今回は、菓子や即席麺を主力商品とする食品業界に焦点をあてます。
食品業界については、以下の記事で取りあげたことがあります。
過去記事:【特許分析】食品業界の開発職ニーズ(1):食品、化学、機械系の専攻を中心に大手加工食品8社の出願動向から読み解く
これらには主に調味料を主力商品とするメーカーが多かったです。
製造する食品が異なることで開発に求められる専門性も違ってくるのでしょうか?
これを特許情報からみていきます。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
今回は、大手加工食品メーカー5社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。
結論(概要)は以下の通りです。
・化学系分野(応用化学、有機化学、化学工学、生化学、高分子化学など)
・食品系分野(食品工学、食品科学、栄養学、食品化学など)
・機械系分野(機械工学、人間工学など)
・材料系分野(材料科学、材料工学など)
・生物系分野(微生物学、分子生物学、応用生物学など)
・薬学系分野(免疫学、薬理学、製剤学、薬学、薬化学など)
・その他分野(物理学、工業デザイン、歯科学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 食品業界
2.1 食品業界とは
ここでは食品の生産、加工などに関わる業界を意図します。
今回は菓子と即席麺を主力商品とする企業に絞っていますが、技術的な区別は厳密にはおこなっていません。
2.2 サーチ対象
以下の5社を対象にしました。
(2)明治
(3)森永製菓
(4)ロッテ
(5)日清食品ホールディングス
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
・皮付きアーモンド粉砕品を含む飲料 |
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法人向け |
・腸管感染性1本鎖RNAウイルスの増殖を抑制するための組成物 |
・高水分原料濃縮品およびルウ製品の製造方法 |
個人向けか法人向けかの判断は明細書だけでは判断できないことも多いため、上記は曖昧さを含みます。
3.2 出願件数の推移
下図は食品メーカー5社の特許出願件数の推移です。

企業によって、また、出願年によって出願数が大きく違っています。
ただし、どの企業も毎年所定数の特許出願をおこなっており、そのような出願につながる開発がおこなわれていることいが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
明治>日清>江崎グリコ≒森永製菓>ロッテ
だと言えます。
ただし、ここで言う開発は、特許出願につながる技術開発であり、食品の新商品の開発のことではありません。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
濃縮などがこれに該当します。
ロッテがこの分野から多く出願しています。
チョコレートなどがこれに該当します。
江崎グリコ、森永製菓、ロッテがこの分野から多く出願しています。
非アルコール飲料などがこれに該当します。
全5社がこの分野から多く出願しています。
歯科用製剤などがこれに該当します。
江崎グリコ、明治、森永製菓がこの分野から多く出願しています。
容器部材などがこれに該当します。
ロッテ、日清食品がこの分野から多く出願しています。
酵素前駆体などがこれに該当します。
日清食品がこの分野から多く出願しています。
3.5 食品(菓子、即席麺)メーカー5社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)江崎グリコ|開発トレンドと専門性

上図期間中、A23Lが最も多いです。次いでA23G、A61K、A21Dが多いです。
具体例として高水分原料濃縮品およびルウ製品の製造方法が挙げられます。
既存技術では、高水分原料を加熱濃縮する際に香気成分の蒸発による風味の低下、低温での濃縮によるコクの不足、高温での長時間加熱による焦げ付きが発生し、生産性が著しく損なわれるという問題がありました。
これに対し、アミノ酸、ペプチド、またはタンパク質を含む高水分原料、油脂、砂糖を含む混合物を加熱釜で常圧加熱濃縮する際に混合物の品温が90~120℃となるように調整し、最終的なブリックス値を75~82にすること、すなわち、アミノ酸やペプチドが豊富に含まれる高水分原料に油脂と砂糖を混ぜて加熱濃縮することでメイラード反応(アミノ化合物(アミノ酸やタンパク質など)と還元糖(砂糖など)が加熱によって反応し、食品に香ばしい風味や褐色(焼き色)を生み出す化学反応)を促進しつつも油脂が固形分と分離せずにペースト状の物性を保つため、釜壁面への焦げ付きを防ぐことができ、風味やコクが向上した高水分原料濃縮品を効率的に製造し、これと小麦粉ルウを混合することで高品質なルウ製品を製造する方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7241525/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(異なる種類のアミノ酸、ペプチド、砂糖、油脂を組み合わせた際の反応生成物(香気成分、呈味成分)の定性・定量分析、反応条件(温度、pH、加熱時間)が、焦げ付きの原因となる高分子化合物の生成を抑制しつつ目的とする風味成分の生成を最大化するための反応速度論的解析とモデル構築、反応抑制剤(酸化防止剤など)や触媒(酵素など)を添加することによる反応制御効果の検証)、機械工学(撹拌羽根の形状や回転速度が混合物全体の温度分布や粘度、釜壁面への固形分付着(焦げ付き)に与える影響の予測、加熱方式(電磁誘導、蒸気加熱など)の違いによる熱効率の比較およびエネルギー消費を最小限に抑えつつ短時間で水分を蒸発させるための熱交換システムの設計、スケールアップ時の釜内の流動挙動や温度勾配の予測および大規模生産ラインに適した装置の設計と運転条件の確立)
従来の技術では、皮付きアーモンドを粉砕すると、皮のざらつきや苦味・渋味が出てしまうという問題がありました。
これに対して、皮付きアーモンドが液体窒素などで凍結後、衝撃式の粉砕機によって粉砕された平均粒径1〜20μmのアーモンド粉砕品と、同様に平均粒径1〜20μmの皮無しアーモンドペーストが質量比1:10〜1:2の範囲で組み合わされることで、皮付きアーモンドが持つ旨味や甘味、コクを引き出しつつ従来の製法で生じていた不快な苦味や渋味を抑制し、飲んだときにざらつきを感じない滑らかな口当たりを持たせた飲料が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7177670/15/ja
関連する専門分野の例:食品工学(液体窒素を用いた凍結条件(冷却速度、温度)や粉砕機の種類(衝撃式、ジェットミルなど)および運転条件(回転数、粉砕時間)がアーモンドの硬度や脆性に与える影響の評価、微細な目標粒径を効率的に達成して粒度分布のばらつきを最小限に抑えるための最適なプロセスパラメータの決定)、有機化学(微細な粒子サイズがアーモンドの苦味や渋味成分(タンニンなど)の溶出に与える影響の評価、皮付き・皮無しアーモンド粉砕品を混合した際の香味成分(ロースト香成分など)の相互作用や安定性の調査および飲料の風味を向上させるための最適な配合比率と製造プロセスの検討)
具体例として一口サイズのコアシェル型冷菓が挙げられます。
従来の一口サイズ冷菓は暑い環境下で溶けやすく、流通中に変形する問題がありました。
これに対して、1個あたりの重量が5~11gのコアシェル型冷菓であり、中心のコアと、それを覆うシェルの二重構造から成り、コアの凝固点よりもシェルの凝固点が高く設定され、シェルは脂肪(0.2~7質量%)、乳化剤、水を含んでおり、これにより冷菓の流通時や喫食時の変形を防ぎ、シェルの固形分が3~35質量%の範囲であることにより柔らかい噛み出しと水っぽさのない滑らかな風味を実現し、全体の体積比がコアが70~90%、シェルが10~30%であることで、コアの冷たさや風味を保ちつつシェルの保護機能と食感の良さを両立するコアシェル型冷菓が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7337592/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(シェルの脂肪分と乳化剤の種類や比率と乳化状態の安定性の評価、シェルの凝固点と固形分率との相関関係の検証、流通時における温度変化がコアとシェルの界面で発生する氷結晶の再結晶や脂肪の析出に与える影響の解析、製品の品質劣化を抑制する最適な成分組成の設計)、物理学(熱伝導シミュレーションにより外部温度の変化がコアとシェルにどのように伝わるかをモデル化、製品が変形するまでの時間の予測、口内での溶融過程における熱と水分、脂肪の移動の解析およびソフトな噛み出し感や水っぽさのない風味に寄与する物理的要因の特定、喫食時に最適なテクスチャーと風味を実現するためのコアとシェルの凝固点差や厚さ、体積比率の物理的な意味の解明)
