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【特許分析】農機業界の開発職ニーズ:機械、電気、情報、材料、化学、数学系の専攻を中心に大手3社の出願動向から読み解く

 今回は農機業界についてとりあげます。

 農機と言うと、トラクターやコンバインなどが思い浮かぶと思います。

 各企業の現場ではこうした農機の開発がメインなのか、それともそれ以外にも何かあるのか、外部からはなかなか見えづらいのが現状です。

 これを特許情報からみていきます。

 特許情報は企業の開発情報だと言えます。

 実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。

 今回は、農機メーカー3社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。

 

 結論(概要)は以下の通りです。

農機業界の開発に求められる専門性
機械系分野(機械工学、人間工学など)
電気系分野(電気電子工学など)
情報系分野(制御工学、情報工学、情報科学など)
材料系分野(材料科学など)
化学系分野(化学工学など)
数学系分野(応用数学など)
 ただし、上記専門は企業の一部の特許情報に基づくものであり、全てをあらわすものではありません。また、求められる専門は特許の解釈によって変わってきますので、個々の特許情報をご確認ください。

 

 

1 業界サーチの概要

 特許情報は企業の開発情報だと言えます。

 業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。

 特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。

 すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。

 

2 農機業界

2.1 農機業界とは

 ここでは、トラクター、コンバイン、田植機など農業生産に必要な機械などの開発・製造・販売をおこなう業界を意図します。

 ただし、農業関係の技術どうかについては厳密に区別はしていません。

 

2.2 サーチ対象

 以下の農機メーカー3社を対象にしました。

(1)クボタ
(2)ヤンマー(※)
(3)井関農機

 ※特許出願人「ヤンマーホールディングス」、「ヤンマー株式会社(ヤンマーパワーテクノロジー株式会社)」の情報を用いました。

 

2.3 使用プラットフォーム

 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat

 

3 サーチ結果

3.1 結果概要

開発イメージは下表のとおりです。 

 

 

モノの開発

サービスの開発

個人向け

 

 

 

法人向け

落下防止装置を備えた掘取機
トウモロコシ収穫の収穫搬送装置
穀粒に含まれる水分量を測定する水分量測定システム
圃場全体を効率的にカバーする走行ラインを自動で生成する農作業支援装置
圃場作業車における作業車の走行を支援するためのシステム
自動操舵機能を備えた作業車両
乗用型田植機
機体の前部に予備苗のせ台が設けられた乗用田植機
単一測位装置を用いた旋回作業機
電動作業車
農業機械のエネルギー支援システム
作業車両の自動走行システム
排気ガス浄化装置を搭載したコンバイン
高さ調整可能な刈取部を有するコンバイン
圃場の未刈り穀稈を刈取る刈取部と刈取り穀稈の穀粒を脱粒する脱穀部を搭載したコンバイン
油圧ショベルなどの建設機械
無人作業車両に使用される作業車両用の障害物検知システム
連続的に苗植え作業をおこなう田植機
作業車両の位置情報に基づき特定された作業圃場の形状を自動補正して営農作業情報を管理
操縦部の作業者を検出する複数のセンサを備えたコンバイン
引起装置の上下連結部に操作順序による規制を設けた収穫作業機
駆動伝達機構の上方を広く覆うルーフ構造と可動式前照灯を備えたコンバイン
肥沃度をリアルタイムで検出する作業車両(田植え機)
車速変動による肥料繰出し軸の慣性増加を相殺する機械式回転数補正機構付き施肥システム
苗箱から苗マットの床土に突き刺して機械的に取り出す自動化対応の苗マット取り出しシステム
倒伏した穀稈の詰まりを抑制して自動収穫作業をおこなうための走行経路生成装置
排出オーガが操縦部や覆い部材に接触するのを防止するための二段階の回動規制スイッチを備えた作業車両
脱穀装置
など

圃場作業車両の自動走行経路生成方法
作業車両の作業経路を活用した圃場画像データの自動取得・管理方法
コンバインの刈取作業方法
など

 

3.2 出願件数の推移

 下図は農機メーカー3社の特許出願件数の推移です。

 

 各社とも出願年によって特許出願件数が大きく異なります。

 ただ、3社とも毎年数百件以上の特許出願をおこなっており、そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。

 

3.3 開発の活発度

 特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、

 クボタ>井関農機≒ヤンマー

だと言えます。

 

3.4 主な開発分野

 各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。

 各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。

 各記号は発明の技術分類をあらわします。

 

 分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)

  

 A01B農業機械などに関連する分類です。
 農業機械の過負荷防止装置などがこれに該当します。
 全3社がこの分野から多く出願しています。

 

 A01Cは植付けなどに関連する分類です。
 移植機械などがこれに該当します。
 全3社がこの分野から多く出願しています。
 
 A01Dは収穫などに関連する分類です。
 掘取機などがこれに該当します。
 全3社がこの分野から多く出願しています。

 

3.5 農機メーカー3社の近年の開発トレンドと求められる専門の例

 特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。

 ここ10年のトレンドは以下のとおりです。

 発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。

 出願件数が少ない技術分野は除外しています。

 発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。

 関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。

 

 個別の情報を詳しく確認したい場合は、それぞれのリンク先に飛んでください。

 特許は難解ですが、GeminiChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。

参考記事 【AI活用】難解な特許が小学生レベルの内容に!1分で特許を読み解く方法

 

(1)クボタ|開発トレンドと専門性

 

 上図期間中、A01Dが最も多いです。次いでA01B、A01Ⅽ、E02F、B60Kが多いです。

 A01Dは既述のとおり掘取機などに関連する分類です。
 具体例として落下防止装置を備えた掘取機が挙げられます。
 従来の掘取機は転回のために持ち上げると掘り取った作物が前方へ落下し、ロスや作業効率の低下を招いていました。
 これに対し、走行車両に昇降リンク機構で昇降可能に連結され、前部に掘取具を備えた掘取機であり、落下防止装置と位置変更装置が設けられ、落下防止装置は掘取機が作業姿勢から持ち上げられる際に掘取具に残留した作物が前方へ落ちるのを防ぐ落下防止部材を有し、位置変更装置は落下防止部材が取り付けられた機幅方向に延びる軸心回りに揺動自在な支持体と掘取機の姿勢変更または昇降リンク機構の揺動に連動して支持体を揺動させる連動部材を有し、落下防止部材を作物の落下を防ぐ落下防止位置と作物の掘り起こしを許容する退避位置とに自動で切り替えることにより、掘取機の持ち上げ操作に連動して落下防止部材が落下防止位置に移動するため、作物ロスを防ぎ、効率的な作業が可能となる掘削機が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7731858/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(掘取機の動作と連動した落下防止装置のリンク機構の最適設計、機体の姿勢変化に応じた動作の確実性と構造的な信頼性の検証、連動部材(連動シャフト、平行リンク機構など)のリンク比や揺動軸の位置の最適化、掘取機の姿勢角の変化量に対して落下防止部材が所望の落下防止位置と退避位置に正確に遷移するかのシミュレーション、機体の昇降や旋回時に機構部に加わる最大応力や疲労強度の解析および外力に耐えうる部材の厚さや材質を決定)、材料科学(掘取機が土壌や作物と接触する落下防止部材や掘取具に求められる耐摩耗性、耐久性、作物の損傷防止という相反する要求を満たす材料の選定と評価、落下防止部材として耐候性・耐摩耗性に優れるエラストマーや複合ゴム材料の選定、異なる温度・湿度条件や土壌中での寿命評価試験、掘取具(ブレード状)に土壌からの摩耗や衝撃に耐える高強度鋼材や表面処理技術の選定)

 

 別の例としてトウモロコシ収穫の収穫搬送装置が挙げられます。
 従来のストークローラでは、後端部にトウモロコシ茎が巻き付くことで回転不良やベアリングの耐久性低下を招いていました。
 これに対して、トウモロコシ収穫機の前部に設けられ、トウモロコシ茎を引き下げるブレード部を有するローラ(ストークローラ)を含む収穫搬送装置であり、フレームに位置調整可能に取り付けられたプレート部品を含み、このプレート部品はローラのブレード部に対して前後方向の後側から対向する対向部を有し、プレート部品の対向部がブレード部よりも後方のローラの軸部にトウモロコシ茎が巻き付くのを物理的に抑制し、また、プレート部品は前後方向に長い長穴などを介してフレームに固定されるため取付位置の調整により対向部とブレード部との間のわずかな隙間への茎の巻き付きも防ぐことができることで、ローラの回転不良の発生や軸受にスラスト荷重がかかることを抑制してベアリングの耐久性を向上させた収穫搬送装置が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7710805/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(プレート部品を含む機構部品の構造設計および運転時の負荷条件の解析、ストークローラとプレート部品の位置関係を最適化するための三次元運動学解析、茎の巻き付きを最も効果的に防止するクリアランスとプレート部品の取付位置調整範囲の決定、プレート部品に対向部が茎に叩かれる際に発生する衝撃荷重の計算、プレート部品や支持フレームの強度、剛性および疲労耐久性の検証)、材料科学(収穫機の重要部品であるローラやプレート部品に求められる耐摩耗性、耐久性、加工性を両立させる材料の選定と評価、畑の土壌や茎との接触により摩耗しやすいストークローラ(ブレード部)およびプレート部品(対向部)に対して高強度・高硬度を持つ耐摩耗性鋼材の選定、部品の変形や破損を防ぎつつ軽量化とコストを考慮した最適な板厚、補強リブの配置、および溶接・接合部の強度の評価・決定)

 

 さらに別の例として穀粒に含まれる水分量を測定する水分量測定システムが挙げられます。
 従来の電気抵抗式水分センサはセンサの特性誤差により穀粒の水分量を精度良く測定できない問題がありました。
 これに対して、穀粒を電極ローラ間で圧砕し、その際の電気抵抗値に応じた信号を出力する水分センサと、この信号からセンサ出力値を求め検量線に基づいて水分量を算出する制御装置および穀粒の基準水分量(水分センサで圧砕された穀粒と同じ水分量を含むと推定される穀粒を制御装置以外の機器で測定した値)を制御装置に入力する入力装置を含み、制御装置は基準水分量に対応する検量線上の値と水分センサから得られたセンサ出力値との偏差を補正値として求め、この補正値を用いてセンサ出力値を補正することにより、水分センサの個体差や経年変化による特性誤差を相殺して高い精度で穀粒の水分量を測定できる水分量測定システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7728629/15/ja

