近年では、低燃費性能や耐久性といった従来の要求に加え、EV化に伴う静粛性の向上や摩耗粉による環境負荷の低減など、タイヤ業界が解決すべき技術課題は高度化・複雑化しています。
また、タイヤそのものの材料開発にとどまらず、センサーを内蔵して路面状態や摩耗を検知するスマートタイヤ技術やパンクの心配がないエアレスタイヤ、ゴムの木に依存しない天然ゴムの代替素材開発など、研究開発の領域は大きく広がっています。
しかし、企業サイトの断片的な情報だけでは、現場においてどのような研究開発がおこなわれているのか、どのような専門性が求められるのか、その全体像を把握するのは困難です。
この問題に対し、特許情報を活用します。
特許情報は企業の開発の軌跡であり、客観的なエビデンスになり得る情報です。
本記事では、採用サイトとは別の視点で、ブリヂストン、住友ゴム、横浜ゴム、TOYO TIREの研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。
結論(概要)は以下の通りです。
・化学、材料系分野(高分子化学、化学工学、有機化学、環境工学、材料工学、材料科学など)
・機械系、物理系分野(機械工学、システム工学、精密工学、計測工学、応用物理学など)
・電気系分野(電気電子工学、システム工学など)
・情報系分野(情報科学、システム工学、統計学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 タイヤ業界
2.1 タイヤ業界とは
ここでは、自動車をはじめとする多様な車両の性能と安全を支えるタイヤの製造・販売をおこなう業界を意図します。
タイヤとタイヤ以外の技術の区別はしていません。
2.2 サーチ対象
以下のタイヤメーカー4社を対象にしました。
(2)住友ゴム
(3)横浜ゴム
(4)TOYO TIRE
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
|
モノの開発 |
サービスの開発 |
|
|
個人向け |
・ゴルフクラブシャフト |
|
|
法人向け |
・RFIDタグを有するタイヤ |
・シス-1,4-ポリジエンの調製方法 |
3.2 出願件数の推移
下図タイヤメーカー4社の特許出願件数の推移です。

2000年から2010年頃まではブリヂストンの特許出願件数が多いですが、近年では全4社の差は縮まっています。
いずれも毎年一定以上の特許出願をおこなっています。
そのような特許出願につながる開発が日々おこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
ブリヂストン>住友ゴム>横浜ゴム>TOYO TIRE
だと言えます。
ただし、直近5年(2018年から2022年)で見ると、
住友ゴム>ブリヂストン>横浜ゴム>TOYO TIRE
です。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
架橋または加硫などがこれに該当します。
全4社がこの分野から多く出願しています。
フレームの製造などがこれに該当します。
ブリヂストン、住友ゴムがこの分野から多く出願しています。
横断面に特徴があるものなどがこれに該当します。
全4社がこの分野から多く出願しています。
天然ゴムの組成物などがこれに該当します。
横浜ゴムがこの分野から多く出願しています。
緩衝装置などがこれに該当します。
TOYO TIREがこの分野から多く出願しています。
3.5 タイヤメーカー4社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)ブリヂストン|開発トレンドと専門性

上図期間中、B60Ⅽが最も多いです。次いでⅭ08L、F16F、F16L、B29Ⅽ、Ⅽ08F、E03Cが多いです。
具体例としてRFIDタグを有するタイヤが挙げられます。
従来のRFIDタグ内蔵タイヤでは、タグがタイヤサイド部に配置されるため走行時の変形によってタグに過剰な引張力がかかり、破損する問題がありました。
これに対し、カーカス(タイヤの骨格をなす補強層)とベルト(カーカス外周の補強層)の間に配置される樹脂製のベースリング(環状部材)にRFIDタグを付着させることにより、タグへの力を小さくして破損を抑制したタイヤが開発されています(以下URL)。
RFIDタグを有するタイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7648510/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(ベースリングおよびRFIDタグケースに使用する熱可塑性エラストマーや熱可塑性樹脂の耐熱性、耐候性、疲労特性、接着性などの評価と最適な材料の選定、RFIDタグとベースリング間の密着性および溶着部の強度変化の評価)、機械工学(タイヤの接地時や旋回時におけるタイヤ全体の変形挙動とRFIDタグおよびその周辺部品に作用する応力分布のシミュレーション、ベースリングの形状、厚み、材質、RFIDタグの配置位置、ケースの剛性などがタグにかかる応力に与える影響の評価、応力集中を避ける構造設計)
従来のタイヤに内蔵された通信装置はタイヤの変形によって破損しやすく、また、保護材で覆うと通信性能が低下するという問題がありました。
これに対して、タイヤの断面幅が狭く外径が大きい「狭幅・大径タイヤ」という、元々変形が小さい特性を持つタイヤにおいて、通信装置が特定の領域(接地端とタイヤ最大幅位置で挟まれる部分)に配置されることにより、通信装置への応力集中を抑制して耐久性を高め、通信装置をベルト層の端よりもタイヤ幅方向外側かつ最内側のベルト層よりもタイヤ径方向外側への配置により通信性も高めた乗用車用空気入りラジアルタイヤが開発されています(以下URL)。
通信装置を備えた乗用車用空気入りラジアルタイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7657702/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(タイヤの特性(狭幅・大径)が通信装置に与える影響の解析および最適な配置位置と保護構造の設計、異なるタイヤ形状(断面幅SW、外径OD)や内部構造(カーカス、ベルト層の配置)での走行時の接地面での変形や通信装置が設置される領域に作用する応力やひずみ分布の評価)、通信装置の設置位置(例:ベルト層の端からの距離、深さ)や保護ケースの材料、厚み、形状が通信装置の耐久性に及ぼす影響のシミュレーション)、電気電子工学(タイヤを構成するゴムや補強材(カーカス、ベルト)が電波の伝搬に与える影響(減衰、反射、偏向など)の解析、通信装置のアンテナパターンやインピーダンスの最適化、異なるタイヤ構造や外部環境(路面、周囲の車両など)におけるRFIDタグの受信感度や通信性能の低下要因の特定と改善策の検討)
従来のタイヤ空気圧監視システムは内圧異常を単純に警告するだけで運転者や運行管理者が車両の継続走行の可否を判断するのが困難でした。
これに対して、タイヤの内圧情報に加えて、装着位置、減圧速度、車両の荷重、走行ルートなどの多様な情報を取得し、内圧異常の程度(パンク、スローリーク、自然減圧)とそれに伴う走行リスクを具体的に評価し、その評価結果を車両の運転者や運行管理者へ通知することで客観的な情報に基づいて適切な対応を迅速に判断できるよう支援するタイヤ管理システムが開発されています(以下URL)。
タイヤ管理システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7640436/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(タイヤの内圧、温度、車両情報などの膨大なデータから内圧異常のパターンを識別してリスク評価の精度を高めるアルゴリズムの設計、車両の荷重情報、走行ルート(高速道路利用の有無、目的地までの距離)、タイヤの装着位置といった追加情報と実際の事故やトラブル発生状況との相関の分析、継続走行リスクを多角的に評価するモデルの構築・最適化)、システム工学(タイヤからの情報取得からリスク評価、通知までのシステム全体のアーキテクチャの設計、各コンポーネント間の連携とユーザーへの情報提供方法の最適化、タイヤ内圧センサー、車載の運行記録計、クラウド上のタイヤ管理装置、運行管理装置、メンテナンス事業者システムなどの複数の異なるシステム間のデータ連携プロトコルの設計)
具体例としてタイヤトレッド用ゴム組成物が挙げられます。
従来のタイヤトレッドゴムは低燃費化のために発熱性を抑えようとすると耐亀裂性(破断伸びや破断応力)が犠牲になるという問題がありました。
これに対して、イソプレン系ゴムを主成分とし、窒素吸着比表面積の異なる2種類のカーボンブラックとシリカが特定の質量比と合計含有量で配合されることで、相反する特性である低発熱性と耐亀裂性を両立させたタイヤトレッド用ゴム組成物が開発されています(以下URL)。
