日々の食卓に欠かせない小麦や大豆に関わる食材業界ですが、化学品や電子部品のように加工して新たなものとして作り出す余地がどの程度あるのか、すなわち、どのような開発がおこなわれているのかイメージしづらい業界だと言えます。
食材業界では日々、どのような研究開発がおこなわれ、また、どのような専門性が求められるのか、外部からは把握しづらいです。
この問題に対し、特許情報を活用します。
特許情報は企業の開発の軌跡であり、客観的なエビデンスになり得る情報です。
本記事では、採用サイトとは別の視点で、日清オイリオ、J-オイルミルズ、不二製油、日清製粉、ニップン、昭和産業の研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。
結論(概要)は以下の通りです。
・化学系、材料系、食品系、生物系分野(応用化学、化学工学、界面化学、化学工学、有機化学、高分子化学、生物化学、分析化学、物理化学、材料工学、材料科学、食品科学、栄養学、食品工学、食品科学、応用微生物学など)
・情報系分野(情報科学など)
・機械系分野(機械工学など)
・その他系分野(薬化学、薬理学、農学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 食材業界
2.1 食材業界とは
ここでは、食用油や小麦粉など、さまざまな食品の元となる原料などを製造、供給する業界を意図します。
製油、製粉に係る技術を主な対象にしていますが、厳密に区分けしてはいません。
2.2 サーチ対象
以下の食材メーカー6社を対象にしました。
(2)J-オイルミルズ
(3)不二製油
(4)日清製粉
(5)ニップン
(6)昭和産業
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
・睡眠改善剤 |
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法人向け |
・粉末油脂組成物 |
・油脂に非油溶性粉末を分散させた油性食品の製造方法 |
個人向け、法人向けかなどについては、明細書から判断できない場合が多いため、上記は厳密なものではありません。
3.2 出願件数の推移
下図は食材メーカー6社の特許出願件数の推移です。

企業によって、また、出願年によって出願件数が大きく異なります。
ただし、全ての企業が毎年一定数以上、出願しており、そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
不二製油>日清オイリオ>ニップン>J-オイルミルズ>日清製粉≒昭和産業
だと言えます。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
ベイキング前または最中の添加材料による穀粉または生地の処理などがこれに該当します。
J-オイルミルズ、不二製油、日清製粉、ニップン、昭和産業がこの分野から多く出願しています。
マーガリンなどがこれに該当します。
日清オイリオ、J-オイルミルズ、不二製油、昭和産業がこの分野から多く出願しています。
チョコレートなどがこれに該当します。
日清オイリオがこの分野から多く出願しています。
非アルコール飲料などがこれに該当します。
全6社がこの分野から多く出願しています。
個々の容器などがこれに該当します。
日清製粉がこの分野から多く出願しています。
酵素前駆体などがこれに該当します。
ニップンがこの分野から多く出願しています。
3.5 食材メーカー6社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)日清オイリオ|開発トレンドと専門性

上図期間中、A23Dが最も多いです。次いでA23L、A23G、A21Dが多いです。
具体例として粉末油脂組成物が挙げられます。
従来の粉末油脂組成物は粉体流動性が不十分であり、また製造工程が煩雑であるという問題がありました。
これに対し、特定のX線回折ピーク強度比(β型が優位である0.6~1)を有するβ型油脂(最も安定した状態にある油脂の結晶の形)を含み、凝集度が60%以下、ゆるめ嵩密度(粒子間の隙間も含めた単位体積あたりの質量)が0.05~0.6g/cm³、安息角相対値(ある粉体に特定の粉末油脂を混ぜたときの流動性が混ぜない場合と比べてどの程度変化したかを示す指標)が90%以下という特性を持つ粉末油脂組成物であり、(製造方法として)まず炭素数16~20の脂肪酸残基を持つXXX型トリグリセリドを含む固体の油脂組成物原料を準備し、次にこの原料を融点未満の温度で加熱し、融解させずに油脂成分をβ型油脂へと結晶多形を変化させ、最後にβ型油脂含有組成物原料を機械的な粉砕を伴わない原料同士の衝突によって粉砕することにより得られ、粉体流動性が改善された粉末油脂組成物が開発されています(以下URL)。
特定のX線回折ピーク強度比を有する油脂を含む粉末油脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7003313/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(さまざまな脂肪酸の組み合わせやグリセリンへの結合位置がトリグリセリドの結晶多形に与える影響の予測および合成・評価、加熱処理による結晶多形の変化の解析、効率的なβ型への転移条件や長期保存安定性を高めるための最適な油脂組成物の探索)、材料工学(粉砕工程における粒子の挙動解析および薄片状粒子の形成メカニズムの解明、粒子のサイズ、形状、表面粗さなどが凝集度や安息角に与える影響の評価および最適粉砕条件や表面修飾技術の検討)
従来の製造方法では、油脂と粉末を糊状にするために強力な攪拌力が必要でした。
これに対して、40℃以上の融点と50μm以下の平均粒径を有する特定の油脂粉末を、その融点よりも低い温度に保たれた流動状の油脂(油性食品全体の50~98質量%)に分散させる工程と、同時に、またはその後、非油溶性粉末(非油溶性粉末は1~49質量%)を分散させる工程を含むことにより、強力な攪拌力を必要とせずに非油溶性粉末が油脂中に均一に分散した油性食品を製造できる製造方法が開発されています(以下URL)。
油脂に非油溶性粉末を分散させた油性食品の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7558619/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(パルミチン酸やステアリン酸などの飽和脂肪酸残基がグリセリンに結合したトリグリセリドがなぜβ型結晶を形成しやすいのかメカニズムの解明、油脂粉末と流動状油脂、非油溶性粉末間の界面化学的相互作用の分析、凝集を防ぎ均一な分散状態を安定的に維持するための添加剤(乳化剤など)の最適組成の設計)、食品科学(油脂粉末の粒径、結晶形(β型)および流動状油脂との比率が製造時の混合適性や最終的な油性食品の口どけにどのように影響するかの評価、非油溶性粉末の種類(粉糖、乳製品粉末など)が分散状態や製品の食感に与える影響の分析、各成分の特性に合わせた最適な製造条件(温度、混合時間、冷却方法など)の探索)
具体例として高齢者や嚥下困難者向けの高タンパク質で嚥下しやすいゲル状食品が挙げられます。
従来のゲル状食品は高タンパク質化すると均一なゲルが得られず、嚥下物性も不十分でした。
これに対して、蛋白質の熱凝固を利用して、卵白蛋白質1〜6質量%、カゼイン4〜15質量%含有し、全蛋白質含有量を5.5〜25質量%とし、カゼインとしてカゼインナトリウムとカゼインカルシウムを特定の質量比(30:70〜70:30)で配合することにより、単独では脆くなりがちな卵白のゲルをカゼインが補強し、凝集性と付着性を付与することで蛋白質含有量が高くても均一なゲル構造を形成し、高齢者や嚥下困難者が安全かつ容易に摂取できるゲル状食品が開発されています(以下URL)。
高齢者や嚥下困難者向けの高タンパク質で嚥下しやすいゲル状食品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7359995/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(卵白とカゼインの異なる配合比率やカゼインナトリウムとカゼインカルシウムの比率がゲルネットワーク構造にどのように影響するかの解析、加熱条件(温度、時間)が蛋白質の変性・凝集に及ぼす影響の評価、高齢者や嚥下困難者が「飲み込みやすい」と感じる最適な物性値を導き出すための官能評価手法の確立)、栄養学(高蛋白質ゲル状食品が高齢者や嚥下困難者の体内においてどの程度の効率で蛋白質を消化吸収できるかの評価、コラーゲンペプチドなどの副成分がアミノ酸バランスや消化吸収性に与える影響の分析、低栄養状態の改善やフレイル予防に貢献するための最適な蛋白質組成と摂取量の探索)