  関連する専門分野の例:電気電子工学(電極ローラ部における電気抵抗測定の回路設計の最適化、センサ出力の信号処理アルゴリズムの設計、穀粒の圧砕時における電極間への高精度な定電圧供給回路や変動する電気抵抗値を安定して電圧信号に変換するための信号増幅・ノイズフィルタ回路の設計、穀粒の種類(米、大麦など)に応じた測定時間やサンプリング周期の決定、センサ出力値の平均化処理やピーク値検出などのデジタル信号処理アルゴリズムの設計)、制御工学(測定されたセンサ出力値を外部の高精度測定値に適合させるためのフィードバック制御・校正アルゴリズムの設計、システムの統合的動作の制御ロジックの構築、基準水分量とセンサ出力値の偏差を用いたセンサ特性の補正ロジック(補正値の算出と適用方法)の設計、センサの非線形性やドリフトに対応するための動的補正モデルの検討、測定方法の切り替え(第1、第2測定方法)や電極ローラの正転・逆転・電圧印加タイミングといった水分センサ全体の動作を規定するシーケンス制御ロジックをECU(制御装置)用に設計)

 

 A01Bは既述のとおり農業機械などに関連する分類です。
 具体例として圃場全体を効率的にカバーする走行ラインを自動で生成する農作業支援装置が挙げられます。
 従来、一定の作業幅で農作業をおこなうと幅の狭い余り領域が発生し、これを従来の走行ライン設定で無理に作業すると機械が圃場外へはみ出したり、非効率なオーバーラップが生じたりする問題がありました。
 これに対して、圃場情報、作業装置情報、作業情報が入力される入力部とこれらに基づいて走行ラインを複数作成する制御部を備えた農作業支援装置であり、制御部は装置情報から作業装置の変更可能な作業幅の仕様と所定の第1作業幅を特定し、まずこの第1作業幅で農作業を行う第1走行ラインを圃場マップに作成し、第1走行ラインだけでは第1作業幅より所定値以上狭い余り領域が生じる場合、制御部は作業幅の仕様に基づきその余り領域の幅に適合した第2作業幅を決定し、この第2作業幅で余り領域に対して農作業をおこなう第2走行ラインを圃場マップに作成する構成により、余り領域に対する作業幅の自動調整が可能となり、農業機械を圃場外へはみ出させることなく過度なオーバーラップを防ぎ、圃場全体で農作業を効率的におこなうことができる農作業支援装置が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7746252/15/ja

  関連する専門分野の例:情報工学(最適な第1走行ラインおよび第2走行ラインを決定するための複雑なアルゴリズムの設計・実装および実行速度と精度の検証、圃場マップの幾何学情報処理アルゴリズム構築、第1作業幅で走行ラインを敷設した際の余り領域の正確な幅・位置算出ロジック設計、余り領域の幅と作業装置の可変仕様から最適な第2作業幅と走行ラインをリアルタイムで決定する最適化アルゴリズムの設計)、制御工学(実際の農業機械(トラクタなど)と作業装置(散布装置など)を正確に動かすための自動走行・自動作業制御システムの設計とパラメータ調整、農業機械の操舵・速度をリアルタイムで修正する自動操舵(オートステア)制御系の設計、第2作業幅決定時に指令された作業形態(特定の散布ユニットのON/OFFやブームの伸縮など)を正確に実行するための作業装置駆動制御ロジックの設計とPID制御などのパラメータチューニング)

 

 別の例として圃場作業車における作業車の走行を支援するためのシステムが挙げられます。
 従来の技術は平面的な境界線データを用いるため、走行の妨げにならない物体も障害物として処理され、走行可能領域が狭められるという問題がありました。
 これに対して、作業車に設けられたセンサが圃場走行中に外縁領域の三次元形状データを経時的に取得するデータ取得部を備え、この三次元形状データに基づき生成部が作業車が越境不能な境界を示す複数の外縁マップを生成するシステムであり、生成部は接触しても走行の妨げにならない小さな物体(雑草など)に対応するデータを除去する第1閾値を適用して生成された第1外縁マップ、これより大きな物体まで除去する第2閾値を適用して生成された第2外縁マップの少なくとも2種類を生成することにより、オペレータは圃場の状況に応じて複数のマップから最適なものを選択でき、選択されたマップに基づいて走行制御部が自動走行を制御することで作業車の走行の自由度を高めることができるシステムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7738540/15/ja

  関連する専門分野の例:情報工学(作業車が利用可能な境界線情報を持つ複数の外縁マップを生成するためのデータ処理・アルゴリズム設計、センサから得られた点群データに対し物体の大きさ(二次元方向の幅など)を正確に計算する特徴量抽出アルゴリズムの構築、第1閾値、第2閾値といった複数の閾値に基づき不要な物体を識別・除去して越境不能な境界(境界線データ)を算出するためのマップ生成処理フローとロジック設計)、制御工学(作業車が境界線を越境することなく高い精度で走行できるような自動走行システムの制御則設計と検証、外縁マップの境界線情報を制約条件として取り込み作業車の現在位置、姿勢、速度に応じた非線形な経路追従制御則(操舵・速度制御)の設計、走行制御時に作業車の一部(収穫部など)が境界を越えないよう収穫部の昇降アクチュエータの協調制御を含めた統合的な走行制御モデルの構築とシミュレーションによる安定性・ロバスト性の検証)

 

 さらに別の例として自動操舵機能を備えた作業車両が挙げられます。
 従来、自動操舵モードと手動モードの切換はできても自動操舵に関する他の操作(走行基準ラインの設定など)をおこなうには別のスイッチを操作する必要があり、操作性が悪いという問題がありました。
 これに対して、自動操舵の開始・終了を切り換える操舵切換スイッチと、走行基準ラインの始点・終点設定等の設定モードに切り替え可能な設定スイッチを備えた作業車両であり、設定スイッチが運転席から視認しやすい表示装置よりも後方かつステアリングシャフトの軸方向から見てステアリングシャフトよりも表示装置から離れた位置(例えば、斜め後方)に配置されていることにより、運転者は姿勢を変えることなく表示装置を確認しながら設定スイッチと操舵切換スイッチの両方をステアリングシャフトの周囲に集約された位置で容易に操作でき、結果として自動操舵に関わる複数の操作の操作性が向上し、誤操作も防止される作業車両が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7624498/15/ja

  関連する専門分野の例:制御工学(車両の自動操舵システムと、スイッチ操作による制御モードや設定値の変更を統合的に扱うシステムレベルの制御ロジックの設計・検証、設定モード移行時や自動操舵開始/終了時の車両挙動(過渡応答)解析、操舵角・速度制御量のリミット設定、操舵切換スイッチの揺動方向と走行基準ライン設定機能(始点・終点)との対応付け制御ロジック設計、補正スイッチによる車体位置補正量(右/左補正)が経路追従制御に与える影響の定量評価と安定性解析)、情報工学(運転者への情報の提示方法(表示装置)と操作系(各種スイッチ)の物理的配置・機能の関連性の最適化および運転者の認知負荷を低減する操作情報処理ソフトウェアの設計、設定スイッチの操作に応じて自動操舵に関する設定情報(走行基準ラインの始点/終点設定等)を表示装置に優先的に表示する画面切換および表示情報のデータ構造設計、物理スイッチ(設定スイッチ、操舵切換スイッチ)の操作信号を誤操作防止機能(チャタリング除去、長押し判定など)を含めて制御ユニットへ伝送するための組込みソフトウェアの設計、補正スイッチによる位置補正量の設定値と実際の経路追従状態(走行予定ラインからのズレ)とを統合して表示するユーザーインターフェースの設計)

 

 A01Cは既述のとおり植付けなどに関連する分類です。
 具体例として乗用型田植機が挙げられます。
 従来の乗用型田植機では植付クラッチと施肥クラッチを同時にしか切り替えられず、個別の入切操作ができなかった点が問題でした。
 これに対して、植付装置への動力を断続する植付クラッチと施肥装置への動力を断続する施肥クラッチをモータの駆動力を利用して個別に切り替える乗用型田植機であり、モータからの動力は主リンク機構に伝達され、この主リンク機構に連動して植付リンク機構と施肥リンク機構が各別に連動可能に構成され、植付リンク機構と施肥リンク機構が共通の揺動軸心を持つ植付中間リンクと施肥中間リンクを備え、それぞれに主リンク機構の主ロッドが挿通される円弧状の長孔が形成され、この長孔の形状と配置および各中間リンクに設けられた付勢部材の作用により主ロッドの移動量が植付クラッチと施肥クラッチの入切状態を三段階(植付切/施肥切、植付切/施肥入、植付入/施肥入)に変化させることが可能となることで、植付装置と施肥装置の連動を分離し、施肥を植付より先行させて開始できるなど作業の効率と柔軟性を向上させた乗用型田植機が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7738542/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(モータの回転運動を植付クラッチおよび施肥クラッチの切り替えに必要な直線的または揺動的な運動へと正確に変換してクラッチの保持力に抗して確実に作動させるためのリンク機構の設計、主リンク機構、植付リンク機構、施肥リンク機構を構成するロッドや中間リンクの寸法、特に主ロッドが挿通される円弧状長孔の曲率や終端位置の精度設計、モータのトルク、クラッチの作動抵抗、付勢部材(バネ)の特性などから耐久性を満たすための材料選定と強度解析)、制御工学(運転者の操作や機体の走行状態に応じて植付・施肥クラッチを所望の状態(切り/切り、切り/入り、入り/入り)へと正確かつ迅速に切り替えるための制御アルゴリズムの設計、モータのフィードバック制御(位置制御またはトルク制御)により長孔内で主ロッドが目的の位置に停止するよう高精度なモータ駆動制御ロジックの設計、クラッチの入切タイミングのシーケンス(特に施肥先行)を実現するためのデジタル制御システムの構築、システム全体の電気・電子制御回路の設計と機能安全性の検討)

 

 別の例として機体の前部に予備苗のせ台が設けられた乗用田植機が挙げられます。
 従来、畦などの高い位置から予備苗を斜め下方に送り込む際、苗がスムーズに載置部に案内されず、補給作業の負担が大きいという問題がありました。
 これに対して、機体前部に設けられた予備苗のせ台の苗載置部として左右方向の軸芯周りに回転可能な複数の支持ローラーが前後方向に並べて配置された乗用田植機であり、予備苗のせ台の前端部には苗を前方から案内する前案内部材(好ましくは前案内ローラー)が苗載置部よりも高い位置に配置され、畦からの苗補給時に斜め下方に送り込まれる苗が前案内部材によって安定して支持、苗載置部へ案内され、前案内部材に最も近い第1の支持ローラーとそれに隣接する第2の支持ローラーとの前後方向の間隔が前案内部材と第1の支持ローラーとの間隔よりも小さく設定されることで、苗の前端部がローラー間に不意に入り込むのを防止し、苗が滑らかに後方のローラーへ載ることを実現するこれらの構成により、畦からの予備苗の補給作業性が向上した乗用田植機が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7706355/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(前案内部材と複数の支持ローラーを含む苗載置部の回転要素の設計および接触・摩擦特性の検討、ローラー間隔()の寸法公差設計、苗の前端が挟まるリスクを最小化しつつ苗の移動を円滑にするための最適配置の決定、前案内部材と第1ローラー、およびローラー同士の接触面における摩擦係数や転がり抵抗の評価、ローラーの材質選定(アルミ、樹脂など)や表面処理の検討)、人間工学(畦に立つ作業者の身体寸法、姿勢および作業動作の解析、予備苗のせ台の高さや前案内部材の位置が補給作業の負担軽減と効率向上に最も寄与するよう配置の最適化、畦の標準的な高さや作業者の平均身長に基づき前案内部材の苗載置部に対する最適な相対高さや傾斜角度の導出、補給時の苗の軌跡や作業者の力の入れ方の測定)

