今回は放送局(テレビ局)業界について取りあげます。
多くの人にとって、制作・発信された番組そのものはなじみがあると思います。
しかし、その裏側でどのような技術開発がおこなわれているのか、どのような専門性が求められるのは非常に見えづらいです。
これを特許情報からみていきます。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
今回は、放送局6社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。
結論(概要)は以下の通りです。
・情報系分野(情報科学、情報工学、通信工学、コンピュータサイエンス、コンピュータ工学など)
・電気系分野(電子工学、電気電子工学など)
・数学系分野(数理科学、応用数学など)
・化学系分野(無機化学、高分子化学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 放送局業界
2.1 放送局業界とは
ここでは、電波や有線ネットワークを用いて映像や音声コンテンツを不特定多数の視聴者に送るサービスを提供する業界を意図します。
2.2 サーチ対象
以下の放送局6社を対象にしました。
(2)テレビ朝日
(3)日本テレビ
(4)TBS
(5)フジテレビ
(6)東京テレビ
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
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法人向け |
・動画像を構成するフレーム単位の原画像を複数のブロックに分割して符号化する符号化装置 |
・薄膜トランジスタの製造方法 |
3.2 出願件数の推移
下図は放送局6社の特許出願件数の推移です。

飛び抜けて出願件数が多いのがNHKです。
このような出願につながる開発が日々おこなわれていることが推測されます。
他の5社については、上図からはわかりづらいですが、年に多くて数件から10件程度の出願数です(まったく出願されない年もあります)。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
NHK≫日本テレビ>フジテレビ>TBS≒テレビ朝日>テレビ東京
だと言えます。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
プロフィルの追跡などがこれに該当します。
テレビ朝日がこの分野から多く出願しています。
制御装置などがこれに該当します。
NHK、日本テレビ、TBS、フジテレビがこの分野から多く出願しています。
コンピュータグラフィックスのための3Dモデリングなどがこれに該当します。
NHKがこの分野から多く出願しています。
無線伝送方式などがこれに該当します。
日本テレビ、フジテレビがこの分野から多く出願しています。
放送関連システムなどがこれに該当します。
テレビ朝日がこの分野から多く出願しています。
ネットワークセキュリティプロトコルなどがこれに該当します。
TBSがこの分野から多く出願しています。
選択的なコンテンツ配信などがこれに該当します。
全社がこの分野から多く出願しています。
3.5 放送局6社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)NHK|開発トレンドと専門性

上図期間中、H04Nが最も多いです。次いでH04L、G06F、G06T、H01Lが多いです。
具体例として動画像を構成するフレーム単位の原画像を複数のブロックに分割して符号化する符号化装置が挙げられます。
従来の固定された処理順では参照画素が未復号となり予測精度が低下し、符号化効率が悪化することです。
これに対して、フレーム画像を分割したブロックの符号化処理順(スキャン順)を動的に決定する動画像符号化装置であり、決定されたスキャン順に基づき予測に利用できる参照画素の位置を特定し、参照画素の位置、つまりスキャン順に依存して実際に適用するイントラ予測モードの候補群を生成し、生成部が絞り込んだ候補群の中から最適な予測モードを決定し、そのモードでイントラ予測処理を施すことにより、予測に利用できないモードを候補から除外して予測精度を向上させ、全体としての符号化効率を向上させた符号化処理装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7602609/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(符号化効率を最大化するための予測モード候補群の最適な絞り込み手法とエントロピー符号化の設計・評価、決定されたスキャン順とブロック分割情報に基づきイントラ予測モードの確率分布を統計的にモデル化、コンテキスト適応算術符号化のコンテキストモデル設計、トータルビットレート(画質とビットレートのトレードオフ)を最小化するための率歪み最適化アルゴリズムの設計)、電子工学(動画像符号化アルゴリズムを実際の製品(テレビ、スマートフォン、LSIチップなど)に搭載するための高速かつ低消費電力なハードウェアアーキテクチャの設計、決定されたスキャン順に基づきイントラ予測モードを生成・決定する処理やエントロピー符号化処理を担う回路について並列処理構造やパイプライン処理の最適化、特定用途向け集積回路または現場で書き換え可能なゲートアレイへ実装するための論理設計と検証)