従来の風味油は有色のドロドロした液体で汎用性に欠け、レンジアップ時の風味も不十分でした。
これに対して、水分含量40~90質量%の食品素材(ケチャップ、肉類、野菜ペースト等、ただし中華醤を除く)を含む食用油脂を一次加熱する工程と、一次加熱より10℃以上高い温度で二次加熱する工程を含み、一次加熱前および/または二次加熱前にベーコン、香辛料、魚粉、節などの風味成分を加える工程を有するこの二段階加熱と風味成分の添加タイミングの調整により、食品素材の風味を効率的に抽出して余分な水分を除去しつつ焦げ付きを抑え、フレッシュな調理感を付与した風味油の製造方法が開発されています(以下URL)。
風味油の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7706247/15/ja
関連する専門分野の例:食品工学(二段階加熱プロセスにおける温度、時間、攪拌条件が食品素材からの水分蒸発速度、風味成分の油への移行率および不快な焦げ付き生成に与える影響の解析、抽出装置の設計や運転条件の最適化)、食品科学(一次加熱と二次加熱、風味成分の添加タイミングが風味油中の揮発性香気成分のプロファイルや非揮発性呈味成分の生成・変化にどのように影響するかの分析、食品素材や風味成分に含まれる前駆物質が加熱によってどのような新規香気成分に変化するのか特定、より複雑で奥行きのある風味を付与するための最適な原料選定や加熱条件の探索)
具体例としてカカオ原料の製造方法が挙げられます。
従来の香料や粉末添加による風味付けでは添加物制限や製造上の問題がありました。
これに対して、事前にローストされたカカオニブ、カカオマスまたはココアパウダーを対象とし、エルダーフラワー、オレンジピールなどのハーブ類またはクミンシード、コリアンダーシードなどの香辛料を加熱することで発生する煙で燻煙することより、香料や粉末状のハーブ・香辛料を直接チョコレートに添加することなく、カカオ原料自体に独自の風味を付与することができるカカオ原料の製造方法が開発されています(以下URL)。
カカオ原料の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7577409/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(ローストされたカカオニブの表面構造が燻煙成分の吸着にどのように影響するかの解析、燻煙時間やハーブ・香辛料の種類、加湿の有無が、燻煙されたカカオ原料およびそれを用いて製造したチョコレートの風味プロファイル(香り、味、後味)に与える影響の評価、最適な燻煙条件の導出)、応用化学(各種のハーブや香辛料を加熱した際に発生する煙の成分の分析、カカオ原料への風味付与に寄与する主要な化合物群(例: フェノール類、テルペン類、含硫化合物)の特定、各成分がカカオニブの脂質やタンパク質とどのように相互作用して物理的または化学的に吸着・保持されるのかの解明)
具体例としてバウムクーヘン生地が挙げられます。
従来のバウムクーヘン生地は焼成時の高温暴露で生地分離や粘度変化が生じ、安定性に欠ける問題がありました。
これに対して、穀物粉や澱粉100質量部に対し3~35質量部の水中油型乳化物を含有し、乳化物は12~40質量%の水分を含有し、乳化剤が全体の7~19質量%を占め、また、乳化剤はグリセリン脂肪酸エステルを主成分とし、炭素数14~18の飽和脂肪酸からなるグリセリンモノ飽和脂肪酸エステルが5~11質量%含まれ、他の乳化剤は3質量%以下に抑えられたこの構成を持つ水中油型乳化物を含有することにより、バウムクーヘン製造における長時間の高温加熱条件下でも生地の分離や粘度変化が抑制され、安定した状態を維持可能なバウムクーヘン生地が開発されています(以下URL)。
バウムクーヘン生地→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7271125/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(水中油型乳化物の種類、配合量、乳化剤組成が生地の粘度、表面張力、比重、焼成時の膨張挙動に与える影響の評価、生地が回転する芯棒に塗布される際の流動性や積層焼成中に層間剥離が生じないための生地物性の最適条件の特定、高品質な年輪構造の形成メカニズムの解明)、応用化学(グリセリンモノ飽和脂肪酸エステルが水中で形成するラメラ構造の安定性やそれが油滴の分散状態に与える影響の解析、他の乳化剤との相乗効果や特定の飽和脂肪酸炭素数が界面活性に与える影響の評価、加熱条件下でも乳化が破壊されにくい高性能な乳化システムの探索)
(2)J-オイルミルズ|開発トレンドと専門性

A23Lが最も多いです。次いでA23D、A21D、G01Nが多いです。
具体例として食品用エンドウ澱粉組成物が挙げられます。
従来の澱粉加工品は加熱や冷凍などの加工食品製造工程で物性や食感が変化し、安定性に課題がありました。
これに対して、澱粉を80質量%以上含み、その澱粉にはエンドウ澱粉またはその加工澱粉が1種以上含まれ、使用される澱粉の原料澱粉の総アミロース含量は35質量%以上であり、25℃の水に30分間浸漬した際の吸水率が乾燥質量に対して350質量%以上650質量%以下であることで、吸水後の粒平均面積の変化が小さく、加熱、冷蔵、冷凍といった食品加工条件下でも粒形状や食感が安定して保持される澱粉組成物が開発されています(以下URL)。
食品用エンドウ澱粉組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7274677/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(エンドウ澱粉およびその加工澱粉の選択や総アミロース含量が食品用澱粉組成物の吸水率、粒子の膨潤挙動、最終的な粒平均面積にどう影響するかの分析、魚卵様食品としての食感を再現するためのぷちぷちとした独特の食感と加熱・冷凍後の物性変化を最小限に抑えるための澱粉の最適加工条件や配合比率の検討)、化学工学(エクストルーダーのバレル温度、スクリュー回転数、原料供給速度、水分含量といった運転条件が澱粉の糊化度、粒子の形状、密度、吸水率に与える影響のモデル化、エクストルーダー内で発生する剪断力や温度履歴が澱粉分子の構造に与える影響の解析、安定した品質の食品用澱粉組成物を安定かつ高収率で得るための最適なプロセスパラメータの決定)
従来のフライ食品は保存後に再加熱すると衣がべたつき、ねっとり感が生じ、具材との結着も悪化するという問題がありました。
これに対して、セルロース誘導体と油脂加工澱粉を特定の割合で含有するフライ食品用打ち粉であり、セルロース誘導体としてカルボキシメチルセルロースが打ち粉全体に対し1質量%以上70質量%以下の範囲で含まれることにより、再加熱時に発生しがちな衣のべたつきが抑制されてサクサクとしたドライ感が向上し、衣が歯切れの良いクリスピーな食感を維持するフライ食品用打ち粉が開発されています(以下URL)。
フライ食品用打ち粉→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7240566/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(カルボキシメチルセルロースや油脂加工澱粉がフライ調理中の水分移動や油吸収、再加熱時の澱粉の劣化にどのように影響するかの評価、衣のクリスピー感、ドライ感、ねっとり感、衣と具材の結着性といった官能評価結果と成分の物理化学的特性との相関関係の解析)、食品工学(エクストルーダーを用いた油脂加工澱粉の製造においてバレル温度、スクリュー回転数、水分含量などのプロセス条件が澱粉の糊化度や油脂の均一分散性にどう影響するかをモデル化、フライ調理時の油吸収量や衣の内部構造形成、再加熱時の水分再分配の評価、衣のサクサク感を維持し、ねっとり感を抑制するための最適な調理条件や再加熱条件の導出)
具体例としてカゼイン不使用の粉末油脂組成物が挙げられます。
従来の粉末油脂は冷水に溶けにくく、多湿条件下で固まりやすい上、アレルゲンであるカゼインを使用する問題がありました。
これに対して、融点30℃以上の油脂、乳化剤であるジアセチル酒石酸モノグリセリド、賦形剤を必須成分として含み、ジアセチル酒石酸モノグリセリドは油脂100質量部に対して4~20質量部の範囲で配合され、脂肪球径分布が0.3~3μmという特定の範囲である、これらの成分構成と微細な脂肪球径分布により、冷水中で均一に分散し、湿度の高い環境下でも粉末状態を維持する冷水分散性と加湿耐性を実現する粉末油脂組成物が開発されています(以下URL)。
カゼイン不使用の粉末油脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7358536/15/ja