 

 E02Fは掘削などに関連する分類です。
 具体例として単一測位装置を用いた旋回作業機が挙げられます。
 従来のデュアルアンテナGPSは高精度だが高価であり、製造コストが増大するという問題がありました。
 これに対して、単一の測位装置(位置検出装置)と傾斜検出装置を用いた旋回作業機であり、旋回台が回転した際の複数の検出位置を取得し、傾斜検出装置が検出した傾斜角度に基づいて検出位置群から不正確なデータを排除するためのフィルタ処理をおこない、補正されたデータ群に最小二乗法などの手法を適用して旋回軸心の軸心位置を算出し、この軸心位置と検出位置から基準方位を決定し、旋回台の回転に伴う旋回角度を基に現在の方位を算出することにより、高価なデュアルアンテナGPSを用いることなく低コストで方位検出機能を実現する旋回作業機が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7746224/15/ja

  関連する専門分野の例:制御工学(安定かつ高精度に旋回台の方位を決定・追従させるためのアルゴリズム開発およびシステム統合、角度検出装置(ロータリエンコーダ)のノイズ特性や応答性の評価、測位装置(GNSS)からの不連続な位置情報と角度情報を統合するカルマンフィルタ等の状態推定器の設計、さまざまな作業条件下で最適なフィルタリングパラメータ(例:エリアEの幅W)を決定するための感度解析とロバスト制御設計)、情報工学(傾斜情報を用いた円弧エリアの補正、最小二乗法による近似線の導出および不良データの排除を行う信号処理アルゴリズムの設計と最適化、3次元空間の運動を2次元の円弧に投影・補正する幾何学演算モデルの構築、検出位置の誤差分布の分析、エリアE外の検出位置を自動的に排除するロバストなフィルタリング処理部(フィルタ処理部31f)のコード実装と計算効率の評価)

 

 別の例として電動モータの動力により駆動する電動作業機が挙げられます。
 従来の電動作業機は操作しない時に電力が無駄に消費され、作業効率が低下してしまうという問題がありました。
 これに対して、バッテリユニット、電動モータ、油圧機器、作業装置、これらを制御する制御装置を備える電動作業機であり、機体の作業装置の作動可否を切り替える切換部材と作動油の温度を検出する油温検出装置を有し、制御装置はモータ駆動中かつ作業装置が不許可状態(切換部材が第2位置)にある場合に作動油温に応じてモータ回転数を制御(作動油温が適正な許容温度範囲内であれば電動モータの回転数を停止状態に相当する第1回転数(ほぼ0rpm)に制御して消費電力を最小化)し、作動油温が許容温度範囲外(低温または高温)にある場合はモータ回転数を第1回転数より大きく、作業回転数の下限値以下である所定のアイドリング回転数に制御して油圧作動油を循環させる作動油温に応じた制御により、無駄な電力消費を低減しつつ作動油の暖機・冷却をおこない作業効率を向上させる電動作業機が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7711310/15/ja

  関連する専門分野の例:制御工学(電動モータ、油圧ポンプ、アクチュエータおよび作動油温の動的特性のモデル化、作動油温と油圧回路の粘性変化の相関関係の解析、暖機・冷却制御時における油圧ポンプ負荷を考慮したモータの目標回転数の最適化、切換部材(アンロード弁)の切り換えや作業検出装置のON/OFFといった離散的な状態変化と油温や回転数といった連続的な状態量を組み合わせたハイブリッド制御システムの安定性および応答性の検証、制御パラメータ(第1~第3回転数、許容温度範囲など)の設定)、電気電子工学(大容量バッテリユニットから電動モータへの電力供給を担うインバータシステムの効率的な駆動制御ロジックの検討およびシステムの電力消費を最小化する設計、電動モータの回転数を正確かつ即座に制御するためのインバータ制御アルゴリズムの設計、低回転域(第1~第3回転数)でのモータ効率を最大化するための駆動パラメータの最適化、システム効率やバッテリ寿命に影響を与えない制御ロジックの構築)

 

 B60Kは車両の推進装置または動力伝達装置の配置または取付けなどに関連する分類です。
 具体例として電動作業車が挙げられます。
 従来、ギヤケースとミッションケースの潤滑油を連通させる構造において車体全体の低重心化を図ることが困難でした。
 これに対して、ギヤ伝動機構を内装するギヤケースに対して原動部(モータ)と被伝動部(油圧ポンプなど)を前側で左右に並べて配置する構成の作業車であり、ギヤケースと後側のミッションケースとを接続する潤滑油の連通経路についてミッションケース側に取り付けられる後ポートがギヤケース側の前ポートよりも低い位置に設けられ、両ポートが前後方向に延設されて連通経路の組立性を確保するこれら一連の構造により、ミッションケース自体を車体の低い位置に配置することが容易となり、結果として作業車全体の低重心化を実現て走行の安定性を向上させた作業車が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7738543/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(各伝動ケース、原動部、被伝動部の空間配置の最適化、低位置に配置されるミッションケースの変形を抑えるための構造設計および応力解析、原動部や被伝動部などの大質量部品を左右に並列配置する際の車軸への荷重配分の計算、走行安定性を最大化する車体フレームとの結合構造の設計)、電気電子工学(ギヤケースとミッションケース間の潤滑油の連通構造において油温上昇の抑制および適切な潤滑・冷却性能を確保するための熱流体挙動の解析および連通経路の設計条件の決定、連通経路の低位置配置が走行振動や車体傾斜時のケース内油面変動および油圧ポンプへの作動油吸入に与える影響のシミュレーション、ギヤおよび軸受の発熱量に基づき連通経路の断面積や形状が熱された潤滑油の循環と冷却(放熱)に与える影響の評価および最適な管路設計の導出)

 

 別の例として農業機械のエネルギー支援システムが挙げられます。
 従来、電動農業機械は環境性能に優れるもののバッテリ容量の制約から長時間走行や農作業の継続が困難でした。
 これに対して、着脱可能なエネルギー充填済みパッケージ体(バッテリなど)で駆動する農業機械のエネルギー支援システムであり、管理装置が農作業の内容や圃場面積、圃場間の移動距離に基づき当該農業機械の総消費エネルギーを演算し、総消費エネルギーを賄うために必要なパッケージ体の数を算出し、必要数と圃場情報(配送先)を運搬車や配送センタの端末へ送信することにより、農作業開始前に必要なパッケージ体の配送を計画的におこなうことが可能となり農作業の途中でエネルギー切れとなることなく作業をスムーズに継続できるようになる農業機械のエネルギー支援システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7741772/15/ja

  関連する専門分野の例:情報工学(農作業計画に基づいた消費エネルギーの予測モデルとパッケージ体の配送・回収を最適化するロジスティクスアルゴリズムの設計、農作業の種類、圃場の面積、機械の型番などの変動要因を考慮した消費エネルギー予測アルゴリズムの構築および予測精度の検証、パッケージ体の必要数、配送日時、配送先(圃場/中継場所)の統合および運搬車の移動コスト(時間、電力)を最小化する動的な配送計画アルゴリズムの設計)、電気電子工学(パッケージ体(バッテリ)の健全性とエネルギー効率を管理するためのシステム設計、パッケージ体の劣化度を充放電回数や残量などの履歴データから正確に演算するバッテリ監視・診断システムの設計、農業機械の駆動部(モータ)とパッケージ体の電力インターフェースの設計、大電流での着脱の安全性と交換時の電力供給の瞬断対策の検討)

 

(2)ヤンマー|開発トレンドと専門性
 
 A01Bが最も多いです。次いでA01D、E02F、G05D、A01Ⅽ、G06Qが多いです。
 A01Bは既述のとおり農業機械などに関連する分類です。
 具体例として作業車両の自動走行システムが挙げられます。
 従来の旋回時自動制御は自動走行を考慮しておらず、適切な作業継続が困難でした。
 これに対して、田植機などの作業車両を複数の作業経路と隣接する作業経路を繋ぐ旋回経路からなる走行経路に沿って自動走行させるシステムであり、作業部の昇降と作業クラッチの断接を自動的に行う作業部自動制御の機能およびその実行・非実行をユーザーが選択するための操作部を備え、当該作業車両が自動走行している状態、特に旋回経路を走行中に旋回が検出された場合、ユーザーが操作部で作業部自動制御を「非実行」に設定していても作業部自動制御を強制的に実行する構成により、自動走行の際にはユーザーが手動操作の選択状態を気にすることなく作業と作業の間の旋回時における作業部の適切な昇降・断接を確実におこなうことができて作業性の向上とユーザーの負担軽減を実現する作業車両の自動走行システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7634072/15/ja

  関連する専門分野の例:制御工学(車両運動、作業部挙動および各種クラッチの作動を統合した制御システムの設計、GNSS測位情報に基づいた自動操舵制御(ステアリングコントローラ)のゲイン調整とロバスト性評価、旋回開始/終了判定のロジック(サイドクラッチの状態、走行距離、旋回角などに基づく)設計、自動走行モードと手動走行モードの切り替え時における作業部自動制御フラグの強制切替ロジックおよびスムーズな制御移行アルゴリズムの検証)、情報工学(経路情報、車両状態およびユーザー操作情報を取り扱う管理装置と車載コントローラ間のデータ通信プロトコルの設計、複雑な走行経路に対応する経路計画アルゴリズムの設計、複数の作業経路と旋回経路からなる自動走行経路を生成する経路計画アルゴリズム(経路生成部)の設計、制御ロジックを格納するファームウェアの設計と制御部での処理負荷や応答速度に関するリアルタイム性の検証)

 

