぐ積層コイル部品が開発されています(以下URL)。
積層コイル部品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7648497/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(素体に使用する磁性体または非磁性体セラミックス材料と外部電極に使用する導電性金属材料の熱膨張率の測定、両者の差が最小となる材料の組み合わせの検討、異なる添加物の配合など焼成条件の最適化)、電子工学(積層コイル部品の電気的特性を最適化するためのコイルや電極の形状、配置、材料の設計、高周波回路におけるインピーダンス整合や損失低減を考慮した設計)
従来のコイル部品では外部電極のめっき層形成時に発生する応力により下地の電極層の縁が剥離する問題がありました。
これに対して、外部電極の第一電極層上に第二電極層が設けられ、その上にめっき層が形成される構造において、めっき層が第一電極層の縁上には点在するように配置されることで、めっき層形成時の応力を分散させ、第一電極層の剥離を抑制し、外部電極の信頼性を向上させたコイル部品が開発されています(以下URL)。
外部電極の剥離を抑制したコイル部品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7590293/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(素体、第一電極層、第二電極層、めっき層の各材料の機械的特性、熱的特性、電気的特性の評価、最適な組み合わせの決定)、応用化学(均一で密着性の高いめっき層を形成するためのめっき液組成、添加剤、反応条件の検討)
具体例として消費電力の少ない磁気抵抗効果素子が挙げられます。
従来の磁気抵抗効果素子では磁化反転に必要な電流密度が大きく、磁気アレイの消費電力増加が問題となっていました。
これに対して、第1強磁性層とスピン軌道トルク配線との間に部分的にスペーサー層が挟みこまれ、第1強磁性層の配線側の面にスペーサー層と重なる重畳面と重ならない非重畳面が設けられ、両面の高さが異ならされた段差が形成され、重畳面の面積が非重畳面より広くされることで、磁化反転の起点となる磁化の配向が乱れやすい部分が形成され、より低い電流密度での磁化反転が可能となって消費電力が低減される磁気抵抗効果素子が開発されています(以下URL)。
磁気抵抗効果素子→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7608291/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(重畳面と非重畳面の段差が磁化反転現象に与える影響の解析、スピン軌道トルクによる磁化制御の効率向上を目指した材料設計や素子構造の最適化)、電気・電子工学(磁気抵抗効果素子を用いたメモリセルや磁気センサなどの応用回路の設計、低消費電力で高速動作が可能な書き込み・読み出し回路方式の検討)
具体例としてリチウムイオン二次電池用電極が挙げられます。
従来のリチウムイオン二次電池では外部からの衝撃による内部短絡が発熱の原因となる問題がありました。その対策として集電体表面にPTC機能を有する導電層を設ける技術も提案されていましたが、衝撃による内部短絡への対策としては不十分でした。
これに対して、金属箔上に形成された導電層と、その上に形成された活物質層を有し、導電層は無機粒子であるLiVOPO4の少なくとも表面の一部に導電性粒子が付着した複合化粒子を含み、通常使用時には導電性粒子により良好な電子パスを確保しますが、衝撃時には導電性粒子が外れて無機粒子が露出し、高抵抗層として機能することで内部短絡を抑制し、発熱を低減するリチウムイオン二次電池用電極が開発されています(以下URL)。
リチウムイオン二次電池用電極→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7640331/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(LiVOPO4の電気的特性(抵抗率、誘電率など)と機械的特性(硬度、脆性など)の評価、導電性粒子との界面における結合状態や剥離メカニズムの解析)、電気化学(リチウムイオン二次電池の電気化学的特性の評価、電解液との界面反応や充放電に伴う複合化粒子の構造変化の解析)
具体例として実装強度が高く、かつ、等価直列抵抗(ESR)を低く維持できるセラミック電子部品が挙げられます。
従来のセラミック電子部品では高温使用時の外部電極の酸化によるESRの増大や基板実装時の機械的強度が課題となっていました。
これに対して、セラミック層と内部電極層を有する素子本体と端面に形成された外部電極を有するセラミック電子部品であり、外部電極が銅または銅合金を主成分とし、特定の空隙率を持つ焼付電極層を備え、その空隙の内壁表面の少なくとも一部がニッケルまたはニッケル合金を含む皮膜部で被覆される構成により、焼付電極層の空隙が冷却時の応力緩和と素子本体との密着性向上に寄与して実装強度を高めるとともに、ニッケル皮膜が銅の酸化を抑制して低ESRを維持し、特定の空隙条件を満たすことで実装性と低ESRを両立するセラミック電子部品が開発されています(以下URL)。
セラミック電子部品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7664142/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(焼付電極層における銅とニッケルの合金化状態、空隙の形状や分布、ニッケル皮膜の形成状態が機械的強度と電気的特性に与える影響の評価、最適な焼付条件の確立)、応用物理学(焼成プロセスにおける材料の挙動や形成された微細構造が部品の特性に与える影響の解析)
(4)ミネベアミツミ|開発トレンドと専門性

H02Kが最も多いです。次いでH02P、F21S、F04D、G01Bが多いです。
