前回は自動車メーカーについて見ていきました。
前記事:【自動車業界】開発職に求められる専門性とは?乗用車メーカー8社の特許で読み解く技術分野
今回は自動車部品メーカーに焦点を当てます。
自動運転やEV化などの新たな流れにより当該業界の開発に求められる専門性も変わってきているのでしょうか?
これを特許情報からみていきます。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
今回は、トヨタ系自動車部品メーカー8社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。
結論(概要)は以下の通りです。
・化学、材料系分野(応用化学、化学工学、物理化学、電気化学、生化学、材料工学など)
・電気系分野(電気電子工学、電気工学、電子工学など)
・情報系分野(情報工学、制御工学、通信工学、ソフトウェア工学など)
・機械系分野(機械工学、繊維工学、人間工学など)
・その他(応用物理学、応用数学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 自動車部品業界
2.1 自動車部品業界とは
ここでは自動車部品の製造をおこなう業界を意図します。ただし、自動車部品とそれ以外の厳密な区別はしていません。
タイヤメーカーについては、これに含めていません。
2.2 サーチ対象
以下のトヨタ系自動車部品メーカー8社を対象にしました。
(2)豊田合成
(3)トヨタ紡織
(4)アイシン
(5)デンソー
(6)ジェイテクト
(7)小糸製作所
(8)東海理化
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
|
モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
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法人向け |
・電極製造用治具 |
・蓄電モジュールの製造方法 |
モノの開発としては、例えば、各種電極が挙げられます。
サービスの開発としては、例えば、蓄電モジュールの製造方法が挙げられます。
3.2 出願件数の推移
下図はトヨタ系自動車部品メーカー8社の特許出願件数の推移です。

自動車メーカーと同じく、企業によって出願件数の差が大きいです。
デンソーの出願件数が多すぎて他の企業の出願件数の推移がわかりづらいので縦軸スケールを変えたものを以下に示します。

年によって出願件数は大きく変動しており、企業によって出願件数の差も大きいですが、いずれも毎年一定以上の出願があります。
すなわち、そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
デンソー>ジェイテクト、アイシン、豊田自動織機>トヨタ紡織、東海理化、豊田合成>小糸製作所
だと言えます(全期間における、ジェイテクト、アイシン、豊田自動織機の件数、トヨタ紡織、東海理化、豊田合成の件数は同程度)。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
車いすなどがこれに該当します。
トヨタ紡織がこの分野から多く出願しています。
などがこれに該当します。
デンソーがこの分野から多く出願しています。
防風ガラスなどがこれに該当します。
豊田合成、アイシンがこの分野から多く出願しています。
電気的推進装置の配置などがこれに該当します。
東海理化がこの分野から多く出願しています。
子供用の座席などがこれに該当します。
トヨタ紡織がこの分野から多く出願しています。
車内外のカメラなどがこれに該当します。
豊田合成、トヨタ紡織、デンソー、東海理化がこの分野から多く出願しています。
操向制御装置などがこれに該当します。
ジェイテクトがこの分野から多く出願しています。
ジャッキなどがこれに該当します。
豊田自動織機がこの分野から多く出願しています。
多シリンダポンプなどがこれに該当します。
豊田自動織機がこの分野から多く出願しています。
軸受部品などがこれに該当します。
ジェイテクトがこの分野から多く出願しています。
たわみ継ぎ手などがこれに該当します。
ジェイテクトがこの分野から多く出願しています。
前照灯などがこれに該当します。
小糸製作所がこの分野から多く出願しています。
制御装置などがこれに該当します。
東海理化がこの分野から多く出願しています。
プラズマ処理半導体装置などがこれに該当します。
豊田合成、デンソーがこの分野から多く出願しています。
燃料電池などがこれに該当します。
豊田自動織機、アイシンがこの分野から多く出願しています。
誘導発電機などがこれに該当します。
アイシンがこの分野から多く出願しています。
3.5 トヨタ系自動車部品メーカー8社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)豊田自動織機|開発トレンドと専門性

上図期間中、H01Mが最も多いです。次いでF04B、H02J、H02Kが多いです。
具体例として両面に異なる極性の活物質合剤が塗工された電極材料を乾燥させるための電極製造用治具が挙げられます。
従来の乾燥方法では積層された電極材料が加圧されるため、活物質合剤からの水分蒸発が妨げられ、乾燥に時間がかかるという問題がありました。
これに対し、複数の載置台が重力方向に間隔を空けて配置され、各載置台に電極材料が載置され、載置領域には第1面と第2面を貫通する貫通孔が設けられ、下方の載置台に載置された電極材料と上方載置台の第2面との間には遮蔽部が配置され、この遮蔽部が第2面側から貫通孔を覆う構造となっていることで、乾燥時に活物質合剤からの水分が貫通孔を通じて効率的に蒸発し、乾燥時間を短縮できる電極製造用治具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7632214/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(置台の熱伝導率や耐薬品性、遮蔽部の材質と形状が乾燥速度や電極材料への影響の評価、最適な材料と表面処理の選定)、化学工学(電極材料の乾燥プロセスにおける物質移動と熱移動の解析、乾燥効率を最大化するための治具の設計、最適運転条件の検討)
従来のロール成形では合剤に大きな荷重が加わることで活物質が破損する可能性があり、荷重低減のために溶剤を増やすと合剤がロールに張り付きやすくなるという問題がありました。
これに対して、固形分中の結着剤含有量が6質量%以下、導電助剤含有量が3質量%以下の特定の物理特性を持つ電極活物質を含有、具体的には、電極活物質のTAP密度1.3G/cm³以下、吸油量40mL/100g以上80mL/100g以下、固形分70質量%以上80質量%以下、溶剤20質量%以上30質量%以下で含有することで、ロール成形時の荷重を低減し、活物質の破損を抑制するとともに溶剤保持性によりロールへの張り付きや成形後の割れ、マイグレーションを抑制するロール成形用電極合剤が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7666267/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(ロール成形用電極合剤における固体と液体間の相互作用の解析、合剤のレオロジー特性と成形性の最適化)、電気化学(ロール成形時の圧力、速度が電極活物質の配向、導電ネットワークの形成、電解液との濡れ性に与える影響の解析)