関連する専門分野の例:界面化学(ジアセチル酒石酸モノグリセリドのHLB値や酸価が油脂と水との界面張力に及ぼす影響の測定および最適な脂肪球形成条件の探索、粉末乾燥後の各成分の表面状態や結晶構造の評価および冷水分散性や加湿耐性との相関関係の解明)、化学工学(ホモジナイザーや乳化機の種類と運転条件(圧力、流量、温度)がエマルジョンの脂肪球径分布や安定性に与える影響の評価、乾燥工程における熱風温度、送風量、液滴の噴霧条件などの最適化、製品の吸水性、流動性、保存安定性を最大限に引き出すための設計)
従来の揚げ物用油脂は高温調理で健康に悪影響を及ぼす極性物質が生成し、その抑制が不十分でした。
これに対して、食用油脂を主成分とし、カルボキシメチルセルロース(CMC) を特定の濃度(油脂組成物全体に対して1質量ppm以上100質量ppm以下)で含有することにより、油ちょう時の高温環境下における油脂の熱酸化反応が抑制され、健康に懸念があるとされる極性物質(モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、遊離脂肪酸、過酸化物、特にグリセリド二量体などの重合物)の生成が抑制される揚げ物用油脂組成物が開発されています(以下URL)。
カルボキシメチルセルロース含有の揚げ物用油脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7623803/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(カルボキシメチルセルロースの導入が油脂中の不飽和脂肪酸の酸化経路やラジカル生成・消去反応にどう関与するかの解析、極性物質の抑制が揚げ物の風味、食感、保存安定性に与える影響の評価)、化学工学(カルボキシメチルセルロースのような水溶性高分子を疎水性の油脂中に微量かつ均一に分散させるための乳化・分散技術や安定性維持のためのプロセス設計(例:撹拌条件、温度履歴)の検討、CMC濃度、油ちょう温度、時間、空気接触などの因子が極性物質生成速度に及ぼす影響の解析)
具体例としてベーカリー食品生地の製造方法が挙げられます。
従来の多加水生地はべたつきによる作業性低下や食感のねちゃつき、食品添加物の使用が問題でした。
これに対して、まず、成分(A)(澱粉含量75質量%以上の粉粒状物であり、アミロース含量40質量%以上の低分子化澱粉を3~45質量%含み、ピーク分子量が3×10³~5×10⁴、25℃における冷水膨潤度が5~20、特定の粒度(0.038mm~0.5mm篩上)が30~100質量%)、水、油脂組成物を事前に混合して混合物を調製する工程を実施し、その後、この混合物を粉体原料に加えて生地を製造することで、得られるベーカリー食品が消費者から好まれるもちもちとした弾力と口残りのなさを両立するベーカリー食品生地の製造方法が開発されています(以下URL)。
ベーカリー食品生地の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7652718/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(成分(A)中の低分子化澱粉の種類や加工方法(酸処理、酵素処理など)の違いが生地中の水分保持能力やグルテンネットワークへの影響の評価、焼成中の澱粉の糊化挙動や油脂との相互作用の追跡、最終的なパンの弾力性や口溶けといった食感特性との相関関係の解明)、化学工学(成分(A)の粒子径分布と冷水膨潤度を考慮した上で油脂組成物と水との混合順序、撹拌速度、温度条件が形成される混合物の粘度や乳化状態に与える影響の評価、ミキシング装置の選定や運転条件を最適化するためのシミュレーションモデルの構築)
具体例として食用油等の油脂の劣化度合い管理して廃油や交換を促す油脂管理装置が挙げられます。
従来の油脂管理では、従業員の記録ミスや記録忘れにより、油脂の正確な使用状況を把握できないという問題がありました。
これに対して、まずデータ取得部が油脂の劣化指標の測定値を時間データと共に取得し、次に測定割合算出部が取得された測定値の時間データと予め設定された測定周期に基づき測定割合を算出し、測定判定部が算出された測定割合が基準測定割合以上か否かを判定し、同時に、廃油判定部が測定値が廃油基準値以上か否かを判定し、測定割合が基準以上かつ測定値が廃油基準値以上と連続で判定された場合、継続使用日数カウント部が継続使用日数をカウントし、継続使用日数が所定日数以上となった場合に信号出力部が廃油を促す報知信号を出力することにより、客観的なデータに基づいて油脂の劣化状況を正確に把握可能な油脂管理装置が開発されています(以下URL)。
食用油等の油脂の劣化度合い管理して廃油や交換を促す油脂管理装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7525757/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(劣化指標の測定値や時間データを効率的にデータベースに格納するためのデータモデルの設計、取得されたデータの異常値を検出するためのアルゴリズムの設計、測定割合や継続使用日数などの算出ロジックのプログラミング、クラウドサーバーと管理端末間のセキュアなデータ通信プロトコルの確立)、食品科学(揚げ調理における油脂の熱酸化反応や加水分解反応の分析および劣化指標(酸価、極性化合物量など)と揚げ物の品質、安全性との相関関係の解明、各種センサーや分析機器を用いた劣化指標の測定精度や再現性の評価および実用的な測定周期や廃油基準値の導出)
(3)不二製油|開発トレンドと専門性

A23Dが最も多いです。次いでA23L、A21D、A23J、A23Ⅽが多いです。
具体例としてグリシドールおよびグリシドール脂肪酸エステル含有量を低減した食用油脂の製造方法が挙げられます。
従来のグリシドール低減方法では、脱臭後の油脂の酸価低下が不十分で油っぽい風味になるという問題がありました。
これに対して、まずグリシドール前駆体である3-MCPD濃度が1.5mg/kg以下に管理された物理精製パーム油またはその分画油を原料とし、次に脱色作業工程中に濃度1~85重量%のクエン酸および/またはリン酸水溶液を0.01~10重量%の範囲で添加して油脂と酸を接触させ、その後、真空度100~800Pa、水蒸気使用量0.5~5重量%、温度230~260℃の特定の条件下で脱臭するこれらの工程を経ることで、グリシドールおよびグリシドール脂肪酸エステルの含有量がグリシドール等量で1.0mg/kg以下に低減され、かつ風味と色調が良好となる食用油脂の製造方法が開発されています(以下URL)。
グリシドールおよびグリシドール脂肪酸エステル含有量を低減した食用油脂の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6919755/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(脱色工程における酸水溶液の種類、濃度、添加量、接触時間とグリシドール前駆体分解効率の関係の評価、脱臭工程の温度、真空度、水蒸気量といったパラメータがグリシドール分解に与える影響の解明および最適なプロセス条件の導出)、化学工学(油脂と酸水溶液の混合効率、活性白土との接触効率、水蒸気による揮発成分除去効率を最大化するための攪拌条件や充填物の検討、脱臭工程における熱交換器の設計や水蒸気の回収・再利用システムの構築)
従来の油中水型乳化組成物は冷凍保存すると硬すぎて切断困難で、使用前の解凍や温調に時間と手間がかかる点が問題でした。
これに対して、油脂混合物のラウリン酸含量7~29重量%、パルミチン酸含量7~19重量%、ステアリン酸/ラウリン酸比0.1~1.6という特定の脂肪酸組成を有し、-18℃での硬さが500~1500gfの範囲内(油相には液状油27~60重量%、パーム核ステアリンや特定のエステル交換油(ラウリン酸含量5~25重量%など)合計15~49重量%配合、水相が10~35重量%)であることにより、冷凍状態でも容易に切断・使用可能な油中水型乳化組成物が開発されています(以下URL)。
冷凍状態でも容易に切断・使用可能な油中水型乳化組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6943344/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(さまざまな脂肪酸組成を持つ油脂(液状油、ラウリン系油脂、エステル交換油など)を組み合わせた際の相転移挙動、固形脂含量曲線および結晶ネットワーク構造の形成メカニズムの分析、-18℃という低温域での油脂の結晶化挙動をの評価およびレオメーターによる硬度測定値との相関の解明)、化学工学(油相と水相の混合比、乳化剤の種類と添加量、乳化条件(温度、攪拌速度など)が乳化粒子のサイズ分布と安定性に与える影響の評価および適切な予備乳化条件の確立、ピンマシンやボテーターなどの熱交換器の設計と運転条件(冷却温度、滞留時間、スクリュー回転速度など)が油脂の結晶化速度、固形脂含量、最終製品のテクスチャーに与える影響の解析)