具体例としてモータが挙げられます。
従来のモータではヨークにマグネットを組み付ける際にマグネットの寸法公差によって取り付けが困難になったり、マグネット間に隙間が生じたりする問題がありました。
これに対して、ロータとステータを備え、ロータはヨークと複数のマグネットを有し、ヨークは、マグネットに向かって突出した第1突出部と第2突出部を持ち、第1突出部は第2突出部に対してロータの回転軸方向の一方側に配置され、第2突出部は第1突出部よりも周方向の大きさが大きい構成により、マグネット組み付け時に小さい第1突出部がガイドとなり挿入を容易にし、大きい第2突出部がマグネットの周方向の位置ずれを防止することで組み付け性が向上したロータが開発されています(以下URL)。
組み付け性を高めたモータ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7645714/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ロータの機械的な構造、強度解析、振動解析、軸受の設計、ヨークの形状がロータの回転バランスや耐久性に与える影響の評価)、電気電子工学(ステータコイルの設計、駆動回路の設計、回転数やトルクを制御するための制御アルゴリズムの設計)
従来のブラシ付きモータではブラシが整流子の板金と接触・離反する際に振動が発生し、騒音の原因となっていました。特に近年、車両の静音性が高まる中でモータの騒音が顕著になるという問題がありました。
これに対して、各ブラシの整流子と反対側の第1面とこれに対向するブラケット側の第1壁部との間に変形可能な第1変形部が介在し、同様にブラシの整流子側の第2面とこれに対向するブラケット側の第2壁部との間にも変形可能な第2変形部が介在し、これらの変形部においてブラシが整流子の板金と接触・離反する際に発生する微細な振動をその変形によって吸収し、ブラシが振動しようとすると第1・第2変形部が柔軟に変形することでブラシの動きを抑制し、共振を防止することでブラシと整流子の間の不要な接触や跳ね返りが減少し、騒音の発生を抑制するブラシが開発されています(以下URL)。
騒音の発生を抑制するブラシ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7455169/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(第1・第2変形部の材質の粘弾性特性の評価、振動吸収効果の最適化)、材料工学(ブラシと変形部の耐久性を向上させるための材料選定、振動吸収性能に優れた新規な高分子材料や複合材料の探索)
具体例としてモータ駆動制御装置が挙げられます。
従来の汎用ICを用いたモータ駆動回路ではモータ停止時にローサイドのスイッチ素子がオンになることでコイル中点電圧が固定され異常検出が困難でした。
これに対して、駆動制御回路からの指令に基づきローサイドスイッチ素子への駆動信号を遮断する信号遮断回路が設けられ、駆動指令信号出力下の第1判定期間におけるコイル中点電圧に応じた検出電圧を監視することで、モータ停止中や駆動初期においても異常状態を検出できるモータ駆動制御装置が開発されています(以下URL)。
モータ駆動制御装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7611118/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(各種異常状態におけるコイル中点電圧の挙動の評価、信号遮断回路の具体的な実装方法(スイッチング素子の選定、制御ロジックなど)の検討)、情報工学(駆動制御回路における異常判定アルゴリズムの設計、ノイズの影響を低減し安定した異常判定を実現するための信号処理技術の検討)
具体例として面状照明装置が挙げられます。
従来の面状照明装置のトップフレームは板金製では湾曲に対応できず、樹脂成型では狭額縁化が困難でした。
これに対して、ダイキャスト製のボトムフレームと可撓性を有する短冊状の複数部材からなる枠状のトップカバーを備え、トップカバーが中間層と遮光層を有し、角部において中間層と遮光層の短辺と長辺を対向させ、互いの対向部分を他方の遮光層または中間層で覆う構造により、薄型化と湾曲への追従性を両立し、狭額縁化と光漏れを防止する面状照明装置が開発されています(以下URL)。
面状照明装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7299422/15/ja
関連する専門分野の例:精密工学(トップカバーを構成する中間層、遮光層、拡散反射層の各薄膜材料の選定、可撓性を維持しつつ各層間の剥離強度と信頼性を確保するための接着剤や接合プロセスの最適化)、材料科学(トップカバーに求められる可撓性、耐熱性、耐湿性、遮光性および光反射性といった複数の特性を両立する高分子材料や複合材料の探索、狭額縁化に対応するための薄膜化が可能な材料および湾曲形状においても特性劣化の少ない材料の選定)
具体例として小型で薄型化されたファンモータが挙げられます。
従来の小型ファンモータでは駆動制御ICなどの体積の大きい電子部品の配置が課題となり、更なる薄型化や小型化の妨げとなっていました。
これに対して、平面視略正方形のケーシングの一つの側壁に切欠部が設けられ、回路基板が第1の部分(貫通孔を有しケーシング段部に配置)と第2の部分(電子部品実装部で切欠部外周面に配置)に分割配置され、第2の部分に実装された電子部品の一部が切欠部を通してケーシング内部に露出することで、軸方向のスペース効率が高まって薄型化を実現するとともに内部の空気流による電子部品の冷却を可能にするファンモータが開発されています(以下URL)。