従来の製造方法では樹脂部の冷却収縮による集電体の変形や樹脂部の残留応力のばらつきによる意図しない変形が問題となり、特に薄い金属箔である集電体の損傷を引き起こし、蓄電モジュールの良品率を低下させる懸念がありました。
これに対して、樹脂部を配置する配置工程、配置された樹脂部を集電体に予熱圧力で押し付けつつ軟化点以上融点未満に加熱する予熱工程、予熱された樹脂部を溶着圧力で押し付けつつ融点以上に加熱溶着する溶着工程および溶着された電極ユニットを積層する積層工程を含み、予熱工程における予熱圧力を溶着工程における溶着圧力よりも小さく設定することで、溶着前に樹脂部の残留応力を緩和し、意図しない変形を抑制し、予熱時に樹脂部を集電体に押し付けることで、残留応力緩和時の樹脂部の変形を規制し、集電体の損傷を防ぐ蓄電モジュールの製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7647460/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(樹脂の熱分解温度、ガラス転移温度、結晶化度および添加剤の種類が溶着時の接着強度、成形性および集電体との適合性に与える影響の評価、予熱工程における温度と時間の制御が樹脂の軟化と残留応力緩和に与える化学的変化の分析、プロセス条件の最適化)、機械工学(電極ユニット製造における溶着プロセスの解析、最適な製造装置と制御方法の設計)
具体例として電動圧縮機が挙げられます。
従来の電動圧縮機では防音カバーに一体成形されたインテグラルヒンジがカバー下部に配置された場合に水の滞留を招き、ハウジングの腐食を促進する可能性がありました。
これに対して、圧縮部、電動モータおよびこれらを収容するハウジングを覆う防音カバーを備え、防音カバーは第1、第2カバー部とこれらを連結するインテグラルヒンジを有し、インテグラルヒンジが、カバーでハウジングを覆った状態で延在方向に流水通路を形成し、通路内の水を外部へ排水する排水部と、排水部へ水を導く傾斜部を有することにより、カバー内に侵入しハウジングを伝ってインテグラルヒンジに到達した水を積極的に排水し、水の滞留を防ぎ、ハウジングの腐食を抑制する電動圧縮機が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7639746/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(電動圧縮機のハウジングおよび防音カバーに使用される材料の耐食性の評価、腐食を抑制するための材料の選定)、機械工学(電動圧縮機全体の設計、水の排水機能を有するインテグラルヒンジの構造とそれを組み込んだ防音カバーの設計、製造プロセスの検討)
具体例として充電装置が挙げられます。
従来の技術ではバッテリの満充電容量を推定する際に完全放電させる必要があり、その際に系統へ電力を戻すと無駄になるという問題がありました。
これに対して、系統と第1蓄電装置の間に第1電力変換器、第1電力変換器と第2蓄電装置の間に第2電力変換器を備え、制御部がこれらの電力変換器を制御し、満充電容量の推定時にはまず第1バッテリが満充電になるまで系統と第2蓄電装置から電力を供給する第1充電処理を実行し、次に、第1バッテリを完全放電状態にする際に少なくとも第1蓄電装置から第2蓄電装置へ電力を供給する推定処理をおこない、この間の出力電流の積算値を満充電容量として推定し、最後に、第2蓄電装置から第1バッテリへ電力を供給して再充電する第2充電処理をおこなう構成により、第1バッテリを放電させる際に系統へ戻す電力を抑制し、無駄になる電力を低減する充電装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7666343/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(第1電力変換器と第2電力変換器の効率的な電力変換回路の設計、充放電制御アルゴリズムの設計)、電気化学(第1バッテリの満充電容量推定における充放電サイクルがバッテリの寿命に与える影響の評価、充放電時の電圧、電流、温度などのデータ解析)
具体例として電動機が挙げられます。
従来の電動機ではコイルエンドを成形するレーシング糸を通す糸孔とコイルの温度を検出するサーミスタを通すセンサ孔が別々に設けられており、ボビンの強度低下や構造複雑化を招く可能性がありました。
これに対して、ロータ、ステータコア、コイル、ボビン、レーシング糸およびサーミスタを備え、ボビンにヨークの径方向に貫通する複数の貫通孔が設けられ、この貫通孔が糸孔とセンサ孔のいずれにも対応する形状を持ち、巻線から引き出された引出部が引き出される位置に最も近い貫通孔にはサーミスタが配置されていることで、糸孔とセンサ孔を個別に設ける必要がなくなり、ボビンの強度低下を抑制でき、また、サーミスタが引出部の近くに配置されていることで、配線の取り回しが容易になる電動機が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7669963/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(ロータとステータ間の電磁気的な相互作用の解析、トルク特性や効率を向上させるための設計パラメータの検討、サーミスタによる温度検出に基づいた過熱保護回路の設計、電動機の効率的な運転のための制御アルゴリズム設計)、材料工学(ステータコアの磁気特性に優れた材料の選定、ボビンや絶縁材に耐熱性、絶縁性、機械的強度に優れた高分子材料の選定)
(2)豊田合成|開発トレンドと専門性

具体例として頭部保護エアバック装置が挙げられます。
従来のエアバッグはガス発生器による膨張が一般的でしたが、ドアのない車両においてはより簡便な構成が求められていました。
これに対して、通常はルーフ端縁に折り畳まれて配置され、側方からの外力時に下方へ展開するエアバッグと、その展開をガイドするガイド手段を備え、エアバックは車内側壁部、車外側壁部および連結壁部を有し、連結壁部には展開時に大気を吸入する吸気孔が設けられ、ガイド手段は車体側のガイドポールとエアバッグ側の連結環部およびエアバッグを下方へ展開させる駆動源としての重力を利用し、事故時には係止が解除されたエアバッグがガイドポールに沿って自由落下しつつ吸気孔から大気を吸い込んで膨張し、乗員の頭部側方を保護するエアバック装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7661917/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(エアバッグの自由落下時の挙動解析、ガイドポールと連結環部の摩擦特性評価、展開速度と安定性を両立させるための機構設計)、繊維工学(展開時の衝撃に耐えうるエアバッグ基布の織物構造、糸の種類およびコーティング材の選定、エアバッグの展開速度と膨張に必要な吸気量を確保するための吸気孔の形状、サイズおよび配置の最適化)
従来の乗員保護装置では金属製のインフレーター(ガス発生装置)とシートフレームが直接固定されており、走行中の振動による接触異音が懸念されていました。
