日立製作所のように、鉄道や電力といった巨大な社会インフラや高度なIT・制御技術を融合させて事業を推進する企業は、その研究開発の領域が極めて広大かつ複雑です。
具体的な研究開発の内容を外部から見極めるのは容易ではありません。
その事業領域の広範さゆえに、企業サイトの断片的な情報収集だけでは、どのような研究開発がおこなわれているのか、どのような専門性が求められるのか、その全体像を把握するのは困難です。
この問題に対し、特許情報を活用します。
特許情報は企業の開発の軌跡であり、客観的なエビデンスになり得る情報です。
本記事では、採用サイトとは別の視点で、日立製作所の研究・開発職ニーズと関連する専門性を特許情報から解読します。
結論(概要)は以下の通りです。
(1)データ処理関連技術:情報系その他分野(情報工学、ソフトウェア工学、経営情報学など)
(2)各種システム関連技術:情報系、電気系、機械系分野(情報工学、経営情報学、情報科学、電気電子工学、機械工学など)
(3)エレベータ関連技術:電気系、機械系、情報系、材料系の分野(電気電子工学、機械工学、デザイン工学、情報工学、情報科学、材料科学など)
(4)診断、手術、個人認識関連技術:情報系、電気系、機械系の分野(情報科学、認知科学、電気電子工学、機械工学、人間工学など)
(5)制御装置関連技術:電気系、情報系、機械系の分野(電気電子工学、情報工学、機械工学、人間工学など)
(6)給電、配電等関連技術:電気系、情報系分野(電気工学、情報工学、情報科学、制御工学など)
(7)電信通信関連技術:情報系、電気系の分野(情報科学、ソフトウェア工学、情報工学、電気電子工学など)
(8)インバータなどの変換装置関連技術:電気系、情報系、機械系の分野(電気電子工学、電気工学、制御工学など)
(9)鉄道交通の案内や保安関連技術:電気系、情報系、機械系の分野(電気電子工学、情報科学、情報工学、機械工学など)
(10)材料の調査や分析関連技術:電気系、情報系、機械系、物理系の分野(電気工学、電子工学、情報科学、機械工学、応用物理学など)
1 企業サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
企業サーチは、企業の特許情報から、その企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 総合メーカー
2.1 総合メーカーとは
ここでは、いわゆる大企業で複数の分野の製品やシステムを自社で開発・製造する企業を意図します。
企業規模や分野の数など厳密なものではありません。
2.2 サーチ対象
以下の企業を対象にしました。
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
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法人向け |
・アプリケーション作製支援装置 |
・広告管理支援方法 |
モノの開発としては、例えば、アプリケーション作製支援装置が挙げられます。
サービスの開発としては、例えば、広告管理支援方法などが挙げられます。
3.2 出願件数の推移
下図は日立製作所の特許出願件数の推移です。

1400~2200件/年で出願されています。
これらの出願に関わる数の開発がおこなわれていることが推測されます。
3.3 主な開発分野
特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
出願上位10の技術分野を抽出して並べています。
各記号は発明の技術分類をあらわします。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。


分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
3.4 日立製作所の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
(1)G06F|開発トレンドと専門性

G06Fは電気的デジタルデータ処理に関する分類です。
既存技術では、分散トランザクション機能を持たないデータストアでは分散トランザクションの一貫性を保証することが困難でした。
これに対し、アダプタが、データストアが本来持たない分散トランザクション制御機能を肩代わりし、prepare、commitといった分散トランザクションに必要な処理を管理し、データストアがダウンから復旧した際にはアダプタ自身が持つコミット管理マップを参照することで、未完了(インダウト)状態の分散トランザクションを検出し、そのデータストアにおける処理を再開させ、最終的にコミット処理を完了させることで、システム全体の早期復旧とサービス再開を可能にする制御方法が開発されています(以下URL)。
データストアにまたがるトランザクションを制御する方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7619991/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(分散トランザクションにおける一貫性維持アルゴリズムの解析、トランザクションの完了遅延やデータ不整合の発生可能性の評価)、ソフトウェア工学(アダプタの各機能(受信クエリのロック、代行処理、永続化処理、確定処理、ストア再開処理など)のモジュール化、障害時の影響範囲を局所化する設計)
既存のビジュアルプログラミングツールは存在するものの、金融機関などの複雑な手続き型アプリケーション開発に適したローコードツールは不足しており、ツールの操作が難解で学習コストが高いという問題がありました。
これに対し、画面を構成する最小単位である画面要素に対応するレギュラーノード、一連の画面遷移と処理をまとめるグループノード、そして処理の分岐を表現するスイッチノードを記憶装置に保持し、演算装置が編集画面上でのこれらのノードの配置や接続といった操作を受け付け、その操作に基づいて手続き業務における画面の流れ(画面フロー)を記述した定義ファイルを自動的に生成することで、アプリケーション開発の専門知識が少ない担当者でも視覚的な操作を通じて直感的に画面フローを構築できるようにするアプリケーション作製支援装置が開発されています(以下URL)。
画面フローを伴う手続き業務アプリケーションのローコード開発を支援する情報処理装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7591012/15/ja
関連する専門分野の例:ソフトウェア工学(グループノードやスイッチノードの機能拡張の検討、ノードベースのビジュアルプログラミングパラダイムの設計)、情報システム学(金融機関における手続き業務の画面遷移やデータ入出力、業務ルールなどの分析、それらを効率的に記述・管理するためのノードの種類や接続方法、メタデータの設計)
従来、過去のコミュニケーション内容を効率的に検索することが難しく、新しいプロジェクトで参考になる情報とそうでない情報が混在していました。
これに対し、プロジェクト毎のコミュニケーションデータと、各コミュニケーションツールの評価値を記憶装置に格納し、検索要求に応じて該当プロジェクトのコミュニケーションデータを検索し、そのデータの表示態様(例えば、表示順序、強調表示)を対応するコミュニケーションツールの評価値に基づいて決定することにより、過去のコミュニケーションの中からより有用な情報を効率的に見つけ出すことが可能となる情報処理システムが開発されています(以下URL)。
プロジェクトにおける過去のコミュニケーションデータを表示する情報処理システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7611878/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(コミュニケーションデータ(テキスト、音声など)から文脈や意味合いを理解し関連性の高い情報を効率的に検索・抽出するための自然言語処理(例えば、形態素解析、構文解析、意味解析、文書分類、トピックモデル)の設計)、経営情報学(組織における情報共有とコラボレーションの現状と課題の分析、情報処理システムによって業務効率向上や意思決定支援にどのように貢献できるかの評価)
従来、多数の仮想計算機を並列導入することで構築時間を短縮しようとする試みがありましたが、計算機リソースのボトルネックにより、かえって構築時間が長くなる可能性がありました。
これに対し、仮想化基盤の構築処理をおこなう構築実行システムと接続し、仮想計算機導入タスクの実行状況(進捗率)と計算機リソースの性能値をリアルタイムに監視し、これらの情報に基づいて、ボトルネックが発生せず、かつ指定された要求時間内に仮想化基盤を構築できる最適な仮想計算機の並列導入数を算出することにより、手動での試行錯誤なしに効率的な仮想化基盤の構築が可能な計算システムが開発されています(以下URL)。
仮想化基盤構築時に構築可能な仮想計算機の並列導入数を自動算出する計算機システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7447186/15/ja
関連する専門分野の例:情報システム工学(さまざまな規模や要件の仮想化基盤における最適な並列導入数の算出ロジックの検証、異なるハードウェア構成や仮想化ソフトウェアとの連携方式の検討、運用監視や障害対応の自動化との組み合わせによる効果の評価)、ソフトウェア工学(並列処理におけるタスクの分割・管理、同期制御、エラーハンドリングなどの実装方式の検討、構築実行システムとの連携におけるAPI設計、通信プロトコルの最適化)
(2)G06Q|開発トレンドと専門性

G06Qは管理目的、商用目的、金融目的、経営目的または監督目的に特に適合した情報通信技術などに関係する分類です。