従来、周辺ブロックの予測方式のみで重みを決めると、イントラ予測モードが異なり相関性が低い場合に予測精度が低下する問題がありました。
これに対して、予測対象ブロックの周辺にイントラ予測が適用された周辺ブロックが存在する場合、まずモード特定部が当該周辺ブロックに適用されたイントラ予測モード(予測方向など)を特定し、次に、重み係数決定部が特定されたイントラ予測モードに基づきイントラ予測信号とインター予測信号を画素単位で合成する際に適用する重み係数を決定(具体的には予測対象ブロックに適用されるイントラ予測モードと周辺ブロックのモードとの一致数が多いほどイントラ予測信号の重みを大きくするように決定)するこの重み係数決定により、周辺ブロックとの相関性が高い場合にイントラ予測の寄与を高めることで予測精度の低下を抑制し、符号化効率を向上させる予測ブロック生成装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7733083/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(重み係数決定ロジックの理論的裏付けと決定した重み係数情報の伝送不要化(暗黙的決定)に関する検討、周辺ブロックの予測モードと画素相関の統計的傾向の分析、予測精度とビットレート削減効果のトレードオフを定量的に評価するための率歪みコスト関数の設計、最適な重み係数を決定するための決定表を大量の映像データに基づき最適化)、電気電子工学(予測ブロック生成アルゴリズム(特に重み付け合成)を高速・低遅延で実行するための電子回路として実現可能な形で設計、予測ブロック生成に必要な画素データの並行処理を可能にするデータパス設計、重み係数の決定と画素ごとの積和演算を行う乗算器の最適化、回路全体のタイミング解析および仕様通りの処理速度を達成するための検証)
従来、色変換処理を用いると変換係数の有無のみに基づく従来のフィルタ制御では画質の劣化を招く問題がありました。
これに対して、隣接する第1再構成ブロックと第2再構成ブロックの境界に対し、デブロッキングフィルタによる平滑化処理をおこなうデブロッキングフィルタ装置であり、フィルタ処理の境界フィルタ強度を制御するフィルタ制御部を備え、第1および第2再構成ブロックの少なくとも一方が予測残差の色空間を変換する色変換処理を用いて符号化されているか否かに基づきフィルタ強度を制御(色変換処理が用いられている場合、フィルタ処理をおこなうように強度を制御)し、フィルタ制御部は所定の色成分に対して、逆色変換処理により得られた予測残差が非ゼロの値を含む場合に色成分に対してフィルタ処理をおこなうよう強度を制御することにより、色空間の相互作用によって生じるブロック境界の不連続性を適切に除去でき、復号画像の画質を向上させることが可能なデブロッキングフィルタ装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7695310/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(符号化後のブロック境界の歪み(リンギングやブロックノイズ)を最小化するためのデブロッキングフィルタの数学的モデルおよび制御ロジックの最適化、色変換処理が適用されたブロックの特性の解析、予測残差の非ゼロ判定に基づくフィルタ強度の決定アルゴリズムの設計、主観画質とビットレートのトレードオフを改善する最適化関数の設計およびソフトウェアシミュレーションによる評価)、電気電子工学(フィルタ制御ロジックとデブロッキングフィルタ演算をリアルタイム処理が可能で低消費電力なハードウェアに実装するためのアーキテクチャを設計、色変換フラグや予測残差の非ゼロ判定に基づいて境界フィルタ強度を切り替えるフィルタ制御回路の設計、フィルタ処理に必要な画素データの並列処理とメモリインタフェースのタイミング解析)
具体例としてコンテンツのグループ内正規ユーザによる来歴情報記録・検証をおこなうグループ来歴情報記録システムが挙げられます。
従来のコンテンツ来歴情報記録技術(C2PAなど)ではアクションを行ったユーザが、有料コンテンツの正規グループメンバーであるかを検証できませんでした。
これに対して、コンテンツの来歴情報に、そのアクションをおこなったユーザが特定のグループに属する正規ユーザであることを証明するグループ署名を付与し、その検証を可能にするグループ来歴情報記録システムであり、管理装置がグループの共通鍵であるグループ公開鍵、不正ユーザ追跡用の管理秘密鍵およびユーザごとの個人秘密鍵というグループ署名方式の鍵情報を生成し、次に、来歴情報登録装置がコンテンツに対するアクションを特定するデータと自身の個人秘密鍵とグループ公開鍵を用いてグループ署名を生成し、これらを来歴情報として記録装置(ブロックチェーンなど)に記録し、最後に、来歴情報検証装置が記録された来歴情報からデータとグループ署名とグループ公開鍵を取得し、グループ署名方式によって署名を検証することにより、コンテンツの利用者が具体的にどのユーザかは特定せずプライバシーを保護しつつコンテンツが予め設定されたグループ内の正規ユーザのアクションによって生成されたものかを検証できるようになるグループ来歴情報記録システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2025-096886/11/ja
