自動車、建築、エネルギーインフラなどあらゆる分野に関わる鉄鋼ですが、近年では水素還元製鉄や電炉技術の高度化、AIによる操縦・品質予測システムの構築など、多角的な技術革新が求められています。
しかし、企業サイトの断片的な情報だけでは、現場においてどのような研究開発がおこなわれているのか、どのような専門性が求められるのか、その全体像を把握するのは困難です。
この問題に対し、特許情報を活用します。
特許情報は企業の開発の軌跡であり、客観的なエビデンスになり得る情報です。
本記事では、採用サイトとは別の視点で、日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所、大同特殊鋼の研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。
結論(概要)は以下の通りです。
・材料系分野(材料工学、金属工学、材料科学など)
・機械系分野(機械工学など)
・化学系分野(応用化学、化学工学、環境工学など)
・電気系分野(電気工学、電気電子工学など)
1 業界サーチの概要
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 鉄鋼業界
2.1 鉄鋼業界とは
ここでは、鉄鉱石やスクラップを原料として鉄や鋼を製造し、自動車、建設、家電など幅広い分野に素材を供給する業界を意図します。
2.2 サーチ対象
以下の鉄鋼4社を対象にしました。
(2)JFEホールディングス(JFEスチール)
(3)神戸製鋼所
(4)大同特殊鋼
JFEホールディングスについてはJFEスチール株式会社の特許情報を用います。
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
|
モノの開発 |
サービスの開発 |
|
|
個人向け |
|
|
|
法人向け |
・ステンレス鋼材 |
・連続鋳造方法 |
モノの開発としては、例えば、表面処理された鋼材が挙げられます。
サービスの開発としては、例えば、欠陥の評価方法などが挙げられます。
3.2 出願件数の推移
下図は鉄鋼各社の特許出願件数の推移です。

上図期間中、上位2社に関しては年間1000件以上のペースで出願しています。
下位2社でも年間100件を超える出願です。
近年、出願件数は減少傾向にありますが、出願につながる開発が日々おこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
日本製鉄、JFEスチール>神戸製鋼所>大同特殊鋼
だと言えます。
対象期間中、日本製鉄とJFEスチールの出願件数は同程度です。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
金属の圧延方法や圧延機などがこれに該当します。
日本製鉄、JFEスチール、神戸製鋼所がこの分野から多く出願しています。
金属質粉からの工作物などがこれに該当します。
大同特殊鋼がこの分野から多く出願しています。
電気溶接などがこれに該当します。
神戸製鋼所がこの分野から多く出願しています。
焼きなましなどがこれに該当します。
日本製鉄、JFEスチール、大同特殊鋼がこの分野から多く出願しています。
非鉄合金の製造などがこれに該当します。
全4社がこの分野から多く出願しています。
3.5 鉄鋼4社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)日本製鉄|開発トレンドと専門性

上図期間中、C22Cが最も多いです。次いでC23C、B22D、B23K、G01N、C21C、B21Dが多いです。
具体例として油井などの腐食環境下で使用される二相ステンレス鋼材が挙げられます。
既存の二相ステンレス鋼材では高強度化と熱間加工性の両立が困難でした。
これに対し、特定の化学組成(C:0.030%以下、Si:1.00%以下など)を含有し、残部がFe及び不純物からなり、かつ特定の組成式を満たすとともに体積率で30~80%のフェライトと残部のオーステナイトからなるミクロ組織を有することで655MPa以上の降伏強度と熱間加工性を両立する二相ステンレス鋼材が開発されています(以下URL)。
特定化学組成の二相ステンレス鋼材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7364955/15/ja
関連する専門分野の例:材料・金属工学(特性向上を目指した微量元素の添加や組成範囲の微調整の検討、元素の含有量範囲が高強度と熱間加工性を両立させるための最適範囲であることの検証)、機械工学(絞り値などの指標を用いた加工条件の検討、熱間加工後の冷却速度や熱処理条件がミクロ組織と特性に与える影響の評価、製造プロセスの確立)
従来の熱延鋼板では高強度化と加工性、耐溶融金属脆化(LME)性の両立に加え、高い剛性を同時に満たすことが困難でした。
これに対して、特定の化学組成(C:0.040~0.120%、Si:0.01~0.60%など)を有し、ミクロ組織においてベイニティックフェライトの面積率を85%以上、転位密度を8.0×10¹³~100.0×10¹³/m²、Ti炭化物の平均円相当径を10nm以下、ベイニティックフェライトの結晶粒の平均円相当径が15μm以下に制御されることで、強度、加工性、耐LME性、剛性を兼ね備えた熱延鋼板が開発されています(以下URL)。
自動車用などの熱延鋼板→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7541272/15/ja
関連する専門分野の例:材料・金属工学(化学組成とミクロ組織が強度、加工性、耐LME性、剛性といった特性に与える影響の組織学的な解析と 機械的特性評価、微細なTi炭化物の析出とベイニティックフェライトの微細化を両立させるための条件探索)、機械工学(熱間圧延プロセスの設計、鋼板の温度履歴、応力・歪み分布、組織変化に基づく製造プロセスの確立)
具体例として自動車や建材等に用いられる表面処理鋼材が挙げられます。