ファンモータ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7592545/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(ファンモータの駆動回路設計、小型化に対応した電子部品の実装検討、限られたスペースにおける駆動制御ICの効率的な配置と放熱設計)、機械工学(ファンモータの小型化と高効率化を両立するための流路設計とインペラの最適化、駆動制御ICの冷却効果を高めるための流路形状や切欠部の設計)
具体例としてひずみゲージが挙げられます。
従来のCrを主成分とするひずみゲージは高ゲージ率を示すものの横感度も高く測定誤差が生じやすいという問題がありました。
これに対して、Crを主成分とする抵抗体の膜厚を200nm以上にすることでゲージ率を5以上と高い値を維持しつつ横感度比を70%以下に低減し、従来のひずみゲージよりも高精度なひずみ測定を可能にするひずみゲージが開発されています(以下URL)。
ひずみゲージ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7436581/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(Crを主成分とする薄膜の膜厚とひずみゲージのゲージ率および横感度比の物理的メカニズムの解明、薄膜の微細構造、応力状態、電気伝導特性などがゲージ特性に与える影響の分析)、材料工学(Crを主成分とする抵抗体の膜厚を精密に制御するためのスパッタリングなどの成膜条件の最適化)
(5)日東電工|開発トレンドと専門性

G02Bが最も多いです。次いでC09J、B32B、H01Lが多いです。
具体例として反射防止層付き偏光板の製造方法が挙げられます。
従来の製造方法では偏光板端面からの水分蒸散などが原因で反射防止層の膜厚が不均一になり反射光特性にばらつきが生じるという問題がありました。
これに対して、偏光子よりも幅広の保護フィルムで偏光子の両端を挟持し、特に端部における保護フィルム間の間隔を狭めることで偏光子端面からのガス放出を抑制し、基材搬送中に連続して反射防止層を成膜して、少なくとも一層成膜後に反射光を検出して、その結果に基づき成膜条件を調整することで反射光特性の均一性を高める反射防止層付き偏光板の製造方法が開発されています(以下URL)。
反射防止層付き偏光板の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7591014/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(偏光子からの水分蒸散が成膜に与える影響の解析、反射光特性の均一性を高めるための成膜条件やプロセスの最適化)、材料科学(反射防止層を構成する薄膜材料の特性の評価、成膜プロセスにおける基材との密着性向上や均一な薄膜形成のためのプロセス条件の探索、偏光板端面からの水分蒸散を抑制するための保護フィルムの構造や接着剤の選定)
従来のVR表示システムでは本来反射されるべき光が透過し、残像として視認される問題がありました。
これに対して、表示素子から出射され、偏光部材を通過した直線偏光を第1のλ/4部材(特定の波長の光に対して、その偏光状態を直線偏光と円偏光の間で変換したり、円偏光の回転方向を反転させたりする光学素子)によって円偏光に変換(円偏光はハーフミラーを透過し、第一レンズ部と一体化された第2のλ/4部材によって再び直線偏光に変換された後、反射型偏光部材で反射され、ハーフミラーに戻る)し、反射された光が再度第2のλ/4部材を通過することで、反射型偏光部材を透過しやすい偏光状態となり、吸収型偏光部材と第二レンズ部を通過して観察者に届けられ、また、第2のλ/4部材と第一レンズ部、反射型偏光部材と吸収型偏光部材と第二レンズ部がそれぞれ一体化されたことで、高温環境下での部材変形による光軸のずれを抑制し、残像の発生を低減するレンズ部が開発されています(以下URL)。
VRゴーグル等のレンズ部→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7516458/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(各光学素子の配置や光学特性が最終的な表示品質にどのように影響するのかの検討)、高分子化学(偏光部材(反射型、吸収型)、位相差部材(第1、第2のλ/4部材)、レンズ部材の材料となる高分子材料の選定と評価)
具体例として画像表示装置に用いられる光学積層体向けの粘着シートを作製するための粘着剤組成物が挙げられます。
従来の粘着シートでは狭額縁化が進む画像表示装置において、温度変化による光学フィルムの寸法変化を抑制するために架橋剤を増量すると、経時で接着力が過度に上昇しリワーク性が低下するという問題がありました。
これに対して、(メタ)アクリル系ポリマー(A)に対し2重量部以上のイソシアネート系架橋剤に加え、特定の構造を有するポリヒドロキシアルキルアミン系化合物とケイ素原子と水酸基または加水分解性基を有するポリエーテル系化合物とが配合されることで、凝集力を維持しつつ経時での接着力上昇を抑制し、リワーク性の低下を抑制する粘着剤組成物が開発されています(以下URL)。
光学積層体向けの粘着シート用粘着剤組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7612644/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学((メタ)アクリル系ポリマー、イソシアネート系架橋剤、ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物、ポリエーテル系化合物の分子量、官能基の種類と量、配合比率などの最適化)、有機化学(ポリヒドロキシアルキルアミン系化合物やケイ素原子を含むポリエーテル系化合物を効率的に合成するための合成ルートの検討、目的とする分子量や官能基を有する化合物を高純度かつ高収率で得るための反応条件、触媒、精製方法などの検討)
