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紙・パルプ業界の研究開発職|特許からわかる技術領域・専門分野

 新聞、雑誌、段ボールから衛生用品といった日用品のイメージが強いですが、近年では、鋼鉄の5分の1の軽さで5倍の強度を持つと言われるセルロースナノファイバーやプラスチック代替としての高バリア性紙素材、再生可能エネルギーとしてのバイオマス発電技術などの取組みが挙げられます。

 しかし、企業サイトの断片的な情報だけでは、実際にどのような研究開発がおこなわれているのか、どのような専門性が求められるのか、その全体像を把握するのは容易ではありません。

 この問題に対し、特許情報を活用します。

 特許情報は企業の開発の軌跡であり、客観的なエビデンスになり得る情報です。

 本記事では、採用サイトとは別の視点で、王子HD、日本製紙、レンゴー、大王製紙、北越、三菱製紙の研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。 

 

 結論(概要)は以下の通りです。

紙・パルプ業界の開発に求められる専門性
材料、化学系分野(材料工学、化学工学、応用化学、高分子化学など)
機械系分野(機械工学など)
その他分野(人間工学、デザイン工学など)
 ただし、上記専門は企業の一部の特許情報に基づくものであり、全てをあらわすものではありません。また、求められる専門は特許の解釈によって変わってきますので、個々の特許情報をご確認ください。

 

 

1 業界サーチの概要

 特許情報は企業の開発情報だと言えます。

 業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。

 特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。

 すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。

 

2 紙・パルプ業界

2.1 紙・パルプ業界とは

 ここでは、新聞や書籍、ティッシュ、段ボールなどの紙製品などを木材や古紙を原料に製造・販売する業界を意図します。

 

2.2 サーチ対象

 以下の製紙6社を対象にしました。

(1)王子製紙ホールディングス(王子HD)
(2)日本製紙
(3)レンゴー
(4)大王製紙
(5)北越コーポレーション(北越)
(6)三菱製紙

 上記で括弧書きのあるものは、以下、括弧内の略語で記載します。

 

2.3 使用プラットフォーム

 特許情報プラットフォーム(J-PlatPat

 

3 サーチ結果

3.1 結果概要

開発イメージは下表のとおりです。 

 

モノの開発

サービスの開発

個人向け

包装箱
吸収体
使い捨てパッド
トイレットロール
など

タッチパネル装置の両面粘着シート
など

法人向け

紙製バリア材料
陳列棚
感光性樹脂組成物
耐火シート
など

セルロースエステルの製造
など

 

 モノの開発としては、例えば、吸収体が挙げられます。

 サービスの開発としては、例えば、紙製品の製造方法などが挙げられます。

 

3.2 出願件数の推移

 下図は製紙6社の特許出願件数の推移です。

 

 各社とも年によって特許出願件数にばらつきがありますが、毎年一定数出願されていて、特許出願につながる開発が常におこなわれていることが推測されます。

 

3.3 開発の活発度

 特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、

 王子HD>大王製紙、三菱製紙>日本製紙>レンゴー>北越

だと言えます(対象期間中、大王製紙と三菱製紙は総出願件数は同程度)。

 

3.4 主な開発分野

 各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。

 各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。

 各記号は発明の技術分類をあらわします。

 

 分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム) 

 A41B診断、手術などに関連する分類です。
 診断、検査のための装置などがこれに該当します。
 大王製紙がこの分野から多く出願しています。

 

 A47F家具や商業施設向けの陳列・展示設備などに関連する分類です。
 陳列台やショーケースなどがこれに該当します。
 レンゴーがこの分野から多く出願しています。
 
 A47Kトイレ、浴室、洗面設備などに関連する分類です。
 トイレットペーパーなどがこれに該当します。
 大王製紙がこの分野から多く出願しています。

 

 A61F医療補助・矯正・保護装置などに関連する分類です。
 包帯や吸収性パッドなどがこれに該当します。
 大王製紙がこの分野から多く出願しています。
 
 B31B紙・板紙などを使用した箱・容器などに関連する分類です。
 折りたたみ式箱の製造などがこれに該当します。
 レンゴーがこの分野から多く出願しています。

 

 B32B積層体などに関連する分類です。
 紙からなる積層体などがこれに該当します。
 日本製紙がこの分野から多く出願しています。

 

 B41Jタイプライタなどの印刷技術に関連する分類です。
 連続した形態のコピー用紙などがこれに該当します。
 北越、三菱製紙がこの分野から多く出願しています。

 

 B41M印刷、複製、複写方法などに関連する分類です。
 印刷物の後処理などがこれに該当します。
 王子HD、日本製紙、北越、三菱製紙がこの分野から多く出願しています。

 

 B65D物品または材料の貯蔵または輸送用の容器などに関連する分類です。
 紙製の容器などがこれに該当します。
 王子HD、レンゴーがこの分野から多く出願しています。

 

 D21Hパルプ組成物や紙の含侵、コーティングなどに関連する分類です。
 セルロース繊維を含む紙やパルプなどがこれに該当します。
 王子HD、日本製紙がこの分野から多く出願しています。

 

 G03Fホログラフィー的方法または装置に関連する分類です。
 フォトマスクなどがこれに該当します。
 三菱製紙がこの分野から多く出願しています。

 

3.5 製紙6社の近年の開発トレンドと求められる専門の例

 特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。

 ここ10年のトレンドは以下のとおりです。

 発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。

 出願件数が少ない技術分野は除外しています。

 発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。

 関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。

 

 個別の情報を詳しく確認したい場合は、それぞれのリンク先に飛んでください。

 特許は難解ですが、GeminiChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。

参考記事 【AI活用】難解な特許が小学生レベルの内容に!1分で特許を読み解く方法

 

