銅、アルミニウム、貴金属、レアメタルなどの非鉄金属は、自動車、家電、建設物から最先端の電子機器、エネルギー関連技術に至るまで不可欠な素材ですが、素材そのものは最終製品の内部に組み込まれることが多いため一般には馴染みが薄い領域です。
また、近年ではEV用バッテリーの正極材、半導体パッケージ用の超高純度金属、都市鉱山から資源を回収するリサイクル技術の開発などの取り組みがあげられます。
しかし、企業サイトの断片的な情報だけでは、どのような研究開発がおこなわれているのか、どのような専門性が求められるのか、その全体像を把握するのは容易ではありません。
この問題に対し、特許情報を活用します。
特許情報は企業の開発の軌跡であり、客観的なエビデンスになり得る情報です。
本記事では、採用サイトとは別の視点で、三菱マテリアル、住友金属鉱山、JX金属、三井金属鉱業、DOWA、UACJ、日本軽金属の研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。
結論(概要)は以下の通りです。
・機械系分野(機械工学、生産工学、金属工学、精密工学など)
・材料系分野(材料工学、金属工学、材料化学など)
・化学系分野(応用化学、化学工学、分析化学、電気化学、材料化学、工業化学、無機化学、界面化学など)
・物理系分野(応用物理学など)
・情報系分野(情報工学など)
・電気系分野(電気工学、電気電子工学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 非鉄金属業界
2.1 非鉄金属業界とは
ここでは、銅、アルミニウム、亜鉛などの金属を対象に、鉱石から精錬したり、電子部品材料などを開発、製造する業界を意図します
金属の種類や材料の用途について厳密な区別はしていません。
2.2 サーチ対象
以下の非鉄金属メーカー7社を対象にしました。
(2)住友金属鉱山
(3)JX金属
(4)三井金属鉱業
(5)DOWA
(6)UACJ
(7)日本軽金属
DOWAは、以下の企業のデータを用いました。
・DOWAホールディングス株式会社
・DOWAサーモテック株式会社
・DOWAメタルマイン株式会社
・DOWAエレクトロニクス株式会社
・DOWAエコシステム株式会社
・DOWAメタルテック株式会社
・DOWAテクノロジー株式会社
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
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法人向け |
・ノズル |
・ニッケル酸化鉱石の高圧硫酸浸出における制御方法 |
モノの開発としては、例えば、各種の合金が挙げられます。
サービスの開発としては、例えば、金属浸出方法などが挙げられます。
3.2 出願件数の推移
下図は非鉄金属メーカー7社の特許出願件数の推移です。

三菱マテリアル、住友金属鉱山、JX金属の3社は上図期間中、変動が大きいです。
ただし、各社とも毎年一定以上の出願がなされており、これらの出願につながる開発が日々おこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
三菱マテリアル>住友金属鉱山>JX金属≒DOWA≒三井金属鉱業>日本軽金属≒UACJ
だと言えます(JX金属、DOWA、三井金属鉱業の出願件数、日本軽金属、UACJの出願件数は同程度です)。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
金属の連続鋳造などがこれに該当します。
日本軽金属がこの分野から多く出願しています。
金属粉質からなる複合層などがこれに該当します。
住友金属鉱山、三井金属鉱業、DOWAがこの分野から多く出願しています。
旋削機械などがこれに該当します。
三菱マテリアル、UACJがこの分野から多く出願しています。
ハンダ付などがこれに該当します。
UACJ、日本軽金属がこの分野から多く出願しています。
銅化合物などがこれに該当します。
住友金属鉱山、三井金属鉱業、DOWAがこの分野から多く出願しています。
溶融スラグの処理などがこれに該当します。
三菱マテリアルがこの分野から多く出願しています。
金属への還元などがこれに該当します。
住友金属鉱山、JX金属がこの分野から多く出願しています。
非鉄合金の製造などがこれに該当します。
JX金属、UACJ、日本軽金属がこの分野から多く出願しています。
溶融浸漬法などがこれに該当します。
JX金属がこの分野から多く出願しています。
イオン注入装置などがこれに該当します。
三菱マテリアル、DOWAがこの分野から多く出願しています。
電池などがこれに該当します。
三井金属鉱業がこの分野から多く出願しています。
3.5 非鉄金属メーカー7社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)三菱マテリアル|開発トレンドと専門性

上図期間中、B23Bがもっと多いです。次いでH01L、Ⅽ23Ⅽ、Ⅽ22Ⅽ、B23Ⅽ、Ⅽ04Bが多いです。
具体例としてドリルが挙げられます。
従来のドリルでは、特にドリル径が大きい場合に加工中に長く伸びた切屑が折れ曲がったり外側に広がったりしてドリルに巻き付きやすく、切屑処理が困難になるという問題がありました。
これに対し、中心軸方向に延びるボディを有し、先端面から後端側に延びる切屑排出溝、すくい面、逃げ面、切刃を備え、すくい面が第1すくい面と第2すくい面を有し、第2すくい面が径方向外側へ向かうに従いドリル回転方向とは反対方向に延びること、第2切刃の径方向すくい角が全長にわたりネガティブ角であることに特徴を有し、これにより第2切刃による切削抵抗を高め、生成される切屑を硬化させ、折れ曲がったり外側に広がったりするのを抑制し、また、切刃の刃先にはホーニングが施されて第1切刃と第2切刃の接続部に向かってホーニング幅が大きくなっていることで、刃先の欠損を抑制し耐久性を向上させたドリルが開発されています(以下URL)。
切刃の径方向すくい角がネガティブ各であるドリル→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7663064/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(切削性能と切屑排出性を両立させるためのドリル形状(溝形状、ねじれ角など)の設計、切削抵抗や切屑の流れの予測・評価)、材料工学(切削時の高温や高負荷に耐え、耐摩耗性、耐チッピング性に優れた超硬合金や高速度工具鋼などの基材選定、さまざまなコーティング材料および成膜条件で作製したドリルの切削試験、摩耗量、摩擦係数、表面粗さなどの評価、最も耐久性の高い組み合わせの特定)
従来の切削工具では切刃へのクーラント供給が十分でなく、冷却性、切屑処理性、加工面品位の向上が課題でした。
これに対して、クーラント供給路の開口部に挿入される取付筒と、ノズル部と、流路とを備え、ノズル先端のクーラント吐出口が正面視で左右方向に延びる下辺を有し、下端部の左右方向の開口幅が上端部よりも大きいという特徴により、切刃の刃長方向に沿ってクーラントを効率よく供給し、冷却性、切屑分断性、潤滑性を向上させ、また、ノズル部がクランプ部材で押圧される傾斜したクランプ面を有することにより、簡素な構造でホルダへの固定と回り止めを実現するクーラント吐出部材が開発されています(以下URL)。
クーラント吐出部材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7559650/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(クーラント吐出部全体の機構設計、ホルダへの取り付け構造およびクランプ機構の設計)、材料工学(クーラント液の腐食性や切削時の摩耗に耐えるためのクーラント吐出部材の材料選定、耐食性を向上させるための表面コーティングの適用検討)
具体例として半導体デバイス製造プロセスに使用されるプラズマ処理装置用電極板が挙げられます。
従来のプラズマ処理装置用電極板では、表面に付着したデポジット物が剥がれ落ちてパーティクルとなり、半導体ウェハなどの被処理基板の不良を引き起こす問題がありました。特に、デポジット物の付着を抑制する技術や付着しても剥がれにくい表面構造に関する改良が求められていました。
これに対して、表面の測定断面曲線を高速フーリエ変換して得られる振幅スペクトルの和において、特定の空間周波数帯域の成分比率、具体的には、空間周波数1~30cycleの成分が全体の38~50%、30~120cycleの成分が全体の35~50%であり、残部が120cycleを超えるように調整され、これによる表面粗さパターンにより、比較的粗い凹凸によるせん断応力分散効果と微細な凹凸によるアンカー効果が相乗的に働き、デポジット物を効率的に捕捉し、パーティクルの発生を抑制するプラズマ処理装置用電極板が開発されています(以下URL)。
プラズマ処理装置用電極板→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7585900/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(プラズマ中のイオンやラジカルのエネルギー分布、電極板表面への入射角度および表面での反応メカニズムの分析、異なる空間周波数成分を持つ表面でのデポジット物の核形成、成長および剥離の過程の評価)、応用化学(電極板表面の微細構造とデポジット物の付着メカニズムの解明、パーティクル発生を抑制するための表面改質技術の探索)
従来のヒートシンク一体型絶縁回路基板では、温度変化によって面に直交する方向に応力が発生し、回路層と絶縁樹脂層間あるいは絶縁樹脂層内部で剥離が生じるという問題がありました。特に、熱膨張率の異なる材料を積層した構造において、この剥離が顕著でした。
これに対して、ヒートシンクの天板部をアルミニウム層と銅層のクラッド構造とし、アルミニウム層の厚さ(ta)と銅層の厚さ(tc)の比(ta/tc)を0.1以上30以下にすることで、温度変化によって生じる面に直交する方向への応力を低減し、回路層と絶縁樹脂層との剥離および絶縁樹脂層の内部剥離を抑制するヒートシンク一体型絶縁回路基板が開発されています(以下URL)。
ヒートシンク一体型絶縁回路基板→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7608891/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ヒートシンク一体型絶縁回路基板全体の構造設計、温度変化による変形や応力を考慮した材料選定と接合方法の検討)、応用化学(金属表面の粗化処理やシランカップリング剤などの表面改質剤、熱伝導性フィラーを添加した接着剤の選定、評価)
具体例としてディスプレイパネル等のシールド層成膜に用いられる円筒型の酸化物スパッタリングターゲットが挙げられます(スパッタリングターゲット:薄膜形成技術でイオンをぶつける的になる材料)。
従来の円筒型スパッタリングターゲットは製造時の軸線方向の加圧不均一により密度ばらつきが生じやすく、スパッタ時の割れやスパッタレートのばらつき、使用効率の低下といった問題がありました。特に、大型の円筒型ターゲットではこの問題が顕著でした。
これに対して、金属成分としてジルコニウム、ケイ素、インジウムを含む酸化物からなり、円筒形状を有し、円筒の軸線方向における密度のばらつきが3%以内とされることで、ボンディング時やスパッタ時の割れを抑制し、軸線方向のスパッタレートのばらつきを抑え、安定したスパッタ成膜を可能にする酸化物スパッタリングターゲットが開発されています(以下URL)。
酸化物スパッタリングターゲット→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7028268/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(スパッタリングターゲットの設計、円筒型ターゲットの形状や寸法がスパッタレートの均一性やターゲットの寿命に与える影響の解析、ターゲット製造における成形装置の制御パラメータ(圧力分布、加圧速度など)が密度均一性に与える影響の評価、高精度な成形を実現するための装置改良や制御方法の検討)、応用物理学(ターゲット表面からの原子の放出メカニズム、プラズマ中の輸送現象および基板上での薄膜形成過程の解明、ターゲットの密度や組成の不均一性がスパッタレートや異常放電に与える影響の評価)
具体例として電子・電気機器用銅合金が挙げられます。
従来の電子・電気機器用銅合金では、厚肉化が進むとプレス加工時の打ち抜き加工性が低下する、あるいは高温環境下での使用において耐応力緩和特性が不十分であるといった問題がありました。
これに対して、特定の範囲のSn、Ni、Znを合計で含有し、残部がCuおよび不可避的不純物からなる組成を有し、かつ、圧延方向および圧下方向を含む平面を観察面とし、EBSD法(電子線を使って材料の中の結晶の向きを色分けして見る方法)で解析した際の粒界3重点における特殊粒界とランダム粒界の割合(0.23<(NFJ2/(1-NFJ3))0.5≦0.45)が特定の範囲に制御されることで、打ち抜き加工性の低下を抑制し、厚肉化された電子・電気機器部品においても導電性、強度、耐応力緩和性および加工性を両立する電子・電気機器用銅合金が開発されています(以下URL)。
電子・電気機器用銅合金→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7351171/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(合金組成の設計、熱処理条件(加熱・冷却速度、温度、時間)の最適化、圧延などの塑性加工条件の探索)、生産工学(溶解・鋳造プロセスにおける成分均一化や介在物低減技術、圧延プロセスにおける組織制御や寸法精度向上技術、プレス加工プロセスにおける成形性向上や不良低減技術などの検討)
具体例としてエンドミルが挙げられます。
従来のエンドミルでは、縦突き加工やランピング加工時にエンドミル回転中心付近の底刃に大きな切削負荷が集中し、欠けが発生しやすいという問題がありました。特に、底刃がエンドミル回転中心を越えて延びるような形状ではこの問題が顕著でした。
これに対して、先端逃げ面に底刃と、これに連なる逃げ角の異なる第1および第2先端逃げ面を有し、底刃の内周端部における第1先端逃げ面に鈍角に交差するチャンファー面(刃先の角を意図的に丸くしたり面取りしたりした部分)が形成され、このチャンファー面と第1先端逃げ面との交差稜線部が軸線方向の先端側から見てエンドミル回転中心を通るか、またはその近傍(外周刃直径の0.1倍以内)に位置するように底刃に対して90°以下の角度で延びる構成により、エンドミル回転中心近傍の底刃強度を高め、縦突き加工やランピング加工時における欠けの発生を抑制するエンドミルが開発されています(以下URL)。
エンドミル→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7497634/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(エンドミル形状の設計、切削条件(回転数、送り速度)の最適化、工作機械とのインターフェース設計、切屑排出機構の改善)、金属工学(超硬合金などの硬質材料の組成制御、焼結プロセスの改善、微細組織の分析、強度や硬度などの機械的特性評価)
具体例として切削工具などに用いられる立方晶窒化硼素(cBN)焼結体が挙げられます。
従来のcBN焼結体は製造時に混入する不純物の影響や結合相の組成・割合の最適化が不十分なために、高硬度鋼の切削などで十分な耐摩耗性・耐欠損性を発揮できない場合がありました。
これに対して、特定の割合(30~85体積%)のcBN粒子と結合相を有し、結合相にはVB-VC、TaB-TaC、NbB-NbC、CrB-CrCのいずれか1つの遷移金属化合物群が含まれ、その遷移金属元素の含有量が0.1~0.8原子%に制御され、結合相中の金属硼化物(111回折線強度:IMB)と金属炭化物(111回折線強度:IMC)の強度比(IMB/IMC)が1.0~3.0の範囲に調整されているこの組成と構造により、耐摩耗性と耐欠損性が向上し、高硬度鋼などの切削工具として長寿命に利用できる立方晶窒化硼素焼結体が開発されています(以下URL)。
cBN焼結体→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7590695/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(原料粉末の合成・改質、焼結プロセスの最適化、焼結体の特性評価(硬度、強度、耐摩耗性など)、表面処理技術(例えば、コーティング)の探索)、応用物理学(X線回折や電子顕微鏡などの物理計測技術による焼結体の構造や組織の解析、焼結プロセスにおける相変化や物質移動現象に基づく最適な焼結条件の探索)
(2)住友金属鉱山|開発トレンドと専門性