従来は亜鉛系めっき鋼板の耐食性向上のためにクロメート処理などの化成処理がおこなわれてきましたが、より高い耐食性が求められる一方で導電性の確保が困難であるという問題がありました。
これに対して、鋼材表面の亜鉛または亜鉛合金めっき層上に形成された化成処理被膜が特定の割合でシロキサン結合を有する有機ケイ素化合物とリン(P)及びフッ素(F)を含み、有機ケイ素化合物中のアルキレン基とシロキサン結合の存在割合がFT-IRで測定した吸光度比(A1/A2)で0.10~0.75の範囲に制御されることで、耐食性と導電性を両立する表面処理鋼材が開発されています(以下URL)。
表面処理鋼材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7445185/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(めっき層と化成処理被膜の界面構造、化成処理被膜の組成・構造の解析、亜鉛または亜鉛合金めっき層の腐食メカニズムの解析、化成処理被膜がどのように腐食進行を抑制するのか評価)、応用化学(シランカップリング剤の種類と配合比、リン化合物、フッ素化合物の種類と濃度、添加剤の最適化、化成処理被膜のFT-IRスペクトルの解析、特定の吸光度ピークが示す化学結合や官能基の特定)
具体例として高Si-高Mn鋼の連続鋳造方法が挙げられます。
従来、高強度化のためSiやMnを多量に含む鋼は連続鋳造において表面割れが発生しやすく、既存の冷却・復熱技術では十分な抑制効果が得られないという問題がありました。
これに対して、特定の鋼組成の鋳片に対し鋳型直下から矯正点に至る前において、鋳片表面温度が350~450℃にある時間TLと550~650℃にある時間THを用いて算出されるパラメータTA(=TL×[Mn]⁻⁰.⁶×[Si]⁻¹.¹+TH×10⁻¹×[Mn]⁻¹.¹)が30以上となるように冷却し、その後矯正点に至る前に表面温度をAc3以上に復熱させることで鋳片表層組織を微細化し、矯正時の割れを安定的に抑制する連続鋳造方法が開発されています(以下URL)。
高Si-高Mn鋼の連続鋳造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7633514/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(冷却・復熱プロセスを実現するための連続鋳造機の設計、鋳片の冷却効率を最大限に高めるための冷却ノズルの形状、配置、冷却材の流量などの最適化)、材料工学(最適な組織を得るための冷却・復熱条件の評価、鋼の組成に基づく最適な温度-時間サイクルの設計)
具体例として低温環境下で使用されるNi系鋼材などの溶接における被覆アーク溶接棒が挙げられます。
従来のNi系溶接棒は高コストでありNi量を減らすと低温靭性が低下し、Mn量を増やすとヒュームが増加するという問題がありました。
これに対して、特定の化学成分を有する鋼製の芯線とフラックスを備え、芯線においてMnとNiの合計量が5.0%以上、Mn、Ni、Crの合計量が15.0%以上で、磁気誘導法で測定されるfcc(オーステナイト)相の割合が70%以上である組成により、Ni使用量を抑えつつ溶接金属の低温靭性を確保し、アーク力を緩和することでヒューム発生量を低減する被覆アーク溶接棒が開発されています(以下URL)。
被覆アーク溶接棒→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7492185/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(溶接金属の微細組織(オーステナイト相の安定性、結晶粒径、析出物など)の解析、低温における靭性との関連性の評価、Mn、Ni、Crなどの元素がオーステナイト相の安定化に寄与するメカニズム解析)、機械工学(溶接棒の製造プロセス設計、溶接施工法の検討)
具体例としてラインパイプ用鋼材の耐水素誘起割れ性(HIC)の評価方法が挙げられます。
従来のHIC評価は時間を要するNACE試験が主であり、鋳片段階での早期判定が困難でした。
これに対して、品種ごとの酸化物組成に基づき溶鋼分析値から算出するフリーS濃度とエッチプリント法またはEPMAで評価した偏析粒の長さ分布を組み合わせることで、HIC感受性を鋳片段階で予測し、不良な鋳片の早期選別や製造条件の最適化に貢献するHIC評価が開発されています(以下URL)。
ラインパイプ用鋼材のHICの評価方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7636672/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(フリーS濃度と偏析粒のサイズ・分布がHIC発生に及ぼす影響の解析、評価指標の妥当性検証)、機械工学(溶鋼採取から成分分析、鋳片評価、最終製品の出荷に至るまでの製造プロセスの設計)
具体例として電気炉を用いた溶鋼の脱硫方法が挙げられます。
従来の電気炉脱硫では炉内残留スラグからの復硫やプラズマガスなどの特殊な設備・処理を必要とする課題がありました。
これに対して、溶鋼に接する第1電極を負極、溶鋼上のスラグ上方に離間して配置した第2電極を正極とし、スラグの2000℃における液相率を80%以上とし、第2電極直下の溶鋼表面がスラグで被覆された状態で通電することにより、特別なガス供給なしに気化脱硫を実現し、脱硫能力を向上させる脱硫方法が開発されています(以下URL)。
溶鋼の脱硫方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7644349/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(逆極性通電下における溶鋼-スラグ界面での硫黄の移動メカニズム、電気化学的な脱硫反応の解析、溶鋼の脱硫反応を効率的に進行させるスラグ組成の探索)、電気工学(電流、電圧、電極間距離などの通電条件が脱硫効率や炉材への負荷に与える影響の評価、電気炉システムにおける電極配置、電源制御システム、スラグ厚制御などの検討)
