繊維業界は、従来の糸や布の技術に加え、近年では航空機に使われる炭素繊維複合材料、砂漠化を防ぐ水処理膜、生体適合性を有する医療用人工タンパク質など先端開発が加速しています。
ただ、用途が衣食住のすべてにわたるほど多岐にわたるため、外部からは、どのような研究開発がおこなわれているのか、どのような専門性が求められるのか、その全体像を捉えることは容易ではありません。
この問題に対し、特許情報を活用します。
特許情報は企業の開発の軌跡であり、客観的なエビデンスになり得る情報です。
本記事では、採用サイトとは別の視点で、東レ、帝人、クラレ、東洋紡、日東紡、グンゼ、住江織物、セーレン、日本バイリーンの研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。
結論(概要)は以下の通りです。
・化学、材料系分野(高分子化学、化学工学、無機化学、有機化学、電気化学、物理化学、界面化学、材料化学、材料科学、材料工学など)
・機械系分野(機械工学、人間工学など)
・生物系分野(生物工学、生物化学など)
・電気系分野(電気電子工学など)
・情報系分野(情報科学、制御工学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 繊維業界
2.1 繊維業界とは
ここでは、天然または合成の繊維素材を製造し、糸や布に加工するだけでなく、自動車、医療、航空宇宙、環境など、さまざまな産業に高機能材料や製品を提供する業界を意図します。
2.2 サーチ対象
以下の繊維メーカー9社を対象にしました。
(2)帝人
(3)クラレ
(4)東洋紡
(5)日東紡
(6)グンゼ
(7)住江織物
(8)セーレン
(9)日本バイリーン
帝人については帝人株式会社と帝人フロンティア株式会社の情報を用いました。
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
|
モノの開発 |
サービスの開発 |
|
|
個人向け |
・フットカバー |
|
|
法人向け |
・熱可塑性樹脂層を有するプリプレグ |
・一価金属イオンの回収方法 |
3.2 出願件数の推移
下図は繊維メーカー9社の特許出願件数の推移です。

企業によって差が大きいです。
縦軸のスケールを変更したものを以下に示します。

出願件数に差があるののの、いずれの企業も毎年特許出願をおこなっており、このような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
東レ>東洋紡>クラレ>帝人>グンゼ>セーレン≒日本バイリーン>日東紡>住江織物
だと言えます。
2018年から2022年の直近5年間だと、
東レ>東洋紡>帝人≒クラレ>グンゼ>セーレン=日本バイリーン>日東紡>住江織物
です。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
通気シャツなどがこれに該当します。
グンゼがこの分野から多く出願しています。
ベッドカバーなどがこれに該当します。
住江織物がこの分野から多く出願しています。
殺菌に使われれる物質の化学組成などがこれに該当します。
住江織物がこの分野から多く出願しています。
蒸留などがこれに該当します。
日本バイリーンがこの分野から多く出願しています。
加熱や加硫などがこれに該当します。
東レ、帝人、東洋紡、日東紡、グンゼがこの分野から多く出願しています。
積層装置などがこれに該当します。
東レ、帝人、クラレ、東洋紡、日東紡、グンゼ、住江織物、セーレンがこの分野から多く出願しています。
プリンティング制御装置などがこれに該当します。
セーレンがこの分野から多く出願しています。
車体の仕上げなどがこれに該当します。
セーレンがこの分野から多く出願しています。
ガラスの組成物などがこれに該当します。
日東紡がこの分野から多く出願しています。
重合方法などがこれに該当します。
クラレがこの分野から多く出願しています。
アルデヒドの付加重合体などがこれに該当します。
帝人、東洋紡がこの分野から多く出願しています。
高分子物質の処理方法などがこれに該当します。
東レがこの分野から多く出願しています。
セルロースなどがこれに該当します。
クラレがこの分野から多く出願しています。
不織布などがこれに該当します。
日本バイリーンがこの分野から多く出願しています。
半導体の製造装置などがこれに該当します。
日本バイリーンがこの分野から多く出願しています。
3.5 繊維メーカー9社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)東レ|開発トレンドと専門性

上図期間中、Ⅽ08Jが最も多いです。次いでB32B、Ⅽ08L、B01D、Ⅽ08G、D01F、B29Ⅽが多いです。
具体例として熱可塑性樹脂層を有するプリプレグ(あらかじめ樹脂を含ませた強化繊維シート)が挙げられます。
従来の繊維強化複合材料は部品の複雑化や異なる部材との一体化に際し、接合部の加工時間やコスト、強度低下、熱溶着時の寸法安定性の不足が問題でした。
これに対し、強化繊維と熱可塑性樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂層を有し、この熱可塑性樹脂層が、熱可塑性樹脂の構成単位に加えて、特定の割合で熱硬化性樹脂および硬化剤の構成単位を合計0.5~35.0質量%含むことにより、熱硬化性樹脂成分が熱可塑性樹脂層に増粘性をもたらし、他の部材と熱溶着する際に溶融した樹脂の過剰な流動(樹脂フロー)を抑制し、寸法安定性を実現するプリプレグが開発されています(以下URL)。
熱可塑性樹脂層を有するプリプレグ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7334867/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(使用する熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂モノマー/プレポリマー、硬化剤の組み合わせについての官能基の種類と数、反応性の評価、反応物[A]および[B]の合成条件(温度、時間、触媒の有無など)の検討、NMR、GPC、FT-IR、DSC、DMA、TEMなどの分析手法によるプリプレグ中の各構成単位の存在形態、相溶性(セミIPN構造やIPN構造の有無)および熱的・力学的特性の評価)、材料科学(強化繊維の種類、形態、表面処理がプリプレグの含浸性や最終的な複合材料の機械的特性に与える影響の評価、プリプレグの層構造が繊維強化樹脂成形体の異方性や全体的な強度、剛性に与える影響の検証、熱溶着時の温度プロファイル、圧力、時間といった成形条件が熱可塑性樹脂層の粘度変化、樹脂フロー挙動および最終的な接合界面の形成にどのように影響するか解析)
具体例として転写用低光沢フィルムが挙げられます。
スマートフォンの普及に伴い、プリント配線基板などの電子部品は高精度化・高密度化が進んでいる一方、従来の粒子練り込みフィルムやコーティングフィルムでは、入射角度に依存しない均一な低光沢外観の実現が困難でした。
これに対して、ポリエステル樹脂を主成分とする低光沢層(A層)と基材層で構成されるフィルムであり、A層の厚みが3µm超20µm以下、A層の60°光沢度(G60)と85°光沢度(G85)がいずれも27以下、かつG85/G60の比率が0.1以上3以下であることで、見る角度に依存しない均一な低光沢外観を転写できるフィルムが開発されています(以下URL)。
転写用低光沢フィルム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7424461/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(フィルムの主成分であるポリエステル樹脂の分子構造、分子量、組成比の設計、ジカルボン酸成分やグリコール成分の種類と比率の調整による粒子の分散を促進するポリマーブレンドやフィルムの熱収縮率を低減するための熱処理条件と相関するポリマーの結晶化挙動の制御の検討)、材料工学(粒子を練り込む際の押出条件の最適化、二軸延伸における延伸倍率と温度の調整、熱処理における弛緩率や多段階熱処理条件の設計、フィルムの配向度や結晶性を制御して狙い通りの光沢度、カール高さ、引張破断強度、熱収縮率を実現するためのプロセスの改善と評価)
具体例として自動車の配管類に用いられるポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂組成物が挙げられます。
従来のPPS樹脂は耐熱性や耐薬品性に優れるものの、柔軟性や靱性に乏しく、特に自動車部品の配管などに求められる高い柔軟性と成形性に欠けていました。また、既存のPPSを基材とした組成物では、エポキシ基の過剰反応による滞留増粘が問題となり、成形加工時の制約が生じていました。
これに対して、(A)PPS樹脂を連続相とし、(B)アミノ基含有樹脂と(C)エポキシ基を含有するエラストマーを分散相として形成するモルフォロジー(相構造)を特徴とし、この相構造における各成分の配合量は所定割合であり、特に(X)分子量1000以下のカルボン酸またはカルボン酸無水物により、アミノ基含有樹脂とエポキシ基含有エラストマーの反応性を維持しつつ未反応エポキシ基の滞留増粘を抑制することにより、成形加工性の低下を防ぎながらPPS樹脂が本来持つ耐熱性・耐薬品性を保持しつつ柔軟性と靱性を発現する樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
PPS樹脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7197056/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(各成分の分子量、官能基の種類と数、分岐構造が最終的なポリマーブレンドの相溶性、反応性および物性(例: 溶融粘度、引張伸度、曲げ弾性率)に与える影響の評価、DSC(示差走査熱量測定)、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)、IR(赤外分光法)、NMR(核磁気共鳴分光法)などの分析手法により反応中間体や生成物の構造変化の追跡と最適反応条件の探索、(X)成分がエポキシ基とアミノ基の反応に与える触媒効果や副反応の抑制メカニズムの解析)、材料科学(透過型電子顕微鏡(TEM)や原子間力顕微鏡(AFM)によるPPS連続相と分散相(アミノ基含有樹脂、エポキシ基含有エラストマー)のモルフォロジー(例: 分散粒径、粒径分布、相互接続性、二次分散相の形成)の評価、応力-ひずみ曲線、衝撃試験、疲労試験、クリープ試験などによる複合材料の力学特性の評価)
具体例としてナノろ過膜と逆浸透膜を組み合わせた多段階の膜分離プロセスにおける一価金属イオンの回収方法が挙げられます。
従来の技術では、一価金属イオンと多価金属イオンの選択分離が困難であり、高純度の一価金属イオンを高い回収率で得ることは困難でした。
これに対して、濃縮方向へ多段に配置されたナノろ過膜ユニットと、第1段目のナノろ過膜ユニットの透過液を処理する逆浸透膜ユニットの組み合わせた回収方法であり、後段のナノろ過膜ユニットの透過液を上流側のナノろ過膜ユニットの供給液に混合・希釈するNF供給液希釈工程と、逆浸透膜ユニットの透過液を最終段のナノろ過膜ユニットの供給液に混合する工程によって、膜の浸透圧差を低減し、ファウリングを抑制しながら一価金属イオンの透過率を高く維持することで廃リチウムイオン電池などからリチウムなどの高純度な一価金属イオンを高回収率で分離・回収することが可能となる回収方法が開発されています(以下URL)。
一価金属イオンの回収方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7375953/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(膜分離プロセスの物質収支およびエネルギー収支の解析、さまざまな運転条件下での各成分の濃度変化、流量および必要なポンプ動力や熱量の評価、多段階膜分離システムのモデルの構築および運転条件(圧力、温度、回収率、希釈比など)が回収効率、純度およびエネルギー消費に与える影響の予測)、無機化学(一価金属イオン(特にリチウムイオン)と多価金属イオン(コバルト、ニッケル、マンガン、マグネシウムなど)の溶液中での溶解度、錯形成定数およびpHによる溶解度変化の測定と膜分離プロセスにおける選択分離挙動の予測、回収される一価金属イオン溶液からの晶析プロセスにおける晶析核の形成と成長のメカニズムの解明、不純物の共沈を抑制しつつターゲット金属塩(例:炭酸リチウム)の粒径、結晶形および純度を制御する最適な温度、pHおよび添加剤(例:炭酸ナトリウム)の濃度の検討)
具体例として電子部品、機械部品、自動車部品などに使用されるポリアリーレンスルフィド(PPS)の製造方法が挙げられます。
従来のPPSは耐熱性や耐薬品性などに優れる一方で、分子鎖に官能基が少なく、他の素材との接着性や反応性に劣るという課題がありました。このため、反応性官能基を導入する試みがなされてきましたが、導入量が不十分であったり製造プロセスが複雑であったり未反応モノマーが残存して加熱時にガスが発生するといった問題がありました。
これに対して、ジハロゲン化芳香族化合物、無機スルフィド化剤および特定のアミノ基と水酸基またはチオール基を有する芳香族化合物(化合物A)をアルカリ金属水酸化物の存在下で反応させることで、分子鎖中にアミノ基を多く導入したPPSを簡便かつ効率的に製造し、特に、無機スルフィド化剤1モルに対し化合物Aを0.04〜0.5モルの範囲で存在させることで、アミノ基を効率的に導入しつつ未反応モノマーの残存を抑え、加熱時のガス発生が少ないPPSを得る製造方法が開発されています(以下URL)。
PPSの製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7052932/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(化合物(A)の構造と反応性官能基の種類および無機スルフィド化剤との最適なモル比の検討、反応温度、溶媒、触媒などの条件が生成物の分子量、官能基導入量および熱安定性に与える影響の解析)、高分子化学(PPSの分子量分布、結晶構造、ガラス転移点、融点などの熱的特性の評価、アミノ基導入量とこれらの物性との相関関係の解析、引張強度、曲げ強度、衝撃強度などの力学的特性の測定、アミノ基の導入がPPSの機械的性能向上にどのように寄与するかの解明)
具体例としてポリエステル複合繊維が挙げられます。
従来の合成繊維は強度や寸法安定性に優れる一方で、天然素材のような自然な風合いや快適性を再現することが困難でした。特に、着用快適性を高めるために開発された複合繊維はポリマー間の熱収縮差を利用して捲縮(繊維のねじれやカール)を発現させますが、高速紡糸では高分子量成分が過剰に結晶化し十分な捲縮が得られない、または糸加工時の安定性が低下するといった問題がありました。
これに対して、分子量の異なる2種類のポリエステルから構成され、高分子量成分が低分子量成分に覆われた芯鞘構造を有し、高分子量成分の配向パラメータが1.5~3.0、結晶化度が0~40%であること、そして低分子量成分の最小厚みSminの繊維径Dに対する比Smin/Dが0.01~0.1であることにより、高速紡糸においても高分子量成分の高い配向を保ちつつ結晶化度を低く抑えることができ、収縮差に起因する捲縮発現を引き出し、結果として、糸加工性、捲縮発現率、弾性率を両立し、ふくらみやストレッチ性、反発性に優れた衣料用テキスタイルに適した複合繊維が開発されています(以下URL)。
ポリエステル複合繊維→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7439960/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)やNMR(核磁気共鳴)分光法によるポリマーの分子量分布や共重合組成の測定およびそれらが繊維の配向度や結晶化度に与える影響の評価、溶融状態および紡糸・延伸過程におけるポリマー鎖の挙動の予測)、材料工学(紡糸口金からのポリマー吐出時の流動挙動、冷却固化過程における分子配向と結晶化の進行、延伸・熱処理による繊維構造の変化の評価)
具体例として微多孔ポリオレフィン樹脂シートの製造方法が挙げられます。
近年、薄膜化が進む樹脂シートの製造では、減圧チャンバ内の圧力変動によるシート位置変化がシート破れを引き起こすという問題がありました。
これに対して、ポリオレフィン樹脂と希釈材の混合シートをキャストする際、シートとキャスト装置間の減圧空間を覆う減圧チャンバ内の空気をシート両端部よりシート幅方向外側の開口部から吸引するシート製造方法であり、口金からキャスト装置までの最短距離Hと開口部の特定面積S1の比であるS1/H2を0より大きく0.33以下に制御することにより、シート位置が変動した際に減圧チャンバ内の負圧が適切に変化し、シートが引き込まれる動きを抑制し、薄膜シートの製造におけるシート破れを防止する微多孔ポリオレフィン樹脂シートの製造が開発されています(以下URL)。
微多孔ポリオレフィン樹脂シートの製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7658208/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(口金からキャスト装置へ吐出されるシート材料の流動挙動と減圧チャンバ内の空気の吸引に伴う圧力分布の解析、シート材料の冷却固化過程における熱伝達速度と希釈材の除去効率の解析および最適な冷却条件と減圧条件の特定)、機械工学(減圧チャンバの開口部を覆う遮蔽板の動作メカニズムに基づくS1値を調整可能なシステムの設計、環境変動や製造条件の変化に応じてリアルタイムでS1を制御するためのアクチュエータやセンサーの選定およびその配置の最適化、シート材料の位置を測定する変位計からの信号を基に遮蔽板の位置を自動制御するフィードバック制御システムの設計)
(2)帝人|開発トレンドと専門性