 別の例として圃場作業車両の自動走行経路生成方法が挙げられます。
 従来の技術では目標経路の基準点を取得するためにオペレーターが手動で作業車両を走行させる必要があり、手間がかかるという問題がありました。
 これに対して、圃場において作業車両を自動走行させるための目標経路を生成する経路生成方法であり、一または複数のプロセッサーが圃場内の所定の位置に設定される基準点(例えばA点)に基づいて目標経路を生成する複数の経路生成モードのうちいずれかのモードを特定するものであり、この複数の経路生成モードは基準点に基づく互いに異なる経路生成方式であり、例えば「A点とB点の2点を基準とするモード」「A点と車両の現在の方位角を基準とするモード」「A点とオペレーターが設定した方位角を基準とするモード」などが含まれ、特定された経路生成モードにより目標経路を生成することにより、オペレーターは作業内容や圃場の状況に応じて最適なモードを選択して手動走行の回数を減らすなど目標経路の生成作業の作業性を向上させることができる自動走行経路生成方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7711026/15/ja

  関連する専門分野の例:制御工学(複数の経路生成モードで生成された目標経路に対する作業車両の高精度な追従制御アルゴリズムの設計、目標経路に対する作業車両の現在位置、車両方位、速度などの情報を基に自動操舵と車速をリアルタイムで制御するロジックの設計、目標経路が切り替わる際やGPS測位精度が一時的に低下した場合(作業継続優先モードなど)のシームレスな自動走行継続・復帰制御の設計およびシミュレーションによる評価、車両の動特性を考慮した車両運動モデルの構築および目標経路からの逸脱量を最小化するためのゲイン調整やパラメータ最適化)、情報科学(圃場の地理情報(形状、障害物の位置など)と連携してオペレーターの負担を軽減する経路生成モードの自動推奨機能や高効率な経路生成アルゴリズムの設計、記憶部に登録された圃場の形状データや過去の作業履歴データから各経路生成モードの適用可能性(例:圃場が直線形状に近い場合は第1モード、過去に設定方位角がある場合は第3モードなど)を判定する自動推奨ロジックの実装、圃場内の障害物や未作業領域の境界をリアルタイムで認識して目標経路を自動修正・補完するデータ処理アルゴリズムの設計)

 

 さらに別の例として作業車両の作業経路を活用した圃場画像データの自動取得・管理方法が挙げられます。
 従来の技術では作業車両が監視位置を通過しない場合に圃場を撮像できず、栽培管理のために別途撮影が必要でした。
 これに対して、圃場で作業を行う作業装置の移動経路を決定し、その経路上に圃場を撮像するための撮像位置を決定する圃場情報管理方法であり、移動経路は複数の直線経路と旋回経路から構成され、撮像位置は圃場の中心位置からの距離が閾値より小さい第1直線経路上に決定され、この経路情報を作業装置に出力して自動走行を制御し、作業装置が撮像位置に到達したときに圃場画像情報を自動的に出力させることで作業と同時に圃場状態の画像記録をおこない、利用者は別途撮影する手間なく効率的な栽培管理の分析が可能になり管理方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7657751/15/ja

  関連する専門分野の例:制御工学(作業装置(農作業車両など)が決定された移動経路および撮像位置を正確に追従するための制御アルゴリズムの設計・検証、直線経路と旋回経路を滑らかに走行するための経路追従制御(例:フィードバック制御、モデル予測制御)のロバスト性評価、GPSなどの測位誤差を許容しつつ正確な撮像位置に到達するナビゲーション・ガイダンスシステムの構築とシミュレーション、車両の動特性を考慮した自動操舵・速度制御系のチューニング)、情報科学(圃場の地理空間データ(境界、中心位置、作業経路)に基づき撮像に最も適した撮像位置の選定ロジックの設計・検証、圃場画像の位置情報と撮影範囲を紐づけるGISデータ構造の設計、直線経路の幾何中心からの距離を計算し閾値判定を行う空間演算アルゴリズムの設計、得られた圃場画像から作物の生育状況などを自動で解析するための画像認識・画像処理技術(例:ディープラーニングモデル)の構築と検証)

 

 A01Dは既述のとおり掘取機などに関連する分類です。
 具体例として排気ガス浄化装置を搭載したコンバインが挙げられます。
 従来、排気ガス浄化装置を搭載するには還元剤タンクの設置スペースが必要で機体への搭載が困難でした。
 これに対して、走行機体に搭載されたエンジンからの排気ガス中の窒素酸化物質を除去する排気ガス浄化装置と、これに供給される還元剤を収容する還元剤タンクおよび収穫した穀物を搬入する穀物タンクを備えてたコンバインであり、穀物タンクの後方には穀粒を外部に排出するための縦取出しコンベアが配置されており、この還元剤タンクがその縦取出しコンベアと隣り合う位置に配置されることでコンバインの外形寸法を増大させることなく還元剤タンクの設置スペースを確保し、縦取出しコンベアを回動支点とすることで穀物タンクの回動機構と干渉することなくメンテナンス性を維持しつつ排気ガス浄化システムをコンパクトに搭載できるコンバインが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7607095/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(コンバインの全体的な空間配置の最適化、主要部品(穀物タンク、エンジン、コンベア、排気浄化装置、還元剤タンク)間の干渉を排除するための機体設計、縦取出しコンベアを回転軸とする穀物タンクの回動機構の設計、還元剤タンクとその配管が穀物タンクの開閉動作時に必要なクリアランスを確実に確保できるかまた配管の撓みが許容範囲内であるかの検証)、化学工学(排気ガス浄化装置システムの化学反応の効率とプロセス安定性を最大化するための設計と最適化、排気ガスの流量、温度、NOx濃度といった運転条件の変動に対応して尿素水(還元剤)がアンモニアへ加水分解する速度とそのアンモニアによるNOx還元反応の反応速度に基づいたプロセスシミュレーション、還元剤タンク内の尿素水が凍結または劣化しないよう熱交換器やヒーターなどを含む熱管理プロセスの設計と制御ロジックの確立)

 

 別の例として高さ調整可能な刈取部を有するコンバインが挙げられます。
 従来の刈高検出装置は刈り取った株や根本が装置本体・接地体に接触し、誤作動や検出精度の低下を引き起こす問題がありました。
 これに対して、昇降可能な刈取部と、地面に接地する接地体の回動量を検出する検出センサを持つ刈高検出装置を備えたコンバインであり、刈取部の分草体支持部に対して前後軸回りに回動可能な保護部材(ユニット支持体)を介し、その保護部材に対して左右軸回りに回動可能な装置本体が支持される多重回動構造が特徴であり、保護部材には装置本体を前方および左右両側から覆う側壁が設けられ、その左右の側面部の後側には互いに向かい合う方向に屈曲した屈曲部が形成されていることで、作業中に分草体によって左右に割られた株やその根本が広範囲から装置本体や接地体に接触するのを効果的に防止できて誤作動を抑制して極めて安定した刈高さ検出が可能となるコンバインが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7662557/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(刈高検出装置の保護部材(ユニット支持体)と刈取部(分草体支持部)との取り付け構造(軸支部)について農作業における衝撃や振動、泥の付着などを考慮した強度・剛性の構造解析と機構的な信頼性の評価、保護部材の左右側面部と屈曲部の板厚、材質の選定、分草体支持部への軸支方法の最適化(例:軸受の選定、抜け止め構造の設計)、刈取部の上昇/下降や穀稈の掻き込み動作時の他部品との干渉解析(クリアランスの検証))、電気電子工学(検出センサ(ポテンショメータ)から得られる検出信号のノイズ耐性の評価と当該信号に基づいた刈高さ制御アルゴリズムの検証、接地体の回動量(刈高さ)と検出センサの出力電圧(または角度)の関係のキャリブレーション、検出信号に含まれる振動ノイズ成分のフィルタリング処理の設計、検出された刈高さが目標値から外れた際の油圧シリンダへのフィードバック制御ロジックのチューニングと実機での応答性の評価)

 

 さらに別の例として圃場の未刈り穀稈を刈取る刈取部と刈取り穀稈の穀粒を脱粒する脱穀部を搭載したコンバインが挙げられます。
 従来、操縦部後方にエンジンを搭載した従来のコンバインではエンジン排熱による電子制御ユニットの熱的影響が懸念されていました。
 これに対して、エンジンを搭載した走行機体の前部に刈取部がその後方に脱穀部を搭載し、脱穀部の前部側方に操縦部が配置され、さらに操縦部の下方後側にエンジンが搭載されたコンバインであり、走行機体中央部の刈取部と脱穀部との間というデッドスペースにミッションケースが配置され、このミッションケースの側方、すなわち操縦部の下方というコンバイン特有のデッドスペースに電力供給用のバッテリが搭載された配置により、ミッションケースとバッテリを車体中央部に集約し、コンバインの大型化を回避しつつデッドスペースを有効活用し、バッテリが操縦部の前方側からアクセス可能な位置に搭載されているためエンジンルームとは分離され、整備作業時(特にバッテリの点検・交換)にエンジン排熱の影響を受けにくいコンバインが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7579894/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(主要駆動系・動力伝達系部品のレイアウト最適化と構造解析、ミッションケース、バッテリ、エンジンの新規配置が車体全体の重量配分、重心高、振動特性に与える影響の解析、走行安定性を確保するための最適な配置の決定、ミッションケースとバッテリを格納する領域の構造強度の評価、バッテリを前面側からアクセス可能とするための支持ブラケットやカバーの設計)、電気電子工学(バッテリおよび制御系(ECU等)の熱的安定性評価と電気配線の最適化、バッテリとECU周辺の排熱シミュレーションおよび夏場の高温環境下での許容温度範囲内に収まることの検証、ECUの配置について排熱の影響を最小化する熱対策(遮熱板の設計、冷却風の流路設計など)、電圧降下やノイズの影響を最小限に抑える設計)

 

 E02Fは既述のとおり掘削などに関連する分類です。
 具体例として油圧ショベルなどの建設機械が挙げられます。
 従来、上部旋回体の旋回により下部走行体との間のケーブルが大きく動き、引っ張られるため電気的な接続が外れるおそれがありました。
 これに対して、下部走行体と上部旋回体を旋回自在に連結する回転連結部材を備える建設機械であり、回転連結部材には油圧を伝達するスイベルジョイントと電気信号・電力を伝達するロータリージョイント(スリップリング)を一体化した構成が採用され、下部走行体側に固定されるボディーと上部旋回体とともに回転するシャフトを有するスイベルジョイントにスリップリングが組込まれ、スリップリングはシャフトと一体で回転する回転子とボディーに固定された固定子および端子部を持ち、シャフトの連絡孔をケーブルが貫通して回転子の端子部と接続し、固定子には回り止め部が設けられて回転を制限することで、上部旋回体の旋回運動がケーブルに直接負荷されることなく下部走行体と上部旋回体との間を電気的に確実に接続してケーブルの断線や接続外れといった破損が抑制された建設機械が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7506451/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(回転連結部材(スイベルジョイントとロータリージョイント)の複合的な動作信頼性および耐久性の設計・評価、シャフトとボディーの相対回転部およびスリップリングのブラシとリング間の摺動特性(摩擦・摩耗)に関するトライボロジー解析、建設機械の過酷な振動・衝撃環境下におけるロータリージョイント、連結部および回り止め部の疲労強度解析、長期的な電気接続の信頼性を保証するための機構設計、油路(縦孔・横孔)と配線経路(連絡孔)が近接するシャフトの強度計算と応力集中解析)、電気電子工学(ロータリージョイントを用いた旋回体間での高速・高信頼性な信号伝送と電力供給のための電気的特性評価およびノイズ対策、スリップリング(回転子と固定子)の接触抵抗の安定性の評価、摩耗粉や汚染による信号品質への影響の解析、ケーブルが貫通するシャフト連絡孔内部の配線ルートにおいて、油圧用電磁弁等のノイズ源からの電磁両立性を確保するためのシールドおよびツイストペア配線等の設計仕様の検討)