(1)王子HD|開発トレンドと専門性

 

 上図期間中、B65Dが最も多いです。次いでA61F、D21H、B32B、C09Jが多いです。

 B65Dは既述のとおり、物品または材料の貯蔵または輸送用の容器などに関連する分類です。
 具体例として手作業で容易に組み立て可能な六角形の包装箱が挙げられます。
 従来の六角形包装箱は組み立てに専用の製函機が必要で手作業での組み立てが困難でした。
 これに対し、特定の形状の連結穴と差込片が用いられ、組み立て時に側部フラップを押し出して傾斜壁を自然に形成する構成により、工具を使わずに容易に組み立てることができる六角形の包装箱が開発されています(以下URL)。
 特定の形状の連結穴と差込片が用いられた包装箱https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7609057/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(連結穴と差込片の形状、配置、寸法の設計)、材料工学(包装箱の材料として段ボールの代替となる、強度が高くて環境負荷の低い新素材の探索)

 

 別の例として包装箱が挙げられます。
 従来の包装箱は折り畳んだシートの長さに対応するため、より長尺な形状への変更が求められていました。
 これに対して、端壁に特定の折曲誘導線が、下端フラップに破断誘導線と傾斜折曲誘導線が設けられることで、端壁を外側に突出させて開口幅を拡張する構成により、長尺なシートも収納でき保管効率が向上した包装箱が開発されています(以下URL)。
 包装箱https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7609056/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(変形による破損を防ぐ構造の検討、折曲誘導線、破断誘導線、傾斜折曲誘導線の形状、配置、寸法の設計)、材料工学(段ボールの代替となる、軽量で強度が高くリサイクル性に優れた新素材の探索)

 

 A61Fは既述のとおり、医療補助・矯正・保護装置などに関連する分類です。
 具体例として吸収性物品が挙げられます。
 従来の吸収性物品はサイドシートの形状が一律であり、尿と便の両方に対応するには不十分でした。
 これに対して、前身頃ではサイドシートが内側に、後身頃では外側に立ち上がることで尿は内側の壁でせき止め、便は外側の広い空間で受け止める構成により、漏れ防止性能が向上した吸収性物品が開発されています(以下URL)。
 吸収性物品https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7647280/15/ja

  関連する専門分野の例:人間工学(着用者の体型や動作の分析、サイドシートの最適な形状、配置、材質の検討)、高分子化学(サイドシートの素材として吸水性、通気性、柔軟性に優れた高分子材料の探索)

 

 D21Hは既述のとおり、パルプ組成物や紙の含侵、コーティングなどに関連する分類です。
 具体例としてヒートシール紙が挙げられます。
 従来のヒートシール紙はブロッキング耐性に優れるものの、輸送中の破袋や開封時の開封容易性については十分な検討がされていませんでした。
 これに対して、特定の水分散性樹脂バインダーを含むヒートシール層が紙基材の少なくとも一方の面に設けられ、ヒー輸送時の衝撃に強く、開封しやすい包装袋を実現するヒートシール紙が開発されています(以下URL)。時の衝撃に強く、開封しやすい包装袋を実現するヒートシール紙が開発されています(以下URL)。
 ヒートシール紙https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7392768/15/ja

  関連する専門分野の例:材料工学(ヒートシール層の材料となる水分散性樹脂バインダーの種類、配合量、塗工方法の最適化、ヒートシール強度と剥離強度のバランス調整)、化学工学(ヒートシール紙を用いた包装袋の形状、構造、シール方法の設計、輸送時の衝撃や落下に対する耐久性の評価)

 

 B32Bは既述のとおり、積層体などに関連する分類です。
 具体例として紙積層体が挙げられます。
 従来の包装紙はプラスチックごみ問題への対策として紙代替が提案される一方で、十分な耐衝撃性と加工性が検討されておらず輸送時の破損や加工時の破断といった問題がありました。
 これに対して、特定の引張エネルギー吸収量と比引張エネルギー吸収量を満たすようにバリアフィルム層、紙基材層、ヒートシール層が積層された構成により、包装袋の輸送時の衝撃に強く、成形加工性に優れた紙積層体が開発されています(以下URL)。
 紙積層体https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7632152/15/ja

  関連する専門分野の例:材料工学(紙基材の原料パルプの種類、叩解度、添加剤の最適化、バリアフィルム層やヒートシール層の材料、厚さ、積層構成の最適化)、化学工学(紙基材の製造プロセスにおける蒸解条件、叩解条件、抄紙条件の最適化、バリアフィルム層の成膜プロセスの最適化、ヒートシール層の塗工液の組成、粘度、乾燥条件の最適化)

 

 C09Jは接着剤に関連する分類です。
 具体例としてタッチパネル搭載表示装置における光学部材接合用の両面粘着シートが挙げられます。
 従来の粘着シートは金属導電部材接合時にイオンマイグレーションや抵抗値上昇を引き起こす問題がありました。
 これに対して、ポリ(メタ)アクリル酸エステル共重合体を主成分とし、カルボキシル基、水酸基、アルコキシシリル基含有モノマーを共重合したアクリル系ポリマーを含む粘着剤層が用いられ、この粘着剤層は吸水率0.3質量%以下、硫黄含有量50ppm以下、波長380nm透過率85%以上という特定の物性により、金属導電部材接合時のイオンマイグレーションや抵抗値上昇を抑制する両面粘着シートが開発されています(以下URL)。
 光学部材接合用の両面粘着シートhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7524934/15/ja

  関連する専門分野の例:応用化学(イオンマイグレーションや抵抗値上昇のメカニズムの解明、添加剤(架橋剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤)の種類や配合量の検討)、高分子化学(アクリル系ポリマーの重合条件や架橋構造を制御して粘着剤層の物性(弾性率、損失正接、ゲル分率)を最適化)