これに対して、シートベルト、腰部エアバッグおよびインフレーターを備え、インフレーターが非金属の弾性材からなる緩衝部材を介してボルトでシートフレームに締結固定され、この緩衝部材がシートフレームとインフレーターにそれぞれ密着する二つの平面を有し、締結状態において両者間の金属接触を回避し、インフレーターの振動を抑制することでインフレーターとシートフレームの固定部からの異音発生を抑制する乗員保護装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7652119/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(自動車の振動周波数や温度環境下での緩衝性能、耐久性および耐経年劣化性の評価、最適な材料(ゴム、エラストマー、樹脂など)の選定)、応用物理学(走行中の車両におけるインフレーターおよびシートフレームの振動特性の計測・分析、異音の周波数成分や音圧レベルの特定、緩衝部材の挿入による振動減衰効果の評価、異音を最小限に抑えるための緩衝部材の最適な配置や固定方法の検討)
具体例としてIII族窒化物半導体からなる発光素子が挙げられます。
従来の積層型発光素子では活性層間のpn接合距離の差により、駆動電圧や電流注入効率にばらつきが生じ、各活性層の均一な制御が困難でした。
これに対して、n型半導体層(n型層)上に異なる発光波長の第1、第2活性層が中間層を介して積層され、第2活性層側からノンドープ層に達する溝と、それぞれの活性層に対応するp電極を有し、第1活性層と第2活性層の間にノンドープ層とn型層が順に積層された中間層が設けられ、溝が形成され、各p電極直下の活性層に対応する中間層のn型層が除去されることで各活性層のpn接合間距離が略均一化し、独立駆動が可能な発光素子が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7639774/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(中間層のドーピング濃度や厚さ、溝の深さや形状が素子の電流-電圧特性や発光効率に与える影響の解析および最適なパラメータの決定、各活性層を独立に制御するための駆動回路設計)、応用物理学(異なる組成のIII族窒化物半導体のエネルギーギャップ、発光波長およびキャリア移動度などの物性評価、活性層における量子閉じ込め効果や中間層がキャリア注入と光吸収に与える影響の解析)
具体例として車両エネルギ供給口のリッド開閉装置(リッド:開口部を塞ぐ蓋)が挙げられます。
従来技術ではリンク機構のアームが薄肉であるため、リッド全開時にガタつきやすく、外力に対する剛性が低いという問題がありました。アームを大型化すると剛性は向上するものの開閉動作範囲が制限され、供給口前のクリアランスが狭くなるという問題がありました。
これに対して、基部とリッドを連結するリンク機構に第一アームと第二アームを有、これらはスラスト方向に重なる重畳部と回動方向に接触して更なる開動作を規制するストッパ部をそれぞれ備え、リッド開動作の過程で両アームの重畳部がリッド全開前に一部が対向し始め、全開時に全領域で対向することにより、アームの大型化なしにリッド全開時の供給口クリアランスを大きく確保しつつ、二つのアームが重なり接触することで外力に対する剛性を向上させるリッド開閉機構が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7616019/15/ja
関連する専門分野の例:メカトロニクス(リッドの開閉動作を制御するためのマイコンや駆動回路の設計、リッドの位置や速度を検出するセンサーの選定と配置、制御アルゴリズムの設計、システム全体の最適化)、人間工学(リッドの開閉に必要な力、操作スイッチの位置や形状、開閉時の視認性、挟み込み防止機能の作動条件などの評価)
具体例としてステアリングホイールが挙げられます。
従来の技術ではセンサ層間の導通をリード線でおこなっていたため、表皮材表面からの距離が離れ、静電容量検知の感度が低下するという問題がありました。また、表皮材を薄くすると耐久性が低下する懸念がありました。
これに対して、環状の把持部が芯材、被覆層、表皮材から構成され、表皮材裏面に把持検知用の導電性センサ層を有する複数の分割材が連結され、被覆層に分割材連結部に対応する凹溝が設けられ、隣接する分割材の端縁が芯材側に曲がり、重ねた端縁同士が厚さ方向で貫通する導電糸で縫合され、その縫合部が被覆層の凹溝に収納されることで、導電糸が表皮材表面近くに配置され、センサ感度を向上し、また、センサ層が表皮材に覆われるため耐久性も向上したステリングホイールが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7655257/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(センサ層の形状、導電性材料の選定、電極配置の最適化、指の接近や把持状態を高精度に検出するためのセンシング回路の設計)、材料工学(ステアリングホイールの把持部に適した表皮材およびセンサ層の材料の選定、耐久性とセンサ特性を両立させるための配合や加工方法の検討)
具体例として自動車ドアのドアフレームに取り付けられ、ドアガラスの昇降をガイドするガラスランが挙げられます。
従来のガラスランでは騒音低減のためにドアガラスとの接触部に硬い肉厚部を設けていましたが、チリや異物噛み込み防止用のリブを設けたことで接触が線となり、剛性アップの効果が不十分で騒音低減効果も限定的でした。
これに対して、底壁、車外側側壁、車内側側壁を基本骨格とし、車外側側壁の車内側にドアガラスに摺接する肉厚部が形成され、この肉厚部と接続する車外側側壁の一部に肉厚部より柔らかく、かつ他の車外側側壁より硬い半硬質材部が設けられたことにより、肉厚部が形成される部分の車外側側壁の剛性を高めることができ、リブ付きの肉厚部であってもガラスラン全体の剛性が向上し、風切音などの騒音低減効果が高いガラスランが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7663842/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(ゴム、熱可塑性エラストマーなどの高分子材料の特性評価、使用環境や要求性能に適した材料の特定、信頼性の高いガラスランを実現するための材料設計)、機械工学(ガラスランの変形挙動や振動特性の解析、ドアガラスとの相互作用が騒音の発生や伝達に与える影響の検証、騒音低減効果を最大化するための構造設計)
(3)トヨタ紡織|開発トレンドと専門性

B60Nが最も多いです。次いでB60R、A47C、F02Ⅿ、B29Cが多いです。
具体例として車両衝突時の衝撃からリクライナを保護する構造を備えた乗物用シートが挙げられます。
従来の衝突安全シートでは衝撃吸収のためにロアアーム(車体とシートバックを繋いでリクライニング機構を支える部品)がクッションフレームに連結される構造が一般的でしたが、この構造では、ロアアームが車両に直接固定される場合、衝突時の衝撃を十分に吸収できないという問題点がありました。