Ⅽ22Bが最も多いです。次いでH01M、Ⅽ01G、G01N、Ⅽ30B、B22Fが多いです。
具体例としてニッケル酸化鉱石の高圧硫酸浸出における制御方法が挙げられます。
従来の高圧硫酸浸出法では、鉱石組成の変動によるニッケルやマグネシウムの浸出率の変化に対応できず、硫酸を過剰に使用したりニッケル浸出率が低下したりする問題がありました。特に、鉱石中のマグネシウムは多量の硫酸を消費するため、その影響を考慮した効率的な制御が求められていました。
これに対して、浸出工程に先立ちニッケル酸化鉱石のCr品位とMg品位を測定し、その比Cr/Mgを指標として硫酸の添加量を調整、具体的には、基準値(1.3~1.5)を設定し、Cr/Mgが基準値以上の場合には浸出液中の遊離酸濃度を低く(42~46g/L)設定し、基準値未満の場合には遊離酸濃度を高く(48~52g/L)設定することにより、鉱石組成の変化に応じて最適な硫酸添加量を決定し、高いニッケル浸出率を維持しながら硫酸の使用量を効果的に削減するニッケル酸化鉱石の高圧硫酸浸出における制御方法が開発されています(以下URL)。
ニッケル酸化鉱石の高圧硫酸浸出における制御方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7658359/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(物質収支・エネルギー収支を考慮したプロセスシミュレーションモデルの構築、さまざまな運転条件におけるニッケル浸出率、硫酸消費量、不純物挙動などの予測、Cr/Mg比に応じた最適な硫酸添加量制御ロジックの設計)、分析化学(ニッケル酸化鉱石の組成(特にCrとMgの品位)を高精度かつ迅速に分析する手法の確立、プロセス制御に必要な信頼性の高いデータの提供)
従来の有機溶媒の再生方法では、金属系不純物の除去はおこなわれていたものの有機溶媒の繰り返し使用に伴い蓄積する有機系不純物を効率的に除去することが困難であり、有機溶媒の分離能力低下を招くという問題がありました。
これに対して、(1)硫酸を添加して金属系不純物を除去する硫酸洗浄工程、(2)中和剤を添加してpH調整し、有機系不純物を水相に分離するアルカリ洗浄工程、(3)アルカリ洗浄後の重液に硫酸を添加して有機物を回収する澱物溶解工程、(4)回収した有機物を再度アルカリ洗浄工程に繰り返す、という工程により有機溶媒中の金属系不純物と有機系不純物の両方を効果的に除去し、再生された有機溶媒を再利用することできる有機溶媒中の有機系不純物の除去方法が開発されています(以下URL)。
不純物を含む有機溶媒から有機系不純物を除去する方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7425419/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(各工程(硫酸洗浄、アルカリ洗浄、澱物溶解)における最適な運転条件(温度、pH、反応時間、試薬濃度など)の決定、連続運転を想定したプロセスフローの設計、各ユニット操作間の連携やリサイクルシステムの構築)、分析化学(有機溶媒中に含まれるさまざまな有機系不純物の構造や化学的性質の特定、高精度な分析手法の確立)
具体例としてリチウムニッケル複合酸化物を主体とする正極活物質が挙げられます。
従来のリチウムイオン二次電池用正極活物質では、高出力化のために活物質表面にタングステン酸リチウムを被覆する技術が知られていましたが、被覆状態が均一でなく十分な出力特性向上が困難でした。
これに対して、リチウムニッケル複合酸化物を主体とするリチウムイオン二次電池用正極活物質であって、リチウム金属複合酸化物粒子の表面にタングステン酸リチウムの被覆を有しており、特定のSEM観察・二値化処理によって評価されるタングステン酸リチウムの濃縮部分の面積比が特定の範囲に制御されることで、被覆の均一性が高められ、リチウムイオン二次電池の高出力化を可能にするチウムイオン二次電池用正極活物質が開発されています(以下URL)。
リチウムニッケル複合酸化物を主体とする正極活物質→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7474833/15/ja
関連する専門分野の例:電気化学(被覆の有無や状態(濃縮部分の面積比など)が異なる正極活物質を用いた電池の抵抗成分の分離・定量化、異なる充放電レートにおける電池の過電圧の測定、高出力時の性能劣化要因の特定、タングステン酸リチウムがリチウムイオンの挿入・脱離反応を促進するメカニズムの解明)、材料化学(ルゲル法、共沈法、原子層堆積法(ALD)などの表面処理技術の検討、ナノレベルでの被覆構造を制御する合成条件の最適化)
既存技術では、正極活物質の製造において未反応リチウムの残留や結晶性の悪化により活物質からリチウムが溶出しやすく、ペースト調整時にゲル化を引き起こす問題がありました。また、低温での出力特性が十分でないという問題もありました。
これに対して、スラリーpH、溶解性リチウム含有率、比表面積、空隙率、及び粒子強度という5つの特性をそれぞれ特定の方法で評価し、得られた評価値が予め定められた特定の範囲内にある場合に当該正極活物質が溶解性リチウムの生成を抑制し、ペースト調整時のゲル化問題を回避できる良好な特性を有すると評価する非水系電解質二次電池用正極活物質の特性評価方法が開発されています(以下URL)。
非水系電解質二次電池用正極活物質の特性評価方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7406734/15/ja
関連する専門分野の例:電気化学(さまざまな温度条件下でのインピーダンス測定、電極反応抵抗やイオン伝導抵抗の解析、異なる充放電レートにおける過電圧特性の評価、高出力時の律速段階の特定、溶解性リチウムの低減がサイクル特性に与える影響の評価)、材料化学(正極活物質の粉体特性(比表面積、空隙率、粒子強度など)がペーストのレオロジー特性や電池性能に与える影響の評価)
具体例として電子部品を構成する厚膜抵抗体の導電性材料として用いられるルテニウム酸鉛粉末が挙げられます。
従来のルテニウム酸鉛粉末の製造方法では、製造工程における反応制御が難しく、得られる粉末の粒径にばらつきが生じやすいという問題がありました。特に、近年の電子部品の小型化に伴い、より粒径が小さく、かつばらつきの少ない導電粉末が求められていました。
これに対して、特定の有効塩素濃度(13.4質量%以上14質量%以下)の次亜塩素酸ナトリウム水溶液を用いて金属ルテニウムをアルカリ溶解し、その後の硝酸鉛溶液添加、洗浄、乾燥、焙焼工程を経て得られるルテニウム酸鉛粉末において、10箇所から任意に抽出した粉末のBET比表面積の平均値が14m2/g以上16m2/g以下かつ標準偏差を0.235以下に制御されることで、粒径のばらつきを抑制し、均一性の高いルテニウム酸鉛粉末が開発されています(以下URL)。
ルテニウム酸鉛粉末→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7468273/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(ルテニウムや鉛を含む原料の化学反応の制御、目的とする組成と粒径を持つルテニウム酸鉛粉末を効率的かつ再現性良く合成するための反応条件(温度、pH、反応時間など)の最適化)、材料工学(ルテニウム酸鉛粉末を用いた厚膜抵抗体の作製プロセスの設計・最適化、抵抗体の電気的特性(抵抗値、抵抗温度係数)、信頼性(耐熱性、耐湿性など)、機械的特性(基板との密着性など)を向上させるための材料配合や焼成条件の検討)
具体例とし回転する被検査台上の撮像画像から対象物の真正サイズを算出し、良否判定を行う検査装置が挙げられます。
従来の径方向に延びる撮像素子列を用いた検査装置では、被検査台上の対象物の位置によって撮像サイズが変動し、正確なサイズ把握が困難でした。これにより、良否判定の精度が低下する問題がありました。
これに対して、画像取得部、対象物検出部、分解能決定部、撮像サイズ補正部、良否判定部を備え、画像取得部で回転する被検査台の画像を径方向の撮像素子列で取得し、対象物検出部で対象物の検出位置と撮像サイズを検出し、分解能決定部で検出位置に基づき分解能を決定し、撮像サイズ補正部でこの分解能を用いて撮像サイズの変動分を補正して真正サイズを算出し、最後に良否判定部が真正サイズに基づいて良否を判定することにより、被検査台上の位置による撮像サイズの変動を補正し、正確なサイズに基づいた良否判定が可能な検査装置が開発されています(以下URL)。
検査装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7338769/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(撮像された画像データを効率的に処理し対象物の検出、位置特定、サイズ計測をおこなうためのソフトウェア設計)、機械工学(安定した高速回転を実現する機構、振動を抑制する構造、精密な位置決め機構などの設計)
具体例としてタンタル酸リチウム単結晶ウエハを還元処理するタンタル酸リチウム基板の製造方法が挙げられます。
従来の製造方法では、還元処理時に局所的な温度むらが生じやすく、これが原因で基板表面に色むら(濃淡差)が発生し、生産性を低下させるという問題がありました。特に、より低い体積抵抗率を得るためにアルミニウム粉末の混合比率を高くすると色むらの発生が顕著になる傾向がありました。
これに対して、複数の単結晶ウエハをアルミニウム粉末と酸化アルミニウム粉末の混合粉中に埋め込み、密閉容器に収容した単結晶ウエハ収容体を構成し、次いで、この複数の単結晶ウエハ収容体を加熱炉の密閉室内に単結晶ウエハ収容体間の隙間が互いに均等になるように横方向に並べて配置し、密閉室内に不活性ガスを満たした後、不活性ガス雰囲気下でタンタル酸リチウム単結晶のキュリー温度未満の温度で熱処理し、密閉室内に占める全単結晶ウエハ収容体の空間占有率を50%以下にすることで熱処理時の単結晶ウエハ収容体間の熱伝達が均一にし、局所的な温度むらを抑制し、色むらの発生を低減するタンタル酸リチウム基板の製造方法が開発されています(以下URL)。
タンタル酸リチウム基板の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7615825/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(アルミニウム粉末の粒径や混合比率、熱処理温度や時間、雰囲気ガスの種類や流量などがタンタル酸リチウムの還元度合いや均一性に与える影響の検証、最適な条件の探索、反応後の基板の組成分析や結晶構造解析による色むらの原因となる欠陥構造の特定およびその生成を抑制する条件の探索)、機械工学(熱源の配置、断熱構造、不活性ガスの循環システムの設計、数値シミュレーションや実験計測による温度分布の評価)
具体例として金属粉体または金属化合物粉体の製造装置が挙げられます。
従来の焼成物の取り出し作業では、焼結による固着物の除去に手間がかかり生産性低下や不純物混入のリスクがありました。
これに対して、匣鉢(こうばち:耐火性の容器)を支持する匣鉢支持枠と、匣鉢を固定する匣鉢固定部材、匣鉢に処理液を供給する液供給部、匣鉢を反転させる回転機構部、反転した匣鉢からの排出物を受け取る受け槽を備え、回転機構部により匣鉢が天地反転することで処理液に溶解した焼成物を重力で受け槽に排出でき、減速機構により任意の回転角で停止可能で、複数の匣鉢を同時に処理できる構成により、手作業による固着物の除去を不要とし、生産性向上と不純物混入の抑制を実現する粉体製造装置が開発されています(以下URL)。
金属粉体または金属化合物粉体の製造装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7409461/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(焼成物の溶解プロセスにおける物質移動や反応速度の解析、効率的な溶解操作のための装置設計や運転条件の最適化)、機械工学(匣鉢の形状や重量に合わせた支持構造、スムーズな回転と確実な停止を実現する回転機構の設計、耐久性に優れた 部品の選定)
(3)JX金属|開発トレンドと専門性