具体例として水分と大豆由来原料を含む食品の異風味を抑制するマスキング剤が挙げられます。
既存のマスキング技術は対象が限定され汎用性が低く、またマスキング効果が不十分であったり、油脂の添加により新たな課題が生じたりする問題がありました。
これに対して、遊離脂肪酸としてのオクタン酸、デカン酸及びそれらの塩から選ばれる1種以上を有効成分として含み、油脂を実質的に含まず水分を主成分とすることにより、オクタン酸やデカン酸が水中に効率よく溶解・分散し、水分を含む食品、特に豆乳や畜肉様ハンバーグのような植物由来原料を含む食品に添加された際、その異風味を極微量でマスキングすることが可能になるマスキング剤が開発されています(以下URL)。
水分と大豆由来原料を含む食品の異風味を抑制するマスキング剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7704285/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(豆乳や野菜ジュースなどの植物由来食品に含まれる異風味成分の定性・定量分析、オクタン酸やデカン酸がこれらの異風味成分とどのように結合・反応し、または感覚受容体レベルでマスキング効果を発揮するのかを分子シミュレーションや細胞レベルでの解明)、有機化学(オクタン酸やデカン酸を効率的かつ高純度で合成するための新規触媒反応やプロセスの探索、遊離脂肪酸の生理活性やマスキング効果に影響を与える分子構造上の特徴の特定、さまざまな鎖長や官能基を持つ脂肪酸類縁体の設計・合成および味覚受容体との相互作用の評価)
従来のクロロフィル含有食品は熱や光により退色しやすく、また退色防止剤が風味を損なうという問題がありました。
これに対して、クロロフィル素材の固形分1重量部に対し、遊離アミノ酸を乾物換算で3~40重量%含むタンパク質加水分解物を乾物換算で0.02~1.5重量部添加することにより、クロロフィル色素の安定性が向上し、抹茶のような緑色を呈する食品や水分を多く含む飲料やソース類においても熱や光による退色を抑制できるクロロフィル含有食品の製造方法が開発されています(以下URL)。
クロロフィル含有食品の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7364131/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(クロロフィルの光分解や酸化による退色反応経路の解析および退色生成物の特定、さまざま種類の遊離アミノ酸や分子量分布の異なるペプチド(タンパク質加水分解物)がクロロフィルの安定性に与える影響の評価、アミノ酸やペプチドのキレート作用、ラジカル捕捉能、色素分子との相互作用の検証および退色抑制効果のメカニズムの解明)、食品工学(タンパク質加水分解物をクロロフィル素材に添加する際の液温、混合時間、剪断力などの条件がタンパク質加水分解物の分散性やクロロフィルとの均一な混合に与える影響の評価、加熱殺菌(例:UHT殺菌)や冷却、乾燥といった各工程がクロロフィルの安定性や退色抑制効果に及ぼす影響の検証)
具体例として冷凍喫食用ベーカリー食品の製造方法が挙げられます。
従来の冷凍ベーカリー食品は冷凍状態で喫食すると硬くボソボソした食感となり、ほぐれや口溶けが不十分で嗜好性が低いという問題がありました。
これに対して、生地に特定の水中油型乳化組成物を配合する製造方法であり、水中油型乳化組成物はリゾレシチンを0.05~3重量%含有し、その油相のSFC(固体脂含量)が10℃で45~95%、かつ25℃で0~30%の範囲を満たすように調整し、これらの特定組成の乳化物を生地に配合することで、ベーカリー食品は冷凍状態であっても噛みだしが柔らかく、口溶けやほぐれが良好で歯切れの良いソフトな食感を実現する冷凍喫食用ベーカリー食品の製造方法が開発されています(以下URL)。
冷凍喫食用ベーカリー食品の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7613164/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(水中油型乳化組成物および油中水型乳化物の油相における固体脂含量と結晶多形を様々な温度条件下で測定、乳化物がパン生地中の小麦粉タンパク質(グルテン)ネットワークやデンプン粒とどのように相互作用し、生地の膨張性、気泡構造、最終製品のテクスチャー(柔らかさ、ほぐれ、口溶け)に影響を与えるかの評価)、食品工学(ミキシング工程において水中油型乳化組成物や油中水型乳化物の添加タイミングや混捏時間が生地のレオロジー特性(粘弾性、伸展性など)やグルテン形成に与える影響の評価、発酵工程での温度・湿度管理、焼成工程での加熱プロファイルが製品の比容積、クラム構造、最終的な食感に与える影響の検討、急速冷凍条件(冷却速度、温度履歴)が生地中の水分凍結挙動や氷結晶形成に与える影響の評価、冷凍保存中の品質劣化を最小限に抑えつつ喫食時に良好な食感を維持するための最適な冷凍・保存プロセスの設計)
具体例として組織状タンパク質素材の製造方法が挙げられます。
従来の繊維状タンパク質素材は緻密な組織のため吸水に時間がかかり、加工時の生産性が低い上、粉砕すると繊維感が損なわれるという問題がありました。
これに対して、まずタンパク質原料と水を含む原料をエクストルーダー(原材料を加熱・加圧しながら押し出して成形する機械)で混練・加圧加熱し、ダイ(エクストルーダーの出口に取り付けられた成形用の穴または口金)から水分15〜70重量%の組織化物として押し出す工程(A)を含み、次に得られた組織化物を押し出し方向と垂直に切断する工程(B)を実施し、この切断において押し出し方向の長さが断面の最長部分の2倍以上、かつ10〜200mmとなるようにし、最後に切断された組織化物を環状の切断ヘッド内部にインペラアセンブリ(水平回転スライサーの内部で材料を回転させ刃に送り込む羽根の集合体)と同軸に配置された刃を備える水平回転型の円形スライサーを用いて1mm以上の厚さの扁平形状にスライスする工程(C)をおこなうことにより、良好な肉様繊維感を保ちつつ25℃の常温水で自重の6倍加えて3分後に自重の2倍以上吸水できる吸水性を持つ組織状タンパク質素材を連続的に製造できる方法が開発されています(以下URL)。
組織状タンパク質素材の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6844736/15/ja
関連する専門分野の例:食品工学(エクストルーダーにおけるバレル温度プロファイルやダイ設計の変更が押し出される組織化物の膨化度や繊維形成に及ぼす影響の解析および最適な組織化物水分が得られる条件の特定、水平回転型円形スライサーの刃の形状、材質、回転速度、組織化物の供給速度がスライスされた素材の厚み均一性や繊維切断率に与える影響の評価)、高分子化学(エクストルーダー処理前後のタンパク質の二次・三次構造変化の解析、エクストルーダーのバレル内部で発生する温度と剪断応力がタンパク質の水素結合やジスルフィド結合の形成・切断にどのように影響して繊維状構造の形成を促進するのかの評価)
具体例としてDHA含有ヨーグルトの異風味抑制製造法が挙げられます。
近年注目されるDHAは酸化しやすく異風味を生じる問題があり、既存技術では配合制限がありました。
これに対して、水溶性抗酸化剤を溶解させた水相をDHA含有油相に300nm以下の粒子径で微分散させ、油中水型乳化油脂組成物とし、この組成物を原料に乳酸発酵をおこない、pH4.9~5.5で発酵を止め、その後さらに酸でpH3.7~4.4に調整することでDHAの酸化に由来する異風味の発生を抑制し、配合上の制限なく風味良好なDHA含有ヨーグルトを製造できる方法が開発されています(以下URL)。
DHA含有ヨーグルトの異風味抑制製造法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7675486/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(DHAの酸化メカニズムと乳酸発酵中のpH変化およびその後の酸調整がDHAの安定性に与える影響の解析、水溶性抗酸化剤の種類や濃度、油中水型乳化油脂組成物の粒子径がDHAの酸化抑制効果に及ぼす影響の評価および最適な条件の特定)、応用微生物学(DHAの酸化抑制能を持つあるいはDHA由来の異風味生成を抑制する特定の乳酸菌株のスクリーニングおよびその菌学的特性(増殖速度、酸生成能、酵素活性など)の評価、発酵中の温度、pH、基質濃度などの培養条件が乳酸菌のDHA安定化機能やヨーグルトのテクスチャー形成に与える影響の分析および最適な発酵プロファイルの設計、乳酸菌がDHAの酸化に関与する酵素(例:リパーゼ)の活性や抗酸化物質(例:グルタチオン、カタラーゼ)の生成に及ぼす影響の解析)