タイヤトレッド用ゴム組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7429179/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(イソプレン系ゴムと、異なる比表面積を持つカーボンブラックおよびシリカとの間の界面相互作用(例:ゴム分子とフィラー表面間の結合様式、フィラーの凝集状態)の評価、配合される各成分の分子量分布、官能基の種類およびそれらが加硫後のゴム物性(引張強度、伸び、粘弾性など)に与える影響の解析、)、材料工学(ゴムとフィラーからなる複合材料としてのタイヤトレッドゴムの特性評価、製造プロセスにおける材料挙動の最適化、ゴム組成物の動的粘弾性特性(貯蔵弾性率、損失弾性率)の測定と低発熱性のメカニズムの解明)
従来の氷上タイヤには水膜除去のために発泡ゴムが用いられることがありますが、無機発泡剤が使用されると、加硫速度と発泡速度のバランスが取りにくく氷上性能が不十分になる問題がありました。
これに対して、ジエン系ゴムに、特定の溶解度パラメータ(SP値)範囲の有機酸と無機発泡剤の所定の割合の配合により、氷上性能と製造作業性を両立するゴム組成物が開発されています(以下URL)。
タイヤトレッド用ゴム組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7523272/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(有機酸(特にSP値が異なるものや芳香環の有無)が無機発泡剤の熱分解挙動に与える影響を熱分析(DSC、TG-DTA)やガスクロマトグラフィーにより解析、発泡速度の制御メカニズム解明、ゴム成分(ジエン系ゴムの種類、変性ポリマーの導入)と有機酸の相溶性や相互作用を表面張力測定や顕微鏡観察(AFM、TEM)により評価、加硫反応と発泡反応の同時進行下での高分子鎖の架橋構造形成、気泡の生成・成長メカニズムおよび気泡構造(サイズ、分布、連通性)を動的粘弾性測定やX線CTスキャンなどにより解析、氷上性能に寄与するミクロな排水路の形成条件の最適化)、化学工学(ゴム組成物の混練工程におけるせん断速度、温度、混練時間などが無機発泡剤や有機酸の分散性およびゴムの密着性に与える影響の評価、作業性を損なわない最適な混練条件の導出、加硫工程における温度プロファイル、圧力および加硫時間が発泡ゴムの気泡形成(発泡率、気泡径、気泡分布)とゴム物性(耐亀裂性、低発熱性)に与える影響の解析)
具体例として地震の揺れを抑制する免震装置が挙げられます。
従来の免震装置では、高い減衰性能を持つ軟質材料を使用すると地震時の揺れが建物に伝わりやすくなるという問題がありました。
これに対して、鉛直方向に交互に積層された硬質材料層と軟質材料層からなる積層構造体を備え、この軟質材料層は異なる減衰特性を持つ2種類の軟質材料層(第1の軟質材料層と第2の軟質材料層)で構成され、最大せん断ひずみ±270%における第2の軟質材料の等価減衰定数を第1の軟質材料の等価減衰定数の50%以下であることで、減衰特性を維持しつつ建物の固有周期を長くし、地震の揺れが構造物に伝わることを抑制できる免震装置が開発されています(以下URL)。
免震装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7649234/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(高減衰ゴムや天然ゴムなどの候補材料についてせん断ひずみ速度依存性、温度依存性、繰り返し加振による劣化特性の評価、異なるゴム配合(架橋密度、充填剤の種類と量など)が等価減衰定数や剛性に与える影響の評価と最適な材料組成の特定)、建築学(積層型免震装置の動的挙動解析、異なる特性を持つ軟質材料層の配置が免震装置全体の剛性、減衰特性、固有周期に与える影響の評価、建物に伝わる地震応答を最小化するための最適な積層構造設計、地震応答時の層間変形や応力分布のシミュレーション、異なる減衰定数を持つ軟質材料層の積層比率や配置(例: 端部領域と中央領域への配置)が免震装置全体の等価減衰定数と固有周期に与える影響の解析と最適配置の検討、想定される最大せん断ひずみ(±270%以上)における免震装置の座屈安定性の評価)
具体例として積層ホースが挙げられます。
従来の高圧ホースは耐久性を高めるために補強ワイヤーの密度を上げると、柔軟性が失われてしまい、繰り返し曲げによる耐久性(揺動耐久性能)が低下するという問題がありました。一方、ワイヤー密度を下げると、耐圧性能が不足したり、製造時にワイヤーが均一に並びにくいという問題がありました。
これに対して、ホース本体の外周に積層された複数の補強層が設けられ、これらの全ての補強層のワイヤー密度が90%以上96%未満に設定され、ホースが曲げられた状態でもワイヤー密度が100%を超えないことで、ワイヤー同士の過度な干渉を防ぎ、耐圧性能を確保しつつ揺動耐久性能が向上した積層ホースが開発されています(以下URL)。
積層ホース→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7588504/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(ホース本体(内側ゴム層)および中間ゴム層、外被層に最適なゴム材料(例えば、NBR、EPDM、フッ素ゴムなど)の選定、それぞれの層に求められる化学的安定性、機械的強度、柔軟性の評価、補強ワイヤーとゴム層の界面接着力を最大化するための配合剤や接着剤の選定)、機械工学(補強ワイヤーの線径、本数、ピッチ、巻き付け角度、層数といったパラメータがホースの耐圧強度と柔軟性に与える影響の評価、ホースが曲げられた際に補強ワイヤーに生じる引張応力や圧縮応力の解析、ワイヤーの破断や座屈を防ぐための最適なワイヤー密度(90%以上96%未満)とワイヤー配置の導出)
具体例としてタイヤ成形用金型が挙げられます。
従来の金型では、タイヤのトレッド部を成形する複数のセグメントが離型時にトレッド面全体にわたって同時に離れようとするため、セグメントを動かすための大きな駆動力を必要としていました。
これに対して、各セグメントに回動軸が設けられ、この回動軸を介してセグメントが回動自在なベース部材に支持され、セグメントの軸線方向の一端側が回動軸を中心に径方向外側に回動するように圧縮コイルバネで構成された外力付与機構を備えることで、離型時にセグメントが回転しながらタイヤから剥がれ、トレッドの一部から徐々に離型が進むため離型初期に必要な駆動力が低減され、金型の小型化やタイヤの品質向上に貢献するタイヤ成形用金型が開発されています(以下URL)。
タイヤ成形用金型→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7649207/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(タイヤ成形用金型を構成するセグメントやベース部材、軸体、フランジ部、圧縮コイルバネなどの材料選定と特性評価、圧縮コイルバネに求められる耐疲労性や耐熱性を考慮したバネ鋼の選定や熱処理条件の検討、金型のトレッド成形部に施される表面処理(例えば、テフロンコーティングや硬質クロムめっきなど)がタイヤゴムとの離型性、耐摩耗性、耐久性に与える影響の評価)、精密工学(イヤ成形用金型におけるセグメントの回動メカニズム、ガイドレールとベース部材の支持機構および外力付与機構(圧縮コイルバネ)の設計、それらが統合された金型全体の挙動解析、離型時のセグメントの回動軌跡とそれによってタイヤに作用する離型抵抗の変化の予測、最適な金型構造の確立)
具体例として、合成ゴムとしてさまざまな製品に利用されるシス-1,4-ポリジエンの調製方法が挙げられます。
従来のランタニド系触媒を用いたポリジエン製造では触媒が高価である上、高充填量が必要という問題がありました。
これに対して、ランタニド含有化合物、アルキル化剤およびハロゲン源からなる触媒組成物を調製した後、5日から15日間にわたって熟成させることで、より少ない触媒量で高シス-1,4-結合含有量、低1,2-結合、狭い分子量分布および直線状主鎖といった望ましいポリマー特性が実現され、さらに、重合系に追加のアルキル化剤と官能化剤を導入してポリマーのムーニー粘度を調整し、鎖末端に官能基を付与することで、タイヤなどのゴム製品に優れた引張特性や耐摩耗性、低ヒステリシスといった特性を付与するシス-1,4-ポリジエンの調製方法開発されています(以下URL)。