関連する専門分野の例:情報科学(暗号アルゴリズムの理論的基礎に基づいた効率的な実装と検証、グループ署名方式の鍵生成、署名生成、検証といった処理をシステムが要求する速度で実行できるようプログラミング言語を用いて効率的なコードとして実装、実装したコードが理論通りの結果を返すかセキュリティパラメータ(鍵長など)を変更した際の処理速度やメモリ使用量(計算複雑性)が実用上問題ないかをベンチマークテストやアルゴリズム解析を通じて検証)、情報工学(システム全体の設計、構成要素間のデータ連携(プロトコル)、安全なシステム運用基盤の構築、管理装置、来歴情報登録装置、検証装置および記録装置(ブロックチェーン/データベース)といった各構成要素のインターフェース仕様策定、鍵情報や来歴情報をネットワーク経由で安全にやり取りするための通信プロトコルの設計、サーバーやデータベースなどのインフラストラクチャにおいて鍵情報の漏洩を防ぐための適切なアクセス制御や監査ログの仕組みの構築)
従来、無線回線と有線回線では信号の伝送遅延時間が異なるため、信号を冗長化するために合成する際の同期をとることが困難でした。
これに対して、伝送遅延の異なる第1(OFDM信号)回線と第2(パケット)回線で伝送された符号化データを共通の識別情報を用いて同期させる受信装置であり、符号化データにはブロック番号が設定されており、OFDM信号の伝送制御信号にはOFDMフレーム番号とフレームに含まれるブロック番号の範囲が設定され、パケットのヘッダには対応するOFDMフレーム番号と格納されたブロック番号が設定され、デジタル復調部でOFDM信号から第1符号化データを推定し、符号化データ抽出部でパケットから第2符号化データを抽出し、同期部がこれらのOFDMフレーム番号とブロック番号を照合することで正確な同期位置を決定することにより、伝送遅延時間が異なる複数回線で伝送された信号であってもビットレベルで同期をとることが可能となる受信装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2025-062470/11/ja
関連する専門分野の例:通信工学(無線および有線伝送路における信号処理の最適化と通信性能の解析、OFDM信号の復調における雑音や遅延変動の影響の解析、有線パケット回線との間でLDR(対数尤度比)合成をおこなう際の信号対雑音比やビット誤り率の改善効果の評価、無線チャネルの推定精度向上策の検討、異なる変調方式や符号化方式の特性比較および信号合成後の復号性能を最大化するための重み付け合成アルゴリズムの設計)、電子工学(同期処理および信号合成に必要なアルゴリズムを設計、受信したOFDM信号とIPパケットから抽出した符号化データとの間の遅延差を正確に推定するための相互相関アルゴリズムや追跡アルゴリズムの設計、OFDMフレーム番号とブロック番号といった制御情報に基づいた同期がプリアンブル同期や相互相関同期と比較してどの程度高速かつ低計算量で実現できるかの評価およびハードウェアに実装するための固定小数点演算化やパイプライン処理の設計)
具体例として系列ラベリングと句切れ位置予測の二つのタスクを同時学習することで自然言語の区間抽出精度を向上させる機械学習装置が挙げられます。
従来の深層学習モデルによる系列ラベリングではラベル付与対象の句切れ位置の予測精度が低く、結果として区間抽出に誤りが生じる問題がありました。
これに対して、入力された単語列から単語埋め込み表現列を出力する単語埋め込み部、その単語埋め込み表現列からラベル系列を予測する系列ラベリング部および同じく単語埋め込み表現列から部分列の開始・終了位置といった句切れ位置情報を予測する句切れ位置予測部を備えた機械学習装置であり、学習時、学習用データ供給部から供給される正解ラベル系列および正解句切れ位置情報に基づき系列ラベリング部と句切れ位置予測部はそれぞれの予測誤差を算出し、その誤差に基づく誤差逆伝播をおこなうものであり、単語埋め込み部が二つの予測部(系列ラベリングと句切れ位置予測)からの二重の誤差逆伝播を受け、内部モデルのパラメータ調整をおこなう多層構造と学習プロセスにより、下位層の単語埋め込み表現の質が区間抽出に不可欠な句切れ位置の予測タスクからのフィードバックによって補強され、分析対象の部分列(意見対象や意見区間など)の抽出精度を向上させた機械学習装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7720766/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(自然言語テキストから特定の意味を持つ部分列(区間)を正確に抽出するための機械学習モデルの統合的構造設計、学習・評価のためのデータ基盤構築、例えばSNS投稿から「意見対象」と「意見内容」の区間抽出においてタグ系列(ラベル)と句切れ位置(開始・終了インデックス)の2つの出力を統合的に処理するニューラルネットワークアーキテクチャの設計)、数理科学(多目的最適化問題を解くための損失関数の設計、モデル学習の安定化および効率的な最適化手法の選定・検証、系列ラベリングの損失関数と句切れ位置予測の損失関数の重み付け(総合的な損失関数の係数調整および学習の収束性と汎化性能を最大化するハイパーパラメータ探索、句切れ位置予測部が出力する非整数値の予測位置と正解である整数値との誤差を扱うために定義された関数の数理的妥当性の検証)
従来、利用可能な複数のデバイスから客観的条件に従って所定のデバイスが選択されるため、ユーザが所望のデバイスを直感的に選択・制御できない問題がありました。