Ⅽ23Ⅽが最も多いです。次いでⅭ22B、Ⅽ22Ⅽ、Ⅽ25D、H01Mが多いです。
具体例として積層されたAl含有部材とCu含有部材を接合するためのスパッタリングターゲットが挙げられます。
従来のスパッタリングターゲットでは、AlとCuの積層界面で脆弱な金属間化合物が生成し、接合強度が不十分となる場合がありスパッタリング時の剥離が懸念されていました。
これに対して、Alを含む第1構成部材とCuを含む第2構成部材が積層され、両部材間にAlとCuを含有し、かつ少なくとも一部にMgを5.0at%以上含むMg含有層を有する合金層が設けられ、このMg含有層によりAl-Cu系金属間化合物の形成が抑制され、Al、Cu、Mgの強固な合金が形成されて第1構成部材と第2構成部材が強固に接合されるスパッタリングターゲットが開発されています(以下URL)。
スパッタリングターゲット→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7551893/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(接合プロセス(熱処理条件、圧力など)が接合強度や合金層の形成に与える影響の評価、最適な接合条件の確立)、機械工学(スパッタリングターゲットの設計、冷却機構の設計)
従来のスパッタリングターゲットはターゲット材とバッキングプレートが直接接合されているため、重量が大きく、リサイクル時に分離が困難でした。
これに対して、ターゲットとバッキングプレートまたはバッキングチューブの間にターゲットより比重の軽いインサート材の層が設けられ、ターゲットの非スパッタ面がスパッタ時の侵食分布に対応した面対称状の凹凸形状にプロファイル化され、インサート材がこの形状に密着するように形成され、インサート材はターゲットよりエッチングレートが高く、側面の一部が露出していることで、製品全体の軽量化、輸送コストの削減、取り扱い性の向上を実現し、リサイクル時にはインサート材のエッチング溶解によりターゲットとバッキングプレートの分離を容易にするスパッタリングターゲット製品が開発されています(以下URL)。
スパッタリングターゲット製品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7385718/15/ja
関連する専門分野の例:精密工学(スパッタリング時のエロージョン分布に基づいた最適な凹凸形状の設計、プロファイル加工における数値制御(NC)工作機械の動作の最適化、加工後の形状測定と評価)、環境工学(スパッタリングターゲットのリサイクルプロセスにおける環境負荷低減と効率化の検討)
具体例として電池粉から銅を分離しつつコバルトやニッケルの浸出率を向上させるための金属浸出方法が挙げられます。
従来の技術ではコバルトやニッケルの浸出率を高めようとすると銅も溶解してしまい、その後の分離・除去工程が煩雑になるという問題がありました。
これに対して、第一浸出工程で銅が溶け出す前に浸出を終えて浸出後液から残渣を分離し、その残渣を第二浸出工程で銅が溶け出した後に浸出させるという二段階浸出プロセスを複数回繰り返し、前回の第二浸出工程で得られた浸出後液を次回の第一浸出工程の浸出液として再利用することで新たな電池粉中の卑金属との置換反応により銅を浸出残渣へ移行させ、最終的な浸出後液への銅の混入を抑制しつつ、コバルトやニッケルの高い浸出率を維持することが可能となる金属浸出方法が開発されています(以下URL)。
金属浸出方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7349592/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(各浸出工程における反応メカニズムの解明、反応速度パラメータの算出、物質収支・エネルギー収支の解析、連続プロセスの設計と制御方法の検討)、応用化学(新規な酸性浸出液の組成検討、添加剤による金属溶解度や選択性の向上、環境に優しい分離剤や中和剤の探索)
従来のリチウムイオン電池リサイクルプロセスにおいて浸出処理後のコバルト含有溶液にはマグネシウムイオンが不純物として混入することがあり、その後のコバルト塩製造時の純度低下を引き起こす可能性がありました。
これに対して、コバルト含有溶液に対し、カルボン酸系抽出剤を含む溶媒を用いてコバルトイオンを抽出することで、マグネシウムイオンと分離し、溶媒からコバルトイオンを逆抽出して高純度のコバルト溶液を得て(マグネシウム分離工程)、さらにコバルトイオン抽出後の抽出後液に含まれるカルボン酸系抽出剤を平衡pHを5.5以下に調整することで回収し、回収した抽出剤をコバルトイオンの抽出に再利用することにより、マグネシウムイオンを効率的に除去し、抽出剤のロスを抑制するコバルト溶液製造方法が開発されています(以下URL)。
コバルト溶液を製造する方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7303947/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(リチウムイオン電池廃棄物からの有価金属回収プロセス全体の最適化)、環境化学(抽出剤の分解性や毒性の評価、抽出後液からの効率的な抽出剤回収プロセスの検討、廃棄物処理方法の検討)
具体例として半導体パッケージ用リードフレームが挙げられます。
従来のリードフレーム材料では、高強度化を図るとダイシング時のバリが発生しやすく、寸法精度が低下する問題がありました。特に、近年の電子部品の小型化に伴い、リード部の微細化が進み、わずかなバリの発生が製品不良に繋がるためバリの抑制が重要な課題となっています。
これに対して、特定の組成(Si: 0.1質量%超1.8質量%以下、Ni: 0.5質量%~4.5質量%、およびCo, Cr, Mn, Mg, Feから選択される一種以上の元素を含有し、残部が銅および不可避的不純物)を有し、かつ特定の特性(400℃30分加熱後の破断伸び: 10%以下、0.2%耐力: 550MPa以上、導電率: 38.0%IACS以上)を示す帯状銅合金材からなることにより、樹脂封止されたリード部をダイシングする際のせん断力による伸びを抑制し、バリの発生を低減するリードフレームが開発されています(以下URL)。
半導体パッケージ用リードフレーム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7300051/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(リード部の形状やコネクティングバーの配置がダイシング時の応力集中や変形に与える影響の解析、バリの発生を抑制する形状の設計)、応用物理学(合金の結晶構造、析出物の種類やサイズ、粒界の状態などの分析、合金の組成や組織が機械的強度や電気伝導性に与える影響の評価)
具体例としてコネクタ用オスピンが挙げられます。
従来のコネクタ用オスピンでは、挿入力の低減と良好な接触抵抗の両立が困難でした。例えば、低摩擦係数を与えるSnめっきは挿入力を低減できるものの摩擦が発生しやすいという問題がありました。また、Cu-Sn合金を表面に露出させると挿入力は低下しますが、酸化による接触抵抗の悪化が懸念されていました。
これに対して、オスピンの傾斜部から平坦部との境界を含む第1領域と、メスピンと電気的に接触する第2領域とで異なるめっきが施されることにより、具体的には、第1領域は硬度が高く、少なくともオイルで被覆され、NiやCuを含まないSn合金などで被覆され、第2領域は第1領域よりも接触抵抗が低く、Sn、Auなどで被覆される構成により、挿入時に摩擦抵抗を低減し、嵌合後の電気的接続を良好に保つコネクタ用オスピンが開発されています(以下URL)。
コネクタ用オスピン→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7394086/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(オスピンとメスピンがスムーズに嵌合し、かつ適切な接触圧力を維持するための形状設計、挿抜耐久性を向上させるための構造設計)、電気工学(コネクタ用オスピンにおける電気信号の伝送特性や電力供給の安定性を確保するための設計および評価)
具体例として電気化学デバイス用タブリード(電池の中の電気を取り出すための金属の線や板)に使用される導体が挙げられます。
従来のタブリード材料では電解液による腐食が電池性能の低下や安全性の問題を引き起こす可能性がありました。環境負荷の大きいクロメート処理に代わる、より環境に優しい耐食性表面処理技術が求められていました。
これに対して、基材上に形成された表面処理層に特定のリン(P)濃度範囲(4~18wt%)のNi-Pめっき層を少なくとも表面に有する導体であって、このNi-Pめっき層が電解液と接触することで、従来のNiめっきと比較して優れた耐食性を示し、電気化学デバイス、特に非水電解質電池のタブリードとして使用された場合に長期的な信頼性、安全性および耐久性の向上に貢献する導体が開発されています(以下URL)。
電気化学デバイス用タブリードの導体→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7354349/15/ja
関連する専門分野の例:電気化学(Ni-P合金の溶解反応や不動態皮膜の形成挙動の解析、P濃度と耐食性の相関性の解明、長期耐久性試験によるNi-Pめっき層の安定性を評価)、材料化学(Ni-Pめっき層の組成、微細構造および表面状態が耐食性に与える影響の解析、電解液との界面における反応機構の解明)
(4)三井金属鉱業|開発トレンドと専門性