シス-1,4-ポリジエンの調製方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7235844/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(核磁気共鳴(NMR)分光法や質量分析法による熟成期間中の触媒錯体の構造変化や活性種の生成過程の追跡、官能化剤の導入量、反応時間および温度がポリマー鎖末端への官能基導入効率と副反応抑制に与える影響の評価、最適な反応条件の確立)、高分子化学(ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)や光散乱法による合成ポリジエンの分子量分布の解析、熟成期間がポリマーの分子量成長に与える影響の評価、赤外分光法(IR)やラマン分光法および熱分析(DSC, TGA)によるポリジエンのシス-1,4結合含有量や熱的安定性の分析およびタイヤ性能に影響する微細構造との関係の解明)
具体例として配管構造が挙げられます。
従来のサイホン排水システム(排水が管内で満たされることで発生する負圧(サイホン力)により勢いよく排水を流す仕組み)では、一時貯留槽から排水管への流出部分に汚れが溜まりやすく、清掃が困難になるという問題がありました。
これに対して、水廻り器具から排出された排水を貯留する一時貯留槽から横引き管への排水流出部の鉛直方向上部に円筒状の給気部が設けられ、この給気部の上端には蓋で閉鎖可能な点検開口部が形成され、これにより清掃用具の挿入や流出部分および一時貯留槽の清掃が容易になり、また、給気部の点検開口部とは異なる側面上部には給気管と接続された接続開口が設けられ、空気を供給することでサイホン力を促進し、給気部内には抜き出し可能な中子部材が配置され、この中子部材によって給気部の下部の流路断面積が点検開口部の断面積よりも小さく調整された構造により、清掃性を確保しつつ空気の滞留を抑制し、排水時に発生する異音を低減する配管構造が開発されています(以下URL)。
配管構造→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7680334/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(配管内の流体の挙動(サイホン現象、空気の巻き込み、排水抵抗など)の解析、排水性能と異音抑制を両立させるための最適な配管形状や中子部材の設計、配管材料の選定や接続部の強度評価)、環境工学(配管内の汚れの堆積メカニズムの分析、排水管内の微生物増殖やバイオフィルム形成の抑制策の検討、防臭機能や衛生性を向上させるための材料選定や表面処理技術の探索)
(2)住友ゴム|開発トレンドと専門性

B60Ⅽが最も多いです。次いでⅭ08L、A63B、B29Ⅽ、B29D、G01N、G01Mが多いです。
具体例として高速走行時における乗り心地性能の向上を目的としたタイヤが挙げられます。
従来のタイヤでは、高速走行時の振動吸収性が不十分であり、さらなる乗り心地の改善が求められていました。
これに対して、トレッド部を形成するキャップゴム層に特定のゴム組成物が用いられたタイヤ、具体的には、スチレン量が4質量%以上20質量%以下のSBRをゴム成分100質量部中に15質量部以上40質量部以下含有し、かつ、0℃における損失正接(0℃tanδ)が0.10以上であるゴム組成物により、低ガラス転移温度と微小なスチレンドメインが形成され、高速走行中に路面から受ける衝撃を吸収・緩和し、さらに、トレッド部の厚みが10mm以上20mm以下とされることで、トレッド部全体が撓みやすくなり振動吸収性を高めて乗り心地性能を向上させたタイヤが開発されています(以下URL)。
乗り心地性能の向上を目的としたタイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7520294/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(スチレンブタジエンゴム(SBR)の重合条件の最適化、スチレン量やビニル含量などの分子構造の制御による目的のガラス転移温度(Tg)と粘弾性特性(0℃tanδ)を発現するSBRの合成、シリカや樹脂成分などSBR以外の配合剤の種類や量の検討)、機械工学(トレッド部の厚み、ゴム組成物の粘弾性特性(損失正接、複素弾性率の温度・周波数依存性)およびタイヤのランド比といった設計因子が高速走行時のタイヤの振動減衰特性、接地特性および乗り心地に与える影響の評価)
従来、タイヤの製造管理や走行履歴データ取得のためRFIDタグの内蔵が提案されていましたが、金属コードを多用する重荷重用タイヤでは電波障害やタグ損傷のリスク、さらには製造過程で「クリース」と呼ばれる波打ちが生じやすいという問題がありました。
これに対して、ビード部(タイヤが車のホイールにはまる部分)にRFIDタグを内蔵したタグ部材を特定の配置としたタイヤ、具体的には、タグ部材が外側エイペックス(ビード部にあるゴム製の補強材)に接触し、RFIDタグが外側エイペックスの外端とチェーファー(リムとビード部が接触する部分を保護するゴム層)の外端の間に位置するように配置され、さらにタグ部材の内端がチェーファーの外端の径方向外側に位置するように構成されたことにより、金属製のカーカスコード(タイヤの強度を出すための繊維)からの距離を確保し通信環境を保ちつつ、タグの損傷リスクを低減し、クリースの発生も抑制できる重荷重用タイヤが開発されています(以下URL)。
RFIDタグを内蔵する重荷重用タイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7447938/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(RFIDタグを保護する架橋ゴムの組成び設計、タイヤの加硫工程での耐熱性、タイヤ内部での振動や応力に対する耐久性の評価、カーカスコードに使用されるスチールコードとRFIDタグの電磁波干渉を最小化するための材料選定、タグ部材の保護材の誘電特性の評価)、電気電子工学(タイヤ内部の金属要素(スチールコードなど)やゴム材料の誘電特性を考慮したRFIDタグのアンテナ設計(形状、サイズ、配置)の最適化、さまざまな走行条件(温度、湿度、タイヤ変形など)下でのRFIDタグの通信範囲、データ読み取り精度および通信速度の評価)
従来のタイヤでは、排水性向上のために設けられた溝(サイプや横溝)が走行時にノイズを発生させ、車両の静粛化に伴い、さらなるノイズ低減が課題となっていました。
これに対して、トレッド部に形成される周方向溝と、その間に区分された陸部に形成される複数の傾斜した横溝状要素の特別な配列を有するタイヤ、具体的には、タイヤ周方向で隣接する横溝状要素の全てのペアにおいて、一方の横溝状要素の第1端と他方の横溝状要素の第2端がタイヤ周方向で同じ位置に形成された配列により、タイヤが路面に接地する際の陸部要素による衝撃力の変動が小さくなり、ピッチ音などの走行ノイズが低減され、横溝状要素が非直線状に延びる、または互いに異なる陸部にまたがるペアを含むことで、ノイズ周波数を分散させて静粛性を実現するタイヤが開発されています(以下URL)。
走行ノイズを低減させるタイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7593358/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(タイヤと路面との接触によって発生するノイズの解析、ノイズの発生メカニズムの解明、トレッドパターンの設計がノイズ特性に与える影響の評価)、機械工学(トレッド部の各陸部要素が路面に接地する際の圧力分布や変形挙動のシミュレーション、インパクト力の変動を最小化する横溝状要素の配置と形状の最適化、タイヤの回転に伴うトレッドパターンの繰り返し変形による内部応力やひずみの解析、ノイズ低減効果とともにタイヤの耐久性や摩耗特性を維持できる設計の検証)
具体例として重荷重用タイヤ向けゴム組成物が挙げられます。
従来の重荷重用タイヤでは、耐摩耗性と耐チッピング性という相反する性能の両立が課題でした。特に、イソプレン系ゴムとSBRのブレンドにカーボンブラックとシリカを併用する際にシリカがイソプレン系ゴム中に偏在し、性能が低下する問題がありました。
これに対して、イソプレン系ゴムとスチレンブタジエンゴムを含むゴム成分に、カーボンブラック、シリカそして特定の化学構造を有する化合物が配合され、ゴム成分100質量部に対するカーボンブラックの含有量とゴム成分中の総スチレン量との比率は特定範囲であることで、極性基を持つ環状構造を介してカーボンブラックと相互作用し、かつ、ゴム成分との親和性が高まり、カーボンブラックとシリカがゴム中に均一に分散され、耐摩耗性能と耐チッピング性能の改善を実現されるゴム組成物が開発されています(以下URL)。
重荷重用タイヤ向けゴム組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7651929/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(各ゴム成分の分子量分布、微細構造(シス-1,4結合、ビニル結合、スチレン量など)および官能基の有無・種類をNMRやGPC、FT-IRなどの分析手法により評価、これらがゴム組成物の補強性、動的粘弾性および加硫特性に及ぼす影響の解明)、材料科学(ゴムマトリックス中におけるカーボンブラック、シリカおよび特定化合物の分散状態と相互作用の評価、これらの界面構造がゴム組成物の機械的特性(耐摩耗性、耐チッピング性、粘弾性など)に与える影響の解明)