これに対して、個々のデバイスが表示要素(アイコンなど)として表示画面上に配置され、範囲指定図形と表示要素の少なくとも一方をユーザ操作に応じて変更する表示処理部を備えたデバイス管理システムであり、デバイス管理部は操作による範囲指定図形と表示要素との位置関係の異動(例:範囲への進入・退出)を検出することで対応するデバイスを対象デバイスとして選択し、その動作状態を制御し、表示処理部は対象デバイスの表示要素の表示態様をその動作状態(例:情報提示の有無)に対応して変化させ、操作により情報の種類が指示された場合、デバイス管理データを参照することで当該情報を提示可能な提示可能デバイスを特定し、その表示要素を他のデバイスとは異なる表示態様で表示させることにより、ユーザは直感的な操作でデバイスの動作状態を制御できるとともに提示可能な情報種類に基づいてデバイスを容易に選択・識別できるようになるデバイス管理システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7756536/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(ユーザの操作意図を直感的に反映して多様なデバイスの状態を把握しやすい表示方法の設計、複雑なデバイス群の動作制御を直感的なグラフィカル操作に変換するためのUI/UXの設計、操作情報の処理および動的な視覚化アルゴリズムの検討、デバイスアイコンと範囲指定図形の位置関係(進入・退出)の変化がデバイスの動作状態(ON/OFFや情報提示開始/停止)の変化にどのように対応づけられるかという操作ロジックの設計)、コンピュータサイエンス(ネットワーク上の多様なデバイスの状態をリアルタイムで管理・検出してユーザの指示に基づいて各デバイスの動作状態を正確に制御するための制御プロトコルとデータ管理構造の構築、複数の異種デバイス間での状態情報の収集、制御信号の送受信プロトコル設計、デバイス管理データの構造(提示可能情報、接続可能性など)の設計、制御装置(サーバ)と入出力装置(クライアント)間および制御装置と提示デバイス間での通信方式(例:ビーコン信号の利用、TCP/IP)とデータ形式の設計)
具体例として複数のカメラ画像から2次元領域情報を用いて被写体の3次元領域を推定する装置が挙げられます。
従来の3次元推定手法は事前情報が必要、計算コストが高いまたはスケールが定まらないという問題がありました。
これに対して、複数のカメラで撮影された画像から、まず2次元被写体領域推定手段によってカメラごとのバウンディングボックスなどの2次元被写体領域を推定し、次に、3次元被写体領域再構成手段が推定された2次元領域情報とカメラパラメータを用いて3次元再構成(再構成は、2次元被写体領域の重心とカメラの光学中心を通る投影線を算出し、複数の投影線の最近傍点を求め、その垂足の位置に重心がくるように2次元被写体領域の頂点を投影面に投影して世界座標を算出)をおこない、最後に、立体形状近似手段が全ての投影後の頂点の世界座標を統合し、球体などの立体形状で近似することで3次元被写体領域を算出することにより、多視点画像から煩雑な計算なしに被写体の3次元位置と大きさを特定して推定することが可能になる3次元被写体領域推定装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7755544/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(2次元被写体領域の推定精度を高めるための画像認識アルゴリズムの設計、3次元再構成のための幾何学的計算ロジックの最適化、多様な環境下での2次元被写体領域の推定精度を高める機械学習モデルの構築、複数の2次元推定結果を統合して3次元の投影線から最近傍点・垂足を求める多視点幾何学計算のロバスト性(耐ノイズ性)と計算速度を向上させるための数値アルゴリズムの設計)、応用数学(複数の投影線、垂足、投影面といった空間的な位置関係を定義する幾何学的モデルの構築、複数の投影線(ねじれの位置にある直線群)間の最近傍点を安定的に求めるための最小二乗問題の解析および計算誤差を最小化するための線形代数学的解法の検討、投影後の頂点群から球体(または楕円体)を近似する際の最適化問題の検討、推定された3次元領域が被写体の真のサイズに最も適合するよう形状情報の信頼性を評価する指標の確立)
従来の奥行き圧縮は視覚特性のみを考慮し、制作者が強調したい被写体に意図的に奥行きを割り振ることができませんでした。
これに対して、奥行き圧縮関数入力手段によって3次元CGシーンの奥行き圧縮関数を受け付け、さらに奥行き割当量入力手段によって被写体ごとの奥行き割当量、奥行き再現範囲入力手段によって立体ディスプレイの奥行き再現範囲および傾き上限値入力手段によって画質劣化を防ぐための傾き上限値といった制約条件をそれぞれ入力として取得し、最適化手段はこれらの入力パラメータが反映された奥行き圧縮関数に対し、制約付き最適化問題を適用(具体的には、最適化後の奥行き範囲がディスプレイの再現範囲内に収まること、および奥行き圧縮関数の傾きが傾き上限値を超えないこと(大きな歪み防止)という制約の下で、被写体ごとの奥行き割当量が最大に反映されるように関数を最適化)するこれらの構成により、制作者の意図を反映しつつディスプレイの物理的な制約と視覚的な不自然さの制約を同時に満たす意図通りの奥行き感を持つ立体像の再生を可能にする奥行き制御装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7748268/