 

(2)日本製紙|開発トレンドと専門性
 
 D21Hが最も多いです。次いでC08B、B65D、C08L、B32Bが多いです。
 D21Hは既述のとおり、パルプ組成物や紙の含侵、コーティングなどに関連する分類です。
 具体例としてユーカリ属植物由来のクラフトパルプを用いたが挙げられます。
 従来の機械パルプは高品質な紙を得やすいものの、製造時の電力消費量が大きく、温室効果ガス排出量の増加を招く問題がありました。
 これに対して、特定の密度と裂断長、密度と曲げこわさの関係を満たすクラフトパルプにより機械パルプと同等品質の紙が開発されています(以下URL)。
 ユーカリ属植物由来のクラフトパルプを用いた紙https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7585171/15/ja

  関連する専門分野の例:農学(ユーカリ属植物の成長特性、材質、パルプ化適性などの分析、高品質なクラフトパルプ製造に最適な樹種、育成条件、伐採時期などの特定)、応用化学(クラフトパルプの製造プロセス(蒸解、漂白、叩解など)の最適化、用途に応じた最適な紙の配合、製造条件、添加剤の検討)

 

 C08Bはセルロースなどの多糖類に関連する分類です。
 具体例としてセルロースエステルの製造方法が挙げられます。
 従来の製造方法では有機オニウム化合物や縮合剤の使用、煩雑な精製工程によりコスト増大や環境負荷の課題がありました。
 これに対して、セルロースを酸化して得られるウロン酸塩残基を有する酸化セルロースを、非プロトン性極性溶媒中でハロゲン化アルキルと直接反応させることで簡便かつ効率的にセルロースエステルを得る製造方法が開発されています(以下URL)。
 セルロースエステルの製造方法https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7633812/15/ja

  関連する専門分野の例:応用化学(ウロン酸塩残基の導入量や分布を制御して効率的な酸化セルロースの合成条件を確立、NMRなどの分析手法を用いて得られたセルロースエステルの構造を詳細に解析)、高分子化学(セルロースエステルの分子量制御と構造設計、さまざまな溶媒に対するセルロースエステルの溶解性や粘度を評価しフィルム、繊維、成形品などへの加工条件を最適化)

 

 B65Dは既述のとおり、物品または材料の貯蔵または輸送用の容器などに関連する分類です。
 具体例として液体食品用フランジ付紙容器が挙げられます。
 従来の紙容器は隅角部に微細な孔が生じやすく、液漏れのリスクがありました。また、孔を塞ぐための小突起は組み立て時の位置ずれや複雑な構造による製造コスト増の問題がありました。
 これに対して、隅切板が第1接合片、第2接合片、第3接合片から構成され、第3接合片が第1接合片の内側に折り込まれ、第2接合片が重ねて接着されることで、隅角部を密閉し、第1接合片、第2接合片の外端縁が円弧状にされることでフランジの折り曲げ加工性を向上させ、下向きフランジ板に窪みが設けられることでフランジ全体の強度と保形性を高め、液漏れ防止、組み立ての簡便化と製造コストの削減を可能にする液体食品用フランジ付紙容器が開発されています(以下URL)。
 液体食品用フランジ付紙容器https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7455082/15/ja

  関連する専門分野の例:材料工学(紙基材の種類、厚み、コーティング材料の選定、樹脂材料、積層方法、厚みの決定、折り曲げ条件、加工方法の確立)、機械工学(紙基材の無駄を最小限に抑え、効率的な打ち抜き加工が可能なブランク形状の設計)

 

 C08Lは高分子化合物の組成物に関連する分類です。
 具体例として無機粒子をセルロース繊維に定着させた複合繊維と熱可塑性樹脂を含む組成物が挙げられます。
 従来の複合繊維では無機粒子の脱落や寸法安定性の課題がありました。
 これに対して、無機粒子をセルロース繊維に定着させた複合繊維と熱可塑性樹脂を含む組成物、特に、特定の重量比で熱可塑性樹脂が配合され加熱処理することで無機粒子の脱落を抑制し、寸法安定性を向上させた複合繊維組成物が開発されています(以下URL)。
 複合繊維組成物https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7269454/15/ja

  関連する専門分野の例:材料工学(複合繊維と熱可塑性樹脂の最適な配合比、加熱処理条件、材料の検討)、化学工学(複合繊維の製造プロセス(無機粒子の合成、繊維との複合化、乾燥など)の最適化)

 

 B32Bは既述のとおり、積層体などに関連する分類です。
 具体例として紙基材上にバリア塗工層と熱可塑性樹脂フィルムからなるラミネート層を積層した紙製バリア材料が挙げられます。
 従来のドライラミネート法では紙基材とラミネート層の間に微細な隙間が生じバリア性が低下する課題がありました。
 これに対して、特定の平滑度を有する紙基材が用いられ特定の塗工量の接着層を介してラミネート層が積層、具体的には、算術平均高さ15.0μm以下の平滑面を持つ紙基材に水蒸気バリア層とガスバリア層からなるバリア塗工層が形成され、その上に2.0~4.5g/m2の接着層を介し熱可塑性樹脂フィルムが積層されることでバリア性が優れた紙製バリア材料が開発されています(以下URL)。
 紙製バリア材料https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7485487/15/ja

  関連する専門分野の例:化学工学(紙基材、バリア塗工層、接着層、ラミネート層の各材料の選定と最適化)、応用化学(紙基材の平滑性を制御するための抄紙条件やカレンダー処理条件の最適化、バリア塗工層の塗工方法や乾燥条件の最適化)