これに対して、シートクッション、揺動可能なシートバック、バックフレーム、車両固定用の第1ロアアームおよびバックフレームと第1ロアアームを連結するリクライナを備え、第1ロアアームはリクライナが取り付けられるアーム本体、リクライナより下方と後方で車両に固定される第1および第2固定部を有し、アーム本体にはリクライナと第1固定部の間に上下方向に延びるシート幅方向内側に凹んだ第1凹部と、リクライナと第2固定部の間にシート前後方向に延びるシート幅方向外側に凹んだ第2凹部が形成されていることで、前後方向からの衝撃入力時にそれぞれの凹部が圧縮または引張変形することで衝撃を吸収し、リクライナへの衝撃入力を低減する乗物用シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7666287/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(第1ロアアームの形状、凹部の設計、各部品の強度計算、リクライニング機構との連携を考慮した設計)、人間工学(衝突時の乗員の身体運動の解析、シートや凹部の形状が乗員への衝撃をどのように緩和するか評価、シートの調整機構や操作性が日常的な使用における安全性や利便性に与える影響の評価)
従来のシート昇降装置ではピニオンギア(小さな駆動歯車)とセクタギア(扇形の歯車)の間に存在するバックラッシ(歯車のかみ合いの遊び)が原因でシートクッションに不要な動きが生じる可能性がありました。
これに対して、動力源、ピニオンギア、セクタギア、リンク、ゴム部材を備え、ピニオンギアで回転するセクタギアがリンクを介してシートを昇降させ、クッションフレームのゴム部材がリンクの動きに連動し、セクタギアの回転軸と交差する方向に圧接されることにより、リンクの全可動範囲においてゴム部材がセクタギアに接触し、揺動軸周りの円弧に沿って移動しながら圧力を加えることで、ギアのバックラッシによるガタツキを抑制する乗物用シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7632204/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(動力伝達効率、耐久性、静音性、安全性などを考慮したピニオンギア、セクタギア、リンク機構、ゴム部材を含むシステム全体の設計)、応用物理学(ゴム部材の弾性特性や摩擦特性の解析、ガタツキ抑制効果を最大化するための材料特性や形状の検討、機構動作時の振動特性や騒音発生メカニズムの分析)
具体例として乗物用内装材が挙げられます。
従来の、乗員に帯電した静電気を効率的に除去する静電気除去構造では導電性樹脂や特殊な係止部材など複数の部品が必要となり、部品点数の増加とコスト上昇を招くという課題がありました。
これに対して、基材と表皮材を備え、表皮材の少なくとも金属部材側の表面に静電気拡散性を有する除電表面層を有し、基材は接触部の骨格となる本体と金属部材へ延びる延設部、表皮材は接触部を覆う本体部と延設部を覆う延設部を有し、内装材が金属部材に取り付けられた際、表皮延設部の除電表面層が金属部材に直接接触する構成とされ、また、延設部には金属部材に向けて突出する押当て部を設けられ、この押当て部が表皮延設部を介した金属部材への圧接により確実な電気的接触を確保することで、金属部材の塗装の有無にかかわらず簡素な構成で静電気を除去する乗物用内装材が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7622556/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(導電性繊維の配合、導電性微粒子の分散や高分子材料自身の改質の検討、表面抵抗値と耐久性を有する樹脂シート、布帛、不織布、編物などの材料の設計・合成)、材料工学(乗物内装材と金属部材間の電気的接触に関する評価と最適化、表皮材の押当て構造、接触面積、接触圧力などが除電効率に与える影響の解析)
具体例として乗物用シートに内蔵されたスピーカーが挙げられます。
従来のシート内蔵スピーカーではスピーカーがシートパッドで覆われているため、音質が損なわれたり、取り外しに手間がかかったりする問題がありました。
これに対して、シートパッドの後方にスピーカー本体が配置され、シートパッドを貫通する貫通部内にスピーカーグリルが対向して設置され、スピーカー本体の音はシートパッドに遮られることなく、スピーカーグリルを通して着座側に伝達され、また、シートパッドを補強する部材に固定されたブラケットにスピーカーグリルが係合構造を介して取り付けられているため、スピーカーグリルを貫通部内に安定して設置でき、シンプルな構造でスピーカーの着脱が容易なスピーカーが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7259627/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(スピーカー本体の指向性、音圧レベル、周波数特性の評価、シートパッドや内装材による音響的な影響の解析、スピーカーグリル形状、貫通部の設計、吸音材の配置の検討)、人間工学(ピーカーグリルが乗員に与える異物感や圧迫感の評価、最適なグリル形状や配置の検討、シートの形状、硬さ、振動特性などが音の聞こえ方に与える影響の調査)
具体例として内燃機関のエアクリーナが挙げられます。
従来のエアクリーナではキャップを回動可能に支持するヒンジ構造がアウトレットホースの取り回しによってはキャップの取り外しを妨げる場合があり、フィルタエレメント交換時の作業性を低下させるという問題がありました。
これに対して、ケースとキャップの対向する開口部の周縁の一つの辺に互いに嵌入する単一の突部と嵌入部からなる支持機構が設けられ、キャップをケースに対して開閉可能に支持し、アウトレットがこの支持機構とは反対側の側壁から突部の突出方向に向けて突出するとともに、その辺の延在方向において突部とは離れた位置に配置され、キャップとケースはクランプで固定され、クランプは支持機構とは異なる辺に掛け止めされ、キャップを取り外す際、クランプを解除後、アウトレットホースを軸線と交差する方向に曲げながらキャップを突部の突出方向にスライドさせることで単一の支持機構を支点としてキャップが回転し、嵌入部から突部が抜けるためホースを取り外すことなく容易にキャップを取り外すことが可能なエアクリーナが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7537385/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ケース、キャップ、突部、嵌入部、クランプなどの各部品の形状、寸法、材質の選定、組付け性や耐久性を考慮した設計)、応用物理学(エアクリーナ内部の空気の流れの解析と最適化、フィルタエレメントの性能評価)
具体例として繊維と熱可塑性樹脂を含む板状成形構造体が挙げられます。
従来の成形構造体では加熱処理の回数を減らした場合に端末部分の剛性を確保することが困難でした。
これに対して、本体部から立ち上がる立上部の内側面に端縁に沿う溝部が設けられ、そこに熱可塑性樹脂が充填され、また、立上りを形成する屈曲部の外面にも溝部を設けられ、樹脂が充填されることにより、プレス成形時に加熱を省略しても立上部端縁と屈曲部の樹脂充填部が補強材として機能し、シャー刃による切断時の損傷による剛性低下を防ぐことができる板状成形構造体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7663068/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(成形構造体の設計、強度解析、成形プロセスの最適化、立上部や屈曲部の形状、溝部の設計、リブの配置などの検討)、材料工学(強度、剛性、耐熱性、コストなどの特性を満たす材料の選定、繊維の種類や配合率、熱可塑性樹脂の分子量や添加剤などの調整)