従来のソフトクリームは専用のフリージング装置が必要で毎日の洗浄やメンテナンスが大きな負担でした。
これに対して、乳固形分3〜30質量%および糖類5〜40質量%を含む平均粒径2〜8mmの粒状アイスがカップ型容器にあらかじめ充填され、消費者はこの容器に好みの液体飲料を注いで1分以内に混ぜるだけで、−2℃から−8℃の均一でソフトクリーム状冷菓を製造でき、専用の製造装置が不要となる粒状アイス入り容器が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6990025/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(異なる粒径や組成の粒状アイスとさまざまな温度の液体飲料を組み合わせた際の熱収支と混合シミュレーションモデルの構築、混合・攪拌時間、最終的な製品温度および滑らかなテクスチャーを得るための最適な粒状アイスのサイズや配合比率の予測・評価)、材料科学(粒状アイスの糖類や乳固形分が凍結時の氷結晶成長をどのように抑制するかの評価、混合後のソフトクリーム状冷菓において気泡や乳脂肪球が安定して分散した状態を維持するための界面活性剤(乳化剤)や安定剤の役割の解析および最適な組み合わせの特定、最終製品の粘弾性や硬度の評価および滑らかな口溶けやスプーンですくいやすい物性を実現するための成分間の相互作用や微細構造の最適化)
具体例として記憶力や集中力などの認知機能を向上させるための組成物が挙げられます。
既存の認知機能向上成分は天然物ゆえに高価で生産ロットにばらつきがあり、熱や光に弱く水溶性が低いため、飲食品への応用が難しいという問題がありました。
これに対して、デンプンから酵素的に合成されたグリコーゲン(ESG)を主成分とし、これにグルコース残基が20個以下の単糖・オリゴ糖成分を混合した組成物であり、ESGは分岐構造が多くコンパクトな球状をしており、天然グリコーゲンよりも消化酵素のα-アミラーゼに分解されにくいため血中へのグルコース供給が持続的であり、この混合物において認知機能の向上のためグリコーゲン85〜98.5重量%、単糖・オリゴ糖成分1.5〜15重量%の範囲の配合され、ESGは工業的に安価で安定して生産できるため、品質のばらつきが少なく、日常的に摂取しやすい飲食物への応用が可能な組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6400354/15/ja
関連する専門分野の例:生化学(消化管内でESGがα-アミラーゼによって分解される速度やそこから生成される糖類が血中へ移行する速度の分析、摂取した糖が脳の神経細胞(ニューロン)やグリア細胞に取り込まれてATP(アデノシン三リン酸)として利用される過程の追跡および認知機能向上効果の因果関係の証明)、有機化学(デンプンや砂糖を出発原料として特定の分岐構造や分子量を持つ酵素合成グリコーゲン(ESG)を効率的に合成するための酵素選択や反応条件(pH、温度、時間)の検討、合成グリコーゲンの分子量分布や分岐構造の均一性の評価および工業的な大量生産に適した合成法の確立)
具体例としてプレッツェルの製造方法が挙げられます。
従来のプレッツェル製造法は高温アルカリ液処理と焼成の際に焦げつきやすく、製造条件の厳密な管理が求められる問題がありました。
これに対して、成形したビスケット生地をアラビアガムを含有するアルカリ液で処理し、焼成する製造方法であり、アルカリ液にはリン酸三ナトリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸三ナトリウムなどの塩基性物質と特定の濃度(3~12質量%)のアラビアガムが含まれ、このアラビアガムが高温での焼成時に生地表面に膜を形成することでメイラード反応やカラメル化を緩やかに進行させ焦げつきを抑制し、また、アルカリ液を高温にする必要がないため常温での処理が可能となり、製造工程が簡便化されたプレッツェルの製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6621646/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(アラビアガムの濃度や塩基性物質の種類、pHを変えたアルカリ液の調製および生地表面でのアラビアガムの皮膜形成能の評価、焼成中のメイラード反応(アミノ酸と糖の反応)やカラメル化(糖の熱分解)の進行度を生成する褐色物質や香気成分のの評価および焦げを抑制しつつ最適な香味を生成する条件の特定)、機械工学(プレッツェル生地の形状やアルカリ液の粘度、浸漬時間またはスプレーの圧力などが生地表面に付着する液体の量と均一性にどう影響するかの評価、オーブン内での熱風循環と生地内部への水分移動のモデル化および均一な焼き色とサクサクした食感を実現するための最適な焼成温度と時間の決定)
(2)明治|開発トレンドと専門性

A23Ⅽが最も多いです。次いでA61K、A23L、A23G、Ⅽ12N、G01Nが多いです。
具体例として白カビと青カビの両方を含むチーズが挙げられます。
従来の白カビ/青カビチーズは風味を出すために熟成期間を長くすると白カビの働きでアンモニア臭が強くなるという問題がありました。
これに対して、チーズ本体の表面に白カビ、内部に青カビを含有し、特定の化学的指標によって特徴づけられるチーズ、具体的には、遊離グルタミン酸の含有量が30mg%以上、かつ、アンモニア含有量に対する遊離グルタミン酸含有量の質量比が0.70以上であるという化学組成を有し、特定の香気成分(フェネチルアルコール、ジメチルピラジン類)のピーク面積比が特定の範囲内にあることで、白カビによる過剰なアミノ酸分解が抑制されアンモニアの発生が抑えられ、青カビによる風味成分(遊離グルタミン酸、酪酸、ノルフラネオールなど)の生成が促進されるチーズが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7558356/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(白カビと青カビの共存培養系において酸素濃度やpHがタンパク質の加水分解や脂肪の分解の程度にどう影響するかの調査、アンモニア、遊離アミノ酸、脂肪酸およびその他の風味前駆物質の生成動態の評価および最適な熟成条件の導出、生成された風味成分のプロファイリング、目的とする風味特性を生み出す微生物の働きの解明)、微生物学(白カビと青カビのそれぞれについて低酸素環境下での増殖速度、酵素活性および二次代謝産物の生産能力の評価、アンモニア生成に関わるアミノ酸デヒドロゲナーゼの活性と旨味成分生成に関わるグルタミナーゼの活性について低酸素環境での変化の比較・分析、両微生物の混合培養による互いの生育や代謝に与える影響の解析、最適な熟成をおこなうためのスターター菌株の組み合わせや接種比率の決定)
既存の技術で製造される乳タンパク質濃縮物は熱安定性を高めるためにイオン交換樹脂を用いることがありましたが、この方法では乳製品にした際に乳風味が不十分になるという問題がありました。
これに対して、原料乳をまずpH5.5〜6.5に調整し、その後、複数回の限外ろ過と水添加を繰り返す多段階の処理をおこなうことにより、カルシウムやマグネシウムなどのイオンを選択的に除去しつつ、特定のミネラルとタンパク質の含有量を定められた範囲内に制御し、最終的にpH6.4〜6.7に再調整され、130℃において8分間以上の熱凝固時間を有する熱安定性と乳風味を両立する乳タンパク質濃縮物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7659492/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(pHの変化に伴うカゼインミセルの構造変化の観察によるイオンの解離メカニズムの解明、タンパク質の凝集挙動の解析および熱安定性向上の原理の解明、特定のミネラル組成が風味に与える影響の分析)、化学工学(限外ろ過装置の透過流束と透過液の組成のモニタリングおよび最適な圧力、温度、流速の組み合わせの決定、限外ろ過膜の交換サイクルや洗浄方法を最適化するモデルの構築、複数の工程を連続的におこなうためのプロセスフローダイアグラムの作成および各工程間の物質輸送や温度制御を最適化するための制御システムの設計)
