エネルギー供給において石油・ガスプラントは欠かすことのできないものであり、また、脱炭素が叫ばれる現在、プラント業界は従来の化石燃料の精製から水素・アンモニア製造やCO2回収など、技術的な領域は広がっています。
しかし、企業の裏側において、どのような研究開発がおこなわれ、どのような専門性が求められるのか、その全体像を把握するのは容易ではありません。
この問題に対し、特許情報を活用します。
特許情報は企業の開発の軌跡であり、客観的なエビデンスになり得る情報です。
本記事では、採用サイトとは別の視点で、日揮、千代田化工建設、東洋エンジニアリングの研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。
結論(概要)は以下の通りです。
・化学系分野(化学工学、応用化学、環境工学、物理化学、無機化学など)
・機械系分野(機械工学、原子力工学など)
・情報系分野(情報工学、制御工学など)
・電気系分野(電気工学など)
・その他分野(材料工学、応用物理学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 石油・ガスプラント業界
2.1 石油・ガスプラント業界とは
ここでは、天然ガス処理施設や石油所などのプラントの設計、建設などをおこなう界を意図します。
水処理プラントは含めていませんが、技術的に厳密な区別はしていません。
2.2 サーチ対象
以下の石油・ガス系プラントメーカー3社を対象にしました。
(2)千代田化工建設
(3)東洋エンジニアリング
日揮については、日揮ホールディングスと日揮株式会社の情報を用いました。
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
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法人向け |
・保全管理システム |
・難ろ過性物質の処理方法 |
モノの開発としては、例えば、蒸留塔が挙げられます。
サービスの開発としては、例えば、原油蒸留装置の運転方法などが挙げられます。
3.2 出願件数の推移
下図は石油・ガス系プラントメーカー3社の特許出願件数の推移です。

出願件数は他の業界のメーカーなどと比較してかなり少ないです。
ただ、毎年一定以上の出願があり、そのような出願につながる開発が日々おこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
千代田化工建設>日揮>東洋エンジニアリング
だと言えます。
ただし、他業界に比べて出願件数がかなり中での比較に大きな意味はないかもしれません(会社側が開発者に出願ノルマを課すなどすれば、数人の開発者で件数を逆転することができるレベルなので)。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
蒸留や溶剤抽出などがこれに該当します。
3社ともこの分野から多く出願しています。
造粒装置などがこれに該当します。
3社ともこの分野から多く出願しています。
水素の精製などがこれに該当します。
千代田化工建設がこの分野から多く出願しています。
炭化水素の精製などがこれに該当します。
東洋エンジニアリングがこの分野から多く出願しています。
高速増殖炉などがこれに該当します。
日揮がこの分野から多く出願しています。
3.5 石油・ガス系プラントメーカーの近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)日揮|開発トレンドと専門性

上図期間中、G21Fが最も多いです。次いでG06Q、B01J、B01D、F25Jが多いです。
具体例として放射性物質を含む難ろ過性物質の処理方法が挙げられます。
原子力発電所から発生する放射性物質を含む使用済イオン交換樹脂やフィルタースラッジの湿式分解液には難ろ過性の酸化鉄などが含まれ、従来の凍結再融解法だけではこれらの難ろ過性物質の分離が困難であり、また塩濃度が高い場合には凍結自体が難しいという課題がありました。
これに対し、難ろ過性物質の懸濁液に可溶性金属塩を添加した後、pHを6以上に調整して金属水酸化物固体を生じさせることで、難ろ過性物質を金属水酸化物に取り込み、この懸濁液を凍結再融解することで氷の結晶成長に伴い固形物が凝集・濃縮され、融解後も粗大粒子として存在することでろ過性が向上する難ろ過性物質の処理方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7256061/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(難ろ過性物質の懸濁液に対する可溶性金属塩の添加量、pH調整条件、凍結速度、融解速度などの操作変数がろ過速度や分離効率に与える影響の評価、処理プロセスの設計)、環境工学(分離された固形物(放射性物質を含む)の化学的安定性、長期保管における放射性物質の漏洩リスクおよび最終処分方法の評価)
従来の放射性廃棄物の埋設処分では保持と押し込みを行う装置が一体型であったため、装置全長が長くなり、狭い主要坑道内で方向転換を行う際に広いスペースが必要となる問題がありました。また、充填材の充填には別途装置が必要となり、作業効率の低下を招いていました。