(4)日清製粉|開発トレンドと専門性

A23Lが最も多いです。次いでG01N、A61K、B65Bが多いです。
具体例として乾燥麵類の製造方法が挙げられます。
近年健康志向で需要が増す小麦ふすまは、従来の乾燥麺では硬い組織や特有の臭いにより食感や風味に課題があり、特に乾燥工程を含む麺類では強度が低下し破損しやすい問題がありました。
これに対して、熱処理された平均粒径60~280µmの小麦ふすまを10~40質量%、蕎麦粉15~60質量%、グルテン3~15質量%、小麦粉10質量%以上含有する原料粉を用いて生地を調製し、成形・乾燥させることで、食感と強度を両立し、破損しにくい乾燥麺類を製造する方法が開発されています(以下URL)。
乾燥麵類の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7693354/15/ja
関連する専門分野の例:食品工学(小麦ふすまの平均粒径、熱処理条件、各粉類の配合比率が生地のレオロジー特性(粘弾性、混捏特性)や成形性(押出性、圧延性)に及ぼす影響の評価、乾燥工程における温度、湿度、風速といった環境因子が麺線の乾燥速度、収縮、内部応力発生、最終的な強度と食感に与える影響のモデル化および乾燥メカニズムの解明)、食品科学(熱処理された小麦ふすまの成分(食物繊維、タンパク質、脂質など)の構造変化や特有の穀物臭の原因物質の生成・変化の分析および風味改善メカニズムの解明、グルテン、蕎麦粉、小麦粉、小麦ふすまに含まれるタンパク質間の相互作用が生地の物性や茹で麺の食感に及ぼす影響を分子構造レベルで評価)
従来の卵炒めは、ふんわりとした自然な外観を得るための明確な考慮がなく、消費者のニーズに応えきれていませんでした。
これに対して、複数の凝固卵片を有し、体積15cm³以上50cm³未満の凝固卵片の合計質量が全凝固卵片の合計質量に対して30%以上80%以下であることにより、ふんわりとした自然な外観を実現する卵炒めが開発されています(以下URL)。
ふんわりとした自然な外観を実現する卵炒め→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7653278/15/ja
関連する専門分野の例:食品工学(フライパンや炒め機などの調理器具における加熱面の温度分布、油の熱伝達特性、液卵の投入量と広がり方が凝固卵片の形成速度とサイズに与える影響の解析、剥がし工程におけるスクレイパーの形状、材質、移動速度、および繰り返し回数が凝固卵片の破壊挙動と最終的なサイズ分布に及ぼす影響の評価)、食品科学(加熱温度と時間の組み合わせが卵白および卵黄タンパク質の変性度、凝集状態、水分保持能力に与える影響の分析および最適なふんわり感と保形性を生み出すタンパク質ネットワーク構造の特定、加工デンプンなどの副原料の種類や添加量が液卵の粘度、熱凝固特性、最終的な凝固卵片のテクスチャー(例:弾力性、もろさ)に及ぼす影響の解析)
従来の加熱野菜は光照射下での陳列や保存中、特に緑色の退色や表面乾燥により外観が劣化する問題がありました。
これに対して、まず野菜を0.01質量%以上含有する50℃以上100℃以下のカルシウム塩水溶液と接触させて加熱する工程と、次にこの加熱済みの野菜を0.5質量%以上含有するLMペクチンと酸化防止剤を含む水性液に浸漬させる工程を有することにより、加熱工程で野菜表層にカルシウムイオンを付着させ、続く浸漬工程でペクチンとの相互作用により表面にゲル状の層を形成することで、光照射下においても野菜の緑色の退色を効果的に抑制し、表面の乾燥も抑制された加熱野菜を製造する方法が開発されています(以下URL)。
加熱野菜の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7627119/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(加熱工程におけるカルシウムイオンの野菜組織への取り込み量と局在の評価、浸漬工程におけるLMペクチンとカルシウムイオンの架橋反応によるゲル層形成メカニズムの解析およびゲル層の物理的特性(厚さ、密度、均一性)と水分バリア機能との相関の解明、光照射条件下でのクロロフィルの分解経路と酸化防止剤の種類や濃度が分解反応に与える影響の評価および退色抑制効果のメカニズムの解明)、生物化学(加熱工程におけるカルシウムイオンが野菜細胞壁のペクチン質に結合するメカニズムの特定および細胞壁の強化や酵素活性抑制への影響の評価、クロロフィル分解に関わる酵素(例:クロロフィラーゼ)の活性に対する加熱処理とカルシウムイオンの影響の評価および酵素的退色の抑制メカニズムの解明、LMペクチンとカルシウムイオンが形成するゲル構造が野菜表面の細胞間隙における水分移動とガス交換にどのように影響するかの解析)
具体例として終末糖化産物(タンパク質と糖が熱で結合してできる老化や病気を引き起こす物質)の分析方法が挙げられます。
従来の終末糖化産物(AGE)分析は酸処理後の乾燥や溶出液の乾燥に長時間を要し、自動化や迅速な臨床応用を阻害していました。
これに対して、生体試料を終濃度1~12Nの塩酸溶液で酸処理した後、水または揮発性の中性~塩基性溶液で希釈し、乾固することなく強酸性陽イオン樹脂に接触させ、精製工程ではLC-MS分析に用いる有機溶媒を20~80質量%含み、かつ塩基性化合物を1~7質量%含む水溶液を溶離液として用い、得られた溶出液を乾固処理せずに直接LC-MS分析に供することにより、煩雑な乾固工程を省略でき、AGEの高感度な分析の時間短縮が可能となる終末糖化産物の分析方法が開発されています(以下URL)。
終末糖化産物の分析方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7460566/15/ja
関連する専門分野の例:分析化学(LC分離におけるカラムの種類(HILIC、逆相など)、移動相組成(有機溶媒の種類と濃度勾配、pH調整剤)、流速、カラム温度が多様なAGEsの分離能、ピーク形状、分析時間に与える影響の評価、MS検出におけるイオン化法(ESI、APCIなど)、イオン源の温度、キャピラリー電圧、断片化条件(衝突エネルギー)の最適化、内部標準物質の選定と検量線作成および生体試料中の微量なAGEsを高い信頼性で定量するためのバリデーション(直線範囲、検出限界、定量限界、精度、真度)の実施)、生物化学(酸処理工程における塩酸濃度、加熱温度、加熱時間が生体高分子(タンパク質、核酸など)の完全な加水分解とAGEsの構造安定性に与える影響の評価、還元処理の有無や還元剤の種類がアマドリ転位生成物の安定化、その後のAGEsへの変換抑制に及ぼす影響の検証および最も効果的な還元条件の特定、強酸性陽イオン交換樹脂への多様なAGEsの吸着挙動の予測および異なるpH条件やイオン強度下での吸着・溶出プロファイルの解析)
具体例として睡眠改善剤が挙げられます。
従来の睡眠改善剤は効果に個人差があり、ノンレム睡眠時間を減少させる副作用や安全性への懸念がありました。
これに対して、特定の化学構造式で表されるアルキルレゾルシノールを有効成分として含有することで、ノンレム睡眠時間の長期化または入眠潜時の短期化を促し、副作用が少なく安全性が高いという効果を発揮する睡眠改善剤が開発されています(以下URL)。
睡眠改善剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6516259/15/ja
関連する専門分野の例:薬化学(一般式(I)におけるR1の炭素鎖長や不飽和度、R2の種類、レゾルシノール環上の置換位置がノンレム睡眠時間の延長や入眠潜時の短縮に与える影響の評価、異なる構造を持つアルキルレゾルシノール誘導体を効率的に合成するための新規合成経路の検討および収率向上と不純物低減を目指した反応条件の最適化、合成されたアルキルレゾルシノールや天然物から抽出されたアルキルレゾルシノールの純度、異性体比率、微量不純物を高精度に定量する品質管理方法の確立)、薬理学(アルキルレゾルシノールがGABA受容体、セロトニン受容体、アデノシン受容体など睡眠調節に関わる神経伝達物質受容体への結合親和性や機能的影響の評価、マウスやラットなどの動物モデルによるアルキルレゾルシノール投与後の脳波解析およびノンレム睡眠(デルタ波など)およびレム睡眠(シータ波など)の質的・量的変化の評価やヒトでの作用の予測、中枢神経系におけるアルキルレゾルシノールの作用部位の特定、長期投与試験においてアルキルレゾルシノールの睡眠への効果が持続するか耐性や依存性が生じないかを動物モデルで評価および副作用プロファイル(例:筋弛緩作用、鎮静作用、記憶障害)の検討)
具体例として冷凍食品の横ピロー包装機(筒状に包んで両端を閉じる包装方式の包装機)が挙げられます。