 

(3)レンゴー|開発トレンドと専門性

 

 B65Dが最も多いです。次いでA47Fが多いです。

 B65Dは既述のとおり、物品または材料の貯蔵または輸送用の容器などに関連する分類です。
 具体例として紙材に形成されたジッパーが挙げられます。
 従来のジッパーは切目が近接して重なるように対向しており、継ぎ目が狭く破断しやすい、切目がジグザグに形成されているため破断面の美粧性が低いという問題がありました。
 これに対して、第1切目と第2切目が特定の形状と配置にされることで継ぎ目を広く確保し破断を抑制する構成、具体的には、第1切目が線対称な山型、第2切目が非対称な山型とされて両者がずらして配置されることで意図しない破断を抑制し、美粧性を良好にするジッパーが開発されています(以下URL)。
 ジッパーhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7608027/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(ジッパーの切目形状、配置、寸法の設計)、材料工学(紙材の材質選定、ジッパーの破断強度、耐久性、美粧性の評価)

 

 別の例として手組箱のロック構造が挙げられます。
 従来技術ではロック機構のための穴や切欠きが外部に露出するため、防塵性や美観を損なうという問題がありました。
 これに対して、内フラップに外曲舌片と内曲舌片が設けられ、これらが折り曲げられて内面板に係止することでロック状態を実現することで、外部に穴を設ける必要がなくなり防塵性と美観を両立させるロック構造が開発されています(以下URL)。
 手組箱のロック構造https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7591989/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(舌片の形状、寸法、配置の設計、ロック機構にかかる応力の解析、耐久性の評価)、材料工学(組箱に適した強度、柔軟性、加工性を持つ紙材料の選定、選定した材料の機械的特性(引張強度、曲げ強度など)の評価)

 

 さらに別の例として厚さを変更可能な包装箱が挙げられます。
 従来技術では厚みのある内容物を封緘した際に封緘後の形状が安定しないという問題がありました。
 これに対して、側板に特定の形状の折線を設けられ、平面板の厚さ方向の距離に応じて側板が屈曲または伸長することで開口部を絞り込みむ包装箱、具体的には、側板に第1、第2伸縮折線、第1、第2仕切線が設けられ、これらの折線によって区画された第1側部、第2側部、内折側部が連動して変形することで開口部を狭める構造により形状を安定化させた包装箱が開発されています(以下URL)。
 厚さを変更可能な包装箱https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7562235/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(側板の折線形状、配置、寸法の最適化、包装箱にかかる応力や変形をシミュレーションし、耐久性や耐荷重性を評価)、材料工学(包装する内容物や輸送条件に合わせて、適切な強度、剛性、緩衝性を持つ段ボール材料を選定、選定した材料の機械的特性(引張強度、圧縮強度、曲げ剛性など)を評価)

 

 A47Fは既述のとおり、家具や商業施設向けの陳列・展示設備などに関連する分類です。
 具体例として店頭での商品訴求力を高め、陳列作業を容易にすることを目的とする厚紙製の陳列台が挙げられます。
 従来の多段式陳列台では正面からの情報提示が難しく側方からの商品確認が困難でした。
 これに対して、背板上端に連結板が設けられ、雛壇部を側方に避けた位置に情報提示面が配置され、背板を起立させると雛壇部が階段状に展開し連結板が傾斜して保持片が雛壇部を固定する構成より、正面からの情報提示と側方からの商品確認を両立し、陳列作業も容易にした陳列棚が開発されています(以下URL)。
 厚紙製の陳列台https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7514788/15/ja

  関連する専門分野の例:材料工学(陳列台の強度と耐久性を確保するための厚紙の材質選定と加工方法の検討)、機械工学(側板の折線形状、配置、寸法の最適化、包装箱の耐久性や耐荷重性の評価)

 

(4)大王製紙|開発トレンドと専門性

 

 A61Fが最も多いです。次いでB65D、A41B、A47K、D21Hが多いです。

 A61Fは既述のとおり、医療補助・矯正・保護装置などに関連する分類です。
 具体例として使い捨ておむつなどの吸収性物品に使用される吸収体が挙げられます。
 従来の吸収体は針葉樹パルプを主体としていましたが広葉樹パルプは安価であるものの、繊維長が短く液戻りを起こしやすい問題がありました。
 これに対して、針葉樹パルプと広葉樹パルプが特定の質量比で混合され、特定の繊維長と繊維幅のパルプ繊維が特定の割合で含有されることで、吸収容量と吸収速度を維持しつつ液戻りを抑制する吸収体が開発されています(以下URL)。
 吸収体https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7293479/15/ja

  関連する専門分野の例:材料工学(パルプ繊維の材質選定と配合比の最適化、高吸水性ポリマーの選定と配合量の調整、パルプ繊維の処理方法の検討)、化学工学(パルプ製造プロセスの最適化、所望の形状と性能を持つ吸収体を効率的に製造するプロセスの設計)

 

 別の例として吸収性物品が挙げられます。
 従来の吸収性物品では、圧搾溝の形状によってはズレ止め部が剥がれやすく、ヨレや体液漏れが生じる可能性がありました。
 これに対して、体液排出口に対向する部分に前後方向へ延びる圧搾溝が設けられ、その溝が中央部で直線状、前後に向かって凸状に分岐する形状とされることで、体液を一時的に溜めつつ前後方向へ誘導して漏れを防ぎ、圧搾溝の端部がズレ止め部に重ねられて装着中のズレを抑制する吸収性物品が開発されています(以下URL)。
 吸収性物品https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7643777/15/ja