(4)アイシン|開発トレンドと専門性

H02Kが最も多いです。次いでF16H、B60J、H01M、B60Nが多いです。
具体例として回転電機のステータが挙げられます。
従来のステータでは相ごとに二重巻コイルと一重巻コイルを併用するためコイル種類や巻線構造が複雑化し、単一の二重巻コイルを用いた場合には異相コイル間の絶縁距離確保が課題でした。
これに対して、径方向に閉じたコイル形状の二重巻コイルがステータコア全周に巻装された回転電機のステータにおいて、特定の周方向区間で第1相と第2相の第1二重巻コイルのみが径方向にオーバラップしており、異なる相の第1二重巻コイルのスロット挿入部がそれぞれ異なるスロットに配置される構成によって、最も電位差が大きくなる異相の第1二重巻コイル間の接近が限定的な区間に抑制され、他の区間では相間絶縁対策を簡略化することが可能できる回転電機のステータが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7552907/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(ステータコイルの巻線設計、特性解析、駆動回路の設計、各種センサーを用いた回転子の位置や速度の制御システムの設計)、機械工学(回転電機の構造設計、熱解析、振動解析)
従来のローターでは永久磁石の配置や磁路の最適化によるトルク向上に限界がありました。
これに対して、周方向に交互に配置された永久磁石、永久磁石の中間部に対向する外周コア、ローター両端部の一対の端末コアを備える電動モーターのローターであって、外周コアと端末コアが磁性体で構成され、外周コアによりローター中間部に第1磁束が形成され、これが回転トルクの主成分となる第1トルクを生成し、一方、端末コアによりローター両端部に第2磁束が形成され、この第2磁束の作用による第2トルクは、電動モーター作動時に第1トルクが増大する過程で減少するように、端末コアの最大透磁率が外周コアの最大透磁率以下に設定されることで、回転トルクの変動が抑制され、結果として電動モーターの平均トルクが向上する電動モーターのローターが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7626214/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(ローター内の磁束分布の解析、永久磁石の配置やコアの形状が磁気特性に与える影響の評価、電動モーター全体の等価回路モデルの構築)、機械工学(ローターの 構造設計、強度解析、振動解析)
具体例として車両用駆動装置が挙げられます。
従来の車両用駆動装置では回転電機室と伝達機構室を連通する油路が隔壁に設けられており、車両姿勢の変化によって油が一方に偏り、潤滑不良や抵抗増大を引き起こす可能性がありました。
これに対して、回転電機を収容する第1収容室と伝達機構を収容する第2収容室を隔壁部で仕切るケースを備え、隔壁部よりも下方を通り、軸方向に延びる軸方向油路部と、その軸方向油路部の第2側端部から上方向に延びる上向き油路部とで構成される連通油路が接続される構成が採られています。具体的には、第1収容室の第1開口部が隔壁部から軸方向第1側に、第2収容室の第2開口部が軸方向油路部から上向きに延びた上向き油路部の上端で、隔壁部から軸方向第2側に配置され、かつ第2開口部は第2収容室底部より高い位置に設けられた構成により、車両姿勢が変化しても油が一方に偏るのを防ぎ、各収容室で適切な油量を維持することで回転電機の冷却不良や伝達機構の潤滑不良を抑制し、安定した駆動性能を確保できる車両用駆動装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7524923/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(回転電機、伝達機構、ケースおよび油路を含むシステム全体の設計、強度解析、振動解析および熱解析、油の流動解析、潤滑性能と冷却性能を最適化するための設計変更や制御方法の検討)、電気工学(システム全体のエネルギー効率の最適化、インバータなどの電力変換装置との連携)
具体例として車両のルーフ開口部を開閉するサンルーフ装置が挙げられます。
従来のサンルーフ装置ではリアリンクに摺動溝を設ける必要があり、部品が大型化しやすいという問題がありました。
これに対して、リアリンクの基部を樹脂製の被覆部で覆い、その被覆部に摺動軸と摺動する摺動面を、基部と幅方向にずらして設ける構成により、リアリンクの基部に摺動溝などを設ける必要がなくなり、部品の小型化と構成の簡素化を実現するサンルーフ装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7652279/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(可動パネルの開閉機構、リンク機構、摺動機構を含むシステム全体の設計、強度解析、振動解析)、材料工学(サンルーフ装置の各部品に最適な材料の選定、特性評価)
具体例として酵素電極をアノードに含むバイオ燃料電池が挙げられます。
従来のバイオ燃料電池では酵素から電極基材への電子伝達効率が低く、十分な電池出力が得られないという問題がありました。
これに対して、アノードの酵素電極において、燃料酸化酵素による燃料の酸化に伴い生成する還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD(P)H)の存在下でフラビンを還元するフラビン還元酵素と、特定の濃度範囲(0.5mM~100mM)の特定のフラビン(フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)及びその誘導体、並びに、フラビンモノヌクレオチド(FMN)及びその誘導体から選択される一種以上)により、酵素/電極基材間の効率的な電子伝達を実現し、高出力を可能にするバイオ燃料電池が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7658163/15/ja
関連する専門分野の例:生化学(各酵素の反応速度論的パラメータ(Km値、kcat値)の測定、pHや温度に対する安定性の評価、基質特異性の解析、酵素活性を向上させるための変異導入や化学修飾などの酵素改変)、電気化学(フラビンの酸化還元反応、電極基材への電子伝達効率およびバイオ燃料電池全体のエネルギー変換効率の解析、電極材料の選定、電極構造の最適化、バイオ燃料電池の動作条件(燃料濃度、pH、温度など)が電池性能に与える影響の評価)
具体例として車両の乗員が座席に直座りしているか、幼児用補助装置に着座しているかを判定する着座状態検出装置が挙げられます。
従来の技術では幼児用補助装置が直接固定タイプの場合、乗員(幼児)が着座していてもシートベルトが使用されないため、誤ってベルトリマインダが作動する問題がありました。