従来の包装機では、高速運転時のセンターシール強度不足やフィルム融着による加熱ローラ汚染が問題でした。
これに対して、表面基材フィルムと低融点シーラントフィルム(熱で溶けてくっつく包装材の接着層)からなる帯状フィルムを使用し、センターシール部を加熱する一対の第1加熱ローラと、さらに加熱する一対の第2加熱ローラを備えた包装機であり、これら加熱ローラの温度は基材フィルムの融点より低くシーラントフィルムの融点より高い、かつシール強度が15N/15mm以上となる温度に精密に制御され、加熱後、一対の圧着ローラで冷却・圧着することでシール部を迅速に固化させるこの多段階加熱と温度精密制御および冷却圧着により、高速運転下でも高強度なシールを実現し、加熱ローラへのフィルム付着を防ぎ、シーラントフィルムの脆化や凝固収縮を抑制することで冷凍食品包装の品質を向上させる横ピロー包装機が開発されています(以下URL)。
冷凍食品の横ピロー包装機→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7114210/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(基材フィルムとシーラントフィルムそれぞれの融点、凝固点、ガラス転移温度などの熱特性の評価および最適なシール温度範囲の導出、各フィルム材料の分子配向や結晶構造の変化がシール強度に与える影響の解析、シーラントフィルムの加熱・冷却プロセスにおける結晶化挙動の追跡および非晶性を維持するための最適な冷却速度の特定)、機械工学(第1および第2加熱ローラにおける熱伝達率を向上させるための表面処理(例:コーティング材の選定、表面粗さの最適化)や内部構造(例:ヒーター配置、冷却チャンネル設計)の検討、ローラの回転速度、挟持力、予熱部の温度がフィルムの加熱時間とシール品質に与える影響の解析および高速運転下での最適な機械的パラメータの導出、ローラの材質、内部冷却媒体の種類と流量、冷却構造の設計、フィルムの凝固収縮を抑制するための最適な冷却時間の特定、複数の加熱ローラと圧着ローラの組み合わせにおいて各ローラの温度・圧力・速度を連携制御するための制御ロジックの設計)
(5)ニップン|開発トレンドと専門性

A23Lが最も多いです。次いでA21D、A61Kが多いです。
具体例として酒類漬け果実類製造装置が挙げられます。
従来の酒類熟成は長期間を要し、製造コスト増大が問題でした。
これに対して、酒類漬け果実類を製造する際に酒類と果実類と共に容器へ投入する表面に特定の微細凹凸が形成された部材を特徴とする果実類製造装置であり、この凹凸が波長1μm以下の範囲で平均波高対波長比が0.0001以上であり、金属体(球状や板状など)として酒類中に投入されるか、または酒類が接触する容器の内面(一部または全部)に形成されることにより、果実から酒類へのエキス抽出や酒類の果実への浸透および全体の熟成が促進され製造期間とコストの削減を実現する果実類製造装置が開発されています(以下URL)。
酒類漬け果実類製造装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7557804/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(凹凸表面が酒類中の水分子、アルコール分子、および果実由来成分(糖、有機酸、アミノ酸など)のクラスター構造や水素結合ネットワークに与える影響の解析および分子レベルでの相互作用の解明、表面の微細構造が、液体分子の吸着・脱着挙動や界面における物質移動速度に及ぼす影響の評価)、食品科学(凹凸部材を用いた際の酒類漬け果実類の熟成過程における、糖度、酸度、pH、アルコール度数、揮発性成分(例:エステル、アルデヒド)、非揮発性成分(例:有機酸、アミノ酸、ポリフェノール)などの化学組成変化の分析、官能評価の実施、香りの複雑さ、味わいのまろやかさ、色の変化など熟成度の指標となる項目の評価および凹凸による品質向上の客観的証拠の確立、凹凸部材の形状、材質、投入量、酒類の種類、果実の種類、漬け込み温度、期間などの製造パラメータが酒類漬け果実類の熟成速度と最終品質に与える影響の最適化)
従来の揚げ物衣は歯切れの経時劣化や油っぽさが問題でした。
これに対して、水分含有量が5質量%以下に凍結乾燥された小麦粉を20質量%以上100質量%以下の範囲で含むことにより、小麦粉の組織構造が独特の多孔質状態となり、衣の内部に余分な油が浸透しにくくなり、低水分であるため揚げ物調理時の水分蒸発が効率的になり、歯切れが良く油っぽさを感じにくい揚げ物を実現するブレッダーが開発されています(以下URL)。
揚げ物用ブレッダー→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7638608/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(凍結乾燥小麦粉の水分活性と衣の歯切れ維持特性の関係の分析および特定水分量以下での品質安定性の検証、凍結乾燥が小麦粉のデンプンやタンパク質の高次構造に与える影響の解析および揚げ物衣のテクスチャー形成にどのように寄与するかの解明、凍結乾燥小麦粉の配合割合が揚げ物の油吸着量に与える影響の評価および油っぽさ低減メカニズムの解明)、化学工学(小麦粉の凍結乾燥において乾燥時間、温度、真空度、氷晶形成条件などのプロセスパラメータが最終製品の水分含有量、粉体物性(例:嵩密度、流動性)、コストに与える影響の解析および最適な運転条件の導出、凍結乾燥装置内の熱および物質収支を考慮したシミュレーションモデルの構築およびスケールアップ時の乾燥効率と品質再現性の予測・最適化)
従来の揚げ物衣は調理後の時間経過による歯切れの悪化や油っぽさが問題でした。
これに対して、小麦粉を50質量%以上含み、そのうち水分含有量5質量%以下に凍結乾燥された小麦粉が特定量配合され、ブレッダーを使用しない揚げ物の場合は凍結乾燥小麦粉を小麦粉中5~100質量%含み、ブレッダーを使用する場合は5~80質量%含み、その特有の多孔質構造により衣の吸油を抑制し、揚げ物特有のサクサクとした歯切れの良い食感を実現する揚げ物用バッターミックスが開発されています(以下URL)。
揚げ物用バッターミックス→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7628378/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(凍結乾燥小麦粉の水分活性、粒度分布、表面構造、デンプンの損傷度やタンパク質の変性状態の分析および揚げ物衣のサクサク感、脆さ、油っぽさにどのように寄与するかの解明、揚げ物調理中のバッター中の水分移動、デンプンの糊化・老化、タンパク質の熱凝固といった動的な現象の追跡および凍結乾燥小麦粉がこれらのプロセスに与える影響の評価)、化学工学(小麦粉の凍結乾燥プロセスにおいて凍結速度、乾燥温度、圧力、乾燥時間などのパラメータが最終的な粉体の水分含有量、粒度分布、多孔質構造、コストに与える影響の評価、バッターミックスの混合プロセスにおいて異なる種類の粉体(凍結乾燥小麦粉、通常の小麦粉、澱粉など)が均一に分散するような混合機(例:リボンミキサー、V型ミキサー)の選定や運転条件(例:混合時間、回転速度)の最適化)
具体例として減塩パンの製造方法が挙げられます。
従来の減塩パン製造では、生地のべたつきによる作業性の悪化やパン体積の不足が問題でした。
これに対して、中種製パン法を用い、穀粉原料100質量部に対し0.5~1.5質量部の食塩を全量中種に配合し、脱脂粉乳は穀粉原料100質量部に対して4~8質量部配合し、その使用量の20質量%以上を中種に加え、中種の発酵時間を2~3時間に限定することにより、生地のべたつきを抑えて良好な作業性を実現し、十分なパン体積と風味を両立した減塩パンの製造方法が開発されています(以下URL)。
減塩パンの製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7677741/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(食塩や脱脂粉乳が生地中のグルテンネットワーク形成やデンプンの糊化に与える影響の解析および生地の伸展性、弾力性、べたつきとの相関の解明、中種における食塩と脱脂粉乳の濃度が酵母の活性や発酵副産物(例:アルコール、有機酸)の生成に与える影響の評価および発酵時間との関係性の最適化)、生物化学(中種中の食塩濃度が酵母の細胞膜の機能や酵素活性に与える影響の解析、脱脂粉乳に含まれる乳タンパク質が生地のグルテンネットワーク形成や水保持能力に及ぼす生化学的効果の解析)
従来のアーモンドプードルは高価で酸化しやすく、取り扱いが困難でした。
