今回はトラック業界に焦点をあてます。
トラックは社会インフラを支える上で不可欠です。
しかし、一般にトラックと呼ばれる分野の開発は、乗用車に比べてその実態が見えにくいのが現状ではないでしょうか。
過去記事:自動車業界
乗用車メーカーの開発と何か違うのか?開発にはどのような専門性が求められるのか?
これを特許情報からみていきます。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
今回は、トラックメーカー3社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。
結論(概要)は以下の通りです。
・機械系分野(機械工学、人間工学、生産工学、制御工学など)
・電気系分野(電気電子工学、電気工学、電子工学など)
・情報系分野(情報工学、情報科学、データサイエンス、通信工学など)
・材料系分野(材料科学など)
・化学系分野(化学工学、応用化学など)
・その他分野(応用数学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 トラック業界
2.1 トラック業界とは
ここでは、トラックやバスなどの商用車を製造、販売する業界を意図します。
ただし、車両の種類の区別はしていません。
2.2 サーチ対象
以下のトラックメーカー3社を対象にしました。
(2)日野自動車
(3)三菱ふそうトラック・バス
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
|
モノの開発 |
サービスの開発 |
|
|
個人向け |
|
|
|
法人向け |
・車両の排気ガス浄化装置の故障判定装置 |
|
3.2 出願件数の推移
下図はトラックメーカー3社の特許出願件数の推移です。

企業によって、また、年によって出願件数が大きく異なっています。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
いすゞ自動車>日野自動車>三菱ふそうトラック・バス
だと言えます。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
蒸発などがこれに該当します。
日野自動車、三菱ふそうトラック・バスがこの分野から多く出願しています。
電気的推進装置の配置または取付けなどがこれに該当します。
全3社がこの分野から多く出願しています。
光学的視認装置などがこれに該当します。
三菱ふそうトラック・バスがこの分野から多く出願しています。
操向制御装置などがこれに該当します。
いすゞ自動車がこの分野から多く出願しています。
排気の清浄などがこれに該当します。
いすゞ自動車、日野自動車がこの分野から多く出願しています。
3.5 トラックメーカー3社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)いすゞ自動車|開発トレンドと専門性

上図期間中、F01Nが最も多いです。次いでB62D、F16H、B60K、F02D、B60W、B60R、F02M、F02B、G08Gが多いです。
具体例として、車両の排気ガス浄化装置の故障判定装置が挙げられます。
従来の技術では、排気圧センサーの個体差や経年劣化による誤差が排気ガス浄化装置の異常判定精度を低下させる問題がありました。特に、エンジンの負荷が高い状態(高負荷時)でないと誤差の影響が大きくなり、異常判定が難しくなる問題がありました。
これに対し、まずエンジンの負荷状態を特定し、次に排気ガス浄化装置の上流側と下流側の排気圧差を検出し、高速道路と異なる道路走行時のような第1状態(中負荷以上)で検出した第1差圧と、アイドリング状態のような第2状態(第1状態より小さい低負荷)で検出した第2差圧の差がある閾値未満である場合に浄化装置に異常があると判定する、この異なる負荷状態での差圧を用いることによりセンサー固有の誤差が相殺されてエンジンの負荷状態に依存せず、より広範囲の負荷状態において浄化装置の異常を高い精度で判定することが可能となる故障判定装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7601196/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(排気圧センサーの設置位置の検討、浄化装置(触媒・フィルタ)の内部構造が排気圧差に与える影響の分析、異なるエンジン負荷条件下での排気ガスの圧力分布や流速の予測、センサーからの信号と浄化装置の異常(破損、詰まりなど)との相関関係の評価)、電気電子工学(排気圧センサーからの信号処理および故障判定ロジックを実装する制御システムの設計・検証、排気圧センサーのノイズ除去フィルタの設計、A/D変換器の選定、取得した排気圧差データを用いた故障判定アルゴリズム(閾値設定、統計処理方法など)の最適化)
従来の技術では、排気ガス浄化装置のヒータに堆積した粒子状物質を焼却除去する際、ヒータを高温にするために多大な電力を消費するという問題がありました。
これに対して、ヒータに堆積した粒子状物質の堆積量を特定し、車両がエンジンの排ガス量が低下する所定の状態(例:減速時、アイドリング時、ハイブリッド車でのモーター走行時など)であるかを判定し、粒子状物質の堆積量が所定量以上の場合に限り、車両がこの排ガス量の少ない所定の状態であることを条件として、ヒータへの電力供給を開始し、粒子状物質を焼却除去することにより、ヒータと排気との熱交換による熱損失が低減され、結果として粒子状物質の焼却除去に必要な消費電力を効果削減するヒータ制御装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7586249/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(ヒータの加熱に必要な電力量を最適化するための電力変換効率の高いインバータやパワーエレクトロニクス回路の設計、車両のバッテリー残量や充電状態を考慮した電力供給の検討、回生エネルギーを最大限に活用してヒータ加熱時の電力消費を抑制するシステム統合)、情報工学(粒子状物質の堆積量を推定するモデルの構築、車両の走行状態(速度、加速度、エンジン回転数、モーター出力など)をリアルタイムで認識・予測するアルゴリズムの設計、各情報に基づいてヒータの加熱タイミングや電力供給量を決定する制御ソフトウェアの設計)