  関連する専門分野の例:人間工学(さまざまな体型の被験者による装着試験を行い吸収性物品のフィット感やズレにくさを評価、吸収性物品の最適な形状や圧搾溝の配置の設計)、高分子化学(体液の吸収性、保水性、拡散性に優れた高分子材料の選定)

 

 B65Dは既述のとおり、物品または材料の貯蔵または輸送用の容器などに関連する分類です。
 具体例として紙製包装袋を用いたシート包装体が挙げられます。
 従来の紙製包装袋は柔軟性が低いため、シート取り出し時に包装袋が破れたりシートが袋内に落ち込んだりする問題がありました。
 これに対して、包装袋天面に特定の形状の切目線を設けられる構成、具体的には、天面端縁とシール部の間に幅方向に曲折する第2開裂用切目線が設けられることで、取り出し口の適切な広がりとシート保持性を両立するシート包装体が開発されています(以下URL)。
 シート包装体https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7513536/15/ja

  関連する専門分野の例:機械工学(紙と樹脂の複合材料である包装袋の強度、柔軟性、シール性を最適化する設計、切目線形状の最適化)、化学工学(紙と樹脂の複合材料において強度、柔軟性、環境負荷低減を両立する最適な材料を選定、評価)

 

 A41Bは既述のとおり、診断、手術などに関連する分類です。
 具体例として子供の汗を吸収するための使い捨てパッドが挙げられます。
 従来の汗取りパッドは洗濯の手間や持ち運びの不便さ、装着の煩雑さといった問題がありました。
 これに対して、本体部と延出部からなるパッドにおいて本体部が幅狭に、延出部が幅広に形成し、境界に切り込み部が設けられることで、装着の容易さとずれにくさを両立させた使い捨てパッドが開発されています(以下URL)。
 使い捨てパッドhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7289672/15/ja

  関連する専門分野の例:人間工学(子供の体型や動きの分析、パッドの形状、サイズ、素材の最適化)、高分子化学(吸水性、通気性、肌触りに優れた高分子材料の選定、高分子の特性を活かした汗の吸収性能、拡散性、保水性を高める吸収体構造の設計)

 

 A47Kは既述のとおり、トイレ、浴室、洗面設備などに関連する分類です。
 具体例としてトイレットロールが挙げられます。
 従来の長尺トイレットロールは薄い紙への印刷による裏抜けやシワ、硬い巻きによる硬質感、下層の模様が透けてしまうことによる意匠性の低下といった問題がありました。
 これに対して、2プライのトイレットペーパーに特定の坪量、紙厚、エンボス加工が施され、図柄がベタ印刷で特定の面積比率で配置されることで、製造時のトラブルを抑制しつつ視覚的にも使用感的に優れたトイレットロールが開発されています(以下URL)。
 トイレットロールhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7324333/15/ja

  関連する専門分野の例:応用物理学(印刷時のインクの浸透度合いや乾燥速度の物理的特性の解析、裏抜けや滲みを防ぐための印刷条件の最適化)、応用化学(トイレットペーパーの原料となるパルプ繊維の種類や配合比率が紙の強度、柔軟性、吸収性に与える影響の解析、最適な原料の選定)

 

(5)北越|開発トレンドと専門性

 

 D21Hが最も多いです。次いで、B41Ⅿ、B01D、B65Dが多いです。 

 D21Hは既述のとおり、パルプ組成物や紙の含侵、コーティングなどに関連する分類です。
 具体例としてグラビア印刷適性に優れた塗工白板紙が挙げられます。
 従来の塗工白板紙は平滑性を向上させるためにスーパーキャレンダー処理を行うことで密度が高くなりクッション性が損なわれるためグラビア印刷適性が不十分でした。
 これに対して、表層にサイズ剤を含まず、表下層にサイズ剤を含む構成により、表層の平滑性を維持しつつ塗工白板紙全体のクッション性を向上させ、グラビア印刷適性を高めた塗工白板紙が開発されています(以下URL)。
 塗工白板紙https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7611869/15/ja

  関連する専門分野の例:材料工学(塗工白板紙の各層の材料組成、配合比率、塗工条件が紙の密度、クッション性、平滑性、インク吸収性などの物性に与える影響を評価、サイズ剤の種類、添加量、分布状態が紙のクッション性、インク吸収性、印刷品質に与える影響を解析、最適なサイズ剤の選定と添加条件の決定)、化学工学(塗工白板紙の製造プロセスにおける各工程(パルプ調製、抄紙、塗工、乾燥、カレンダー処理など)の条件が紙の物性、印刷品質、生産性に与える影響を評価、最適なプロセス条件の確立)

 

 B41Mは既述のとおり、印刷、複製、複写方法などに関連する分類です。
 具体例としてインクジェット記録用光沢紙が挙げられます。
 従来のインクジェット光沢紙はインクの種類によって印字品質に差が生じたり、光沢感が不十分であるという問題がありました。
 これに対して、インク受理層に特定の組成の高級脂肪酸塩を潤滑剤として含有させた光沢紙、具体的には、炭素数12以上の不飽和脂肪酸塩と飽和脂肪酸塩が特定の質量比で併用され、必要に応じてノニオン性界面活性剤や水溶性金属塩が添加されることで、インク吸収性と発色性を向上させて白紙面感と写像性を実現するインクジェット記録用光沢紙が開発されています(以下URL)。
 インクジェット記録用光沢紙https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7076391/15/ja

  関連する専門分野の例:応用化学(インクジェット記録用紙の性能に影響を与える材料(顔料、バインダー、添加剤など)の選定と配合比の最適化)、材料工学(インク受理層の多孔性、空隙率、表面粗さなどインクの吸収性や発色性に影響を与える構造の設計)

 