従来の技術では、発酵乳中のブルガリア菌数や菌体外多糖の量を増やす目的で原料乳の組成を変更することが必要でした。
これに対して、無脂乳固形分を9%以上含む培地でブルガリア菌とサーモフィラス菌を添加し、次に、培地の温度を35℃以上かつpHが4.2以下になるまで9時間以上培養することで、乳酸菌を定常期の中盤から後半まで培養し、発酵能力を引き出し、このスターターを原料乳に添加することで原料乳の組成を変更することなく、ブルガリア菌の菌数と菌体外多糖の生産量も増やすことができる乳酸菌スターターの調製方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7141475/15/ja
関連する専門分野の例:微生物学(培地の組成(無脂乳固形分濃度、糖組成など)や培養条件(温度、pH、培養時間など)がブルガリア菌やサーモフィラス菌の増殖速度、生存率および菌体外多糖の産生量に与える影響の評価、菌株間の共生関係の解析および最適な菌株の組み合わせと比率の決定)、生化学(ブルガリア菌やサーモフィラス菌が生産する菌体外多糖(EPS)の化学構造と物理的特性(分子量、分岐構造など)の解析、培養条件(pH、培地の濃度)がEPSの合成酵素の活性や遺伝子発現に与える影響の評価、高効率で特定の特性を持つEPSを生産するための分子メカニズムの解明)
具体例として腸管感染性1本鎖RNAウイルスの増殖を抑制するための組成物が挙げられます。
従来の抗ウイルス薬は少数しか開発されておらず、ノロウイルスに対する治療法は対症療法に限られ、簡便な抗ウイルス作用を有する食品素材は報告されていませんでした。
これに対して、Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus OLL1073R-1が産生する菌体外多糖を有効成分とすることで、この菌体外多糖はノロウイルスをはじめとする腸管感染性1本鎖RNAウイルスの増殖を抑制する作用を持ち、ウイルス感染を感知するセンサーであるRIG-IおよびMDA5を活性化し、抗ウイルスタンパク質であるIFN-βの産生を促進するため、発酵乳のような飲食品としての日常的な摂取により長期間にわたるウイルス感染症の予防や感染初期におけるウイルス増殖の抑制による症状の軽減に効果を有するが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7529394/15/ja
関連する専門分野の例:分子生物学(菌体外多糖(EPS)がRIG-IやMDA5といったウイルスセンサーにどのように結合しシグナル伝達経路を活性化する解明、EPS刺激下でのRIG-I/MDA5-MAVS-IRF3/7経路のリン酸化状態や下流のIFN-β遺伝子の転写活性の評価)、免疫学(腸管のパイエル板や腸間膜リンパ節の免疫細胞(マクロファージ、T細胞、NK細胞など)におけるEPSの作用の評価、EPS摂取後の腸管における免疫細胞の活性化状態、サイトカイン(IFN-β、IL-6など)の産生プロファイルおよびウイルス感染に対する防御応答の解析)
従来の口腔ケア製品ではがん患者の口腔合併症を十分に予防・治療できず、特に茶カテキン使用では苦味が強く、頻繁な使用が患者の負担でした。
これに対して、茶抽出物(茶カテキン)、増粘多糖類および保湿剤を含有し、特定の用法・用量で使用(放射線療法または化学療法を実施する前から単位時間あたり口腔内の茶カテキン濃度が1~100μg/cm²となるように使用)されることにより、カテキンが口腔内に効率的に滞留し、低濃度であっても持続的に抗酸化作用と選択的な抗菌作用を発揮することができ、また、増粘多糖類と保湿剤の組み合わせにより高濃度のカテキンを用いる必要がないため味覚刺激や苦味が抑制され、がん患者のQOLを維持しながら口腔粘膜炎などの口腔合併症を予防・治療・緩和する口腔ケア用組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6779871/15/ja
関連する専門分野の例:薬理学(がん治療で生じる活性酸素種(ROS)が口腔粘膜細胞に与える酸化ストレスの再現およびカテキンがROSを消去するメカニズムや炎症性サイトカインの産生を抑制するシグナル伝達経路の分析、カテキンの投与量と口腔粘膜の炎症度(潰瘍面積など)の相関関係の評価および最適な薬効濃度と投与スケジュールを特定)、製剤学(茶カテキンの酸化を抑制するために抗酸化剤の種類と配合量の検討および長期保存における安定性の評価、増粘多糖類と保湿剤の組み合わせをさまざまな比率で調製および粘度、付着性、有効成分が長時間口腔内に留まる最適なジェルまたは軟膏の形態の確立)
具体例として飲食品にとろみを付与し飲食品の飲み込みやすさを改善するための組成物が挙げられます。
従来の増粘剤はとろみを強くすると口や喉に残りやすく、かえって飲み込みにくくなる問題がありました。
これに対して、第1の増粘剤としてスクシノグリカンガムを、第2の増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを、30:70から60:40の特定の質量比で含み、この増粘剤の組み合わせは低いずり速度(Dが0.1〜100s⁻¹)では粘度が低く、高いずり速度(Dが100〜1000s⁻¹)では粘度が高くなるという、ずり速度に依存した流動特性(非ニュートン粘性指数nがDが0.1〜1s⁻¹の範囲a、Dが1〜100s⁻¹の範囲b、Dが100〜1000s⁻¹の範囲cにおいてb/aが0.9以下かつc/bが1.1以上という特定の関係)を示す技術構成により、口の中では抵抗が少なくサラサラとした感覚でありながら嚥下時に速いずり速度がかかると高い粘度を発揮するため誤嚥防止に効果があり、飲み込みやすさが改善された組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7717046/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(スシノグリカンガムとカルボキシメチルセルロースの混合比率や総濃度を変えた場合の速度条件下での粘度測定および非ニュートン粘性指数nの算出、特定の流動特性(b/a≦0.9、c/b≧1.1)が飲み込みやすさの官能評価スコアとどのように関連するかの解析および最適な増粘剤の組み合わせの導出)、高分子化学(スクシノグリカンガムとカルボキシメチルセルロースが水中で形成する高分子ネットワークの構造の観察、両増粘剤の官能基がどのように相互作用して特定の流動特性を生み出しているのかの分子レベルでの解析および新規な増粘剤の組み合わせの設計)
従来の増粘剤は水に加えると塊になりやすく溶解に時間がかかるため介護者が使用する際に手間がかかっていました。
これに対して、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースおよびマルトデキストリンの粉末を最初に混合(ドライブレンド)する工程(a)と、この混合物をカルシウム塩の水溶液と接触させて第1凝集体を形成する工程(b)、この第1凝集体をマルトデキストリンの水溶液と接触させて第2凝集体を形成する工程(c)、第2凝集体を回収する工程(d)を含む2段階凝集プロセスによって製造することで、まずカルシウム塩が親水コロイドの水和を一時的に遅延させ、次にマルトデキストリンが粒子同士を凝集させて粒径を大きくすることにより、水に加えた際に粒子が互いにくっついて塊になるのを防ぎ、素早い分散と溶解を可能にする易分散性親水コロイド組成物の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7599474/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(粘度測定や複数の被験者グループ(健常者、嚥下困難者)を対象にした官能評価試験の実施、分散後の溶液の均一性、口当たり、喉ごし、み込みやすさなどのスコア化およびそれらの評価が組成物の物理的特性(例:バルク密度、粒径分布)とどのように関連するかの解析)、化学工学(流動層内の空気流速、噴霧速度、温度および湿度などのプロセスパラメータが粒子の凝集、乾燥および最終的な粒径分布に与える影響のシミュレーション、カルシウム塩やマルトデキストリン溶液の濃度、噴霧量および噴霧タイミングの最適化、工業規模での安定した生産を可能にするための制御ロジックの確立)
具体例として冷凍菓子又は冷凍菓子ミックスが挙げられます。
従来のココアパウダーなどを用いたカカオ入り冷凍菓子は製造過程でミックスの粘度が高くなり作業性が低下し、さらに風味に苦味や渋味が強く出てしまうという問題がありました。