具体例としてプレス金型を用いた中空部材の製造方法が挙げられます。
従来のプレス曲げ加工では小径曲げにおいて皺や座屈が生じやすく、回転金型を用いる方法では生産性に劣るという問題がありました。
これに対して、円形断面の素管を第1・第2金型で挟み込み、1回のプレスで金型の曲面を押し当てることで断面をわずかに縮径(縮径率0%超10%未満)させながら曲げ加工をおこなう同時加工により材料の周方向への流れを制御し、成形不良を抑制しつつ高精度な曲げ加工を効率的に実現する中空部材の製造方法が開発されています(以下URL)。
中空部材の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7339592/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(目的とする中空部材の形状に対し最適な第1金型と第2金型の曲面形状、配置などの設計、プレス荷重、速度、ストロークなどの加工条件の最適化)、材料工学(素管の材質がプレス加工における変形挙動や成形性に与える影響の評価、最適な材料を選定と加工条件との適合性の検証)
(2)JFEスチール|開発トレンドと専門性

C22Cが最も多いです。次いで、B21B、C21D、C23C、G01N、C21C、B21Dが多いです。
具体例として鋼矢板が挙げられます。
従来の鋼矢板には高強度・高靭性を得るためにNbやVなどを添加していましたが、ウェブ部のミクロ組織制御が不十分で穴あけ加工時の工具寿命が短いという問題がありました。
これに対し、特定のC、Si、Mn含有量、P、S含有量の上限を規定した成分組成を有し、ウェブのミクロ組織がフェライトとパーライトの合計面積率95%以上で、平均ビッカース硬度Hvが150~250、その標準偏差σHvが10以下に制御されることで、機械的特性を維持しつつ穴あけ加工時の被削性が向上した鋼矢板が開発されています(以下URL)。
鋼矢板→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-179318/11/ja
関連する専門分野の例:材料・金属工学(規定された成分組成に基づく熱間圧延や冷却条件の最適化、鋼材のミクロ組織が被削性に与える影響の解析)、材料科学(規定された成分組成が鋼材の相変態挙動に及ぼす影響の解析、ウェブ部の微細組織が鋼矢板の強度、靭性、硬度、被削性などの機械的特性に与える影響の解析)
既存の高強度鋼管では強度向上と加工性・靭性の両立が困難でした。
これに対して、特定の成分組成を有する母材部においてベイナイトを主体とした微細な組織とTi系介在物の数密度が所定範囲に規定、溶接部においてもフェライトとベイナイトの組織割合および平均結晶粒径が最適化されることで、加工性・靭性の両立する電縫鋼管が開発されています(以下URL)。
電縫鋼管→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7563585/15/ja
関連する専門分野の例:材料・金属工学(規定の母材部および溶接部の金属組織を実現するための熱間圧延、冷却、溶接、溶接後熱処理の各工程における温度、時間、冷却速度などの最適条件の検討、電縫溶接部の微細組織が強度、加工性、靭性に与える影響の評価)、材料科学(規定の成分組成が熱間圧延や溶接時の相変態挙動に及ぼす影響の解析、)
具体例として熱間圧延における圧延材の蛇行を制御するレベリング制御方法が挙げられます。
従来の蛇行制御は蛇行が顕在化してから対応するため未然防止が困難でした。
これに対して、圧延材の先端部が制御対象の圧延機を通過後、尾端部が前段圧延機を通過するまでの定常部において張力の幅方向偏差に基づき第1レベリング修正量を算出し、尾端部が前段圧延機通過後から蛇行量検出装置通過までは蛇行量と差荷重に基づき第2レベリング修正量を算出し、尾端部が蛇行量検出装置通過後から制御対象圧延機通過までは差荷重に基づき第3レベリング修正量を算出し、これらの修正量を各制御区間で適切に適用することで蛇行の未然防止と発生後の抑制を図り、安定した圧延を実現する熱間圧延におけるレベリング制御方法が開発されています(以下URL)。
熱間圧延におけるレベリング制御方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7626100/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(圧延荷重やレベリング調整が圧延材の蛇行に与える影響の解析、圧延機の作業側と駆動側のロールギャップを精密かつ迅速に調整するレベリング装置の機構設計、アクチュエータ選定、制御システムの設計)、電気電子工学(張力検出器、蛇行量検出装置、荷重検出器からの信号を処理し第1~第3レベリング修正量を算出しレベリング装置を制御するフィードバック制御システムの設計)
具体例として金属帯を水平焼鈍する横型焼鈍炉が挙げられます。
従来の焼鈍炉では加湿ガスを金属帯の上下いずれか一方または上下中央から導入するため、炉内の露点分布が不均一となり金属帯の表裏で品質差が生じるという問題がありました。
これに対して、加湿ガスの導入孔を炉の側面視で金属帯から上下対称かつ断面視で金属帯の幅方向中央に対し点対称となるよう少なくとも一対配置されることで、導入された加湿ガスが炉内で渦状に流れ、雰囲気ガスとの混合を促進し、金属帯の上下における露点差を解消して均一な焼鈍を可能にする横型焼鈍炉が開発されています(以下URL)。
金属帯を水平焼鈍する横型焼鈍炉→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7626089/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(加湿ガスの導入孔の位置、形状、噴出速度などが炉内の雰囲気ガスおよび加湿ガスの流れ、混合に与える影響の解析、炉内における雰囲気ガスと金属帯間の物質移動(脱炭、酸化など)および焼鈍反応の速度の評価)、材料工学(焼鈍炉内の露点、温度、時間などの条件が材料特性に与える影響の分析、金属帯の酸化・脱炭挙動の解析)