従来、各金融機関が自機関の障害情報を個別に蓄積・利用するに留まり、他機関の障害情報を十分に活用することが困難でした。これにより、新規サービス導入時等のリスク予測や障害発生時の対策が不十分になるという問題がありました。
これに対し、金融機関からシステム障害情報を受信し記憶する記憶装置と、受信した情報の価値を算出し対価情報を生成する対価算出処理部と、他の金融機関からの情報提供要求に応じて該当する障害情報を生成し、その価値に応じた負担情報を生成する負担算出処理部を備え、対価と負担が障害の種類や影響度、提供情報の詳細度等に基づいて算出され、情報提供と利用の促進を図り、利用者は提供された情報へのフィードバックに応じて負担の割引を受けることができる障害情報管理装置が開発されています(以下URL)。
情報利用者に対して利用に応じた負担を課す障害情報管理装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7664899/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(システム障害情報のデータ構造の設計、検索エンジンの最適化、分散処理技術の適用、アクセス権限管理の仕組みの実装、データ分析基盤の構築)、経営情報学(収集された障害情報の分析、障害発生の傾向やリスクの高い箇所を特定する手法の検討、障害情報の可視化による経営層への報告機能の設計、システム導入による業務効率化やコスト削減効果の評価)
従来、運転中のリアルタイムなニーズや嗜好の把握が困難であり、タイムリーな情報提供が難しいという問題がありました。
これに対し、運転手のリアルタイムな現在位置情報とライフログを活用し、その情報と店舗情報に基づいて最適な広告対象店舗と音声広告を選定し、適切なタイミングや場所で運転手の端末に音声広告を発話させ、会話を通じて関心を引きつけ、実際に運転手が広告対象店舗を訪れたことを位置情報に基づいて確認できた場合に、その広告効果に基づき店舗への課金をおこなうことで、広告主による質の高い情報提供を促進し、運転手へのタイムリーな情報発信につなげる広告管理支援方法が開発されています(以下URL)。
運転手に対する広告配信と来店促進に関する広告管理支援方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7622013/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(大量のセンサーデータや行動履歴データを効率的に処理するためのデータベース設計、リアルタイムデータ処理パイプラインの構築、位置情報に基づいた店舗検索やルート誘導アルゴリズムの設計、機械学習を用いた運転手の行動予測モデルの構築)、電気電子工学(GPSユニットからの正確な位置情報取得や各種センサー(ライフログ取得用)の制御の検討、ネットワーク接続技術の選定と実装)
既存技術では棚の容積や商品のサイズを単純に考慮するだけでは実際には商品を配置しきれない、あるいは補充頻度が高くなるといった問題がありました。
これに対し、商品のサイズ、棚の位置とサイズ、必要な最低在庫数、商品の集積形態、集積体間の配置間隔、集積体の配置長といった複数の制約条件を考慮し、商品の収納数を最大化することを目的関数として、数理最適化ソルバー(与えられた制約条件の中で、ある目的を最も良く達成する(最大化または最小化する)ための方法を見つけ出す計算ツール)を用いて最適な在庫配置を演算し、演算結果が商品の配置位置、積み上げ段数、横幅・奥行き方向の配置数として出力され、効率的な商品補充とピッキング作業の実現に貢献する在庫配置最適化システムが開発されています(以下URL)。
物流倉庫のピッキングエリアにおける商品の在庫配置を最適化するシステム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7591008/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(数理最適化ソルバーのシステム組み込み、制約条件や目的関数に基づいて最適な配置を計算するプログラム設計、倉庫内の各種情報(棚の位置、商品のサイズ、在庫数など)を管理するデータベースの設計・構築)、機械工学(商品のサイズや重量、保管効率を考慮した収納棚の設計、棚への自動入庫・出庫をおこなうロボットの制御システム設計)
従来、複雑化する輸送業務に対し制約条件の遵守と計画作成時間の短縮の両立が困難でした。
これに対し、逸脱不可の第1の制約条件を満たしつつ、複数の評価基準それぞれで最適化された配送経路候補を事前に作成し、それらの評価値と逸脱許容の第2の制約条件を満たす際の制約条件用関数を含む目的関数を用いたイジングモデル(複数の要素間の相互作用をモデル化し、全体として最も安定な状態(エネルギーが低い状態)を探し出すための数理モデル)を演算するもので、このイジングモデルでは各車両の各経路の利用有無をスピンとし、制約条件用関数における変数間の感応度がスピン間の相互作用として設定され、演算結果に基づき各車両の経路利用有無が出力され、多くの制約下でも迅速かつ妥当な輸送計画作成を支援する輸送計画作成支援装置が開発されています(以下URL)。
複数の車両による荷物配送計画作成を支援する装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7591007/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(本輸送計画作成支援装置のソフトウェア設計、配送経路候補作成部における数理計画ソルバーの実装、最適配送経路作成部におけるイジングモデルの構築と演算処理の実装)、経営工学(数理計画法を用いた配送経路候補作成ロジックの選定とパラメータ調整、イジングモデルにおける目的関数の設計と制約条件の組み込み方の検討)
(3)B66B|開発トレンドと専門性

B66Bはエレベータなどに関する分類です。
従来の機械室レスエレベーター制御盤は縦長で、最上階の床面より下部に点検部位が位置し、点検作業が煩雑でした。
これに対し、制御盤が回生抵抗盤部、主回路盤部、受電盤部、信号盤部およびバッテリ盤部から構成され、熱を発生しやすい回生抵抗盤部が最上部に、受電盤部と主回路盤部が水平方向に並列配置され、その下方に信号盤部、その下にバッテリ盤部が配置されることで、全体の縦方向の長さが短縮されることにより、乗りかごの最上部(かご上)を最上階の床面高さに位置させた際に、法令点検で必要な主回路盤部や信号盤部などの点検部位が作業員が踏み台なしで点検可能な高さ範囲内に収まるようになり、点検作業の効率化と安全性の向上が図られたエレベーター装置が開発されています(以下URL)。
エレベーター装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7689244/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(回生抵抗盤部からの熱が他の盤部に与える影響の解析および最適な放熱設計や配置間隔の検討、主回路盤部と受電盤部の並列配置が電力損失、電磁ノイズ発生および配線インピーダンスに与える影響の評価)、機械工学(制御盤の各盤部を格納する筐体や取り付けブラケットの構造強度の評価および地震時や運行時の振動に対する耐久性の検証、軽量化と高剛性を両立する材料選定と構造設計、制御盤の各盤部の取り外し・取り付け作業における作業者の動作分析)
近年、エレベーターの行先階登録は非接触型が増える一方で、開閉ボタンは接触型が主流のため、ウイルス感染のリスクがありました。
これに対し、エレベーターの乗りかご内に設置された表示部に、各階での乗車予定人数と降車予定人数を表示、具体的には、呼び登録情報取得部が行先階登録装置からの情報を取得し、表示制御部がそれに基づいて乗降予定人数を算出し、表示部に表示することにより、利用者は必要な時だけ開ボタンを操作すればよいと判断でき、感染リスクを抑制することができるエレベータ表示制御装置が開発されています(以下URL)。
エレベータ表示制御装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7631616/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(エレベーターの制御システムにおけるデータ処理と表示アルゴリズムの設計、各階の乗降予定人数をリアルタイムで算出するためのデータ構造の設計、効率的な情報取得と表示更新のアルゴリズム設計、システム全体の応答性能を向上させるための分散処理技術の検討)、デザイン工学(表示される乗降予定人数の数値、アイコン、レイアウトなどの視覚的な要素が利用者の直感的な理解を促すかどうかの検証、多様なユーザー(高齢者、視覚障がい者など)が利用しやすいユニバーサルデザインの検討)
従来のエレベーターシステムにおけるファームウェア更新では、予め定められた順番や代表エレベーターに依存するため、不具合発生時や高負荷時に更新が滞る問題がありました。
これに対し、マスタコントローラがエレベーターの運行状態に応じてサブコントローラへのファームウェア送信順番を動的に生成し、優先度の高いサブコントローラからファームウェアと次の送信順番を含むデータを送信するリレー方式により、マスタコントローラは最初のサブコントローラへ送信するだけでよく、負荷を軽減し、また、異常発生時にはスキップ処理などにより更新を継続できるため、システム全体の可用性も向上したエレベータシステムが開発されています(以下URL)。