従来の粘着シート製造では剥離ライナーは通常一度の使用で廃棄されていましたが、環境負荷低減の観点から改善が求められていました。
これに対して、(メタ)アクリル系単量体を含む光硬化性粘着剤組成物に特定の分子量以下の酸化防止剤を配合し、基材シート、この粘着剤組成物の塗布層、剥離ライナーを積層した状態で光照射することで厚さ5~100μmの粘着シートを形成する工程(工程A)と、形成された粘着シートから剥離ライナーを剥がす工程(工程B)において、剥離された剥離ライナーを廃棄せずに再度工程Aと工程Bを繰り返して利用することで剥離ライナーの再利用を可能とし、廃棄物を削減する粘着シートの製造方法が開発されています(以下URL)。
粘着シートの製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7652744/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(粘着剤組成物における酸化防止剤の種類、添加量および(メタ)アクリル系単量体の組成の最適化、剥離ライナーの再利用に伴う剥離力の経時変化を最小限に抑えるための配合設計)、高分子化学(光硬化後の粘着特性を最適化する(メタ)アクリル系ポリマーの分子量、分子量分布、共重合組成などの検討、最適な酸化防止剤の選択と添加量の決定)
具体例としてロールトゥロール方式による防汚層付き光学フィルムの製造方法が挙げられます。
既存技術ではロール状に巻き取られた防汚層付き光学フィルムにおいて、防汚層材料が透明基材フィルムの裏面に転写しやすいという問題がありました。特にドライコーティング法で防汚層を形成する場合や防汚層が厚い場合にこの問題が顕著でした。
これに対して、透明基材フィルムの裏面の表面自由エネルギーを特定の範囲(43mN/m以下)に制御するとともに、防汚層をパーフルオロポリエーテル基含有アルコキシシラン化合物からドライコーティング法によって形成することでロール状に巻き取られた際に防汚層から裏面への材料転写を抑制することにより、防汚層の性能が維持された高品質な防汚層付き光学フィルムの製造方法が開発されています(以下URL)。
防汚層付き光学フィルムの製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7373698/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(表面自由エネルギーの概念に基づく材料間の濡れ性、付着性、凝集性の評価、材料転写を抑制するための条件の探索)、応用物理学(真空蒸着法などの薄膜形成プロセスの最適化、成膜時のプラズマ状態や蒸発粒子の挙動制御による膜の構造や組成を制御する手法の確立)
具体例として半導体チップと被着体との接着に用いられる熱硬化型樹脂シートが挙げられます。
従来のダイボンドシートでは被着体表面の凹凸への追従性が不十分であったり、熱硬化処理後にチップの反りを引き起こしたりする問題がありました。
これに対して、特定の架橋性基を有する架橋性アクリルポリマーを含有し、熱硬化処理前における特定の温度(140℃)でのせん断損失弾性率と、熱硬化処理後における特定の温度(150℃)での引張弾性率、それぞれ特定の範囲に制御されることで、ダイボンド時の良好な埋め込み性と熱硬化後の反り抑制を両立する熱硬化型樹脂シートが開発されています(以下URL)。
熱硬化型樹脂シート→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7656507/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(モノマーの種類や組成、架橋性基の導入量、分子量などの検討、熱硬化時の架橋構造や硬化後のネットワーク構造の解析)、機械工学(ダイボンド時のシートの変形特性(クリープ、応力緩和など)の評価、被着体表面の凹凸への追従性を向上させるためのシートの力学特性の解析)
(6)アルプスアルパイン|開発トレンドと専門性

G06Fが最も多いです。次いでH01H、G02B、G01Rが多いです。
具体例として指などの検出対象物の近接、接触、押圧を検出する入力装置が挙げられます。
従来のタッチパネルはタッチ位置検出用と押圧検出用の電極が別々で構成が複雑でした。
これに対して、第1電極、その裏側の弾性誘電体、第1電極との間に弾性誘電体を挟んだ第2電極、第2電極に隣接する第3電極およびこれらの電極の出力に基づいて近接・接触・押圧を検出する検出部を含む構成で、押圧検出時には第3電極が一定電位に保持されることで、第2電極から検出対象物への電界の回り込みを抑制し、押圧検出の感度向上と誤検出の防止を図り、簡易な構成で高精度な入力検出が可能な入力装置が開発されています(以下URL)。
検出対象物の近接、接触、押圧を検出する入力装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7651795/15/ja
関連する専門分野の例:電子工学(近接・接触検出のための第1電極の自己容量、押圧検出のための第1電極と第2電極間の相互容量の感度を高める設計、第3電極による電界回り込み抑制の効果を最大限に引き出すための電極形状や配置の検討)、応用物理学(弾性誘電体の変形と電極間の距離変化が相互容量に与える影響の評価、第3電極による電界遮蔽効果の分析)
従来の容量性センサでは人体と接地間の容量の影響を受け、液体や金属などの非人体との判別が困難でした。
これに対して、第1の電極に供給する規定周波数の第1の信号と静電容量を介して接続された第2の電極に生成される第2の信号との位相差を比較し、その位相差が規定範囲内にある場合に人体とのタッチまたは接近を検出することで、接地された物体等の影響を低減して人体をより正確に検出することを可能にするセンサシステムが開発されています(以下URL)。
人体を検出するセンサシステム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7661647/15/ja