Ⅽ08Lが最も多いです。次いでD01F、Ⅽ08G、H01M、Ⅽ08Jが多いです。
具体例として自動車、OA機器などに利用される樹脂組成物が挙げられます。
従来のポリカーボネートやABS樹脂を主成分とする樹脂は機械特性や流動性、耐熱性に優れるものの、部材同士が擦れ合う際に発生する異音の抑制効果が不十分で、また、異音抑制のために添加物を配合すると機械特性や外観が損なわれるという問題がありました。
これに対して、ポリカーボネート樹脂(A)とABS樹脂(B)を主成分とし、これらに特定のグラフト共重合体(C)とイソブチレン系ブロック共重合体(D)が組み合わされた樹脂組成物であり、グラフト共重合体(C)はエチレン-酢酸ビニル共重合体を主鎖とし、芳香族ビニル単量体とその他のビニル単量体を側鎖に持つ構造で、耐薬品性向上と異音抑制に寄与し、イソブチレン系ブロック共重合体(D)はイソブチレンを主成分とするブロックと芳香族ビニル単量体などを主成分とするブロックからなり、同様に異音抑制と耐薬品性向上に貢献し、これらの成分が所定比率で配合されることで、耐衝撃性、流動性、耐熱性、耐薬品性および成形品外観を維持しつつ異音抑制効果を発揮する樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
樹脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7595780/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(グラフト共重合体(C成分)およびイソブチレン系ブロック共重合体(D成分)の合成ルートの最適化およびそれらの分子構造(グラフト率、ブロック長、組成分布など)と物性の相関関係の解析)、材料工学(組成物の機械的・熱的特性の評価、異音発生時の振動挙動や摩擦係数の測定および材料の動的粘弾性特性との関連性の解明、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)によりミクロな構造がマクロな物性にどう影響するかの分析)
従来のメタクリル樹脂は耐熱性や耐衝撃性が低く、ポリカーボネート樹脂は耐候性や表面硬度が低いという問題がありました。これらを単純に混合しても非相溶で不透明になり、また、既存の改良組成物も耐衝撃性や耐湿熱性、耐光性に課題がありました。
これに対して、繰り返し単位に特定のスピロ環構造を有するカーボネート単位(a)を5~85モル%含むポリカーボネート樹脂(A)と、メタクリル酸メチルから誘導された繰り返し単位を40~100モル%含むメタクリル酸メチル-アクリル酸メチル共重合体(B)を主成分とし、これら合計100重量部に対し、特定の屈折率(1.485~1.495)を有するメタクリル酸メチル-アクリル酸アルキル-スチレン共重合体(C)が10~30重量部、分子量300~20000のエポキシ樹脂(D)が1~30重量部配合されることにより、成形時の黄変を抑制し、透明性、表面硬度、耐衝撃性、耐湿熱性、耐光性といった性能を同時に向上させた樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
樹脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7658759/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(スピロ環構造を有するカーボネート単位(a)の導入量と他のカーボネート単位(b)の種類や比率の変化によるポリカーボネート樹脂(A)のガラス転移温度、分子量分布およびアクリル系樹脂との相溶性の評価、メタクリル酸メチル-アクリル酸メチル共重合体(B)のアクリル酸メチル含量や分子量およびメタクリル酸メチル-アクリル酸アルキル-スチレン共重合体(C)のコアシェル構造、粒子径、グラフト率および屈折率の調整、各種添加剤(熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤など)の選定および最適な配合量の検討)、材料科学(ポリカーボネート樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)のブレンド状態における相分離構造および衝撃改質剤(C)の分散状態と粒子径が透明性や耐衝撃性に与える影響の評価、樹脂組成物のガラス転移温度、耐熱性および相溶性の評価)
具体例として航空・宇宙用途および自動車用途などの炭素繊維の製造方法が挙げられます。
従来の炭素繊維製造では、耐炎化や炭素化工程で毛羽や単糸切れが発生しやすく、高強度で高品位な炭素繊維の安定供給が困難でした。
これに対して、炭素繊維前駆体繊維の特定の熱収縮応力範囲と蒸気延伸と特定の緩和熱処理を組み合わせた製造方法であり、前駆体繊維の50~200℃での熱収縮応力の最大値が0.50~3.00mN/dtex、200~300℃での熱収縮応力の最大値が1.50~5.00mN/dtexであり、耐炎化時の張力が1.00~5.00mN/dtexで、前駆体繊維の製造において、蒸気延伸を7.0~10.0mN/dtexの張力でおこない、その後の熱処理を0.900~0.997倍の延伸倍率で100~200℃でおこなうことにより、耐炎化および炭素化工程における毛羽や単糸切れを抑制し、炭素繊維を安定して生産する炭素繊維の製造方法が開発されています(以下URL)。
炭素繊維の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7636235/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(さまざまな重合条件(モノマー比、開始剤濃度、反応温度など)で合成したポリアクリロニトリル(PAN)系重合体の熱分析(TMA、DSC)やX線回折による分子配向度評価、熱収縮応力と分子構造の関係性の解明、要求される熱収縮応力特性を持つPAN系重合体の設計指針の確立)、材料工学(潤延伸、蒸気延伸、熱処理の各工程における延伸倍率、張力、温度条件が繊維の配向度(広角X線回折)、結晶子サイズ(広角X線回折)、表面形態(SEM)、内部構造(TEM)に与える影響の評価、構造的特徴が耐炎化および炭素化工程での毛羽や単糸切れの発生を抑制して最終的な炭素繊維の強度発現にどのように寄与するかをの解明)
具体例として全固体二次電池の性能を向上させるための三次元架橋型脂肪族ポリカーボネートが挙げられます。
従来の全固体二次電池に用いられるバインダーはイオン伝導性が低く、電池の放電容量が目標に達しないという問題がありました。
これに対して、特定の化学構造を持つ三次元架橋型脂肪族ポリカーボネートが用いられることで、無機固体電解質を結着させつつイオン伝導性を向上させ、疎水性溶媒への分散性も実現する三次元架橋型脂肪族ポリカーボネートが開発されています(以下URL)。
三次元架橋型脂肪族ポリカーボネート→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7314347/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(各モノマー(ジオール化合物、ジフェニルカーボネート、ポリオール架橋剤)の反応性評価と最適なモル比の決定、反応温度、触媒の種類と量の調整、重合時間や圧力の最適化、副生成物の抑制と精製方法の確立、三次元架橋構造の均一性を高めるための架橋剤の導入方法や高分子量化と分子量分布の制御の検討)、電気化学(ポリカーボネート中のリチウムイオンの拡散係数の測定、電気化学インピーダンス分光法による界面抵抗の評価、充放電サイクル特性やクーロン効率の長期的な安定性評価、ガラス転移温度とイオン伝導度の関係性および架橋構造がイオン伝導パスに与える影響の解明)
具体例として非水系二次電池用セパレータが挙げられます。
従来の非水系二次電池用セパレータは製造工程での電極との接着性や電解液含浸後の剥離、繰り返し使用におけるサイクル安定性、高温環境下での熱収縮抑制に課題がありました。
これに対して、芳香族系樹脂と特定の範囲内の平均一次粒径を持つ無機粒子を含有する耐熱性多孔質層と、その上にフェニル基含有アクリル系樹脂を含む接着性樹脂粒子が付着した接着層を備え、この接着層はフーリエ変換赤外分光法によるフェニル基およびカルボニル基のピーク面積がそれぞれ特定の範囲内であることで、ドライヒートプレスとウェットヒートプレスのいずれの製造方法においても電極との接着性を発揮し、電解液存在下でも接着強度を維持し、また、無機粒子の最適化によりセパレータの熱収縮率を低く抑えることができ、結果として電池の安全性とサイクル安定性を向上させる非水系二次電池用セパレータが開発されています(以下URL)。
非水系二次電池用セパレータ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7482935/15/ja
関連する専門分野の例:材料化学(耐熱性多孔質層の芳香族系樹脂(例: 全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド)の種類、分子量および組成比の最適化、熱安定性と機械的強度を向上させるための合成条件の検討、特定の平均一次粒径を持つ無機粒子(例: 水酸化アルミニウム、硫酸バリウム)の表面改質技術の探索)、電気化学(セパレータのイオン透過性、膜抵抗、シャットダウン機能、熱暴走抑制能力の評価、接着層の組成が接着強度に与える影響の検証)
具体例としてプラスチック含有材料の分解方法が挙げられます。
従来の分解方法では、プラスチックの熱分解時に過剰な発熱が生じやすく、分解効率の低下や特に炭素繊維複合材料の場合には回収される無機材料(炭素繊維など)の物性劣化が問題でした。
これに対して、プラスチック含有材料を加熱炉内で分解する際に、酸素濃度を2体積%以上10体積%未満という低酸素濃度に制御された雰囲気下、半導体材料の存在を利用するものであり、プラスチック含有材料と半導体材料を50mm以下の近距離で配置することで、半導体材料の熱活性効果を引き出してプラスチックの分解を促進することにより、過剰な酸化発熱を抑制しつつ安定的にプラスチックを分解することが可能なプラスチック含有材料の分解方法が開発されています(以下URL)。
プラスチック含有材料の分解方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7634546/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(分解対象となるプラスチックの種類(熱可塑性/熱硬化性樹脂)と無機材料(炭素繊維、ガラス繊維など)の複合材料における界面状態や熱分解挙動の分析、分解効率と回収される無機材料の品質を両立させるため半導体材料の種類(例: 酸化チタン、酸化クロムなど)、形態(例: 粉末、担持体など)および表面積の最適化、半導体材料とプラスチック含有材料の配置距離や接触方法が分解効率と残留炭素量に及ぼす影響の評価および効率的な配置構造の設計)、化学工学(低酸素濃度ガス導入時の加熱炉内の酸素濃度分布、温度分布およびガス流速の解析、均一な分解を達成するための最適なガス供給・排気システムの設計、プラスチックの分解反応における発熱量と半導体材料によるラジカル生成メカニズムの解析)
(3)クラレ|開発トレンドと専門性