具体例として亜鉛系めっき鋼板が挙げられます。
従来の高強度亜鉛めっき鋼板は腐食環境下での水素発生により遅れ破壊が生じやすいという問題がありました。
これに対して、亜鉛系めっき層表面に特定の付着量(0.01~2g/m2)の次亜リン酸塩を含有する皮膜の形成によって、鋼板への水素侵入を抑制し、耐遅れ破壊特性を付与した亜鉛系めっき鋼板が開発されています(以下URL)。
亜鉛系めっき鋼板→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7652155/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(高強度鋼の遅れ破壊メカニズムの解析、次亜リン酸塩含有皮膜と亜鉛めっき層との密着性を評価)、応用化学(亜鉛めっき表面における次亜リン酸塩の吸着などのメカニズムの解明、最適な処理液組成、pH、温度、処理時間などの成膜条件の探索)
具体例として搬送中の金属帯の穴あき欠陥を光学的に検出する装置において欠陥検出と同時に光検出器の異常を検出する検査方法が挙げられます。
従来の装置では検出器の異常と実際の欠陥なしの状態を区別できず正確な欠陥検出の妨げになる可能性がありました。
これに対して、第1の光源による透過光検出で欠陥を検出するのに加え、第2の光源から金属帯に常時光を照射し、その反射光を同じ光検出器で検出し、第2光源の光強度は第1光源より弱く設定され、反射光強度も透過光強度より小さくし、光検出器の出力強度が正常時の反射光強度より低い異常閾値未満の場合に検出器が異常と判定することで、金属帯の検査中に並行して光検出器の健全性を監視する検査方法が開発されています(以下URL)。
欠陥検出と同時に光検出器の異常を検出する検査方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7647715/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(光検出器の感度、応答速度、ノイズ特性、波長特性などの評価、第1および第2の光源の選定、照射光学系および光検出器への入射光学系の設計、リアルタイムで検出器の異常を判定するアルゴリズムの設計)、機械工学(光源、検出器、光学系などを支持するフレーム構造、振動対策、光軸調整機構の設計)
具体例として溶銑脱硫処理に用いられる撹拌羽根が挙げられます。
従来の撹拌羽根では脱硫剤の巻込みや溶銑の撹拌が不十分であり脱硫効率の向上が課題でした。
これに対して、回転軸から直交方向に突出する2枚の第1撹拌翼と、それぞれの第1撹拌翼から特定の条件で突出する2枚の第2撹拌翼を備えた構成により、撹拌時に溶銑の流れを効果的に制御し、脱硫剤と溶銑の接触界面積を増大させて高い脱硫効率を実現する撹拌羽根が開発されています(以下URL)。
溶銑脱硫処理に用いられる撹拌羽根→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7548256/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(撹拌羽根形状が脱硫反応効率向上に寄与するメカニズムの解明、 高温の溶銑および脱硫スラグとの接触における撹拌羽根の耐火物材料の耐食性、耐摩耗性の評価、材料の選定)、機械工学(脱硫剤の分散、巻込み、溶銑との混合を効率的におこなうための羽根形状パラメータの検討、撹拌機の設計)
具体例として金属板から天板部と縦壁部を有するプレス成形品を製造する装置が挙げられます。
従来のプレス成形では成形後のスプリングバック量が材料特性のばらつき等により変動し、寸法精度が安定しないという問題がありました。
これに対して、パンチ、パッドに加え、傾斜摺動面を有するカムドライバと、それに摺動する曲げ刃を備え、金属板の折り曲げをおこなう第1の成形(カム成形)と縦壁部を成形する第2の成形をおこない、カムドライバの高さまたは対向距離を調整する機構を備えることで、成形品の形状を意図的に調整して量産時の寸法ばらつきを抑制するプレス成型装置が開発されています(以下URL)。
プレス成形品を製造する装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7655301/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(スプリングバック量を最小化または制御するための成形条件の設計、カムドライバの高さ調整機構および対向距離調整機構の設計)、材料工学(スプリングバックのメカニズムの解析、結晶構造、加工硬化特性、残留応力などを考慮した材料モデルの構築)
(3)神戸製鋼所|開発トレンドと専門性

B23Kが最も多いです。次いでC22C、C23C、B22D、G01N、B21Dが多いです。
具体例としてアーク溶接を用いた積層造形における制御情報修正方法が挙げられます。
従来の技術では曲線経路においてビード(溶けた金属が固まってできた盛り上がった線)の内側が高く、外側が低くなる傾向があり造形精度を損なう問題がありました。
これに対し、造形経路の曲率とビード幅に基づいてビード高さの偏り分布をモデル式で算出し、偏りが大きい場合にビードの高い部分を中央へ押し戻すようにトーチの傾斜角を求めて制御情報を修正することで曲線状の造形経路でも計画された形状からのずれを抑制し、高精度な積層造形を可能にする三次元形状を造形する積層造形装置の制御情報修正方法が開発されています(以下URL)。
積層造形における制御情報修正方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7623333/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(動的なトーチ傾斜制御が造形精度に与える影響の評価、制御アルゴリズムの設計)、材料工学(トーチ傾斜による溶融金属の挙動変化の予測、対象となる金属材料の種類や特性に応じたプロセスの選定)