H01Mが最も多いです。次いでB01J、Ⅽ01G、Ⅽ23Ⅽ、Ⅽ04B、B22F、H05Kが多いです。
具体例として固体電解質電池が挙げられます。
従来のリチウムイオン電池の正極活物質には、希少で高価なニッケルやコバルトなどのレアメタルが用いられており、資源の制約やコスト、環境負荷の観点から代替材料の開発が求められていました。
これに対して、正極活物質としてリチウム(Li)、硫黄(S)、リン(P)を主成分とし、アルジロダイト型結晶構造を有する化合物が用いられることによりニッケル(Ni)およびコバルト(Co)の合計量を0.1質量%以下に低減した電池であって、負極活物質には炭素材料、シリコンなどの少なくとも一種が用いられ、正極と負極の間には固体電解質層が配置される構成により、レアメタルの使用量を削減しつつ、従来のリチウムイオン電池と同等の特性を目指す電池が開発されています(以下URL)。
固体電解質電池→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7421011/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(リチウム硫黄リン化合物の合成ルートの探索、合成した化合物の組成分析、構造解析、電気化学特性評価(充放電特性、サイクル特性など))、化学工学(リチウム硫黄リン化合物の大量合成に向けた反応器の設計、反応条件の最適化、生成物の分離・精製プロセスの設計)
具体例として排気ガス浄化用触媒組成物が挙げられます。
従来のBEA型ゼオライトは炭化水素の吸着性能が不十分であり、高温条件下で構造が劣化し、性能が低下するという問題がありました。
これに対して、特定の範囲のメソ細孔容積(V1:2nm以上50nm以下の細孔容積が0.03~0.10 cm3/g)を有し、リンの含有量が0.01質量%以下であるBEA型ゼオライトを含むことにより、高温条件下でも骨格構造を維持し、耐熱性が向上した排気ガス浄化用触媒組成物が開発されています(以下URL)。
排気ガス浄化用触媒組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7488073/15/ja
関連する専門分野の例:工業化学(BEA型ゼオライトの特性(メソ細孔容積、リン含有量など)の最適化、貴金属などの活性成分を担持させる方法の検討)、物理化学(ゼオライトの細孔構造や結晶構造の評価)
具体例として触媒などに利用されるタンタル酸化合物を含むタンタル酸化合物分散液が挙げられます。
従来のタンタル酸化合物分散液は均一な膜形成を妨げる有機成分を含有したり、水への分散性や保存安定性が低いという問題がありました。
これに対して、特定の条件で合成されたタンタル酸化合物を含み、動的光散乱法による粒子径(D50)が100nm以下であり、脂肪族アミン、4級アンモニウム又はリチウム元素を含有することにより、水への高い分散性と溶解性、保存安定性を有するタンタル酸化合物分散液が開発されています(以下URL)。
タンタル酸化合物分散液→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7660216/15/ja
関連する専門分野の例:無機化学(反応条件(温度、濃度、反応時間、添加順序など)がタンタル酸化合物の粒子径、形状、組成に与える影響の解明、脂肪族アミン、4級アンモニウム、リチウム元素がタンタル酸化合物の分散安定性に寄与するメカニズムの解析)、界面化学(タンタル酸化合物分散液中の粒子径分布、表面電荷、分散状態の評価、脂肪族アミン、4級アンモニウム、リチウム元素の添加がタンタル酸化合物粒子の表面特性、粒子間相互作用および分散媒との相互作用与える影響の評価)
具体例として段差を有する基材上に厚さの異なる複数のターゲット部材を備えたスパッタリングターゲットが挙げられます。
従来のスパッタリングターゲットでは、厚さの異なるターゲット部材を用いた場合、基材の段差部が露出し、スパッタ時に基材材料が成膜される薄膜に混入する問題がありました。
これに対して、厚さの小さいターゲット部材の端部を基材の段差部より迫り出させることで、段差部を保護部材で覆わなくても基材材料の混入を防ぎ、さらに、迫り出し部の裏面に熱伝導率の高い層が設けられることでスパッタ時の熱による不具合を抑制するスパッタリングターゲットが開発されています(以下URL)。
スパッタリングターゲット→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7426418/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(さまざまなターゲット形状における電場分布や磁場分布のシミュレーション、イオンの入射エネルギー分布や入射角度分布の解明、スパッタ粒子のエネルギー分布や放出角度分布の測定、成膜される薄膜の膜質との相関性の評価)、金属工学(ターゲット部材や基材に使用される金属材料の特性(熱伝導率、機械的強度、耐食性、スパッタリング特性など)の最適化)
具体例として交差する複数のセラミックス製線条部を有する板状セラミックス構造体が挙げられます。
従来のセラミックス格子体は特定の方向には高い強度を示すものの対角線方向の強度が不足する課題がありました。
これに対して、一方向とそれに交差する方向に延びる第1および第2の線条部に加え、これらの交差部で形成される四辺形の対角線上を通る第3の線条部が設けられることで三角形の貫通孔を形成することにより、3方向への強度が高められ、強度異方性が低減し、耐熱衝撃性にも優れたセラミックス構造体が開発されています(以下URL)。
板状セラミックス構造体→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6746827/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(高強度、高耐熱衝撃性を有するセラミックス材料の組成、焼結条件、成形方法(押し出し成形など)の検討)、機械工学(曲げ試験、衝撃試験などの機械的な試験による構造体の強度や破壊挙動の評価、熱サイクル試験や振動試験などによる耐熱衝撃性や耐振動性の評価)
具体例としてレーザー光を用いた金属光造形法に適した銅粉が挙げられます。
従来の金属光造形法では、純銅粉はレーザー光の吸収率が低く、熱伝導性が高いため緻密な造形物を得ることが困難でした。また、銅合金粉末の使用は純銅本来の特性を損なう可能性がありました。
これに対して、レーザー光による金属光造形に用いられる銅粉であって、一次粒子の表面に特定の厚さと組成の銅酸化物を含む光吸収層を有し、特定の酸素含有量と反射率を示すことで、レーザー光を効率的に吸収し、純銅と同等の組成を維持しながら、高密度かつ高強度な銅製光造形物の製造を可能にする銅粉が開発されています(以下URL)。
金属光造形法に適した銅粉→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7377324/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(銅粉の製造プロセス全体の最適化、安定した品質の銅粉を効率的に製造するためのプロセス設計)、応用物理学(光吸収層の組成や厚さが光吸収特性に与える影響の評価、レーザー照射時の銅粉の温度分布や溶融挙動の解析、緻密な焼結・溶融固化を実現するための最適なレーザー照射条件(出力、走査速度など)の設計)
具体例としてプリント配線板の製造方法が挙げられます。
従来のセミアディティブ法では、めっき回路の密着性を確保するために粗い表面プロファイルが用いられていましたが、これは無電解めっきのエッチング性を低下させ、微細化の妨げとなっていました。また、平滑な表面に薄い無電解めっきを施すと異物による露光不良が生じ、ショートや凸部などのパターン不良を引き起こす可能性がありました。
これに対して、粗化面を有する絶縁基材上に特定の算術平均うねり(Wa: 0.10~0.25μm)と谷部の空隙容積(Vvv: 0.010~0.028μm³/μm²)の表面を有する、厚さ1.0μm未満の無電解めっき層を形成する工程を含むプリント配線板の製造方法であって、この特定の表面特性を持つ極薄の無電解めっき層を用いることでフォトレジスト露光時の光の乱反射を促進し、異物に起因する未露光領域の発生を抑制し、結果としてパターン不良を防ぎ、同時に、この薄膜と制御された表面形状によって後工程のエッチングにおける良好なエッチング性を維持し、高精度な微細配線パターンの形成を可能にするプリント配線板の製造方法が開発されています(以下URL)。
プリント配線板の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7411638/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(特定の表面粗さを持つ無電解めっき層における光の反射率や散乱角の予測、フォトレジストへの露光効率向上に最適な表面構造の検討、めっき層と絶縁基材の密着性を向上させるための表面処理条件の最適化)、電気化学(無電解めっきおよび電気めっきの反応機構の解析、薄膜で均一なめっき層を形成するための最適なめっき条件(浴組成、添加剤、温度、pHなど)の探索、形成されためっき層の微細構造、結晶性、電気的特性の評価)
(5)DOWA|開発トレンドと専門性