関連する専門分野の例:電子工学(システム全体の設計と最適化、駆動回路、検出回路、比較回路を含むセンサシステム全体の性能を向上させるための要素技術の検討、信号処理アルゴリズムの設計)、物理学(センサの設計、効率的な検出のための電極形状や配置、駆動信号の周波数などのパラメータの検討)
具体例として小型化と組み立てやすさを両立したスナップアクション式切り換えスイッチの可動ユニットが挙げられます。
従来の同種のスイッチはスライダ復帰用の水平配置されたコイルスプリングが原因で水平方向の小型化が困難であり組み立て性にも課題がありました。
これに対して、スライダの押下に伴い回動するカムと、カムの回動軸を摺動可能に支持し可動接点を保持する保持部材、カムを付勢するばねを備え、カムの回動時にばねの力で保持部材がスナップアクションし接点を切り換え、さらに組み立て時にはカムが押し下げられて固定されることで小型で組み立てやすい切り換えスイッチの可動ユニットが開発されています(以下URL)。
スナップアクション式切り換えスイッチの可動ユニット→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7548640/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(強度解析、熱解析、運動解析、振動解析の実施、最適な材料選定、部品形状、製造プロセスの決定)、電気電子工学(接点の接触 電気的な特性、スイッチ全体の電気的信頼性および 電磁両立性の評価)
従来の入力装置ではタッチパネルの一端を押すと傾きが生じ、操作感が悪化する問題がありました。
これに対して、複数の押圧操作領域を持つタッチパネルと各領域に対応して設けられた複数のスライド部材、スライド部材の動きをスイッチに伝える伝達部材を備え、タッチパネルの押圧に応じて対応するスライド部材が下方に移動し、伝達部材を回動させてスイッチをオンにし、また、複数のスライド部材により、片寄った押圧でもタッチパネルの傾きを抑制し、均一な操作感を実現する入力装置が開発されています(以下URL)。
タッチパネルの入力装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7548493/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(入力装置全体の設計、各部品の強度、耐久性、動作の安定性などの評価)、人間工学(入力装置をユーザーが快適かつ効率的に使用できるための設計、タッチパネルの配置、押圧操作領域のサイズや間隔、操作時の身体的な負荷などの評価)
具体例として鏡筒付レンズが挙げられます。
従来のレンズでは反射防止のために黒塗りや黒化処理といった追加工程が必要であり製造が煩雑でした。
これに対して、金属製の鏡筒とガラス製のレンズ部の間にガラス製の光吸収部が設けられ、レンズ部と光吸収部を構成するガラス材料が特定の重複する温度域を持ち、レンズ部のガラス転移点は光吸収部のそれより高いため、レンズ成形と同時に光吸収部も成形でき、追加工程なしに内部反射を抑制し、高精度な位置決めと気密性を実現する鏡筒付レンズが開発されています(以下URL)。
鏡筒付レンズ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7602424/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(レンズ部と光吸収部に使用するガラス材料の選定、特性評価、製造プロセスの最適化)、応用物理学(レンズを含む光学的システムの設計、光の伝播、反射、屈折、回折、干渉といった現象の解析)
具体例として異なる電流レンジに対応した複数の検出ユニットを一体化した電流センサが挙げられます。
従来、異なる大きさの電流を測定するために複数の電流センサを組み合わせると、装置が大型化し、また、大電流による磁気が小電流の測定に影響を与えるなどの問題がありました。
これに対して、バスバ、磁気センサ、シールドを有するユニットを複数備え、大電流用と小電流用のユニットで、バスバと磁気センサ間の距離は同じである一方、バスバとシールド間の距離については大電流用ユニットの方が大きくされることでシールドによる磁気増強効果を低減して磁気センサへの過大な磁場印加を防ぎ、複数のユニットがバスバの延設方向およびその法線方向と直交する方向に並べて配置され、電流値が大きく異なる隣接ユニットがその直交方向に延びる同一の直線上に配置されることで、大電流ユニットのシールドが小電流ユニットの磁気センサへの不要な磁場干渉を抑制する電流センサが開発されています(以下URL)。
異なる電流レンジの電流センサ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7579466/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(磁気センサからの出力信号を適切に処理し、電流値を正確に算出する回路を設計、外部からの電磁ノイズや大電流ユニットからの磁気ノイズが小電流ユニットの測定に影響を与えないようフィルタリング回路やシールド方法の検討)、応用物理学(電流が流れるバスバ周辺の磁場分布の解析、磁気センサの配置やシールドの形状の最適化、大電流ユニットからの漏洩磁気が隣接する小電流ユニットに与える影響を最小限に抑えるためのシールド構造や配置の検討)
(7)キーエンス|開発トレンドと専門性

G01Bが最も多いです。次いでG05B、G01N、G06K、G02Bが多いです。
具体例として視野を超えるワークの寸法を測定する光学測定装置が挙げられます。
従来の光学測定装置では視野が狭く広い範囲の測定には複数の装置や煩雑な位置合わせが必要でした。