具体例として車両の直進舵角を設定する装置が挙げられます。
従来の直進舵角設定技術では、車両が緩やかなカーブを走行しているにもかかわらず、直進していると誤判定し、不適切な直進舵角を設定してしまう問題がありました。
これに対して、車両の操舵角に基づいて車両が転舵しているか否かを判定し、同時に、車両前方の撮像画像から検出された道路の区画線が直線であるか否かをその曲率、実際の区画線である確率および長さを総合的に評価して判定し、区画線が直線であり、かつ車両が転舵していないと判定された場合にのみ、その時の操舵角を車両を直進させるための適切な直進舵角として設定することにより、緩やかなカーブでの誤判定を抑制し、車両が実際に直進している状況でのみ直進舵角を設定できるようになる装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7616286/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(カメラ画像から道路の区画線を高精度で認識して曲率や信頼性を推定する画像認識アルゴリズムの設計、操舵角センサーなどの車両データと画像データを統合して車両の直進状態を判断する機械学習モデルの構築、直進舵角をリアルタイムで更新するための最適化アルゴリズムの設計)、電子工学(操舵角センサーやカメラ、その他車両の状態を検出するセンサーからの微弱な信号を正確に取得してノイズを除去するアナログ・デジタル回路設計、各情報を処理して直進舵角の判定・設定をおこなう電子制御ユニットの基板設計と部品選定)
具体例として歯車間の衝撃音や振動を抑制するシザーズギアが挙げられます。
従来のシザーズギアはサブギアを付勢するバネの構造に起因してサブギアが傾きやすく、これによりトルク伝達の不正確さや噛み合い精度の低下、フリクションの悪化といった問題がありました。
これに対して、シャフトに連結された第1メインギアと、それと共に回転する第2メインギア、これらメインギアの間に周方向へ回転可能に設けられたサブギアを備えたシザーズギアであり、サブギアを元の位置に戻すように周方向の力を与える付勢部材の第1端部が係止される第1支持部材がサブギアの厚み方向の側面よりも内側の位置に付勢部材を受ける受け部を有していることにより、付勢部材からの荷重がサブギアの回転中心軸に近い位置で作用するため、サブギアの傾きが抑制されてフリクションの悪化を抑えるシザーズギアが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7501735/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(付勢部材からの荷重がサブギアの傾きに与える影響の数値解析、応力集中を避けた形状設計、振動解析(モーダル解析など)によるギアシステムの固有振動数の調整、共振による騒音や振動の発生を抑制するための設計)、材料科学(歯車や付勢部材の耐摩耗性、疲労強度、耐熱性を向上させるための合金組成や熱処理条件の検討、摩擦係数を低減してフリクションロスを抑えるための表面改質技術(コーティングなど)の探索)
具体例として車両に搭載される熱交換器周辺の気流を制御するエアガイド構造が挙げられます。
従来の車両では、熱交換器(ラジエーターなど)を通過した熱風が車両後方から熱交換器とフレームの間の隙間を通って車両前方へ巻き返し、熱交換器前方の温度が上昇するという問題がありました。
これに対して、車両の一対のフレーム間に配置される熱交換器に対し熱交換器よりも下方の位置からフレームとの隙間へ向かって冷たい気流を誘導するエアガイド部材を備えたエアガイド構造であり、このエアガイド部材が熱交換器前方の両側端部近傍に配置され、車両前方に向かって伸びる一対の第1フランジと、その第1フランジの外側端部から車両前方へ伸びる第2フランジとを有していることにより、熱交換器下方から取り込んだ冷たい気流がこれらのフランジに沿って誘導され、熱風の巻き返しを抑制することで熱交換器前方の温度上昇を防ぎ、冷却性能を維持・向上させたエアガイド構造が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7480812/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(エアガイド部材の形状や配置が熱交換器への空気流入量や熱風の巻き返しにどう影響するかの評価、最小の抵抗で最大の冷却効果を得られるような効率的なエアガイド構造の設計)、電気工学(交換器の温度センサーや車両の走行状況を監視するセンサーからの電気信号を正確に取得してデータに基づいて冷却ファンやポンプの動作を最適に制御するシステムの設計)
具体例として車両の発進時における運転者の加速フィーリングを向上させる発進制御装置が挙げられます。
従来の車両発進制御装置では、発進アシスト制御を停止する際にエンジン出力トルクと運転者の要求トルクとの間に大きな差が生じることがあり、これにより運転者が加速に違和感を覚えるという問題がありました。
これに対して、車両の速度、運転者の要求トルク、ギヤ段、クラッチの締結率などを取得する取得部と、車両の発進時にエンジン出力トルクにアシストトルクを付加する制御部を備えた発信制御装置であり、この制御部にはエンジン出力トルクをフィードバック制御する第1モードと、それよりも小さいゲインでフィードバック制御をおこなう第2モードが設定されており、車両が停車中にクラッチが切れると第1モードのアシスト制御を開始し、クラッチの締結率上昇に応じてエンジン回転数を上昇させるようにアシストトルクを付加し、クラッチが完全に締結すると第1モードを終了し、その後、エンジン出力トルクと要求トルクとの差が閾値より大きい場合に第2モードを開始し、第2モードではより緩やかなトルクアシストで運転者の要求トルクに近づけて差が閾値以下になると第2モードを終了することにより、発進アシスト終了時のトルク変動を抑え、運転者の加速フィーリングを向上させる発進制御装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7601188/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(アクセルペダルやクラッチペダル、回転数センサーなどから得られるアナログ・デジタル信号を正確に読み取りノイズを除去する回路お設計、各情報を基にエンジンの出力トルクを制御するための電子制御ユニットのハードウェアとソフトウェアの設計)、情報工学(車両の速度、ギヤ段、クラッチの締結率、運転者の要求トルクといった複数のデータをリアルタイムで処理してエンジンストールを防ぎつつスムーズな加速を実現するための制御アルゴリズムの設計、第1モードと第2モード間の切り替え基準やゲイン設定を決定するためのデータ解析とシミュレーションおよび運転者の加速フィーリングを向上させるためのパラメータ調整)