これに対して、放射性廃棄物の保持、押し込み、充填の各機能を持つ装置をそれぞれ別の搬送車に積載する構成、具体的には、第1搬送車が放射性廃棄物を保持する保持装置を運び、第2搬送車が保持装置を処分坑道に押し込む駆動装置を運び、第3搬送車が処分坑道と廃棄物の隙間に充填材を充填する充填装置を運び、各搬送車は処分坑道の入口前で回動機構により方向転換するため、主要坑道の幅を広げる必要がなく、一つの駆動装置が廃棄物の押し込みと充填装置の押し込みに再利用されるため、装置の数を減らし、作業効率と経済性を向上させた処理施設が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7101081/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(各搬送車の走行性能、回動機構の設計、保持装置の把持機構、駆動装置の推進力、充填装置の充填機構など各装置の機械的な動作と構造の最適化)、原子力工学(搬送中の放射性物質の遮蔽設計、万が一の落下や衝突を想定した安全対策の検討、遠隔操作システムの操作性評価、異常発生時の対応プロセスの策定、埋設後の放射性物質の閉じ込め性能に関わる工学的評価)
具体例として石油プラントなどの大規模設備の保全管理システムが挙げられます。
従来の石油プラントなどの設備保全では個々の装置の健全性監視はおこなわれていたものの、大規模設備全体の補修時期予測、部品手配、作業員や資材のリソース確保、工程管理を統合的におこなうことは困難でした。そのため、人的経験に頼った判断による非効率な補修や計画外の設備停止が発生する可能性がありました。
これに対して、設備の状態データと設定値の相関性を構成部材の特性に応じた重み付けを用いた機械学習によって解析し、構成部材ごとの損耗・劣化度合を算出して設備の補修時期を予測する予測装置と、構成部材の在庫状態に基づいて供給スケジュールを生成する物品管理装置、予測結果に基づき必要な構成部材の手配、補修に必要な作業工数とリソースを算出し、設備の補修スケジュールを生成する保全管理装置を備え、設備の健全性監視から補修計画、部品手配、リソース確保までを自動化し、大規模設備の効率的な保全管理を実現するシステムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7490470/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(機械学習アルゴリズムの設計、センサーデータの収集・処理・分析基盤の構築、ユーザーインターフェースの設計)、経営工学(予測された補修時期と部品のリードタイムを考慮した最適な発注タイミングの決定、作業員のスキルと可用性を考慮した効率的な人員配置計画の作成、補修にかかるコスト分析)
従来のマッチングサービスでは不特定多数のユーザが登録可能であり、発注者は応募者の信頼性を判断することが困難でした。また、客観的な評価システムが存在しないため、安心して仕事を依頼できる人材を見つけるのに苦労するケースがありました。
これに対して、仕事の発注者が探索要求をおこなうと、発注者が利用するコミュニケーションサービスにおける繋がり情報に基づき、直接的または間接的に繋がっているユーザを候補者として抽出し、その際に、候補者のスケジュール情報に加えコミュニケーションサービスにおける過去の投稿情報、発注者による評価(お気に入りタグなど)、仕事内容に応じた職種といった選択条件も考慮した候補者情報を発注者に提示して候補者の中から依頼したいユーザに仕事の依頼をおこなうことができるようにすることで、既存の人間関係を基盤とした信頼性の高いマッチングと詳細な条件に基づいた効率的なマッチングを実現する仲介システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2024-017775/11/ja
関連する専門分野の例:情報工学(発注者と繋がりのあるユーザを効率的に検索するアルゴリズムの設計、過去の利用履歴や評価に基づいた候補者推薦機能の実装、大量のユーザデータやトランザクションデータを効率的に管理するデータベースの設計)、経営学(発注者と受注者のニーズ分析、最適なサービスモデルの設計、ターゲットユーザ層の設定、収益化モデルの検討)
具体例として触媒反応の反応速度試験において異なる滞留時間条件での測定を自動的におこなう試験装置が挙げられます。
従来の触媒反応速度試験では異なる滞留時間を得るために、容量の異なる反応容器を実験者が手動で交換する必要があり、煩雑で時間と労力を要していました。また、反応条件を一定に保ちながら滞留時間のみを変化させることは困難でした。
これに対して、容量が異なる複数の触媒層を内蔵した反応容器と、試料の供給先と流出元を切り替える複数のバルブ、およびそれらを制御する制御部を備え、制御部が触媒層における滞留時間が異なる少なくとも3つの条件下で反応速度試験が自動的におこなわれるように、供給側と流出側の切り替えバルブを同期させて制御し、予め設定された流量で供給される試料の流れを適切な反応容器に導くことにより、反応容器の物理的な交換作業がなくなり、実験者が触媒や反応条件の設定に集中でき、効率的で正確な反応速度データの取得が可能な試験装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7504187/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(実験データに基づく適切な反応速度モデルの構築、触媒表面での反応素過程や活性サイトの特定、反応条件(温度、圧力、組成)が反応速度に与える影響の評価)、機械工学(試料の均一な流れを実現するための流路形状の最適化、効率的な熱伝達を行うための温度調節機構の設計、バルブの耐久性や応答性を考慮した選定と駆動機構の設計、装置全体の小型化・高性能化に向けた機械要素の配置と構造設計)
具体例として多孔質膜を利用して原料液と処理液を連続的に混合し、目的物質の結晶を析出させる連続式の晶析装置が挙げられます。