Ⅽ08Lが最も多いです。次いでⅭ08F、B32B、Ⅽ08J、H01Mが多いです。
具体例としてタイヤ用途のゴム組成物が挙げられます。
従来のゴム組成物はタイヤ用途において機械強度や耐摩耗性を向上させるためにカーボンブラックなどのフィラーが配合されてきましたが、硬度と操縦安定性のさらなる改善が求められていました。
これに対して、合成ゴムおよび天然ゴムからなるゴム成分(A)と、カーボンブラックおよびシリカの少なくとも一方であるフィラー(B)、1,3,7-オクタトリエンに由来する構造単位を含む重合体(C)が特定の割合で配合されたゴム製組成物であり、重合体(C)は側鎖末端に二重結合を有する3,4-結合単位を2〜40モル%の割合で含有し、その重量平均分子量は8,600〜200,000の範囲で、ゴム成分(A)100質量部に対して重合体(C)8〜30質量部配合で、重合体(C)中の3,4-結合単位がゴム成分(A)と効率的に加硫反応し、硬度を向上させるとともに相溶性を維持することで発熱を抑え、操縦安定性に優れたゴム成形品が開発されています(以下URL)。
タイヤ用途のゴム組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7403613/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(アニオン重合における開始剤の種類、ルイス塩基の量と種類、重合温度、溶媒の種類、モノマー濃度などの重合条件が重合体(C)の分子量、分子量分布および3,4-結合単位の含有割合に与える影響の評価、得られた重合体(C)の構造とゴム組成物中での相溶性の評価および物性との相関関係の特定、特定の重合体(C)の構造がゴム成分(A)との加硫反応性や架橋密度に与える影響の検証および最適な配合比率や加硫条件の導出)、材料科学(さまざまな配合条件(ゴム成分(A)の種類や比率、フィラー(B)の種類と量、重合体(C)の量と構造)で製造されたゴム組成物の物性評価、タイヤとしての性能に直結する転がり抵抗とウェットグリップ性能のバランスの評価)
従来の熱可塑性樹脂は環境負荷低減のためにバイオマス由来原料の使用が求められる一方で、低温での物性低下や成形性の維持が困難であるという問題がありました。
これに対して、芳香族ビニル化合物とファルネセン由来の構造単位を含むブロック共重合体(A)、芳香族ビニル化合物とイソプレン由来の構造単位を30モル%以上含むブロック共重合体(B)、可塑剤(C)、およびバイオマス由来のポリオレフィン系樹脂(D)が特定の割合で配合された樹脂組成物であり、ブロック共重合体(A)のファルネセン由来の構造単位とブロック共重合体(B)のイソプレン由来の構造単位の組み合わせ、さらにブロック共重合体(B)のビニル結合量が1〜35モル%かつ炭素-炭素二重結合の水素添加率が70モル%以上であることで、環境負荷を低減しつつ低温環境下でも柔軟性や機械的強度を維持し、かつ射出成形時の均一なシボ転写に代表される成形性を実現する樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
バイオマス由来の原料を含む樹脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7442693/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(リチウム化合物などのアニオン重合開始剤の種類や添加量、重合温度、溶媒、ルイス塩基の最適化、ファルネセン由来重合体ブロック(a2)およびイソプレン由来重合体ブロック(b2)のビニル結合量を目的の範囲に制御する合成手法の確立、カップリング剤の種類や添加量の検討、水素添加触媒の種類、水素圧、反応温度、反応時間の検討)、材料科学(樹脂組成物の低温での硬度低下抑制効果の評価、組成物の機械的強度、柔軟性および破壊挙動の評価)
具体例として変性エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)の製造方法が挙げられます。
従来のEVOHはガスバリア性や透明性に優れる一方、柔軟性が低く、特に延伸性や耐屈曲性に欠けるという問題がありました。これを改善するためのブレンド手法では、透明性が損なわれるという問題がありました。
これに対して、EVOHと炭素数2〜8の一価エポキシ化合物を亜鉛イオンとスルホン酸イオンを含むアセトン溶液を触媒として押出機中で溶融混練反応させることで、バリア性、延伸性、耐屈曲性に加え着色しにくく溶融安定性にも優れる変性EVOHを製造する方法が開発されています(以下URL)。
EVOHの製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7318153/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(NMR、IR、GPCなどの分析手法による変性EVOH中の構造単位(I)の導入率、エチレン含有量、ケン化度、分子量分布などの評価、反応条件(触媒濃度、反応温度、反応時間、エポキシ化合物添加量など)がこれらの分子構造に与える影響の解析、合成した変性EVOHの各種物性値の測定および高分子鎖の柔軟性、結晶構造、分子間相互作用などが物性にどのように影響するかの評価)、化学工学(押出機内の温度プロファイル、スクリュー回転数、供給流量、圧力などの運転条件の検討、押出機内の流れ解析、工業生産における再現性と安定性を確保するための設計パラメータの決定、触媒失活剤の添加タイミングや添加量、未反応エポキシ化合物の除去工程における最適な減圧条件などの検証)
具体例としてインクジェット印刷用の積層シートが挙げられます。
従来のインクジェット印刷用樹脂シートはインク密着性の良いスチレン系樹脂とレーザー切削加工性の良いメタクリル系樹脂とを両立させることが困難でした。特に、メタクリル系樹脂はインク密着性が低く、スチレン系樹脂はレーザー加工時に異臭や発煙、切削面への蒸発ガス付着による外観不良が生じやすいという課題がありました。
これに対して、メタクリル系重合体を含む主層と、その片面または両面にスチレン系共重合体を含む表層とを有する積層シートであり、表層中のスチレン系単量体単位の質量分率(Cst1)、積層シート全体中のスチレン系単量体単位の質量分率(Cst3)、および積層シート全体の厚みに対する表層の厚みの比(z1/Z)が特定の範囲であることで、インク密着性とレーザー切削加工性を両立させた積層シートが開発されています(以下URL)。
インクジェット印刷用の積層シート→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7506108/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(スチレン系単量体単位の質量分率や共重合組成がインクの浸透性や接着メカニズムに与える影響の評価と最適なCst1の範囲の検討、異なるメタクリル系重合体やスチレン系共重合体の組み合わせにおける相溶性、ガラス転移温度(Tg)および溶融粘度の挙動の分析)、材料工学(積層シートの厚み(Z)と表層の厚み(z1)の比率(z1/Z)が積層体の反り、剛性およびレーザー切削時の熱伝播に与える影響の評価、共押出成形における各層の溶融粘度差(Δη)が層間接着力やシートの外観(スジ、発泡)に与える影響の解析および安定した成形条件の確立)
具体例として薬剤の梱包などに使用されるポリビニルアルコールを含む水溶性フィルムが挙げられます。
既存技術のPVA系水溶性フィルムでは、高温・長期保管時に包装内部の薬剤が揮発し、包装体がしわになる問題がありました。
これに対して、特定の重合度・組成のPVAと多価アルコール系可塑剤を含む水溶性フィルムであり、モデル洗剤を包装した際の重量減少速度が1.0~6.0 g/(m²・日)、モデル洗剤浸漬後の100%延伸時の弾性率が9~35 MPa、かつモデル洗剤浸漬後の完溶時間が100秒以内であることで、薬剤の揮発を抑制し外観保持性を向上させた水溶性フィルムが開発されています(以下URL)。
ポリビニルアルコールを含む水溶性フィルム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7314438/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(異なるけん化度や変性度のPVAの結晶化度や結晶構造の評価およびこれらがフィルムの弾性率や溶解時間に及ぼす影響の解析、各種の多価アルコール系可塑剤配合PVAと可塑剤間の相互作用の解明およびそれらがフィルムの柔軟性や薬剤透過性にどう影響するかの検討)、化学工学(PVA製膜原液の粘度、表面張力、レオロジー特性の測定およびダイリップからの吐出性や支持体上での流延安定性に与える影響の評価、乾燥工程における熱および物質移動のシミュレーションモデルの構築および乾燥速度がPVAフィルムの結晶化挙動や残留応力に与える影響の予測)
具体例としてリチウムイオン二次電池の電極が挙げられます。
従来の負極材では、エネルギー密度を高めると過充電時の金属リチウム析出抑制が困難になり、安全性が低下するという問題がありました。
これに対して、黒鉛、結着剤および非黒鉛性炭素質材料を少なくとも含む電極であり、半電池として評価した際に、サイクリックボルタンメトリーで得られる還元側と酸化側の特定の領域の面積比(A/B)が4.0%以上であり、かつ充電深度50%における電極合材密度が1.30 g/cm³以上であり、このA/B比を過充電時に電極がリチウムイオンを受け入れられる余裕を示す指標として、この比率が高められることで金属リチウムの析出を抑制し、安全性を向上させた電極が開発されています(以下URL)。
リチウムイオン二次電池の電極→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7506274/15/ja
関連する専門分野の例:電気化学(サイクリックボルタンメトリー(CV)測定条件の最適化(掃引速度、電位範囲の調整)、各種炭素材料(黒鉛、非黒鉛性炭素質材料)単体および複合体でのCV測定によるリチウムイオンの吸脱着挙動の比較解析、電極の内部抵抗や界面抵抗の変化の評価、リチウムデンドライト析出挙動のin-situ/operando観察による動的解析、A/B比と過充電耐性、充電深度50%における電極合材密度とエネルギー密度の相関モデルの構築)、材料科学(X線回折(XRD)による結晶構造や面間隔(d002)の解析、ラマン分光法による炭素骨格の乱れ(Dバンド半値幅)の評価、窒素吸着/脱着等温線や二酸化炭素吸着/脱着等温線を用いた細孔構造の分析、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)による粒子形状、サイズ、複合電極中の分散状態の観察、元素分析による窒素元素などのドーピング効果の評価)
(4)東洋紡|開発トレンドと専門性