エレベーターのファームウェア更新システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7618607/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(各コントローラの回路設計とプリント基板レイアウト設計、ファームウェアを格納する不揮発性メモリの選定とアクセス速度の最適化、ノイズ耐性の高い通信インターフェースの検討およびシステム全体の電力効率の評価)、情報科学(エレベーターの稼働データ(例:呼びの割り当て、滞在人数)の解析および最も効率的な更新順序をリアルタイムで生成するスケジューリングアルゴリズムの設計、ネットワーク障害発生時のデータ再送メカニズムやエラー回復プロトコルの実装)
従来の大積載・高速エレベーターでは、かごの自重や積載量増大により、荷重を支えるバネや防振ゴムが大型化・多数量化し、限られたスペースでの設置が困難でした。また、バネの落下リスクや防振ゴムの劣化による荷重検出精度の低下、さらにはメンテナンス時の作業性悪化も問題でした。
これに対し、かご本体上部の主ロープが巻き掛けられるかご上プーリを支持するプーリ支持部と、かご本体を支持する上枠との間に複数のバネとプーリ支持部が上枠から離れる方向への移動を制限する落下防止部材(落下防止ロッドや落下防止曲げ板など)を有するかご上バネ構造体が配置されたことにより、バネの脱落を防ぎつつメンテナンス時の位置決め作業を容易にし、安定した荷重検出精度を維持できるため大積載エレベーターの安全性と保守性を両立するエレベーターの乗りかごが開発されています(以下URL)。
エレベーターの乗りかご→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7671688/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(かご上バネ構造体やその支持部の最適な強度、剛性、耐久性の設計、各部材(バネ、落下防止部材、プーリ支持部、上枠など)にかかる応力分布や変形量の評価および材料選定や形状最適化)、材料科学(大荷重下での長期使用に耐えうる高強度鋼や特殊合金の選定と熱処理条件の最適化、バネの繰り返し伸縮に対する疲労特性評価、防振ゴムのような弾性部材のヒステリシスや劣化特性の評価と代替材料の探索)
(4)A61B|開発トレンドと専門性

A61Bは診断、手術、個人認識に関する分類です。
既存技術では、利用者の生体情報から心身の主観状態(感情、疲労、気分など)を推定し、介入をおこなう試みがなされていますが、主観状態と生体状態の関係性の複雑さや質の高い学習データの取得が困難という課題がありました。特に、利用者が無自覚な主観状態の変化を捉えることは難しく、適切なタイミングでの介入やデータ収集ができていませんでした。
これに対し、利用者の生体計測データを受け付け、そのデータが過去の自身のデータからどの程度逸脱しているか(逸脱度)を評価し、同時にその生体データから推定される心身主観状態を示す主観値の不確実性を評価し、これら逸脱度と不確実性の両方に基づいて利用者の普段の心身主観状態からの乖離の程度(乖離度)を評価することで、利用者が普段と異なる心身主観状態にあるタイミングをより適切に判断し、介入やデータ収集のための通知を効果的におこなうことが可能となる生体計測データ処理装置が開発されています(以下URL)。
生体計測データ処理装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7689506/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(時系列データである生体計測データの前処理(ノイズ除去、特徴量抽出、正規化)手法の選定と実装、生体情報と主観値の複雑な関係性を捉えるための深層学習モデルの構築、推定された乖離度の信頼性評価と閾値設定のための統計的仮説検定の実施)、認知科学(生体信号のパターンと特定の感情や疲労感との間の認知メカニズムの分析、個人差による生体反応の変動要因の特定、推定された主観値の解釈性向上のための認知モデルの導入、利用者の認知バイアスがアンケート回答や通知への反応に与える影響の評価)
従来の情動推定技術は心拍などの生体信号のみを用いるため、ユーザーの運動による生体信号の変化が情動推定に悪影響を及ぼし、結果として推定精度が低いという問題がありました。
これに対し、ユーザーの運動信号と生体信号を同時に取得し、運動の影響を低減した補正生体信号時系列を生成する第1モデルを用いるシステムであり、この補正された生体信号の特徴量と、平静時の生体信号時系列から学習された情動推定モデルの組み合わせにより運動に起因しない純粋な情動を高精度に推定することを可能にするシステムが開発されています(以下URL)。
情動を推定するシステム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7668208/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(ウェアラブルデバイスに搭載する生体センサーのノイズ耐性向上の検討、デジタル信号処理による運動アーチファクトの除去アルゴリズムの設計、低消費電力で高感度な計測回路の設計、取得した生体信号を無線でデータ処理システムに送信するための通信プロトコルの最適化)、情報科学(センサーから得られた時系列データを前処理するためのデータ構造とアルゴリズムの設計、機械学習を用いた情動推定モデルの構築、推定結果をリアルタイムでユーザーやサービスにフィードバックするためのソフトウェア設計)
従来の自己採血では十分な量の血液が採取できない問題がありました。
これに対し、指に装着されたカフ(指を圧迫して血流を調整する帯状の部品)の加圧・減圧の繰り返しで血流を促進し、静脈を強調し、同時に、指を透過した光をカメラが撮影し、その映像に基づいて穿刺針の移動範囲内で最も太い指静脈上の位置を特定し、そこに自動で穿刺することにより、採血効率を向上させ、非専門家でも安定して十分な量の血液を採取できるシステムが開発されています(以下URL)。
指からの自動採血システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7660051/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(採血針を正確に指の静脈に穿刺するための微細な駆動機構の設計、カフの適切な加圧・減圧を実現する空気圧システムの最適化、装置の小型化・軽量化のための構造設計、医療機器としての安全性と耐久性を確保するための強度解析)、情報科学(カメラから得られる画像データから静脈の位置を正確に特定して採血効率を最大化するための画像処理アルゴリズムの設計、システム全体の制御ソフトウェアの設計)
従来の姿勢診断技術では、体の伸縮状態を示すに留まり、特定の筋肉が硬い(過活動状態)のか弱い(非活動状態)のかといった詳細な状態評価は困難でした。
これに対し、被験者が特定の姿勢をとった際の姿勢画像データと足底圧データをデータ取得部で同時に取得し、状態判定部がこれらのデータから算出される数値(例えば、骨格パターンや重心座標)を判定式に入力し、個々の筋肉が「硬すぎる状態(過活動)」または「弱すぎる状態(非活動)」であるかを数値として出力する装置でありう、複数の判定式を組み合わせたり、足底圧データに基づいて最適な判定式に切り替えたりする機能により、さまざまな姿勢や個人差に対応した筋肉の状態評価を実現する筋肉状態評価装置が開発されています(以下URL)。
姿勢と足底圧データから筋肉の状態を評価する装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7623892/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(画像処理技術を用いた姿勢画像からの骨格特徴点の抽出、足底圧データからの重心移動パターンの解析、機械学習による過活動・非活動筋肉の自動判別モデルの構築と最適化、異なる判定式の統合と切り替えロジックの設計)、人間工学(さまざまな体格や身体能力の人が自然な姿勢でデータ測定できるような装置の物理的な配置や操作部の設計、測定時の被験者の負担軽減の検討、評価結果をユーザーが直感的に理解できるような表示方法やフィードバックの最適化)
(5)G05B|開発トレンドと専門性

G05Bは制御装置などに関する分類です。
従来の産業機器制御では、異なる種類の機器やメーカーの異なる機器を同時に制御する際、各機器が指令を受信してから実行するまでの時間差(指令実行時間差)や実行周期・開始タイミングのずれにより動作の同期が困難でした。
これに対し、通信部で機器に指令を送信し、その指令実行時間差を指令実行時間差取得部で取得し、この時間差を用いて周期計算部が機器の指令実行周期を、位相計算部がその基準点となる位相をそれぞれ算出し、指令補正部がこれらの周期と位相に基づき機器が次に指令を実行する正確なタイミングを予測し、その予測されたタイミングで機器が実行すべき指令の値を算出して補正することで、たとえ個々の機器の動作特性にずれがあっても複数の機器間での同期動作や単一機器の理想的な動作を実現する制御装置が開発されています(以下URL)。
複数の機器を協調動作させるための制御装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7617050/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(機器間の通信を担う通信部の回路設計、指令を生成し補正する信号処理回路の設計、時間差や周期、位相を正確に測定・計算するためのセンサーや計測システムの選定と統合、産業環境下でのノイズ対策や信頼性の高い電源供給システムの構築、実際のロボットなどの機器と連携するためのインターフェース設計)、情報工学(機器からのデータ(指令実行時間差など)を効率的に収集・解析するためのデータ構造とデータベース設計、指令実行周期や位相を算出するための数学的モデルの実装、予測されたタイミングで最適な指令値を生成する補間アルゴリズムや機械学習モデルの設計、複数の機器を並行して制御するためのリアルタイムオペレーティングシステムの選定と最適化)