従来のタイヤは使用される温度域によって性能が変化してしまうという問題がありました。
これに対して、特定の温度(−20℃〜20℃)で不凍液との相互作用が変化する性質を持つ基(温度応答性高分子基)が導入されることで、タイヤが必要とする温度領域(例えば−40℃〜40℃)において可塑剤の親水性・疎水性を可逆的に変化させ、タイヤの性能を意図的に変化させることができる可塑剤が開発されています(以下URL)。
タイヤの性能を意図的に変化させることができる可塑剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7615626/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(温度応答性高分子の設計と合成、それらを可塑剤骨格へ導入する合成ルートの最適化)、材料工学(合成された可塑剤を配合したゴム組成物の物性評価、その温度依存性の解析)
具体例としてゴルフクラブシャフトが挙げられます。
従来の軽量シャフトは飛距離向上に有利な反面、曲げ剛性の低下やアスリートゴルファーが求める「しっかり感」に欠けるという問題がありました。
これに対して、シャフトの重量、順式・逆式フレックス、トルクが特定の範囲に設定されるとともに、バット端から長さの異なる3つのフープ層を配置する独自の積層構造と特定のシャフト位置における外径と潰し強度の比率およびその差により、外径の大きいバット側(手元側)の潰し剛性を強化し、シャフト全体の「しっかり感」を向上させ、軽量化と操作性の両立を図ったゴルフクラブシャフトが開発されています(以下URL)。
ゴルフクラブシャフト→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7655162/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(各繊維(炭素繊維、ガラス繊維など)とマトリクス樹脂(エポキシ樹脂など)の組み合わせによるプリプレグの力学的特性(引張強度、弾性率、層間せん断強度など)の評価、目標とするシャフトの曲げ剛性、捻れ剛性、潰し強度を満たす最適な繊維配向角度、層数、厚みの決定、フープ層の配置と厚みがシャフトの潰し強度に与える影響の解析)、機械工学(ゴルフスイング時のシャフトに加わる動的な荷重条件の特定、シャフトの各部にかかる応力、変形、振動モードの解析、順式フレックス、逆式フレックス、シャフトトルク、潰し強度などの各特性がアスリート系ゴルファーの求める「フィーリング」にどのように寄与するかの評価)
具体例としてゴムストリップ製造装置が挙げられます。
従来の装置では、カレンダーロールの回転軸とハウジングの挿通孔との隙間からゴム組成物が侵入し、軸受の潤滑油と混ざることでベアリングが早期に破損し、頻繁な交換が必要となる課題がありました。
これに対して、カレンダーロールの側縁部周面に、挿通孔より大きな外径の鋼鉄製カラーを嵌め込まれ、ゴム組成物の侵入経路を物理的に遮断し、ベアリングの長寿命化とメンテナンス負荷の軽減を実現するゴムストリップ製造装置が開発されています(以下URL)。
ゴムストリップ製造装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7654190/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(カラーの最適な外径、厚みおよびカレンダーロールへの取り付け精度を決定するためのカラーの応力集中、変形および熱伝導特性の評価、ゴム組成物がカラーの表面をどのように移動するかのシミュレーション、侵入防止効果を最大化するためのカラー表面形状や材質(鋼鉄の種類、表面処理など)の検討、カラーの装着がカレンダーロールの回転バランスや振動に与える影響の評価)、材料科学(軸受周辺の環境(温度、ゴム組成物の種類、潤滑油の存在)下でのカラーの耐摩耗性、耐腐食性およびクリープ特性の評価、ゴム組成物がカラー表面に付着しにくい特性(離型性)や摩耗粉が発生しにくい硬度と表面粗さを持つ鋼材の探索、表面処理(例:窒化処理、DLCコーティング)の有効性の検討)
具体例としてコード材料(タイヤの強度や耐久性を高めるための特殊な補強繊維や金属線)から長尺シートを形成するための貼付装置が挙げられます。
従来の装置では、コード材料の剣先部(鋭角に尖った部分)に生じるカール状の変形が原因で材料の正確な接合が困難になり、位置ずれ(スタガー)や押さえローラの早期摩耗が発生していました。
これに対して、第1コード材料の上に重ねられる第2コード材料のうち、カール変形が生じやすい剣先部を含む、長側縁から幅方向に所定の距離を隔てた領域を「第1領域」、この第1領域を除いた残りの領域を「第2領域」とし、押さえローラがカール変形の影響が少ない第2領域のみを長手方向に移動しながら押さえることで、カール部との干渉を防ぎ、コード材料の安定した貼付と装置の長寿命化を実現する貼付装置が開発されています(以下URL)。
コード材料から長尺シートを形成するための貼付装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7679723/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(第1領域と第2領域の境界線をリアルタイムで識別するアルゴリズムの設計、押さえローラや供給具の移動を制御するサーボモーターやステッピングモーターの位置・速度制御システムの設計)、機械工学(コード材料を支持面上に供給するベルトコンベヤ、位置決め機構および押さえローラの昇降・移動機構の設計、押さえローラが第1領域を回避し第2領域のみを安定して押圧できるような機構の設計、押圧力分布が均一になるようなローラ材料と表面処理の選定)
具体例として弾性材料の性能評価方法が挙げられます。
従来の摩耗試験では、室内試験結果と実製品性能が一致しない問題がありました。
これに対して、共役ジエン系ゴム(タイヤ用ゴム)に対し、歪みを付与して内部に形成される空隙の経時的な体積変化をX線照射による投影像から測定し、その体積変化量(特に1.5以下が良好)に基づいて耐摩耗性能を評価する、分子鎖破壊の進行と実際の耐摩耗性の相関を直接評価可能な性能評価方法が開発されています(以下URL)。
弾性材料の性能評価方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7669818/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(さまざまな分子量、架橋密度、充填剤(カーボンブラック、シリカなど)の種類や配合比率を持つゴム材料の合成および歪み付与条件下でのX線CTによる空隙形成・成長挙動の観察、特定の材料組成や構造が耐摩耗性を向上させるメカニズムの解明)、計測工学(X線CT装置のX線源、検出器、回転ステージなどの要素の統合による歪み下のゴム内部に発生する微細な空隙を高い空間分解能と時間分解能で捉えるための計測システムの構築、取得されたX線投影像データから3D断層画像を生成して空隙領域を自動的にセグメンテーション(領域分割)することで各時刻での空隙の体積を算出する画像処理アルゴリズムの設計)
具体例としてコンバインやバックホーなどに用いられる弾性クローラの走行試験装置が挙げられます。
従来の台上試験装置では異物噛み込みによる損傷の再現性に乏しいという問題がありました。
これに対して、駆動輪、従動輪および弾性クローラ内周面に接触する転動輪を有する台車と、仮想路面が外周に設けられた路面コンベアを備え、転動輪の回転方向の先方側に位置する突起の角部が鈍角(90°超135°以下、好ましくは95°以上130°以下)に形成されていることにより、転動輪と弾性クローラの間に異物が噛み込んだ際に従来の鋭角な突起と異なり、負荷が集中せず引っ掻くような作用が生じ、実際のチップカット損傷を効果的に再現した耐久試験が可能となり信頼性高い評価に貢献する走行試験装置が開発されています(以下URL)。
弾性クローラの走行試験装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7533278/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(鈍角突起が弾性クローラ内周面に接触した際の応力集中緩和効果やせん断応力発生メカニズムの解析、さまざまな角度や大きさの突起における試験装置上でのチップカット損傷の発生頻度や損傷形態の実測によるシミュレーション結果との整合性の検証)、材料科学(チップカット損傷が発生した弾性クローラの断面の観察による損傷の開始点や進展経路、材料の微細構造変化の解析、異なるゴム組成(配合剤の種類や量、架橋密度など)を持つ弾性クローラ試料のチップカット損傷の評価による材料特性と損傷耐性の相関関係の解析)