B32Bが最も多いです。次いでⅭ08J、Ⅽ12N、Ⅽ08L、B01Dが多いです。
具体例としてエレクトロニクス、包装材料、自動車などに利用されるケミカルリサイクルポリエステルを用いたガスバリアフィルムが挙げられます。
従来のメカニカルリサイクルポリエステルを用いたフィルムは混入する汚染物質の除去が難しく、製膜時の破断が生じやすいという問題がありました。
これに対して、使用済みポリエステル製品をモノマーレベルまで分解・再重合して得られるケミカルリサイクルポリエステルを含む二軸配向ポリエステルフィルムと、無機薄膜層の積層フィルムであり、二軸配向ポリエステルフィルムは分子量1000以下の低分子量成分の面積割合が1.9%以上5.5%以下、表面結晶化度が1.10以上1.31以下、融点が251℃以上であることで、フィルム製造時の延伸破断を抑制し、機械的強度(引張強さ、突刺し強さ)とガスバリア性を両立するガスバリアフィルムが開発されています(以下URL)。
ガスバリアフィルム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7514437/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(解重合によって得られるモノマーの純度と組成分析および不純物レベルが重合に与える影響の評価、重合触媒の種類と濃度、反応温度、反応時間、減圧度などの条件の検討、目標とする分子量(固有粘度)および分子量分布を持つケミカルリサイクルポリエステルを効率的に合成するためのプロセスの確立、イソフタル酸などの共重合成分の導入量がポリエステルの結晶性、融点、ガラス転移温度および低分子量成分の生成に与える影響の評価)、材料科学(二軸延伸条件(延伸倍率、延伸温度、熱固定温度)がポリエステルフィルムの配向度、結晶化度(特に表面結晶化度)および機械的異方性に与える影響の分析、フィルム表面の微細構造が無機薄膜層の成膜性、均一性および密着性に与える影響の評価)
従来のポリプロピレン系フィルムは透明性や機械的特性に優れるものの、表面エネルギーが低いため、蒸着層やコート層、他のフィルムとのラミネートにおける接着性が不十分であり、さらに表面の凹凸が原因でバリア性が損なわれる問題がありました。
これに対して、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする基材層(A)と、特定の物性(濡れ張力、突起数、マルテンス硬さ、算術平均粗さ)を満たす表面層(B)および表面層(C)を少なくとも3層からなる構成により、フィルムの巻き取り性が向上し、蒸着層やコート層、接着剤層との密着性に優れた二軸配向ポリプロピレン系フィルムが開発されています(以下URL)。
二軸配向ポリプロピレン系フィルム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7509328/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(基材層(A)、表面層(B)、表面層(C)のそれぞれについてメソペンタッド分率、分子量(、)、分子量分布()、メルトフローレート(MFR)といった物性の分析、所望の機械的特性、熱収縮率および加工性(製膜性)を発現するための最適なポリマー構造の特定)、材料科学(表面層(B)と(C)の濡れ張力、突起数、算術平均粗さ(Ra)といった表面特性の解析、各特性が蒸着層、コート層、接着剤層との密着性に与える影響の評価、フィルムの製造プロセス(溶融押出し温度、冷却ロール温度、延伸倍率、熱固定条件)が各層の結晶構造、分子配向および最終的な表面物性にどのように影響するかの解明、フィルムの巻き品位、ガスバリア性、密着性を最大化する条件の探索)
具体例としてラベル包装、キャップシール、集積包装などに用いられる熱収縮性ポリエステル系フィルムロールが挙げられます。
既存の熱収縮性ポリエステルフィルムは環境配慮から薄肉化が進む一方で、印刷や加工時のフィルムロールの弛みが問題でした。この弛みは印刷抜けや接着不良を引き起こし、生産ロスに繋がるという問題がありました。
これに対して、フィルムを構成する樹脂層が全てポリエステル樹脂層であり、その全ポリエステル樹脂中においてエチレンテレフタレートを50モル%以上含有し、かつ非晶質成分となりうるモノマー成分の合計が15モル%以上である特定のポリエステル樹脂組成で、フィルムロールの巻長、幅、厚み、幅方向の厚みムラ(最大凹部の厚みムラが8%以下)、巻硬度、最大凹部における幅方向屈折率の差の絶対値といった物理的特性が所定範囲内であることで、弛みが少ない熱収縮性ポリエステル系フィルムロールが開発されています(以下URL)。
熱収縮性ポリエステル系フィルムロール→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7260050/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(エチレンテレフタレートと非晶質成分となるモノマー(例: ネオペンチルグリコール、イソフタル酸)の組成比率がガラス転移点(Tg)や熱収縮率に与える影響の評価、添加剤(滑剤、酸化防止剤など)の種類と配合量の調整によるフィルムの機械的特性(例: 強度、弾性)や加工性(例: 摩擦係数)の最適化)、材料工学(Tダイ押し出しにおけるせん断速度やドラフト比の最適化と未延伸フィルムの厚みムラ(特に最大凹部)を最小化する条件の特定、多段延伸(特に横方向)における延伸温度、延伸倍率、熱処理条件の調整によるフィルムの分子配向制御)
具体例として変異型逆転写酵素が挙げられます。
従来の逆転写酵素は経時的な保存安定性や熱安定性が低く、特にRNAが二次構造を形成しやすい場合、高温での反応時に酵素が失活してしまうという問題がありました。これにより、厳格な温度管理や反応効率の低下、さらには目的のcDNAが十分に合成できないといった問題が生じていました。
これに対して、モロニーマウス白血病ウイルス逆転写酵素に由来するアミノ酸配列において、特定の8箇所のシステイン残基から選ばれる少なくとも1つがアラニン、グリシン、バリン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、メチオニン、トリプトファンからなる非極性アミノ酸残基に改変されたことで、酵素の保存安定性および熱安定性が向上し、高温下での逆転写反応効率が高まるとともに保管・輸送時の利便性が改善した変異型逆転写酵素が開発されています(以下URL)。
変異型逆転写酵素→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7593316/15/ja
関連する専門分野の例:生物工学(目的の変異型逆転写酵素をコードするDNAを大腸菌などの宿主細胞で大量に発現させるための最適な遺伝子発現システム(プロモーター、ベクター、宿主株の選定など)の構築、発現したタンパク質の溶解性向上や細胞内での凝集抑制、適切なフォールディング(立体構造形成)を促進するための培養条件や発現誘導条件の検討・最適化)、生物化学(変異導入したシステイン残基が酵素の立体構造や活性部位にどのような影響を与えているかをX線結晶構造解析やNMRなどの構造解析技術により解析、熱安定性や保存安定性が向上したメカニズムの解明)
具体例としてポリエステル樹脂組成物の製造方法が挙げられます。
従来、アンチモンなどの重合触媒を用いた従来のポリエステル樹脂はリサイクルを繰り返すと着色や分子量低下が生じ、品質維持が困難でした。
これに対して、特定の重合触媒(アンチモン、チタン、ゲルマニウムから選ばれる少なくとも一種を含む)で製造された回収ポリエステル樹脂(A)と、アルミニウム化合物およびリン化合物を含有するポリエステル樹脂(B)を特定の割合で混合することで、複数回のリサイクル後も着色や分子量低下を抑制し、高品質を維持できるポリエステル樹脂組成物(C)の製造方法が開発されています(以下URL)。
ポリエステル樹脂組成物の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7521601/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(回収ポリエステル樹脂(A)と新規ポリエステル樹脂(B)の混合がポリエステルの分子量分布、結晶性、末端基構造にどのような影響を与えるかの解析、アルミニウム化合物とリン化合物の組み合わせが重合触媒としての活性、ポリエステル分子の安定性およびリサイクル時の劣化抑制に寄与するメカニズムの解明)、材料科学(ポリエステル樹脂組成物(C)の成形加工性や生産性の評価、回収ポリエステル樹脂(A)の含有量や混合比率が最終製品の着色度(L値、b値)やヘーズ(曇り度)といった光学特性に与える影響の評価および要求される品質基準を満たすための配合比率の最適化)
具体例としてポリフェニレン系半透膜が挙げられます。
従来のナノろ過膜は薬品耐性や機械的強度に課題があり、工業排水処理や医薬品製造など多様な分野への応用が難しいという問題がありました。
これに対して、ポリフェニレンオキサイド樹脂から構成され、外側の第1の表面と内腔側の第2の表面を有する中空糸膜において、第1の表面の少なくとも一部がスルホン化され、かつ第2の表面がスルホン化されていないという特定の構造を持つ半透膜であり、膜の厚み方向の断面においてスルホン化層の比率が50%以下であることで、耐薬品性、分離性能および機械的強度を両立する半透膜が開発されています(以下URL)。
ポリフェニレン系半透膜→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7581642/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(ポリフェニレンオキサイド樹脂の化学構造がスルホン化反応に与える影響の解析、スルホン化度やスルホン酸基の導入位置を制御するための最適な反応条件の確立、スルホン化されたポリマーの親水性、イオン交換容量および化学的安定性の評価)、化学工学(中空糸膜の製膜工程(紡糸原液の組成、吐出条件、凝固浴の組成と温度など)における相分離メカニズムと膜構造形成の関係の解明、均一な中空糸膜を安定して製造するためのプロセスパラメータの最適化、外表面のみを効率的にスルホン化しかつスルホン化層の厚みを制御するための最適化されたプロセス条件の確立)
(5)日東紡|開発トレンドと専門性