 

 G05Dは非電気的変量の制御または調整系に関連する分類です。
 具体例として無人作業車両に使用される作業車両用の障害物検知システムが挙げられます。
 従来のレーダ装置による周辺監視は物体判別精度が低く、背の高い草や浮遊物などを誤検出して警告が過剰になる問題がありました。
 これに対して、車両の周囲を撮像する複数の撮像装置(カメラ)からの画像に基づき障害物を判別する障害物判別処理を単一の画像処理装置が時分割方式で実行する作業車両用の障害物検知システムであり、画像処理装置が作業車両の走行方向と車速との少なくとも一方(例:前進直進、前進右旋回、高速走行など)に応じて時分割方式における複数の撮像装置に対する単位時間あたりの処理対象周期を動的に変更、具体的には、走行方向の撮像範囲を処理対象とする周期を速く、それ以外の周期を遅くすることで、走行方向の障害物判別を重点的かつ迅速におこない構成の簡素化を図りながら高い精度で障害物を検知し、衝突回避がおこないやすくする作業車両用の障害物検知システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7317165/15/ja

  関連する専門分野の例:情報科学(画像処理アルゴリズムの最適化と時分割処理の制御ロジック設計、各環境下(泥、埃、影、夜間など)での農作業車両周辺の障害物(人、電柱、草、作業機本体など)を精度良く高速に判別するためのディープラーニングモデルの構築、限られたリソースの車載画像処理装置で動作するようにモデルの構造の最適化、どのカメラの画像をどの頻度(処理対象周期)で処理するかを決定するスケジューリングアルゴリズムの設計、処理遅延を最小限に抑えるようシミュレーションと実車テストによる検証)、制御工学(車両の運動状態に基づいた障害物検知システムの応答性向上と衝突回避制御のロバスト性確保、車速センサ、舵角センサなどの情報から車両の現在の正確な運動状態(位置、速度、加速度、ヨーレートなど)の推定(例:カルマンフィルタ)、カメラからの画像情報とライダー/ソナーなどのアクティブセンサからの距離情報の統合および衝突予測時間に基づいた最適な減速・停止制御指令を生成する制御設計)

 

 A01Ⅽは既述のとおり植付けなどに関連する分類です。
 具体例として連続的に苗植え作業をおこなう田植機が挙げられます。
 従来の田植機では疎植時に植付け速度を遅くすると、植付爪の引き摺りによって苗の前倒れや浮き苗が発生する問題がありました。
 これに対して、走行部に支持された苗植付装置と走行部の走行速度に対して苗植付装置の作業速度を変更可能な株間変速装置を備える田植機であり、株間変速装置は苗植付装置へ動力を伝達する出力軸とその動力伝達経路の動力を複数段に切り替える第1切換機構および第2切換機構を含み、これら二つの切換機構で切り替えた動力を組み合わせることで出力軸への動力を複数の等速の動力の変速段と不等速の動力の変速段とに切り換え可能に構成され、不等速の動力の変速段のうち一部の変速段のみが使用可能であることで複雑になりがちな動力切換構造を簡素化しつつ不等速駆動による植付爪の下死点付近での動作速度加速を実現し、疎植時においても植付爪の引き摺りを抑制して苗の植付け姿勢を安定化させる田植機が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7641349/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(田植機の株間変速装置の動力伝達機構の最適設計と構造解析、第1・第2切換機構のギヤ比の決定、不等速ギヤ(非円形ギヤ)の歯形設計と位相決定、トルク変動に対するギヤや軸の強度・耐久性解析、部品点数を最小限に抑えるための機構レイアウトの最適化)、電気電子工学(株間変速装置および植付爪駆動系の電子制御システムとセンサー技術の開発・最適化、走行速度と連動した株間変速の自動制御アルゴリズムの設計、不等速駆動モードの切換や最適な最高速位相の設定を可能にするECU(電子制御ユニット)のプログラミング、ギヤの噛み合い状態やトルク変動を監視するための各種センサー(回転数、トルク、位置)の選定と配置およびそれらのノイズ対策を含むハーネス・回路設計)

 

 G06Qは管理目的などの情報通信技術などに関連する分類です。
 具体例として作業車両の位置情報に基づき特定された作業圃場の形状を自動補正して営農作業情報を管理する装置が挙げられます。
 従来、測位誤差等により作業圃場の形状が管理台帳の基準圃場とずれると同一圃場の作業情報が別々に管理される不都合がありました。
 これに対して、まず、位置情報取得部が圃場内を作業しながら走行する作業車両の位置情報を取得し、次に、圃場形状特定部が取得された位置情報に基づいて車両が実際に走行した領域である作業圃場の位置および形状を特定し、特定された作業圃場の位置および形状を予めシステムで管理されている基準圃場の位置および形状と自動的に比較し、その結果、作業圃場と基準圃場とが重複すると判断された場合(例えば、面積が90%以上重複する場合)、作業圃場を基準圃場とみなす処理をおこなう構成により、測位誤差や作業車両の違いによる走行軌跡のわずかなずれによって作業の対象が同一圃場であるにもかかわらず異なる圃場として扱われる事態を効果的に防止でき、耕耘から収穫に至る一連の作業関連情報を圃場毎に適切かつ一元的に管理できるようになる作業関連情報管理装置が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7596489/15/ja

  関連する専門分野の例:情報科学(地理情報処理アルゴリズムおよびデータベース設計、位置情報(緯度・経度)から作業圃場の境界を特定するポリゴン(凸包など)生成アルゴリズムの設計・実装、作業圃場と基準圃場の重複度合(面積比)を計算する幾何学的アルゴリズムの最適化、大量の時系列作業データ(位置、収穫量など)を管理するためのデータベーススキーマの設計(圃場IDと作業記録の関連付け))、応用数学(測位データの誤差評価モデルの構築、GNSS測位誤差の確率分布モデルを考慮した重複度合の許容範囲(90%など)の感度分析、異なる作業車両・作業時期の走行軌跡のばらつきを定量化するための統計解析モデルの構築、圃場判定の誤りを最小化するためのファジー論理や機械学習に基づく圃場特定手法の設計・検証)

 

(3)井関農機|開発トレンドと専門性

 

 A01Dが最も多いです。次いでA01Ⅽ、A01B、A01Fが多いです。

 A01Dは既述のとおり掘取機などに関連する分類です。
 具体例として操縦部の作業者を検出する複数のセンサを備えたコンバインが挙げられます。
 従来、単一のセンサだけでは故障時や作動不良時に作業者を検出できなくなり、作業の安全性が損なわれる恐れがありました。
 これに対して、エンジンを搭載した機体フレームに刈取装置、脱穀装置、操縦部、グレンタンク、排出オーガが配置され、操縦部の作業者を二系統のセンサで検出するコンバインであり、第1のセンサとして操縦席に作業者が座ることによって加わる圧力を検出する圧力センサが、第2のセンサとして作業者を検出する人感センサ(平面視において照射方向を右側(操縦席側)に向け、かつ操縦席の座席の前部の前側を通過させるように設定)が配置された構成により圧力センサまたは人感センサの一方が故障や作動不良に陥った場合でも他方の正常なセンサで作業者の搭乗を検出でき、また、熱を持った座席自体を作業者と誤検出する誤検出を防止しつつ業の安全性を高めることを可能にしたコンバインが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7675346/15/ja

  関連する専門分野の例:電気電子工学(二重化されたセンサシステムの設計およびそれに連携する制御ロジックの設計、圧力センサと人感センサの出力信号を統合・判断する冗長回路の設計、センサ信号に基づいて走行装置や刈取・脱穀装置の駆動を停止させる安全制御系(フールプルーフ機構)のプログラミング、センサの配置に伴うノイズや誤作動の評価と対策(例:人感センサの温度ドリフト補償))、制御工学(作業者の検出状態に基づきコンバインの各駆動系(走行、刈取、脱穀)を自動かつ安全に制御するためのシステム設計と安定性解析、圧力センサと人感センサの論理積/論理和に基づいた自動停止シーケンスの設計、作業者の有無検出から動力停止に至るまでの応答時間(レイテンシ)の安全性評価、無段変速装置や各種クラッチへの制御信号の最適化、システムのハザード解析(危険源特定と対策))

 

 別の例として引起装置の上下連結部に操作順序による規制を設けた収穫作業機が挙げられます。
 従来、引起装置を回動させて開放する際、ロック解除時に装置が落下し、破損や作業者の負傷を招く恐れがありました。
 これに対して、刈取装置に設けられた引起装置が安全な着脱構造を有する収穫作業機であり、引起装置は上部側を第1伝動筒から延びる駆動伝動系(上下伝動筒、左右伝動筒)に上側連結部材を介して連結し、下部側は刈取フレームに回動可能に連結され、引起装置の下部側連結に用いられた下側連結部材の解除操作が機体走行方向の後側に臨む搬送装置の一部である掻込装置により物理的に規制されているため、引起装置の上側連結部材の連結が先に解除され、引起装置を前方に回動させない限りは下側連結部材の連結状態が解除できないため、作業者が誤って下側連結部を先に外すことを防ぎ、上側連結部材が解除された際に引起装置が直下に落下することを防止でき、装置の破損や作業者の負傷を防ぐことができる収穫作業機が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7647830/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(引起装置の着脱・回動に伴う全ての構造設計、運動解析および安全性確保のためのロック機構設計、引起装置を構成するフレームや連結部の応力集中と変形の解析および軽量化と強度を両立させる部材の寸法の決定、上側連結部材と下側連結部材の解除操作が規定の順序でしかおこなえないようにする物理的なインターロック機構の設計・検証)、人間工学(メンテナンス作業における作業者の負荷(労力)の評価および作業のしやすさを改善する設計、引起装置の着脱プロセスにおいて作業者が不自然な姿勢を取らないかまたは過大な力を加える必要がないかの評価、下側連結部材の留め金具の操作方向や形状の改善、安全ロックの確実性を保ちつつ作業者の疲労を最小限に抑えるための設計)