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(3次元CGシーンの奥行き情報に対して、最適化された奥行き圧縮関数を適用して立体ディスプレイ向けのレンダリングをおこなうための効率的な処理プロセスの構築、3次元CGモデルをインテグラル方式やライトフィールド方式などの光線再生型ディスプレイの仕様に適合する要素画像群へ変換するレンダリングアルゴリズムの設計、奥行き圧縮とレンダリング処理の並列化やGPU最適化)、数理科学(映像制作者の意図(奥行き割当量)とディスプレイの制約(奥行き再現範囲、傾き上限値)という複数の要因を扱う制約付き最適化問題の定式化および解法の検討、奥行き圧縮関数を最適化する数理モデルの構築および解が収束する条件や一意性に関する理論的な解析、映像制作者の意図を反映する目標関数の設計、計算負荷を軽減しつつ最適解を高速に導出するための反復解法の数値的な安定性の検証)
具体例として薄膜トランジスタの製造方法が挙げられます。
従来、ポリイミドゲート絶縁膜は柔軟性があるが酸化物半導体層との界面が化学的に不良で、高性能薄膜トランジスタの特性が得られないという問題がありました。
これに対して、基板上にゲート電極、ポリイミド材料のゲート絶縁膜を順に形成し、その上に酸化アルミニウムからなる層間絶縁膜を設け、さらに酸化物半導体層、ソース/ドレイン電極を積層し、製造工程のうち少なくとも酸化アルミニウム層間絶縁膜を形成する第3工程を塗布製膜法(前駆体溶液の塗布後に500℃以下の温度で焼成)を用いておこなうことで、粗い表面を持つポリイミド絶縁膜と酸化物半導体層との間に平坦性が高くかつ化学的に良好な金属酸化物界面を形成できる薄膜トランジスタの製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7709339/15/ja
関連する専門分野の例:無機化学(層間絶縁膜および酸化物半導体層の無機材料について塗布製膜プロセスで所望の膜質、界面平坦性および電気特性を達成するための前駆体溶液の設計と焼成条件の最適化、酸化アルミニウム層間絶縁膜について前駆体溶液の溶媒、濃度、添加剤の組成の設計、焼成温度と時間が酸化アルミニウムの結晶化度や膜の密度、平坦性に与える影響の解析、最適な焼成条件の決定、酸化物半導体層との界面において共有結合の形成を促進して電荷移動度を高めるための無機材料界面の化学的安定性の評価)、高分子化学(ゲート絶縁膜として使用されるポリイミドの前駆体溶液の組成設計、塗布工程の条件設定、形成されたポリイミド膜の耐熱性・柔軟性・表面特性の制御、ポリイミド前駆体(ポリアミック酸など)の分子量、溶液濃度および溶媒がスピンコート後のポリイミド絶縁膜の膜厚、均一性、および表面粗さに与える影響の検討、ゲート電極上へのポリイミドの密着性を高めるための表面処理技術の探索)
(2)テレビ朝日|開発トレンドと専門性

詳細の説明は省略します。
(3)日本テレビ|開発トレンドと専門性

H04Nが最も多いです。次いでG06Tが多いです。
具体例として映像・音声の多角的解析に基づくコンテンツの役割指標とスイッチング指標を用いた自動映像スイッチング装置が挙げられます。
従来の番組制作における人的リソースの多大な必要性やロボットカメラ技術では設備コストが高く、スイッチングの完全自動化が困難であるという問題がありました。
これに対して、取得した映像素材に対して人物の画像・音声を認識する認識部を備えた自動スイッチング装置であり、認識結果に基づき出演者の重要度や行動(話者、目線集合、キーワード発話、うなずき、笑顔など)をパラメータとしてコンテンツにおけるオブジェクトの役割を数値化した役割指標を計算し、切り出し候補領域を複数選定し、次に、オブジェクトの映像変化や音声変化(話だし、司会動作、音量変化など)を検出し、その結果から各切り出し候補領域におけるスイッチングのタイミングを示すスイッチング指標を計算し、最終的に、このスイッチング指標(およびスイッチング禁止条件)を用いて最適な切り出し領域を決定し、その映像にスイッチングすることにより、複数のカメラや人的リソースを必要とせずに番組の意図を反映したスイッチングを自動的に実現できる自動映像スイッチング装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7657661/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(複雑な映像・音声データから人間が意味を感じ取るための高次元の特徴量を自動的に抽出して判断基準(指標)に基づいて制御するシステムの設計、役割指標やスイッチング指標の各パラメータ(話者、目線集合、司会動作など)の定式化、指標が視聴者の視聴体験(コンテンツの意図)をどの程度反映しているかの評価、映像認識アルゴリズムからスイッチング判断までの処理フローの遅延時間の解析)、電子工学(映像・音声の高速処理とリアルタイムなスイッチング制御を実現するシステムを構成する回路、通信インターフェースおよびハードウェアの設計、高解像度の映像信号をカメラから取得部、認識部へと低遅延で伝送するための高速インターフェース回路の設計、スイッチング指標に基づく切り替えを視聴者が違和感を抱かないよう正確なタイミングで実行するためのスイッチング回路およびタイミング制御ロジックの設計)
従来、著作権処理等のため放送映像をマスクして同時配信する場合、放送側とは別に同等の合成処理装置が必要となり、設備コストが増大する問題がありました。