Ⅽ03Ⅽが最も多いです。次いでⅭ08J、D06M、D03Dが多いです。
具体例として電子機器の筐体や部品などに用いられるガラス繊維用ガラス組成物が挙げられます。
近年、電子機器の高周波化に伴い、ガラス繊維強化樹脂成形品の発熱問題が顕在化しており、より低い誘電正接を持つガラス繊維が求められています。また、同時に生体溶解性も重要な特性とされていますが、これらを両立する既存技術は限定的でした
これに対して、特定の範囲でSiO2、B2O3、Al2O3、P2O5、CaO、MgOを含有するガことにより、生体溶解性を有し、低誘電正接を達成するガラス繊維用ガラス組成物が開発されています(以下URL)。
ガラス繊維用ガラス組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7283647/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(元素の組み合わせや比率を変えたガラスのネットワーク構造や微細構造の解析、ガラスの熱的挙動(融点、ガラス転移点、結晶化挙動)の評価および組成と加工性(長繊維化のしやすさ)との関係の解明、誘電率や誘電正接といった電気的特性、引っ張り強度や弾性率などの機械的特性、生体溶解性の評価)、化学工学(ガラスの溶融プロセスにおける熱・物質収支の解析、エネルギー消費を抑えつつ均質な溶融ガラスを得るための最適な炉の設計や運転条件の検討、フィラメントの均一性や欠陥の発生を抑制するためのノズル形状や引き出し速度の制御方法の探索)
従来、電子機器の高周波化に伴い、ガラス繊維は誘電損失による発熱が問題でした。これに対し、SiO2とB2O3を高含有とすると粘性が高まり、P2O5で代替すると耐水性が低下する問題がありました。
これに対して、特定の割合のSiO2、B2O3、Al2O3、P2O5、TiO2、CaO、MgO、F2、Cl2を含み、特にこれらの成分含有率(質量%)S、A、P、T、C、Mが特定の数式 を満たすことで、高周波数領域で誘電特性(低誘電率・低誘電正接)と耐水性を両立させ、ガラス溶融時の粘性が低減して製造性も向上したガラス繊維用ガラス組成物が開発されています(以下URL)。
低誘電率・低誘電正接ガラス繊維用ガラス組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7111283/15/ja
関連する専門分野の例:無機化学(SiO2系の多元系ガラスの相図に基づき組成範囲と失透現象の関係の解明、ガラスネットワーク中の各元素の局所構造の分析と誘電特性や耐水性との相関の導出)、物理化学(各温度および周波数条件下での誘電スペクトルに基づき誘電緩和現象や導電損失の寄与の分析、ガラス組成中のイオンの種類や濃度が誘電損失に与える影響の評価および低損失化のための組成最適化、高周波領域でのガラス繊維の誘電特性をシミュレーションするためのモデル構築)
具体例として携帯電子機器の薄型化・軽量化に対応するガラス繊維強化樹脂板が挙げられます。
従来の技術では、ガラス繊維強化樹脂板を0.5 mm以下に薄型化すると寸法安定性が悪化し、これを改善しようとすると強度や表面平滑性、生産性が低下するという問題がありました。
これに対して、特定の範囲の短径と長径を持つ扁平な断面形状のガラス繊維と非晶性熱可塑性樹脂を含み、厚さ0.5 mm以下に薄型化され、ガラス繊維の短径 、長径 、数平均繊維長 およびガラス繊維含有率 が特定の数式 を満たすことで、薄型化されても寸法安定性を維持しつつ強度、表面平滑性および生産性を向上させたガラス繊維強化樹脂板が開発されています(以下URL)。
ガラス繊維強化樹脂板→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7063424/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(ガラス繊維と非晶性熱可塑性樹脂の界面における相互作用の解析、ガラス繊維の表面処理(集束剤やシランカップリング剤)が樹脂との接着性や分散性に与える影響の評価、ガラス繊維の特定の扁平形状や寸法が樹脂中の配向性に及ぼす影響の解明)、機械工学(二軸混練機のスクリュー形状やバレルの温度制御、せん断速度などのパラメータがガラス繊維の長さ保持率や樹脂の粘度、分散状態に与える影響の評価と最適な混練条件の決定、射出成形機の型締め力、射出圧力、冷却時間などの成形条件が成形品の寸法精度、反り、内部応力にどのように影響するかの解析および金型設計や成形条件の最適化)
具体例として衣料用素材及び産業用資材などに用いられる消臭性布帛が挙げられます。
従来の消臭布帛では、消臭機能を付与するために布帛全面に樹脂を塗布すると風合いが損なわれたり、ドット状にすることで風合いを維持できても消臭性能の持続性まで考慮されていないという問題がありました。
これに対して、基材となる布帛に、無機系の消臭性粒子を含有させたドット状の樹脂を付着させた布帛であり、樹脂に対する消臭性粒子の含有率 が30.0質量%〜90.0質量%の範囲であり、かつ、布帛に付着させる消臭性粒子の単位面積あたりの付着量 が5.0 g/m2〜80.0 g/m2の範囲であることで、消臭性能とその持続性を両立する少々性布帛が開発されています(以下URL)。
消臭性布帛→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6838670/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(異なる種類のバインダー樹脂(アクリル系、ポリウレタン系など)についての消臭性粒子との相溶性、混合時の粘度および硬化後の接着強度の評価、樹脂のガラス転移温度(Tg)や架橋密度が消臭性粒子の固定化と洗濯耐久性に及ぼす影響の分析、消臭性粒子表面への官能基導入などの表面改質などの洗濯による粒子の脱落を抑制する技術の探索)、化学工学(消臭性粒子の分散安定性や沈降挙動の評価および分散剤の選定や混合プロセスの最適化、乾燥・硬化工程における熱・物質移動現象の解析および最適な乾燥温度、時間、風量および硬化条件の導出)
具体例として航空機、自動車、一般産業用機械などの軽量化材料などに用いられる複合糸織物が挙げられます。
従来の熱可塑性プリプレグは溶融樹脂の粘度が高く、無機繊維への含浸が悪くボイドが生じやすい問題がありました。また、既存の複合糸織物は強度よりも不燃性や肌触りを重視しており、高強度な成形品には不向きでした。
これに対して、特定の質量、繊維径、モノフィラメント本数を持つガラス繊維糸(無機マルチフィラメント糸)と、特定の融点とメルトフローレート(MFR)を持つポリアミド樹脂繊維糸(熱可塑性樹脂糸)が合撚された複合糸が、タテ糸またはヨコ糸の少なくとも一方に用いて製織され、複合糸中のガラス繊維糸の質量割合が40~90質量%であることで、溶融した熱可塑性樹脂がガラス繊維に効率的に含浸し、成形性と高強度(曲げ弾性率20GPa以上)を両立する複合糸織物が開発されています(以下URL)。
複合糸織物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7436856/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(無機マルチフィラメント糸(ガラス繊維)と熱可塑性樹脂糸(ポリアミド樹脂)それぞれの材料特性の分析および両者の界面における相互作用や接着メカニズムの解明、複合糸の撚り数や織物構造が最終的な繊維強化樹脂成形品の機械的特性(強度、弾性率)や熱的特性にどのように影響するかの評価および最適な材料設計指針の確立)、高分子化学(ポリアミド樹脂の重合条件(モノマー比、重合時間、触媒量など)を調整したさまざまなグレードの樹脂の合成と特性の評価、異なる分子量や末端基を持つポリアミド樹脂のガラス繊維との接着性や溶融時の濡れ性の評価)
(6)グンゼ|開発トレンドと専門性

A41Bが最も多いです。次いでB32B、A61B、B65D、A61Lが多いです。
具体例としてフットカバーが挙げられます。
従来のフットカバーは足指部分に縫合線があるため、足指の敏感な感覚に不快感を与えるという問題がありました。また、爪先部の生地が破れやすいという耐久性の課題もありました。
これに対して、足底から爪先を包み込む部分が1枚の伸縮性生地で形成され、足指先に当たる部分に縫い目がない構造となっており、フットカバー本体とは異なる強化生地が爪先部に別生地として設けられることで、足指の爪による破れを防ぎ、耐久性を高めたフットカバーが開発されています(以下URL)。
フットカバー→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7628474/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(フットカバー本体に最適な高分子材料の選定と配合比率の決定、爪先別生地について耐摩耗性、引裂強度、滑り性、クッション性、抗菌性、消臭性などの機能を発現させるための高分子材料の選定)、人間工学(さまざまな足のサイズ、形状、足指の特性を持つ被験者グループの選定とフットカバーの試作品を用いた着用試験の実施、足指先の不快感、締め付け感、ズレ、脱げやすさ、蒸れなどの主観的評価の収集と定量化、歩行時における足とフットカバー間の圧力分布、摩擦、およびフットカバーの変形の測定、フットカバーの開口部の形状、爪先別生地の配置、滑り止め材の最適化)
従来のレギンスやタイツなどの下半身用衣類は着用してパンツを履くと特に太腿部で生地が滑りにくく、まとわりつきが生じて履き心地を損なうという問題がありました。
これに対して、表糸にキュプラ(絹のような光沢と肌触りを持つ再生セルロース繊維)、裏糸にポリウレタンを芯とするナイロン巻きカバリング糸(SCY)が用いられ、ハイゲージ(編み目が細かく密に編まれた生地)で編成されていることにより、パンツとの摩擦を低減し、まとわりつきを防止する下半身用衣類が開発されています(以下URL)。
下半身用衣類→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7566427/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(キュプラ繊維の表面特性とナイロン巻きポリウレタンカバリング糸の伸張回復性、耐久性、熱伝導率などの評価および最適な繊維径、撚り数、カバリング率などの決定、編地全体の構造設計におけるハイゲージ編成がもたらす密度と表面平滑性が帯電防止効果および滑り性に与える影響の解析)、機械工学(ハイゲージ(200N以上、好ましくは320N以上)でのキュプラとSCYのプレーティング編みを安定しておこなうための編針、シンカー、カムなどの編機部品の精密設計と材質選定、異なる糸種(キュプラとSCY)の張力、送り量、糸道などを最適に制御するシステム設計)
具体例としてラベルなどに用いられる熱収縮性多層フィルムが挙げられます。
従来の熱収縮性フィルムは製造工程で生じる異物(フィッシュアイ)などの欠陥を目視や偏光フィルターを用いたCCDカメラで検査する際に、干渉縞が発生して欠陥を見落とし、結果的に印刷後のインク抜けなどの不良が発生する問題がありました。
これに対して、特定のレタデーション(光の偏りのズレ)(0.1~2900nm)を有するフィルムであり、ポリエステル系樹脂からなる表裏層と、ポリスチレン系樹脂を主成分とし、かつポリエステル系樹脂を15~30重量%含有する中間層とが、ポリスチレン系樹脂とポリエステル系エラストマーの混合樹脂からなる接着層を介して積層された構成により、フィルムの光学特性であるレタデーションの制御により偏光フィルターを用いた欠陥検査時における干渉縞の発生を抑制し、欠陥の検出精度を向上させ、最終的な印刷不良を防止する熱収縮性多層フィルムが開発されています(以下URL)。
熱収縮性多層フィルム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7394951/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(ポリエステル系樹脂のジカルボン酸成分(テレフタル酸、イソフタル酸など)やジオール成分(エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなど)の組成比率が表裏層の耐熱性、耐溶剤性、ガラス転移温度に及ぼす影響の検証、ポリスチレン系樹脂の中間層における含有量、特にポリエステル系樹脂との混合比率が熱収縮性、ビカット軟化温度、MFRおよびフィッシュアイ発生抑制にどのように寄与するかの解析)、化学工学(多層ダイスを用いた共押出成形における各層の樹脂温度、流量、ダイスギャップなどの押出条件が層厚み比、接着層の均一性、およびフィッシュアイの発生に与える影響の評価、テンター延伸機を用いた延伸工程における予熱ゾーン、延伸ゾーン、熱固定ゾーンの温度プロファイル、延伸倍率がフィルムの分子配向度、熱収縮率、収縮応力およびレタデーションに与える影響の解析およびこれらの特性を精密に制御するための運転条件の決定)
具体例として生体組織に形成された欠損孔を治療するための医療用材料が挙げられます。
従来の欠損孔閉鎖術は開胸手術を伴う高侵襲なものであり、カテーテル治療では金属製の閉鎖栓が体内に残存し、将来的な不具合が懸念される問題がありました。また、既存のカテーテルを用いた閉鎖栓は操作が複雑で、生体内で問題が生じた際に容易に回収できない欠点がありました。
これに対して、生体吸収性材料を用いた砂時計型の編み目状筒体で構成された材料であり、この筒体は略中央部が絞られて両側に中空円筒形状の手元接合部と先端接合部が設けられ、先端接合部はデリバリーケーブルと選択的に着脱可能であり、手元接合部には弾性変形可能な部材が設けられ、カテーテルから筒体を引き出す操作により筒体が欠損孔を挟み込むように拡張し、デリバリーケーブルを引くという簡単な操作で先端接合部が手元接合部に挿入され、弾性部材が凹部に係止されることで筒体がロック状態となり、欠損孔を安定して閉鎖でき、また、ロック状態でもデリバリーケーブルの着脱が可能なため再度操作してやり直すことも可能であるため、低侵襲で容易かつ確実に治療がおこなえ、最終的に生体内に吸収されるため、長期的な合併症のリスクを低減できる医療用材料が開発されています(以下URL)。
医療用材料→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7496763/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(生体吸収性高分子(例:ポリ乳酸、ポリグリコール酸など)や生体吸収性合金(例:マグネシウム合金)の特性評価およびそれらの材料を医療用材料の形状に加工するための成形条件の最適化、材料の生体内での分解挙動、力学的強度、疲労特性、滅菌プロセスによる影響などの分析)、高分子化学(ポリグリコール酸、ポリラクチド、ポリカプロラクトンなどの生体吸収性高分子の合成ルートの最適化、分子量、結晶性、分解速度などの物性制御、繊維化に適した高分子の選定と改質、押出成形や紡糸などの加工条件の最適化、高分子の生分解性に関するメカニズム解明と評価)
具体例としてPETボトル飲料などに用いられる熱収縮性筒状ラベルが挙げられます。
既存の容器用ラベルでは内容物の残量視認と光劣化抑制の両立が困難でした。
これに対して、透明な1枚の基材フィルムに、透明窓部となる領域を残して印刷層(白色、黒色、銀色などの下地層を含む)が設けられ、この基材フィルムの裏面全面にはUVカット層が設けられており、また、基材フィルムの両端部がシール溶剤で接着されて筒状に成形され、透明窓部が重ね合わせ部分の近傍に配置されている構成により、内容物の残量を視認でき、紫外光による劣化を抑制できる熱収縮性筒状ラベルが開発されています(以下URL)。
熱収縮性筒状ラベル→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7218129/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(各種の紫外線吸収剤や紫外線吸収性無機粒子をポリマーマトリックスに均一に分散させる技術の確立、UVカット層の透明性を維持しつつ280~400nmの波長領域におけるUVカット率が80%以上となるような材料組成の最適化、基材フィルムの熱収縮特性や機械的強度、印刷適性およびシール溶剤との相性の評価)、材料工学(基材フィルムの二軸延伸条件や熱処理条件がフィルムの熱収縮率や透明性、強度に与える影響の解析および最適な加工条件の設定、印刷層やUVカット層の薄膜形成技術(コーティング、印刷)の検討、紫外線吸収剤や遮光顔料の分散状態がフィルムの光学特性(ヘイズ、透過率)に与える影響の分析、透過窓部の透明性と遮光部のUVカット・遮光性を両立させる材料設計)
具体例として医療用途に用いられる生体吸収性綿状体が挙げられます。
従来の生体吸収性材料は主に不織布状で吸水性が低く、綿状にすることが困難でした。
これに対して、ポリグリコリドから構成される綿状体であり、平均繊維径が0.5μmから7.0μm、比容積が50cm³/gから100cm³/g、保水率が150%以上であることで、繊維が適度に絡み合い低密度で堆積する綿状構造が形成され、吸水性と綿状の形態の両立する生体吸収性綿状体が開発されています(以下URL)。
生体吸収性綿状体→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7614923/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(ポリグリコリドの重合条件の制御による目的とする分子量や結晶性、加水分解速度を調整できるポリマーの設計・合成、生体模擬環境下での分解試験の実施、酵素やpHによる分解速度の変化の評価および分解生成物の細胞毒性や代謝経路の解析)、化学工学(メルトブロー装置のノズル温度、ポリマー吐出量、エア風速、ノズルとコンベア間の距離といったプロセスパラメーターによって平均繊維径、比容積、保水率が規定範囲内となる最適な製造条件の探索、連続生産における品質の安定性を確保するためのプロセス変動要因の特定)
(7)住江織物|開発トレンドと専門性