従来の設備異常診断では、負荷変動による電流値の変動や多様な部品の存在により、電流データから異常を正確に検出することが困難でした。
これに対し、予兆診断処理生成部と予兆診断処理生成インタフェースを備え、予兆診断処理生成部はインタフェースを通じてユーザーから入力された指示に基づき、時系列の電流データから特定の条件を満たすデータのみを抽出するデータ抽出方法と、抽出された電流データの異常度を算出する異常度算出方法を設定し、これらの方法は設備から取得した電流データに対して、データ抽出部で必要なデータを選別し、異常度算出部でその異常度を算出する際の具体的な処理内容やパラメータ(データの範囲、異常度判定閾値など)を定義し、予兆診断処理生成部は設定されたデータ抽出方法と異常度算出方法とを組み合わせて、当該設備の異常予兆を診断するための予兆診断処理を生成するこれらの構成により、ユーザーが対象設備の特性や診断したい異常の種類に応じて最適な診断ロジックを柔軟に構築し、高精度な異常予兆診断を実現できる予兆診断処理生成装置が開発されています(以下URL)。
設備の異常予兆を電流データから診断処理する装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7518105/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(設備から得られる大量の電流データを効率的に処理して異常を示すパターンを識別するためのデータ分析手法とアルゴリズムの設計)、人間工学(データ抽出や異常度算出方法を設定する際のグラフィカルユーザーインタフェースのレイアウトの設計、情報提示方法の最適化、ユーザーの操作フローの分析と簡素化、診断結果を視覚的に分かりやすく表現するためのダッシュボードやアラート機能の設計)
従来の技術では、プラント診断のためにセンサーデータをグループ化する際、専門知識が必要であり、またグループごとのセンサー数やグループ総数を調整できないという問題がありました。
これに対し、複数のセンサーデータを取得するセンサーデータ取込部、センサー間の相関係数を計算する解析部、相関の高いセンサー同士をグループとして定義する解析グループ作成部を備え、解析グループ作成部は各センサーをノードとし、相関係数が閾値以上のセンサー間にエッジを設定したグラフを作成し、グラフ理論におけるクリークまたはクリークコミュニティの概念を用いて相関の高いセンサー群を特定することにより、ユーザーが各グループに含めるセンサー数や作成されるグループの総数を調整できるデータ選択処理システムが開発されています(以下URL)。
プラントに設置された多数のセンサーデータを自動的にグループ化するデータ選択処理システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7672952/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(センサーデータの収集・前処理のためのデータパイプラインの構築、相関係数算出やグラフ理論に基づくクリーク検出アルゴリズムの実装と最適化、分散処理技術を用いた大規模データ処理システムの設計、リアルタイムでの異常検知とグループ化を実現するためのシステムアーキテクチャの構築)、電気電子工学(ノイズの影響を最小限に抑えるためのアナログ・デジタル変換回路の設計、センサーの種類に応じた信号処理回路(フィルタリング、増幅など)の設計、無線通信を介したデータ伝送における安定性・信頼性の確保)
大規模プラントでは、異常発生によって通路が使用不能になることがありますが、従来のシステムでは事前に設定された経路しか提示できず、現場の状況変化に対応できませんでした。
これに対し、プラントの運転データを診断して異常を検知する診断部と、異常発生箇所を推定し、そこへの点検経路またはそこからの避難経路を決定する経路決定部を備え、経路決定部はプラントの設計情報と異常発生前後にカメラで撮影された画像データを比較することで、現在通行可能な通路や将来通行不能になる可能性のある通路を検出し、これらの情報に基づいて最適な経路を算出することにより、プラントの状況変化に即応し、作業員の安全性を向上させることが可能となるプラント運転支援装置が開発されています(以下URL)。
プラント運転支援装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7685420/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(センサーデータの収集・前処理、異常診断のための機械学習モデルの実装とチューニング、経路探索アルゴリズムの実装と最適化、リアルタイム処理を実現するためのシステムアーキテクチャの設計)、機械工学(プラントの配管、ポンプ、バルブなどの構造解析、異常発生時の変形・破損予測、振動や熱といった運転データから設備の劣化状態を診断する手法の設計、異常発生による落下物や構造変化が通路の安全性に与える影響の評価、避難経路や点検経路上の設備に関するリスク評価)
(6)H02J|開発トレンドと専門性

H02Jは電力給電または電力配電のための回路装置または方式などに関する分類です。
近年、太陽光や風力発電の導入拡大により、従来の同期発電機が持つ慣性や同期化力が低下し、事故時に大規模停電のリスクが高まるという問題がありました。
これに対し、電力系統に接続された装置(例えば、電力貯蔵装置)の出力を制御する中央演算装置を備え、この中央演算装置が複数の発電機の周波数から周波数変化率を算出し、その変化率や感度、発電機の運転情報に基づき、どの発電機を安定させるべきかを判定し、装置の有効電力を適切に制御することで、系統事故時でも連鎖的な電源脱落を防ぎ、停電リスクを低減することを可能な電力系統安定化システムが開発されています(以下URL)。
再生可能エネルギー電源が多く接続された電力系統の安定性を向上させるシステム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7657166/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(複数の発電機と電力変換回路を介した装置を含む電力系統全体のモデリング、系統事故時の周波数変化率の挙動解析、電力貯蔵装置の有効電力制御による系統安定化効果の定量的評価、リアルタイムでの系統状態推定アルゴリズムの設計、再生可能エネルギー電源の連系に関する技術的要件を考慮した制御ロジックの設計)、制御工学(周波数変化率や発電機の運転情報に基づき電力変換装置の出力を決定する判定値演算部や有効電力制御量演算部の制御アルゴリズム設計、複数の発電機の周波数変動の違いを考慮した分散型協調制御の検討、目標とする周波数安定性を達成するための制御ゲインのチューニング、外乱(事故発生)に対するシステムの応答特性の分析とロバスト制御設計)
従来の配電系統では、太陽光発電などの分散電源の導入により潮流が複雑化し、従来の簡略化されたモデルでは分岐線での過負荷や電圧逸脱といった運用制約違反を見落とす可能性がありました。
これに対し、配電系統モデルの分岐線における潮流状態(電流や電圧)に基づいて運用制約違反の可能性がある区間をより詳細な粒度でモデル化する粒度可変区間モデルを生成し、この詳細なモデルを基に潮流解析をおこない、その結果に基づいて最適な配電系統構成を構築することで、計算量を抑制しつつ運用上の問題を見逃さずに安定的な電力供給を可能にする配電系統構成構築方法が開発されています(以下URL)。
分散電源が多く接続された配電系統の系統構成を構築する方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7664817/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(分散電源の連系が配電系統に与える影響(逆潮流、電圧変動、過負荷など)の分析、配電線や変圧器などの設備における電流容量制約や電圧上下限制約の評価、事故時の保護協調と復旧に関する検討、既存の配電自動化システムとの連携方法の設計)、情報科学(配電系統のノードとエッジからなるグラフ構造の効率的なデータ表現、区間モデルの粒度を動的に変更するためのデータ構造と処理アルゴリズムの設計、ニュートン・ラプソン法などの潮流計算アルゴリズムの実装と高速化、配電損失最小化や運用制約を満たす系統構成を探索するための組合せ最適化アルゴリズムの適用)
従来の技術では、MLモデルの予測精度が低下した場合に再学習を行うものの、それが実際に制御結果にどれほど影響を与えるかを考慮していなかったため、不要な再学習が発生し、リソースの無駄が生じるという問題がありました。
これに対し、MLモデルの予測値に基づく第1の制御計画で機器を制御した結果と、物理量の実測値に基づく第2の制御計画で機器を制御した場合の結果との比較において、第1の制御結果が第2の制御結果に対して「負の差」が生じる場合、すなわち、実際の制御結果が理想的な(実測値に基づいた)制御結果よりも悪化している場合に限り、MLモデルの再学習が必要であると判断することにより、予測精度の低下が実システムに与える影響度合いを考慮した上で、MLモデルの再学習の要否を適切に判断することが可能となり、無駄な再学習を削減し、システムの運用効率を向上させることができるMLモデルの管理装置が開発されています(以下URL)。
機械学習モデルの管理装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7667727/15/ja