従来のバッチ式晶析プロセスは操作の煩雑さや生産コストの増大が問題でした。連続式のMSMPRプロセスでは、結晶のサイズ分布が広がりやすく、高濃度の結晶を得ることが困難であり、閉塞や付着も起こりやすいという問題がありました。また、マイクロリアクタを用いた連続晶析は処理量が少ないという問題がありました。
これに対して、上下方向に伸びる内部空間が形成された処理容器内部が多孔質膜で区画され、第1の通流空間に目的物質またはその原料を含む原料液が、第2の通流空間に貧溶媒または反応液である処理液が連続的に供給され、処理液は多孔質膜の多数の細孔を通過して第1の通流空間に流入し、原料液と混合され、当該混合液は第1の通流空間の上端部側から連続的に抜き出され、後段の熟成部で目的物質の結晶を析出・成長させ、また、原料液と処理液がそれぞれ処理容器の下端部側から供給されて、混合液が処理容器の上端部側から抜き出されることで、効率的な混合と結晶の排出を可能にし、閉塞のリスクを低減しながら連続的な晶析を実現する晶析装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6761560/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(多孔質膜の材質、細孔径、配置が混合効率や結晶品質に与える影響の評価、処理容器内の流動解析による流路設計、目的物質の溶解度曲線や結晶成長速度に基づいた熟成部の設計)、応用化学(目的物質の溶解度を制御するための溶媒の選定や混合比の最適化、晶析を促進または抑制するための添加剤の検討、反応晶析における反応条件と生成物の溶解度の関係の解析、連続晶析プロセスにおける不純物の除去方法の検討、目的物質の安定性や品質を確保するための晶析条件の検討)
具体例として天然ガス液化装置の混合冷媒の組成を決定する方法が挙げられます。
従来の天然ガス液化装置では天然ガスの供給組成や供給圧力が設計時の前提条件から変化すると、液化効率の低下や消費動力の増大を招く可能性がありました。特に、混合冷媒の組成は通常固定されているため供給条件の変化に最適に対応できませんでした。
これに対して、実際の稼働データに基づいて天然ガス液化装置のシミュレーションモデルを作成し、現在の供給条件における極低温熱交換器のUA値(熱交換器の総括伝熱係数(U)に伝熱面積(A)を乗じた値で熱交換器の熱通過性能を表す指標)を算出し、新たな供給条件下において、極低温熱交換器のUA値を維持するようにモデルを調整しながら複数の異なる混合冷媒組成についてシミュレーションを実行し、液化天然ガスの単位流出量あたりの総消費動力が最も小さくなる混合冷媒組成を新たな条件下での最適組成として決定することにより、天然ガスの供給条件が変化した後でも、より少ないエネルギー消費で効率的な天然ガスの液化運転が可能な混合冷媒組成の決定方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6286812/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(天然ガス液化プロセスのシミュレーションモデルの構築、熱交換器の性能評価、圧縮機の効率解析、プロセス全体の最適化)、機械工学(極低温熱交換器の構造設計と伝熱性能の最適化、混合冷媒の熱力学特性に基づいた液化サイクルの解析と効率改善、圧縮機やエキスパンダーの選定・性能評価、プラント全体のエネルギー効率を最大化するためのシステム設計)
(2)千代田化工建設|開発トレンドと専門性

B01Jが最も多いです。次いでB01D、Ⅽ01B、F24J、Ⅽ10G、G05Bが多いです。
具体例として水素化芳香族類の脱水素反応に用いられる白金担持アルミナ触媒が挙げられます。
従来の白金担持アルミナ触媒には触媒寿命において改善の余地がありました。特に、白金粒子の分散状態や粒子径の制御が不十分であると、触媒活性の低下や劣化が起こりやすくなっていました。
これに対して、特定の表面積(200m²/g以上)、細孔容積(0.50m³/g以上)、平均細孔径(60Å~150Åの範囲)かつ特定の細孔分布(全細孔容積に対して平均細孔径±30Åの細孔が占める割合が60%以上のγ—アルミナ担体)が用いられ、担持される白金粒子の70%以上が8~15Åの特定の大きさに制御されることで触媒寿命を向上させ、また、この特定の粒子径範囲に白金を高分散担持することにより、活性点の維持とコーキング(触媒表面への炭素質析物の堆積による活性低下)の抑制を両立する白金担持アルミナ触媒が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7472399/15/ja
関連する専門分野の例:無機化学(アルミナ担体の細孔構造が白金粒子の分散状態や粒子径に与える影響の解析、最適な担体構造の設計、白金化合物の含浸方法、焼成条件、還元条件が白金粒子の粒子径制御に及ぼすメカニズムの解明、最適な触媒調製プロセスの検討)、物理化学(アルミナ担体表面の特性や白金前駆体の吸着状態の解析、白金ナノ粒子の成長モデルの構築、粒子径制御の要因の特定)
従来の均一型白金担持アルミナ触媒は比較的長寿命ですが、更なる改善が求められていました。一方、エッグシェル型触媒は拡散抵抗が大きい反応に有利ですが、活性金属の分散度や触媒劣化に課題がありました。