A47Gが最も多いです。次いでA61L、E04F、B32Bが多いです。
具体例としてリバーシブルな寝具用クッション材が挙げられます。
従来の寝具用クッション材は夏場の通気性と冬場の保温性を両立できず、リバーシブル使用も困難でした。
これに対して、六角メッシュのフラットな編地組織を持つ2枚の三次元立体編物が表裏に配置され、太さ280~1200デシテックスのモノフィラメント糸からなる連結糸でつながれ、三次元立体編物の間に塩化ビニルと低融点ポリエチレン樹脂で被覆された発熱線が60~100cm間隔で配置された通気性の配線布層を挟み込み、全体を縁部カバー材で覆う積層構造(寝具用クッション材全体の厚みは10~40mm)により、三次元立体編物の通気性と発熱線の保温機能、耐久性を兼ね備え、両面使用可能なリバーシブル性を実現する寝具用クッション材が開発されています(以下URL)。
リバーシブルな寝具用クッション材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6896505/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(三次元立体編物の連結糸の太さや密度、編地組織が圧縮荷重に対する反発力や体圧分散性にどのように影響するかの解析、発熱線を内蔵した配線布層を含む積層構造全体の耐久性評価、最適な積層構成や接着方法の決定、製造工程における編機や積層装置の設計、稼働条件の最適化)、電気電子工学(塩化ビニル被覆とポリエチレン樹脂被覆の層が発熱線の絶縁性、耐熱性および耐久性を確保できるかの評価、発熱線の線径、抵抗値、および配置間隔(60cm~100cm)がクッション材全体の均一な発熱と最適な保温効果に与える影響をシミュレーションや実測で検証します。さらに、過熱防止機能、自動温度制御、消費電力の最適化など、安全かつ効率的な発熱・温度制御システムを設計)
従来の鉄道車両用カーペットは難燃性に課題があったり、軽量性や耐久性が不足したりする問題がありました。
これに対して、基布の上面にパイルが植設されたパイル布帛層と、その下面に難燃剤を含有する樹脂層を備える構成であり、パイルを構成する繊維はナイロン6.6繊維で目付が600~850g/m²、基布もナイロン6.6繊維からなる織布であり、樹脂層の形成量は300~500g/m²、カーペット全体の重量は1000~1600g/m²である素材と構造により、軽量性、耐久性、鉄道車両に求められる難燃性を満たす鉄道車両用カーペットが開発されています(以下URL)。
鉄道車両用カーペット→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6864809/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(ナイロン6.6繊維の分子量、結晶性および配向性がパイルの摩耗強度や基布の引張強度に与える影響の解析、難燃剤(水酸化アルミニウムなど)の種類と配合量の最適化および樹脂層(SBRなど)との相互作用の評価)、機械工学(織機における経糸・緯糸のデニール数、経密度、緯密度の設定が基布の強度とタフト性に与える影響の分析および最適な織り条件の確立、タフト機によるパイルの植設条件(パイルの目付、パイル長、針数など)の調整による耐久性と意匠性の両立、樹脂層の塗布方法(ロールコーターなど)、塗布量、乾燥温度・時間といった各工程のパラメータの最適化、軽量性、耐久性、難燃性といった製品仕様を安定して満たす製造プロセスの確立)
具体例として消臭・集塵フィルターが挙げられます。
従来の空気清浄機用フィルターは多層構造ゆえに圧力損失が大きく、省エネ性能に課題がありました。
これに対して、不織布層に消臭剤を固着させ、その下面に第1補強層が一体化したプリーツフィルターと、谷部に吸着剤が固着したメッシュ状の第2補強層が接着一体化した構造で、通過面風速1m/sでの圧力損失を30Pa以下、JEM1467規格に準拠した脱臭性能試験でアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸ガスの総合除去率が20%以上であることで、消臭・集塵能力を有する消臭・集塵フィルターが開発されています(以下URL)。
消臭・集塵フィルター→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7302812/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(多孔質無機物質、アミン化合物、金属酸化物からなる消臭剤の組成比や吸着剤(活性炭など)の種類がアンモニア、アセトアルデヒド、酢酸などの特定ガスに対する除去率にどう影響するかの評価および最適な配合の決定、不織布層やメッシュ層への消臭剤・吸着剤の固着量を調整による圧力損失の増加を最小限化と最大の消臭・吸着効果が得られるようなプロセス条件(スプレー塗布、乾燥など)の確立)、機械工学(不織布層の目付、繊維径、展開倍率とプリーツの山高さ、山ピッチが圧力損失と集塵効率に与える影響の予測、プリーツ加工における熱・圧力条件および谷部と第2補強層の接着方法(ホットメルト接着など)の最適化)
具体例として滑り止め床材が挙げられます。
従来の滑り止め機能を有する床材はシートへの凹凸形成が一般的ですが、パイル(毛足)を用いた場合、加熱圧縮によりパイルが潰れ、滑り止め機能や視認性が損なわれるという問題がありました。
これに対して、基布にポリプロピレン繊維製のパイルを植設したパイル布帛層と、その上面全体を被覆するポリプロピレン製フィルム層を備えた床材であって、加熱によってフィルム層とパイルを軟化または溶融させ、パイル布帛層の下面からの気体の吸引で、フィルム層とパイルが溶融一体化した凸部が形成されることにより、パイルが潰れることなく硬さを保持し、滑り止め機能を発揮し、異なる色のパイルと基布がフィルム層で被覆されることで、色のコントラストによる視認性を実現する床材が開発されています(以下URL)。
滑り止め床材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2019-196631/11/ja
関連する専門分野の例:材料工学(ポリプロピレンの分子量、結晶性、添加剤(顔料、安定剤など)の種類と量がパイルの溶融挙動やフィルムの流動性、溶融一体化後の界面接着強度にどう影響するかの評価、パイルが潰れずに硬さを保ちつつフィルム層との強固な一体化が実現できる最適な材料選定と配合比率の特定)、機械工学(加熱装置(遠赤外線ヒーターなど)や吸引装置(真空ポンプなど)の選定・設計、フィルム層とパイルが軟化・溶融する際の温度分布や圧力変動の解析、パイルが潰れずに凸部を形成するための最適な加熱時間、吸引力および搬送速度などの製造パラメータの決定)
具体例として車両用の床面フィルムが挙げられます。
従来の車両用床面表示フィルムはその高い強度や印刷層との密着性に優れる一方で、貼り替え時にアルミフィルム層が床面に残り、除去作業に手間がかかるという問題がありました。
これに対して、表面フィルム層、印刷層、粘着層からなる積層構造を有し、表面フィルム層はウレタン樹脂製の上側表面フィルム層と、その下に積層されたプライマー層、さらにその下にポリ塩化ビニル(PVC)樹脂製の下側表面フィルム層で構成され、上側ウレタン樹脂層は特定のゴム硬度(A90以上かつD80以下)を有することで、耐摩耗性、耐傷つき性、凹み性、滑り性、曲げ性を実現し、下側PVC樹脂層は特定の引張弾性率(1000MPa~4000MPa)を有することで難燃性を維持し、また、プライマー層の介在により、貼り替え時の上側フィルム層と下側フィルム層の剥離性が向上した床面フィルムが開発されています(以下URL)。
車両用の床面フィルム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7429003/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(上側ウレタン樹脂層についてはゴム硬度がフィルムの耐摩耗性や耐傷つき性に与える影響の評価および最適なウレタンポリマーの組成の決定、下側PVC樹脂層については引張弾性率が難燃性や凹み性、曲げ性に与える影響の分析および最適な可塑剤の種類や配合量、重合度などの検討、プライマー層がウレタン層とPVC層間の接着性と剥離性に与える影響の解析および適切なプライマー樹脂と塗布量の決定)、化学工学(プライマー層の塗布量や乾燥温度がプライマー層の均一性や上側・下側フィルム層への密着性ひいては剥離性に与える影響の評価、ウレタン樹脂の押し出し成形時における温度プロファイルや押出速度が上側表面フィルム層の厚みやゴム硬度に与える影響の解析および安定した成形条件の確立、層間剥離を防ぎながら必要に応じて剥離性を確保するためのプロセス条件の最適化)
(8)セーレン|開発トレンドと専門性