具体例として自動運転装置が挙げられます。
従来の自動運転装置は障害物に対して同心円状に回避ポテンシャルを設定するため、障害物回避後に通常の走行に戻るまでに時間がかかったり対向車との接触リスクが生じたりする問題がありました。
これに対して、まず取得部で車両周囲の点群データを取得し、それを基に第1決定部が障害物の位置に応じて移動体の走行推奨度合いを示す第1ポテンシャル(障害物リスクポテンシャル)を決定し、この際、進行方向、その反対方向、左右方向におけるポテンシャルの変化量を複数の係数(第1~第5係数)を含むポテンシャル関数を用いて調整し、次に第2決定部が地図情報に基づき走行路の走行推奨度合いを示す第2ポテンシャル(引力ポテンシャル)を決定し、合成部がこれら二つのポテンシャルを合成し、最後に設定部が合成されたポテンシャルに基づいて車両が走行する最適な経路を設定することにより、障害物に対して進行方向や左右方向で異なる回避の度合いを設定でき、より効率的で安全な回避走行経路の生成が可能となり、不必要な回避距離の延長や対向車との接触リスクを抑制する自動運転装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7687377/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(点群データから地面や不要な反射を除外して車両や歩行者などの障害物を正確にセグメンテーションし、その形状や位置を認識する機械学習モデルの設計・訓練、認識された障害物の位置情報から適切な座標や角度情報を抽出するデータ処理パイプラインの構築)、応用数学(ポテンシャル関数に含まれる第1~第5係数について障害物の配置や走行シナリオ(例: 狭い道でのすれ違い、急な障害物出現)において安全かつ効率的な回避経路が生成されるよう最適な係数値の導出、合成ポテンシャル場における最小経路探索アルゴリズムの性能評価や改良)
具体例として大型車両の後部突入防止装置が挙げられます。
従来の車両用潜り込み防止バンパーは低い位置に設置すると車体フレームへのブラケット取付部に大きなモーメントがかかり、固定信頼性が低下するという問題がありました。
これに対して、潜り込み防止用バンパーと車体フレームを繋ぐ接続部材に特徴を有する後部突入防止装置であり、接続部材のベースがバンパーに接続される第1のベースと車体フレームに接続される第2のベースに分割されており、第2のベースは第1のベースより幅広であり、両者はボルトで接続され、さらに第2のベースもボルトで車体フレームに接続され、加えて、接続部材のベースからは車体フレームの下面に対向して当接部材が延びており、衝突時にベースが回転しようとすると当接部材が車体フレームの下面に当接して回転が抑制されることにより、バンパーを低い位置に設定してもモーメントに対する剛性が向上し、車体フレームへの固定信頼性が確保される後部突入防止装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7533728/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(小型車両が後部突入防止バンパーに衝突した際のバンパー、接続部材、車体フレームにかかる衝撃荷重や応力分布の解析、部材の最適な形状、板厚、補強リブの配置などの検討、強度と軽量化を両立させる設計)、材料科学(高張力鋼、アルミニウム合金、複合材料などの候補材料の機械的特性(降伏強度、引張強度、衝撃吸収エネルギーなど)の評価、車両衝突時のエネルギー吸収効率と部材の破損モードの予測、要求される強度と軽量化を実現できる最適な材料の選定)
具体例としてエンジン排気ガス再循環(EGR)システムが挙げられます。
従来のEGRシステムでは、排気ガスの浄化効率に改善の余地がありました。
これに対して、エンジン排気ガスを吸気側へ環流させるEGR通路にEGRクーラーと、EGRクーラーを迂回するバイパス通路を備えたEGRシステムであり、このバイパス通路を形成するパイプ部材の内面に酸化触媒の層が形成されており、パイプ部材が屈曲している場合、排気ガスが強く当たる屈曲部の外側(180°を超える側の内面)に形成された酸化触媒層の厚みを排気ガスが弱く当たる内側(180°未満となる側の内面)の層の厚みよりも厚くすることにより、EGRガス中の有害物質(HC、COなど)と触媒との接触機会が増加し、排気ガスの温度が高い状態で触媒が作用するため排気ガスを効率的に浄化するEGRシステムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7371754/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(気ガス中の有害物質(HC、COなど)を効率的に酸化するための触媒反応器(バイパス通路内の触媒層)の設計、反応条件(温度、ガス流量、触媒層の厚み分布など)の最適化)、機械工学(EGR通路内の排気ガス流れ、熱伝達、物質拡散の数値シミュレーション、触媒層の活性が最大化されるようなEGRガス供給条件や通路形状の設計)
具体例として内燃機関が挙げられます。
従来のエンジンでは、燃料噴射時に燃焼室内の燃料と圧縮空気が十分に混合されず燃焼効率が低下する問題がありました。