(3)横浜ゴム|開発トレンドと専門性

B60Cが最も多いです。次いでC08L、B29C、B29D、F16L、G01Nが多いです。
具体例としてスノー性能を向上できるタイヤが挙げられます。
従来のオールシーズンタイヤではスノー性能向上のためジグザグ形状の主溝が採用されていましたが、さらなる性能向上が課題でした。
これに対して、タイヤ周方向に延びる4本の主溝と5列の陸部を備え、特に赤道面を挟む第一ショルダー主溝と第一センター主溝が長尺部と短尺部を交互に繋ぐジグザグ形状を有し、第一センター主溝の長尺部が第一ショルダー主溝の長尺部に対し周方向で逆方向に傾斜し、かつ、第一ショルダー主溝の長尺部の周方向長さがジグザグ形状のピッチ長に対し0.70〜0.95の範囲にあることにより、積雪路面での排雪性が向上し、ジグザグ形状によるスノートラクション性能が確保され、総合的なスノー性能を向上させたタイヤが開発されています(以下URL)。
スノー性能を向上できるタイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7568946/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(タイヤの接地圧分布、応力集中、溝変形シミュレーションによる溝形状や陸部配置がタイヤのグリップ性能、排雪性能、耐摩耗性能に与える影響の評価、雪や氷といった特殊な路面条件における摩擦特性モデルの構築、最適なジグザグ溝の傾斜角、長さ、ピッチ、振幅などのパラメータの導出)、材料工学(低温特性に優れたゴムコンパウンド(例:天然ゴム、合成ゴム、カーボンブラック、シリカ、各種添加剤の配合)の探索、氷点下でも柔軟性を保ち雪や氷の表面に密着して効果的なグリップ力を発揮できる材料組成の探索と配合比率の最適化)
従来のPET繊維コードを用いたタイヤは高弾性で伸びにくい性質からトレッド部とサイドウォール部の剛性バランスが崩れ、高速走行時の操縦安定性や低転がり抵抗性、高速耐久性が課題でした。
これに対して、特定の伸び率を有するPET繊維コードがベルト補強層に用いられるとともにアンダートレッド層を構成するゴム組成物の硬度、引張応力、引張強さと破断伸びの積および配合(特定のカーボンブラックとシリカの配合量と物性)が所定の範囲にされることで、ロードノイズの低減に加え、高速操縦安定性、低転がり抵抗性、高速耐久性、ベルトエッジセパレーション耐久性を両立する空気入りタイヤが開発されています(以下URL)。
PET繊維コードをベルトカバー層に用いたタイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7287444/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(PET繊維の延伸条件や熱処理条件が繊維の分子配向、結晶性および強度や伸び率に与える影響の評価、ベルト補強層に求められる特定の伸び率(100℃、2.0 cN/dtex負荷時伸び率:2.0%~4.0%)を実現する繊維製造プロセスの確立、アンダートレッドゴム組成物における異なる種類のイソプレン系ゴムやブタジエンゴムおよび特定の物性を持つカーボンブラックやシリカの配合がゴムの架橋構造やネットワーク形成に与える影響の評価)、機械工学(ベルト補強層の剛性、アンダートレッド層の動的特性が高速走行時のタイヤの振動特性、接地形状、内部応力分布に与える影響の解析、操縦安定性やロードノイズ低減のための構造パラメータの最適化、タイヤの転がり抵抗に影響を与える要因(材料のヒステリシスロス、タイヤの変形量、内部摩擦など)の分析)
従来のソリッドタイヤは製品ごとの品質管理や履歴管理を効率的におこなう手段が確立されていませんでした。
これに対して、ソリッドタイヤ内部に製品識別用のRFIDタグが埋設され、そのタグとタイヤ側面との距離が0.5mmから10.0mmの範囲にあることで、タイヤ使用時にRFIDタグが損傷・露出するのを防ぎつつ、読み取り機からの電波が届きやすく、かつ、加硫時の熱や走行時の大きな荷重、リムずれによる変形といった過酷な環境下でもタグの保護効果を確保し、良好な応答精度を両立できるソリッドタイヤが開発されています(以下URL)。
産業車両に用いられるソリッドタイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7262564/15/ja
関連する専門分野の例:電子工学(タイヤのゴム組成物(カーボンブラックやシリカなどの充填剤を含む)がRFIDタグのアンテナから放射される電波の周波数特性や伝搬損失に与える影響の評価、高温加硫プロセスや走行時の内部応力、振動といったタイヤの使用環境下でも安定して動作するRFIDタグの選定または設計、RFIDタグの配置指針の確立)、材料科学(ベースゴム層に配合される短繊維(ビニロン繊維など)の種類、繊維長、繊維径、配合量がゴムの補強効果(モジュラス、引張強度、伸び特性)やリムずれ抑制効果に与える影響の評価、タグの耐久性を向上させるための最適な被覆材料と被覆方法の検討、界面接着強度を向上させるための表面処理技術やプライマー、接着剤の選定)
具体例として自動車のエアコンディショナーに使用される冷媒輸送ホースに用いることができる樹脂組成物が挙げられます。
従来のゴム製ホースに代わる樹脂製ホースは軽量化に寄与しますが、従来の熱可塑性エラストマーでは耐熱性が不十分で高温多湿なエンジンルームでの長期使用に耐えられないという問題がありました。
これに対して、ポリイソブチレン骨格を有するエラストマー(ブチルゴム等)とシラン変性樹脂が特定の質量比で配合され、海島構造を有し、水蒸気透過度が2.0 g・mm/(m²・24h)以下、100℃における破断強度と25℃における破断強度の比(TB100/TB25)が0.2以上1.0以下であることで、高温下での強度低下を抑制し、要求される性能を両立する樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
冷媒輸送ホースに用いることができる樹脂組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7440792/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(ブチルゴムや変性ブチルゴムの分子構造(イソプレン単位の量やハロゲン化度)がシラン変性樹脂との相溶性および樹脂組成物の柔軟性や水蒸気バリア性に与える影響の評価、最適なエラストマーの選定、シラン変性樹脂のグラフト率やシリル基の種類が架橋反応速度、架橋密度およびその結果として得られる樹脂組成物の耐熱性(TB100/TB25)に与える影響の解析、最適なシラン変性樹脂の設計)、材料工学(異なる配合比率や製造条件での樹脂組成物についての動的粘弾性測定(DMA)や引張試験(さまざまな温度条件下)および柔軟性や耐熱性(TB100/TB25)の評価)
従来のナノセルロースはゴム中に均一に分散させることが困難であり、凝集による加工性の悪化や最終製品の強度・伸びの低下が問題でした。
これに対して、天然ゴムやSBRを主成分とするゴムと、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物およびホルムアルデヒドで表面処理されたナノセルロース、さらに特定の分散剤を特定の比率で含有することで、ナノセルロースを均一に分散させ、マスターバッチの粘度上昇を抑制し、引張応力と伸びに優れたゴム組成物を得ることが可能となるナノセルロースマスターバッチが開発されています(以下URL)。
ナノセルロースマスターバッチ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7255625/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(天然ゴムやSBRの分子構造、分子量、架橋特性がマスターバッチの粘度やゴム組成物の機械的特性に与える影響の評価、ナノセルロースの表面修飾(RF樹脂による処理)がゴムマトリックス中での分散性や界面接着性に与える影響を分光分析(IR、NMRなど)や熱分析(DSC、TGA)により解析、RF樹脂の分子量や縮合度がナノセルロースの表面処理効果に及ぼす影響の検討)、材料科学(透過型電子顕微鏡(TEM)や原子間力顕微鏡(AFM)によりナノセルロースの分散状態、RF樹脂による表面被覆状態およびゴムマトリックス中の海島構造の観察および均一分散性の評価、マスターバッチの加工性およびゴム組成物の混練特性の評価)
具体例としてタイヤ部材の製造方法が挙げられます。
従来のCTスキャンを用いる方法では、検査時に搬送を停止する必要があり、生産性が低下する問題がありました