B22Fが最も多いです。次いでH01L、Ⅽ25D、G03G、Ⅽ01Gが多いです。
具体例として電子部品などに使用される導電ペースト用の球状銀粉が挙げられます。
従来の銀粉は粒子径分布が広く、レーザー焼結時のエネルギー吸収効率や焼結性に課題がありました。また、内部構造が緻密な銀粉では比表面積が小さく、焼結時の反応性が不十分な場合がありました。
これに対して、特定の粒径比(D50/DBET: 0.9以上1.2以下)、炭素含有量に対する酸素含有量の比(1.5以上)および粒子内部の空隙という特徴を有し、この粒径比の制御により均一な粒子径分布が得られ、レーザー光の吸収効率が向上し、また、特定の元素比により、表面の不要な有機物や酸化物が抑制され、銀粉の良好な分散性と焼結性が確保され、さらに、内部空隙の存在が比表面積を増大させて低温での効率的な焼結を可能にする球状銀粉が開発されています(以下URL)。
導電ペースト用の球状銀粉→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7628981/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(球状銀粉の微細構造(粒子径、形状、内部空隙)がレーザー焼結プロセスにおけるエネルギー吸収、熱伝導および焼結収縮に与える影響の解明、高品位な焼結体を得るための材料設計指針の確立)、物理化学(炭素と酸素の含有量比が焼結性に与える影響の評価、銀粉のレーザー波長域における吸収率を測定することによる粒子径や表面状態との関連性の解明)
従来の銀粉を用いた導電性ペーストではライン抵抗(配線の電気抵抗)の低減に限界がありました。特に、微細な配線パターンにおいては抵抗値の増大が課題となっていました。
これに対して、レーザー回折散乱式粒度分布測定で累積50%径が3μm以上、かつ10μm以上の粒子の比率が10%以下であり、SEM像解析において長径6μm以上のフレーク状粒子と6μm未満の不定形粒子を含み、フレーク状粒子の平均アスペクト比は8以上、不定形粒子の形状係数は1.7以上1.9以下、強熱減量値は0.1wt%以上0.4wt%という特性により、導電膜形成時の粒子間の緻密性が向上し、焼結時の空隙形成が抑制され、低ライン抵抗の導電パターンを実現する銀粉が開発されています(以下URL)。
銀粉→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7288133/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(銀粉の微細構造(粒径、形状、アスペクト比、内部欠陥など)が導電性ペーストのレオロジー特性、導電膜の形成過程(塗布、乾燥、焼結)および最終的な電気的特性(抵抗率、信頼性)に与える影響の評価)、応用化学(銀粉の表面特性(有機物含有量、酸化状態)が導電性ペーストの分散安定性、印刷適性および焼結時の反応性に与える影響の解明、強熱減量値の規定がライン抵抗低減に寄与するメカニズムの解明)
具体例として劈開性(へきかいせい:特定方向に割れやすい性質)を有する化合物半導体基板を用いた光半導体素子の製造方法が挙げられます。
従来の光半導体素子の製造において、劈開性を有する化合物半導体基板を薄型化するために研削する際、基板が脆いため破損しやすいという問題がありました。特に、研削後の面粗さが不適切な場合、応力集中などによりウェハの歩留まりが低下していました。
これに対して、立方晶閃亜鉛鉱型結晶構造を持つ化合物半導体基板の他方の主面を研削する工程において、研削直後の研削面の面粗さのスキューネス(Ssk)を正の値にし、かつ最大高さ(Sz)を1.9μm以上に制御することにより、研削時に発生する削りカスが効率的に排出され、基板と砥石間の摩擦や応力集中が緩和されるため、劈開性を有する化合物半導体基板特有の破損を抑制できる光半導体素子の製造方法が開発されています(以下URL)。
光半導体素子の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7464667/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(劈開性を有する化合物半導体基板へのダメージを最小限に抑えるための最適な研削条件の検討、砥石の選定、加工システムの設計)、電気電子工学(低抵抗で信頼性の高い電極形成のための表面処理条件の最適化、製造プロセスにおける静電気放電対策の検討、劈開性を有する化合物半導体基板の静電気による破損を防止するためのプロセス設計や保護回路の導入)
従来の金属-セラミックス接合基板では、熱履歴により金属ベース板に大きな反りが発生し、パワーモジュールの製造不良や放熱部品などの締結部の緩みによる信頼性低下が問題となっていました。また、ねじ止め部の変形を抑制する構造も提案されていましたが、反りの抑制効果は十分ではありませんでした。
これに対して、ラミックス基板の両面に金属板と金属ベース板が接合された構造に加え、金属ベース板の側面に金属ベース板より強度が高い板状の強化部材が接合され、この強化部材は平面視でセラミックス基板以外の領域に形成され、締結用の貫通孔を備えていることにより、熱履歴が付加された際の金属ベース板の反りを抑制し、高強度の強化部材を介して放熱部品などを締結することで締結部の変形を抑制し、長期的な信頼性を向上させた金属‐セラミック接合基板が開発されています(以下URL)。
金属‐セラミック接合基板→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7649183/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(熱膨張率の異なる材料間の接合による熱応力の解析、反りを最小限に抑えるための構造設計)、材料工学(金属ベース板と強化部材の接合界面における冶金学的特性の評価、高強度かつ高信頼性の接合を実現するための材料選定と接合プロセス設計)
具体例としてコネクタなどの接点や端子に用いられるめっき材が挙げられます。
従来、銀めっきと錫めっきを有するめっき材をリフロー処理すると、銀めっき層の接触抵抗が増加したり、表面が変色したりする問題がありました。
これに対して、銅または銅合金基材上にニッケルめっき層が形成され、その一部に銀めっき層、他の離れた一部に錫めっき層が形成され、めっき材表面に赤外線照射により錫めっき層のみ選択的にリフロー処理されることで(銀は赤外線を吸収しにくいため加熱されにくいため)銀めっき層の接触抵抗の上昇と変色が抑制された銀めっき層の表面の接触抵抗が所定のめっき材が開発されています(以下URL)。
めっき材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7364755/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(銀および錫の表面における酸化反応や吸着現象の解明、赤外線照射による加熱がこれらの表面反応に与える影響の評価)、電気化学(所望の膜厚と組成を持つ銀めっき層と錫めっき層を安定的に形成するためのめっき浴条件(組成、pH、温度、電流密度など)の最適化)
具体例として電子写真現像に用いるキャリア芯材が挙げられます。
従来のキャリア芯材では、表面の凹凸を大きくすることで現像メモリ(前の画像の残像が次の画像に現れる現象)を抑制しようとしていましたが、樹脂被覆時に芯材の形状が表面に反映されず、トナー掻き取り性や帯電付与性が低下し、現像剤の搬送量が不十分になるという問題がありました。また、特定の組成や形状を有するキャリア芯材も提案されていましたが、現像メモリ抑制と搬送量確保の両立は困難でした。
これに対して、フェライト粒子から構成され、芯材粒子の投影画像から算出される凸度が0.800以上0.920以下、かつ残留磁化が1.0Am2/㎏を超え3.0Am2/㎏以下であることを特徴とし、この特定の凸度範囲により樹脂被覆後も適切な表面凹凸が維持され、良好なトナー掻き取り性と帯電付与性を確保でき、また、特定の残留磁化範囲により、現像ローラへの適切な吸着力とトナー消費後の現像剤の剥離性を両立させて現像剤の搬送量低下を防ぐキャリア芯材が開発されています(以下URL)。
電子写真現像に用いるキャリア芯材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7554144/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(電子写真現像装置におけるキャリアの挙動の解析、キャリアの形状や磁気特性が現像剤の搬送機構、磁気ブラシの形成および感光体へのトナー供給に与える影響の評価)、応用物理学(キャリア芯材の残留磁化を制御するための物理的なメカニズムの解明)
具体例として高密度磁気記録媒体や電波吸収体のためのε酸化鉄の粒子からなる鉄系酸化物磁性粉の製造方法が挙げられます。
既存のε酸化鉄の製造方法では、シリコン酸化物被覆に高価なアルコキシシランを用いており、製造コストが高くなるという問題がありました。安価なアルカリ金属ケイ酸塩をシリコン源として用いる試みもありましたが、不純物であるα相が多く生成してしまう問題がありました。
これに対して、アルカリ金属ケイ酸塩をシリコン源として用いる際に、中和工程におけるpHを2.0以上5.0以下に制御し、シリコン酸化物ゲル被覆後に水洗工程を導入することで置換型オキシ水酸化鉄に含まれるアルカリ金属量を低減させることを特徴とし、さらに、水洗後のシリコン酸化物ゲル被覆置換型オキシ水酸化鉄を焼成して置換型ε酸化鉄を得た後、シリコン酸化物を除去することで、異相であるα相の生成を抑制し、低コストで高性能な磁性粉の製造を可能にする鉄系酸化物磁性粉の製造方法が開発されています(以下URL)。
鉄系酸化物磁性粉の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7659408/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(さまざまな金属イオン濃度やpH条件下でのオキシ水酸化鉄の沈殿反応の解析、粒径や形態制御の最適条件の特定、シリコン酸化物ゲルの形成反応においてアルカリ金属イオンがゲル構造や被覆性に与える影響の評価、均一な被覆を得るための条件の最適化)、材料工学(さまざまな温度および雰囲気条件下での焼成実験、ε相の生成を最大化しα相の生成を最小化する最適な焼成条件(温度、時間、昇温速度、雰囲気)の特定、アルカリ溶液を用いたシリコン酸化物の溶解プロセスにおいて鉄系酸化物への影響を最小限に抑えつつ効率的にシリコン酸化物を除去するための条件(濃度、温度、時間)の最適化)
(6)UACJ|開発トレンドと専門性