これに対して、シリンダヘッドに設けられた燃料噴射部の周囲に空気噴射部を備える内燃機関であり、空気噴射部は圧縮行程中に燃焼室の圧縮空気を供給される高圧室と、高圧室内を摺動するピストンを有し、燃料噴射時にピストンを挟んで高圧室の反対側に設けられた低圧室に供給制御部が空気を供給し、その圧力でピストンを摺動させて高圧室内の圧縮空気をさらに圧縮して燃焼室へ噴射し、また、ピストンの低圧室側の受圧部面積が高圧室側の圧縮部面積より大きいことで低圧室側の低い圧力でも高圧室内の空気を強く加圧し噴射でき、燃料が噴射される狭いシリンダヘッド側の空間にも適切な量の圧縮空気が供給され燃料と空気の混合が促進されて燃焼効率が向上する内燃機関が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7655358/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(燃料噴射と空気噴射のタイミング、量、圧力の関係の解析、ピストンやバルブ、空気噴射機構などの機械部品がエンジンの運転サイクル全体でどのように連携して動作するかシミュレーション)、電気電子工学(エンジン回転数、負荷、温度などの運転状態に応じて燃料噴射部と空気噴射部(ポンプやバルブ)を最適なタイミングと量で駆動するための電子制御ユニットのアルゴリズムの設計、センサーからのデータ取得、信号処理、アクチュエーターへの指令出力といった一連の電気的・電子的制御ロジックの設計)
具体例として車両用衝突警報システムが挙げられます。
従来の車両用警報システムでは、譲り合いなどの状況で接近した他車に対し不要な警報が発報され、ドライバーの信頼性低下を招く問題がありました。
これに対して、車両間の距離を測定するソナーと、ドライバーの手信号を認識する手信号認識部を備えた警報システムであり、警報処理部がソナーの測定結果と手信号認識部の認識結果を用いて警報の発報を制御(具体的には、自車と他車との距離が所定値未満であってもドライバーが予め定められた手信号を示した場合、警報を発報しないように制御)することにより、ドライバーが意図的に他車に接近する状況(例:交差点での進行権の譲り合い)において不要な警報の発報を低減し、ドライバーの警報システムに対する信頼度を維持する警報システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7704185/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(機械学習モデルにより多様な照明条件やドライバーの体格、手信号の癖に対応できる手信号認識モデルの構築、認識結果の信頼度とソナーの距離情報を組み合わせ、誤警報を最小限に抑えつつ必要な警報は確実に発報するような複雑な状況判断を可能にする警報処理アルゴリズムの設計)、人間工学(手信号の種類や認識方法がドライバーにとって直感的で操作しやすいかの検証、警報の発報、停止、キャンセル操作がドライバーの運転操作を妨げないかの評価)
(2)日野自動車|開発トレンドと専門性

具体例としてディーゼルエンジン排気中の窒素酸化物(NOx)浄化システムにおける尿素水噴射量算出装置が挙げられます。
従来の排気浄化システムでは、急加速など運転状態が急変すると還元触媒でのアンモニア吸着量が減少し、不要なアンモニア(アンモニアスリップ)が大気中に放出される問題がありました。
これに対して、車両の現在のセンサー値(排気ガス温度など)とアンモニア吸着量の目標値に基づき尿素水噴射量を算出する第1噴射量算出部と、現在のセンサー値から将来のアンモニアスリップを予測して目標値を修正する将来予測部を備えた噴射量算出装置であり、将来予測部が現在の目標値より大きい第1仮目標値と小さい第2仮目標値それぞれに対し、将来のアンモニアスリップ量に応じたコストを算出し、より小さなコストを与える方を修正目標値として設定し、第1噴射量算出部がこの修正目標値に基づいて噴射量を決定することにより、運転状態の急変時でも将来のアンモニアスリップを予測して目標値を適切に修正し、NOx低減性能を維持しつつアンモニアスリップを抑制する噴射量算出装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7662441/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(尿素水噴射からアンモニア生成、選択還元触媒におけるアンモニア吸着・脱着挙動、NOx還元反応速度論のモデル化、排気温度、流量、NOx濃度などの運転条件変化に対するアンモニア吸着量とスリップ量の動的な応答の予測、最大のNOx還元効率と最小のアンモニアスリップを実現するための触媒層設計)、制御工学(排気ガスセンサー情報に基づいて尿素水噴射量を動的に調整して目標アンモニア吸着量とアンモニアスリップ抑制を両立させるための制御アルゴリズムの設計、エンジン負荷の急変時にも迅速かつ正確に噴射量を調整してシステムの安定性と排出ガス規制遵守を実現するための制御パラメータのチューニングと検証)
従来の排気浄化システムでは、粒子状物質(PM)を除去する際に生成される二酸化窒素(NO2)が過剰になると、その後の窒素酸化物(NOx)還元触媒においてN2Oが生成されやすいという問題がありました。
これに対して、酸化触媒とPM捕集フィルタ、NOx選択還元触媒が直列に配置された排気浄化装置であり、PMフィルタに流入する排気ガス中のNO2濃度がPM酸化に必要な濃度を上回る場合に燃料添加装置を用いて排気ガス中に燃料を添加する制御をおこなうことにより、添加された燃料が排気中の過剰なNO2をNOに還元し、NOx選択還元触媒に流入するNO2濃度を低減させ、結果として、NOx還元効率を維持しつつ地球温暖化係数の高いN2Oの生成量を効果的に抑制する排気浄化装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7497279/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(NOx選択還元触媒におけるN2O生成抑制メカニズムの解明および触媒組成の設計、PMフィルタの再生効率を高めるための酸化触媒機能の向上や排気ガス中のNO2と燃料の反応促進条件の検討)、機械工学(排気ガス流路内の圧力損失を最小化しつつ触媒やフィルタ装置への均一な排気ガス供給を実現するための流体力学的設計、燃料添加弁の噴霧特性や混合効率の最適化、各種温度・濃度センサーの配置と応答性向の検討、システム全体のエネルギー効率を最大化するための設計)
具体例として路面凹凸走行時の車両操舵におけるステアリングの周期的な動きを抑制する操舵制御装置が挙げられます。
従来の操舵制御装置では、路面の凹凸によりヨーレート(車両が鉛直軸を中心に旋回する角速度)センサーに外乱が生じると、車両のヨーレートが目標値から大きく乖離し、その補正のためにステアリングが右左に周期的に動くという問題がありました。
