今回は不動産業界についてとりあげます。
オフィスビルや商業施設、住居の開発などに関わる業界ですが、本記事における「開発」はあくまで特許に関連する技術的な開発を指します。
こうした技術的な開発内容は外部からは見えづらいのが実情です。
これを特許情報からみていきます。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
今回は、総合ディベロッパー3社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。
結論(概要)は以下の通りです。
・情報系分野(情報科学、情報工学、コンピュータサイエンス、システム工学、データサイエンスなど)
・建築系分野(建築学など)
・材料系分野(材料科学など)
・機械系分野(機械工学など)
・電気系分野(電気電子工学など)
・その他系分野(経営工学、認知科学、応用物理学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 不動産業界
2.1 不動産業界とは
ここでは、土地や建物といった不動産の取得、開発、賃貸、売買、管理を主たる事業とする業界を意図します。
2.2 サーチ対象
以下の総合ディベロッパー3社を対象にしました。
(2)三菱地所
(3)住友不動産
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
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法人向け |
・異常時特化型録画データ収集システム |
・加工不要なCLT板とコンクリートを用いた簡素化された鉄骨梁接合工法 |
3.2 出願件数の推移
下図は総合ディベロッパー3社の特許出願件数の推移です。

出願件数は他の製造業に比べると少なく、出願年によって大きくばらついています。
ただし、3社とも一定数の特許出願をおこなっており、そのような特許出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
住友不動産>三井不動産≒三菱地所
だと言えます。
ただし、直近数年は3社いずれの出願も件数絞られており、その差は小さいと言えます。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
収納可能なテーブルなどがこれに該当します。
三井不動産がこの分野から多く出願しています。
建築物のレイアウトなどがこれに該当します。
三井不動産、住友不動産がこの分野から多く出願しています。
塔などがこれに該当します。
住友不動産がこの分野から多く出願しています。
窓サッシなどがこれに該当します。
住友不動産がこの分野から多く出願しています。
制御装置などがこれに該当します。
三井不動産がこの分野から多く出願しています。
ビジネスプロセスの実施に適合した情報通信技術などがこれに該当します。
三菱地所がこの分野から多く出願しています。
能動回路や回路素子を一体化したアンテナなどがこれに該当します。
三菱地所がこの分野から多く出願しています。
3.5 総合ディベロッパー3社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)三井不動産|開発トレンドと専門性

上図期間中、H04N、G06F、G06Qが多いです。
具体例として異常時特化型録画データ収集システム(監視システム)が挙げられます。
従来、監視カメラの録画データは膨大で、その通信費と管理費用がランニングコストとして高額になるという問題がありました。
これに対し、監視場所の録画データを取得する撮影装置と、データの記録を制御する情報処理装置、および録画データを記憶する外部記憶装置で構成された監視システムであり、撮影装置はカメラ機能に加え、人感センサーや音圧センサーなどの物理量センサ(第1・第2のセンサ)を搭載しており、装置内で録画データのフレーム間データサイズを比較して評価値(シーン変化量)を算出し、この評価値と各種センサの検出値、そして録画データのプロファイル(時刻など)を相互に関連付けて記憶部に一時格納し、検証用データ(評価値、センサ検出値、プロファイルのみ)を情報処理装置へ送信し、情報処理装置では検証用データに含まれる評価値、第1センサ、第2センサの検出値を、それぞれオフセット値(または閾値)と比較することで監視場所の異常(イベント)を検知(異常検知は、まず評価値で判定し、異常がなければ第1センサ、異常がなければ第2センサという優先順位で段階的に実行)し、いずれかの比較で異常が検知された場合のみ情報処理装置は撮影装置へプロファイル(時