具体例として高温環境下で使用されるアルミニウム合金材が挙げられます。
既存の2000系アルミニウム合金は高温での強度低下が著しく、Agなどの高価な元素添加や特殊な製造プロセスによる強度向上技術はコストや適用範囲に課題がありました。
これに対して、特定の範囲のCu、Mg、Fe、Ni、Si、Mo、Tiを含有し、残部がAlおよび不可避的不純物からなる合金組成で、160℃、250MPaの条件下での最小クリープ速度が8.5×10⁻¹⁰/sec以下であり、Agなどの貴金属を用いることなく従来のAl-Cu-Mg系合金と比較して高温クリープ強度を向上させたアルミニウム合金材が開発されています(以下URL)。
アルミニウム合金材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7319447/15/ja
関連する専門分野の例:材料・金属工学(高温クリープ強度を向上させるための最適な元素組成比の探索、製造プロセスの確立)、機械工学(アルミニウム合金材のクリープ変形挙動を予測するための構成モデルの構築)
具体例として金属線材の連続りん酸塩化成処理方法が挙げられます。
従来のバッチ処理では皮膜むらが生じやすく、インライン処理では高速化に伴う処理時間不足や設備大型化が課題でした。
これに対して、筒状の処理槽内で処理液を線材通線方向と平行に流動させることで線材表面から反応性の低い処理液を効率的に除去し、常に新鮮な処理液を供給することで短時間で均一かつ十分なりん酸塩皮膜を形成できる金属線材の連続りん酸塩化成処理方法が開発されています(以下URL)。
金属線材の連続りん酸塩化成処理方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7499686/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(りん酸塩の種類、濃度、添加剤の配合の検討、処理液の流動条件と皮膜の結晶構造、組成、付着量の関係性の解明)、機械工学(処理槽および流動機構の設計、本処理方法を既存の連続伸線ラインなどの設備に効率的に組み込むためのシステム設計)
具体例として連続鋳造設備における鋳片案内装置が挙げられます。
従来の案内装置では駆動ロールの支持構造に起因する曲げ応力や設置できる駆動ロール数の制約から幅広スラブ製造時の負荷対応や十分な保持・引き抜き能力の確保が困難でした。
これに対して、鋳片の厚み方向に挟む一対のフレームに引き抜き方向に積層された複数の支持フレームが厚み方向に摺動自在に収納され、各支持フレームに複数の軸受けを介して駆動ロールを個別に配置する構成を有する鋳片案内装置、具体的には、駆動ロールの駆動軸がロール本体軸方向外側に突出することで、引き抜き方向におけるフレーム両端の接続部材との干渉を避けつつ狭い範囲に複数の駆動ロールを配置可能とし、複数の支持フレーム毎に設けられた個別の押圧手段により各駆動ロールを鋳片に押し付けることで鋳片の保持力と引き抜き能力を向上させる鋳片案内装置が開発されています(以下URL)。
連続鋳造設備における鋳片案内装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7499220/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(複数の駆動ロールの配置、押圧力、駆動トルクの最適化設計、高温・高荷重下での長期使用に耐えうる材料選定や表面処理、冷却機構の設計)、材料工学(耐熱性、耐摩耗性、高強度を有する金属材料の選定、表面硬化処理やコーティング技術の検討)
具体例として貯蔵庫内の温度リスクの判定方法が挙げられます。
従来、貯蔵庫内の温度測定は困難であり単一ガス濃度の検知では外的要因による誤判定のリスクがありました。
これに対して、まず貯蔵物の種類毎に発熱によって増加する第1成分ガス(例:CO2)と減少する第2成分ガス(例:O2)の濃度相関を示す関係式を事前に導出し、次に貯蔵後に庫内の両ガス濃度を測定して導出した関係式と測定値を比較することで温度リスクの有無を判定することにより、外的要因の影響を抑制し、貯蔵庫全体における温度リスクを評価する温度リスクの判定方法が開発されています(以下URL)。
貯蔵庫内の温度リスクの判定方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7516318/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(貯蔵物(特に石炭)の種類や貯蔵条件(温度、湿度、通気性など)が第1成分ガスと第2成分ガスの発生・消費速度に与える影響の解析、センサーの選定、配置の最適化、データ処理アルゴリズムの設計)、環境工学(貯蔵物の自然発熱に伴うガス放出の環境影響評価、異常発生時の環境負荷低減策の検討)
具体例としてプレス成形時の接合部破断とスプリングバックを抑制する重ね合わせブランクが挙げられます。
従来の重ね合わせブランクのプレス成形では金属板間の線長差が接合部に剪断応力を生じさせ破断を招き、また成形後の弾性回復によるスプリングバックが問題でした。
これに対して、第1金属板に膨らんだ余肉部と両隣に第1・第2平坦部が形成され、平坦部で平坦な第2金属板と接合し、特に第2接合部の接合強度が第1接合部より高くなることで曲げ加工時の歪を余肉部の変形で吸収し、接合部への応力集中を緩和し、余肉部の存在が曲げ時の引張応力を抑制し、スプリングバックを低減する重ね合わせブランクが開発されています(以下URL)。
プレス成形時の重ね合わせブランク→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7572935/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(余肉部の形状や配置が成形性に与える影響の検討、余肉部形状や接合部の配置、強度バランスの設計)、材料科学(第1金属板と第2金属板の材質の組み合わせが接合部の強度、延性、成形性に与える影響の評価、最適な材料選定)