これに対して、カカオ豆を水分の存在する条件下で加熱(湿式加熱)した後、特定の粒度分布を保つように粉砕された細胞膜が破砕されていない未破砕のカカオ豆細胞を豊富に含み、油分が細胞内に閉じ込められているため遊離脂肪酸が少なく、また高吸水性を持つ成分が露出していないため冷凍菓子ミックスに配合されても過度な増粘が起こらず製造時の作業性が向上し、細胞内にポリフェノールが保持されるため、苦味や渋味といった不快な風味が抑えられて良好な風味が保たれる冷凍菓子が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7711175/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(カカオ組成物の粒度や湿式加熱条件を変えたサンプルの調製およびミックスの粘度変化の評価、製造後の冷凍菓子中の氷結晶サイズや空気泡の構造の観察による食感との相関の解明、専門パネルや消費者テストを通じた苦味や滑らかさなどの官能特性の評価および製品の品質基準の策定)、化学工学(ボイルや蒸煮といった湿式加熱工程における温度、圧力および時間の制御がカカオ豆の軟化度合い(破断強度)やポリフェノール残存率に与える影響の解析、連続式の湿式加熱・粉砕装置の設計、原料投入量、熱供給量および粉砕機の運転条件(回転数、スクリーンサイズなど)といったパラメータの調整による均一な品質を持つカカオ組成物を効率的に大量生産するためのプロセスフローの設計)
具体例としてバルクスターターの製造方法が挙げられます。
従来の技術では、発酵乳製造に使うバルクスターターの保存期間を延ばすため培養後の培地を急激に冷却していました。しかし、この急冷処理では乳酸菌にダメージが生じ、バルクスターターの発酵力が低下し、使用可能期間が5日程度に限定されるという問題がありました。
これに対して、乳成分培地と乳酸菌スターターを培養した後、最終的な冷蔵保存(10℃以下)の前に20〜30℃の温度で1時間以上保持する工程(温度保持工程)という中間的な冷却ステップを設けることで乳酸菌の低温耐性を高め、活力を維持・向上させることが可能となり、従来は5日が限界だったバルクスターターの保存可能日数を延長でき、発酵力の低下を抑制できるバルクスターターの製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6886793/15/ja
関連する専門分野の例:微生物学(乳酸菌の生理学的応答の解析、温度保持工程が菌の代謝や生存率に与える影響の評価、温度保持工程中の乳酸菌のストレス応答遺伝子の発現量(ヒートショックプロテインなど)や細胞膜の流動性、EPS合成酵素の活性変化の調査および最適な温度・時間条件の確立、異なる乳酸菌株(ブルガリア菌、サーモフィルス菌など)ごとの最適な保持条件の特定)、化学工学(培地の冷却速度を制御するための冷却ジャケットの熱伝達率や冷却水流量の最適化、攪拌条件が培地内の温度均一性や乳酸菌への物理的ストレスに与える影響の解析、設備投資を最小限に抑えつつ品質を安定させるための運転条件の提案)
具体例として食品の咀嚼過程における物性を評価する方法が挙げられます。
従来の食品物性評価技術は口腔内の状況を再現しておらず、実際の食感(官能評価)と計測結果が一致しないという問題がありました。
これに対して、咬合する治具の少なくとも一方を垂直方向の往復直線運動に加え、回転方向の往復回転運動もさせることにより、実際の咀嚼における上下運動と舌による擦りつぶし・混ぜ合わせ運動を同時に再現し、さらに圧力を空圧以外の手段で制御し、力やトルクなどの物理量を計測することで食品の性状変化を正確に捉えて実際の食感により近い物性評価を可能にし、官能評価との高い相関性を有するデータを取得できる食品の物性評価方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7665023/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(治具の往復直線運動と往復回転運動を連動させるための駆動機構(モーター、ギア、カムなど)の設計および動作を高精度で制御するシステムの構築、食品にかかる力やトルクを正確に計測するための6軸センサの選定と配置ならびにデータのキャリブレーション手法の確立)、食品科学(チョコレートの溶解速度や粘度変化、グミの弾力性や噛み切りやすさなどを評価装置で計測される物理量(力積、トルクなど)のプロファイルと関連付け、唾液の組成や温度などの口腔内環境要因が食品の性状変化に与える影響の系統的な分析、装置のシミュレーション条件の最適化および官能評価との高い一致度の検証)
(3)森永製菓|開発トレンドと専門性

A23Gが最も多いです。次いでA23L、A61Kが多いです。
具体例としてモナカアイスなどの複合冷菓が挙げられます。
従来の複合冷菓は冷凍保存中にクリームの水分が昇華して吸湿性容器(モナカ皮など)に移行し、容器のパリパリとした食感が失われる問題がありました。
これに対して、2つの吸湿性可食容器でクリーム部を挟み、その容器の隙間から露出しているクリーム部に低温で固化する油脂組成物からなる被覆層が直接形成され、この被覆層はクリームの風味を損なわないよう露出部分にのみ塗布されることで昇華による水分移行を防ぎ、長期間に容器のサクサクとした食感を保つ複合冷菓が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6876859/15/ja
関連する専門分野の例:生化学(脂組成物に含まれる脂肪酸や乳化剤が低温環境下でのクリームの水分移動や氷結晶の成長にどのように影響するかの分析、被覆層が口中で溶ける速度とそれが味覚やテクスチャーに与える影響の評価および嗜好性を高めるための改良)、機械工学(クリームの特定の箇所にのみ油脂組成物を正確に塗布する装置の設計、ノズルからクリームを吐出するタイミングと同期させてクリームの側面部分にだけ油脂組成物を噴射または塗布する精密なロボットアームや自動制御システムの構築)
従来のチョコレートコーチングはカカオ原料の含有量が少なく、特に冷凍食品として喫食される場合、カカオ風味が感じられにくいという問題がありました。
これに対して、カカオ豆を熱風でローストする際に表面と中心の温度に差をつける製造方法、具体的にはカカオ豆の表面温度を130~150℃に保ちながら中心温度を表面温度より10~20℃低く維持することにより、表面では強い焙煎香(ピラジン類)が生成される一方で中心部ではカカオ本来の甘い風味(イソ吉草酸など)が保たれる成分のバランスにより、少量でも濃厚で質の良いカカオ風味を油中水型食品に付与することが可能となるカカオ原料の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6675025/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(ロースト条件(温度、時間)とテオブロミン、ピラジン類、イソ吉草酸、酢酸2-フェニルエチルなどの風味成分の生成量との相関関係の評価、特定の風味プロファイルを持つカカオ原料を効率的に製造するための化学的条件の最適化)、機械工学(カカオ豆の熱伝導率や比熱および熱風の対流・輻射伝熱の特性を考慮した熱流体シミュレーションモデルの構築、熱風の流量、温度、加熱時間などを変動させた際の表面・中心温度の挙動の予測、所望の温度プロファイルを再現するための工業的スケールのロースト装置の設計)
従来の焼成チョコレート菓子はチョコレート生地を焼成する際に熱によって生地が溶けてしまい、焼きダレや型崩れが発生するという問題がありました。
これに対して、特定の粒径と含有量を持つ固形物と具材をチョコレート生地に配合することで焼成中の保形性を高める方法、具体的には平均粒径が0.05~0.5mmのチョコレート生地由来の固形物と平均粒径0.07~10mmの具材を合計5~60%の質量で生地に含ませることにより、固形物と具材が生地の骨格を形成し、焼成中に生地が液状化するのを物理的に防ぐことで焼きダレを抑制し、意図した形状を維持した焼成菓子を製造することが可能な製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6942773/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(チョコレート生地の融解挙動の評価、固形物や具材の含有量が生地の融点や粘度に与える影響の分析、生地中の油分の移行の追跡および具材の吸油性が焼きダレにどう貢献するかの解明)、材料工学(チョコレート生地中の固形物および具材の粒度分布、形状および空間的配置の3D可視化、生地内部の骨格構造が熱膨張やせん断応力にどう抵抗するかのシミュレーション、焼きダレを最小限に抑えるための理想的な粒径や配合比率の設計)
具体例としてタンパク質とマグネシウムを特定の割合で含む中性ゼリー食品が挙げられます。