これに対して、原映像と合成画像(フィル信号)を合成するために使用されたキー信号の値を反転させて反転キー信号を生成する反転キー信号生成部を備えた映像処理装置であり、反転キー信号をフィル信号が合成済みの放送映像と原映像をマスクするためのマスク用フィル信号とを合成するために合成部が使用することにより放送映像から合成された画像(緊急情報など)の領域のみを透過させ、それ以外の原映像領域をマスク画像で覆い隠した配信映像を生成するこれらの構成により、従来の同時配信システムで必要とされていた原映像に対するマスク合成部および合成画像合成部が不要となり、映像処理にかかる設備のコストを抑制できるマスク映像生成装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7477317/15/ja
関連する専門分野の例:電子工学(キー信号の生成、反転、合成といった処理を高画質・高精細な映像システム内で正確かつ効率的に行うための回路やシステム構成の設計、放送グレードの映像信号に含まれるキー信号のレベルの物理的な特性の解析、反転キー信号を生成する際のデジタル回路設計、複数の信号(放送映像、マスク用フィル信号、反転キー信号)を正確に同期させてフレーム単位でずれなく合成するためのタイミング制御回路や同期システムの設計)、コンピュータサイエンス(映像信号の処理フロー全体をアルゴリズムとデータ構造の観点から最適化、著作権上のルールなど論理的な制約条件に基づいた柔軟なマスク領域選定・映像合成のソフトウェアロジックの設計、複数のキー信号の論理和(合成)処理および透過率を変更する際の閾値処理を計算コストが最小とするアルゴリズムの設計、マスク領域や合成ルールの定義をデータとして管理して動的に映像処理を制御するソフトウェアアーキテクチャの設計)
具体例として経時変化顔画像を教師データとして用いる機械学習による人物顔認識システム(映像処理装置)が挙げられます。
従来、映像中の出演機会が少ない人物はさまざまな状態の顔画像データ(教師データ)の絶対数が不足し、機械学習モデルの認識精度が低いという問題がありました。
これに対して、映像から人物の顔画像を抽出する顔画像抽出部と基本顔画像から所定の経過時間毎に時間の経過による顔の変化(疲労など)を反映させた経時変化顔画像を生成する変化顔画像生成部を備えた映像処理装置であり、この生成された経時変化顔画像と経過時間情報を含む教師データを用いて学習された学習モデルに抽出された顔画像と経過時間を入力し、学習モデルが出力する確からしさに基づき認識対象人物を認識する認識対象人物認識部により認識をおこなうこれらの構成により、実データが不足しがちな人物についても時間経過に伴う顔の変化をシミュレートした人工的な教師データを増強でき、教師データの絶対数不足による顔認識精度の低下を防ぐことができる映像処理装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7438690/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(顔認識の学習モデルの設計、教師データの収集・管理および認識精度を向上させるためのアルゴリズムの設計、経時変化顔画像や経過時間情報を教師データとして用いる際に認識対象人物の識別性能を最大化するディープラーニングモデルの構造設計、映像から抽出された顔画像に対して学習モデルが出力する確からしさが実際に認識対象人物であるかを判断するための最適な閾値設定やロジックの検討)、コンピュータ工学(映像から顔画像をリアルタイムに抽出・処理して生成された変化顔画像を大量に格納・管理し、学習モデルの膨大な計算を高速におこなうためのハードウェア・ソフトウェア基盤の構築、映像から顔画像を抽出する処理、および学習モデルによる確からしさの計算を並列化・高速化してシステム全体の処理遅延を最小化するアーキテクチャの設計、基本顔画像、経時変化顔画像、経過時間情報といった膨大な教師データを効率的に格納・検索するためのデータベース構造やストレージシステムの設計)
(4)TBS|開発トレンドと専門性

H04Nが最も多いです。
具体例としてデータ送信装置からパケット通信網を介してデータを受信するデータ受信装置が挙げられます。
従来のIPリモートプロダクションシステム(遠隔地からのインターネット中継制作システム)は現場スタッフや機材の削減によるコストメリットがありましたが、カメラを遠隔操作するための低遅延な映像と視聴者へ届けるための欠損のない高品質な映像という伝送要件が異なる2種類の映像出力を両立させる方法が課題でした。
これに対して、データ送信装置から画像データを含む第1パケットを受信する受信部を備え、受信した第1パケット(パケット欠落を許容)に基づき低遅延の第1出力データ(操作用データ)を生成し、出力部がこれをユーザーに視認可能に出力することで、ユーザーは低遅延な映像を参照してカメラ制御情報を送信でき、一方、欠落パケットの送信をデータ送信装置に要求し、再送されたパケットを含む第2パケットに基づき高品質の第2出力データ(オンエア用/保存用データ)を生成することにより、パケット通信網の特性を利用して遠隔制御に必要なリアルタイム性を確保しつつ高品質なデータを受信できるデータ受信装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7431207/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(リアルタイム性(低遅延)を優先する操作用データと品質を優先するオンエア/保存用データを同一の受信パケット群から生成するためのアルゴリズムの設計、パケット欠落時に再送を待たずに即座に操作用映像を出力するための欠落補間の最適アルゴリズムの設計)、電子工学(映像・音声データを含む高速パケット信号がパケット通信網を介して正確に伝送・受信されるための物理層およびインターフェースの設計、カメラ制御情報(制御信号)をパケット通信網を介して遠隔カメラへ低遅延で双方向伝送するための通信インターフェースの電気的特性の設計、受信装置内のデータバッファおよびクロック同期システムの設計)