これに対して、搬送中の部材にX線を連続的に照射してその透過画像データから品質のバラつきをリアルタイムで把握し、そのバラつきに応じて押出機のスクリュー回転数を自動で調整することで、搬送を停止せずに連続検査し、生産性の向上と品質の安定化を両立させるタイヤ部材の製造方法が開発されています(以下URL)。
タイヤ部材の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7406134/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(ゴム材料の組成や配合がX線透過度に与える影響の解析、製造されるタイヤ部材の特性(引張強度、伸び、耐摩耗性など)とX線画像データとの相関関係の確立、透過度画像に現れる濃淡パターンと材料特性のデータベースの構築)、制御工学(X線透過画像データのノイズ除去、特徴量抽出および異常検知のための画像処理アルゴリズムの設計、連続生産ラインにおけるX線検査装置、搬送装置、押出機、制御装置などの各コンポーネント間のデータ連携と通信プロトコルの設計)
具体例としてタイヤ材料の供給システムが挙げられます。
従来は異なる種類のタイヤ材料を供給する際にオペレーションが煩雑になる問題がありました。
これに対して、タイヤ材料の種類ごとに独立した供給経路とヘッドを備え、各ヘッドがドラム前後方向にずらして配置され、これらが一体的にドラム幅方向にスライド移動可能であることで、オペレーションの煩雑化を招くことなく迅速に材料を切り替え、所望の幅方向範囲に材料を供給できる供給システムが開発されています(以下URL)。
タイヤ材料の供給システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7606125/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(材料のよじれや伸びを最小限に抑えつつ安定して供給できる供給経路(ガイドローラ、フェスツーン部など)の配置と構造の設計、ヘッドのドラム前後方向の配置と一体的な幅方向スライド移動を可能にするための駆動機構(モータ、ギア、リニアガイドなど)の選定と配置の最適化)、電気電子工学(ヘッドの位置や材料の張力などを正確に検出するためのセンサー(エンコーダ、ロードセルなど)の選定、信号をノイズなく取得するための電気回路の設計、ヘッドのスライド移動、ドラムの回転、材料の供給速度などを精密に制御するためのサーボモーターやインバータの選定、制御PLC(プログラマブルロジックコントローラ)や産業用PCを用いた制御プログラムの設計)
具体例として自動車などの車両に使用される樹脂管が挙げられます。
従来の樹脂管では、ニップル部にホースを加締める際に樹脂の剛性不足から変形が生じやすく、耐久性やシール性の低下が問題でした。
これに対して、ホースが加締められるニップルの所定範囲に金属製の芯管が内嵌され、当該部分の剛性向上させ、さらに、芯管とニップルに軸方向および周方向の移動を規制する規制部が設けられることで芯管の安定した固定を実現し、ニップルの変形を抑制しつつ全体の軽量化を達成し、長期的な耐久性とシール性を有する樹脂管が開発されています(以下URL)。
車両に使用される樹脂管→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2025-074501/11/ja
関連する専門分野の例:材料工学(使用環境下での樹脂と金属の長期的な劣化挙動(クリープ、疲労、耐薬品性など)の予測に基づく樹脂材料(例:ポリアミド系、フッ素樹脂系など)と金属材料(例:ステンレス鋼、高強度鋼など)の組み合わせの選定、芯管と樹脂管の接合界面における密着性や加締めによって生じる残留応力の評価)、化学工学(射出成形時の溶融樹脂のレオロジー特性(粘度、剪断速度依存性など)の測定、金型キャビティ内での樹脂の充填挙動や硬化プロセスのシミュレーション、芯管への樹脂の回り込み不足や成形後の収縮によるひずみの予測、金型温度や射出速度などの成形条件の最適化)
具体例として加硫ゴムの物性測定データの異常検出方法が挙げられます。
従来の技術では、測定装置の改造が必要であったり、引張試験に特化していたりして、さまざまな物性試験への汎用性や簡便性に課題がありました。
これに対して、事前に品質が保証された適合品サンプルを用いて物性測定データを取得し、そのデータとあらかじめ設定された基準値(予測データや過去の正常データなど)との比較により測定装置や環境に起因するデータ異常の有無を判断することで、特定の測定装置に依存せず引張試験だけでなく粘弾性試験など多様な物性試験にも適用可能で測定データの信頼性向上と効率化を両立する加硫ゴムの物性測定データの異常検出方法が開発されています(以下URL)。
加硫ゴムの物性測定データの異常検出方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2025-056430/11/ja
関連する専門分野の例:情報科学(適合品サンプルから得られる連続的な物性測定データ(例:応力-ひずみ曲線)を効率的に処理するためのデータ前処理手法(ノイズ除去、平滑化など)の検討、変化点検出アルゴリズムの設計、過去の正常データや異常データを学習データとする機械学習モデルの構築)、統計学(複数の適合品サンプルから得られた物性測定データの統計的特徴(平均値、標準偏差、分布など)の分析、データのばらつきを考慮した基準値(例:区間推定、管理限界線)の設定、測定に起因する異常とサンプル自体の品質ばらつきによる変動を区別するための異常検出の閾値の決定)
(4)TOYO TIRE|開発トレンドと専門性

B60Cが最も多いです。次いでB29C、C08L、B29D、F16F、C08J、G01Mが多いです。
具体例として視覚効果を生じさせる空気入りタイヤが挙げられます。
従来のタイヤ模様が持つデザイン性の向上にとどまらず、新しい視覚体験を提供する課題がありました。
これに対して、サイドウォールに設けられた第1基準面から突出する複数の凸形状部分に特徴を有し、この凸形状部分が高さの異なる2つの小突起が並んで形成され、それぞれが稜線または突出面とそこから基準面へ傾斜する斜面を有し、これらの凸形状部分は特定の方向に隙間を設けて非接触に配置され、さらに隣り合う列間で位置をずらして配列されることにより、光の反射が多様な角度で生じ、見る人やタイヤの回転によって模様が光り輝いたり、明暗のグラデーションや立体感を伴って見え、新たな視覚効果とデザイン性を実現するタイヤが開発されています(以下URL)。
視覚効果を生じさせるタイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7519975/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(サイドウォールゴムのゴム組成(ポリマーの種類、カーボンブラックやシリカなどの充填剤の種類と配合量、加硫剤の種類と量など)の設計、複雑な凸形状部分の金型への充填性、成形後の寸法安定性および長期使用における耐候性(オゾン劣化、紫外線劣化)の評価)、応用物理学(光の入射方向や観察者の視点に応じた光線追跡シミュレーション、回転速度や光源条件、表面の粗さなどが視覚効果に与える影響の評価、ゴム材料中の充填剤の分散状態や粒径が光の散乱特性に与える影響の解析)
従来のタイヤの模様は表面に凸状のセレーション(細かな突起)を設けることでデザイン性を高めていましたが、凸部と非模様部分とのゴム量の差から成形時にゴムが回りきらないベアと呼ばれる欠陥が生じやすいという問題がありました。
これに対して、サイドウォール表面に設けられた螺旋状の模様が、隆起した凸条と陥没した凹条とを基準面に対する高さと深さを徐々に変化させながら螺旋に沿って交互に配置されることにより、凸部と凹部が連続的に変化し、ゴム量の偏りを均等化できるため、成形時のベア発生を大幅に抑制し、安定した品質で美しい螺旋模様のタイヤが開発されています(以下URL)。
螺旋状の模様構造を有するタイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7650759/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(ゴム材料のせん断速度依存粘度や熱伝導率などのレオロジー特性の測定・分析、金型内部でのゴムの充填プロセスや温度分布および加硫反応の進行のシミュレーション、最適な配合成分(ポリマー、充填剤、プロセスオイルなど)と配合比の決定)、機械工学(螺旋状の凸条・凹条パターンを持つ金型内でのゴム材料の挙動のシミュレーション、金型キャビティへのゴムの充填時間、圧力分布および未充填(ベア)が発生しやすい領域の予測、金型ゲートやベント(空気抜き)の最適な配置の検討、加硫後の冷却プロセスにおけるゴムの熱収縮と変形の解析)