従来のタンパク質含有ゼリー食品は多くがpH3〜4の酸性域であり、中性域の製品開発が求められていました。しかし、タンパク質を高濃度で含む中性ゼリーはゲル化不良やザラつきなど品質上の問題が生じるという問題がありました。
これに対して、分解処理されたタンパク質を10質量%以上、マグネシウムを100gあたり15mg以上含有し、さらに品温20℃でのpHが5〜8の中性域に調整されることで、ゲル強度と滑らかな食感を両立させ、タンパク質高配合でもゲル化が良好でなめらかな食感を持つ中性ゼリー食品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7576144/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(タンパク質溶液にマグネシウムイオンを添加した際の粘度変化やゾル-ゲル転移の測定、マグネシウムの濃度や塩の種類がタンパク質の立体構造、溶解度、凝集状態にどのように影響するかの解析)、栄養学(製品を摂取した後の血中アミノ酸やミネラル濃度の推移を測定する臨床試験の実施およびタンパク質の消化吸収率やマグネシウムの生体利用能の検証、ターゲットとする消費者のニーズに合致した栄養バランスの設計)
従来、ビタミンB2とリモニンやナリンギンなどの苦味成分を一緒に配合すると個々の成分単独の場合よりも苦味が相乗的に強まるという問題がありました。
これに対して、ビタミンB2を7.7ppm以上20ppm以下、特定の苦味成分を所定の濃度で含んだ飲食品にポリグリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどの特定の乳化剤を10ppm以上添加されることで、苦味の相乗効果を抑制し、機能性成分を豊富に含みながら不快な苦味のない飲みやすい飲食品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7575877/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(苦味成分、ビタミンB2および特定の乳化剤の分子構造と相互作用の分析および苦味抑制のメカニズムを分子レベルで解明、NMRなどの分析手法により乳化剤の分子が苦味成分やビタミンB2とどのように結合・包接しているのか、あるいは味覚受容体との相互作用をどのように阻害しているのか分析、効果的な乳化剤の設計指針の構築)、食品科学(さまざまな乳化剤の種類や濃度、pH、温度といった製造プロセス条件における体系的な味覚評価の実施、時間の経過に伴う苦味の再発や成分の劣化の評価、製品の長期的な品質を保証するための安定性試験)
既存のゼリー状飲食品はジェランガムなどの増粘剤を含むため、加温して長時間保管すると焦げ臭などの不快な加熱臭が発生するという問題がありました。
これに対して、増粘剤を含有するゼリー状飲食品に香辛料加工物やハーブエキスなどが有効成分として添加されることで増粘剤に起因する加熱臭を抑制し、消費者が温かい状態で美味しく喫食できるゼリー状飲食品の加熱臭抑制剤が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7355494/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(香辛料やハーブ由来の加熱臭抑制成分(例: ショウガオール、ジンゲロール、オイゲノール)の分子構造の解析およびこれらの分子が加熱時の増粘剤の分解反応にどのように影響を与えるかの解明、加熱によって生成される揮発性化合物の特定)、生化学(ヒトの味覚受容体や嗅覚受容体が加熱臭や有効成分の分子をどのように認識するのかの解明、特定の受容体(例: Gタンパク質共役型受容体)と加熱臭成分や有効成分との結合親和性の測定、有効成分が受容体をブロックすることで不快な風味の知覚を抑制する生物学的プロセスの実証)
具体例としてチョコレートからなる服薬補助剤が挙げられます。
従来の服薬補助剤は医薬品と一体化しているか、またはお湯や牛乳で溶かす必要があり、汎用性や手軽さに欠けるという問題がありました。
これに対して、10〜40℃の温度範囲で固体脂含量1〜40%、粘度50〜500ポイズに調整されたチョコレートからなり、粉末、細粒、顆粒、錠剤、液剤といったさまざまな形状の薬と容易に混ぜることができ、また口腔内を素早くマスキングして薬の不快な味を隠すことにより、季節を問わず薬を抵抗なくかつ容易に服用できる服薬補助剤が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6669966/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(チョコレート服薬補助剤の製造プロセス全体の設計および品質の均一性と生産効率の最適化、カカオバターや代替油脂、乳化剤、糖質などの原料の最適な混合・分散条件の決定、加熱、冷却、固化といった各製造工程における温度や時間、剪断速度などのパラメータの制御および狙いとする固体脂含量と粘度を安定的に実現するスケールアップ技術の確立)、薬学(服薬補助剤が薬物の吸収速度や生体内利用率に与える影響をin vitroおよびin vivoの試験で解析、服薬補助剤の成分と薬物の間で化学的な相互作用や安定性の問題が発生しないかの検証、小児や高齢者といった嚥下困難者への適用における安全性の評価)
(4)ロッテ|開発トレンドと専門性

A23Gが最も多いです。次いでB65D、A61K、A23Lが多いです。
具体例として風船ガム用ガムベース(チューインガムの骨格となる噛んでも溶けない非可食性の基材)が挙げられます。
従来の風船ガム用ガムベースは高重合度の酢酸ビニル樹脂を単独で用いると製造が難しく、低重合度の樹脂を併用すると風船の皮膜強度が低下するという問題がありました。
これに対して、重合度500未満の酢酸ビニル樹脂を含まず、代わりに重合度750以上の高重合度酢酸ビニル樹脂12~15重量%、重合度500~750の酢酸ビニル樹脂10~20重量%、天然ゴムが特定の比率で配合されることより、製造工程での混和性や流動性を高めつつ咀嚼後のガムの含水率を向上させ、破れにくい風船の皮膜形成を可能にする風船ガム用ガムベースが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7387935/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(酢酸ビニル樹脂、天然ゴム、その他の高分子添加剤の分子量分布、重合度、化学構造がガムベースの物性に与える影響の解析、原料樹脂の高分子鎖の絡み合いや相互作用がガムベースの粘弾性や成形性、風船ガムの膨張容積や皮膜強度にどう影響するかの解析)、材料科学(酢酸ビニル樹脂と天然ゴムの複合材料としての特性評価、ガムベース中の各成分の分散状態や相分離構造の特定、咀嚼過程でのガムの変形挙動や応力緩和特性の評価、理想的なかみ心地と膨らみやすさを両立させるための材料設計)
従来の冷菓では、保形性を高めるためにゼラチンを多く配合すると製造ラインのエージング工程中に冷菓ミックスがゲル化し、大量生産が困難になる問題がありました。
これに対して、ゼラチン含量0.35〜0.47質量%、大豆多糖類含量0.3〜0.4質量%に調整されることにより、エージング中にゲル化することなく既存の製造ラインで円滑に製造することが可能になる冷菓が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7426428/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(冷菓ミックス中のゼラチンと大豆多糖類が混合物の特性や最終製品の物性に与える相互作用の解析、エージング中のミックスの粘度変化をリアルタイムで測定してゲル化の臨界点の特定、溶融時の氷結晶や気泡構造の変化に基づく口どけやフレーバーリリースといった官能特性との相関関係の評価)、化学工学(冷菓ミックスの組成と製造プロセスパラメータ(温度、時間、流量など)の関係のモデル化および製品の大量生産に適した製造条件の最適化、エージングタンクの熱伝達と物質移動のシミュレーション、ゲル化リスクを最小化する冷却設計、フリージング工程における最適なオーバーラン率を求めるためのプロセス制御ロジックの構築、保形性と官能特性を両立させた安定的な製造プロセスの確立)
従来の植物性ミルクを使用したチョコレートは植物由来の穀物臭やコクの不足といった風味の問題を抱えていました。