(4)大同特殊鋼|開発トレンドと専門性

C22Cが最も多いです。次いでH01F、G01N、B22F、C21Dが多いです。
具体例としてマルテンサイト系ステンレス鋼が挙げられます。
従来の同鋼種では高靱性を得るために低C化や二回焼戻しが行われてきましたが、強度不足やコスト増の問題がありました。
これに対し、特定のC、Si、Mn、Ni、Cr、Mo、Nbの組成範囲を規定し、さらにMo、Nb、Vの含有量に関して特定の関係式(Mo+2Nb+V≧0.08mass%)を満たすことで、焼戻し軟化抵抗を高め、適切な熱処理により高強度と高靱性を実現するマルテンサイト系ステンレス鋼が開発されています(以下URL)。
マルテンサイト系ステンレス鋼→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7647373/15/ja
関連する専門分野の例:材料・金属工学(焼入れ・焼戻し条件(温度、時間、冷却速度)がマルテンサイト組織、析出物、残留オーステナイト量に与える影響の分析、熱処理条件の最適化)、材料科学(鋼材の引張強度、耐力、伸び、絞りなどの機械的特性、靱性評価、疲労強度、耐摩耗性、耐食性などの評価)
具体例としてボンド磁石の製造方法が挙げられます。
従来のPPS樹脂をバインダとするボンド磁石は耐熱性を持つものの製造時に有毒ガス発生の危険性がありました。
これに対して、磁石粉末と水含有CNFを混合し、第一の低圧で予備成形後、圧力を解除して内部密度を均一化する緩和工程を経て第二の高圧で本成形をおこなう二段階加圧により、成形体のひび割れを抑制し、高密度で高磁気特性のボンド磁石を有毒ガスを発生させることなく安全に製造する方法が開発されています(以下URL)。
ボンド磁石の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7428069/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(CNFの種類、分子量、表面処理、水分率などがボンド磁石の強度、耐熱性、磁気特性に与える影響の評価、磁石粉末との界面相互作用を向上させるためのCNF表面修飾の検討)、機械工学(成形プロセスの最適化、圧力制御機構、均一な圧力分布を実現するピストン、隙間の目詰まり防止機構などの設計)
具体例として丸棒材の超音波探傷における感度調整をおこなうための試験片が挙げられます。
従来の試験片では小径の丸棒材探傷時に欠陥エコーと二回反射エコーが近接し識別困難でした。
これに対して、丸棒材と同材・同径の本体に特定断面の突出部が設けられ、その突出部の特定面上に本体に一部貫通する人工きず(穴)が形成され、突出部からの反射経路を長くして欠陥エコーと二回反射エコーの時間的な分離が確保されることにより、超音波探傷装置が二回反射エコーに妨害されることなく真の欠陥エコーに基づいて正確な感度調整が可能となる試験片が開発されています(以下URL)。
丸棒材の超音波探傷における感度調整をおこなうための試験片→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7655082/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(試験片の形状が欠陥エコーと二回反射エコーの時間差に与える影響の解析、試験片を用いた際の超音波探傷装置の信号処理方法の最適化)、機械工学(試験片の設計と製造方法の確立、応力集中や変形が発生しないような構造設計)
具体例として積層造形に適用する金属粉末が挙げられます。
従来のマルエージング鋼は積層造形しやすいものの熱伝導率や靱性が低いという問題がありました。また、熱間ダイス鋼などをそのまま用いると造形後の硬度が高く割れやすいという問題がありました。
これに対して、特定のC、Si、Mn、Cr、Ni、Mo、V、N、Alの組成範囲で、特定式で示される元素組成に関するパラメータが特定の範囲に制御され、マルテンサイト変態開始温度(Ms点)が積層造形に適した範囲に調整され、造形時の残留応力を緩和、割れや反りを抑制する金属粉末が開発されています(以下URL)。
積層造形に適用する金属粉末→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7144757/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(特定組成の金属粉末の造形物の微細組織の硬さ、強度、靱性、熱伝導率などの機械的・物理的特性の評価、積層造形後の熱処理の最適化)、機械工学(金属粉末を用いた積層造形プロセスの最適化)
具体例として金型用工具鋼の製造方法が挙げられます。
従来技術では鍛造後の冷却管理における割れ発生と徐冷による耐衝撃性低下という問題がありました。
これに対して、特定の炭素含有量を持つ工具鋼素材を高温で熱間加工後、6℃/min以上の冷却速度で水冷し、その後空冷し、球状化焼なましによる急速水冷により、耐衝撃性を低下させるネット状炭化物の生成を抑制し、割れのリスクを低減することで耐衝撃性を有する金型用工具鋼を得る製造方法が開発されています(以下URL)。
金型用工具鋼の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6795112/15/ja
関連する専門分野の例:材料・金属工学(ネット状炭化物の抑制メカニズムの特定、最適な冷却条件(冷却速度、保持時間など)の探索、最適な工具鋼の化学組成(C量だけでなく、他の合金元素の添加)の検討)、機械工学(均質な組織を得るための加工条件の検討、冷却速度の均一性や再現性を高めるためのプロセス設計)
(5)まとめ
性能を向上させた鋼材やそのような鋼材などの製造方法に関する出願が多いです。
このような素材やその製造方法に関する開発が主におこなわれていることが推測されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
共同出願人が筆頭出願人(願書の【出願人】の欄の一番上に記載された出願人)になっているものをカウントしました。