刻など)を指定した録画データの送信指示を送信することにより、撮影装置は異常が検知されたタイミングの必要な録画データ本体だけを情報処理装置に送信し、これを外部記憶装置に格納することで、ランニングコストの軽減を実現する監視システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5993414/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(ステム全体のデータフローと処理効率の分析、検証用データによる異常検知の精度と効率を高めるためのアルゴリズムの設計、監視場所や時間帯に応じた最適なオフセット値(閾値)の自動調整アルゴリズム(例えば、機械学習に基づく異常検知モデル)の構築、撮影装置から情報処理装置へのデータ転送負荷の解析、検証用データの送信間隔やデータ構成が通信コスト削減効果とリアルタイム検知性能の両方を満たすようにネットワークプロトコルレベルでの最適化の検討)、電気電子工学(異常検知検出信号を安定的に処理するための電気回路および信号処理系の設計・評価、撮影装置内でのシーン変化量算出部(フレーム間データサイズ比較)や各種センサの検出信号についてノイズ除去フィルターの設計やA/D変換における量子化誤差の最小化の検討、センサ信号と映像フレームを正確に同期させるための時刻同期回路(プロファイルとの関連付け)の安定性の検証)
具体例として照合済み本人確認情報に基づく登録コード発行型ID連携システムが挙げられます。
従来、複数のサービス間でのID連携の際、利用者の意に反して個人情報が利用されるなど、利用者の意思の反映が不十分で個人情報保護の改善の余地がありました。
これに対して、複数のサービスシステムで利用者に紐づけられた第1のIDをID連携システムにおける第2のIDに紐づけて登録し、この登録プロセスはID連携システムが各サービスシステムを介して利用者に対し登録コードを発行する登録コード発行手段と利用者が第2のIDでログイン後に登録コードを入力し、IDを紐づける紐づけ手段を備え、登録コード発行手段は各サービスシステムから第1のIDとそれに紐づく利用者を特定する第1の情報(例:基本4情報)を受け付け、この受け付けた第1の情報と第2のIDに紐づけられた第2の情報(例:ID連携システム側の基本4情報)との照合結果に基づき両者の一致が確認された場合にのみ登録コードを発行することにより、別々のサービスシステムとID連携システム双方で本人の情報が一致することを確認してから登録コードを発行・利用させるため、本人性の確実な検証と利用者の意図しない情報連携を防ぐセキュリティレベルを実現するID連携システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7013504/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(ID連携システムと複数のサービスシステム間でID情報、基本4情報および許諾情報が安全かつ迅速にやり取りされるための効率的なソフトウェアアーキテクチャの設計、ID連携処理の流れを基に各機能(登録コード発行、照合、紐づけなど)をマイクロサービスとして構成するかモノリシックな構造にするかといったシステムアーキテクチャの選択と設計、登録コード入力後のID紐づけ処理が大量の利用者アクセスに対しても遅延なく完了できるようデータベースとの通信やメモリ管理の効率化を図るためのプログラミングとデータ構造の最適化)、コンピュータサイエンス(複数のサービスシステム(第1のID)とID連携システム(第2のID)間のID紐づけ処理(IDマッピング)、認証および情報照合が高可用性とスケーラビリティを保ちつつリアルタイムで実行できる分散アーキテクチャの構築、登録コードの発行、入力、ID紐づけといった一連の処理を支えるステートフルなセッション管理の設計、第1の情報と第2の情報の照合結果に応じて登録コードを発行するロジックをトランザクション管理の下で実装、複数のサービスシステムから同時にID連携の要求があった場合でもデータの一貫性が保証される非同期通信プロトコルの設計)
具体例としてRFIDと変換ルールに基づく複数店舗・ECサイト間在庫連携システム(商品情報連携システム)が挙げられます。
従来、複数の店舗が入居する施設では、店舗ごとに独自の在庫システムを持つため、ECサイトとの情報連携に莫大なコストと時間がかかるという問題がありました。