関連する専門分野の例:制御工学(再生可能エネルギーの発電量や消費電力量の予測値および実測値に基づき蓄電池の充放電制御や計算機のワークロード制御といった複数の制御対象機器を協調させる制御アルゴリズムの設計、予測誤差が電力システムの安定性や経済性に与える影響の評価に基づきMLモデルの再学習閾値の決定)、情報科学(再生可能エネルギー発電量や消費電力量の予測に最適な機械学習アルゴリズムの選定、大量の時系列データを効率的に処理するためのデータ構造やアルゴリズムの設計)
大規模災害時などに発生する広範囲な停電に対し、既存の復旧計画では分散電源を最大限に活用できず、効率的な復旧が困難という問題がありました。
これに対し、事故で電力系統から切り離された区間を、隣接する開閉器で区切られた「開閉器区間」として細かく定義し、各開閉器区間に分散電源(太陽光発電や蓄電池など)や電源車が存在するかを識別し、それらを用いて独立して電力供給が可能な区間を「単独運転区間」として自動的に洗い出し、そのための計画を単独運転計画部が単独運転計画を立案し、これに基づき復旧作業計画部が事故や被害設備の復旧作業計画を立案することにより、復旧作業が完了していない、または完了に時間がかかる区間であっても、単独運転可能なエリアから優先的に電力供給を再開することが可能になる復旧意思決定支援装置が開発されています(以下URL)。
電力系統の事故発生時における復旧意思決定を支援する装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7658880/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(事故発生時の停電範囲や設備被害状況をリアルタイムで把握するためのデータ収集・統合システムの設計、単独運転区間の形成や復旧作業の優先順位付けを行うための最適化アルゴリズムの実装、複数の分散電源からのデータを取り込み計画の実行中に発生する変化に対応できるリアルタイム処理システムの構築)、電気工学(分散電源(太陽光発電、蓄電池など)のモデル化による単独運転時の電力潮流や短絡電流の解析と系統保護装置の設定値の検討、復旧プロセスにおける配電自動化機器を遠隔操作するための通信プロトコルや制御ロジックの設計、復旧計画に基づき需要と供給のバランスを保ちながら電力を供給するための電力品質(電圧、周波数)の維持制御システムの設計)
(7)H04L|開発トレンドと専門性

H04Lはデジタル情報の伝送に関する分類です。
従来のブロックチェーンを用いたデータ連携では、ブロックチェーンの外部に存在するデータへの直接的なアクセスやその真正性の保証が困難という問題がありました。
これに対し、データを保有するデータ提供サーバと、データを取得したいデータ取得サーバ、複数のブロックチェーンノードで構成され、ブロックチェーンノードにはデータへのアクセス権要求に応じてトークンを生成し検証用データを記録するアクセス許可スマートコントラクトと、そのデータを用いてトークンの正当性を検証するトークン検証スマートコントラクトが備えられており、データ取得サーバはアクセス許可スマートコントラクトを通じてアクセス権を要求し、そこで発行されたトークンをデータ提供サーバに送付してデータを取得し、データ提供サーバは受け取ったトークンをトークン検証スマートコントラクトで検証させ、その検証が成功した場合にのみデータを提供することにより、データ本体をブロックチェーン上に置くことなく、そのアクセス権をブロックチェーンで管理し、トークンを介して安全かつ信頼性の高いデータ流通を実現するデータ受け渡しシステムが開発されています(以下URL)。
データ受け渡しシステム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7357096/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(データへのアクセス権限を管理するスマートコントラクトの設計、トークンの生成と検証に用いる暗号技術(例: 電子署名)の選定、データ提供サーバとデータ取得サーバそしてブロックチェーンノード間のデータ連携プロトコルの設計)、ソフトウェア工学(データ提供サーバ、データ取得サーバおよびブロックチェーンノード上で動作するアプリケーションソフトウェアの要件定義、設計、実装、スマートコントラクトを含むシステム全体のテスト計画の策定と実行)
5Gのような高度な通信ネットワークでは、エッジサーバの導入により多様なアプリケーション要件に対応する必要があり、事前の設定だけでは運用開始後に不適切なパラメータ値の変更が生じやすいという問題がありました。
これに対し、複数の設定テンプレートからユーザーのアプリケーション要件に適合するテンプレートを選択するテンプレート管理部と、選択されたテンプレートに基づいて決定されたパラメータ値をエッジサーバを含むネットワークシステムに設定する設定部、設定後のネットワークシステムの状況を監視するシステム監視部を備え、システム監視部の監視結果(ネットワーク品質やプロファイル情報)に基づいて、テンプレート管理部が対象の設定テンプレートを自動的に更新したり、表示されるテンプレートパラメータ値を監視結果に基づく値に調整したりすることにより、ネットワーク運用後に設定変更の必要性を低減し、アプリケーション要件に合わせた最適なネットワーク設定を自動的に学習し、提供することが可能となるネットワーク管理システムが開発されています(以下URL)。
エッジコンピューティング環境における通信ネットワークの動的な設定最適化を支援するネットワーク管理システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7675036/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(ネットワーク品質(例: 遅延、帯域、パケットエラー率)とアプリケーション要件の関係のモデル化および最適な設定パラメータを導出する機械学習アルゴリズムの設計、エッジサーバやコアネットワークから収集される大量の監視データをリアルタイムで処理し分析するためのデータパイプラインとデータベース構造の設計)、電気電子工学(5G/6Gのような無線通信技術における物理層およびMAC層の特性を考慮したネットワークパラメータ(例: 変調方式、符号化率、リソースブロック数)の設計、ネットワーク品質を監視するためのセンサーや測定装置の選定、設置および収集データの正確性・信頼性の評価)
近年、クラウドサービスを活用したSaaS型の管理サービスが増加し、複数の組織が情報機器を共通の管理システムで扱うことが一般的になりました。しかし、情報機器の管理権が移譲される際、管理システム上での紐付け解除を忘れると、移譲元の組織が引き続き管理できてしまうという問題がありました。
これに対し、周辺情報機器管理情報(過去に認識された周辺情報機器の構成情報)を記憶装置に格納し、管理対象情報機器から現在周辺情報機器構成情報(現在認識された周辺情報機器の構成情報)を受信するプロセッサを備え、プロセッサは受信した現在周辺情報機器構成情報と周辺情報機器管理情報に含まれる周辺情報機器の複数種類の識別子(例: MACアドレス、WWN)を比較し、その一致度を算出し、算出した一致度が事前に設定された閾値以下である場合、プロセッサは管理対象の情報機器に対して警告の出力要否を判定し、警告を促すことにより、情報機器の管理権が適切に移譲されていない状況を自動的に検知し、誤った管理状態が継続する可能性を低減できる管理システムが開発されています(以下URL)。
情報機器の管理権の組織間の移譲が安全に行われているかの管理システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7311660/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(複数の異なる識別子(MACアドレス、WWNなど)を用いて周辺情報機器の一致度を正確に算出するためのロバストな比較アルゴリズムの設計、大量の情報機器とその周辺環境データを効率的に格納して検索・比較できるデータベーススキーマとデータ管理システムの構築)、電気電子工学(ネットワークインターフェース(NIC、HBAなど)の挙動の解析および最適な情報取得メカニズムの設計、異なるネットワーク環境(有線、無線、光ファイバーなど)における通信プロトコルの特性の評価)
従来の技術では、情報配信失敗時の詳細な原因特定が難しく、効率的な対処が困難でした。
これに対し、計算機システムが複数のエッジ機器への情報配信を開始した後、各機器の状態を継続的に監視し、監視結果に基づきプロセッサが情報配信に失敗したエッジ機器とその失敗要因(機器固有の要因または複数機器に共通する要因)を特定し、特定された失敗要因に基づいて情報配信の中止に関する適切な操作内容を提示することで、作業者が状況に応じた的確な判断を下すことが可能になり、情報配信プロセスにおける運用効率と信頼性を高める情報配信処理の制御方法が開発されています(以下URL)。
多数のエッジ機器に対する情報配信処理の制御方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7609738/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(多数のエッジ機器からリアルタイムで稼働状況やリソース使用量などのデータを効率的に収集するための通信プロトコルやデータ形式の設計、収集したデータを用いて、情報配信の失敗が個々のエッジ機器の問題によるものかまたはシステム全体に影響する問題によるものかを自動的に判別するアルゴリズムの設計)、電気電子工学(エッジ機器と計算機システム間での安定した情報配信を実現するためのネットワークインフラの設計、エッジ機器が情報配信処理を問題なく実行できるためのプロセッサ、メモリ、ストレージといったハードウェア要件定義および適切な組み込みソフトウェアの設計・実装)