Ⅽ22Ⅽが最も多いです。次いでB23K、F28F、Ⅽ25D、G11Bが多いです。
具体例として構造材用のアルミニウム合金製品が挙げられます。
従来の7000系アルミニウム合金は高強度であるものの応力腐食割れ感受性が高く、その対策として過時効処理による強度低下や複雑な工程を要するRRA処理がおこなわれてきました。表面保護としてアルマイト処理や塗装もおこわれてきましたが、剥離時の腐食や応力腐食割れを防ぐには不十分でした。また、クラッド材は基材との電位差が小さく、応力腐食割れ抑制効果が限定的でした。
これに対して、7000系アルミニウム合金製の構造材用基材の表面に80mass%以上のZnを含有する厚さ90μm以上の皮膜が溶射により設けられることを特徴とし、Znを多く含む皮膜は基材よりも自然電極電位が低いため、腐食環境下で優先的に腐食し、基材の腐食と応力腐食割れを抑制するアルミニウム合金製品が開発されています(以下URL)。
構造材用のアルミニウム合金製品→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7506042/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(7000系アルミニウム合金の応力腐食割れ感受性に影響を与える因子(結晶粒界の析出物、残留応力など)の解析、Zn皮膜による応力腐食割れ抑制効果を構造物の強度評価に取り込むための信頼性解析モデルの構築、アルミニウム合金構造材の耐応力腐食割れ性を向上させるための材料選定および構造設計)、材料化学(ZnおよびZn合金の電気化学的な溶解・析出反応の解析、腐食環境下での皮膜の溶解速度や腐食生成物の化学組成の特定、溶射プロセスで形成される皮膜の微構造や化学結合状態の評価、耐食性との関連性の解明)
自動車車体の軽量化のためアルミニウム合金材の利用が進んでいますが、従来のAl-Mg系やAl-Mg-Si系合金では制振性の向上が課題でした。また、制振性向上のための成分変更は化成処理による塗膜密着性の確保を困難にする場合がありました。
これに対して、特定の範囲のFeとMnを含有するAl合金基材と、その少なくとも一方の面上に設けられた化成皮膜とを有する構成により基材上に均一な化成皮膜を形成でき、塗膜や樹脂との密着性を向上させ、また、加熱後のヤング率が70GPa以上、0.2%耐力が100MPa以上、減衰率が1.5×10⁻³以上という特性により、塗装焼付などの熱処理後においても強度と制振性を両立するアルミニウム合金板が開発されています(以下URL)。
アルミニウム合金板→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7653324/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(強度と制振性の両立に寄与する金属間化合物の種類、サイズ、分布の特定、目標特性を達成するための合金組成と熱処理条件の最適化、量産化を考慮した製造プロセスの検討(鋳造、圧延、焼鈍など)、コストと品質のバランスの取れた製造方法の確立)、応用化学(さまざまな化成処理液の組成、処理時間、処理温度などの条件がアルミニウム合金表面の化学組成、表面形態(微細な凹凸構造)および塗膜・樹脂との密着性に与える影響の評価)
従来のアルミニウム合金ブレージングシートはアルカリ性冷却水環境下での耐食性や繰り返しの応力下での疲労特性が十分ではありませんでした。特に、薄肉化の要求に伴い、より高い強度と耐食性を両立する材料が求められていました。
これに対して、特定の組成(Si、Cu、Mn含有)を有するアルミニウム合金からなる心材と、片面に特定の組成(Si含有)を有するろう材、もう一方の面に特定の組成(Zn、Si含有)を有する犠牲陽極材がクラッドされた構成を有し、犠牲陽極材中の特定のサイズのSi単体およびSi含有金属間化合物の数密度が特定範囲に制御されることで、耐食性と疲労特性を両立するアルミニウム合金ブレージングシートが開発されています(以下URL)。
アルミニウム合金ブレージングシート→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6970841/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(自動車用熱交換器に求められる優れた特性(強度、疲労強度、耐食性)をバランス良く実現するための最適な合金組成、熱処理プロセスおよび製造プロセスの設計)、応用化学(さまざまな組成の犠牲陽極材の腐食速度、腐食生成物の評価、心材とのガルバニック腐食反応を制御するための犠牲陽極材の最適化、長期浸漬試験などの加速試験による耐食性の評価)
具体例として不活性ガス雰囲気中でフラックスを用いずにアルミニウム材をろう付けするためのブレージングシートの製造方法が挙げられます。
従来のフラックスろう付けではフラックス残渣の除去が課題であり真空ろう付けは生産性や品質に難がありました。フラックスフリーろう付けではブレージングシート表面の酸化皮膜がろう付け性を阻害していました。
これに対して、アルミニウム心材とAl-Si系ろう材を含むクラッド塊を熱間圧延および冷間圧延した後、特定の濃度の水酸化ナトリウムと水酸化カリウムを含むアルカリエッチング液で表面をエッチングすることにより、酸化皮膜を除去し、薄く脆弱な酸化皮膜を形成させ、ろう付け時にブレージングシートに含まれる酸化されやすい金属元素が酸化皮膜を容易に破壊し、フラックスを用いずにろう付け性を実現するブレージングシートの製造方法が開発されています(以下URL)。
ブレージングシートの製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7624300/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(圧延条件(温度、圧下率、パス数)とエッチング条件(濃度、時間)を系統的に変化させたブレージングシートの引張試験や曲げ試験などの機械的特性評価、ろう付け試験による接合強度や外観の評価、高品質でろう付け性に優れたブレージングシートを効率的に製造するためのプロセス条件の検討)、応用化学(アルカリエッチング液とアルミニウム合金表面との化学反応の解析、エッチングによる表面酸化皮膜の除去メカニズムとその後の酸化皮膜の再形成過程を制御するための最適なエッチング液組成と処理条件の特定)
具体例として作動流体が流通するアルミニウム合金製チューブとアルミニウム合金製フィンとが金属的に接合された熱交換器が挙げられます。
従来のろう付けではフッ化物系フラックスが用いられていましたが、腐食の原因となるフラックス残渣の除去が必要でした。また、単層ブレージングシートフィンを用いた場合、チューブ側の亜鉛溶射材との組み合わせでは接合部のフィレットにおける亜鉛濃度が高まり優先腐食が生じる懸念がありました。
これに対して、チューブ材本体の外表面に原子換算で1.0~4.5 g/m²の亜鉛を含有し、シリコンを含有しない亜鉛含有膜が形成された熱交換器用チューブ材と、液相率が5.0%以上35.0%以下となる温度で単層で加熱接合機能を有する熱交換器用フィン材とが用いられることで、フィレットへの過度な亜鉛濃縮を抑制し、優先腐食を防ぎ、長期にわたり優れた熱交換性能と防食性能を有する熱交換器が開発されています(以下URL)。
熱交換器→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7665332/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(熱交換器を構成するアルミニウム合金(チューブ材本体、フィン材)の組成、製造プロセス(押出加工、圧延加工、溶射など)および熱処理条件が最終的な熱交換器の機械的特性(強度、耐食性)およびろう付け性に与える影響の評価、最適な材料設計および製造プロセスの確立)、電気化学(さまざまな亜鉛含有量のチューブ材とフィン材の組み合わせについての腐食速度や電位差の評価、フィレットの腐食を抑制するための亜鉛含有膜の最適量の特定、長期的な防食効果を発揮するための表面処理技術や合金設計の検討)
具体例として、建材や電子機器の筐体、機械部品などに用いられる(陽極酸化皮膜を有する)アルミニウム部材の製造方法が挙げられます。
従来の陽極酸化皮膜にはバリア型と呼ばれる緻密な皮膜は絶縁性や耐食性に優れるものの厚膜化が難しく耐摩耗性に劣る、一方、プラズマ電解酸化皮膜と呼ばれる厚膜化が容易な皮膜は耐摩耗性に優れるものの細孔が多く絶縁性に劣るという問題がありました。
これに対して、アルミニウムまたはアルミニウム合金の母材に対して、ホウ素原子を含みpHが7.0以上12.0以下の電解液中で陽極酸化処理を施すことにより、母材上に非晶質のアルミニウム酸化物からなる非晶質層を形成し、さらにその上に結晶性のアルミニウム酸化物からなる結晶層を積層することで、非晶質層が絶縁性及び耐食性を付与し、硬質な結晶層が耐摩耗性を付与するアルミニウム部材の製造方法が開発されています(以下URL)。
アルミニウム部材の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7588369/15/ja
関連する専門分野の例:金属工学(アルミニウムおよびアルミニウム合金の基礎的な知識(組織、変形、熱処理など)を基に母材の種類(合金組成、結晶粒径など)が陽極酸化皮膜の形成に与える影響の評価、高性能な陽極酸化皮膜を得るための最適な母材の選定・設計)、応用化学(さまざまなホウ素化合物や添加剤を含む電解液の電流-電圧曲線や皮膜成長速度の測定、電解液中のイオン種や反応生成物の分析、皮膜形成メカニズムにおける各成分の役割の解明)
具体例として磁気ディスク装置が挙げられます。
従来の磁気ディスク装置では、高容量化のために磁気ディスクの薄型化が進められていましたが、薄型化により剛性が低下し、落下時などの衝撃に対する耐性が課題となっていました。
これに対して、複数の磁気ディスクとスペーサをハブにクランプで固定する構成において、クランプを締結するトルクが5cN・m以上45cN・m以下に制御されることで、磁気ディスクとスペーサ間の適切な接触状態を維持し、外部からの衝撃が加わった際の磁気ディスクの変形を抑制し、データ記録容量を維持しつつ耐衝撃性を向上させた磁気ディスク装置が開発されています(以下URL)。
磁気ディスク装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7633378/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(磁気ディスク、スペーサ、クランプの形状、配置、固定方法などの最適化、落下時などの過渡的な衝撃応答のシミュレーション、磁気ヘッドとディスクの衝突を回避する設計)、材料工学(磁気ディスクやスペーサに用いられるさまざまな材料(金属、セラミックスなど)が磁気ディスク装置の耐衝撃性にどのように影響するかの評価、衝撃を効果的に吸収・分散できる材料の選定)
(7)日本軽金属|開発トレンドと専門性