これに対して、施設内の各店舗に設置された第一タグ情報取得部(RFIDリーダー)により店舗固有のフォーマットで記録されたタグ情報を読み取り、メインサーバ内の第一変換部がこの固有のタグ情報に対し、あらかじめ設定された変換ルール(タグ情報に店舗識別情報が含まれる場合はその情報に基づくルール、含まれない場合はエリアごとのルール)に従って変換を行い、ECサイトで標準的に使用される商品番号(SKUコードまたはJANコード)を取得し、次に、第一処理部がこの商品番号とECサイトの商品情報を含む商品情報記憶部に格納された商品番号とを照合し、一致した場合に当該商品のEC在庫情報に店舗在庫を加算(連携)する仕組みにより、店舗独自のフォーマットを個別に統一する手間とコストをかけることなく、施設全体のリアルタイムな店舗在庫をECサイトの商品情報と連携して一元管理することが可能となり、在庫効率の向上に貢献する商品情報連携システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7134273/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(大規模な在庫情報と商品情報が迅速かつ正確に連携できるデータベース構造の設計・検証、エリア毎の変換ルールなどタグ情報に店舗固有の情報が含まれない場合の変換における曖昧性(複数店舗のタグが重複する可能性)を排除するためのアルゴリズムの設計、ECサイト在庫と店舗在庫の加算・更新処理におけるトランザクション管理の最適化、在庫データの一貫性と可用性を維持できる分散データベース技術の適用の検討)、経営工学(ECサイトと店舗在庫の統合管理がキャッシュフロー、顧客満足度および総在庫コストに与える影響の分析、システム導入による経済的効果を最大化するための在庫ポリシーと運営プロセスの設計、店舗在庫とEC在庫を統合した際の最適な在庫ロケーション(どこに、どれだけの安全在庫を持つか)決定モデルの構築、変換ルールの設定作業やRFID読み取り頻度、在庫更新頻度といったシステム運用パラメータが機会損失に与える影響のシミュレーション)
(2)三菱地所|開発トレンドと専門性

E04BとG06Qが多いです。
具体例としてユニット化された配筋が接着固定された木製パネル型枠が挙げられます。
従来の鉄骨梁上のデッキプレート工法では型枠の溶接と現場での鉄筋配置が必要なため、施工に時間を要する点が問題でした。
これに対して、RC造の床構築における型枠鉄筋工事の施工時間短縮を目的とする配筋付き製材型枠であり、コンクリート打設時の型枠として機能するウッドパネルとウッドパネル上にユニット化された配筋(好ましくはトラス筋)とを備え、ユニット化された配筋は接着剤または接着剤付きステープルなどの固定手段により事前にウッドパネルに固定されており、この型枠を鉄骨梁の上に敷設すると木材であるウッドパネルはデッキプレートのように鉄骨梁に溶接が不要となり、ウッドパネルの下面はそのまま仕上げ材として利用可能であるため仕上材や下地材の工程も省略でき、これにより施工時間の短縮とコストの低減を実現する配筋付き製材型枠が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6820970/15/ja
関連する専門分野の例:建築学(配筋付き製材型枠の構造性能を設計・検証、コンクリート打設時や供用時の強度、剛性および耐火性の評価、ウッドパネルとユニット化された配筋(トラス筋)の複合構造体としての曲げ強度、せん断強度の導出、型枠が支保工なしで梁間スパンを支えるために必要な初期剛性やコンクリート硬化後の複合床としての長期的な性能(たわみ、ひび割れ)の検証)、材料科学(ウッドパネルの材料特性(強度、耐久性)、配筋とウッドパネルを固定する接着剤・固定具の接合強度およびコンクリートとの界面挙動の評価、製品の信頼性とコスト効率を両立する最適な材料選定、ウッドパネルに使用する木材の含水率や密度が強度に与える影響の分析、接着剤の種類(イソシアネート系、レゾルシノール系など)や固定具(ステープル、釘など)の引抜耐力の測定、コンクリート打設後の湿潤環境下における接着剤の耐久性や木材と鉄筋・コンクリート間の熱膨張率の違いによる長期的な影響の検討)
従来の床CLT工法ではCLT板の縁に鉄筋を通すための欠込み加工が必要であり、加工手間とコストの削減が課題でした。
これに対して、鉄骨梁と直交集成板(CLT)との接合に係る床CLT工法であり、まず、鉄骨梁の上にガイド片を立設し、これにCLTの縁を当接させることでCLT板を迅速かつ正確に位置決めして敷設(CLT板は縁に鉄筋を通すための欠込み加工が不要な状態のまま使用)し、CLT板の上面および鉄骨梁上の端面を覆うようにコンクリートを打設し硬化(硬化したコンクリートがCLT板を鉄骨梁に固定する役割を果たす)させることで、CLT板の複雑な加工や従来の接合工法(スタッドと貫通孔、接着剤など)に要していた手間や作業員が不要となり、接合部にかかるコストを低減する床CLT工法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6948998/15/ja