(8)H02M|開発トレンドと専門性

H02Mは交流-直流変換装置などに関する分類です。
複数のインバータを並列接続し大容量化する際、出力配線の長さが異なることで発生するインバータ間の横流が電流アンバランスを引き起こし、インバータの寿命ばらつきにつながる問題がありました。
これに対し、それぞれ異なる長さの出力配線を介して端子台に接続された複数のインバータユニットに対し、インバータ制御部が各インバータに個別の駆動パルスを与え、インバータ制御部は出力配線の長さが短いインバータほど、駆動パルスのオン時間を短くするように調整することにより、インバータ間の電流アンバランスが抑制され、インバータの寿命ばらつきを防ぐインバータ装置が開発されています(以下URL)。
インバータ装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7667320/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(インバータを構成する半導体スイッチ素子(IGBTなど)の選定と最適配置およびスイッチング損失を最小化するための回路設計、異なる長さの出力配線が持つ寄生インダクタンスや抵抗成分のモデル化と横流発生に与える影響の解析)、制御工学(出力配線の長さに基づいて各インバータに最適な駆動パルスのオン時間を決定する制御ロジック設計、インバータ間の横流や電流アンバランスをリアルタイムで検出して駆動パルスを動的に調整するフィードバック制御システムの設計)
従来のインバータ装置では、並列接続された複数のインバータを常に作動させるため、特定のインバータに負荷が集中し、寿命のばらつきや全体寿命の短縮が問題でした。
これに対し、負荷検出部が検出した昇降機の積載量と速度に基づき、最大負荷電流算出部がモータ駆動に必要な最大負荷電流を算出し、この算出された電流値に応じて、ゲート指令部が並列接続されたインバータの中からモータ駆動に必要最小限の数のインバータを選択して作動させ、不要なインバータを停止させ、記憶部に蓄積された各インバータの駆動時間と温度ストレスから寿命算出部が各インバータの寿命を推定し、ゲート指令部が寿命が短いインバータから優先的に停止させることで、個々のインバータへのストレスを分散させ、システム全体の寿命延長とインバータ間の寿命均等化を実現するインバータ制御装置が開発されています(以下URL)。
昇降機用インバータ制御装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7657704/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(昇降機の積載量や速度に応じたモータの電力消費特性を詳細に解析および最適なインバータの容量設計や回路トポロジーの選定、システム全体の電力損失を最小限に抑えるための回路設計や部品選定)、制御工学(昇降機の積載量や速度から必要な最大負荷電流をリアルタイムで算出し作動させるインバータ数を決定する適応制御ロジックの設計、各インバータの駆動時間や温度ストレスを継続的に監視しこれらから高精度に寿命を推定する予測アルゴリズムの設計)
従来の電力変換装置では、並列接続されたパワー半導体素子の特性ばらつき(ターンオン/オフ遅延時間やオン電圧など)により素子間で電流がアンバランスになり、結果として発熱に差が生じ、温度アンバランスや寿命低下が問題でした。
これに対し、並列接続された各電力変換ユニットに搭載された温度センサがスイッチング素子の温度を常時監視し、温度検出回路がキャリア周波数調整部によるキャリア周波数変更前後における各スイッチング素子の温度差の変化量を検出し、この変化量が所定値より大きい場合、遅延時間調整部がその温度差が所定値以下になるように各スイッチング素子のターンオンまたはターンオフ時間を調整し、温度差が依然として大きい場合はゲート電圧調整部が各スイッチング素子のオン電圧を調整することで、遅延時間ばらつきとオン電圧ばらつきの両方に起因する温度アンバランスを抑制し、電力変換装置の信頼性と寿命を向上させる電力変換装置が開発されています(以下URL)。
電力変換装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7653886/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(パワー半導体素子の特性評価およびターンオン/オフ遅延時間やオン電圧のばらつきが電力損失や発熱に与える影響の分析、温度センサの選定と配置の最適化と正確な温度情報が取得できるような回路設計、遅延時間調整部やゲート電圧調整部を含む制御回路の電気回路設計)、制御工学(温度検出回路から得られる温度差の変化量に基づき遅延時間調整の必要性を判断するロジックの検討、ターンオン/オフ時間の調整がスイッチング素子の電流分担や温度に与える影響を予測するモデルの構築および最適な調整量を算出するアルゴリズムの設計)
既存技術では、並列接続されたスイッチング素子全体のスイッチング損失を十分に低減できないという問題がありました。
これに対し、インダクタンス成分を介して並列接続された複数の電力変換ユニットを備え、制御部が各電力変換ユニット内のスイッチング素子のターンオンタイミングを制御する装置であり、第一の電力変換ユニットのスイッチング素子のターンオンタイミングと、第二の電力変換ユニットのスイッチング素子のターンオンタイミングとを交互に繰り返し遅延させることで、各スイッチング素子のスイッチング時に流れる電流が小さくなるように調整されることで、ターンオン時のスイッチング電流の合計が低減され、電力変換装置全体のスイッチング損失が抑制される電力変換装置が開発されています(以下URL)。
並列接続された電力変換モジュール群のスイッチング損失を低減する電力変換装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7569273/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(遅延時間制御が電力変換装置全体の効率に与える影響の分析、インダクタンス成分の設計(インダクタンス値、配置など)の最適化)、制御工学(各電力変換ユニットのスイッチング素子に対して最適なターンオンタイミングの遅延量を算出する制御アルゴリズムの設計、負荷電流の変動やシステムの状態に応じて遅延時間を動的に調整する適応制御ロジックの設計)
(9)B61L|開発トレンドと専門性

B61Lは鉄道交通の案内や保安に関する分類です。
既存技術では、古い信号方式(ATC)専用区間で信号が受信できない場合に列車が自動停止してしまう問題がありました。
これに対し、地上から受信した従来のATC信号に基づいて列車を制御する第1演算部、地上から新しい無線列車制御信号(CBTC信号)を受信する第2受信部、その信号に基づいて列車を制御する第2演算部を備える装置であり、この第2演算部は受信したCBTC信号から既存のATC信号として機能する情報を生成・変換する機能を有することにより、ATC信号が受信できない暫定領域に入っても、第2演算部が生成した擬似的なATC信号が第1演算部に供給され、あたかもATC信号が正常に受信できているかのように列車を制御でき、結果として、信号の混在や途絶えによる不要な列車停止を防ぎ、新旧システム移行期間中の営業運転を継続し、鉄道システムの改修に伴う運行支障を軽減が開発されています(以下URL)。
新旧異なる列車制御システムが混在する区間の運行の列車制御装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7650841/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(速度検出部、位置情報受信部、第1・第2受信部などの各機能ブロックの回路設計、マイクロコントローラやFPGAなどの演算処理部に最適なプロセッサの選定およびハードウェア記述言語を用いた論理回路設計や基板実装設計)、情報科学(速度制限パターンからの速度照査、実速度との差分計算、ブレーキ指令の生成といった列車制御ロジック設計による計算負荷や処理時間の最適化、CBTC信号をATC信号へ変換する変換アルゴリズムの設計)
従来のシステムでは、異常発生時のバックアップ計算機が通常時に余剰設備となってしまうという問題がありました。
これに対し、各計算機と各機能に優先順位が設定され、各計算機が自身の優先順位に応じた機能を実行するとともに、相互監視によって他の計算機の実行機能を判断することにより、ある計算機が停止した場合でも、残りの計算機が優先順位の高い機能を代替実行し、システムの機能縮退を最小限に抑えつつバックアップ用の余剰設備を削減できる旅客案内システムが開発されています(以下URL)。
複数の計算機で構成される旅客案内システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7649265/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(複数の計算機間でのデータの整合性を保ちながら障害発生時にいかに迅速かつ正確に機能を引き継ぐかという分散合意アルゴリズムの設計、通信遅延やデータ損失が発生した場合でもシステムが安定して稼働するためのネットワークプロトコルの最適化、システム全体のパフォーマンスを最大化するための負荷分散技術の導入)、電気電子工学(複数の計算機が安定して動作し相互に連携するための電源供給システムの設計、通信インターフェースの最適化、長期的な運用に耐えうる電子回路の信頼性向上の検討)