 

 さらに別の例として駆動伝達機構の上方を広く覆うルーフ構造と可動式前照灯を備えたコンバインが挙げられます。
 従来のルーフ構造では駆動伝達部分への雨水侵入を防ぎきれず、ベルトスリップ等の動作不良を引き起こす恐れがありました。
 これに対して、作業者が搭乗するキャビンと穀稈を刈り取る刈取装置を隣り合わせて備えたコンバインであり、キャビンルーフにキャビンと刈取装置の間に配置された伝達機構の上方を覆う延長部(覆い部)が設けられ、この伝達機構はエンジンから刈取装置への駆動を伝える第1の伝達部材と走行装置への駆動を伝える第2の伝達部材を含み、キャビンルーフの延長部はこれらの伝達部材の上方を広く覆うように配置されており、従来構造に比べて駆動の伝達部分への雨水の進入が抑制され、ベルトのスリップや脱落を防ぎ作業装置の一時的な動作不良や機能停止を抑制するコンバインが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7679858/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(機体の構造強度、各部品の配置および伝達機構の信頼性を確保するための総合的な設計と解析、キャビンルーフの延長部による雨水遮断効果の評価および最適な形状と寸法の決定、走行や作業時に生じる振動や衝撃に対する駆動伝達部材(ベルト、プーリなど)の疲労強度解析および耐久性の高い構造設計)、電気電子工学(前照灯の光学性能、適切な電源供給およびシステム全体の制御インターフェースの設計、使用する前照灯のLED素子の選定と駆動回路の設計、前照灯の位置調整を可能にする支持部材内のアクチュエータ(モーター)の選定とそれらを操作するためのキャビン内制御ユニットの電子回路設計)

 

 A01Ⅽは既述のとおり植付けなどに関連する分類です。
 具体例として肥沃度をリアルタイムで検出する作業車両(田植え機)が挙げられます。
 従来の作業車両では肥沃度測定機能の利用が煩雑であり手軽に施肥量調整ができない問題がありました。
 これに対して、圃場の土壌の肥沃度を算出するために土壌の電気抵抗を検出するセンサーが苗植付け装置に一体的に取り付けられた作業車両であり、センサーを構成する第一のセンサー電極部と第二のセンサー電極部が苗植付け装置の苗植付け本体フレームへ取り付けら、苗植付け装置は土壌表面と接触するフロート底面を持つフロートとフロートを吊り下げる苗植付け本体フレームを有しており、電極部がこの本体フレームに取り付けられることで、苗植付け作業と同時に土壌肥沃度測定をリアルタイムでおこなうことができ自動施肥量調整などの機能の使い勝手を向上させた作業車両が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7718466/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(センサー電極部を苗植付け装置に確実に取り付けるための機械構造の設計、作業中の外力や摩耗に対する耐久性の検討、電極部と本体フレームの締結方法の決定、田植え作業中に土壌や石に接触した際の電極板の破損を抑制する逃げ機構(例:スプリングによる回動機構)の設計、土壌との接触状態を安定させる電極板の形状や配置の最適化および正確な測定を保証する機械的基盤の構築)、電気電子工学(土壌の電気抵抗を正確に検出・処理するためのセンサー回路の設計、取得データの信頼性を高める信号処理技術の検討、第一・第二電極部で検出された微小な電気抵抗値をノイズの影響を受けずに肥沃度として定量化する計測回路(例:抵抗-電圧変換回路)の設計、瞬間的な電極の浮き上がりによる測定値の急激な変化を抑制するためのフィルタ回路(例:RC回路)の定数設計や電極の材質選定)

 

 別の例として車速変動による肥料繰出し軸の慣性増加を相殺する機械式回転数補正機構付き施肥システムが挙げられます。
 従来、車速が増加すると肥料繰出し軸の慣性により回転数が増え、意図した施肥量とならない問題がありました。
 これに対して、田植え機などの作業車両において車輪駆動力を用いて肥料繰出し軸を回転させる施肥システムであり、車速増加に伴って拡大する肥料繰出し軸の慣性に起因する余分な回転増大量を打ち消すため揺動アームに設けられた揺動支点ピンの位置をモーター機構により回動されるねじ部材で自動的に移動させる回転数補正機構を備えており、これにより、車輪駆動力で揺動するアームの動作が変化して回転数が補正され、この補正をあらかじめ定められた走行距離ごとに行い車体停止でリセットすることで、慣性による施肥量の誤差を補正し、高精度な施肥を実現する施肥システムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7711739/15/ja

  関連する専門分野の例:制御工学(車速や慣性などの変動要因を考慮した施肥システムの動特性モデルの構築、目標施肥量を維持するための揺動支点ピン位置の補正制御ロジックの設計、肥料繰出し軸の慣性モーメントや肥料充填率の回転数依存性を含む数理モデルの構築、車速データからリアルタイムで目標回転数補正量を算出してモーター機構へ指令する制御アルゴリズムの設計)、機械工学(車輪駆動力から肥料繰出し軸への動力伝達機構、特に揺動アームとねじ機構の耐久性と高精度な位置決めを保証する設計、揺動アーム、スリット、揺動支点ピンの各部の摩擦、摩耗、応力の解析、長期間の使用に耐える素材と寸法の決定、モーター機構で駆動されるねじ部材とナット部材(揺動支点ピンナット部材)の螺合の設計、制御システムからの指令に対して揺動支点ピンが要求される位置に正確かつ確実に停止するリニアアクチュエータ機構の設計)

 

 さらに別の例として苗箱から苗マットの床土に突き刺して機械的に取り出す自動化対応の苗マット取り出しシステムが挙げられます。
 従来、苗マットの取り出し作業が作業者にとって面倒で近年の田植機の自動化の障害になっていました。
 これに対して、田植え機などに適用され苗マットを収納した苗箱から苗マットを機械的に取り出す苗マット取り出しシステムであり、平板状の網部とその下面に並列して取り付けられた複数の刺し込み部からなる取り込み部を備え、この刺し込み部は苗箱の上方から下降し、苗マットの床土に突き刺さることで床土を傷つけずに根に引っ掛かりやすくするために断面十字状の薄板に返し部が形成されており、刺し込み部が床土に刺さった状態で全体を持ち上げることにより苗マットを苗箱から確実に取り出し、取り出した苗マットを刺し込み部から確実に抜き取るために櫛歯を有する抜き取り部が苗マットの床土上面を押さえた状態で刺し込み部と相対的に離間する機構を備え、これらの取り込み部と抜き取り部は制御手段によって機械的に駆動され苗マットを案内装置へ落下させて植付け装置へ供給することで、作業者の負担なく苗マットの取り出し作業を自動化できる苗マット取り出しシステムが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7605258/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(苗マットの床土を崩さず確実に保持・分離する機構の構造設計と強度解析、刺し込み部(返し部、先端形状、断面十字構造)の最適形状の設計、土壌や根の抵抗に対する材料強度の評価、取り込み部・抜き取り部・案内装置の動作機構(カム、リンク、ガイドレール)の設計)、制御工学(苗マットの取り出し、抜き取り、搬送の一連の動作シーケンスを自動化するための制御システムの構築、取り込み部の下降位置、網部の揺動、抜き取り部の横移動、各部の相対速度をエンコーダやセンサーで監視・制御するロジックの設計、苗箱の供給や空箱排出、苗取りユニットの左右移動を含むユニット全体の協調動作を統括するシーケンス制御プログラムの実装)

 

 A01Bは既述のとおり農業機械などに関連する分類です。
 具体例として倒伏した穀稈(こくかん)の詰まりを抑制して自動収穫作業をおこなうための走行経路生成装置が挙げられます。
 従来の自動走行は倒伏を考慮せず、穀稈の詰まりによる作業中断で十分な省力化が図れない点に問題がありました。
 これに対して、飛行装置に搭載された撮像装置で圃場画像を空撮し、この画像に対し、領域分析手段で穀稈が存在しない圃場外領域を除外し、程度分析手段および方向分析手段により圃場内の穀稈の倒伏の度合いと方向を算出して画像を補正し、倒伏した穀稈を刈取装置により適切な方向から刈り取るための走行経路を含んだ走行経路データ(刈取作業の能率を上げるため無倒伏位置の刈取を先におこない最後に倒伏位置を往復刈りの経路で処理するように設定)を算出し、最後に、制御装置がこの走行経路データに基づき走行プログラムを作動させることで、倒伏による詰まりの発生を抑えつつ刈取作業の能率化と無人化を実現させる走行経路生成装置が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7726262/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(倒伏穀稈を効率的かつ確実に収穫するため収穫作業機の機構と制御ロジックの最適化、画像分析による倒伏情報に基づき穀稈を引き起こす引起こし機構の設計、刈取速度や搬送速度を自動で調整するフィードバック制御システムの設計、走行装置と刈取装置の動的協調制御によって走行経路の微修正と詰まり防止を両立させるためのパラメータの決定)、情報科学(飛行装置で取得した圃場画像から穀稈の倒伏度と方向を高精度かつリアルタイムに自動で検出・定量化するための画像認識アルゴリズムの設計、さまざまな品種、生育段階、照明条件下での倒伏を正確に識別するモデルの構築、複数の部分画像を統合する際のGNSS情報と特徴点抽出アルゴリズムに基づく位置合わせ処理の効率と精度を向上させて複雑な走行経路データの基となる圃場画像を迅速かつ正確に生成するための並列処理を含むアルゴリズム最適化)

 