これに対して、電波センサから取得した検出信号群の中から、所定の反射強度範囲の信号を抽出し、その特定強度信号の分布態様に基づいて、乗員が座席に直座りする第一の搭乗状態か、幼児用補助装置に着座する第二の搭乗状態かを判定する着座状態検出装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-188592/11/ja
関連する専門分野の例:情報工学(電波センサから取得される検出信号を処理してリアルタイムで着座状態を判定するためのソフトウェアおよびハードウェアシステムの設計、信号処理アルゴリズムの実装、データ解析パイプラインの構築)、応用物理学(車両環境における電波の伝搬特性と乗員や幼児用補助装置からの反射特性の解析、電波センサの周波数、出力、指向性などのパラメータが検出信号に与える影響の評価、最適なセンサ仕様の決定)
(5)デンソー|開発トレンドと専門性

H01Lが最も多いです。次いでH02K、H02M、G08G、B60H、G06Fが多いです。
具体例として半導体装置が挙げられます。
従来の半導体装置では制御電極へのワイヤ接合のために制御電極にワイヤ断面積よりも広い面積が必要となり、半導体素子の小型化を妨げる要因となっていました。また、柔軟な配線シートを用いた技術では半導体素子と配線シート上の端子の位置合わせが困難でした。
これに対して、半導体素子とは別体の端子基板にワイヤ接合用のボンディング端子が設けられ、その裏面の中継端子を半導体素子の制御電極に接触させる構造により、制御電極の小面積化と半導体素子の小型化に貢献する半導体装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7571743/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(制御電極と中継端子の接触抵抗の低減、接合界面の耐久性向上、熱応力による剥離防止策の検討)、機械工学(端子基板裏面の段差形状の最適化、半導体素子側面との嵌合精度向上の検討、量産に適した高精度な接合装置の設計)
従来のトレンチゲート型半導体装置(ゲート電極が溝(トレンチ)の側面に形成された構造を持つ半導体装置)ではトレンチ側面の不純物濃度を低下させる技術があったもののドリフト領域の不純物濃度も低下させてしまい、ドリフト抵抗が増加する懸念がありました。
これに対して、半導体層にトレンチを形成した後、トレンチよりも浅い範囲に第2導電型(p型)の不純物イオンを注入してボディ領域を形成する際に、トレンチ内に向けて照射される不純物イオンが半導体層に注入される深さ範囲の少なくとも一部に存在しないようにトレンチ内に遮蔽材を充填することで、ボディ領域のうちトレンチに面する部分の不純物濃度を選択的に低下させ、チャネル抵抗を低減できる半導体装置の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7616033/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(トレンチ形成工程におけるエッチング条件の最適化、イオン注入工程におけるエネルギー・ドーズ量・角度の制御の検討、遮蔽材の選定)、電気工学(低オン抵抗化されたトレンチゲート型半導体装置の電気的特性の最適化、デバイスの等価回路モデル、駆動回路の設計)
具体例としてアキシャルギャップ型回転電機が挙げられます。
従来のアキシャルギャップモーター(ローター(回転子)とステーター(固定子)が回転軸に対して軸方向に対向して配置され軸方向に働く磁力を利用して回転するモーター)ではロータの強度を確保するために永久磁石の表面を補強部材で覆う構成が一般的でしたが、この補強部材がアキシャルギャップ(軸方向の隙間で磁力が働く部分)の距離を拡大させたり、磁束を減少させたりする問題がありました。
これに対して、アキシャルギャップに対向する永久磁石と、その背面においてロータの中心軸に対し回転対称に配置され軸方向に伸びて永久磁石にかかる力を支える複数の縦壁を有するサポートプレートを備え、このサポートプレートは縦壁を持つインナコアと、少なくとも片側の端に接合されたエンドプレートで構成され、軽量ながら必要な強度を確保し、アキシャルギャップへの悪影響を抑えるアキシャルギャップ型回転電が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7643399/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(サポートプレートの形状がロータの強度や重量に与える影響の解析、ロータの回転時の振動モードの解析、共振を避けるための設計、軽量化と強度を両立させるための構造の検討)、電気電子工学(ロータの形状変更がアキシャルギャップの磁束分布やインダクタンスに与える影響の解析、ロータの軽量化が回転電機の効率やトルク特性に与える影響の評価、最適なロータ構造とステータとの組み合わせの検討)
具体例として電力変換装置が挙げられます。
従来の電力変換装置では複数のスイッチング素子とバスバや制御回路基板との位置関係にばらつきが生じやすく、その結果、寄生インダクタンスが素子間で不均一となり、動作精度の低下が懸念されていました。
これに対して、ケースの外周壁内周面に沿って周方向に延びるパワー外周端と制御外周端をそれぞれ有するパワー接続対象と制御接続対象を備え、複数のスイッチ部品がこれらの外周端に沿って周方向に並べて配置された構成により、各スイッチ部品と接続対象との位置関係のばらつきを抑制し、パワー端子及び制御端子を含む通電経路の寄生インダクタンスの均一化を図り、電力変換装置の動作精度を高めた電力変換装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7597076/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(電力変換回路における寄生インダクタンスがスイッチング特性に与える影響の解析、配線構造による寄生インダクタンスの低減効果の評価)、電子工学(スイッチング素子の高速化と低損失化のための駆動回路設計、スイッチング素子の熱設計)
具体例として車両の運転者が適切なタイミングで惰性走行を開始できるように促す運転操作支援装置が挙げられます。
既存技術では運転者に惰性走行を促す報知が運転者の状況を考慮せずにおこなわれるため、運転者の負荷を増大させたり、不快感を与えたりする可能性がありました。
これに対して、車両に惰性走行をさせると消費エネルギー低減効果がある場合に、運転者に惰性走行の開始を促す操作指示を報知する報知部と、運転者の負荷に基づいて報知の頻度やタイミングを変更する変更部を備えることにより、運転者の負荷が大きい状況では報知を控えめにするなど、運転者の状況に応じた適切な情報提供を可能とし、運転者の負担を軽減する運転操作支援装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7666377/15/ja
関連する専門分野の例:人間工学(生理学的指標(心拍数、皮膚電気伝導度など)、行動指標(視線移動、ステアリング操作など)、主観評価尺度などによる運転者の負荷の計測・分析、運転者が無理なく情報を理解し適切な操作に移れるような報知インターフェースの設計)、情報工学(運転者の負荷状況や車両の走行状況、周囲環境などの情報の統合的な解析、適切な報知タイミングと方法を自律的に決定する学習モデルの構築)