従来の技術では、実際の列車運行で得られるランカーブデータは運転士の技量や遅延・早発といった要因によりばらつきが大きく、複数のデータを比較して車両機器の異常を分析することが困難でした。
これに対し、複数のランカーブデータを記憶し、それらを比較して所定の許容誤差範囲に収まるように補正し、ばらつきのある複数のランカーブデータをあたかも同じ条件下で取得されたかのように近似させ、補正されたランカーブデータとそれに対応する車両機器データを関連付けて分析することで、統計的な解析に基づき車両機器の異常を検知し、保守作業の効率化と精度向上を実現する鉄道保守データ分析支援方法が開発されています(以下URL)。
鉄道車両の保守データ分析を支援する方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7458347/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(ばらつきのあるランカーブデータを正確に補正するための数値解析アルゴリズムの設計、大量の時系列データから車両機器の異常を効率的に検出するパターン認識や機械学習モデルの実装)、機械工学(列車走行時の速度、加速度、位置などのランカーブデータと車両の駆動系、ブレーキ系、台車などの機器の動作データ(トルク、回転速度など)との物理的な相関関係の解析、異常を示すデータパターンの特定、ランカーブ補正アルゴリズムのパラメータ設定の妥当性評価)
従来の障害物検知システムは検知率向上に注力するため、実際には障害物でないものを誤って検知し、運転士に頻繁に誤警報を出してしまう問題がありました。
これに対し、障害物検知部に加えて外界環境認識部を備え、この認識部は外界センサから得られる情報に基づいて分岐部や曲線部、駅部など、障害物を誤検知しやすい特定の環境(誤検知条件)を認識し、制御部がこの誤検知条件に該当すると判断した場合、運転士への障害物に関する運転支援を一時的に中断するよう制御することにより、不要な誤警報が運転士に通知されることを防ぐ障害物検知システムが開発されています(以下URL)。
軌道輸送システムにおける障害物検知システム→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7439007/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(外界センサから得られる多様なセンサデータ(画像、点群データなど)の統合・解析および誤検知条件(分岐部、曲線部、駅部など)の特徴量を抽出するアルゴリズムの設計、走行環境下での誤検知条件の認識精度を最大化するためのモデル最適化やパラメータチューニング)、電気電子工学(多様な外界センサ(カメラ、LIDAR、ミリ波レーダーなど)の最適な組み合わせと配置の検討、各センサからのデータを同期・統合するための回路設計、誤検知条件の認識や運転支援の制御を行うプロセッサ(CPU, FPGAなど)の選定、運転士への情報出力インターフェースの視認性や操作性を考慮したハードウェア設計)
(10)G01N|開発トレンドと専門性

G01Nは材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析に関する分類です。
従来の含水率計、特に赤外線水分計では、計測対象である汚泥とセンサとの距離が変動すると、光学情報が変化し、含水率の計測精度が低下する問題がありました。また、この距離変動に対応するためには距離ごとに複数の回帰式を事前に構築する必要があり、その工数が増大するという問題がありました。
これに対し、光学センサと距離センサが組み合わされ、距離センサが計測した距離変動に基づいて光学センサの計測データを補正し、補正された光学情報を単一の検量モデル(回帰式)に適用することで、距離変動があっても高精度な含水率計測を可能にし、距離変動が所定の範囲外である場合は含水率の表示停止により信頼性の高いデータのみを提供する含水率計測装置が開発されています(以下URL)。
汚泥の含水率を光学的に計測する装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7684256/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(光学センサや距離センサから得られるアナログ信号をデジタル信号に変換するためのA/D変換回路の設計と最適化、計測された大量のデータを計算機に効率的に伝送するための通信インターフェースの設計、装置全体が過酷な環境下でも安定して動作するような電源回路の設計)、情報科学(距離センサから得られる距離情報と光学情報の関係のモデル化、距離変動の影響を補正するためのアルゴリズムの設計、汚泥の含水率を光学情報から高精度に導出するための検量モデルの構築)
従来の溶接部検査では、実際の溶接位置が設計図面と異なることが多く、検査範囲の決定が検査員の経験や技量に依存し、検査精度や効率に課題がありました。
これに対し、まず溶接後の管状部品の3次元形状を計測してデータ化し、次に設計段階の3次元CADデータを取得し、これら2つの3次元データをコンピュータ上で精密に重ね合わせることで設計上の溶接位置と実際の溶接形状との差分を自動的に算出し、これに基づいて検査範囲を決定することにより、検査員の経験に左右されずに、短時間で高精度に溶接部の検査範囲を特定し、効率的な検査を実現する検査方法が開発されています(以下URL)。
管状部品の溶接部の検査方法→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7332821/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(CADデータと点群データの最適な重ね合わせを可能にする幾何学的アルゴリズムの設計、データから溶接ビードや歪みによる形状差分を効率的に抽出し検査範囲の境界を自動的に特定する画像処理・点群処理アルゴリズムの設計、検査装置の動作制御や検査データの管理、可視化をおこなうためのソフトウェアアーキテクチャの設計)、機械工学(溶接による熱変形や残留応力が管状部品の3次元形状に与える影響の解析および実形状データとの比較による溶接状態の評価基準の確立、フレキシブルアレイセンサを管状部品の内面に確実に密着させ軸方向に自動で走査するためのマニピュレータ(自動走査装置)の機構設計、動力伝達系の最適化、位置決め制御システムの設計)
高価な偏光カメラを2台用いる既存技術は装置コストが高いという問題がありました。
これに対し、第一の光源からの平行光で粒子の散乱光画像を第二の光源からの平行光で粒子の影画像をそれぞれ撮像部に取得させ、画像処理部は、これらの画像から得られる粒子の散乱光強度と影サイズ(粒子サイズ)の対応関係を示す測定点をプロットし、この測定点を予め記憶された材料種ごとの理論相関曲線(散乱光強度と粒子サイズの理論値)と比較し、最短距離に基づき最も近い理論相関曲線を特定することにより、対象粒子の材料種を弁別し、さらに特定した理論相関曲線から粒子のサイズを算出するため、安価な構成で粒子サイズ測定と材料弁別を実現する粒子測定装置が開発されています(以下URL)。
粒子測定装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7611087/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(多様な粒子形状(球形、非球形、表面凹凸など)や屈折率に対する散乱光強度の理論モデル構築と実証、光源(LED、レーザ)の選定、平行光の生成方法および照射角度(散乱角θth)の最適化と測定感度と分解能を最大化する光学設計、マイクロスコープや撮像部の光学設計(焦点距離、レンズ径、開口数、収差補正など))、情報科学(散乱光画像と影画像における粒子の識別、位置特定および散乱光強度・影サイズの高精度な算出アルゴリズム設計、光源切り替え時の粒子移動や位置ずれを補償して同一粒子を正確にマッチングさせるための画像アライメント技術の確立)
従来のゲルシートを用いた超音波検査では、シートの劣化や錆・埃の付着によるノイズ発生および複雑な装置構成が問題でした。
これに対し、隣接する素子面が傾動可能な超音波アレイセンサと、これを支持する支持部材を備え、支持部材は検査対象物の内表面の曲率にセンサの素子面が沿い、かつ素子面との間に一定の隙間が形成されるようにセンサを支持し、この支持部材は検査対象物の内表面に密着する一対のガイド片を有し、ガイド片が密着した際に素子面と内表面の間に接触媒質が供給される隙間が形成され、この隙間は外部空間と連通することにより、ゲルシートを用いることなく液状の接触媒質を安定的に供給し、センサ素子面の摩耗や損傷を防ぎつつ超音波探傷を可能にする簡素な超音波検査装置が開発されています(以下URL)。
非破壊検査のための超音波検査装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7551563/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(超音波アレイセンサの素子面が検査対象物の曲面に沿ってスムーズに追従するよう支持部材の形状、寸法および可動機構の設計、支持部材と検査対象物の内表面との間に接触媒質が安定的に供給される最適な隙間を形成するための構造設計)、電子工学(高速・高分解能A/Dコンバータの選定、超音波アレイセンサから得られる微弱なアナログ信号を高精度にデジタル変換してノイズを効果的に抑制するためのA/Dコンバータやデジタルフィルタリング回路の設計、アレイセンサの移動機構や接触媒質供給の自動制御システムの設計)
3.5 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。