関連する専門分野の例:建築学(CLTと硬化コンクリート、鉄骨梁の接合部のせん断伝達性能および剛性の評価、CLT上面および端面のコンクリートが接合部に生じるせん断力を伝達するメカニズムの解析、地震時や長期荷重下での接合部の強度と変形特性の検証、CLTの繊維方向が異なる積層構造がコンクリートとの付着強度に与える影響の検討)、材料科学(湿熱膨張率の異なる材料間の長期的な複合挙動の評価および最適な材料組み合わせの選定、CLTに使用される木材の吸湿・乾燥による寸法変化がコンクリートとの境界に生じさせる応力の測定、コンクリートの収縮ひび割れがCLTとの接合固定に及ぼす影響の検討、界面に適用する接着剤やプライマーの配合や使用するコンクリートの配合設計)
具体例として就業データで分類したカウンセリングデータに基づく企業の健康経営支援システム(健康管理サーバ)が挙げられます。
従来の民間の予防・健康管理サービスでは企業にフィードバックするデータの信頼性を担保する方法が知られていませんでした。
これに対して、データ収集と企業へのフィードバックを目的とする健康管理サーバであり、まず、カウンセリングデータ取得部がユーザのIDと共に体調や仕事に関するカウンセリングデータを取得し、就業データ取得部が企業サーバからIDに対応する就業に関する数値・ラベルデータを取得し、次に、類型判定部が取得した就業データのみに基づいてユーザを「仕事量改善」や「人間関係改善」など就業環境の改善点を示す特定の類型に分類し、提案データ生成部が何らかの類型に分類されたユーザのカウンセリングデータのみをフィルタリングして使用し、就業環境の改善点を提案する提案データを生成し、この提案データは企業の企業サーバに送信され、就業データによる客観的基準でフィルタリングされた情報のみが企業にフィードバックされるため、企業が効果的な改善策を講じることが可能になる健康管理サーバが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7462468/15/ja
関連する専門分野の例:データサイエンス(企業から提供される就業データ(残業時間、役職、業種など)とカウンセリングデータ(体調、不調内容)の間の相関関係の分析、ユーザを就業環境の改善点を示す類型に分類するための機械学習モデルの構築、収集した就業データとカウンセラーが分類した正解ラベル(類型)を用いてモデルを訓練、モデルの分類精度や解釈性(どの就業データが分類に最も寄与するか)の検証)、認知科学(取得されたカウンセリングデータを心理的ストレスや認知負荷の指標として定量化・構造化、就業環境の改善点につながる人間の内部状態を測定・解釈するためのフレームワークの設計、ユーザのカウンセリングデータに含まれる特定のキーワードや文章構造から認知負荷の高さやストレスレベルを客観的に評価するためのスコアリング基準の設計、アンケートの設問設計や面接聞き取り項目の構成について人間の記憶や判断バイアスを最小限に抑え真の体調や仕事の不調が信頼性高く抽出されるように質問紙法の妥当性の検証)
(3)住友不動産|開発トレンドと専門性

E04H、B66B、E06Bが多いです。
具体例として高層建築物向け減風型インナーバルコニーが挙げられます。
従来、高層建築物では強風がインナーバルコニーに直接吹き込み、利用が難しく、備品の転倒・破損の危険性がある点が問題でした。
これに対して、強風時にも利用できるインナーバルコニーであり、建築物の外壁面に凹部が形成され、外界とインナーバルコニーの間に介在する緩衝領域として機能し、インナーバルコニーの開口面がこの緩衝領域に面するように配置され、その角度は建築物の外壁に対して約90度であることにより、外界からの風はインナーバルコニーに直接吹き込むことがなく、必ず緩衝領域を経由し、緩衝領域を通過する際に風向が約90度変更され、その結果、風のエネルギーが減衰され、吹き込む風の勢いが弱まり、強風時でも備品の転倒・破損を防ぎ、静穏な雰囲気を保つことが可能なインナーバルコニーが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7244701/15/ja