(5)フジテレビ|開発トレンドと専門性

H04Nが最も多いです。
具体例として番組等の動画コンテンツの映像から情報を抽出する情報抽出装置が挙げられます。
従来の情報抽出装置では番組に重畳される多様なスーパー文字を正確に認識・処理できず、番組の項目や要旨を的確に抽出できませんでした。
これに対して、番組動画から映像データを取得する映像データ取得手段とそれを静止画に変換する変換手段を備えた情報抽出装置であり、テキスト情報取得手段が静止画の所定位置(例:右上)に表示される文字列を番組要約情報として認識・抽出し、これに時刻情報を関連付けた一次リスト情報を時系列で生成し、リスト情報処理手段が一次リスト情報に対し、文字数が所定の下限値を満たすまで文字列を順次変更して判定を繰り返すことにより、文字認識の誤りや微細な文字列変化を許容しながら番組の項目の区切りを正確に検出し、項目や要旨を的確に抽出できる情報抽出装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7241131/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(自然言語処理およびパターン認識のアルゴリズム設計、OCRで認識された曖昧なテキスト情報から番組項目という知識構造を正確に抽出・構築するための論理とモデルの設計、項目の切れ目(閾値)を客観的に判断するためのパラメータ設定の決定、番組内容の要旨として意味のある二次リスト情報や番組項目リスト情報を生成するための情報構造化・知識表現モデルの設計)、コンピュータサイエンス(大容量の動画データを高速に処理してOCRと複雑な文字列比較処理を効率的かつ実用的な速度で実行するためのデータ構造、アルゴリズムおよびシステムアーキテクチャの構築、動画ファイルから静止画を一定間隔で抽出してOCR処理をおこなうまでのI/O処理パイプラインの設計、処理時間のボトルネックの解析、画面の所定位置(右上など)に限定して領域を認識させる画像処理アルゴリズムの実装、OCRエンジンの並列処理を可能にするソフトウェア構造の設計)
(6)テレビ東京|開発トレンドと専門性

詳細は省略します。
(7)まとめ
動画情報の処理やデータの送受信に関わる装置など放送に関する出願が多く確認され、そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
こうした出願には情報系や電気系の専門が関わる場合が多いです。
ただし、出願件数は出願人によって大きく異なるため、開発状況も異なる可能性があります。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)NHK

共同出願の例として固有名詞辞書とニューラルネットワークを併用した日本語音声合成用中間言語データ変換装置(言語処理装置)が挙げられます。
従来、学習ベースのニューラルネットワーク(Transformerなど)では固有名詞の変換にアクセント辞書を利用できず、地名などの固有名詞で誤ったアクセントを生成してしまう問題がありました。
これに対し、漢字仮名交じり文を読み仮名と韻律記号で記述された中間言語データに変換し、固有名詞の誤変換を抑制する言語処理装置であり、まず、固有名詞変換部がアクセント辞書を用いて漢字仮名交じり文中の固有名詞を指示記号で囲まれた読み仮名と韻律記号に変換し、次に、言語処理部が指示記号で囲われた部分を変換対象から除外するように学習された第1ニューラルネットワークを用いて固有名詞以外の部分を中間言語データに変換し、最後に、アクセント結合部が連続する2つのアクセント句の結合を学習した第2ニューラルネットワークを用いて生成された中間言語データのアクセント結合処理をおこなうことにより、アクセント辞書による正確性と学習ベースによる汎用性を両立し、高品質で自然な音声合成に必要な中間言語データを生成できる言語処理装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7757151/15/ja
従来の有機EL素子では陰極からの電子注入・輸送性が不十分で、高性能化の妨げとなることが問題でした。
これに対し、特定な構造を有するフェナントロリン化合物(一般式(2))を成分として含む電子注入性材料であり、フェナントロリン骨格にジアルキルアミノ基やアルコキシ基などの電子供与性の高い置換基R4、R5を有しており、これにより窒素部位の静電ポテンシャルを大きく高め、有機EL素子の電子注入層に用いられた際、隣接する電子輸送性材料(第2材料)に対して効率的にマイナス電荷を誘起し、電子注入障壁を大きく低減させる結果、優れた電子注入性および電子輸送性が得られ、有機EL素子の駆動電圧の低下および長寿命化を実現する電子注入性材料が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7657893/15/ja