これに対して、コーンフラワー、粉末状大豆タンパク、デュラム小麦粉から選ばれる2種以上の粉状物と食用油から構成され、粉状物のうち少なくとも2種はそれぞれ粉状物全体の30質量%以上を占め、食用油は粉状物全体100質量部に対し80~120質量部配合されたこれらの特定の組み合わせと比率により、アーモンドプードル使用時と同等の口溶けの良い食感が得られ、焼き菓子の品質を向上させる食感改良組成物が開発されています(以下URL)。
アーモンドプードルの代替となる食感改良組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7467016/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(各粉状物の粒度分布、デンプンの糊化特性、タンパク質の水和特性などの分析および焼き菓子生地のレオロジー特性や焼成後の食感(特に口溶け)にどのように影響するかの解明、組成物中の食用油が粉状物とどのように相互作用し分散状態を保つかの評価および油の分離抑制メカニズムの解明)、化学工学(各粉状物(コーンフラワー、粉末状大豆タンパク、デュラム小麦粉)の物理的特性(例:密度、嵩密度、安息角)の評価および混合プロセスの効率と均一性に与える影響の分析、粉状物と食用油の最適な混合方法の検討および油の凝集や粉体のダマ形成を防ぐ条件の特定)
具体例としてトリテルペン類包接物の製造方法が挙げられます。
従来のトリテルペン類包接物製造では、水溶性向上目的で炭酸水素ナトリウムを添加し、苦味や製造時の発泡が問題でした。
これに対して、まずトリテルペン類のアルコール溶液とサイクロデキストリンの水溶液をそれぞれ調製し、これらをトリテルペン類とサイクロデキストリンの質量比が1:9~1:11となるように混合して包接化(この際、アルコール溶液調製時にアルカリを添加しない)させ、最後に得られた反応物を乾燥粉末とすることにより、苦味や発泡の問題を解決して口腔内でのトリテルペン類の溶出性と味が向上された包接物を製造する方法が開発されています(以下URL)。
トリテルペン類包接物の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6372025/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(異なる種類のサイクロデキストリン(α, β, γなど)やその誘導体を用いたトリテルペン類との包接錯体の形成定数や熱力学的安定性の評価、包接錯体の構造の計算化学手法などによる予測およびトリテルペン類とサイクロデキストリン間の相互作用(例:水素結合、疎水性相互作用)の解明、包接体の水溶性や経時安定性を向上させるためのサイクロデキストリンの化学修飾(例:ヒドロキシプロピル化、スルホブチルエーテル化)についての検討および修飾が包接効率や最終製品の品質に与える影響の評価)、化学工学(トリテルペン類のアルコール溶液とサイクロデキストリン水溶液の混合工程において混合速度、温度、時間、溶液供給方法などの操作条件が包接効率、沈殿物の形成、最終製品の粒度分布に与える影響の評価および最適な反応器設計と運転条件の決定、包接化後の濃縮・水置換、凍結乾燥といった固液分離および乾燥工程において発泡抑制、製品回収率の向上、残留溶媒の低減を目的としたプロセスパラメータ(例:凍結速度、乾燥温度・圧力、棚間隔)の最適化)
(6)昭和産業|開発トレンドと専門性

A23Lが最も多いです。次いでA21D、A23Dが多いです。
具体例として小麦粉組成物が挙げられます。
従来の小麦粉二次加工品は加熱調理後に冷凍・冷蔵すると老化が進行し、食感の低下やつるみの不足、麺のよじれが生じる問題がありました。
これに対して、アミロース合成遺伝子が三重欠失したもち性小麦由来の小麦粉Aと、二重欠失した低アミロース小麦由来の小麦粉Bを含み、かつ、体積基準で粒子径50μm以下の粒子の割合が55%以上であることにより、小麦粉二次加工品の老化耐性が向上し、加熱調理後のよじれが抑制され、つるみも向上した小麦粉組成物が開発されています(以下URL)。
小麦粉組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7553682/15/ja
関連する専門分野の例:農学(効率的にアミロース合成遺伝子の特定組合せの欠失を導入した小麦系統の作出、DNAマーカーを用いたWx遺伝子型の確認、アミロース含有量、澱粉粒の形態、糊化特性(RVAなど)の分析および目的の品質特性を持つ個体の選抜)、食品科学(小麦粉A、小麦粉Bおよびそれらの混合組成物のデンプンについて糊化特性、老化の速度、結晶構造の変化の評価、異なる配合の小麦粉組成物の生地の伸展性、弾力性、ミキシング特性(吸水率、安定時間)の測定およびグルテンネットワークの形成状態との相関の解明)
従来の加熱調理後、冷蔵・冷凍される麺類は茹でたての食感が失われ、中心の弾力や表面のふっくら感が不足していました。
これに対して、麺類の製造工程において製麺原料粉と水を0.06MPa以上の高真空下で第一混捏をおこない、次に第一混捏より低い真空度(0MPa以上)で第二混捏をおこない、第一混捏時間T1と第二混捏時間T2の比率(T1:T2)を1:0.1~0.8に制御することで、茹で立てのような中心の弾力が強く、表面がソフトでふっくらした食感の麺類を一般的な機械製麺機で製造することが可能になる麺類の製造方法が開発されています(以下URL)。
麺類の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7303955/15/ja
関連する専門分野の例:食品工学(異なる真空度条件と混捏時間比率で調製した麺生地について生地の物性(ミキシング特性、伸展性、弾性、粘性)の評価および最適な混捏条件の確立、麺生地および茹で上がり麺のデンプン粒の損傷度合い、グルテンネットワークの構造、水分分布の観察および真空混捏が麺のミクロ構造に与える影響の解明、麺の中心と表面における水分活性、デンプンの老化度合い、タンパク質の変性の分析および食感変化のメカニズムの解明)、機械工学(第一混捏工程における高真空環境と混捏効率を両立させるための混捏機の設計、第一混捏物から第二混捏工程への連続的な搬送および真空度切り替えをスムーズにおこなうためのシステム設計、圧延工程における麺帯の厚み、幅、均一性を高精度で制御するための圧延ロールの材質、表面処理、および駆動システムの最適化)
従来の植物性タンパク質を用いた代替肉は、肉に近い食感やジューシー感が不十分であるという問題がありました。
これに対して、冷凍された植物性タンパク質の非膨化押出成形物(肉の筋繊維のような層状構造を持つ)を水性の液体に浸漬させて解凍する工程を含むことにより、ジューシーでほぐれやすく肉特有の繊維感を持つ食感を実現する代替肉の製造方法が開発されています(以下URL)。
植物性タンパク質由来の代替肉の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7680855/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(凍結・解凍プロセスにおける植物性タンパク質(特に大豆タンパク質)の変性や凝集、水分の移動メカニズムの解析およびジューシー感やほぐれ感に影響する因子の特定、浸漬液の種類(水、調味液、塩水など)、温度、時間、pHが植物性タンパク質押出成形物の吸水特性、膨潤度、臭気成分の溶出に与える影響の評価)、化学工学(二軸押出機による植物性タンパク質の非膨化成形においてスクリュー構成、バレル温度プロファイル、ダイの設計、供給水分量などの操作条件が成形物の層状構造形成と水分率に与える影響の予測および最適な条件の導出、急速凍結技術の選定と冷凍速度が成形物の氷結晶形成、組織損傷、解凍後の物性に与える影響の評価および品質劣化を最小限に抑える冷凍条件の設定、液体浸漬解凍工程において成形物への液体の均一な浸透と解凍時間の短縮、エネルギー効率を両立させるための浸漬槽の設計(例:撹拌方式、温度制御、液体の循環システム)の最適化)
具体例として菓子類用小麦粉が挙げられます。
従来の菓子類は食感における口の中で感じられる崩壊感や咀嚼時の口残りに改善の余地がありました。
これに対して、原料小麦粉が常圧下で加水加熱処理され、水分含有量12.0~17.0質量%、偏光十字(デンプン粒が持つ規則的な結晶構造を示す偏光顕微鏡下で観察される特徴的な十字模様のこと)を示す澱粉粒の割合90%以上、RVA(穀物粉などの粘度変化をリアルタイムで測定する装置)最高粘度2300cP以上、中位径20~40μmであることで、デンプンの結晶性を保持しつつ特定の粒度と粘度特性が付与され、菓子類に崩壊感と少ない口残りを実現する菓子類用小麦粉が開発されています(以下URL)。