これに対して、車両のヨーレートを目標ヨーレートに近づけるよう操舵制御をおこなう装置であり、フィードフォワード舵角決定部とヨーレートおよび舵角センサーからの情報に基づくフィードバック舵角決定部を備え、これらから目標舵角を決定し、ヨーレートが目標範囲を逸脱し、かつ舵角が周期的に動く異常な状況を検知した場合には補正部がフィードバック舵角を固定値に補正するフィードバック舵角固定制御をおこなうことにより、路面凹凸通過時のような外乱環境下においても過度なフィードバック制御によるステアリングの周期的な動きを抑制し、車両の安定した操舵を実現する操舵制御装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7714494/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(操舵制御システムを構成するセンサー(ヨーレートセンサー、舵角センサーなど)やアクチュエーター(操舵アクチュエーター)の選定と設計、信号処理回路や制御アルゴリズムの実装)、情報科学(センサーから得られる大量のデータをリアルタイムで解析して車両の挙動や路面状態を推定・予測するためのアルゴリズムの設計)
従来のウォークスルー型の貨物自動車では、キャビン部とリアボディ部を別々に製造して連結する際、その接合部からの雨水などの浸入を防ぐための封止構造が複雑になりがちで、車両の製造コスト増や組み立て時間の増加が問題でした。
これに対して、キャビン部後端のキャビン開口部とリアボディ部前端のリアボディ開口部を幌部材で連結し、その間を封止する構造であり、幌部材はキャビン開口部側では内周面のキャビンシール部材と、その外側のキャビンリテーナ部材との間で固定され、同様にリアボディ開口部側ではリアボディシール部材とリアボディリテーナ部材との間で固定され、また、幌部材と両シール部材が一体化されたシール部として構成されることで部品点数の削減と組み立ての簡素化につながり、車両の製造位置や開口部の形状のばらつきに対応しながら防水性を保ちつつ軽量で安価な封止構造が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7643914/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(幌部材やシール部材に用いられるゴムや合成樹脂などの高分子材料の選定、配合設計、耐候性、耐久性、接着性などの物性評価)、生産工学(一体化されたシール部材や分割されたリテーナ部材の製造ラインにおける最適な成形条件や加工方法の確立、キャビン部やリアボディ部の位置・形状のばらつきを吸収しつつ確実かつ迅速に封止構造を組み付けるための治具設計や作業手順の最適化)
具体例として車両乗員の乗り心地を向上させる車両制御装置が挙げられます。
従来の車両制御では、乗員の動作と車両の動作の関連性が不明瞭なため、必ずしも乗り心地改善に繋がらないという問題がありました。
これに対して、まず取得部が車室内の乗員動作情報と車両動作情報を取得し、次に生成部がこれらの情報に基づき車両の動きに応じて乗員がどのように動くかを推定する乗員モデルを生成(乗員モデルは複数の乗員それぞれの動作を推定でき、乗員数が多い場合には車室内を複数のエリアに分割し、各エリアで最も動作量の大きい対象乗員を選定し、その対象乗員の動作モデルを生成)し、算出部が生成された乗員モデルの推定結果に基づいて乗員の動作量が減少するように車両の加減速や操舵といった制御量を算出し、制御部がその算出された制御量に基づいて車両を制御することより、車両の動きに連動した乗員の不快な動作を効果的に抑制し、乗員全体の乗り心地を向上させることが可能となる車両制御装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7461756/15/ja
関連する専門分野の例:制御工学(乗員モデルから得られる推定動作量と車両の状態量を用いて車両の加速度やヨーレートをどのように変化させれば乗員の揺れや姿勢変化を最小限に抑えられるかを決定するモデル予測制御や最適レギュレータ設計、車両の動特性と乗員の応答特性を考慮したロバスト制御設計、外的要因や乗員の個人差による不確かさに対しても安定した乗り心地を提供する制御系の設計)、データサイエンス(乗員動作情報(画像データ等)と車両動作情報から車両の挙動と乗員の動きの関係性を高精度に学習して乗員モデルを構築するためのデータ分析手法や機械学習アルゴリズムの設計、多人数乗車時の対象乗員の選定基準の最適化)
具体例として走行安定性が高められた車両が挙げられます。
従来の電気自動車では、高電圧部品の配置によって重心が高くなり、走行安定性が低下するという問題がありました。
これに対して、前後方向に延びる支持部材(前部、中間部、後部に区分され、モータや充電器を含む高電圧部品は支持部材の前部と後部に分散配置、モータは前部に、充電器は後部に搭載、電力を蓄えるバッテリは支持部材の中間部に搭載)を有する車両であり、支持部材は前部が中間部より上方に位置するように境界部分で曲げられており、これにより前部の収納スペースを確保しつつ高電圧部品を下方に配置して車両の重心を低くし、また、支持部材の各部には一対のサイドレールが設けられ、前部と後部のサイドレールの間隔が高電圧部品を収容するように設定され、特に、中間部の第2サイドレールの間隔が前部や後部よりも広く設計されており、大型のバッテリを低く配置できるようになっていることにより、重心を下げ、車両の走行安定性を向上させることが可能な車両が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7650686/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(ヨーレートや舵角を検出するためのセンサー回路のノイズ対策やキャリブレーション手法の検討、操舵アクチュエーターの応答性を高めるための駆動回路設計、制御装置内のマイコンへの制御アルゴリズム(フィードフォワード/フィードバック制御、異常検知ロジックなど)の実装)、情報科学(ヨーレートセンサーや舵角センサーのデータから路面凹凸による外乱を分離して車両の真のヨーレートを推定するためのフィルタリング技術の設計、舵角の周期的な動きを検出するパターン認識アルゴリズムの設計、フィードバック舵角固定制御の条件判断と実行のためのソフトウェアアーキテクチャの設計)
具体例としてターボチャージャ付き内燃機関におけるブースト圧の異常とセンサーの特性異常を診断する装置が挙げられます。