これに対して、リンを特定の量でアルミナ担体の外郭に白金と共に分散担持させたエッグシェル型白金担持アルミナ触媒であり、それにより、触媒活性と選択性を維持しつつ、触媒寿命を向上させ、副反応であるカーボン生成を抑制し、メチルシクロヘキサン等の水素化芳香族類の脱水素反応においてより安定した触媒が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7466634/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(触媒表面における反応中間体や吸着種の挙動追跡、反応物質や生成物の触媒表面への吸着特性の評価、活性化エネルギーや反応次数の算出、リン添加の有無による反応速度の違いの比較検討、活性サイトへの影響の評価)、化学工学(開発された触媒を用いた脱水素反応プロセスを工業的に実現するための反応器設計、触媒層構造の最適化、反応条件(温度、圧力、流量など)の最適化)
具体例として硫黄酸化物を含む被処理ガスから硫黄酸化物を除去するジェットバブリング方式の脱硫方法が挙げられます。
従来のジェットバブリング方式の脱硫装置では高い酸化雰囲気により酸化性物質や6価のセレンが生成しやすく、排水処理の負荷が増大していました。
これに対して、反応槽内の酸化性の高い領域から抜き出したスラリと、反応槽に導入される前の被処理ガスの一部を混合槽で混合することでスラリ中の酸化性物質や6価のセレンを還元し、混合後のガスを脱硫反応に一部利用し、スラリは固形分と液体分に分離回収することにより、排水処理負荷を低減しつつ脱硫性能を維持した簡易な脱硫方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7065161/15/ja
関連する専門分野の例:環境化学(脱硫反応における硫黄酸化物の除去メカニズムや酸化性物質、6価のセレンの生成反応および被処理ガスによる還元反応の解析、酸化性物質やセレンの生成・還元に関与する中間体の特定、反応経路の推定、異なる被処理ガス組成や運転条件における酸化性物質やセレンの生成量の予測モデルの構築)、化学工学(反応槽および混合槽における気液接触効率の最適化、反応器設計および運転条件の最適化)
従来の排煙処理では電気集塵装置が粉塵除去に用いられていましたが、装置コストや設置面積が課題でした。
これに対して、複数の室に区画された密閉槽内の第1室で吸収液によって脱硫し、第2室で冷却等の前処理を経た脱硫後の排煙を気体排出管を通じて液幕除塵装置が設置された第3室へ導き、液幕除塵装置の液吐出手段から吐出されて液分散板の平滑な面上で分散された均一な液幕が上昇気流中の微細な粉塵を効率的に捕集することで低コストで除塵性能を発揮する排煙脱硫装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6730024/15/ja
関連する専門分野の例:環境工学(排煙脱硫プロセス全体の物質収支とエネルギー収支の解析、硫黄酸化物と粉塵の除去効率を最大化するための運転条件(吸収液の組成、pH、液ガス比、洗浄液の流量など)の最適化)、機械工学(液幕除塵装置における気流と液膜の相互作用の解析、粉塵捕集効率を向上させるための液分散板の形状、液吐出ノズルの配置、洗浄液の噴霧特性(液滴径、速度分布)の最適化)
具体例として飽和環状化合物の脱水素反応により水素を生成する水素ステーションが挙げられます。
従来の水素ステーションでは水素の貯蔵・輸送に圧縮水素法や液体水素法が主流であり、オンサイトで水素を製造する場合には水電解法や化石燃料の改質法が用いられていましたが、コストやCO2排出量の課題がありました。
これに対して、脱水素反応器、熱媒体を介した熱供給装置およびPSA装置(圧力変化を利用して吸着剤で気体を浄化する装置)を備えた水素ステーションであって、PSA装置の吸着剤再生に使用される水素を含むパージガスを燃料として熱供給装置の触媒燃焼管に供給し、触媒燃焼管内では燃焼触媒の存在下でパージガスが空気と共に触媒燃焼し、その燃焼熱で熱媒体を加熱することで、脱水素反応に必要な熱を直火を用いることなく供給でき、また、これまで未利用だった水素を含むパージガスを有効活用する水素ステーションが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7573732/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(脱水素反応における平衡定数や反応速度定数の測定、活性化エネルギーや反応次数の評価、触媒表面での吸着・脱離現象の解析、反応中間体の安定性や反応経路の解明)、化学工学(水素ステーション全体のプロセス設計、反応器および熱交換器の設計・最適化)
具体例として太陽熱発電システムにおける太陽熱収集装置の接地構造が挙げられます。
従来、溶融塩を用いた太陽熱発電システムでは熱媒流路のスタートアップ時やメンテナンス時に溶融塩の固化を防ぐため熱媒流路への通電加熱が考えられます。この際、安全確保のため支持支柱の接地が必要ですが、多数の支柱全てを導電性の高いケーブルで接地するには材料コストと施工の手間が増大するという問題がありました。
これに対して、太陽熱を受ける熱媒が流れる熱媒流路とそれを支持する導電性の複数の支柱を備えた太陽熱収集装置において、熱媒流路の通電加熱時の安全確保のため、一部の支柱は導電率の高いケーブルと異種材料接合部材を介して接地し、他の少なくとも一部の支柱は支柱と同じ導電性材料の接続部材を介して大地に直接接続する構成により、効率的な接地と施工手間・コストの抑制および電気的安全性の確保を両立する太陽熱収集装置の接地構造が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6543708/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(熱媒流路の絶縁抵抗測定および絶縁不良時の漏洩電流経路の解析、支柱の配置やケーブルの接続方法に基づいた接地抵抗の評価、地絡発生時の保護リレーの動作特性の検討)、材料工学(太陽熱収集装置の構成材料の選定、支柱に用いられる鋼材の強度および電気的特性の評価、ケーブルに用いられる銅材の導電率および耐食性の評価、異種金属接合部における腐食のメカニズム解析および抑制方法の検討)