これに対して、測定ヘッドで視野よりも大きなワークの異なる二箇所をそれぞれ撮像し、第一の画像と第二の画像を生成し、これらの画像から指定した第一の輪郭と第二の輪郭の相対的な位置関係を示す幾何情報を取得し、ワーク上の対応する二つの輪郭の既知の相対位置関係を示す値をユーザに入力させ、これらの情報に基づいて画像間の幾何的な繋がりと実際のワーク上の距離情報とを照らし合わせて算出・設定されたオフセットパラメータ(第一の画像を撮像した際の測定ヘッドの位置・姿勢と第二の画像を撮像した際の測定ヘッドの位置・姿勢との間のずれ(並進量や回転量)を示す情報)により、個々の画像で測定された情報を統合する際に位置ずれや姿勢ずれが補正され、視野全体にわたるワークの寸法をあたかも一枚の大きな画像として扱うように高精度に測定することが可能な光学測定装置が開発されています(以下URL)。
光学測定装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7652660/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(測定ヘッドの機械的な構造、 運動機構および 安定性を確保する測定システムの設計、熱膨張や振動などの外部要因が測定精度に与える影響を最小限に抑えるための設計や材料選定)、情報工学(画像処理アルゴリズムの設計、測定システムのソフトウェア全体の設計と実装)
従来のプローブでは測定範囲が撮像部の視野に制限され、使用者の熟練度によって測定精度や範囲が左右される可能性がありました。
これに対して、複数の測定マーカを持つ本体部と測定点を指示するための接触部を有するスタイラス、使用者の把持姿勢が規定される把持部、そして把持部を予め定められた回転軸の周りで回転可能に本体部に接続する接続部を備えたプローブであり、把持部がその回転軸の周りを回転することにより、規定された把持姿勢で使用者が把持した際に複数の測定マーカが異なる向きに配置されるため、撮像部の視野を意識することなく測定対象物の広い範囲で高精度な三次元座標測定を可能にするプローブが開発されています(以下URL)。
三次元座標測定装置に用いられるプローブ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7641191/15/ja
関連する専門分野の例:精密工学(把持部において規定された回転軸での滑らかな回転と意図しないガタツキや運動を防ぐための高精度な機械的要素(例えば、ベアリング、クリック機構など)の設計・選定、プローブ全体の強度、耐久性および軽量化を考慮した材料選定や構造設計)、制御工学(プローブの測定マーカの撮像、座標算出および使用者への情報伝達に関する制御アルゴリズムの設計、測定マーカの配置が変化しても撮像部が安定してマーカを認識して三次元座標を算出するためのアルゴリズム設計)
具体例としてプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)で制御される産業機械などの運転記録データを分析する分析装置が挙げられます。
従来の技術ではPLCに関連する全デバイスの膨大なデータを解析する必要があり、異常の特定に時間と専門知識を要していました。
これに対して、ユーザが定義した制御サイクルのタイミングに基づいてPLCの動作や制御機器の状態を示すデバイス値や変数などの時系列データを分析する装置、具体的には、正常時のこれらのデータの変化パターンを学習したモデルとの比較により、正常な状態から外れた挙動を示すデバイスや変数(これらを総称してシンボル)を特定し、設定された制御サイクルと異常が検知されたシンボルが分析対象の運転記録データにおいて発生した時間的な箇所を時間軸上で同期させた分析レポートを生成して表示することで、専門知識や経験がなくても効率的に異常箇所を特定することができる分析装置が開発されています(以下URL)。
産業機械運転記録データの分析装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-158227/11/ja
関連する専門分野の例:情報工学(取得された正常時の運転記録データから各シンボルの時間的な変化パターンを解析して異常を検出するためのアルゴリズム設計、効率的にデータを取得・処理するためのシステム設計)、ソフトウェア工学(分析結果を視覚的に分かりやすく表示してユーザが直感的に操作できる分析レポートのソフトウェア ( インターフェース ) 設計)
具体例として検査対象物の三次元形状を捉えた距離画像に基づいて画像処理をおこなう三次元画像処理装置が挙げられます。
従来の画像処理装置では主に輝度画像を用いており、高さ情報を直接的に扱えず微細な三次元形状の欠陥検出が困難でした。また、距離画像を既存の低階調処理装置で扱うためには階調変換が必要でしたが、単純な変換では高さ情報が失われるという問題がありました。
これに対して、距離画像を低階調の距離画像に変換する際に距離画像から高周波成分を除去した曲面を基準面として設定し、この基準面からの相対的な高さ情報を低階調画像の濃淡値として表現する三次元画像処理装置であって、ユーザが抽出方向入力手段を介して距離画像のX方向、Y方向、またはXY方向のいずれかを指定可能とすることで指定された方向における局所的な形状変化を強調した低階調距離画像を生成することで特定の方向に緩やかに変化する形状や長手方向に連続するような形状の影響を低減し、検査したい局所的な欠陥や微細な形状変化をより明確に捉え、既存の画像処理装置でも高精度な三次元形状検査が可能とする三次元画像処理装置が開発されています(以下URL)。
三次元画像処理装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7150105/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(撮像された画像データから対象物の三次元形状を高精度に復元するためのソフトウェアアルゴリズム設計、低階調距離画像への変換アルゴリズム設計)、精密工学(高精度な撮像デバイスや光源の選定、光学系の設計、これらの電子回路設計)
具体例としてワークに付与されたコードを読み取る固定式の光学情報読取装置が挙げられます。