B41Jが最も多いです。次いでB32B、D06N、Ⅽ09D、D06Mが多いです。
具体例として立体曲面へのインクジェット記録装置が挙げられます。
既存の曲面印刷技術では、インクジェットヘッドと曲面との距離や角度を一定に保つのが難しく高精度な柄の記録が困難でした。
これに対して、複数のノズルを持つインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドを立体曲面に対して多軸方向に相対移動および相対回転させる移動ロボットを備え、移動ロボットはインクジェットヘッドをXYZの3軸方向に移動させるとともに、ヘッドの列方向、幅方向、高さ方向に沿った3つの回転軸を中心に回転させ、インクジェットヘッドを第一座標軸方向(主走査方向)と第三座標軸方向(高さ方向)に同時に移動させる際、複数のノズルが並ぶ吐出面を立体曲面の接平面と常に平行に保ち、かつ吐出面と曲面との距離を一定に制御することにより、従来の技術では難しかった複雑な立体曲面に対しても柄を歪みなく、高精度に記録することが可能となるインクジェット記録装置が開発されています(以下URL)。
立体曲面へのインクジェット記録装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7554097/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ロボットアームについて剛性や振動抑制を考慮した最適な材料選定と形状設計、インク吐出時の反力や外部からの振動が印刷精度に与える影響のシミュレーションおよびそれらを補償するアクチュエータ(駆動装置)とセンサーシステムの選定・配置およびPID制御などのフィードバック制御アルゴリズムの調整)、情報科学(3DスキャンデータやCADデータから得られる立体曲面の形状情報を解析して2Dの柄データをその形状にマッピングするための高度なアルゴリズム設計、非線形な座標変換やテクスチャマッピングの最適化、大量の画像データとロボット制御データを効率的に処理・連携させるためのデータベース設計や通信プロトコルの実装)
従来のインクジェット記録装置では、有機溶剤を含むインクを使用する際、印刷中に蒸発する溶剤成分が装置内に滞留し、その濃度が上昇する問題がありました。これは作業環境の悪化や最悪の場合、引火・爆発のリスクを高める可能性がありました。
これに対して、記録媒体の搬送路にある記録領域の下方にインクの有機溶剤の蒸発成分を検出する検出器が配置され、この検出器で得られた検出値があらかじめ定められた基準値より低い第一状態の場合にはインクジェットヘッドからインクを通常通り吐出し、検出値が基準値より高い第二状態に達した場合にはインクの吐出を停止させるか、あるいは吐出量を減らすように制御し、また、装置内の蒸発成分を吸引する吸引装置が装置内の溶剤濃度を適切に保つことにより、インクの品質維持と装置の安全性を両立するインクジェット記録装置が開発されています(以下URL)。
インクジェット記録装→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7437929/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(インクの組成、印刷速度、加熱条件といった様々な運転条件下における有機溶剤の揮発速度の測定およびその蒸発量に基づいて装置内の溶剤濃度分布を予測するシミュレーションモデルの構築、検出器の最適な配置位置や吸引装置の吸引能力、排気経路の設計の決定、効率的な排気と安全な溶剤濃度管理を実現するためのシステム全体の物質収支とエネルギー収支の評価)、制御工学(有機溶剤の検出器から送られるリアルタイムの濃度データの解析およびその変動パターンから将来の濃度変化を予測する制御アルゴリズムの設計、インク吐出のオンオフや吐出量の調整、吸引ファンの回転数制御などを自動で行うためのロジックの設計)
具体例として導電性布帛が挙げられます。
従来の可撓性導電部材は高分子フィルム表面の金属皮膜が繰り返し屈曲に弱く、導電性の耐久性が不十分であるという問題がありました。
これに対して、導電性組成物からなる導電膜の内部にメッシュ状基材が埋設された導電性シート部材が、基材布帛の表面に積層された導電性布帛であって、導電性シート部材の第一面(表面)と第二面(裏面)の算術平均粗さ(Ra)について、第二面(Ra2)の粗さの方が第一面(Ra1)より小さい(Ra1 >Ra2)ように形成されることで、比較的滑らかな第二面が基材布帛側に積層され、また、メッシュ状基材は開口率30%以上を満たす構造とされることにより、繰り返し屈曲に対する導電性の低下が抑制され、高い耐屈曲性を有する導電性布帛が開発されています(以下URL)。
導電性布帛→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7625485/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(導電性粒子の種類、粒径、配合率、高分子樹脂の種類と配合率が導電膜の導電性、柔軟性、接着性に与える影響の評価、メッシュ状基材の繊維素材、線径、織り方、開口率が導電膜への含浸性や最終製品の耐屈曲性にどう影響するかの解析)、機械工学(スクリーン印刷やナイフコーティングなどの塗布方法、離型性基材の選択、熱プレス条件(温度、圧力、時間)が導電性シート部材の表面粗さ(Ra1とRa2の関係)やメッシュ状基材の露出状態に与える影響の検証、所望の表面粗さを持つ導電性シート部材を安定して製造するためのプロセス条件の確立)
具体例として合成皮革が挙げられます。
従来の合成皮革では、本革様の触感を付与しようとすると耐摩耗性が低下したり、その逆で耐摩耗性を高めると触感が損なわれたりするという問題がありました。
これに対して、繊維質基材の上に設けられる表層に特徴を有し、表層が特定の種類のポリウレタン樹脂とシリコーンゴムを両方含むように構成され、表層を構成するポリウレタン樹脂がカーボネート結合を含有することで、ポリウレタン樹脂が持つ本来の耐久性と、シリコーンゴムがもたらす本革様の触感を実現できる合成皮革が開発されています(以下URL)。
合成皮革→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7377045/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(カーボネート結合含有ポリウレタン樹脂の合成条件の検討、分子量や架橋密度が最終的な耐摩耗性や触感に与える影響の評価、シリコーンゴムの種類、分子量、官能基およびエマルジョン化技術がポリウレタン樹脂との混合安定性や表層が形成する皮膜のゴム弾性、表面特性にどう影響するかの検討、最適な配合比率や添加剤の種類の決定)、材料工学(繊維質基材の種類、繊維素材、密度、厚みが表層との接着強度や合成皮革全体の柔軟性・耐久性に与える影響の評価、表層用樹脂液の塗布方法、乾燥・熱処理条件、接着剤の種類および積層時の圧締条件が表層の均一性、硬化度、基材への浸透性、最終製品の触感や耐摩耗性にどのように影響するかの解析)
具体例として紫外線硬化型インクジェットインクセットが挙げられます。
従来のインクジェットインクでは、顔料粒子が小さいため印刷後に紫外線などで退色しやすいという問題がありました。特に、特定の色の顔料が選択的に退色し、意匠のバランスが崩れることが課題でした。
これに対して、特定の種類の黄色、赤色、青色の顔料(紫外線領域(波長280~380nm)での光透過率が10%以下)が選定され、それぞれの顔料の平均粒子径が120~250nmであることにより、インクジェット画像層が高い透明性を保ちつつ基材の意匠を損なわずに表現でき、長期間にわたって各色の退色が同程度に保たれる紫外線硬化型インクジェットインクセットが開発されています(以下URL)。
紫外線硬化型インクジェットインクセット→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7406364/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(さまざまな官能基を持つアクリレート系モノマーやウレタンアクリレート系オリゴマーの組み合わせ、硬化速度、硬化収縮および最終的なインク層の柔軟性や硬度の調整、顔料が紫外線を吸収する環境下でも効率的な硬化を達成できる系の構築、フッ素樹脂などのバインダー樹脂がインクの分散安定性、塗膜強度の評価および最適な分子設計)、材料科学(特定の顔料がインク層として形成された場合の分光特性の分析、顔料自体の劣化を最小限に抑える設計の確立、促進耐候性試験を通じて各顔料の退色速度や色差の測定、長期間にわたって色相バランスが崩れないような顔料の選定と配合比率の最適化)
具体例として撥水性を有する繊維構造物が挙げられます。
従来の撥水加工技術はフッ素化合物が使用されており、その環境残留性や生体蓄積性が問題となっていました。また、代替として提案された非フッ素・非シリコーン技術は初期撥水性や洗濯耐久性が不足し、特にポリエステル繊維などへの汎用性に欠けるという問題がありました。
これに対して、繊維基材の表面に分子内にアニオン性基を持ち特定の分子量を有するアニオン性化合物(A)が付与され、その上に、炭化水素化合物(b1)と特定の架橋剤(b2)の反応物である撥水性化合物(B)からなる第1の樹脂層が形成されることで、アニオン性化合物(A)と炭化水素化合物(b1)の分子間相互作用により、撥水性化合物(B)が繊維に強固に付着し、フッ素系と同等以上の撥水性と洗濯耐久性を両立する繊維構造物が開発されています(以下URL)。
撥水性を有する繊維構造物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7009104/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(アニオン性化合物(A)として適切な分子量範囲内でのさまざまな縮合重合体の合成条件の検討、分子量分布やアニオン性基の密度が繊維基材への吸着メカニズムや後から付与される撥水性化合物(B)との相互作用にどう影響するかの評価、炭化水素化合物(b1)と化合物(b2)の反応(架橋)メカニズムの解析、硬化条件(温度、時間、触媒)が撥水性化合物(B)の架橋密度や撥水基の表面配向性に与える影響の制御による撥水性、撥油性および洗濯耐久性を最大限に高めるための高分子設計と反応プロセスの確立)、界面化学(繊維基材のアニオン性化合物(A)による表面改質が撥水性化合物(B)の繊維表面への付着量や配向性にどのように影響するかをの評価、撥水性化合物(B)が形成する第1の樹脂層の表面エネルギーや微細な凹凸構造の制御による水滴との接触角の最大化、撥油性の発現メカニズム(有機溶剤に対する表面の湿潤性)の解析、後続の第2の樹脂層との良好な密着性を実現するための界面設計(例:界面張力、表面粗さの調整)の確立)
(9)日本バイリーン|開発トレンドと専門性

D04Hが最も多いです。次いでB01D、H01M、B32B、D06Mが多いです。
具体例として燃料電池用のガス拡散電極用基材などに用いられる炭素連続繊維シートが挙げられます。
従来の炭素繊維シートはガス拡散電極などの用途で利用されてきましたが、柔軟性が不十分で取り扱い性に劣るという問題がありました。
これに対して、炭素連続繊維間に、その繊維径よりも大きな導電性粒子または粒子凝集体を厚さ方向に含むことで、繊維同士の接点を減らし、かつ繊維が粒子に沿って湾曲できる構造を形成し、柔軟性と取り扱い性を向上させた炭素連続繊維シートが開発されています(以下URL)。
炭素連続繊維シート→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7145274/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(炭素連続繊維と導電性粒子・凝集体の組み合わせによる複合材料の設計とその構造が力学的特性(柔軟性、強度)や電気的特性(導電性)に与える影響の評価、粒子のサイズ、形状、配置がシート全体の物性にどう影響するかの解明)、電気化学(粒子として導電性カーボンを使用した場合のシート全体の電気抵抗値が燃料電池の発電効率に与える影響の評価、ガス拡散電極に触媒を担持した場合の触媒利用効率やガス・水の移動経路を考慮したシートの多孔性(見掛け密度など)の設計、燃料電池の出力密度や耐久性を最大化するための電気化学的特性の最適化)
従来のフッ素樹脂を含む不織布は防汚性に課題があり、硬い樹脂で防汚性を高めると成形加工性が悪化するという問題がありました。
これに対して、ポリエチレンテレフタレート繊維のみで構成された不織布の繊維同士が、フッ化ビニリデンポリマーとアクリルポリマーが分子レベルで相溶している樹脂を含むバインダで接着されることで、汚れが付着しにくく、同時に樹脂の均一な硬さが維持されるため自動車内装材のような複雑な形状への成形加工性にも優れた不織布が開発されています(以下URL)。
自動車内装用の不織布→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7430052/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(フッ化ビニリデンとアクリル系モノマーの共重合条件の検討、分子構造解析(例: NMR、IR)により分子レベルでの相溶状態の確認、ガラス転移温度(Tg)や粘度などのバインダの熱的・力学的特性の評価およびそれが不織布の防汚性(表面自由エネルギーなど)や成形加工性(柔軟性、応力-歪曲線)にどう影響するかの解明)、化学工学(バインダ溶液の泡立て含浸工程における泡の安定性、液滴サイズ、塗布速度が不織布へのバインダ浸透量や均一性に与える影響の解析および最適な泡化条件の決定、熱カレンダー加工や乾燥工程における温度プロファイルと時間、圧力の制御が繊維の熱圧着状態、バインダの硬化度、不織布の厚さや密度にどう影響するかの評価、防汚性と成形加工性に優れた不織布を効率的に製造できるプロセス条件の確立)
具体例としてオイルミストを捕集するフィルタケーシングが挙げられます。
従来のオイルミスト捕集装置では、フィルタに溜まったオイルミストが排出されにくく、メンテナンスが困難になるという問題がありました。
これに対して、フィルタ取付枠が空気流の上流側に傾斜して配置され、フィルタで捕集されたオイルミストが重力でスムーズに流れ落ちる構造であり、フィルタケーシングの底板に傾斜した油受け面と、フィルタ取付枠の下縁部にも傾斜した油受け面と樋が設けられ、これらの傾斜によってオイルミストを集め、排油口へ導くことでフィルタからのオイルミストの滞留を防ぎ、外部へ排出することで、メンテナンス性が向上したフィルタケーシングが開発されています(以下URL)。
オイルミストを捕集するフィルタケーシング→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7621181/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(フィルタケーシングの主要部品に適した金属材料や樹脂材料の選定、選定した材料についての長期的な性能と耐久性の評価、フィルタ材料について捕集効率を維持しつつオイルの排出性や耐洗浄性に優れた素材の検討や表面改質技術の探索)、機械工学(フィルタケーシングの部品の応力解析や変形解析および使用環境下での強度と剛性を確保する設計、油受け面の傾斜や樋の形状がオイルの流れや清掃時の変形に与える影響の評価)
具体例として一次、二次電池などに用いられる電気化学素子用セパレータが挙げられます。
従来のセパレータは電解液の偏りにより内部抵抗が高くなり、電気出力特性が不十分であるという問題がありました。
これに対して、繊維構造体の一方の主面(比表面積が小さい側)に、電気化学素子の電解液を吸収・保持可能なポリフッ化ビニリデン系樹脂を含むバインダ成分と無機粒子が多く配置されたことにより、比表面積の小さい主面側に電解液が引き寄せられるのを防ぎ、電解液の偏りを抑制できて電気出力特性を向上させた電気化学素子用セパレータが開発されています(以下URL)。
電気化学素子用セパレータ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7641732/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(さまざまな分子量や共重合比を持つポリフッ化ビニリデン系樹脂の結晶性、ガラス転移温度、溶媒(電解液)膨潤度の評価、セパレータの製造プロセスにおける加熱条件下での樹脂の被膜形成挙動や電解液中での安定性を熱分析やレオロジー測定により解析、セパレータの通気度を損なうことなく電解液を効率的に保持できる最適な高分子材料の組成と構造の確立)、電気化学(セパレータを用いたリチウムイオン二次電池の電池の充放電サイクル特性、高レート放電特性、交流インピーダンス測定による内部抵抗の評価を、セパレータの孔径分布やバインダ樹脂および無機粒子の配置がイオン伝導経路に与える影響の解析、電解液の偏りを抑制するための最適なセパレータ構造の特定)
具体例として自動車などの内装に用いられる表面材が挙げられます。
従来のプリント付き表面材では、プリント面積の割合だけでは触感を最適化できず、また毛羽立ちやすいという問題がありました。
これに対して、布帛の主面に不規則なプリント柄が部分的に形成されており、そのプリント面積率が20~50%に設定され、さらに、プリント柄の分布の不均一性を示すCV値が0.26以下と小さいことにより、プリントがある部分の滑らかさとプリントがない布帛部分の起毛感のバランスが最適化され、また、プリント柄が均一に分布することで表面の毛羽立ちが起こりにくい表面材が開発されています(以下URL)。
表面材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7598086/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(プリント液中の樹脂や粒子の分散安定性を高めるための最適な溶媒・分散媒の選定および添加剤の配合量の決定、グラビアロールなどを用いたプリント液の塗布工程における塗布量や塗布速度、乾燥温度、風量などの条件の設定、均一なプリント層を形成するためのプロセスシミュレーション、目的とするプリント面積率とCV値を達成しつつ生産コストを抑えて量産性のある製造プロセスの設計)、人間工学(さまざまなプリントパターンを持つ表面材の触覚評価、表面の微細な凹凸構造や摩擦係数などの物理量の測定および物理量と人間の触感評価との相関関係の分析、毛羽立ちにくさなどの耐久性も考慮した人間にとって最適な触感設計)
具体例として自動車などの内装用表面材が挙げられます。
従来の表面材は柔軟性(成形性)を追求すると裁断性(トリミング性)が低下し、逆に裁断性を高めると柔軟性が損なわれるという問題がありました。
これに対して、繊維シートとバインダから構成され、バインダがシートの一方の主面からもう一方の主面へ向かって増加するように分布し、低応力での伸びやすさ(20%モジュラスが83N/3cm未満)と両主面の剛軟度の差(1.6cm未満)という物性値の組み合わせにより、柔軟性と裁断性を向上させた内装用表面材が開発されています(以下URL)。
自動車などの内装用表面材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7191530/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(さまざまな種類のポリマーや添加剤を組み合わせたバインダ組成物の設計およびそれらのレオロジー特性や硬化挙動の評価、繊維シートへの含浸方法や乾燥条件の検討、物理的特性が目標値範囲内に入るよう素材レベルでの最適化)、機械工学(ニードルパンチ処理の針密度や深度が繊維シートの絡合状態やバインダの浸透性に与える影響の解析および最適な条件の設定、ロール間ギャップや加熱温度といった圧延条件がバインダの分布やシートの密度、厚み、剛性にどのように影響するかの検証)
(10)まとめ
繊維、樹脂組成物、フィルム、織物、フィルター、膜、電極、医療用材料など素材レベルのものから製品レベルのものまでさまざな出願が確認されます。
また、フィルムや布帛などの製品単位では、水溶性、熱収縮性、導電性などさまざまな機能、さまざまな用途があります。
こうした開発には材料系、化学系の専門性が深く関係する場合が多いです。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)東レ