具体例として原油蒸留装置の油種切替時の運転方法が挙げられます。
従来の油種切替運転では原油組成の変化により蒸留塔などの装置の運転状態が急激に変動していました。この運転条件の調整は熟練運転員の経験と技量に依存しており、運転員の負担が大きい上、最適な運転状態の実現が困難でした。
これに対して、油種切替時に、切替後の原油の水分量や留分の流量を推定する設計工程、その推定結果に基づいて脱塩装置への注水流量、貯留装置の液面レベル、蒸留塔への原油流量、留分貯留装置の液面レベル、留分の流量などを事前に調整する前準備工程、切替後の原油の受け入れを開始する切替工程を経て、切替後の原油を蒸留するための装置の状態値に応じて制御量の目標設定値を調整する調整工程を実行することにより、(前準備工程における事前の調整により油種切替時の装置の急激な変動を抑制し、)熟練運転員の負担を軽減しつつ、安定した運転と高価値留分の収率向上を図ることが可能になる運転方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7079852/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(原油蒸留装置全体のプロセスシミュレーションモデルの構築、油種切替時の物質収支とエネルギー収支の変動予測)、制御工学(油種切替時のプラント全体の運転を安定化させるための制御システムの設計)
具体例として化学反応装置の反応状態を予測する情報処理装置が挙げられます。
従来の化学反応の反応状態の予測は実験データや運転中の装置の観測に基づいておこなわれており正確な予測が困難でした。また、反応モデルを用いたシミュレーションでは定量化が難しい物質移動などの影響や考慮できるパラメータ数に限界があり、予測精度が低いという問題がありました。
これに対して、まず、反応装置の運転パラメータと反応物質の情報を取得し、その運転パラメータでの反応速度を予測した第1の反応速度パラメータを求め、次に、この第1の反応速度パラメータとそれに影響を与える複数の因子との相関関係を用いて各因子を定量化し、定量化した因子を用いて反応モデルを修正し、修正モデルを用いて第3の反応速度パラメータを求め、取得した物質情報と運転パラメータ、第1または第3の反応速度パラメータを学習データとして、物質情報と運転パラメータを入力すると反応速度である第2の反応速度パラメータを出力する予測モデルを学習し、記憶部に格納することにより、定量化が難しい因子を考慮した予測モデルを構築し、実際の運転状態を高精度に予測することが可能な情報処理装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7354477/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(特定の化学反応(例えば、アンモニア合成反応)を対象に反応速度式、物質移動係数、触媒吸着等温式などの基礎式の確立、運転パラメータ(温度、圧力、流量、触媒量など)と実験的に得られた反応速度データを用いて基礎式に含まれるパラメータを推定する統計的手法(例えば、非線形最小二乗法)を適用、定量化された各因子の反応速度に与える影響度を解析して反応律速段階を特定)、情報科学(反応装置から取得される運転パラメータ、物質情報、過去の反応結果などの大量のデータを効率的に学習するための機械学習アルゴリズムの設計、教師あり学習アルゴリズムにより物質情報と運転パラメータから反応速度を予測するモデルの構築)
(3)東洋エンジニアリング|開発トレンドと専門性

Ⅽ07Ⅽが最も多いです。次いでB01D、H01M、B01Jが多いです。
具体例としてアンモニアと二酸化炭素から尿素を製造する方法が挙げられます。
従来のサブマージ凝縮器(熱交換器の一種:凝縮器全体が吸収媒体の中に浸っているような状態(サブマージ)で運転)では分解ガス凝縮と尿素生成を同時におこなうことが望まれていましたが、冷却水の供給方法によってはチューブ内で冷却効果が不均一となり、凝縮器内の温度分布が大きくなるという問題がありました。
これに対して、縦型サブマージ凝縮器のチューブ側に、発生するスチーム量の3倍以上の質量流量の水を供給する水供給工程(ポンプで供給水を昇圧し、チューブ側から得られる流体を気液分離してスチームと水を得て、分離した水を再びチューブ側に供給する循環システムによる過剰な水供給)を導入し、Uチューブ内を流れる冷却媒体中の液体の割合を高く維持し、チューブ入口から出口にかけての熱交換量の差を小さくし(特に、Uチューブの往路と復路が同一水平面に存在する縦型サブマージ凝縮器において生じやすい水平方向の温度差を効果的に低減し)、凝縮器内の温度分布を均一化することで安定した尿素合成と高効率な熱回収を実現する尿素製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7252365/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(サブマージ凝縮器内の熱移動現象の解析、尿素生成シミュレーションモデルの構築、温度分布が尿素生成速度に与える影響の評価)、機械工学(ポンプの選定(流量、圧力)、配管設計(圧力損失、流体分配)、気液分離器の設計(分離効率)、熱交換器の構造設計)