関連する専門分野の例:建築学(凹部を形成することによる外壁の構造的な安定性、断熱・遮音性能への影響の検討、凹部の建築的な寸法が建築基準法や関連法規に適合しているかの検証、凹部を設けたインナーバルコニーが居住者にとっての使い勝手、開放感、採光といった建築計画上の要求を満たしているかの評価、)、機械工学(建築物周辺および凹部(緩衝領域)内部の複雑な空気の流れを再現するためのモデル構築、風向、風速、乱れの強さなど多様な条件における減風効果の予測、凹部の幾何学的パラメータ(奥行き、幅、角度)を変更した際の空気抵抗や渦の発生による運動エネルギーの損失の解析、最小のコストで最大の減風効果を得るための最適な形状寸法の導出)
具体例として着脱可能な装飾用パネルと磁力固定ガイドを用いた壁面保護パネル構造が挙げられます。
従来使用されてきた養生シートは別途保管が必要で、意匠性がなく、使用中の外観が見苦しいという問題がありました。
これに対して、エレベータかご室などの壁面を美観を保ちつつ保護する装飾用パネル構造であり、複数の側板パネルと複数の支持棒を備え、側板パネルは装飾シート層、壁面に固着される固着シート層(磁石シート層など)および耐傷性のある保護層を積層した構造を持、支持棒は壁面に磁力で固着される幅の狭い磁石板とその磁石板に取り付けられた幅の広いガイド板で構成されており、側板パネルは端部がガイド板と壁面との間に形成される窪み(隙間)に入り込んだ状態で壁面に取り付けられ、支持棒の磁石板は側板パネルの固着シート層よりも強い磁力を持つことで支持棒の安定的な固定と側板パネルの盗難・落下防止が図られることにより、養生シート不要で壁面を保護し、美観を維持する効果が得られる保護パネル構造が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6781097/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(側板パネルを構成する積層材料(装飾シート、保護層、固着シート)の組み合わせについて耐傷性、耐燃性、磁気特性の最適化、エレベータ環境(振動、温度変化)下での長期的な耐久性と剥離・変形の抑制の評価、保護層として用いるメラミン樹脂や他の高分子材料の硬度、耐摩耗性、透明度の測定・比較および最適な材料の選定、側板パネルと支持棒の磁石シート層および磁石板に用いる磁性材料の残留磁束密度や保磁力の測定、壁面からの着脱の容易さと確実な固着力のバランスが取れるように磁気特性の設計)、機械工学(支持棒のガイド板と磁石板の幾何学的寸法および側板パネルの端部の形状の設計、側板パネルが窪みに入り込む際のクリアランス(隙間)の公差解析、生産時の寸法ばらつきを考慮した上での適切な嵌合寸法の設計、エレベータの振動や荷物搬送時の接触といった外部荷重に対しガイド板と壁面の間にパネルが確実に保持されるために必要な磁力と機構的な拘束力のバランスの静的・動的解析)
具体例として採光スリットと反射体を用いた光拡散型吊り下げスライド扉が挙げられます。
従来、遮光性の高いスライド扉を閉めると室内が真っ暗になるため、光を導入するには扉を中途半端に開ける必要があり、見苦しく、手間がかかる点が問題でした。
これに対して、プライバシーを確保しつつ自然光を室内に導く吊り下げ型の導光スライド扉であり、枠材によって形成されたフレーム内に内面板と外面板を固定することで空間を形成し、光を取り込むため外面板の左右両側に縦長または横長のスリットが設けられており、スリットから導入された光は、空間内部のスリットに対向する位置に長手方向に沿って設けられた光反射面によって扉の中央部に向かって反射され、さらに、外面板の空間側にも光反射体が設けられており光を扉内部で効率よく拡散させ、最終的に、内面板の中央部に形成された開口部に設けられた半透明体(光面)から光が柔らかな光として室内側に散乱されることにより、扉を閉めた状態でも自然光による明るさを確保でき、快適な居住空間を提供できるスライド扉が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6173417/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(扉の幾何学的形状(スリット幅、反射面の角度など)と光の振る舞い(反射、散乱、透過)の間の物理法則の定式化、スリットから入射する太陽光の入射角と強度の変動に対し多重反射および散乱による光エネルギーの損失を計算するための物理モデルの構築、試作した扉の光面から得られる照度分布や光の均一性の評価、設計通りの導光性能が発揮されているかを物理的な観点から検証)、材料科学(外面板、内面板、半透明体、光反射体、シャッターに用いる高分子材料、薄膜材料および複合材料の選定と物性評価、半透明体(光面)に用いる強化障子紙やフィルムについて光散乱特性と強度を測定、最適な厚みと表面処理の決定、光反射面や光反射体として用いる薄い金属板やシートの反射率や耐候性の評価、長期間の使用で光沢の低下や劣化が生じないための表面処理技術の検討)