 別の例として倒伏した穀稈の状態に応じて作業効率(距離)または詰まり抑制(安全)を優先した走行経路を選択して刈取回転数を自動制御するコンバインの刈取作業方法が挙げられます。
 従来の刈取作業方法では圃場の倒伏状態に応じて複数台のコンバインを使い分ける必要があり、単一のコンバインで倒伏穀稈を効率よく刈り取れないという問題がありました。
 これに対して、自動走行するコンバインの操縦部に倒伏穀稈の詰まり抑制を優先する第1優先経路と走行距離短縮を優先する第2優先経路を切り替えるスイッチを設け、第1優先経路が選択された場合、コントローラは刈取装置が詰まりにくい左倒伏刈りまたは追い刈りを行う往復刈りの第1設定経路を設定し、第2優先経路が選択された場合、コントローラは左倒伏刈り、追い刈り、右倒伏刈り、向い刈りを含む反時計回りの回り刈りの第2設定経路を設定し、コントローラは走行経路上の刈取方式(倒伏刈り/追い刈り/向い刈り)に応じて走行装置の速度に対する刈取装置の刈取回転数を異なる直線群(第1・第2直線) に沿って増減速させることにより、1台のコンバインで倒伏穀稈の詰まりを抑制するかまたは走行距離を短縮して作業効率を向上させるかを選択的に実現できるようになるコンバインの刈取作業方法が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7461612/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(刈取装置と走行装置の連携および自動制御された走行条件下の耐久性・信頼性の確保、取装置の回転数制御機構(油圧モータや電動モータなど)について走行速度と刈取回転数の関係を示す第1~第3直線の制御ロジックを実装する際の応答性や精度の評価、詰まりやすい「右倒伏刈り」や「向い刈り」で高速回転(第2・第3直線)が指示された際の刈取装置の駆動系にかかる動的な負荷や振動の解析および最適な機構設計と耐久性基準の確立)、制御工学(スイッチの入力、カメラによる倒伏情報、走行速度と刈取回転数の関係式(第1~第3直線)に基づきコンバインの自動走行および刈取動作を統合的に制御する高精度なシステムの構築、経路選択と刈取回転数制御を統合するコントローラのフィードバック制御アルゴリズムの設計、設定された第1/第2優先経路に沿って正確に自動走行させるための軌道追従制御の設計、倒伏角や穂先高さが変化した場合に詰まりを抑制しつつ効率的な走行速度と刈取回転数のリアルタイムな増減速制御を実現する適応制御ロジック(例えば、ゲインスケジュール制御)の実装)

 

 A01Fは脱穀などに関連する分類です。
 具体例として排出オーガ(収穫物を機外へ排出するための長いパイプ状のコンベア装置)が操縦部や覆い部材に接触するのを防止するための二段階の回動規制スイッチを備えた作業車両が挙げられます。
 従来、排出オーガを旋回・下降操作する際、誤操作により排出オーガが操縦部のサンバイザなどの部材に接触し、装置の破損や作業の安全性を損なう問題がありました。
 これに対して、排出オーガが上下方向の第1回動軸と左右方向の第2回動軸により水平方向と上下方向の両方に回動可能な作業車両であり、排出オーガの左右回動範囲のうち操縦部および覆い部材の上方にオーガが臨む可能性のある両端部には下降規制スイッチが配置され、排出オーガが左右回動してこのスイッチのいずれかに接触すると下降が規制(オーガを左右回動させ、その後に再度どちらか一方の下降規制スイッチに接触させる操作によって初めて解除される構成)されることにより、排出オーガが操縦部や覆い部材に接触することを確実に防止し、作業の安全性を向上させて部品の破損を防ぐ作業車両が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7700828/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(排出オーガの回動機構および安全制御スイッチが組み込まれる構造設計、排出オーガを支える第1回動軸および第2回動軸の軸受構造や駆動モータの選、下降規制スイッチが排出オーガとの接触による摩耗や振動に対して圃場作業の過酷な条件下で確実に作動し続けるためのスイッチ周辺の機構部品の強度計算と材質選定)、制御工学(排出オーガの回動操作と下降規制スイッチの信号に基づき誤操作時の回動規制と解除を正確に行う制御システム設計、コントローラ内のマイコンに実装する制御ロジックの設計、「下降規制スイッチへの1回目接触で下降規制を有効化して2回目接触(または反対側のスイッチへの接触)で解除する」という状態遷移を実現するためのプログラムの構築、油圧バルブの動作指令への出力タイミングの調整と誤信号に対するフェールセーフ機能の実装)

 

 別の例として脱穀装置が挙げられます。
 従来、風力選別装置を駆動するモータは藁屑などが当たるのを避けつつ配置する必要があり、吸気口近くでも冷却が不十分で過熱停止し、作業能率が低下する問題がありました。
 これに対して、扱室の下方に設けられた揺動選別装置と選別風を送る風力選別装置を備えた脱穀装置であり、風力選別装置を作動させる選別モータは風力選別装置の吸気口近傍に配置され、選別モータのモータ駆動軸のみが吸気口内に配置され、モータ本体の他の部分を機体外側に配置する構成または吸気口側の一部とモータ駆動軸が吸気口(30a)内に配置された構成であり、また、選別モータの外周を軸方向に囲む風洞が設けられたことにより、風力選別装置が吸気時に発生させる負圧を利用して、モータ外周の風洞内に外気を強制的に吸引し、モータ本体を効果的に冷却することができ、モータの過熱による作動停止を防止して安定した選別作業が可能となる脱穀装置が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7697445/15/ja

  関連する専門分野の例:電気電子工学(選別モータの駆動特性の最適化、過熱保護機能を組み込んだ制御システム全体の設計、選別モータの負荷トルクや回転速度を精密に計測・制御するためのインバータ回路や駆動回路の設計、モータ内部の温度センサーと連携して過熱を検知した際に回転数を段階的に下げるなどの保護アルゴリズムの設計、脱穀装置内で発生する粉塵や湿度に耐え電磁ノイズの影響を受けにくい制御基板の部品選定とケーシング設計)、機械工学(モータ冷却のための風洞を含む周辺構造の設計、モータ駆動軸と一体化する風洞の寸法や通気孔の開口率の決定、効率的に冷却風が流れる最適形状の設計、風洞やモータブラケットの構造解析、実機への組み込み時における部品の公差やメンテナンスの容易さを考慮した量産設計)

 

(4)まとめ

 収穫機などの農業機械に関する出願が非常に多いです。

 そうした農業機械の機械的構造や走行制御や収穫物の水分量の測定など各種の情報制御に関わる内容が多く確認されました。

 機械系、電気系、情報系の専門性が関連する可能性が大きいです。

 

3.6 共同出願人との開発例

 共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。

 技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。

 各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。

(1)クボタ

 

 詳細の説明は省略します。

 

(2)ヤンマー

 

 出願件数トップの共同出願人は八鹿鉄工です。
 共同出願の例として、前後回動可能で弾性部材により回動アシストされる排出用コンベアの収納構造を有する野菜収穫機が挙げられます。
 従来の排出用コンベアは非作業時に機体側面や後方へ大きく突出し、走行・格納時の障害物との接触や機体の前後重量バランスの悪化を招くおそれがありました。
 これに対し、収穫物を搬送する野菜搬送部の後部に排出用コンベアを備えた野菜収穫機であり、機体フレーム後方に延設された支持フレーム に排出用コンベアの搬送フレームの前後中途部が左右方向の回動軸によって前後回動自在に支持され、コンベアは上部が後方となる作業位置と上部が前方となる収納位置との間で回動可能で、搬送フレームと支持フレームとの間には弾性部材が介装されており、この弾性部材は排出用コンベアを上下方向の姿勢(回動軸に対して略鉛直方向)に付勢する構成により、排出用コンベアを前方へ回動させて収納位置とすることで機体の前後長を短縮でき、重心が前方へ移動し前後重量バランスと安定性を向上させた野菜収穫機が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6579540/15/ja
  関連する専門分野の例:機械工学(排出用コンベアの回動構造と弾性部材の設計、コンベアの総重量と回動軸の位置に基づき収納・作業位置への切り替え操作力を最小限に抑えるための最適なバネ定数とバネ取付位置の計算、回動軸および支持フレームが運搬時や作業時の振動・衝撃荷重に耐え得るための応力解析と材料選定、回動部の摺動抵抗を低減させるための軸受構造の設計)、経営工学(野菜の収穫・排出作業における効率と作業者の安全性・利便性の検証、排出用コンベアを作業位置から収納位置へ切り替えた際の機体全体の前後安定性の変化の評価、回動操作時の作業者の負担(操作力)の検証、運搬車への収容作業を考慮した排出用コンベアの適切な排出高さや角度の範囲の決定)
 
 セイレイ工業との共同出願では建設機械用アウトリガーの油圧シリンダが挙げられます。
 従来の油圧シリンダはロッド部が下側配置で地面に近く損傷しやすいうえ、油圧ホースが長く摩耗し、機体周辺のフレームと擦れて破損する問題がありました。
 これに対し、機枠に上下揺動自在に配置されたアウトリガーの昇降駆動の油圧シリンダであり、アウトリガーが外側下方へ張り出した作業位置においてロッド部が上側にシリンダ部が下側となるように取り付けられ、ロッド部の内部には油路が形成されており油路の給排部となる油圧配管がロッド部に接続され、この油圧配管は鋼管で構成され、ロッド部の両側から前後二方向に突出し、L字型に屈曲した後、その他端が油圧シリンダの回動支点となるピンの軸心近傍に位置するよう配置された構成により、ロッド部が地面から離れて傷つきを防止できると共に油圧シリンダの伸縮時にも油圧配管の接続部が回動支点近傍に留まるため油圧ホースの撓みや摩耗を最小限に抑えて耐久性を向上させた油圧シリンダが開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-4490751/15/ja
  関連する専門分野の例:機械工学(油圧シリンダの構造設計と疲労強度解析、ロッド部に形成された油路がロッドの座屈強度や引張強度に与える影響の解析、油圧配管とロッド部との接続部の耐圧強度と応力集中の検証、L字型鋼管の振動や疲労破壊を防ぐための最適な肉厚や曲げ半径の決定)、材料工学(ロッド部や鋼管の耐摩耗性、耐食性、高圧作動油への適合性の最適化、ロッド表面のクロムめっきや熱処理の硬度と平滑度の調整による伸縮時における摺動部材(パッキン)の摩耗やロッド本体の傷つきの最小限化、高圧・高サイクル疲労下での最適な合金鋼の選定、長期的な油漏れリスクを排除するための材料特性評価)

 

(3)井関農機

 

 

 出願件数トップの共同出願人は農業・食品産業技術総合研究機構です。
 共同出願の例として昇降回動アーム付き苗収容カップ構造を備えた苗移植機が挙げられます。
 従来、苗がカップの底蓋や支持部材に挟まると苗の損傷や詰まりが発生し、復旧に多くの時間を費やす必要があり、植付け姿勢の乱れや欠株を招いていました。
 これに対し、複数の苗収容カップを備えた苗供給部と苗を圃場に植え付ける苗植付具を備えた苗移植機であり、苗収容カップは回転テーブルを介して周回移動し、自重で開く底蓋を持ち、底蓋支持部材によって周回軌道上の所定位置までは閉鎖支持され、この苗収容カップが回動アームによって上側に回動動作可能なカップ昇降機構を介して支持される構成により、苗詰まりが発生した際にカップ昇降機構によって苗収容カップを底蓋支持部材から離れる高さ位置まで上昇させることができ、カップ、底蓋、支持部材の間に所定の隙間が確保され、挟まった苗を細片の残留なく容易に取り除くことができて即時復旧が可能となり苗詰まりによるトラブルを最小限に抑えることができる苗移植機が開発されています(以下URL)。
 https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6256945/15/ja
  関連する専門分野の例:機械工学(苗収容カップの回動アームおよび昇降機構の機構設計、過酷な農作業環境下での強度・耐久性の検証、回動アームと回転テーブルの連結部の運動学的解析、カップを底蓋支持部材から安全に離間させるための回動軌跡と作業者が手動または自動で操作する際の操作力の最適化、苗詰まりによる異常な衝撃荷重や振動に耐えるためのカップ昇降機構の疲労強度解析および適切な軸受やヒンジ部品の選定)、制御工学(苗供給部、植付具、カップ昇降機構の動作を時間軸で統合的に管理して苗詰まり発生を検知した際に迅速かつ安全に機械を停止・復旧させるための制御システムとロジックの設計、回転テーブルの周回速度、苗植付具の昇降タイミング、苗供給カップの底蓋開放位置を精密に同期させるためのリアルタイム制御アルゴリズムの設計、苗詰まりによる回転テーブルの駆動トルクや回転速度の異常変動を検知するセンサーの組込みおよび異常検知時に自動で回動アームを操作して昇降機構を作動させるシーケンス制御ロジックの設計)