これに対して、植物性ミルク固形分を5〜15重量%含むチョコレートにおいて、微粒化工程を経た後の粒子径が、湿式法によるレーザ回折・散乱方式で測定した体積平均径が10µm以下かつ90%通過径が20µm以下になるように調整されることで、植物性ミルク由来の風味をカカオや砂糖の粒子がマスキングし、ざらつきのない口当たりとコクのある風味を持つチョコレートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7350209/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(植物性ミルクに含まれる特定のタンパク質や脂質がカカオの香味成分(例:ピラジン類、アルデヒド類)と反応して穀物臭を形成するメカニズムの解明、ココアバターの結晶化挙動に与える影響の評価、滑らかな口溶けを実現するための分子設計)、機械工学(リファイナーやボールミルの内部流動、粉砕刃と粒子の相互作用の解析、エネルギー効率を最大化しつつ所望の粒子径分布を得るための最適な機械的パラメータの導出)
具体例として包装容器が挙げられます。
従来のジッパー式包装容器は開封時にジッパー部分がゴミとして発生したり、容器から完全に分離しないと再封が難しくなったりする問題がありました。
これに対して、正面板に一体化した蓋板と差込片が設けられ、その差込片を背面板の特定の押圧部に接着して封緘する構造であり、この押圧部は上部の接着領域と下部の押圧領域から成り、指で押すことで押圧部全体が背面板から切り離され、差込片と共に一体となって蓋が開く仕組みになっていることにより、開封時にゴミが出ず、かつ、蓋板を差し込むだけで再封できる包装容器が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7510851/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(不連続な切断線や押曲線部分の紙の繊維構造の解析および押圧時の破断挙動のモデル化、接着剤の種類や塗布量の最適化、封緘時の十分な接着強度と開封時のスムーズな剥離・破断を両立させるための材料設計)、機械工学(押圧部、切断線、押曲線の形状や寸法の設計、押圧部を指で押した際の応力分布や変形のシミュレーション、開封に必要な力の定量的予測、ユニバーサルデザインの観点から誰もが簡単に開封できる最適な構造の導出)
従来のフック陳列用の化粧箱はフックに吊り下げた状態で中身の商品を取り出すことができず、また、商品が重いと重心が前方に偏り、箱全体が前傾してしまう問題がありました。
これに対して、正面視が長方形状の背面板と、その上縁に折り線で連設された上面板を有し、この上面板は背面板の後方へ折り曲げられて一定の空間を空けて背面板の裏面と対向し、その先端を背面板に固定するフラップ板が含まれており、さらに背面板と上面板にはそれぞれフックを通すための小孔が設けられており、上面板が後方へ折り返されて固定された状態ではこれら2つの小孔が正面視で一部重なり合うように配置される構成により、フックが2つの小孔で保持されることで箱の前傾が防止され、上面板が開放されるためフックに掛けたまま商品を取り出すことができるフック掛化粧箱が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7370243/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(化粧箱に使用される板紙の物理的特性(例:引張強度、曲げ剛性、耐圧縮性)の解析、小孔の縁や折り線部分の応力集中の評価および破れにくい最適な紙厚や繊維方向の特定、上面板を後方に折り返した際の形状保持性を向上させるための補助折り線の種類や配置の検証)、工業デザイン(化粧箱全体の安定性と力の伝達の解析、フックに吊り下げた際の重力やフックからの反力による箱全体のモーメントの計算、前傾を防ぐための最適な重心位置や小孔の配置の決定、さまざまな荷重条件やフックの形状に対する箱の変形の予測および安全で安定した陳列を可能にする設計)
具体例として舌苔を除去する発泡性の口腔洗浄固形製剤が挙げられます。
従来の舌苔除去剤は酵素による分解で効果発現に時間を要したり、物理的除去では効果が不十分であったりしました。
これに対して、ミカン科植物等由来の不溶性植物繊維と炭酸塩、甜茶抽出物、酸化酵素を特定の重量%で含む構成により、舌上で作用させるとまず不溶性植物繊維の微細な突起が舌苔を物理的に掻き出し、同時に炭酸塩が発泡して舌苔を口腔から分離・回収し、発泡効果の相乗作用により口臭の主な原因である舌苔を除去する口腔洗浄固形製剤が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5860509/15/ja
関連する専門分野の例:薬学(製剤中の各成分(不溶性植物繊維、炭酸塩、酸化酵素など)が口腔内でどのような速度と様式で溶解・作用するかの解析および最適な製剤設計、インビトロ(試験管内)での発泡速度やpH変化の測定およびヒト被験者を用いた臨床試験による各成分の放出プロファイルの評価、口臭の原因物質(揮発性硫黄化合物など)の濃度変化の測定および製剤の即効性や持続性の証明)、食品工学(不溶性植物繊維や炭酸塩を含む固形製剤の製造プロセスの最適化、粉砕や混合、錠剤成形、乾燥などの各工程における温度、圧力、水分量などのパラメータが繊維の粒度分布や炭酸塩の発泡能に与える影響の評価、有効成分が適切に作用して消費者が好む使用感(好ましい感触、清涼感)と風味を持つ製品を安定的に大量生産できる技術の確立)
具体例としてステイン除去効果を持つ食品が挙げられます。
従来の歯のホワイトニング法は歯にダメージを与えたり時間的制約があったりする問題がありました。
これに対して、特定の重量%のメタリン酸ナトリウムとキシリトールを含有することにより、メタリン酸ナトリウムが歯の表面に付着したステイン(着色汚れ)をイオン交換作用によって剥がし、同時にキシリトールがメタリン酸ナトリウム特有のえぐみや不快な刺激感をマスキングして味を整えるため、歯を傷つけることなく、手軽に日常生活の中でステインを除去できる食品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6873083/15/ja
関連する専門分野の例:食品化学(メタリン酸ナトリウムとキシリトールの配合が食品の物理化学的特性や味覚に与える影響の解析、溶液中のpH、イオン濃度、味覚物質との相互作用の評価およびメタリン酸ナトリウムのステイン除去効果が最適に発揮される条件をの解明、キシリトールがメタリン酸ナトリウムの不快な風味をマスキングするメカニズムの解明および最適な配合比率と製造条件の確立)、歯科学(メタリン酸ナトリウムによるステイン除去効果の実証、口腔内の唾液成分やpH変化がメタリン酸ナトリウムの作用に与える影響の臨床的調査)
(5)日清食品|開発トレンドと専門性

A23Lが最も多いです。次いでB65D、A47J、Ⅽ12N、A21Ⅽが多いです。
具体例として穀物風粒状物の添加剤が挙げられます。
従来の米状食品はカロリーや栄養素を調整できる一方で炊飯後の保温や冷凍・解凍によって、つやがなくなり白っぽくなる外観の悪化や通常の米と異なる食感、風味になるという問題がありました。
これに対して、高アミロース米由来デンプンと難消化性デンプンを主成分とする米状粒状物に用いる品質改良剤であって、DE値0〜20の物質を50〜100重量%で含有し、炊飯時の添加により粒状物の表面がコーティングされて水分の蒸発や成分の流出が抑制され、保温や冷凍後でもつやや透明感が維持されて白ボケを改善し、通常の米に近い外観と食感、風味を保つことが可能になる添加剤が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7612738/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(品質改良剤中のDE値0〜20の物質が炊飯中の米状粒状物とどのように相互作用して表面をコーティングするのかという物理化学的メカニズムの解明、デンプンの糊化特性や老化の分析、炊飯後の粒状物の表面構造に基づく添加剤によるコーティング効果の検証)、応用生物学(難消化性デンプンがヒトの消化器系でどのように振る舞い摂取カロリーの低減や生理機能にどのような影響を与えるかの評価、in vitro(試験管内)で消化酵素による分解耐性の確認、動物実験やヒトの臨床試験を通じた血糖値の上昇抑制効果や腸内環境への影響の検証)
従来、高血圧予防などの観点から食塩摂取を減らすニーズがある一方、減塩すると風味が損なわれがちでした。また、食塩の代替として使用される塩化カリウムには独特の苦味やえぐみがあるため、そのままでは十分に食塩の代わりにはなりませんでした。