共同出願の例として金型を用いた樹脂成形方法が挙げられます。
従来の成形方法では、溶融樹脂の流動抵抗により金型の細部まで樹脂が入り込みにくく、複雑な形状の成形品設計に制約がありました。また、成形品のそりや収縮変形も問題でした。
これに対し、金型内で流動中の熱可塑性樹脂にマイクロ波を照射し、樹脂の流動を促進する樹脂流動助勢工程を含むことにより、樹脂の温度降下を抑制し、粘度を最適な状態に保ちながら金型内の細部にまで樹脂を充填でき、結果として、複雑な形状の成形品を高い精度で成形できるようになり、また、樹脂が均一に充填されるため成形後のそりや収縮変形を低減できる樹脂成形方法が開発されています(以下URL)。
金型を用いた樹脂成形方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7121940/15/ja
従来の胃がん検査はX線や内視鏡といった患者負担の大きい画像診断が主流で、血液検査マーカーは精度が不十分でした。
これに対し、miR-1915-5pを含むmiRNAに特異的に結合する核酸を検出キットに組み込むことで、採血のみで胃がんの有無を評価でき、スクリーニング検査としての有効性を高めた胃がん検出用キットが開発されています(以下URL)。
胃がん検出用キット→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7426046/15/ja
従来のセパレータでは、電池の大型化に伴う電極とセパレータの剥離や歪み、それに伴う性能低下が問題でした。
これに対し、微多孔膜の少なくとも片面に特定の組成の多孔質層が設けられ、この多孔質層は特定の親水基含有フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体(A)と、特定の融点・分子量のフッ化ビニリデン単位を含む重合体(B)、そしてアクリル樹脂が組み合わされたことで、電解液を含まない乾燥時と電解液を含む湿潤時の両方で電極との接着性を実現し、電池の大型化によるたわみや歪みの抑制する電池用セパレータが開発されています(以下URL)。
電池用セパレータ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6766411/15/ja
(2)帝人

共同出願の例として熱硬化性樹脂組成物が挙げられます。
従来の繊維強化複合材料、特に高温環境下で用いられるものは耐熱性や耐衝撃性に課題があり、また、製造工程においては、溶媒に起因するボイドの発生や特殊な設備が必要になるという問題がありました。
これに対し、特定の粘度を持つベンゾオキサジン化合物(A)と、特定の分子量のレゾール/ノボラック共重合フェノール(B)が特定の質量比で組み合わされることよにり、硬化時に揮発性成分がほとんど発生しないため、成形体のボイド形成を抑制し、層間剥離が生じにくく耐熱性、耐衝撃性を有する熱硬化性樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
熱硬化性樹脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6998651/15/ja
(3)クラレ

共同出願の例として熱可塑性樹脂組成物が挙げられます。
従来の熱可塑性エラストマーを含むゴム組成物は優れた機械的特性と柔軟性を持つ一方で、水分が付着すると滑りやすくなるという問題があり、特に靴底やタイヤなどでは安全性に課題がありました。
これに対し、特定の水添ブロック共重合体(I)と架橋剤(II)を必須成分として含有し、ポリオレフィン系樹脂の含有量が特定量未満であり、水添ブロック共重合体(I)は芳香族ビニル化合物由来の重合体ブロック(A)と、バイオ由来のファルネセンを主要な構成単位とする重合体ブロック(B)を含むブロック共重合体(P)を50モル%以上水素添加したもので、重合体ブロック(B)はファルネセン由来の構造単位(b1)を多く含み、また、重合体ブロック(C)をさらに含むことで、異なるレベルの水素添加率の重合ブロックの組み合わせによりウェットグリップ性能を高め、靴底などの用途で安全性と耐久性を高めた熱可塑性樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
熱可塑性樹脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7073857/15/ja
(4)東洋紡

共同出願の例として四肢動物の生体情報を計測するための衣類が挙げられます。
従来の動物用生体情報計測衣類は動物が震えたり横臥したりすると電極がズレてしまい、計測精度が低下するという問題がありました。
これに対し、四肢動物の胴体周りに配置される帯状本体部と肌側の電極を有し、この帯状本体部が1 ㎝2あたり5 kgの荷重で厚み方向に10 mm以上圧縮される特定の柔軟性を持つことにより、動物の動きや外部からの力が加わっても、帯状本体部が変形して身体の動きに追随し、電極が肌に密着した状態を維持し、電極のズレが抑制され、心電などの生体情報を高精度で継続的に計測できる四肢動物用の衣類が開発されています(以下URL)。
四肢動物の生体情報を計測するための衣類→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7308313/15/ja
従来の金属缶用ポリエステルフィルムは成形加工性や耐食性、保香性などが不足していました。
これに対し、全樹脂組成物の90重量%以上がポリエチレン-2,6-ナフタレート(PEN)であり、厚みが5~14μm、150℃30分での熱収縮率が長手・幅方向ともに2.7%以下、ガラス転移点が100℃以上という特定の物性により、薄膜化と耐食性を両立する金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムが開発されています(以下URL)。
金属貼合せ成形加工用ポリエステルフィルム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7627997/15/ja
(5)日東紡

共同出願の例として建築物の外装材・内装材の施工性を高める下地部材が挙げられます。
従来の建築物の下地部材は胴縁と胴縁受け部材を固定する際に対向する2方向からのビス止めが必要で、作業工数が増加し、特に狭い入隅部での作業性が著しく低いという問題がありました。
これに対し、胴縁が断面略コ字状で、胴縁受け部材の躯体側に係止される係止部が設けられ、胴縁受け部材にボルトで固定される胴縁受け部材の底壁に胴縁の係止部を係止させ、胴縁の片側の側面を胴縁受け部材の側面へ固定するだけで胴縁の取り付けが可能となる構造により、片側からの固定だけで十分な固定力を確保し、作業空間を縮小できるため、施工作業の効率化、狭い場所での作業性向上が実現される下地部材が開発されています(以下URL)。
建築物の外装材・内装材の施工性を高める下地部材→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5064185/15/ja
(6)グンゼ

(7)住江織物

(8)セーレン

共同出願の例として有機ELパネルの製造方法が挙げられます。
従来の有機ELパネル製造においてロールツーロール方式で低粘度塗布液を用いると、液だれやフィルムの振動による膜厚不均一ひいては発光ムラが生じるという問題がありました。
これに対し、可撓性基材を水平搬送する際、基材の下方にエア浮上ステージを配置し、エアで基材を浮上させて上下の振動を抑制することにより、基材が自重で垂れ下がったり上下振動したりするのを防ぎ、インクジェット塗布器による有機材料の塗布液を安定的に塗布でき、結果として、液だれや膜厚の不均一、発光ムラの発生を抑えた連続生産が可能な有機ELパネルの製造方法が開発されています(以下URL)。
有機ELパネルの製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6254108/15/ja
(9)日本バイリーン

件数が少ないため詳細は省略します。
(10)上記(1)~(9)(共同出願人)のまとめ
樹脂組成物といった単独出願の場合と同種の出願が多く確認されます。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・化学、材料系分野(高分子化学、化学工学、無機化学、有機化学、電気化学、物理化学、界面化学、材料化学、材料科学、材料工学など)
官能基や分子量などが製品性能に与える影響の評価、素材や化学物質の選定、所望の物質を得るための処理や反応プロセスの検討などが求められます。
・機械系分野(機械工学、人間工学など)
製造装置などの機械的構造の設計、製造条件の検討、所望の処理をおこなための装置の制御方法の検討などが求められます。
・生物系分野(生物工学、生物化学など)
所望の遺伝子の設計、構築、分子レベルでの評価などが求められます。
・電気系分野(電気電子工学など)
配線設計や電力力供給システムの設計などが求められます。
・情報系分野(情報科学、制御工学など)
情報の解析、所望の情報処理をおこなうためのアルゴリズム設計などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
各種繊維、樹脂製品が素材レベルから部品、製品レベルまでさまざまな出願が確認されます。また、開発品の機能、用途(分野)は多岐にわたります。
これらを大学の専攻と関連づけるとしたら、主に化学、材料、機械に関わる研究が該当する可能性があります。ただし、その境界はあいまいですし、専門性に関わる単なる名称にまどわされないでください。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
・特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
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