 B01Dは分離に関連する分類です。
 具体例として半透膜支持体用湿式不織布の製造方法が挙げられます。
 従来の半透膜支持体用不織布は湿潤状態で強度が大きく低下し、半透膜を設ける工程でカールが発生しやすいという問題がありました。
 これに対して、ポリエステル繊維のみを含む原料スラリーを抄紙・乾燥後、特定の温度条件で2回の加熱加圧処理をおこなう(回目の加熱加圧処理直前のシート温度を135℃以上に保ち、特定の引張強さ低下率を満たす)ことで、湿潤状態での強度低下を抑制し、カールを防止する半透膜支持体半透膜支持体用湿式不織布の製造方法が開発されています(以下URL)。
 半透膜支持体用湿式不織布の製造方法https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7587414/15/ja

  関連する専門分野の例:高分子化学(結晶化度、融点、強度など不織布の性能に影響を与えるポリエステル繊維の種類、特性、配合比を評価、最適な繊維の選定)、機械工学(強度、柔軟性、通気性などに影響を与える繊維の種類、太さ、長さ、配列などの構造設計)

 

 B65Dは既述のとおり、物品または材料の貯蔵または輸送用の容器などに関連する分類です。
 具体例として包装用紙が挙げられます。
 従来のプラスチックラミネート紙はヒートシール性に優れるものの、プラスチック使用量が多く環境負荷が大きいという問題がありました。
 これに対して、ヒートシール層にアイオノマーが使用され、塗工量が2~10g/m2に抑えられることでプラスチック使用量を削減し、紙基材にサイズ剤が含有されステキヒトサイズ度が5秒以上とされることで糊貼り加工適性とヒートシール性が両立され、坪量が80~500g/m2とされることで厚物容器への加工適性を向上させた包装用紙が開発されています(以下URL)。
 包装用紙https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7506463/15/ja

  関連する専門分野の例:高分子化学(ヒートシール性、加工適性、環境負荷など包装用紙の性能に影響を与えるアイオノマーの種類、特性、配合比の評価、最適なアイオノマーの選定、ヒートシール層の最適化)、化学工学(坪量、強度、平滑性、透気度など包装用紙の性能に影響を与える紙基材の種類、特性、配合比の評価、最適な紙基材の選定、パルプ化、抄紙、塗工など紙パルプ製造における一連のプロセスの設計)

 

(6)三菱製紙|開発トレンドと専門性

 

 B41Mが最も多いです。次いで、D21H、B01D、G03F、H01Mが多いです。

 B41Mは既述のとおり、印刷、複製、複写方法などに関連する分類です。
 具体例として再湿潤性糊層を有する感熱記録材料が挙げられます。
 従来の感熱記録材料は高温高湿環境下での保管後に発色性が低下しやすく、糊層との接触によるブロッキングが発生しやすいという問題がありました。
 これに対して、感熱記録層に特定のコアシェル構造を有する高分子重合体と無水マレイン酸系共重合体を含有させることで再発色性と耐ブロッキング性を向上させた感熱記録材料が開発されています(以下URL)。
 感熱記録材料https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7635174/15/ja

  関連する専門分野の例:高分子化学(感熱記録層に必要な特性(耐熱性、耐湿性、発色性)を満たすコアシェル型高分子重合体の構造、組成、分子量の最適化、無水マレイン酸系共重合体の選定・評価)、応用化学(感熱記録層の均一性、平滑性、密着性を向上させる塗工液の組成、粘度、塗工方法の検討、再湿潤性糊層の最適化)

 

 D21Hは既述のとおり、パルプ組成物や紙の含侵、コーティングなどに関連する分類です。
 具体例として壁紙裏打ち用耐火シートが挙げられます。
 従来の壁紙裏打ち用シートは耐火性、不燃性、柔軟性、平坦性を両立することが困難でした。
 これに対して、基材に特定の割合でガラス繊維、湿熱接着性バインダー繊維、メタ系芳香族ポリアミドパルプを含有させて無機粒子層が特定の塗工量で形成されることで耐火性、不燃性、柔軟性、平坦性を両立する壁紙裏打ち用耐火シートが開発されています(以下URL)。
 壁紙裏打ち用耐火シートhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7446217/15/ja

  関連する専門分野の例:材料工学(耐火性、強度、柔軟性を向上させる最適な材料の組み合わせと配合比の決定、耐火性、平坦性、粉落ち防止に最適な無機粒子の種類、バインダー、塗工方法の検討)、高分子化学(シートに使用される各種高分子材料(バインダー繊維、メタ系芳香族ポリアミドパルプなど)の分子構造、組成、物性を制御して必要な性能を付与)

 

 B01Dは既述のとおり、分離に関連する分類です。
 具体例として半透膜支持体が挙げられます。
 従来の半透膜支持体は繰り返しの洗浄やフレーム材への接着において課題がありました。
 これに対して、繊維径と混合比率の最適化、具体的には、ポリプロピレンを芯成分、ポリエチレンを鞘成分とする芯鞘型複合繊維が用いられ、繊維長が1~12mmとされ、平均繊維径が異なる2種以上の繊維が特定の割合で混合されることで、半透膜成分の適切な浸透と裏抜け防止と接着性を実現する半透膜支持体が開発されています(以下URL)。
 半透膜支持体https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7464655/15/ja

  関連する専門分野の例:高分子化学(半透膜支持体に最適なポリプロピレン、ポリエチレンの選定、芯鞘構造の設計、繊維の配合と評価)、材料工学(芯鞘型複合繊維の分散、抄紙、乾燥、熱圧加工など半透膜支持体の製造プロセスを設計し繊維の配向、密度、厚みなどを制御)

 