従来のMRI装置は傾斜磁場コイルの振動により発生する騒音が大きく、特に測定開始時の突発的な騒音が患者に精神的・肉体的負担を与えていました。
これに対して、静磁場と傾斜磁場によって発生する騒音に対し協和音程の関係にある付加音を含む緩和音を発する緩和音発生手段を備え、この緩和音は傾斜磁場コイルに電流が印加される期間が始まる前から漸増的に音量が上昇するように制御されることにより、騒音の突発的な発生を抑制し、また不快な騒音に協和音程の心地よい音を重ねることで患者が感じる不安感や不快感を低減するMRI装置が開発されています(以下URL)。
MRI装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6442252/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(共振点や振動モードの特定、制振材の選定やコイル支持構造の設計、音響伝達解析、遮音壁や防振マウントの設計、残響時間測定による吸音効果の評価、スピーカの耐磁場性評価、患者の頭部位置を考慮した最適なスピーカ配置の設計)、電気電子工学(大電流・高電圧対応のパワーエレクトロニクス回路設計、信号対雑音比を最大化する回路構成の最適化、音源合成アルゴリズムの実装)
従来の放射線測定では、ガンマ線源から直接届く直達線と、途中で散乱した散乱線を区別できず、除染計画の立案や効果予測が困難でした。
これに対して、放射線検出部で得られたガンマ線スペクトルをもとに全線量を演算し、その際、スペクトルにおける測定対象核種固有の全吸収ピークを頂点とする山状部分と、そのエネルギーでの検出効率に基づいて直達線線量を演算し、この直達線線量を全線量から減算することで散乱線線量を算出する弁別により、汚染源の特定や除染計画の最適化、除染効果のより正確な予測が可能となる放射線測定装置が開発されています(以下URL)。
放射線測定装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6014648/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(放射線検出器の各素子から出力されるパルス信号をリアルタイムでエネルギー情報と位置情報に変換して高精度なガンマ線スペクトルを生成するためのデータ収集・処理パイプラインの設計、全線量、直達線線量、散乱線線量を算出する演算部の中核となるアルゴリズムの実装および計算負荷を考慮した最適なデータ構造と処理フローの設計)、電気電子工学(ガンマ線検出器から出力される微弱なアナログ信号を忠実に増幅しノイズを除去するための低ノイズアンプ、フィルター回路の設計、増幅されたアナログ信号をエネルギー情報として識別可能なデジタルデータに変換するための高分解能A/Dコンバータの選定およびその周辺回路の設計)
意匠上の理由で隠されたかご内操作盤は乗り場からの自動登録によって光漏れを起こし乗客を不安にさせたり、管理者による操作が乗客の登録を意図せずキャンセルしたりする問題がありました。
これに対して、制御装置が乗りかご内のスイッチボックスに格納されたかご内操作盤の動作を制御、具体的には、スイッチボックスが開いている間だけ乗り場行先階登録装置で登録された行先階のボタンを点灯させ、閉じると消灯させることで乗客が操作盤の存在を知らない状態で光が漏れる事態を防ぎ、また、管理者などが手動で登録した行先階はキャンセル可能ですが、乗り場側で登録された行先階はたとえ手動で操作盤からキャンセル操作が入力されても無効とし、その際にはボタンを点滅させて操作者にフィードバックすることにより、乗客の登録した行先階への確実なサービス提供を保証しつつ意図しない不具合の発生を防ぎ、管理者・保守作業員の操作性と利用者の利便性を両立するエレベータ制御装置が開発されています(以下URL)。
エレベータ制御装置→https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7634135/15/ja
関連する専門分野の例:制御工学(乗り場行先階登録装置からの情報、かご内操作盤の開閉状態、手動登録の有無、専用運転・保守運転モードなどの多数の制御パラメータを統合してエレベーターの割り当て、停止階の決定、ドアの開閉時間調整などをおこなう状態遷移制御モデルの構築、制御遅延の評価と最適化、誤操作防止のためのインターロック機構の設計)、情報科学(乗り場行先階登録装置、エレベーター制御装置、群管理制御装置など分散配置された各装置間のデータ通信プロトコルとネットワークアーキテクチャの設計、かご内操作盤のタッチパネル表示、行先階ボタンの点灯制御、キャンセル操作時の点滅表示など視覚的な情報提示とユーザーからの操作入力を処理するソフトウェアモジュールの設計)
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
(1)データ処理関連(G06F)
・情報系その他分野(情報工学、ソフトウェア工学、経営情報学など)
各種情報の抽出、取得方法や情報処理をおこなうためのシステム設計、経営効率や意思決定に貢献するためのシステム設計などが求められます。
(2)各種システム関連(G06Q)
・情報系、電気系、機械系分野(情報工学、経営情報学、情報科学、電気電子工学、機械工学など)
情報系では大量の情報を処理するためのデータ分析基盤やデータ構造の設計、経営管理要素を踏まえたモデル設計などが、センサーからの信号処理や装置の稼働、制御を伴うシステムは電気系や機械系の設計などが求められます。
(3)エレベータ関連(B66B)
・電気系、機械系、情報系、材料系の分野(電気電子工学、機械工学、デザイン工学、情報工学、情報科学、材料科学など)
電気系では制御装置の回路設計、放熱設計、データ通信システムの構築などが、機械系では装置の構造設計や機器配置の最適化などが、情報系では取得情報の分析、制御システムに係る情報処理アルゴリズムの設計などが、材料系ではエレベータの強度、耐久性、耐食性などの特性に与える影響を考慮した材料の選定や設計などが求められます。
(4)診断、手術、個人認識関連(A61B)
・情報系、電気系、機械系の分野(情報科学、認知科学、電気電子工学、機械工学、人間工学など)
情報系では対象データの統計的な分析、所望の情報処理をおこなうモデルの構築などが、電気系では所望の計測や通信に関わる信号処理、回路設計などが、機械系では装置の機構設計や動作制御などが求められます。
(5)制御装置関連(G05B)
・電気系、情報系、機械系の分野(電気電子工学、情報工学、機械工学、人間工学など)
電気系では適切な通信をおこなための回路設計やシステム設計などが、情報系では所望の除法処理をおこなうためのアルゴリズムの設計や制御モデルの構築などが、機械系では制御対象となる装置などの構造解析や目的に応じた評価などが求められます。
(6)給電、配電等関連(H02J)
・電気系、情報系分野(電気工学、情報工学、情報科学、制御工学など)
電気系では電力系統の挙動などの解析や安定性評価、各装置を含む電力系統全体のモデリングや制御システムの設計などが、情報系では電力の安定的に稼働させるためのアルゴリズム設計などが、求められます。
(7)電信通信関連(H04L)
・情報系、電気系の分野(情報科学、ソフトウェア工学、情報工学、電気電子工学など)
情報系では所望の通信のためのアルゴリズム設計、通信システム設計、電気系では通信情報のシステム設計や品質評価などが求められます。
(8)インバータなどの変換装置関連(H02M)
・電気系、情報系、機械系の分野(電気電子工学、電気工学、制御工学など)
電気系では装置などのハードウェア設計、各種電子部品の選定・配置、所望の処理のための電気回路設計などが、情報系では所望の情報処理のためのアルゴリズム設計、機械系は装置や装置内の機構設計などが求められます。
(9)鉄道交通の案内や保安関連(B61L)
・電気系、情報系、機械系の分野(電気電子工学、情報科学、情報工学、機械工学など)
電気系では装置を構成するセンサー、受信機、演算部などの設計や信頼性評価などが、情報系では列車制御など所望の情報処理のためのアルゴリズム設計などが、機械系では列車走行など機器の動作データの解析などが求められます。
(10)材料の調査や分析関連(G01N)
・電気系、情報系、機械系、物理系の分野(電気工学、電子工学、情報科学、機械工学、応用物理学など)
電気系ではセンサなどからの信号を処理する回路設計、システムの安定性評価などが、情報系ではセンサなどからの情報を処理するためのアルゴリズム設計、機械系では装置に影響を与える応力や熱変形などの解析、装置の機構設計などが、物理系では光学設計など装置の測定原理に基づく評価、設計などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
各種情報処理装置からエレベータまで広範囲で特許出願されており、おこなわれている開発や求められる専門性も多岐にわたると考えられます。
大学の専攻と関連づけるとしたら、主に情報、電気、機械における研究分野が該当する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
興味を持った企業がある場合は、その企業に絞って調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
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<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
・本記事は、弁理士である管理人の視点で特許情報を独自に分析したものです。
・本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
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