菓子類用小麦粉→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7633860/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(加水加熱処理条件(温度、時間、水分噴霧粒径)と小麦粉中の澱粉粒の形態変化(膨潤、糊化、損傷)、タンパク質(グルテン)の凝集・変性の分析、処理された小麦粉を用いて製造した各種菓子類(スポンジケーキ、クッキーなど)の内部構造(気泡の均一性、クラムのテクスチャー)、水分移動、咀嚼時の応力応答の評価)、化学工学(常圧下での加水加熱処理を均一かつ効率的におこなうための原料小麦粉の供給システム、水(水蒸気)の噴霧・供給装置、加熱チャンバーの設計最適化、加水加熱処理後の小麦粉の水分含有量を目標範囲に制御するための乾燥工程において熱風乾燥、マイクロ波乾燥、真空乾燥などの最適な乾燥方式の選定および乾燥速度とエネルギー効率のバランスを考慮したプロセスパラメータの決定、菓子類用小麦粉の特定の粒度分布(中位径20~40μm)を実現するための粉砕・分級システムの設計)
従来のパンケーキやどら焼きなどのバッター生地焼成食品は焼成時の型からの生地剥がれが悪く、製品歩留まりの低下や外観の損なわれる問題がありました。
これに対して、バッター生地を製造する際、液状油脂を除く液体材料(水と液卵を水/液卵比1/2以上で含む)全体の25~80質量%に、バッター生地中の糖類・糖アルコール全体の50質量%以上を事前に溶解する工程を設けることにより、糖の溶け残りを減らし、他の粉粒状材料の液なじみを良くして粉ダマの生成を抑制し、生地の均一性を向上させ、結果として、焼成時の生地剥がれが改善され、製品歩留まりと外観品質を向上させる方法が開発されています(以下URL)。
バッター生地焼成食品の焼成時の生地剥がれ改善方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7706873/15/ja
関連する専門分野の例:食品工学(糖類・糖アルコールを溶解した液体材料の粘度、表面張力、密度の測定およびその後の粉粒状材料との混合における流体力学的特性の評価、異なる混合条件(混合時間、撹拌速度、撹拌翼の形状)がバッター生地の均一性、グルテンネットワーク形成、気泡の分布に与える影響の評価、焼成プロセスにおける熱伝導と水分蒸発が焼成界面での生地剥がれやすさにどう影響するかの解析および焼成面と生地の付着力(粘着性)を物理的に評価するモデルの構築)、食品科学(糖類・糖アルコールの種類や濃度が液体材料(水、液卵)中での溶解度、溶解速度、溶液の物性(水活性、浸透圧)に与える影響の評価、工程Aによって得られる糖類溶液が小麦粉中のグルテンタンパク質(グルテニン、グリアジン)の凝集・水和挙動、デンプン粒の糊化特性に与える影響の解析、焼成プロセス中のメイラード反応やカラメル化反応といった糖関連の化学反応が焼成表面の性状(色、硬度、撥水性)および焼成面と生地との間の接着力にどのように寄与するかの分析)
具体例としてフライ用油脂組成物が挙げられます。
従来のフライ用油脂は高温での長時間使用により熱酸化や重合が進み、着色や粘度上昇、異臭発生といった劣化が問題でした。
これに対して、特定の組成を持つリン脂質の少量添加、具体的には3~75ppmのリン脂質を含有し、そのリン脂質中のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの合計含量が20質量%以下であり、かつリゾ化率が50%以上であることにより、長時間の加熱調理においても油脂の重合物増加、着色、加熱臭の悪化が抑制されるフライ用油脂組成物が開発されています(以下URL)。
フライ用油脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7603408/15/ja
関連する専門分野の例:食品科学(異なるPC/PE比率およびリゾ化率を持つリン脂質が油脂中のフリーラジカル生成、過酸化物価の上昇、アルデヒド・ケトン類(加熱臭の原因物質)の生成に与える影響の評価、リン脂質が油脂/水界面(フライ中に食材から水分が移行するため)にどのように配向し、熱分解生成物や酸化生成物の挙動に影響を与えるかの解析、リン脂質と油脂成分(トリアシルグリセロール、脂肪酸など)および揚げ物中の食材由来成分(タンパク質、炭水化物)との相互作用のモデル化および熱安定性向上に寄与する分子メカニズムの予測)、有機化学(リン脂質中のホスファチジルコリンとホスファチジルエタノールアミンの含量が低いかつリゾ化率が高いリン脂質の合成経路や酵素的改質方法の検討、目的とするリン脂質組成を効率的に製造するための反応条件(温度、pH、酵素濃度、反応時間)の最適化、リン脂質の構造(特に親水性/疎水性バランス)が高温油脂中での安定性、重合生成物への取り込み、金属イオンなどの触媒失活能に与える影響の評価、特定のリン脂質構造が油脂の重合反応を抑制するメカニズムの解析)
(16)まとめ
多くが食材や食材の製造方法に関する出願です。
その他、装置に関する出願、睡眠改善剤といった食材以外のものに関する出願も一部確認されます。
これらの出願につながる開発がおこなわれていることが予想されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)日清オイリオ

共同出願の例としてカカオ原料の製造方法が挙げられます。
高カカオ配合チョコレートは健康志向で需要が高い一方、苦味や渋味といった不快な風味が問題でした。
これに対し、カカオ原料製造工程において、カカオ豆を硬水で洗浄する工程を含むことにより、カカオ豆中の不快風味成分が効率的に除去され、雑味や不快な風味が低減し、良好な風味の製品が得られるカカオ原料の製造方法が開発されています(以下URL)。
カカオ原料の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7636124/15/ja
(2)J-オイルミルズ

件数が少ないので詳細は省略します。
(3)不二製油

件数が少ないので詳細は省略します。
(4)日清製粉

件数が少ないので詳細は省略します。
(5)ニップン

件数が少ないので詳細は省略します。
(6)昭和産業

件数が少ないので詳細は省略します。
(7)上記(1)~(6)(共同出願人)のまとめ
共同出願は多くないです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・化学系、材料系、食品系、生物系分野(応用化学、化学工学、界面化学、化学工学、有機化学、高分子化学、生物化学、分析化学、物理化学、材料工学、材料科学、食品科学、栄養学、食品工学、食品科学、応用微生物学など)
対象とする素材の分子構造と物性の相関関係の解析、粉体挙動の理論的・実証的解析、素材間の相互作用の解析、反応・加工プロセスや形態の最適化による特性の制御、対象者特性に応じた栄養組成設計、製造プロセス全体の最適化設計、利用する微生物機能の探索と利用設計、発酵プロセスの最適化と制御、代謝経路の解析と改変などが求められます。
・情報系分野(情報科学など)
劣化指標の時間データなど対象情報の構造化、データ異常値検出など所望の情報処理をおこなうアルゴリズムの設計、センサーデータ取得から報知信号出力までの取扱う情報のデータフロー設計などが求められます。
・機械系分野(機械工学など)
対象とする材料や装置の挙動などの物理的解析、高機能な熱伝達・熱制御システムなどの目的性能を実現するための構造設計、材料と機構の界面相互作用などの評価、各工程の最適な装置設計、運転パラメータ設定などが求められます。
・その他系分野(薬化学、薬理学、農学など)
薬学系では目的物質の構造-機能相関の解明と新規構造の設計、目的物質の生体機能調節メカニズムの解明、安全性と副作用発現メカニズムの検討とリスク評価などが、農学系では新規品種の育種、目的とする特性を有する植物を安定的に生産する系統の確立などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
食材そのもの(製造方法含む)に関する出願が多く、以前紹介した加工食品業界(味の素、キューピーなど)と似ています。
過去記事:【食品業界】開発職に求められる専門性とは?大手加工食品8社の特許で読み解く技術分野
大学の専攻と関連づけるとしたら、主に化学、材料、食品、生物の研究が該当する可能性があります。
また、情報、機械、薬学、農学も関係する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
6 次に何をすべきか迷っている方へ
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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
・特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
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