 G03Fは既述のとおり、ホログラフィー的方法または装置に関連する分類です。
 具体例として微細な金属パターン形成に用いる感光性樹脂組成物が挙げられます。
 従来の感光性樹脂組成物ではレジスト剥離時に剥離片が残留しやすく、微細なパターン形成が困難でした。
 これに対して、特定のアクリレートモノマーを特定量含有し、他の特定のアクリレートモノマーとの組み合わせにより、レジスト剥離性と微細パターン形成性のバランスが最適化されることで、レジスト剥離時の剥離片の残留を抑制し、微細なパターン形成を可能にした感光性樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
 微細な金属パターン形成に用いる感光性樹脂組成物https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7392061/15/ja

  関連する専門分野の例:高分子化学(アクリレートモノマーの種類や配合比率が感光性樹脂組成物の性能に与える影響を解析、最適な組成の設計・評価)、応用化学(めっきプロセスにおけるレジストパターンの挙動の評価)

 

 H01Mは化学的エネルギーを電気的エネルギーに直接変換するための方法または手段に関連する分類です。
 具体例としてリチウムイオン電池パックの熱暴走時に延焼を防ぐ耐火シートが挙げられます。
 既存技術では断熱性や耐火性、生産性に課題がありました。
 これに対して、ガラス繊維、湿熱接着性バインダー繊維、フィブリル化耐熱性繊維が組み合わされた基材に無機粒子と無機バインダーを含む被覆層と断熱層が設けられることで、耐火性と断熱性を両立する耐火シートが開発されています(以下URL)。
 耐火シートhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7181179/15/ja

  関連する専門分野の例:材料工学(耐火シートの材料選定、配合、構造設計)、応用化学(無機粒子の分散、塗工液の調製、塗工条件の最適化)

 

(7)まとめ

 紙に関わる出願が多く、また、紙に関わるといってもその技術分野は吸収性物品、包装箱、光沢紙、耐火シートなどさまざまです。

 出願には、BtoB製品だけだなく、BtoC製品(吸収体などトイレタリー業界と被る内容)も一定数含まれています。

 これらの出願分野は企業によっても異なり、各企業で開発対象が異なる場合もあることが推測されます。 

 

3.6 共同出願人との開発例

 共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。

 技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。

 各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。

(1)王子HD

 

 出願件数トップの共同出願人は王子ネピアです。
 共同出願の例として使い捨ておむつが挙げられます。
 従来の使い捨ておむつでは伸縮シートが吸収体にシワやヨレを生じさせフィット感を損なう問題がありました。
 これに対し、伸縮シートが吸収体と重なる重畳部分と重ならない非重畳部分に分けられ、重畳部分の中央領域では弾性伸縮部材を基材シートに接合せず、側方領域と非重畳部分では接合させることで、フィット感と吸収体の形状維持を両立する使い捨ておむつが開発されています(以下URL)。
 おむつhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5210447/15/ja
 ただし、当該企業との共同出願で確認されたのは2012年の出願までです。
  関連する専門分野の例:材料工学(伸縮シートの材料選定、配合の検討、構造設計)、人間工学(おむつの着用感、フィット感、動作追従性、肌への刺激などの評価)
 
 王子コンテナーとの共同出願では段ボール製の組み立て式衣料品展示用スタンドが挙げられます。
 従来のマネキンは高価で場所を取り廃棄も困難でした。
 これに対し、ハンガー部と胴体部を組み合わされ、胴体部は縦横の格子板を組み合わされた構造で、ハンガー部は着脱可能なものであり、使用しない時は薄く折り畳むことができて保管や輸送の省スペース化を実現する衣料品展示用スタンドが開発されています(以下URL)。
 段ボール製の組み立て式衣料品展示用スタンドhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-4643920/15/ja
 ただし、当該企業との共同出願で確認されたのは2012年の出願までです。
  関連する専門分野の例:材料工学(段ボールの材質選定、強度設計、加工方法の検討)、デザイン工学(衣服の展示効果を高める形状設計、組み立て易さ、折り畳み構造、デザイン性などの検討)
 
 王子タックとの共同出願では外装フィルムを容易に開封するための包装開封用シートが挙げられます。
 従来の開封用シートは外装フィルムに切り込みや孔が必要であり、フィルムを傷つけるリスクや位置の制約がありました。
 これに対し、基材、非接着部、接着部の三つの要素の組み合わせ、具体的には、基材は特定の剛性を持ち、引っ張る力を効率的にフィルムに伝え、非接着部はシートの端に設けられて摘みやすく開封の起点となり、接着部は強力な接着力を持ち、フィルムにしっかりと固定されて基材の力をフィルムに伝えて破断させる構成により、切り込みや孔を不要にしてフィルムを傷つけるリスクや位置の制約を解消する包装開封用シートが開発されています(以下URL)。
 包装開封用シートhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5243393/15/ja
 ただし、当該企業との共同出願で確認されたのは2015年の出願までです。
  関連する専門分野の例:材料工学(基材の材質選定、剛性調整、フィルムとの適合性などの検討)、応用化学(接着剤の種類選定、配合、塗布量、接着強度などの検討)

 

(2)日本製紙

 

 出願件数トップの共同出願人は日本製紙パピリアです。
 共同出願の例として空調用全熱交換器に用いられる全熱交換素子用紙が挙げられます。
 従来の全熱交換素子用紙は透湿性と空気遮蔽性の両立が困難であり、特に低湿度環境下での透湿性能が課題でした。
 これに対し、製紙用繊維、セルロースナノファイバー(CNF)、吸湿剤、水溶性高分子が特定の割合で組み合わされることで、特に、CNFと水溶性高分子が併用されることで、高湿度環境下だけでなく低湿度環境下での透湿性と空気遮蔽性を実現する全熱交換素子用紙が開発されています(以下URL)。
 全熱交換素子用紙https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2021-155865/11/ja
  関連する専門分野の例:材料工学(セルロースナノファイバーの種類、配合量、基紙との組み合わせの検討)、応用化学(吸湿剤の種類、水溶性高分子の種類と配合量、塗工方法の検討)
 