従来の固定式光学情報読取装置では鏡面性のワークに付与されたコードを撮影する際にコード画像のコントラストが低下し読取が困難になる場合がありました。また、拡散照明を用いることで高コントラストな画像を得るには広い照射範囲が必要となり装置の小型化との両立が課題でした。さらに、拡散照明のみでは光量不足により読取が困難なワークも存在し対応範囲が限られていました。
これに対して、筐体内に複数の照明グループ(少なくとも非偏光・非拡散照明グループと非偏光・拡散照明グループ)とカメラ、デコード手段を備え、筐体前面にそれぞれの照明グループからの光を透過させる透光板と拡散板が設けられ、非偏光・拡散照明グループに対応する拡散板における光の出射領域の面積が非偏光・非拡散照明グループに対応する透光板における光の出射領域の面積よりも大きくされることで、小型な筐体で広範囲の拡散照明を可能にし、鏡面性のワークでもコード全体に対して均一な拡散光を照射し、高コントラストなコード画像が取得できて、光量の多い非拡散照明によって拡散照明では光量不足で読取が難しいワークへの対応も可能にし、さまざまなワークへの読取対応範囲を拡大する固定式の光学情報読取装置が開発されています(以下URL)。
光学情報読取装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7653345/15/ja
関連する専門分野の例:応用粒理学(源から出射される光の特性、物体表面での光の反射・吸収特性、光学素子による光の制御の解析)、電気電子工学(撮像素子の制御、画像信号の増幅・フィルタリング、画像処理アルゴリズムのハードウェアまたはソフトウェア実装、マイクロコントローラやFPGAを用いた制御回路設計、外部インターフェースの設計)
具体例としてレーザ共焦点顕微鏡が挙げられます。
従来のレーザ共焦点顕微鏡では表面形状の測定は可能であるものの、分光干渉法を用いた膜厚測定ほどの高精度な測定は困難でした。一方、分光干渉膜厚測定装置は専用機であり汎用的な顕微鏡としての機能は限定的でした。
これに対して、光源からの白色光とレーザ光を同軸化する合流部と、この合流部と対物レンズとの間の共通の光路上に配置され、測定対象物からの白色光の反射光をカメラと分光器へ分岐させる光分岐部を備え、同軸化された光路上への光分岐部の配置によって、既存の対物レンズを含む光学系を利用しながら白色光を用いた分光干渉法による膜厚測定機能を統合し、部品点数の増加を抑えつつ、レーザ共焦点法による表面形状測定と分光干渉法による膜厚測定を一台に小型化したレーザ共焦点顕微鏡が開発されています(以下URL)。
レーザ共焦点顕微鏡→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7560974/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(測定対象物を載置する高精度なステージの設計、対物レンズや分光器などの光学部品を精密に駆動・位置決めする機構の設計、装置全体の筐体設計)、電気電子工学(レーザー光源や白色光源の安定した駆動回路、カメラや分光器からの微弱な信号を増幅・デジタル化する低ノイズなアナログ・デジタル回路の設計、装置全体の電源供給システムの構築、各種センサーとのインターフェース設計)
(8)まとめ
電子部品といっても主な技術分野は企業によって相違しています(例えば、モータ、レンズ、シート、測定装置といった違い)。
この技術の違いによって求められる主な専門性も微妙に異なっています。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)京セラ

出願件数トップの共同出願人(現存企業)は京セラドキュメントソリューションズとダイニチ工業です。
従来技術ではスキャンデータの保存先フォルダーをユーザーが手動で指定する必要があり、階層構造が複雑な場合やフォルダー数が多数ある場合に目的のフォルダーを探索する手間や誤ったフォルダーを選択する可能性がありました。
これに対し、スキャンデータを生成する読取部、データ管理装置と通信する通信部、指定文字データとデータ管理装置内のフォルダーが関連付けられて記憶される記憶部、スキャンデータ内の文字を認識する認識部を備える画像読取装置であって、制御部は認識部が指定文字データを検出した場合、その関連付けられたフォルダーを指定するフォルダー指定情報を設定し通信部を介してデータ管理装置に送信することで、スキャン文書に特定のキーワードが含まれていれば人手を介さず自動的に適切なフォルダーが選択され、スキャンデータが格納されるため、フォルダー選択の手間が省けて誤格納を防ぐことができる画像読取装置が開発されています(以下URL)。
画像読取装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7583506/15/ja
従来の燃料電池装置ではラジエータの駆動制御が効率的でなく、特に自立発電運転時における排熱処理と装置の安全性確保の両立が課題でした。
これに対し、燃料電池、排熱と熱媒の熱交換器、熱媒ライン、ファン付きラジエータおよび制御装置を備え、制御装置は燃料電池の動作状況に応じた複数のラジエータ動作制御を有し、自立発電運転時にはファンを停止または最大駆動させる制御を最優先に実行することで熱媒の凍結防止と熱交換器の過熱防止を図り、ラジエータを効率的に駆動する燃料電池装置が開発されています(以下URL)。
燃料電池装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7461130/15/ja
(2)村田製作所

共同出願の例として電池が挙げられます。
従来の電池では短絡や過熱時に抵抗が十分に上昇せず、発熱による熱暴走のリスクがありました。