具体例として空調装置などに用いられるロータリドアが挙げられます。
従来のロータリドアでは回転時の摩擦やシール部材自身の弾性力により天板からシール部材が剥がれる恐れがあり汎用性に課題がありました。
これに対して、空気の通り道となるケースの中で回転するドア基板に、外側を覆う天板と、気密性を保つためのシール部材が取り付けられたものであって、シール部材は、端が内側に折り返して天板に貼り付けられ、ドアの骨組みにはその折り返したシール部材を天板との間で挟んで固定する板部材が付けられ、天板と板部材がシール部材を挟む部分の断面が同心の円弧形状になっていることで、シール部材が剥がれにくく汎用性を高められたロータリドアが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7559789/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ロータリドアの機構設計、強度解析、シール性能評価)、材料工学(シール部材に求められる柔軟性、弾性、耐摩耗性、耐熱性、耐薬品性などの特性評価、最適な材料の選定)
具体例として車載ネットワークで接続された電子制御装置(ECU)が挙げられます。
従来の技術では特定のECUがバックアップ先ECUの管理テーブルを一元管理するため、バックアップ処理時にその特定のECUへのアクセスが集中し、通信負荷が増大するという問題がありました。
これに対して、ソフトウェア書き換え前に保存データのバックアップ先となり得るECUの情報を特定のECUから管理テーブルとして受信し、その管理テーブルに自装置の保存データの書き換え容量を記録してバックアップ先ECUへ送信し、その後、保存データの少なくとも一部をバックアップデータとして送信し、バックアップ完了を示す情報が記録された管理テーブルをバックアップ先ECUから受信することにより、管理テーブルを書き換え対象ECUとバックアップ先ECU間で分散保持・更新し、特定のECUへのアクセス集中を避け、システム全体の通信負荷を低減するECUが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7661903/15/ja
関連する専門分野の例:通信工学(車載ネットワークにおけるデータ通信プロトコルの特性の解析、バックアップ処理時の通信トラフィックを最適化する方式の検討)、ソフトウェア工学(複数のECUが連携して動作するバックアップシステムのソフトウェアアーキテクチャの設計)
(6)ジェイテクト|開発トレンドと専門性

B62Dが最も多いです。次いでF16C、F16D、F16H、B24Bが多いです。
具体例としてステアリング装置が挙げられます。
従来のステアリング装置では、ステアリングホイールの軸方向位置調節時に、伸縮シャフトだけでなくステアリングコラム全体が移動するため、操作性が低下する懸念がありました。
これに対して、外側の筒(アッパージャケット)が内側の筒(ロアーチューブ)に被さり、その筒の穴がゴムのように縮まる力で固定されるものであり、アッパージャケットの向かい合う壁のどちらか一方にはレバーを操作すると内側に曲がるL字型の切れ込みがあり、その切れ込みの一部には締め付けるための軸を通す長孔があり、この長孔の端とアッパージャケットの端の間の距離が切れ込みの幅よりも狭くなっていることで、レバーを締めたときの力が効率よく伝わり、内側の筒を強固に保持し、レバーを緩めると外側の筒だけがスライドできるようになり、ハンドルの前後位置をスムーズに調整できるステアリング装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7632169/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ステアリング装置の機構設計、強度解析、操作性評価)、人間工学(運転者の手の大きさや握力、姿勢などを考慮したロックレバーの形状や操作角度、必要な操作力の設計、ステアリングホイールのチルト角やテレスコピック量の調整範囲がさまざまな運転姿勢に対応できるか評価)
従来の操舵制御装置は車両の始動操作後に起動シーケンスを開始するため、システムが複雑化するほど起動完了までの時間が長くなり運転者が発進までに待たされる懸念がありました。
これに対して、始動スイッチがオフの場合でも車両への接近やドアの開錠などの使用予兆を検出回路が検知すると、制御回路が実行条件成立と判断し、起動シーケンスを実行し、主電源に加えて補助電源を備える車両においては、補助電源の容量が十分であれば補助電源の電力を用いて起動シーケンスを実行することで、主電源の消耗を抑制することで、運転者が始動操作をおこなってから発進するまでの待ち時間を短縮し、利便性を向上させた操舵制御装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7666192/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(マイコンの選定、センサーインターフェースの設計、モーター駆動回路の設計、補助電源の充放電制御およびシステム全体の電力管理)、情報工学(制御回路で実行されるソフトウェアの設計、起動シーケンスの効率化、予兆検知アルゴリズムの設計)
具体例として転がり軸受が挙げられます。
従来の転がり軸受では回転機器の小型化要求に対し、軸方向寸法の縮小が課題でした。玉を小さくすると負荷容量が低下し、保持器よりも内輪・外輪の軸方向寸法を小さくすると組み立て性や輸送時に保持器が破損する懸念がありました。
これに対して、保持器の軸方向一方側の面に、玉の一部をはめ込む穴が設けられ、その穴がある部分が玉を収容するポケット部の一部を構成しており、この保持器は、軸方向両側から玉を挟む二つの環状部材でできており、少なくとも片方の環状部材の玉を収容する部分に、この平面と穴があり、この玉を収容する部分の平面を有する側殻部の最小厚さ寸法が、反対側の曲面を有する中央殻部の最小厚さ寸法よりも小さいことで保持器全体の厚みが薄くなり、結果として転がり軸受全体の幅が小さくなった転がり軸受けが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7524590/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(高強度鋼板の選定、プレス成形における最適なひずみ硬化の利用、熱処理による強度向上および疲労強度や耐摩耗性の評価)、精密工学(プレス加工における金型設計の最適化、微細な穴加工技術の確立)
具体例として自動車のプロペラシャフトなどに用いられる等速自在継手が挙げられます。
従来の等速自在継手では内側ジョイント部材にブーツを支持するスリーブを圧入する際、内側ジョイント部材の凸状外球面が拡径し、保持器と干渉して作動を阻害する可能性がありました。これを避けるため、保持器の一部を拡径する対策が取られていましたが、部品間の接触面積が減少し、摩耗や異音の原因となる問題がありました。