また、グループ企業や現存しない企業については、共同出願人としてのカウントから除外している場合があります。
(1)日本製鉄

共同出願の例としてコークス炉の炉壁構築における定形耐火物接合用の耐火性モルタルが挙げられます。
従来の珪石系モルタルは低温部でガスシール性が不十分でした。
これに対し、施工時の目地厚みLjに対し、養生後の厚みMiが小さく(Mi<Lj)、かつ100℃における厚みMTが特定の数式(モルタルの熱膨張が隣接する定形耐火物の熱膨張を考慮した目地厚み以上に確保される条件を示す数式)満たすことで、低温環境下でもモルタルの膨張により隙間を埋めて高いシール性を実現するコークス炉目的用の耐火性モルタルが開発されています(以下URL)。
定形耐火物接合用の耐火性モルタル→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7421315/15/ja
従来の油井用金属管では耐焼付き性向上のために重金属入りコンパウンドグリスが用いられてきましたが環境負荷が懸念されていました。
これに対し、特定のX線回折強度比(I18/(I18+I36+I54) ≥ 0.60)を満たすZn-Ni合金めっき層の接触表面への形成により、めっき層の密着性を高め耐焼付き性を向上させた油井用金属管が開発されています(以下URL)。
油井用金属管→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7603830/15/ja
従来の車両前部構造ではセンターポール衝突時にバンパリインフォースメント中央部が折れ、後方に配置されたパワーユニットの中央部に大きな荷重が集中する問題がありました。
これに対し、バンパリインフォースメントに中央から左右にずれた位置に曲げ耐力の低い第1、第2折れ起点部が設けられて第1折れ起点を最初に折れやすく設定され、バンパリインフォースメント内部の中央部には断面崩れ防止部材が配置され、センターポール衝突時にバンパリインフォースメントが中央ではなく第1折れ起点で折れ、その変形により衝突荷重が車幅方向に分散され、パワーユニットへの荷重集中と断面崩壊を防ぎ、車室変形を抑制する車両前部構造が開発されています(以下URL)。
車両前部構造→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7036758/15/ja
(2)JFEスチール

共同出願の例としてリチウムイオン二次電池の負極材として用いられる被覆球状化黒鉛が挙げられます。
従来の球状化黒鉛を負極材に用いた場合、繰り返し充放電における容量劣化が問題でした。
これに対し、特定の粒度分布(微粒子と粗粒の体積比率)、細孔容積およびフタル酸ジブチルの浸透質量を規定した球状化黒鉛が炭素質の被覆により、電極の膨張収縮を抑制して電解液との反応を低減し、凝集を抑制することでリチウムイオン二次電池のサイクル特性を向上させる被覆球状化黒鉛が開発されています(以下URL)。
リチウムイオン二次電池負極材用被覆球状化黒鉛→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7309087/15/ja
従来の鋼製桁橋梁では塗装の劣化や傷による腐食が課題であり、定期的な塗り替えによる維持管理コストや環境負荷が問題視されていました。
これに対し、鋼製箱桁の外面側表層部0.1~10mmにNiまたはCrのいずれか一方または両方を含有し表面硬度が高い表面層が設けられることで塗装を不要とし、下フランジとウェブの接合部を特定の方法で溶接されることで鋼材端面の露出を防ぎ腐食を抑制、あるいは多主箱桁間の開口部が耐食性表面層を有する蓋で覆われることで内部への水分の侵入を防ぐことで長寿命で維持管理コストを低減できる高耐久な鋼製箱桁橋梁構造が開発されています(以下URL)。
鋼製箱桁を用いた橋梁構造→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7326508/15/ja
従来の養生方法では開口部を完全に覆うため養生を取り外さなければ作業ができず落下の危険性がありました。また、開口部下部からの養生はアクセス制限やコストの問題がありました。
これに対し、開口部の周囲に設置した支持材に開口部から面外方向に隙間(調整可能であり1m以下に設定)を空けて被覆部材が固定された構造により落下防止機能を維持しつつ隙間を通して新たな部材の挿入や既存部材の撤去などの作業を安全におこなうことができる養生構造が開発されています(以下URL)。
養生構造→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7653107/15/ja
(3)神戸製鋼所

共同出願の例として作業機械の制御装置が挙げられます。
従来の技術では操作量に比例した一律的なエンジン回転数制御では重負荷作業時にトルク不足が生じやすく、軽負荷作業時には過剰な燃料消費が発生しやすいという問題がありました。
これに対し、重負荷許諾操作時には操作量増加に応じてエンジン回転数を第1基準回転数から増加させ、軽負荷許諾操作時には第2基準回転数から減少させる制御部を備え、軽負荷制御時にはエンジン回転数の減少に応じた可変容量型油圧ポンプの容量増加により作業速度の低下を防ぎつつ燃費向上を図る制御装置が開発されています(以下URL)。
作業機械の制御装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7465917/15/ja
既存技術では高入熱量での溶接時にヒュームが増加したりサブマージアーク溶接ではビード形状や靭性が低下する問題がありました。
これに対し、特定の組成の溶接ワイヤと塩基度1.5~2.4のフラックスを組み合わせ、開先断面積(S)と溶接入熱量(Q)がS/Q≧0.028の関係を満たす溶接条件により、ヒューム発生を抑制し溶接性と高強度・高靭性を兼ね備えた溶接金属を得るサブマージアーク溶接方法が開発されています(以下URL)。