これに対し、正極活物質層に特定の組成(チタン酸バリウムストロンチウムカルシウム鉛)からなる平均粒径300nm以上の置換型チタン酸バリウムを正極活物質の平均粒径以下で全体に存在させることで、異常昇温時に抵抗が急激に増加するPTC(Positive Temperature Coefficient)特性を正極活物質層に付与し、短絡電流を抑制してジュール熱の発生を抑え、安全性を向上させた電池が開発されています(以下URL)。
電池→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7091608/15/ja
従来の表面実装インダクタは外部端子が成形体の複数の面に形成されていたため、実装時に周囲部品との接触やはんだブリッジによる短絡のリスクがあり、高密度実装の妨げとなっていました。
これに対し、コイルを内蔵する成形体を、樹脂と磁性材料を含む封止材で予備成形された有底の第1のタブレットと、同じく封止材で予備成形され開口面を覆う第2のタブレットで挟み込み、コイルの引き出し端部を第1と第2のタブレットの隙間から引き出し折り曲げ、タブレットと共に成型金型で一体成形することで外部端子が成形体の実装面においていずれの辺からも離間して形成され、側面や端面への露出を防いで高密度実装時の短絡リスクを低減する表面実装インダクタの製造方法が開発されています(以下URL)。
表面実装インダクタの製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6503975/15/ja
(3)TDK

共同出願の例として血圧値を得るための情報処理装置が挙げられます。
従来の血圧計測はカフ血圧計による加圧が必要であり、ユーザに負担がかかるという問題がありました。
これに対し、所定の配置面上に配置された第1計測部及び第2計測部を有し、第1計測部がユーザの指関節部における脈波信号を計測し、第2計測部がユーザの指との接触で心電信号を計測し、得られた生体信号から特徴量を算出し、取得されたユーザの基本属性、体型属性、循環器属性と算出された特徴量および装着型生体センサからの加速度信号に基づき推定されたユーザの姿勢状態に応じたパラメータを用いてユーザの血圧値を算出することができる情報処理装置が開発されています(以下URL)。
血圧値を得るための情報処理装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6520140/15/ja
(4)ミネベアミツミ

(5)日東電工

共同出願の例として半導体チップ等のデバイスをシート状封止材で封止するためのデバイス封止方法が挙げられます。
従来の液状樹脂を用いた封止方法では封止後の平坦性や取り扱いに課題があり、製品精度や製造効率を低下させる要因となっていました。
これに対し、デバイスが搭載されたワークとシート状封止材をチャンバに収容し、まずチャンバ内を減圧した状態でシート状封止材をワークのデバイス搭載面に接触させデバイスを覆い(第1封止過程)、次にチャンバ内を加圧することでシート状封止材でデバイスを封止する(第2封止過程)もので、この第2封止過程ではワーク裏面全体が空間に接した状態でチャンバ内を加圧することで、シート状封止材が接触したワークに対してシート状封止材からワークへの第1の押圧力とワークからシート状封止材への第2の押圧力を作用させ、均一な圧力でデバイス間隙への封止材の充填を促進し、高平坦な封止を実現するデバイス封止方法が開発されています(以下URL)。
デバイス封止方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7658748/15/ja
(6)アルプスアルパイン

件数が少ないので説明は省略します。
(7)キーエンス

件数が少ないので説明は省略します。
(8)上記(1)~(7)(共同出願人)のまとめ
企業によっては特定企業との共同出願が多いです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・電気系分野(電気工学、電子工学など)
電気的特性の評価やパラメータ設計、回路設計などが求められます。
・物理系分野(物理学、応用物理学など)
素材などが目的とする効果に与える影響などの物性評価などが求められます。
・機械系分野(機械工学、生産工学、精密工学、制御工学、人間工学など)
目的とする機能を発揮する構造設計などが求められます。
・材料、化学系分野(材料工学、材料科学、応用化学、電気化学、高分子化学、有機化学、化学工学など)
素材の合成、選択、最適条件の探索などが求められます。
・情報系分野(情報工学、通信工学、ソフトウェア工学など)
目的とする効果を得るための情報処理アルゴリズムの設計などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
コイルやレンズなどの部品から情報処理装置や分析装置などの装置まで多くの出願が確認され、技術開発も当該分野に関わるものが多いことが推測されます。
これらを大学の専攻と関連づけるとしたら、主に電気、物理、機械、材料、化学、情報に関わる研究が該当する可能性があります。ただし、その境界はあいまいですし、専門性に関わる単なる名称にまどわされないでください。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
技術的に近い業界:半導体製造装置業界・半導体業界(外資)・半導体業界(国内)(電子部品にとって不可欠な受動部品)、自動車業界・トラック業界(自動運転やEV化の観点)、化学業界(総合)・化学業界(総合に続く規模)・非鉄金属業界(電子部品中の材料開発の観点)
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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
・特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
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