従来のタイヤでは、悪路での牽引力向上を目指したショルダーブロック形状がブロックの剛性差を生み、結果として偏摩耗を招きやすいという問題がありました。
これに対して、トレッドのショルダーブロックに設けられた、タイヤ軸方向外側へ傾斜する傾斜部に特徴を有し、この傾斜部が第1傾斜部と、それよりもタイヤ軸方向内側に窪んだ凹みを持つ第2傾斜部で構成され、さらに各ショルダースリットを挟んで同種の傾斜部(第1傾斜部同士または第2傾斜部同士)が隣接するよう配置されることで、ショルダースリットを挟んだブロック剛性の差を小さくし、偏摩耗の発生を抑制しつつ突出した部分で雪や泥を掴むことで悪路での高いトラクション性能を維持することを可能にする空気入りタイヤが開発されています(以下URL)。
トラクション性能などの向上させたタイヤ→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7648431/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(シリカやカーボンブラックなどの充填剤の種類、粒径、配合量およびシランカップリング剤の選定の最適化、ゴムの硬度、引張強度、引き裂き強度、粘弾性特性の評価、雪・氷への食い込み性を高めるためのポリマーブレンド技術や可塑剤の種類と配合量の検討)、機械工学(ショルダーブロックの第1傾斜部と第2傾斜部の組み合わせおよびそれらのショルダースリットに対する対称配置がタイヤの接地時に生じる応力分布やひずみ分布に与える影響の解析、異なる傾斜部の形状や補助スリットの有無・配置がショルダーブロック全体の横方向および周方向の剛性バランスに与える影響の評価)
具体例としてゴム部材成形方法が挙げられます。
従来のゴム部材成形では、口金と成形面とのクリアランスを手動で設定していたため、作業者によるバラつきが生じ、ゴム部材の厚み精度に課題がありました。
これに対して、成形開始前に口金(または成形面)を他方へ移動させて当接させ、その当接位置を基準点としてそこから所望のゴム部材の厚み分だけ口金(または成形面)を離した位置を成形開始位置に設定することにより、熟練度に左右されず、口金と成形面間のクリアランスを高精度に設定できるため、安定した品質と寸法のゴム部材を効率的に製造できるゴム部材成形方法が開発されています(以下URL)。
ゴム部材成形方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7635093/15/ja
関連する専門分野の例:精密工学(口金と成形面が接触した際の微小な変位や接触圧を正確に検出するためのセンサの選定および取り付け方法の検討、当接位置から所望の厚み分だけ正確に口金(または成形面)を移動させるための高分解能なリニアアクチュエータやサーボモータの選定、位置決め精度を保証する制御アルゴリズムの設計)、制御工学(口金と成形面の当接位置を基準としたクリアランス設定プロセスの構築、センサからの位置情報や接触検出信号をリアルタイムで取得して移動機構を制御するPID制御や適応制御アルゴリズムの設計)
具体例としてタイヤトレッド用ゴム組成物が挙げられます。
従来の技術では、氷上性能と湿潤路面性能のいずれか一方に課題が残るか、両立が困難でした。
これに対して、固形状ジエン系ゴムを主成分とし、これに空隙率の高い多孔性セルロース粒子、テルペン系樹脂、液状ゴムおよび補強性充填剤などが特定の質量比で配合されたことで、多孔性セルロース粒子が氷上の水膜を除去し、また、液状ゴムとテルペン系樹脂の併用がゴムを軟化させて多孔性セルロース粒子の潰れを抑制することで氷上性能を向上させ、テルペン系樹脂が低温での柔らかさを保ちつつ湿潤路面でのヒステリシスロスを改善することで湿潤路面性能も高めたタイヤトレッド用ゴム組成物が開発されています(以下URL)。
タイヤトレッド用ゴム組成物→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7281011/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(固形状ジエン系ゴム(イソプレン系ゴムとブタジエンゴムのブレンド比など)の分子量、分子量分布、微細構造(シス-トランス比など)の制御によるゴムの粘弾性特性の調整、多孔性セルロース粒子、テルペン系樹脂、液状ゴムおよび補強性充填剤(シリカ、カーボンブラックなど)がゴムマトリックス中でどのように分散して相互作用するかの解析)、材料工学(氷上・湿潤路面でのグリップ性能に影響を与える摩擦係数やヒステリシスロスの評価、多孔性セルロース粒子による水膜除去効果やゴムの低温特性がグリップ性能に与える影響の解析、多孔性セルロース粒子の粒径、空隙率、強度などが摩耗に与える影響の分析、ゴム組成物の配合の調整)
具体例としてゴム部材成型方法が挙げられます。
従来、ゴムストリップの厚みが不均一になるなどの問題があり、さらに成形ローラを通した後のゴムストリップの先端を成形ドラムに効率良く貼り付ける技術が確立されていませんでした。
これに対して、押出機と回転体の間に設けられた一対の成形ローラでゴムストリップの形状を整えた後、通気性のある弾性部材と吸引部からなる保持部材を用いてゴムストリップの先端を吸着して保持し、回転体の表面に貼り付けることにより、ゴムストリップの形状を均一に保ちつつ、その先端を自動的に回転体に貼り付けることが可能になり、ゴム部材の製造効率と品質を向上させるゴム部材成型方法が開発されています(以下URL)。
ゴム部材成型方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7648396/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(成形ローラ、保持部材、押圧ローラなど主要部品の設計と材料選定、保持部材の吸着面とゴムストリップの接触状態を均一に保つための圧力分布解析、高速かつ正確な動作を実現するための駆動機構(モーター、アクチュエーター)の選定、制御システムの統合)、電気電子工学(ゴムの色や表面状態に影響されにくい計測原理の検討、センサーからの大量のデータを高速で処理するための信号処理回路とアルゴリズムの設計、自動でゴムストリップの貼付をおこなうためのシーケンス制御やフィードバック制御システムの設計)
具体例としてストッパゴムの装着の作業性を向上させる防振装置が挙げられます。
従来の防振装置では、衝撃を緩和するストッパゴムの脱落防止とその取り付け作業性の両立が課題でした。
これに対して、ストッパゴムの内周面の凹部と、ゴム膜の外周面の凸部との嵌合構造が改良、具体的には、凸部の頂から軸方向内側への傾斜が大きくなることで脱落を抑制し、一方で軸方向外側への傾斜を小さくすることで挿入抵抗を低減し、部品の組み付け効率を高めた防振装置が開発されています(以下URL)。
ストッパゴムの装着の作業性を向上させる防振装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7555879/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(防振基体、ゴム膜、ストッパゴムに用いられるゴム材料の配合の最適化、使用環境(温度、振動周波数、荷重など)下での動的粘弾性特性(貯蔵弾性率、損失弾性率、損失正接)の評価、衝撃吸収性、耐久性(疲労特性、耐候性)および成形性・加工性(加硫成形時の流動性、離型性)をバランスさせるための材料組成の確立)、機械工学(ストッパゴムの凹部とゴム膜の凸部の形状設計、組立時の挿入抵抗を最小限に抑えつつ装着後の脱落防止効果を最大化する寸法公差の決定、傾斜角、曲率半径、嵌合深さなどのパラメータの最適化、組み付け時および使用時の応力分布や変形挙動の予測・評価)
具体例としてタイヤのトレッドゴムなどに使われるシリカ配合ゴム組成物の製造方法が挙げられます。
従来のゴム組成物製造では、かみ合式密閉型混練機を用いると冷却性能に優れるものの原材料の取り込み効率が悪く、生産性が低下するという問題がありました。
これに対して、混練工程の初期段階においてラムを最下位置よりも上方の特定の範囲(第二有効ボリュームが第一有効ボリュームの105%〜120%)に維持して混練りをおこなうことで、ラム上への材料の滞留を防ぎ、高フィルファクター(高充填率)での混練りにより原材料の取り込み効率とシリカの分散性を向上させ、ゴム組成物の低発熱性と湿潤路面制動性を改善しつつ、生産効率の向上させたゴム組成物の製造方法が開発されています(以下URL)。
シリカ配合ゴム組成物の製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7572232/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(混練り温度、時間、せん断力といった混練条件がゴムとシリカおよびシランカップリング剤のカップリング反応に与える影響の分析および最適な反応条件を確立、シリカの分散状態がゴムの物性(特に粘弾性特性、発熱性、摩耗特性)に及ぼす影響の評価、混練り条件と材料配合の相関関係の解明)、制御工学(温度センサーやトルクセンサーからのデータを基にゴム組成物の粘度変化の推定、ラム位置やローター回転速度の調整によりシリカ分散を最適化しつつ過剰な温度上昇やゲル化を防止する制御ロジックの設計)