B23Kが最も多いです。次いでⅭ22Ⅽ、H01L、Ⅽ25Dが多いです。
具体例として摩擦攪拌接合に用いられる回転ツールが挙げられます。
従来の摩擦攪拌接合装置では、被接合材への押込み量を制御するために複雑で高価な荷重制御機構を備えた接合装置が用いられていました。近年では、安価な位置制御のみのマシニングセンタに装着可能な荷重制御機能を有する回転ツールが求められています
これに対して、接合装置に固定される本体部、回転力を受けて回転し軸方向に移動可能な攪拌部材、攪拌部材を先端側へ付勢する弾性部材および攪拌部材の基端側への移動を規制し弾性部材の過剰な変形を防ぐ規制部材を備えることにより、位置制御のみの接合装置においても弾性部材による疑似的な荷重制御を可能とし、比較的硬い被接合材に対しても安定した摩擦攪拌接合を実現する回転ツールが開発されています(以下URL)。
摩擦攪拌接合に用いられる回転ツール→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7600961/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(回転ツールの固有振動数の解析、接合時の振動モードや振幅の予測、アンバランス振動や共振現象が接合品質に与える影響の評価、振動を抑制するための構造設計、衝撃加重に対する回転ツールの強度解析)、材料工学(さまざまな工具鋼や超硬合金などの材料候補についての特性(硬さ、引張強度、クリープ特性など)の評価、最適な材料の選定)
従来の技術では、複合体の片面への摩擦攪拌接合後に固定を解除して裏返し、再度固定する必要があり、その際に複合体の変形や位置ずれが生じ、良好な接合結果が得られない、生産性が低いという問題がありました。
これに対して、複合体を固定したまま、回転ツールに対して第一面と第二面が順に対向するように回動させることで、第一面側の摩擦攪拌接合による変形の影響を抑制し、第二面側への安定した摩擦攪拌接合を可能にし、再固定の手間を省き、効率的な接合体の製造を実現する接合体の製造方法が開発されています(以下URL)。
摩擦攪拌接合をおこなう接合体の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7452496/15/ja
関連する専門分野の例:精密工学(摩擦攪拌接合時の反力や熱変形を考慮した固定器具の強度解析、クランプ機構の配置と締結力の設計、回動機構の振動減衰性能の評価、位置決め精度と再現性の高いロボットアームや回転台の選定と制御システムの構築)、生産工学(本製造方法を効率的に実施するための 生産プロセスの設計と最適化)
従来の荷重制御型接合装置は構造が複雑で高価でしたが、位置制御のみの安価なマシニングセンタでは適切な押込み量制御が困難でした。
これに対して、回転力を受ける攪拌ピンと、別体で被接合材を押圧するショルダを有し、これらが一体的に軸方向移動可能なアセンブリを構成し、アセンブリは第一弾性部材により先端側へ付勢され、本体部のホルダとスライド軸機構により回転力が伝達されることにより、位置制御型接合装置においても弾性部材による疑似的な荷重制御を可能とし、安定した接合と良好な表面仕上がりを実現する回転ツールが開発されています(以下URL)。
摩擦攪拌接合用回転ツール→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7619028/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(回転ツールの機構全般の設計、摩擦攪拌接合という条件下で攪拌ピンとショルダが適切に機能するための構造、運動制御、耐久性を考慮した設計)、材料科学(回転ツールの各部品に求められる機械特性、物理的特性、化学的安定性を考慮した材料選定と評価)
具体例としてさまざまな耐摩耗部品などに使用される微細化された過共晶Al-Si合金を得るための微細化剤が挙げられます。
従来の技術ではPの添加により初晶Siの粗大化を抑制する方法が知られていましたが、共晶Siの粗大化には着目されておらず、また、毒性のあるBeの使用を伴う場合がありました。
これに対して、0.004~1.400wt%のPを含有するアルミニウム合金からなり、AlP化合物の平均円相当粒径が1μm以下であることを特徴と、この微細なAlP化合物が過共晶Al-Si合金の溶湯に添加された際に初晶Siと共晶Siの晶出核となり両組織の微細化を同時に実現する微細化剤が開発されています(以下URL)。
過共晶Al-Si合金を得るための微細化剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7663481/15/ja
関連する専門分野の例:金属工学(微細化剤の添加による初晶Siおよび共晶Siの組織変化の解析、機械的特性(強度、硬度、靭性、耐摩耗性など)への影響の評価、最適な組織を得るための溶解条件、冷却速度、熱処理条件などの探索)、材料工学(微細化剤の組成および製造条件の最適化、 さまざまな鋳造プロセス(重力鋳造、ダイカストなど)における合金組織と特性の変化の評価)
従来のAl-Mg-Si系アルミニウム合金は鋳造時に割れが発生しやすく、強度と延性の両立が困難でした。Srを添加する技術も提案されていますが、更なる延性向上と安価な元素による微細化が求められていました。
これに対して、Mg:2.0~7.5質量%、Si:1.65~5.00質量%に加え、微量のCa:0.004~0.04質量%を含有し、残部がAlおよび不可避不純物からなることを特徴とし、適量のCaにより、Srよりも安価かつ顕著にMg2Siの晶出物を微細化し、鋳造性に優れ、高い強度と延性を兼ね備えたアルミニウム合金が開発されています(以下URL)。
鋳造用Al-Mg-Si系アルミニウム合金→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7409195/15/ja
関連する専門分野の例:金属工学(Ca添加がMg2Siの晶出に与える影響の解析、鋳造条件(温度、冷却速度など)との関係性の分析、鋳造欠陥の抑制や生産性向上に貢献するためのプロセス設計)、材料工学(さまざまな組成のアルミニウム合金の作製と特性の評価、 疲労試験、腐食試験などの耐久性評価)
具体例として発熱体を冷却する液冷ジャケットが挙げられます。
従来の液冷ジャケットはピンの挿入作業に手間がかかり、冷却効率も十分ではありませんでした。フィン構造も直線的な流路が基本であり、乱流の発生が少なく冷却性能の向上が課題でした。
これに対して、ベース板と蓋板の間にジグザグの流路を形成する複数の第一フィンと第二フィンが交互に配置されたフィン本体を備え、第一フィンと第二フィンは同一形状の平行四辺形柱状体であり、左右方向の長さをTとするとき、側端面同士の接触代をT/2以上T未満で突き合わせることで突合せ部に段差部を形成し、このジグザグ流路と段差部により熱輸送流体との接触面積が増加し、乱流が発生することで冷却効率を向上させる液冷ジャケットが開発されています(以下URL)。
液冷ジャケット→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6508398/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(冷却対象となる発熱体の特性に鑑みた 冷却性能を満たすための液冷ジャケットの全体構成、流路設計、ポンプや配管などの周辺機器の選定)、応用物理学(液冷ジャケット内部での熱輸送メカニズムの解析、冷却性能向上のための設計パラメータの特定)
具体例としてアルミニウム部材が挙げられます。
従来の白色アルミニウム部材は特定の表面粗さを付与することで白色化を図っていましたが、斜めから見た際の白色度が不十分であり、紙のような均一な白色感が求められていました。
これに対して、アルミニウム基材上にバリア層、複数の分岐した孔または大きい平均孔径を有する孔を含む第1ポーラス層、そして整列した直線状の孔を有する第2ポーラス層からなる陽極酸化皮膜を備え、特定のL*a*b*表色系の値、ゴニオフォトメーターによる反射強度比、バリア層と第1ポーラス層の厚さが特定範囲にされることで、光を効果的に拡散反射させ、観察角度に依存しない紙のような高白色度のアルミニウム部材が開発されています(以下URL)。
アルミニウム部材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7435405/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(さまざまな酸、添加剤、錯化剤を含む電解液の組成と陽極酸化条件(電圧、電流密度、温度、時間)が皮膜構造に与える影響の評価、皮膜の微細構造解析、皮膜の結晶構造や表面組成の分析、皮膜の成長メカニズムや耐食性の評価)、機械工学(アルミニウム部材の機械的強度や耐久性の評価、製品としての信頼性を確保するための設計および製造プロセスの検討)
(8)まとめ
非鉄金属を材料とするさまざまな合金、電子部品、素材、装置などの出願が確認されました。
これらの出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)三菱マテリアル