これに対して、特定の濃度範囲(1ppb~1ppm)のペルーバルサム精油と塩化カリウムを組み合わせることにより、塩化カリウム特有の不快な風味を抑制しつつ飲食品の塩味を増強した塩味増強剤が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7717743/15/ja
関連する専門分野の例:薬化学(ペルーバルサム精油の成分が味覚受容体やイオンチャネルにどのように作用するかの解析、ペルーバルサム精油の主要な活性成分(例:シンナム酸エステル類)が舌の塩味受容体や苦味受容体とどのように相互作用するかの検証、塩味増強と苦味抑制のメカニズムの解明)、有機化学(ペルーバルサム精油の複雑な成分を分離・同定および塩味増強効果に寄与する化合物の特定、精油中の微量成分の分析、特定された化合物の合成と純粋な状態での効果の再評価による品質改良剤の再現性と安定性の確保)
従来の冷凍麺類は電子レンジ調理後に別途スープを準備する必要があり、また、とろみのあるスープは人工的な食感になりがちでした。
これに対して、加熱調理済みの主食材の上面に特定の澱粉含有量(25重量%以下)と重量比(3〜20重量%)の油脂-澱粉混合液が被覆され、その上に特定の粘度(5Pa・s以上)と重量比(25〜75重量%)の濃縮液体スープが積載され、これらが一体で冷凍されることにより、電子レンジ調理時に澱粉が過度に糊化することなく熱湯を注ぐことで自然で滑らかなとろみが発現する冷凍食品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7564846/15/ja
関連する専門分野の例:食品工学(冷凍食品の製造プロセス全体における物質移動と熱移動の挙動の解析、主食材、油脂-澱粉混合液、濃縮液体スープの各層の水分活性や凍結特性の測定および電子レンジ加熱時の水分の蒸発・移動が各層の物性(特に粘度)に与える影響の評価、製造から最終調理に至るまでのダマの発生を抑制して安定した品質を確保するための製造パラメータの決定)、化学工学(異なる物性を持つ原材料(油脂-澱粉混合液、濃縮液体スープ)の混合・充填プロセスの設計、各液体の粘度、密度、表面張力といった物理的性質を考慮したポンプ、ノズルおよび充填装置の選定と最適化、冷凍・解凍・再加熱といった一連の工程における各層の物質移動(例:水分の移動)と熱移動(例:加熱むら)のモデル化および製品の均一性を保つためのプロセス制御条件の確立)
従来の冷凍麺は茹でた麺を急速冷却することで風味を損なうか、冷却を怠ると冷凍機に過大な負荷をかけてしまうという問題がありました。
これに対して、茹で時間を短縮して調理後よりも水分量が少ない茹で麺を作製し、次に、その表面に水を付着させて30〜60℃に温度を調整し、茹で処理終了から120秒以内に麺と水を含む氷塊を凍結用容器に充填して凍結処理を開始することにより氷塊が麺の粗熱を吸収するため冷凍機の負担を軽減し、生産性を向上でき、また、水洗冷却をおこなわないことで麺本来の風味を保ち調理時に氷塊が溶けて麺に水分を供給することで茹でたてに近い食感と風味が再現可能な冷凍麺の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7665468/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(茹で時間短縮がデンプンの糊化度合いに与える影響の分析および最適な糊化率の特定、麺表面のタンパク質や色素、風味成分が水付着や凍結によってどのように変化するかの評価および熱湯を注いだ際の風味の回復メカニズムの解明、最適な製造条件の確立)、機械工学(麺、水、氷塊それぞれの熱容量と熱伝達率を考慮に入れたシミュレーションモデルの構築、充填後の麺の温度変化の予測、冷凍機に入る前の麺の温度が適切な範囲に収まるよう水付着工程や充填工程における処理時間、水温、氷塊の重量比などの決定、冷凍機への負荷を最小限に抑えつつ安定した品質で大量生産できるシステムの構築)
具体例として包装箱のブランクシートが挙げられます。
従来の包装箱は結束バンドの食い込みやエッジ切れが問題でしたが、その対策としての面取り加工は自動製函装置での製造不良の原因となっていました。
これに対して、主罫線に加えて包装箱の内面側にのみ補助罫線が設けられ、外面側には補助罫線に対応する位置にミシン目が設けた構成により、自動製函装置での組立ての際には主罫線に力が集中して製函不良が起こりにくく、結束バンドで締める際にはミシン目と補助罫線が機能して意図した通りに面取り部が形成されるため、結束バンドによる食い込みやエッジ切れを防止できるブランクシートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7479890/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(段ボールのライナー(表裏の紙)と中芯(波状の紙)の厚みや材質(パルプの種類、繊維の方向性)が罫線加工やミシン目加工時の破断抵抗および結束時の圧縮強度に与える影響の評価、湿度や温度といった環境変化が段ボールの剛性に及ぼす影響の試験およびエッジ切れを確実に防止できる最小限の材料強度の決定)、機械工学(自動製函装置での折り曲げ時に主罫線に力が集中するメカニズムの解析、結束バンドの張力が面取り部に集中し段ボールが変形してエッジ切れを防ぐ挙動の解析およびその物理的な限界の評価、製造不良を最小限に抑えつつ最大限の結束強度を発揮できる装置の制御パラメータの決定)
従来の包装容器は硬い蓋材をハーフカットで折り曲げるため、開封に力が必要で内容物が勢いよく飛び出す恐れがありました。また、注出口が小さく固形物を含む内容物が詰まりやすいという問題もありました。
これに対して、可撓性シートの蓋材と、稜部によって仕切られた収容部を持つ容器本体からなる包装容器であり、稜部の一端に突出部が設けられ、その突出部に対応する蓋材に開封線を設けられた構成により、蓋材が柔らかいため弱い力でも容易に折り曲げることができ、手を汚さずに内容物を押し出せ、また、開封線の設置により固形物の大きさに合わせて注出口を大きくできて内容物が詰まるのを防ぐことができる包装容器が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7047163/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(可撓性シートの蓋材として開封に必要な力が最小限で済むような引裂き強度と柔軟性を有するポリマーブレンドの探索、容器本体の成形性やフランジ部と蓋材の接着強度を確保するための材料選定、内容物の種類に応じたガスバリア性を付与するために多層フィルムの積層構成の設計)、人間工学(ユーザーの指の力や握力の測定による容器を折り曲げるのに必要な力の定量化、開封操作のしやすさや内容物を注出する際の容器の安定性や手が汚れないかといった操作性の評価、突出部の形状や開封用舌片の位置、開封線の引き裂き特性などの評価、改良)
具体例として短い麺線などの粒状フライ食品を製造するフライヤー装置が挙げられます。
従来のフライヤーでは短い麺線などの粒状食品を揚げると、互いに結着して塊状になってしまい、内部に火が通らない部分が発生する問題がありました。
これに対して、原料を投入する原料供給機構、フライ油を循環・再加熱する熱交換機、食品を移送するユニークな移送機構を備えた装置であり、フライ食品をまず油面に浮かせて移送する第一移送機構と、それに続けて油中に浸漬させて移送する第二移送機構を有し、フライ油循環機構によりフライ油槽の底部から油を噴出させることで第一移送機構での食品の相互位置を乱して結着を防ぎつつ均一にフライすることを可能にし、フライ後の食品をバラけた状態で効率的に製造できるフライヤー装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6999008/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(フライ油と食品の間で起こる熱・物質移動プロセスの解析および装置全体のエネルギー効率と製品品質の最適化、フライ油の噴射によって生じる油槽内の流動パターンのモデル化、熱交換器から供給される高温の油が食品のフライにどのように影響するかの評価、製品のサクサク感や風味を最大限に引き出すための最適なフライ温度と時間の決定)、機械工学(フライ装置全体の物理的な構成要素の設計、フライ油の循環機構において底部から油を均一に噴射させるためのノズルや配管の配置の設計、食品移送機構(コンベア、パドル)の形状や速度の最適化、食品が結着することなくスムーズに第一移送機構から第二移送機構へ移行できる搬送システムの構築)
具体例として育毛・発毛効果を有する特定の乳酸菌株が挙げられます。
従来の育毛技術は植物抽出物などを用いていましたが、育毛効果が不明瞭なものが多く、より効果的な成分が求められていました。