従来の診断装置では、高価なエアフロセンサーがないとブースト圧センサーの異常を特定できませんでした。
これに対して、ターボチャージャのブースト圧と内燃機関の排ガス中の酸素濃度をそれぞれセンサーで検出し、検出されたブースト圧と目標ブースト圧との差分(ブースト圧差分値)を算出し、また、ブースト圧、吸気温度、エンジン回転数から推定作動ガス流量を求め、酸素濃度、燃料噴射量などから推定排ガス流量を算出し、これらの差分(ガス流量差分値)も算出し、これらの二つの差分値に基づき異常判定部がブースト圧が目標値より高い「オーバーブースト」か低い「アンダーブースト」かを判定し、加えて、ブースト圧差分値とガス流量差分値の組み合わせによってブースト圧センサー自体の特性異常(過剰側または過少側)することにより、エアフロセンサーを用いることなく内燃機関システムの異常診断が可能な装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7346250/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(センサーの種類に応じたA/Dコンバータの選定、適切なサンプリング周波数と分解能の設定、電磁ノイズや電源ノイズに対するフィルタ回路の設計、センサーの特性ばらつきを補償するための信号調整回路の設計)、情報工学(複数のセンサーデータを同期的に取得・管理するためのデータ構造とデータベースの設計、推定作動ガス流量や推定排ガス流量を計算するアルゴリズムの高速化、異常判定のロジックの設計)
具体例としてディーゼルエンジンなどの燃料供給システムにおける燃料を吸い上げるフィードポンプの異常検出装置が挙げられます。
従来のシステムでは、燃料異物混入によるフィードポンプ破損の予兆検知が難しく、エンスト等に繋がる恐れがありました。
これに対して、燃料タンクからフィードポンプへ供給される燃料の温度を第一温度センサーで検出し、フィードポンプから燃料フィルターへ送られる燃料の温度を第二温度センサーで検出し、この二つの温度センサーの検出値に基づき異常判定部がフィードポンプの異常を判定(フィードポンプ内部で異物噛み込みなどによる発熱が生じるとフィードポンプ通過後の燃料温度が通過前の温度に比べて大きく上昇する特性を利用)することにより、第二温度センサーの検出温度が第一温度センサーの検出温度より所定の閾値以上高くなった場合にフィードポンプの異常と判定し、エンジン不調を未然に防ぐ異常検出装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7309532/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(フィードポンプの設計、使用環境、燃料の種類に応じた熱流体解析シミュレーションモデルの構築、ポンプの異常による内部温度上昇と燃料流路における熱伝導・対流による温度変化の予測、異常検出の閾値設定の最適化やポンプの耐久性向上に向けた構造の検討)、電気電子工学(燃料の流速や粘度、熱容量といった特性を考慮した温度センサーの応答性評価、長期的な使用におけるセンサーのドリフトや劣化特性の分析、信頼性の高い温度データ取得のための補正アルゴリズムの設計)
具体例として大型車両からの撮像画像に基づき後続の小型車両の死角情報を特定し提供する運転支援システム(制御システム)が挙げられます。
従来技術では、前方車両から常に画像情報を送信するため、通信負荷が高く、後方車両のドライバーにとって煩わしいという問題がありました。
これに対して、乗用車より背の高い車両の上部に搭載された撮像部(カメラ)が周囲を撮像し、コントローラが撮像画像に基づき運転者の視界が妨げられている対象移動体(例えば後続の小型車)を特定し、前方の移動体がその更に前を走る移動体よりも背が低く、かつ所定値以上の高さ差がある場合に前方の移動体を対象移動体と判定し、その後、対象移動体の妨げられている視界(死角)に関する情報(死角情報)を画像情報から特定し、その死角情報を対象移動体の車両や交通管制システムなどへ出力することにより、必要な車両にのみ必要な情報を提供して通信負荷を低減しつつ後続車両の運転支援をおこなう制御システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7455619/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(異なる車種の高さや形状を識別するモデルの構築、ステレオカメラやLiDARなどの複数のセンサーデータを用いて3D空間における車両の相対位置と高さを推定するアルゴリズムの設計)、通信工学(車両が高速移動する環境下での通信チャネル特性(フェージング、干渉など)の解析、情報伝送の安定性を確保するための変調・復調方式や多重化技術の選定、限られた無線周波数帯域を有効活用するためのスペクトル効率の最適化、通信ネットワーク全体のスループットや遅延を考慮したシステムレベルのシミュレーションと性能評価)
(3)三菱ふそうトラック・バス|開発トレンドと専門性

F01Nが最も多いです。次いでB60R、B60Tが多いです。
具体例として車両用排気浄化装置が挙げられます。
従来の排気浄化装置は車両搭載スペースの制約でケーシングを短くすると浄化部材も小さくなり、排気浄化性能が低下するという問題がありました。
これに対して、排気ガスの浄化部材を収容するケーシングと排気をケーシングに導く第1パイプおよび排気を排出する第2パイプを備えた浄化装置であり、これらのパイプのケーシング接続部分がケーシングの長手方向に対して短い扁平形状になっていて、その接続端部はケーシング内部に延設され、ケーシングの内面に接触配置される構造であることで、パイプがケーシング内で占める空間が小さくなり、ケーシング全体の長手方向寸法を短縮しながら内部に収容される浄化部材(例えばSCR触媒)の有効長を確保できて排気浄化性能の低下を防ぐ排気浄化装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7443822/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(ステンレス鋼や特殊合金といった候補材料のクリープ特性、疲労強度、熱膨張率の評価、扁平形状のパイプ接続部が熱応力によって変形しないか、あるいは腐食によって劣化しないかの検証、ケーシング内部に延設される扁平パイプとケーシング内面との接触部における異種材料間の熱膨張差による応力集中の解析および適切な接合方法や材料組み合わせの探索)、機械工学(ケーシングやパイプ内での排ガス流動解析、触媒への均一なガス分配と効率的な浄化反応を促す内部構造の設計、高温環境下での部品の熱応力解析や振動解析、扁平形状パイプの耐久性を確保するための強度設計、装置全体の長寿命化に向けた材料・構造の最適化)