 日本製紙クレシアとの共同出願では紙基材上に均一な塗工層を形成するための紙の製造方法が挙げられます。
 従来技術では高濃度塗工液を使用すると粘度が高くなり塗工面にムラやスジが発生しやすいという問題がありました。
 これに対し、第一塗工液の乾燥途中に特定の水分量の第二塗工液を塗工することで第一塗工液表面の被膜形成を遅らせ、レベリング効果により均一な塗工層を形成することで、高濃度塗工液を使用しても塗工欠陥が少なく性能のばらつきが小さい紙の製造方法が開発されています(以下URL)。
 紙の製造方法https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2021-147708/11/ja
  関連する専門分野の例:材料工学(紙基材と塗工液の材料選定、塗工層の構造設計、塗工後の乾燥・硬化条件の検討)、化学工学(塗工液の粘度、乾燥速度、レベリング性の物性制御、塗工装置の設計、塗工条件の最適化)

 

(3)レンゴー

 

  件数が少ないので詳細は省略します。

 

(4)大王製紙

 

 出願件数トップの共同出願人はダイオーエンジニアリングです。
 共同出願の例として古紙梱包品を効率的に分別・処理するための方法およびシステムが挙げられます。
 従来技術では古紙の分別に人手を要するためコストが高く作業環境の課題もありました。また、禁忌品(製紙原料にならない異物)の混入により製紙過程での品質低下も問題でした。
 これに対し、解砕した古紙梱包品に対し測色カメラとハイパースペクトルカメラを用いて白色度とセルロース成分の有無を測定して古紙を3つの分類に分け、白色度が高くセルロース成分が支配的なものを第1分類(新聞古紙パルプ用)、白色度が低くセルロース成分が支配的なものを第2分類(段ボール古紙パルプ用)、セルロース成分が支配的でないものを第3分類(製紙原料としない)とすることで高精度な自動分別を可能にする方法、システムが開発されています(以下URL)。
 古紙梱包品を効率的に分別・処理するための方法およびシステムhttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7331225/15/ja
  関連する専門分野の例:情報工学(画像処理アルゴリズム設計、ソフトウェア設計、システム構築)、電気工学(画像センサ、カメラシステム、画像処理ハードウェアの検討)

 

(5)北越

 

  件数が少ないので詳細は省略します。 

 

(6)三菱製紙

 

 出願件数トップの共同出願人は藤森工業です。
 共同出願の例としてロール状で供給される電磁波シールド材の製造方法が挙げられます。
 従来の電磁波シールド材はエッチング法や印刷メッキ法で作られており、資源の無駄や微細なメッシュパターン形成の困難さ、透明基材との密着性の低さなどの課題がありました。
 これに対し、写真製法とメッキ法の組み合わせ、具体的には、透明基材上に現像銀メッシュパターンと連続給電層を形成し、その上に無電解メッキ層と電解メッキ層を積層することで高い電磁波シールド性能と透明性を両立する電磁波シールド材の製造方法が開発されています(以下URL)。
 電磁波シールド材の製造方法https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5059213/15/ja
 ただし、当該企業との共同出願で確認されたのは2011年の出願までです。
  関連する専門分野の例:応用物理学(金属メッシュの構造設計、光学特性の評価)、電気化学(メッキ液の組成、電解メッキの条件制御、メッキ層の物性評価)
 

(7)上記(1)~(6)(共同出願人)のまとめ

 グループ企業とは共同出願されることが多い場合があり、それ以外のほとんどは年間1件も出願されていません。

 

4 開発に求められる専門性

 上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。

 上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。

 特許出願件数が多いものに関連するものから挙げていきます。

 

材料、化学系分野(材料工学、化学工学、応用化学、高分子化学など)

 紙由来の製品(吸収性シート、トイレットロール、耐火シートなど)に関する出願が関係します。
 素材の選定、配合、加工、評価などが求められます。

 

機械系分野(機械工学など)

 上記同様に紙由来の製品(容器、包装箱、陳列棚、各種シートなど)に関する出願が関係します。
 構造上の検討、設計、評価などが求められます。

 

その他分野(人間工学、デザイン工学など)

 吸収性物品や使い捨てパッドのようなエンドユーザーに関わる物品に関する出願が関係します。

 

 ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。

 

5 まとめ

 化学分野と機械分野に関わる出願が多く確認され、技術開発も当該分野に関わるものが多いことが推測されます。

 ただ、BtoBだけでなくBtoCに関わる出願も一定数あり、エンドユーザーを意識した開発が求められるシーンもあると考えられます(ただし、その傾向は企業によって異なります)。

 これらを大学の専攻と関連づけるとしたら、材料、化学、機械に関わる研究が該当する可能性があります。 

 

 本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。

 参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4

 以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。

 

6 次に何をすべきか迷っている方へ

この分野で就職・転職を考えている方へ

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  技術的に近い業界:化学業界(総合)化学業界(総合に続く規模)(バイオマス素材やナノ技術の観点)、印刷業界(プラスチック代替品開発の観点)、戸建等住宅業界(木質資源多角利用の観点)

 

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  繊維業界

 

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 化学系の研究開発職の業界・企業一覧|需要特大(第1部)

 化学系の研究開発職の業界・企業一覧|需要大(第2部)

 化学系の研究開発職の業界・企業一覧|需要有(第3部)

 

<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社

<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
・特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
・詳細な確認や重要な判断が必要な場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。