(4)まとめ
各種のシステム(情報処理)や建物などの構造に関する出願が確認されます。
これらの出願の技術分野は企業によって大きく異なる可能性があります。
また、本業界は、出願件数の絶対数が少ないため、社内で継続的な開発体制を有しているのか、判断には注意が必要です。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)三井不動産

(2)三菱地所

(3)住友不動産

詳細の説明は省略します。
(4)上記(1)~(3)(共同出願人)のまとめ
共同出願件数自体は少ないですが、単独出願件数の少なさに鑑みると、多くの企業と共同出願をおこなっていると考えられます。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・情報系分野(情報科学、情報工学、コンピュータサイエンス、システム工学、データサイエンスなど)
データ収集・処理フローの最適設計、検知アルゴリズムの構築と検証、通信プロトコルとネットワーク負荷の解析、異種データフォーマット変換アーキテクチャの設計、リアルタイム在庫データ連携プロトコルの確立、統合商品情報データベースの設計、分散システム連携のためのソフトウェア構造設計、利用者属性情報の効率的な管理モデル構築、ID紐づけ処理フローの論理的検証と最適化、本人性検証のための暗号学的メカニズムの理論検討、ID照合におけるハッシュ化・秘密計算アルゴリズムの選定、多種多様な就業データに基づく分類・類型化モデルの設計、定性的なカウンセリング情報を定量的な特徴量に変換する手法の検討などが求められます。
・建築系分野(建築学など)
新しい複合部材の載荷時における構造性能の設計、型枠・支保工の省略を可能にする部材の初期剛性の検討、異種材料接合部におけるせん断伝達機構の理論的モデル化と性能評価、複合部材の剛性および変形性能を考慮した構造解析モデルの設計、新しい建築的要素を導入した際の構造的安定性の検討、凹部や開口部形状が居住者の快適性(採光、利用性)に与える影響の検討などが求められます。
・材料系分野(材料科学など)
接着剤または固定具を用いた木材と鉄筋の接合信頼性の検討、木材の耐久性および耐火性を考慮した材料選定と処理方法の検討、複合材料界面における接着・付着特性の最適化および品質管理、温度、湿度変化に起因する異種材料間の応力発生メカニズムの解析、積層構造における各層間の界面接合強度と耐久性の検討、装飾・保護・固着機能を両立するための複合材料の選定と最適化などが求められます。
・機械系分野(機械工学など)
建物外周の空気流動現象を予測する流体解析モデルの構築とシミュレーション、風速や圧力の空間分布に基づくエネルギー減衰機構の効率解析、強風から穏やかな気流への変換を目的とした流路形状の最適設計、部品の幾何学的公差を考慮した確実な嵌合および固定機構の設計、振動や外部荷重に対するパネル構造全体の安定性と保持力の解析、などが求められます。
・電気系分野(電気電子工学など)
センサおよびアクチュエータの選定と制御回路設計、アナログ・デジタル信号処理系の設計、データ変換および時刻同期回路の実現などが求められます。
・その他系分野(経営工学、認知科学、応用物理学など)
店舗・EC統合在庫ポリシーの策定と最適化、データ連携システム導入の費用対効果分析、在庫一元管理によるサプライチェーンプロセス効率の定量評価、ユーザの内部状態を客観的に測定するためのデータ収集手段の妥当性検証、収集された定性データから人間の感情や認知バイアスを識別するための解釈フレームワークの設計、光の進行・散乱を制御するための幾何学的構造と物理法則に基づいた理論解析、多様な外部環境(入射光の変動)下での光エネルギー伝達効率の定量的モデル化などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
各種システムや建築物などに関する出願が確認され、これらの出願につながる開発がおこなわれている可能性があります。
ただし、企業によって出願に係る技術内容が異なる可能性があります。
また、出願件数が少ない業界であり、継続的な開発がおこなわれているのか判断には注意が必要です。
関連する大学の専攻として、情報、建築、材料、機械における研究分野が該当する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
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