高Mn鋼のサブマージアーク溶接方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7267521/15/ja
既存技術ではフレーム構成に溶接を用いることで製造工程が複雑化し、熱損傷のリスクがありました。
これに対し、アルミ押出材である第1・第2骨格部材が接合部材を介して機械的接合により間接的に接合されて多角形枠状のフレームを構成し、接合部材は上下に分割され、下側部材が骨格部材と機械的接合され、上側部材が下側部材に嵌合固定されることにより、溶接を不要とし、フレームの熱損傷を抑制しつつ簡易な構造で高い剛性を実現する電動車両用バッテリーケースが開発されています(以下URL)。
電動車両用バッテリーケース→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7494237/15/ja
(4)大同特殊鋼

共同出願の例として900℃程度の高温環境下で使用されるシール部材が挙げられます。
既存のNi基合金は高温でγ’相が変質しシール性が低下する課題がありましたが、Coの過度な添加は加工性やコスト面で不利でした。
これに対し、特定のNi、Cr、Ti、Al、Nb、Ta、B、W、Moの組成範囲で規定され、Ti/Al比が2.0以下、Nb+Taが0.2~2.0%、Mo+(1/2)Wが1.0~2.5%に制御されることで、Coの過度な添加を避けつつ冷間圧延組織により250Hv以上の硬さを確保し、高温でもγ’相の安定性を高めシール性を維持するシール部材が開発されています(以下URL)。
高温環境下用シール部材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7330132/15/ja
従来の非調質鋼では強度向上元素の添加が切削加工性を損なうという問題がありました。
これに対し、特定の範囲のC、Si、Mn、Vに加え、SとBiを特定の量含有し、さらに炭素当量(Ceq)が0.95~0.99に制御されることで、SがMnSを形成し切削時の応力集中を促し切屑分断性を向上させ、Biが切削時の摩擦を低減し、強度と切削加工性の両立するクランクシャフト用非調質鋼 が開発されています(以下URL)。
クランクシャフト用非調質鋼→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7653508/15/ja
従来、低温炭化された炭化製品は自己発熱しやすく貯蔵や輸送中に燃焼に至る危険性がありました。
これに対し、炭化製品の表面を石灰と石灰を定着させるバインダを含むコーティング材で被覆することで空気中の酸素との接触を遮断して酸化反応である自己発熱を抑制し、コーティング材として炭化製品固形分を基準として5質量%以上の生石灰を含んだものを用いることで発熱抑制効果を発揮する炭化製品の発熱を抑制する方法 が開発されています(以下URL)。
炭化製品の発熱を抑制する方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2008-239903/11/ja
ただし、当該出願人との共同出願で確認された出願は2007年までです。
(5)上記(1)~(4)(共同出願人)のまとめ
鉄鋼に関わる関連製品に関係する事業者との共同出願が多いです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記3で多かった専門分野は以下のとおりです(上から多い順)。
・材料系分野(材料工学、金属工学、材料科学など)
溶鋼における反応メカニズムの解析や目的の性能を達成するための成分組成、処理条件の最適化などが求められます。
・機械系分野(機械工学など)
加工条件の検討や製造プロセスの設計などが求められます。
・化学系分野(応用化学、化学工学、環境工学など)
対象物の表面や内部の解析、化学物質の配合や反応条件の検討などが求められます。
・電気系分野(電気工学、電気電子工学など)
信号処理や制御システムの検討などが求められます。
これらの専門は表現上のものであり、境界があいまいな場合も多く、単に大学の専攻名と結びつけられるものではないです(上記3の具体例などから判断してください)。
また、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
鉄鋼材やその製造方法に関わる出願が多く確認され、そのような開発がおこなわれていることが示唆されました。
大学の専攻と関連づけるとしたら、特に多いものとして、材料、機械、化学、電気などの研究が該当する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
6 次に何をすべきか迷っている方へ
この分野で就職・転職を考えている方へ
👉 関連する業界・企業における開発内容と求められる専門性を解説しています
関連業界:環境リサイクル業界
技術的に近い業界:自動車業界・トラック業界(軽量化、衝突安全(強度)の観点)、三菱電機・日立製作所(変圧器の電磁鋼板、風力発電等の特殊鋼材の観点)
業界選びで迷っている方へ
👉 研究開発職の相違点を比較して判断したい場合はこちら
研究開発職の企業の探し方がわからない方へ
👉 特許情報を使って企業を見つける方法を解説しています
自分の専攻を活かせる企業を知りたい方へ
👉 研究開発職に強い企業を専攻別に簡易的に整理した入口編です
化学系、情報系、電気系、機械系、材料系、物理系、数学系、生物系、土木・建築系、薬学系
研究開発職の全体像を知りたい方へ
👉 まずは全体を把握したい方
👉 総合メーカー志望の方はこちら
・総合メーカーの就職・転職先一覧|研究開発に強い企業の技術分野
化学系で就職・転職できる業界を網羅的に知りたい方へ
<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
・特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
・詳細な確認や重要な判断が必要な場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。