従来の液化天然ガスからの炭化水素分離法では一段の蒸留塔を用いる方法や二段の蒸留塔を用いる方法がありました。一段塔方式ではプロパン回収率が低い、あるいは塔内負荷が大きいという問題がありました。二段塔方式では第一塔の塔頂ガスを全凝縮させるために高い操作圧力を必要とし、装置が大型化したり、エネルギー消費が増加したりする問題がありました。
これに対して、二つの蒸留塔を用いた分離プロセスにおいて、第二塔の塔頂ガスを冷却して得られた凝縮液の一部を、第一塔の塔頂ガスと混合させることにより、第一塔の塔頂ガスの凝縮温度が上昇するため、圧縮機を用いることなく、比較的低い圧力で第一塔の塔頂ガスを全凝縮させることが可能となり、全凝縮させた液体の一部は製品液化天然ガスとして払い出され、残部は第一塔への還流液として利用され、一方、第二塔の塔頂ガスの凝縮液の残りの部分は第二塔への還流液として供給され、高いプロパン回収率を維持することにより、第一塔の操作圧力を低く抑えつつ高いプロパン回収率と低いエネルギー消費を両立できる炭化水素分離方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7051372/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(液化天然ガスの組成に基づき二つの蒸留塔の最適な運転条件(圧力、温度、還流比など)の決定、第一塔の塔頂ガスと第二塔の凝縮液の混合比率が第一塔の凝縮に必要な冷却熱量、製品液化天然ガスの組成、プロパン回収率に与える影響の評価、最適な混合条件の特定)、機械工学(液化天然ガスの冷却・凝縮プロセスにおける熱伝達特性や流動特性の評価、最適な熱交換器の構造(伝熱面積、流路形状など)の設計、プロセス内の圧力損失を最小化しエネルギー効率を高めるための配管設計や機器選定)
具体例として濃縮部と回収部を有する非断熱型蒸留塔が挙げられます。
従来の熱交換型蒸留装置では塔頂蒸気を圧縮して塔底に供給する構成において、配管や機器での圧力損失が、特に減圧蒸留のような低圧システムにおいて省エネルギー性能を大きく損なうという問題がありました。
これに対して、非断熱型蒸留塔の濃縮部に複数の冷却装置が、回収部に複数の加熱装置が設けられ、それぞれの冷却装置と加熱装置の間で独立した作動流体の循環経路が構成され、各循環経路には作動流体を圧縮する圧縮機と、膨張させる膨張装置が設けられていることにより、濃縮部の複数の位置で間接的に冷却をおこない、回収部の複数の位置で間接的に加熱をおこなうことができ、可逆蒸留操作を模擬的に実現し、作動流体の冷却・加熱が蒸留塔内の蒸留操作とは独立しておこなわれるため、蒸留塔の操作圧力に影響を受けにくく、減圧蒸留などの低圧システムにおいても高い省エネルギー性を有する非断熱型蒸留塔が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6963094/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(動流体の種類と運転条件(流量、圧力、温度)の最適化、蒸留塔の冷却・加熱負荷に見合った効率的な圧縮機と膨張装置の選定・設計)、化学工学(蒸留塔全体の物質収支・エネルギー収支の解析、複数の冷却・加熱装置の最適な配置と熱負荷分担の決定、分離性能と省エネルギー性を両立させるプロセス設計)
従来の機械式ヒートポンプ式蒸留塔は蒸気を圧縮して昇温し熱源として利用するため、塔内温度差が大きいほどコンプレッサーの消費動力が増大し、省エネルギー効果が小さくなるという問題がありました。そのため、塔内温度差が大きい蒸留塔への機械式ヒートポンプ式蒸留塔の適用は困難でした。
これに対して、一つの蒸留塔を塔内温度差の比較的大きい領域を含む第一の塔と、比較的小さい領域を含む第二の塔に分割され、第二の塔は内部熱交換型蒸留塔(HIDiC)として構成され、高圧部と低圧部を有し、低圧部の塔頂蒸気を昇圧して高圧部の塔底部に供給するとともに高圧部の塔底部からの液を低圧部の塔頂部に導き、濃縮部から回収部に熱交換をおこなう構造を備え、一方、第一の塔は濃縮部または回収部の一部を含み、昇圧手段を備えないため、塔内温度差の比較的小さい領域でのみHIDiCを適用するため、コンプレッサーの消費動力を抑制しつつ、効率的な熱回収が可能となり、全体の塔内温度差が大きい場合でも省エネルギー化できる蒸留塔 が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6289112/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(蒸留塔全体の分離に必要な理論段数の推定、温度プロファイルにおける傾きの変化が大きい位置の特定、第一の塔と第二の塔の分割位置の決定、それぞれの塔の段数の最適化、第二の塔における高圧部と低圧部の運転圧力差、熱交換構造の設計およびコンプレッサーの仕様の選定、システム全体のエネルギー消費量を最小化する運転条件の探索)、機械工学(最適な圧縮機の種類と性能の選定、効率的なエネルギー供給システムの設計、熱交換器の伝熱性能を高め圧力損失を低減するための構造設計や配置の検討、蒸留塔の運転状態を監視し原料組成や流量の変動に応じて最適な運転条件を維持するための制御システムの構築)
具体例としてレドックスフロー電池が挙げられます(レドックスフロー電池:電解液の流れを利用して充放電する電池です。電解液中の物質が酸化還元反応することで電気を蓄えたり放出したりします。タンクに貯めた電解液を循環させるため大容量化や長寿命化がしやすいのが特徴)。
従来の大型レドックスフロー電池セルでは双極板の大型化に伴い機械的強度が低下し、破損による電解液の混合や自己放電のリスクがありました。