具体例としてタイヤ故障判定方法が挙げられます。
従来の技術では、車軸の加速度変化からタイヤ表面の大きな損傷は検知できましたが、タイヤ内部の部材間の剥離のような初期損傷の検知は困難でした。
これに対して、タイヤ軸の軸振動値の時系列波形に加え、タイヤ軸の回転中心から走行面までの距離に基づいて算出されるタイヤの断面高さの時系列波形を併用することにより、断面高さの減少率が特定の閾値(例えば当初の8%)を超えた場合にタイヤ内部の剥離が将来的に大きな損傷(クラックやチャンキング)に成長すると予測することで早期かつ高精度に故障の兆候を検知するタイヤ故障判定方法が開発されています(以下URL)。
タイヤ故障判定方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7545315/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(タイヤ内部の剥離やクラックの発生がタイヤ全体の剛性や固有振動数にどのように影響するかの分析、タイヤの転がり抵抗の変化や路面との接触パッチにおける圧力分布の異常などを検知する手法の検討)、電気電子工学(車載環境下でのノイズ耐性や信頼性を考慮したセンサーネットワークの設計、センサーデータからタイヤの故障を示す微細なパターンや変化を識別するための信号処理アルゴリズムや機械学習モデルの構築)
(5)まとめ
最終製品としてタイヤを意識した出願が多いですが、技術分野は材料・化学系から電気系まで幅広いです。
すなわち、多くの技術分野に関わる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)ブリヂストン

共同出願の例として遺伝子導入剤が挙げられます。
従来のウイルスベクターは安全性や製造コストに課題があり、合成高分子ベクターも効率の点でさらなる改善が求められていました。
これに対し、特定の芳香族イニファターにビニル系モノマーを光リビング重合させて分岐型重合体が合成され、さらにこの分岐型重合体の分岐鎖が光照射によって分子内架橋し、架橋前と同程度の分子量を持つ画分が精製されることで、高い遺伝子導入活性を示す遺伝子導入剤が開発されています(以下URL)。
遺伝子導入剤→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5344420/15/ja
ただし、共同出願で確認されたのは2009年までです。
従来の製造法では、ポリマー合成後にエステル基を加水分解する追加工程が必要で効率が課題でした。
これに対し、重合禁止剤と水を含む2-N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート(DMAEMA)の混合物に不活性雰囲気下で紫外線を照射することで、重合と同時に加水分解反応を進行させ、カチオン性とアニオン性の官能基をバランス良く持つ温度応答性ポリマーを少ない工程で合成可能な温度応答性ポリマーの製造方法が開発されています(以下URL)。
温度応答性ポリマーの製造方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5746240/15/ja
従来の技術では、タイヤの状態推定に用いられる回転速度変動パターンを直進定常走行時などの限定された条件下でしか抽出できず、旋回時や加減速時、悪路走行時といった多様な走行状態での精度が課題でした。
これに対し、複数の車輪の回転速度から現在の走行状態(直進、旋回、加減速など)を判別し、さらに判別された走行状態の種類ごとに複数回転にわたる回転に同期した回転速度変動パターンを抽出する信号処理ユニットを備えることで、さまざまな走行条件下でも外乱の影響を排し、タイヤや路面状態を精度良く推定できる回転検出装置が開発されています(以下URL)。
タイヤや路面状態を推定する回転検出装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6563208/15/ja
(2)住友ゴム

共同出願の例として飛距離を向上させたゴルフボールが挙げられます。
従来のゴルフボールでは、コアの反発性を高めるために特定の添加剤が使用されていましたが、さらなる飛距離向上が求められていました。
これに対し、球状コアを構成するゴム組成物に、(a)基材ゴム、(b)共架橋剤として特定のα,β-不飽和カルボン酸および/またはその金属塩、(c)架橋開始剤に加え、(d)カルボキシ基および炭素-炭素不飽和結合以外の官能基を有する不飽和脂肪族カルボン酸および/またはその金属塩が配合され、この(d)成分の導入によりゴム組成物の架橋構造が最適化され、ドライバーショットにおける飛距離が飛躍的に向上したゴルフボールが開発されています(以下URL)。
飛距離を向上させたゴルフボール→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6747243/15/ja
(3)横浜ゴム

共同出願の例として建築物や橋梁などの構造物が地震などによってどの程度の入力(変位)を受けたかの確認ができる入力判別装置が挙げられます。
従来の構造物やその支承装置は設計強度を超える入力があった場合に損壊する恐れがありました。しかし、実際にどの程度の入力があり、どれほど損傷したのかを事後的に簡単に確認する手段がありませんでした。
これに対し、第1部材と第2部材(例えば、構造物の上部と下部または支承装置の上沓と下沓)の間に可撓性線状部材とその線状部材の他端側を保持し収納する収納部材が設けられ、所定以上の入力があった場合、可撓性線状部材が収納部材から引き出され、この引き出し量の視覚的な確認により構造物や支承装置が受けた入力の大きさを容易かつ正確に事後的に判別できる入力判別装置が開発されています(以下URL)。
地震など変位確認ができる入力判別装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5341275/15/ja
(4)TOYO TIRE

共同出願の例としてサスペンションメンバやエンジン等の振動体を車体に弾性支持する液封入式防振装置が挙げられます。
従来の液封入式防振装置は液室の容積を確保するため弾性体の体積が小さくなり、静ばね定数(どれくらいの力でどれだけ変形するか(硬さ)を示す値)を高くしにくいという問題がありました。
これに対し、軸部材と第1部材の間に周方向に間隔をあけて、弾性体よりも剛性の高い中間板が埋め込まれることで、弾性体の体積が小さくなることを抑制しつつ、装置全体の剛性を高めることが可能となり、静ばね定数を高くしやすくなる液封入式防振装置が開発されています(以下URL)。
振動体を車体に弾性支持する液封入式防振装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7034424/15/ja
(5)上記(1)~(4)(共同出願人)のまとめ
共同出願の程度は企業によって大分差があります。
また、ブリヂストンの医療分野における共同出願など、自社技術(主に高分子化学に関する技術)を切り口に他分野の開発がおこなわれたことが示唆されます。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・化学、材料系分野(高分子化学、化学工学、有機化学、環境工学、材料工学、材料科学など)
化学的な分析、評価、素材の選定、組成や配合の検討、素材の製造プロセス条件の検討などが求められます。
・機械系、物理系分野(機械工学、システム工学、精密工学、計測工学、応用物理学など)
振動や応力などの機械的な影響の評価、構造設計などが求められます。
・電気系分野(電気電子工学、システム工学など)
電波、磁界など電気装置に与える影響の評価、所望の装置動作や判定のためのアルゴリズム設計、回路設計などが求められます。
・情報系分野(情報科学、システム工学、統計学など)
各種情報の収集、分析や所望の情報処理などをおこなうためのアルゴリズム設計などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
全体としてはタイヤそのものやタイヤに関連する出願が多く、当該分野の開発が多くおこなわれていることが推測されます。
高分子化学に関連する出願が多く確認れましたが、技術分野は多様です。
大学の専攻と関連づけるとしたら、主に化学、材料、機械、物理、電気、情報における研究分野が該当する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
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