 

(4)上記(1)~(3)(共同出願人)のまとめ

 共同出願においても農機関連に関する出願が多いです。

 

4 開発に求められる専門性

 上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。

 上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。

 

機械系分野(機械工学、人間工学など)

 落下防止装置を備えた掘取機、トウモロコシ収穫の収穫搬送装置、乗用型田植機、機体の前部に予備苗のせ台が設けられた乗用田植機、電動作業車、排気ガス浄化装置を搭載したコンバイン、高さ調整可能な刈取部を有するコンバイン、油圧ショベルなどの建設機械、駆動伝達機構の上方を広く覆うルーフ構造と可動式前照灯を備えたコンバイン、肥沃度をリアルタイムで検出する作業車両(田植え機)、車速変動による肥料繰出し軸の慣性増加を相殺する機械式回転数補正機構付き施肥システム、苗箱から苗マットの床土に突き刺して機械的に取り出す自動化対応の苗マット取り出しシステム、倒伏した穀稈の詰まりを抑制して自動収穫作業をおこなうための走行経路生成装置、コンバインの刈取作業方法、脱穀装置などに関する出願が関係します。
 掘取機連動リンク機構の作動経路と伝達効率の最適設計、姿勢変化に伴う機構部品の動作タイミングと負荷の動力学解析、繰り返し負荷や衝撃に対する主要構造の疲労強度および耐久性評価、ローラとプレート部品の相対位置およびクリアランスの精密機構設計、収穫動作時における機構の作用力と負荷条件の動力学解析、プレート部品の取付構造およびフレームの構造剛性・耐久性評価、モータの回転運動からクラッチ切替に必要な運動への変換機構(リンク)の運動学・動力学解析、三段階の状態切り替えを可能にする主ロッドと中間リンクの長孔などの幾何学的要素の最適設計、予備苗の送り込みを円滑にするためのローラー列および案内構造の動的挙動解析、苗の挟み込みを防ぐローラー間隔や位置関係の公差設計、畦からの苗補給時における作業者の姿勢変化や動作負荷の定量的評価、苗の把持から載置に至る作業経路に合わせた予備苗のせ台の作業域設計、作業効率と安全性を高めるための前案内部材の高さおよび形状のヒューマンファクタ最適化、低重心化を考慮した伝動ケースおよびフレーム結合構造の設計、潤滑油連通経路の低位置配置が剛性に与える影響の構造解析、重量部品配置による車両の静的・動的安定性(旋回性)の検討、部品配置と機構的干渉の回避検討、不整地走行を考慮した接地体の機構設計、検出センサを持つ装置本体の多重回動支持機構の設計、駆動・機体主要構成部品の配置設計、熱・振動・衝撃に対する部品支持構造の最適化設計、装置の着脱・操作における認知負荷と操作ミスの発生要因分析などが求められます。

 

電気系分野(電気電子工学など)

 穀粒に含まれる水分量を測定する水分量測定システム、電動モータの動力により駆動する電動作業機、電動作業車、農業機械のエネルギー支援システム、高さ調整可能な刈取部を有するコンバイン、油圧ショベルなどの建設機械、操縦部の作業者を検出する複数のセンサを備えたコンバイン、駆動伝達機構の上方を広く覆うルーフ構造と可動式前照灯を備えたコンバイン、肥沃度をリアルタイムで検出する作業車両(田植え機)、脱穀装置などに関する出願が関係します。
 圧砕時の電気抵抗値に基づくセンサ回路の高精度化設計、穀粒種別に応じた電気信号のノイズ除去と安定化処理、センサ出力信号のデジタル変換とデータ取得アルゴリズム設計、低回転域での高効率を追求した電動モータとインバータの駆動システムの構築、大容量バッテリユニットと油圧機器駆動負荷との連携による電力マネジメント戦略の検討、油温検出装置等のセンサ信号のノイズ耐性および高精度化を担保する回路設計、低重心化に伴う制約下での電力系統の熱・ノイズ耐性設計、高効率運転と油圧負荷要求を統合したモータ駆動制御アルゴリズムの設計、バッテリ(パッケージ体)の健全性と残量の監視システム設計、高電圧・大電流環境下での電力系統の安全性および熱管理の検討、電動農業機械のモータ駆動効率とエネルギー消費量の計測・解析、刈高検出センサの精度、分解能、耐久性の選定と評価、接地体回動量から真の刈高への変換アルゴリズムの設計、熱源(エンジン)近傍における電子制御ユニット等の熱的保護対策の確立などが求められます。

 

情報系分野(制御工学、情報工学、情報科学など)

 穀粒に含まれる水分量を測定する水分量測定システム、圃場全体を効率的にカバーする走行ラインを自動で生成する農作業支援装置、圃場作業車における作業車の走行を支援するためのシステム、自動操舵機能を備えた作業車両、乗用型田植機、単一測位装置を用いた旋回作業機、電動モータの動力により駆動する電動作業機、農業機械のエネルギー支援システム、作業車両の自動走行システム、圃場作業車両の自動走行経路生成方法、作業車両の作業経路を活用した圃場画像データの自動取得・管理方法、無人作業車両に使用される作業車両用の障害物検知システム、作業車両の位置情報に基づき特定された作業圃場の形状を自動補正して営農作業情報を管理、操縦部の作業者を検出する複数のセンサを備えたコンバイン、車速変動による肥料繰出し軸の慣性増加を相殺する機械式回転数補正機構付き施肥システム、苗箱から苗マットの床土に突き刺して機械的に取り出す自動化対応の苗マット取り出しシステム、倒伏した穀稈の詰まりを抑制して自動収穫作業をおこなうための走行経路生成装置、コンバインの刈取作業方法などに関する出願が関係します。
 外部測定値との偏差に基づくセンサ特性の補正・校正ロジック設計、穀粒の種類に適応した電極ローラの駆動および電圧印加シーケンス制御、測定システム全体の動的精度を維持するためのフィードバック制御モデルの検討、圃場マップの幾何学的特徴抽出と領域分割アルゴリズムの設計、作業幅可変仕様に基づく走行ラインの最適配置・経路計画検討、複数の作業情報、装置情報に応じたデータ構造と処理フローの設計、自動操舵と作業幅調整を統合した統合制御モデルの構築、位置検出誤差に対する経路追従の高精度化フィードバック制御設計、可変する作業幅指令値に基づく作業装置の動的応答・アクチュエータ制御解析、点群データからの走行妨害物体の特徴抽出とフィルタリングアルゴリズムの設計、閾値処理に基づく複数の越境不能境界を示すマップ生成ロジックの設計、境界線制約下での作業車の高精度な経路追従制御則の設計、走行速度と姿勢変化を考慮した動的制御モデルの構築と解析、運転操作・設定切換指令に基づく作業車の自動操舵制御ロジックの設計、運転者の認知特性に合わせた表示情報およびスイッチ操作の設計、多種センサー情報の動特性を考慮した状態推定ロジックの設計、不確実な測位データを処理するための統計的フィルタリングアルゴリズムの設計、圃場情報に基づいた農作業の消費エネルギー予測モデルの設計、パッケージ体の配送・回収指示に係るロジスティクス最適化アルゴリズムの検討、作業車両の目標経路追従制御ロジックの設計、経路生成モードの最適選択アルゴリズムの設計、地理空間情報処理のためのデータ構造とアルゴリズムの設計、時系列測位データの一元的な管理と連携のためのデータベースシステムの設計などが求められます。

 

材料系分野(材料科学など)

 落下防止装置を備えた掘取機、トウモロコシ収穫の収穫搬送装置などに関する出願が関係します。
 作物の損傷を防ぎ、かつ摩耗に強い弾性・複合材料の機能性選定、機構部品全体の軽量化と高強度化を両立する材料構成の検討、農業環境下での部品の耐候性・耐食性の検証と材料適用評価、茎の巻き付き抑制と摩耗に耐える接触部品の機能性材料選定、衝撃や振動に耐える構造部品の強度向上と長寿命化の材料検討、などが求められます。

 

化学系分野(化学工学など)

 排気ガス浄化装置を搭載したコンバインなどに関する出願が関係します。
 排気ガス浄化プロセスの反応効率設計、還元剤供給システムのプロセス安定性検討、熱管理(凍結・劣化防止)のプロセス設計と制御、物質収支・エネルギー収支に基づくシステム最適化の解析などが求められます。

 

数学系分野(応用数学など)

 作業車両の位置情報に基づき特定された作業圃場の形状を自動補正して営農作業情報を管理などに関する出願が関係します。
 測位誤差や走行軌跡の不確実性を定量化するための統計解析モデルの構築、複数の幾何学的形状(ポリゴン)の重複度合を判定するための厳密な数学的基準の検討、圃場識別における判定誤差を最小化するための閾値および補正ロジックの理論的検討、営農システム全体のデータ整合性を確保するためのデータ駆動型検証モデルの解析などが求められます。

 

 ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。

 

5 まとめ

 収穫機などの農業機械や農業機械の機械的構造、走行制御や収穫物の水分量の測定など各種の情報制御に関わる内容の出願が多く確認されました。

 そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。

 大学の専攻と関連づけるとしたら、主に機械、電気、情報における研究分野が該当する可能性があります。

 また、材料、化学も関係する可能性があります。

 

 本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。

 参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4

 以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

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 研究開発職のキャリアマップ|60業界の開発環境を特許データから分析

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 化学系の研究開発職の業界・企業ニーズ(第1部/全3部)

 化学系の研究開発職の業界・企業ニーズ(第2部/全3部)

 化学系の研究開発職の業界・企業ニーズ(第3部/全3部)

 

<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社

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