これに対して、長方形状の開口部を持つ枠体を、長手方向と垂直方向に梁状部分で分割し複数の小開口を形成し、分割された双極板の各領域を小開口に配置し、形成された凹部に分割された電極を収容し、梁状部分内部には双極板の各領域を電気的に接続する導電部材を配置した構造により、双極板の大型化による機械的強度低下を防ぎ、枠体の剛性も向上させ、電池セル全体の大型化と高強度化を両立させたレドックスフロー電池が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7213144/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(電池セルを構成する枠体、双極板、電極および導電部材に適した材料の選定、それぞれの材料の機械的強度、導電性、耐電解液性の評価)、応用物理学(作製された大型電池セルの電流-電圧特性、出力密度、エネルギー効率などをさまざまな充放電条件下で測定、セル内部の抵抗成分の解析、分割構造による抵抗増加の有無やその要因の特定、導電部材の接触抵抗の評価、長期使用における信頼性の検証)
具体例としてアンモニアの分解反応のための反応器が挙げられます。
従来のアンモニア分解反応器などの吸熱反応を行う反応器では外部加熱や熱媒体による間接加熱のため温度ムラが生じやすく、反応効率が低下する問題がありました。また、触媒層への充填方式では圧力損失が大きくなる傾向がありました。
これに対して、直立円筒状の反応容器内に通電発熱するヒーター部と触媒を有する触媒部材を同心円状に配置したラジアルフロー型反応器であって、反応容器は反応領域の内外にそれぞれ外部と連通する中央側流路と外側流路を有し、流体透過性のある内壁と外壁で反応領域と区切られていて、触媒部材はヒーターであるワイヤー状電熱線とその表面に配置された触媒含有触媒層からなる触媒担持ワイヤーで形成されていることにより、触媒を直接かつ均一に加熱でき、温度ムラを抑制し、圧力損失を低減する反応器が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-022850/11/ja
関連する専門分野の例:化学工学(触媒担持ワイヤーの電熱特性と触媒活性の関係の評価、反応器内の温度分布シミュレーションモデルの構築、複数の同心円状触媒部材への最適な電力供給量を制御するシステムの設計、アンモニア転換率と生成物の選択性を最大化する運転条件の探索、圧力損失を最小化し、かつ均一な流れを実現するための反応器内部構造(流路壁の透過性など)の検討)、電気工学(触媒部材のヒーター部(電熱線)の電気的特性(抵抗値、耐熱性、耐久性)の評価、最適な電力供給システムと制御回路の設計)
(4)まとめ
プラント設備における反応に関するもの、そのような反応のための設備などの発明が多く確認されます。
そのような発明の完成のために求められる専門性としては化学系や機械系が中心になる場合が多いことが推測されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)日揮

共同出願の例として、オレフィンとメタノール及び/又はジメチルエーテルを含む原料ガスからプロピレンを製造する方法が挙げられます。
従来のオレフィンとメタノールまたはジメチルエーテルからのプロピレン製造法では反応生成物の分離精製に多くのエネルギーを消費していました。特に、冷却圧縮後の蒸留工程において炭素数2以下の軽質成分、炭素数3のプロピレン・プロパン、炭素数4以上の重質成分を複数の蒸留塔で分離する必要があり、設備投資と運転コストが増大する要因となっていました。
これに対し、多段に設けられた圧縮装置において、少なくとも第1段目の圧縮で生じた液体成分を蒸留装置(ストリッパー)に供給し、そこで分離された気体成分を後段の圧縮装置に送るという構成、具体的には、反応生成物を冷却後、複数段の圧縮機で順次圧縮し、少なくとも第1段目の圧縮で生じた液体成分をプロピレンを含む比較的軽質な成分は気体として、炭素数4以上の比較的重質な成分は液体として分離し、気体の軽質成分は後段の圧縮機に戻し、最終的にプロピレンが得られる当該構成により、従来の脱C2塔や脱C3塔の負荷を低減し、場合によっては脱C6塔を不要とすることが可能となり、プロピレン収率を維持しつつ、精製工程におけるエネルギー消費量を削減できるプロピレン製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6172024/15/ja
(2)千代田化工建設

共同出願の例として化学プラントなどにおける粉粒体同伴高温ガス配管用、粉粒体の侵入を防ぎ伸縮機能を維持する伸縮継手が挙げられます。
従来の粉粒体同伴高温ガスが流れる立ち上がり管に用いられる伸縮継手では運転停止時などに落下する粉粒体が伸縮管の伸縮性を確保するための開口部から内部の断熱材側に侵入し、断熱材の消失や伸縮管の動きを妨げるという問題がありました。特に、開口部が流れ方向下流側に設けられている構造では粉粒体の侵入を完全に防ぐことが困難でした。
これに対し、伸縮管と、その内側に配置された二重の筒状保護管(第1および第2の保護管)と、保護管間の隙間に介装されたシール部材と、保護管と伸縮管の間に配置された断熱材とを備えた伸縮継手において、第2の保護管下端部と下側配管内壁との間に気体の流れ方向と直交する方向に開口部が形成され、第1および第2の保護管間の隙間底部に隙間側から開口部側に向けて下方に傾斜する傾斜面が設けられたこの構成により、運転時には上昇する粉粒体が開口部から侵入しにくく、運転停止時に落下する粉粒体も開口部から隙間に侵入しにくい構造となり、傾斜面は、侵入しようとする粉粒体を重力で管内に戻し、シール部材が粉粒体のさらなる侵入を抑制し、断熱材への影響を防ぐ伸縮継手が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2015-025491/11/ja