既存の畳み込みインタリーブでは伝送路に応じた変調多値数の適応的な変更が適切に実行できないという問題がありました。
これに対し、誤り訂正ブロックを構成する直列ビット列を並列変換部で並列な2以上のビット列に変換し、次に、インタリーブ部が並列ビット列のそれぞれに対して変調多値数に応じたシンボル単位で時間方向において巡回的にシフトする巡回インタリーブを適用し、その後、変調部がインタリーブ後のビット列をシンボル単位で変調(変調多値数を変更可能な周期が巡回インタリーブを適用するインターバルに応じて定められる)ことにより、インターバル単位で変調多値数の変更を制限し、畳み込みインタリーブが抱えていた変調多値数変更時のインタリーブ処理の不整合を解消し、伝送路の状況に応じて変調多値数を適応的に変更しつつ誤り訂正能力を高める適切な時間方向のインタリーブ処理を実行可能とする送信装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7645718/15/ja
(2)テレビ朝日

詳細の説明は省略します。
(3)日本テレビ

詳細の説明は省略します。
(4)TBS

詳細の説明は省略します。
(5)フジテレビ

詳細の説明は省略します。
(6)テレビ東京

詳細の説明は省略します。
(7)上記(1)~(6)(共同出願人)のまとめ
出願人により出願件数に大きな差があり、状況が大きく異なります。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・情報系分野(情報科学、情報工学、通信工学、コンピュータサイエンス、コンピュータ工学など)
効率的な符号化アルゴリズムの設計、処理順序と情報削減ロジックの最適化検討、レート-歪み性能を最大化するための理論的解析、符号化システムのソフトウェアシミュレーションと評価、圧縮データに対するコンテキストモデルの構築と検証、予測精度と符号化レートのバランス最適化設計、画質劣化を抑制するフィルタ制御ロジックの設計、暗号アルゴリズムの理論的安全性の検討、要求されるセキュリティ水準を満たす暗号方式の選定と最適化、セキュアな鍵情報管理・配信プロトコルの検討、複数回線冗長化のための伝送路特性解析、通信品質指標を最大化する信号処理・合成アルゴリズムの検討、多様なデバイスの状態と操作性の統合的視覚化手法の設計、異種ネットワークデバイス間の統一的な状態情報収集プロトコルの検討、撮影画像からの2次元被写体領域認識モデルの設計、多視点幾何学に基づく3次元再構成アルゴリズムの検討、立体表示デバイスに適合したレンダリング処理の設計、映像・音声の特徴量に基づくコンテンツの論理的意図を反映した指標設計、教師データ不足を解消するためのデータ拡張アルゴリズムの設計、大量の顔画像とメタデータを高速処理するためのストレージアーキテクチャの設計、伝送品質と遅延のトレードオフを最適化するデータ処理アルゴリズムの設計などが求められます。
・電気系分野(電子工学、電気電子工学など)
並列処理に適したハードウェアアーキテクチャの設計、低消費電力化のための回路構成の検討、高スループットを実現するパイプライン処理の解析、予測ブロック生成における積和演算ユニットの最適化検討、重み付け合成処理の並列化とデータパスの解析、リアルタイム処理に必要なフィルタ演算回路の設計、同期・合成アルゴリズムを実装するためのFPGA/ASICアーキテクチャの検討、フレーム精度での映像切り替え(スイッチング)を実現するタイミング制御回路の設計、高速パケット伝送に必要な通信インターフェースおよび物理層の設計などが求められます。
・数学系分野(数理科学、応用数学など)
複数の予測タスクを扱うための総合的な損失関数の定式化、誤差逆伝播に基づくパラメータ更新アルゴリズムの安定性の解析、カメラパラメータと世界座標変換に関する数理モデルの構築、投影線間の最近傍点を求める幾何学的最小化問題の定式化、投影後の頂点群を近似する立体形状の最適化理論の検討、3次元被写体領域推定における誤差伝播とロバスト性の解析、制約条件を組み込んだ最適化問題の数理モデルの構築、奥行き圧縮関数による幾何学的歪みと視覚特性の解析などが求められます。
・化学系分野(無機化学、高分子化学など)
溶液プロセスにおける金属酸化物前駆体溶液の組成設計、低温焼成プロセスによる無機薄膜の結晶構造および表面平坦性の制御、有機材料上に形成される無機層の界面化学的安定性の解析、機能性高分子を用いた絶縁膜の塗布特性および膜厚均一性の検討、デバイスプロセス温度に耐えうる高分子骨格の耐熱性と柔軟性の両立設計、異種材料(高分子と金属酸化物)間の積層親和性を高める表面改質技術の設計などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
放送技術に関わる出願が多く確認され、そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
ただし、出願件数は出願人(NHKとそれ以外)によって大きく異なり、開発状況も異なる可能性があります。
大学の専攻と関係づけるとしたら、主に情報、電気における研究分野が該当する可能性があります。
その他、数学、化学などが関係する可能性もあります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
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