従来の排気浄化装置では、インジェクタ取り付け部の窪んだ形状が原因で雨水などが溜まりやすく、インジェクタの劣化を招く問題がありました。
これに対して、排気管内に排気浄化用の添加剤を噴射するインジェクタと、そのインジェクタが取り付けられるボス部を備えた排気浄化装置であり、ボス部は排気管の内側へ凹んだ有底筒状で、インジェクタ先端が配置される底部とそこから排気管外側へ延びる周壁部を有し、周壁部の内周面にはインジェクタよりも下方で底部から縁部にかけて下降傾斜する傾斜部が設けられており、この傾斜部の上縁の一部が水平方向から見てインジェクタと重なるように配置され、ボス部内に侵入した水が重力で効率的に排出され、水の滞留を防ぎ、インジェクタの腐食や劣化を抑制する排気浄化装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7086333/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ボス部の傾斜形状が、排ガス流動や熱応力によって変形しないか、インジェクタの振動がボス部にどのように伝達されるかの評価、水滴の挙動のシミュレーション、傾斜部の角度や形状、表面粗さなどの最適化)、化学工学(排気管内の温度分布、流速分布、添加剤の液滴挙動(蒸発、熱分解)のシミュレーション、添加剤が均一に拡散し、触媒に適切に供給されるようなインジェクタの噴射特性(噴射角度、噴射量、液滴径)や混合部の形状の最適化)
具体例としてデジタルサイドミラーが挙げられます。
従来のデジタルサイドミラーはカメラの撮像範囲確保と空力抵抗の低減を両立することが困難で、特に左右非対称な構造は空力抵抗の乱れを生じやすいという問題がありました。
これに対して、運転席前方のフロントパネル上縁部に設置され、運転席側(第1デジタルサイドミラー)はフロントパネルから車幅方向外側へ横ステー、そこから上方へ縦ステーが延び、その先にカメラを保持するマウント部が接続され、一方、助手席側(第2デジタルサイドミラー)はフロントパネルから一旦前方へ突出した突出部から車幅方向外側へ横ステー、そこから上方へ縦ステーが延び、その先にカメラを保持するマウント部が接続される構成で、この第2デジタルサイドミラーの突出部、横ステー、縦ステー、マウント部は正面から見て第1デジタルサイドミラーと左右対称に見えるように形成されていることにより、助手席側の死角になりやすい車両前部や側部の下方も第2デジタルサイドミラーの撮像範囲に含めやすくなり、左右対称な外観が保たれるため、車両直進時の空力抵抗の乱れが抑制されるデジタルサイドミラーが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2025-073663/11/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(夜間、逆光、悪天候でも鮮明な画像を取得できるカメラセンサーの特性評価、取得した映像をリアルタイムで歪みなく処理し、ドライバーに分かりやすく表示するための画像認識・合成アルゴリズムの設計、カメラから取得した大容量の画像データを高速かつ安定して車両内のディスプレイに伝送するための車載イーサネットや光通信などの通信技術の設計)、機械工学(デジタルサイドミラーの各部材(横ステー、縦ステー、マウント部)が走行中の振動や風圧、衝突などに対して十分な強度と耐久性を持つような構造設計、空気抵抗を最小限に抑えて風切り音を低減するための空力形状の設計、軽量かつ堅牢な筐体材料の選定と製造プロセスの検討)
従来のスロープ開閉検知装置は検知幅が狭く、車両走行中の振動でスロープ板が動くと誤検知したり、過度な入力でスイッチが破損する問題がありました。
これに対して、車両の乗降口の床に設けられた反転スロープの格納状態を検知する検知スイッチを備えた装置であり、この検知スイッチにはオンオフ部を直接押す第1の接触子に加え、ブラケットに揺動可能に支持された第2の接触子が設けられており、第2の接触子はスロープ板の格納時にスロープ板に押され、その揺動によって第1の接触子を押圧または離間させ、検知スイッチをオンオフし、さらに、第2の接触子には揺動量を規制するストッパ部が設けられており、この二段階の接触機構とストッパ部により走行中の振動によるスロープ板の微細な動きを第2の接触子が吸収し、第1の接触子への過剰な入力も防ぐため、誤検知を防止しつつ検知スイッチ自体の耐久性を向上させることが可能な反転式スロープの開閉検知装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2021-003957/11/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(誤動作を排除するためのノイズ対策の設計、検知スイッチからのオンオフ信号を車両のドア制御システムや警告表示システムに連携させるためのインターフェース回路やソフトウェアロジックの設計)、機械工学(スロープ板からの入力荷重や車両の振動が、第2の接触子やストッパ部にどのように伝達されるかのシミュレーション、第2の接触子の揺動量や復元力、ストッパ部の最適な位置や強度を決定するための機構設計と耐久試験、長期にわたる使用に耐えうる材料選定と製造プロセスの確立)
具体例として車両の緊急制御システムが挙げられます。
従来の緊急制動システムは緊急停止後に勾配のある場所で解除すると車両が意図せず動き出す危険性がありました。