従来の接触部分酸化法は高い空間速度で原料ガスを触媒層に流通させるため、反応器の小型化が可能である一方、触媒層内でホットスポットが形成されやすく、触媒の劣化や破壊を引き起こすという問題がありました。このホットスポットは、触媒表面での燃焼反応が改質反応に先行して進行するために発生すると考えられており、従来の触媒活性を調整する方法や原料ガスを触媒層の深さ方向に分散供給する方法では十分な対策となっていませんでした。
これに対し、触媒層入口における混合ガスのレイノルズ数(流れの性質を表す無次元の数:レイノルズ数が小さと粘性力が強く、スムーズで規則正しい流れになり、レイノルズ数が大きいと慣性力が強く、乱れた流れになる)を20を超えない条件で触媒層に流通させることで、触媒層内の過度な乱流を抑制し、局所的な高温生成を防ぎ、ホットスポットの形成を効果的に抑制し、これにより、触媒の安定した性能を維持し、長期にわたる合成ガスの製造が可能とする方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2016-152151/19/ja
(3)東洋エンジニアリング

共同出願の例として高温雰囲気炉内を撮影する観察装置が挙げられます。
従来の高温度の炉内観察装置では冷却ガスをカメラハウジング先端から排出し、炉内ガスが装置内に侵入するのを防いでいましたが、冷却ガスの流れの乱れによる負圧域の発生や微量に侵入した高温ガス中の粉塵が冷却されてレンズ周辺に付着・固化し、視野を妨げるという問題がありました。また、冷却ガスを多量に供給すると、カメラレンズに結露が生じる懸念もありました。
これに対し、筒状の撮影部内にカメラハウジングを収容し、冷却ガスを供給してカメラ本体部を冷却する基本構成は維持しつつカメラハウジングの先端近傍にガス逃し口が設けられた観察装置で、供給された冷却ガスの一部(70~80容量%)はこのガス逃し口からカメラハウジングの外、すなわち撮影部内に排出され、その後、カメラハウジング先端から排出された残りの冷却ガスと合流して撮影部外へ放出され、このガス逃し口が複数の穴が空いた凸状と凹状のリング部材をスライド可能に嵌め合わせた構造を持ち、穴の対向面積の調節によって逃しガス量が調整できるため、炉内ガスが観察装置内に巻き込まれるのを抑制し、レンズや開口部への粉塵の付着・凝固を防ぎ、同時に冷却ガスによる結露の問題も改善する高温雰囲気炉内観察装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5449690/15/ja
(4)上記(1)~(3)(共同出願人)のまとめ
単独の出願件数自体が少ないので、共同出願はさらに少ないです。
共同出願の内容はプラント設備に関連するものが確認されました。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・化学系分野(化学工学、応用化学、環境工学、物理化学、無機化学など)
処理プロセスの検討や環境リスクの可能性や対策の検討などが求められます。
・機械系分野(機械工学、原子力工学など)
各種装置の処理機構の設計、施設の構造や安全に鑑みた設計などが求められます。
・情報系分野(情報工学、制御工学など)
情報処理のためのアルゴリズム構築や情報処理システムの設計、システム制御などが求められます。
・電気系分野(電気工学など)
電気回路の評価や制御設計などが求められます。
・その他分野(材料工学、応用物理学など)
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
石油・ガスに関わる施設の設計・建設が大前提の業界であるため、化学的処理とそれに関わる装置、設備に関する出願が多く確認され、技術開発も当該分野に関わるものが多いことが推測されます。
これらを大学の専攻と関連づけるとしたら、化学、機械、情報、電気に関わる研究が該当する可能性があります。ただし、その境界はかなりあいまいです。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
6 次に何をすべきか迷っている方へ
この分野で就職・転職を考えている方へ
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関連業界:プラント業界(水処理)
技術的に近い業界:三菱電機・日立製作所・東芝(重電インフラ技術と水素、アンモニア供給網構築の観点)、海運業界(液体水素等の荷役設備技術の観点)、セメント業界・鉄鋼業界・化学業界(総合)・化学業界(総合に続く規模)(工場やコンビナート等の脱炭素の観点)
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化学系、情報系、電気系、機械系、材料系、物理系、数学系、生物系、土木・建築系、薬学系
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・総合メーカーの就職・転職先一覧|研究開発に強い企業の技術分野
化学系で就職・転職できる業界を網羅的に知りたい方へ
<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
・特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
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