これに対して、新規に分離・同定されたラクトバチルス・プランタラムN793株(NITE BP-03233)という特定の乳酸菌株(この乳酸菌株やその培養液または発酵産物は毛髪の成長に不可欠な毛乳頭細胞を活性化する能力(毛乳頭細胞賦活能)と毛母細胞の増殖を促すケラチノサイト増殖因子の産生を促進する能力を他の乳酸菌株と比較して高く有する)を配合した飲食品や医薬品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-068040/11/ja
関連する専門分野の例:微生物学(乳酸菌株の分離、同定、培養条件の最適化による安定した菌株の維持と大量培養技術の確立、とうもろこし等の自然界のサンプルから多様な乳酸菌をスクリーニング、目的の機能(毛乳頭細胞賦活能・KGF産生促進能)を持つ菌株の特定、菌株の遺伝子解析や生理学的試験の実施およびラクトバチルス・プランタラムN793株として分類学的同定)、分子生物学(乳酸菌が毛乳頭細胞を活性化してケラチノサイト増殖因子の産生を促進する作用メカニズムの解明、ラクトバチルス・プランタラムN793株の菌体や培養上清を添加した際の細胞内のシグナル伝達経路の変化の解析、KGF遺伝子の発現量やその発現を制御する転写因子の活性化の検証)
具体例として麺類の製造方法が挙げられます。
従来の麺製造装置では異なる幅の麺を混ぜる場合、麺線の本数比を変えるたびに高価な切刃ロールを作り直す必要があり調整が困難でした。
これに対して、複数の環状刃と溝部を持つ一対の切刃ロールに加え溝に挿入されるカスリ(掻き出し歯)の位置がずらされることで麺線の掻き出し位置を制御する麺線切出し装置を備え、切り出された麺線のうち特定のカスリから排出される麺線のみを回収する工程を含むことにより、切刃ロールを交換することなくカスリの位置を調整するだけで異なる幅の麺線の本数比を変更できるため多様な食感の麺を製造することが可能になる麺類の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7725411/15/ja
関連する専門分野の例:食品工学(麺の食感や品質に影響を与える麺生地の物性、製造プロセス中の麺線への応力および熱処理が最終製品に与える影響の分析・評価、異なる幅の麺線が混在することで生まれる独特の食感(コシや喉ごし)の評価、麺生地の粘弾性の測定および切断時の応力やカスリによる掻き出しが麺線の形状や断面構造に与える影響の解析、最適な麺帯の厚みや水分量の決定)、機械工学(麺線を切断・移送するための装置の機械的構造の設計、異なる幅の溝を持つロールをスムーズに回転させるための動力伝達システムの構築、カスリの掻き出し歯の摩耗を最小限に抑えるための材料選定、掻き出し位置を精密に調整できる駆動機構と制御システムの設計)
(5)まとめ
食品そのものやその製造方法、食品添加剤、その他医薬品関連の出願が多く確認されます。また、食品の包装箱など食品そのものとは無関係な出願も確認されます。
これらの出願に関連する開発がおこなわれていることが予想されます。
開発には化学系、食品系が関わることが多いですが、これらの製造には機械系の要素も含まれます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)江崎グリコ

詳細は省略します。
(2)明治

詳細は省略します。
(3)森永製菓

(4)ロッテ

共同出願の例として眼球乾燥症などの眼疾患を予防・治療する組成物が挙げられます。
従来の眼疾患治療薬は副作用の懸念があり、また、効果も一時的でした。
これに対し、特定の天然物であるコロハとチョウジの抽出物を有効成分として用いることで(コロハ抽出物とチョウジ抽出物は単独または混合して使用され眼球乾燥症の原因となる酸化ストレスや高浸透圧による角膜・網膜細胞の損傷を抑制し、これらの抽出物は黄斑変性などの他の眼疾患の予防や治療にも有効であることが示されている)、副作用が少なく安全に利用できる医薬品や健康食品として提供できる組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7664217/15/ja
(5)日清食品

詳細は省略します。
(6)上記(1)~(5)(共同出願人)のまとめ
特定の企業との共同出願は年1件未満が多いです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・化学系分野(応用化学、有機化学、化学工学、生化学、高分子化学など)
原料間の化学反応の制御と最適化の検討、目的物質(香気・呈味成分など)の生成促進と副生成物(焦げ付きなど)の生成抑制のための条件の解析、素材の物性変化とそれが化学反応に与える影響の評価、多成分系における物性制御と相平衡の解析、乳化・分散系における界面安定性の検討、製造および保存プロセスにおける化学変化の抑制、反応および分離プロセスのモデル構築とシミュレーション、高分子の構造と物性の相関解析、高分子ブレンド系の相溶性および相互作用の検討などが求められます。
・食品系分野(食品工学、食品科学、栄養学、食品化学など)
物理的処理(凍結、粉砕など)プロセスの最適化の検討、原料の物性(粒度、硬度など)とそれが製品のテクスチャーや品質に与える影響の解析、工業的スケールアップにおける生産性の向上と品質の均一化のためのプロセスの設計、原料および製品の物性・化学的特性の網羅的解析、プロセスと最終製品特性の関係性解析、風味発現メカニズムの解明、食品の栄養価と生体利用効率の評価、製品の栄養バランスと健康機能の検証、疾病リスク低減や健康増進効果の臨床研究などが求められます。
・機械系分野(機械工学、人間工学など)
加熱・撹拌プロセスにおける熱と物質の移動効率の最適化、流体(原料)の挙動解析とそれに基づく装置設計、スケールアップ時の生産性向上と品質の均一化のための装置・プロセスの検討、熱交換システムの最適設計、連続生産ラインの自動化・最適化、ユーザーの身体能力に基づいた操作性の検討、製品の形状と機能のユーザビリティ解析、安全な操作を実現するためのリスク評価と設計などが求められます。
・材料系分野(材料科学、材料工学など)
多成分系の相転移と結晶構造の制御、微細構造の形成と安定性の解析、最終製品のテクスチャー(粘性、硬度など)とその微細構造との関係性の評価、材料の物理的・力学的特性の解析、焼成プロセス中の熱伝達および物質移動のシミュレーションと予測、生産設備における搬送、成形、焼成の各工程の最適化などが求められます。
・生物系分野(微生物学、分子生物学、応用生物学など)
機能性微生物株の選定と最適化、微生物群集の動態解析、代謝産物プロファイルの解析、製品の品質・安全性の評価、微生物の増殖と代謝経路の制御、微生物間相互作用(共生・拮抗)の最適化、目的産物(菌体、代謝物)の高効率生産プロセスの設計、遺伝子発現およびタンパク質機能の制御機構解析、細胞内シグナル伝達経路の網羅的解析、病原体と宿主細胞の分子レベルでの相互作用解析、生体反応のメカニズム解明、機能性成分の生理活性評価などが求められます。
・薬学系分野(免疫学、薬理学、製剤学、薬学、薬化学など)
免疫細胞の応答および活性化メカニズムの解析、サイトカイン・ケモカインネットワークの機能解析、粘膜免疫システムの応答性評価、薬効と作用機序の分子レベルでの解明、疾患モデルを用いた有効性の検証、有効成分の安定化技術の検討、投与経路と剤形の最適化、薬物放出制御(徐放性)技術の設計、製剤の物性および使用感の評価、服薬補助剤の安全性および有効性の評価、薬物動態に及ぼす影響の検証、服薬補助剤と医薬品の相互作用解析、製品の臨床応用に向けた評価計画の立案などが求められます。
・その他分野(物理学、工業デザイン、歯科学など)
物理系では多相系における熱と物質移動の物理的解析、製品の流動性や粘弾性などの評価、製造・流通時の応力や温度変化に対する製品強度の予測などが、デザイン系では製品の形状・構造最適化、素材・加工法の選定、製品コンセプトの具現化などが、歯科学系は口腔内環境の生理学的解析、疾患予防・治療のメカニズム解明、生体適合性材料の評価、臨床試験のデザインと実施などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
食品そのものやその製造方法、食品添加剤、その他医薬品関連の出願が多く確認されます。また、食品の包装箱など食品そのものとは無関係な出願も確認されます。
大学の専攻と関連づけるとしたら、主に化学、食品、機械、材料、生物、薬学の研究が該当する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
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