これに対して、運転者の異常を検知する異常検知部、緊急制動を作動させる緊急制動部、緊急制動を解除する解除操作部、これらを制御する制御部を備えてた緊急制御システムであり、制御部が解除操作がおこなわれた際、緊急制動とは異なる系統の制動機構(例:駐車ブレーキやフットブレーキ)が作動していることを条件として緊急制動の解除を許可し、もし他の制動機構が作動していなければシステムは制動の必要性を通知し、その通知から所定時間内に制動機構が作動した場合にのみ解除を許可する構成により、緊急制動解除時に車両が意図せず動き出すことを防止する緊急制御システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7235194/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(ドライバーの生体情報(心拍、呼吸など)や運転操作(視線、ステアリング操作など)をリアルタイムで収集・解析して異常パターンを機械学習モデルで識別するアルゴリズムの設計、複数のセンサーからの情報を統合して緊急制動の要否を判断する意思決定ロジックの設計)、機械工学(緊急制動システムを構成する制動機構(ブレーキ)、センサー、関連する機械部品の設計、解析、最適化)
(4)まとめ
排ガスの浄化装置、異常検出装置、発信制御などの制御装置、ミラーやギアなどの部品など乗用車メーカーで見てきた技術と類似する技術に関する出願が多いです。
これらの出願につながる開発がおこなわれていることが予想されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)いすゞ自動車

件数が少ないので詳細は省略します。
(2)日野自動車

共同出願の例として複数の燃料タンクを搭載する車両が挙げられます。
従来の車両では、燃料タンクの搭載数を増やすと車両の寸法が増大したり、積載効率が低下したりする問題がありました。
これに対し、燃料を貯蔵する複数の燃料タンクと燃料を消費する燃料消費部を備えた車両であり、燃料タンクの長手方向が車両の高さ方向に沿う姿勢で配置され、トラクターヘッドの客室とトレーラが連結部を中心に回動する領域との間の限られた空間に燃料タンクが配列されており、トレーラの回動領域に面する燃料タンクは幅方向中央に近いものほど前方へずらして配置され、また、すべての燃料タンクは車両の幅方向両端部より内側に収められていることにより、トレーラの回動を妨げずにデッドスペースを有効活用し、車両の寸法を増大させることなく、より多くの燃料タンクを搭載できる車両が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7644215/15/ja
(3)三菱ふそうトラック・バス

件数が少ないので詳細は省略します。
(4)上記(1)~(3)(共同出願人)のまとめ
日野自動車とトヨタ自動車の共同出願が多いですが、それ以外は多くはないです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・機械系分野(機械工学、人間工学、生産工学、制御工学など)
排気システムにおける流体挙動の解析、センサー配置と構造設計、シザーズギアのような動力伝達部品の伝達効率を最大化する設計、衝突時のエネルギー吸収効率を最大化し軽量なバンパーおよび接続部材の最適な構造と機構の設計、排ガスが触媒層と効率的に接触する流路設計などが求められます。
・電気系分野(電気電子工学、電気工学、電子工学など)
センサー信号処理回路の設計、異常判定のロジックや閾値などを決定するアルゴリズム設計、バッテリーマネジメントシステムの最適化、大量データをリアルタイム処理する電子制御ユニットの設計などが求められます。
・情報系分野(情報工学、情報科学、データサイエンス、通信工学など)
センサーデータに基づく状態推定アルゴリズムの設計、ヒータの加熱タイミングや電力供給量を決定する制御ロジックの設計、車両の運動状態推定と挙動予測をおこなうモデルの構築、アンモニアスリップやNOx排出量を予測する制御モデルの構築などが求められます。
・材料系分野(材料科学など)
ギアやバネなどの部品に要求される耐摩耗性、疲労強度、耐熱性、衝撃吸収性といった特定の機能を満たすための最適な材料選定、部品の表面特性(硬度、摩擦係数、耐腐食性など)を向上させるための表面処理技術の適用と評価、衝突エネルギーを効率的に吸収し軽量で耐久性のある金属材料や複合材料の選定、などが求められます。
・化学系分野(化学工学、応用化学など)
排気ガス中の特定成分を除去するための反応器の設計や運転条件の最適化、対象となる有害物質に対して高い選択性と耐久性を持つ触媒材料を選定、アンモニア吸着・脱着挙動を含めた反応条件の最適化、燃料添加によるNO2還元など排気浄化プロセスの各段階における化学反応の効率を最大化するための条件設定などが求められます。
・その他分野(応用数学など)
障害物回避と走行路追従を両立させる最適な経路を生成するための数学的な問題の定式化および解法の構築などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
車両の部品から制御装置までさまざまな技術に関連する出願が多く確認され、技術開発も当該分野に関わるものが多いことが推測されます。
これらを大学の専攻と関連づけるとしたら、主に機械、電気、情報、材料、化学に関わる研究が該当する可能性があります。ただし、その境界はあいまいですし、専門性に関わる単なる名称にまどわされないでください。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
関連記事:
【特許分析】EV技術の開発職ニーズ:電気、機械、化学、情報系の専攻を中心に大手10社の出願動向から読み解く
【特許分析】自動車業界の開発職ニーズ:化学、材料、電気、情報、機械系の専攻を中心に乗用車メーカー8社の出願動向から読み解く
【特許分析】自動車部品業界の開発職ニーズ:化学、材料、電気、情報、機械系の専攻を中心にトヨタ系8社の出願動向から読み解く
【特許分析】タイヤ業界の開発職ニーズ:化学、材料、機械、電気、情報系の専攻を中心に大手4社の出願動向から読み解く
業界横断記事:
研究開発職のキャリアマップ|60業界の開発環境を特許データから分析
研究開発職の技術分野と需要のマトリクス(一覧表)|60業界335社の企業ニーズを特許データから分析
総合メーカー横断記事
総合メーカーの研究開発環境の相違|主要10社の開発環境を特許データから分析
総合メーカーの研究開発職の需要マトリクス(一覧表)|主要10社の技術領域と開発職ニーズを特許データから分析
化学系横断記事:
<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
詳細な確認や重要な判断が必要な場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。