共同出願の例として、リチウムイオン二次電池セルが熱暴走した際に安全弁や排気孔から噴出する高温・高圧ガスによる延焼や焼損を抑制するゴム成形体が挙げられます。
従来のリチウムイオン二次電池では、熱暴走時のガス噴出による周囲への影響を防ぐ対策が不十分であり、特に高エネルギー密度化に伴い噴出ガスの圧力が増大し、既存の防炎シートなどでは破損する懸念がありました。
これに対し、リチウムイオン二次電池セルの安全弁または排気孔を覆うように付設され、特定の熱伝導度(1.0W/m・K未満)、厚さ(0.3mm以上10.0mm以下)および表面硬さ(タイプAデュロメータで50以上90以下)を有することで高温・高圧ガスが噴出してもゴム成形体に貫通孔が生じにくく、周囲への延焼や焼損を防ぐことができるゴム成形体が開発されています(以下URL)。
延焼や焼損を抑制するゴム成形体→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6888899/15/ja
従来の放射温度計を用いた温度計測では、被測定物と観測者の間に存在する粉塵による放射光の減衰や粉塵自体からの放射光の影響により、被測定物の温度を正確に計測することが困難でした。特に、二色温度計では粉塵による放射輝度比の変化の影響を無視できず、計測誤差が生じるという問題がありました。
これに対し、被測定物に向けて少なくとも2波長で放射輝度を測定する第1放射輝度計に加え、被測定物と異なる温度を有する1つまたは2つ以上の物体に向けて、それぞれ少なくとも2波長で放射輝度を測定する第2放射輝度計が設けられ。これらの放射輝度計で測定された複数の波長における放射輝度に基づいて連立方程式を解くことにより、被測定物の温度、粉塵の温度、および粉塵の濃度を同時に算出することにより、粉塵の影響を効果的に除去し、より高精度な温度計測が可能な計測方法が開発されています(以下URL)。
被測定物の温度、粉塵の温度および粉塵の濃度を同時に計測する方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6734153/15/ja
(2)住友金属鉱山

共同出願の例として砒素品位の高い硫化鉱物原料から浮遊選鉱によって砒素品位の低い精鉱を得る選鉱方法が挙げられます。
従来の銅製錬では、原料中の砒素は最終的にスラグに固定化されていましたが、近年、原料の砒素品位が増加傾向にあり、砒素処理が追いつかない可能性があります。そのため高砒素品位の原料から低砒素品位の銅精鉱を効率的に得る方法が求められていました。
これに対し、砒素非含有硫化鉱物と砒素含有硫化銅鉱物を含む原料に対し、pH10以上のアルカリ性条件下、酸化剤およびキサントゲン酸アルカリ金属塩の存在下で浮遊選鉱を行うことを特徴とする選鉱方法です。特に、原料中の銅100重量部に対する砒素の含有量を4.4~5.8重量部という特定の範囲に限定することで、砒素含有硫化鉱物を沈鉱として効率的に分離し、浮鉱として低砒素品位の精鉱を得ることを可能とする選鉱方法が開発されています(以下URL)。
選鉱方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7385872/15/ja
従来の希土類鉄窒素系磁性粉末は優れた磁気特性を有するものの、耐熱性が低いという問題がありました。耐熱性が低いと、ボンド磁石製造時の加熱工程や高温環境下での使用時に磁気特性が低下する恐れがありました。
これに対し、特定の組成と粒径を有し、Th2Zn17型、Th2Ni17型、TbCu7型のいずれかの結晶構造を持つコア部と、その表面に特定の組成と厚さ(1nm以上30nm以下)のシェル層を備えることを特徴とし、シェル層はR/Fe原子比が0.3以上5.0以下であり、窒素を0原子%超10原子%以下の量で含み、さらに、希土類元素(R)と燐(P)からなる化合物粒子を含み、残留磁化σrが90Am²/kg以上である構成により、磁気特性を維持しつつ耐熱性を有する磁性粉末が開発されています(以下URL)。
希土類鉄窒素系磁性粉末→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7606193/15/ja
(3)JX金属

共同出願の例として珪素製造の亜鉛還元法で副生する粗塩化亜鉛から亜鉛を製造する方法が挙げられます。
既存の亜鉛還元法では、副生する粗塩化亜鉛を電気分解する際に電流効率が低く、得られる亜鉛の純度も低いという問題がありました。これは、粗塩化亜鉛に含まれる不純物が原因と考えられていましたが、蒸留による精製も不純物の随伴により困難でした。
これに対し、珪素製造の亜鉛還元法において副生する粗塩化亜鉛から高純度亜鉛を製造する方法であり、粗塩化亜鉛を蒸留する前に金属亜鉛を2質量%以上添加することで蒸留時の不純物の随伴を抑制し、高純度の精製塩化亜鉛を得ることを特徴とし、この精製塩化亜鉛を溶融塩電解することで高純度な亜鉛を高い電流効率で回収でき、回収された高純度亜鉛は珪素還元工程に再利用され、高純度珪素の製造に貢献する亜鉛の製造方法が開発されています(以下URL)。
粗塩化亜鉛から亜鉛を製造する方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2010-043310/11/ja
(4)三井金属鉱業

件数が少ないので詳細は省略します。
(5)DOWA

件数が少ないので詳細は省略します。
(6)UACJ

共同出願の例として自動車パネル用材料として使用されるアルミニウム合金冷間圧延材を特定の温度範囲と時間条件で温間成形することにより、ストレッチャーストレイン(金属板の塑性変形時に現れる表面の模様)の発生を抑制した成形品を得る温間成形方法が挙げられます。
従来のアルミニウム合金の温間成形では、自動車パネルに必要な強度を確保できる5000系合金において、深絞り成形時にストレッチャーストレインマークが発生するという問題がありました。また、加工温度を上げると材料が軟化し、必要な強度が得られないという問題がありました。
これに対し、質量%でMgを2.0~5.0%含有するアルミニウム合金の冷間圧延材の一部または全部を温間成形前または温間成形中に150℃以上300℃以下に加熱した後、5分以内に温間成形をおこなうことで、材料の軟化を最小限に抑えつつストレッチャーストレインの発生を抑制できる温間成形方法が開発されています(以下URL)。
温間成形方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2016-112606/11/ja
(7)日本軽金属

共同出願の例として材料の接合における高強度化や軽量化などのための摩擦攪拌接合が挙げられます。
従来の摩擦攪拌接合では、移動ルートを重複させた場合、一度移動した軌跡は材料が減肉しているため、同じ挿入深さで再度接合すると材料不足となり表面に欠陥が生じやすいという問題がありました。
これに対し、被接合部材上に設定された第一移動ルートで塑性化領域を形成した後、その一部を同じ側から回転ツールを挿入し、第一移動ルートよりも深い挿入深さで摩擦攪拌する第二移動ルートを設定することにより、二度目の接合時に深さ方向の未塑性化領域からも材料を巻き込むことで材料の減肉を補い、材料不足による表面欠陥の発生を抑制する摩擦攪拌接合方法が開発されています(以下URL)。
摩擦攪拌接合→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2024-052006/11/ja
(8)上記(1)~(7)(共同出願人)のまとめ
非鉄金属や非鉄金属を用いた製品に関わる出願が多いです。
ただし、共同出願自体は多くないです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・機械系分野(機械工学、生産工学、金属工学、精密工学など)
装置全体や各部の構造設計などが求められます。
・材料系分野(材料工学、金属工学、材料化学など)
装置部材などの素材選定、用途に応じた合金の組成の設計などが求められます。
・化学系分野(応用化学、化学工学、分析化学、電気化学、材料化学、工業化学、無機化学、界面化学など)
反応の化学的な解明や化学的処理による技術改善、対象物の分析方法の確立などが求められます。
・物理系分野(応用物理学など)
磁場や電場、エネルギー分布などの物理的な評価、物理的な反応メカニズムの解析や評価などが求められます。
・情報系分野(情報工学など)
目的とする情報処理のためのプログラム設計などが求められます。
・電気系分野(電気工学、電気電子工学など)
電気信号の特性や電力供給に配慮した設計、評価などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
非鉄金属を得るための方法や非鉄金属が用いられた電子部品などのさまざまな製品、その製造方法に関わる出願が多く確認され、そのような開発がおこなわれていることが示唆されました。
大学の専攻と関連づけるとしたら、特に多いものとして、機械、材料、化学、物理などの研究が該当する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
・特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
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