これに対して、外側ジョイント部材と内側ジョイント部材、トルク伝達用の係止部材、保持器及びスリーブを備え、内側ジョイント部材の開口部側にスリーブが圧入される保持部と、その圧入範囲に対応して凸状外球面の一部に外径よりも小径となる逃がし部が設けられたことにより、スリーブ圧入時に逃がし部が拡径してもジョイント角度がゼロ度以外の場合に内側ジョイント部材と保持器が干渉することを防ぎ、また、逃がし部が拡径することで内側ジョイント部材と保持器の接触面積の減少を抑制し、摩耗や異音の発生を抑え、円滑な作動を維持する等速自在継手が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7473071/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(等速自在継手全体の設計、部品の設計、強度計算、機構解析、量産を見据えた製造プロセスの検討)、材料工学(等速自在継手の各部品に最適な材料の選定、特性の評価)
具体例として車両用差動装置が挙げられます。
従来の差動装置では出力軸の位置決めのためにアクスルスペーサが用いられていましたが、部品点数の増加や潤滑油の流動阻害といった問題がありました。また、アクスルスペーサを廃止した構造では車両組み立て時の位置決めが困難でした。
これに対して、第1、第2連結部材、第1、第2サイドギヤ、ピニオンギヤ組、デフケースおよびセンタワッシャを備え、第1、第2サイドギヤに、それぞれ内径側に突出する第1、第2壁部が設けられ、車両組み立て時には、この壁部に出力軸を突き当てることで、アクスルスペーサなしで出力軸の軸方向の位置決めが可能となり、ドライブ時にはヘリカルスプライン結合によるスラスト力を利用して、第1、第2壁部とセンタワッシャとの間に摩擦力を発生させ、差動制限力を高め、また、壁部によって第1、第2サイドギヤとセンタワッシャとの接触面積が増加し、発熱や摩耗が抑制される車両用差動装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7622874/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(差動制限トルクの発生機構、各部品の強度、耐久性および軽量化を考慮した設計)、材料工学(差動装置にかかるトルク、回転数、振動などの負荷条件の分析、各部品(ギヤ、シャフト、ケースなど)の応力分布の評価、適切な材料の選定)
具体例として研削盤における工作物の研削品質を機械学習により推定するモデルが挙げられます。
従来の研削では作業者の経験や研削後の検査で品質を判断していましたが、高精度な品質管理や研削条件の最適化が困難でした。また、研削負荷のみでは加工変質層の有無を高精度に判定できないという問題がありました。
これに対して、砥石車による研削工程中の工作物の外径測定時に定寸装置で発生する振動および研削部位で発生する音の少なくとも一方を検出器が取得し、その波形データをフーリエ変換して得られた第一次データで研削部位に関する実測データを生成し、この実測データを工作物毎かつ研削工程毎に取得し、複数の工作物に関する実測データを学習用入力データとして機械学習により研削品質を推定する学習モデルが研削工程毎に生成され、工作物の研削品質を良好に取得することが可能な研磨品質推定モデル生成装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7424463/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(検出器から得られる振動や音の波形データの特徴量を抽出する適切な機械学習アルゴリズムの選定、学習モデルの構築)、応用物理学(研削音から研削状態や研削品質に特有の音響的な特徴の抽出、抽出した音響特徴量と研削品質データとの相関関係の解析、機械学習モデルの入力データとして有効な音響情報の特定)
(7)小糸製作所|開発トレンドと専門性

F21Sが最も多いです。次いでB60Q、G01Sが多いです。
具体例として車両用灯具が挙げられます。
従来の投影レンズを用いた車両用灯具では意匠性向上のために出射面を縦長にすると入射面も狭くなり光源からの光を十分に取込めず、配光パターンの明るさが低下していました。
これに対して、光源ユニットから灯具左右方向に収束された光を投影レンズに入射させ、投影レンズの出射面を灯具正面視で縦長としつつ、入射面をそれよりも広幅にすることで、出射面の両側端縁から灯具後方へ左右に拡がる立壁面が設けられて、収束光を入射面から効率良く取り込み、出射面へ導くことで、細幅に見える意匠性を維持しながら十分な明るさの配光パターンを実現する車両用灯具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7606957/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(各部品の設計、光学部品の取付構造や位置調整機構の検討、光源の発熱による影響を考慮した放熱設計)、電気電子工学(光源の特性に合わせた最適な駆動回路の設計、明るさ制御や配光制御などのための電子制御システムの設計、車両の電源システムとの整合性を考慮した配線設計)
従来の車両用灯具では意匠的な照射パターン形成において、光源からの光を平行光として扱い、複数の照射範囲が重ならないために暗部が生じたり、意図しない散乱光が発生したりすることで照射むらが発生しやすいという問題がありました。
これに対して、各光束制御部が中央の屈折部とそれを囲む略すり鉢状の反射部を有し、屈折部は発光素子からの光を直接前方へ屈折させ、反射部は光を反射させて拡散させつつ前方へ出射させることにより、各発光素子に対応する光束は、線状照射パターンの延伸方向の長さが延伸方向と交差する方向の長さよりも長い遠視野パターンを形成し、この細長い遠視野パターンを延伸方向に沿って配列し重複させて照射むらを抑制し、光利用効率を高めた車両用灯具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7633136/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(発光素子から出射される光の特性の解析、屈折部と反射部の形状に基づき所望の細長い遠視野パターンを形成するための光学設計)、材料工学(必要な透明性、耐候性、耐熱性を有する樹脂材料の選定、射出成形などの量産に適した成形方法の検討)
従来のハイビーム用光源では複数の発光素子を単純に並べた構成が多く、配光パターンにムラが生じやすいという問題がありました。特に、発光素子の数を減らすと配光ムラが顕著になり、良好な視認性を確保することが困難でした。
これに対して、第1光源(ロービーム用)と、第1光源の下方に左右に並んだ複数の第2発光素子(ハイビーム用)と、これら光源からの光を導光する導光体と、投影レンズを備え、導光体は、ロービーム用の第1出射面とハイビーム用の第2出射面および両者を繋ぐ上向き反射面を有し、第2入射部が前部入射面、側部入射面、全反射面を備え、左右端部の第2入射部では全反射面の端部側と中心部側からの反射光をそれぞれ付加配光パターンの拡散領域と中心領域に形成するため、少ない第2発光素子でも配光ムラの少ないハイビームパターンを実現する車両用灯具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7646518/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(車両の振動や温度変化といった環境条件下でも高い精度で保持し所望の光学性能を維持するための機構設計、各部品の取り付け構造、位置調整機構および耐久性を考慮した材料選定)、電気電子工学(複数の第2発光素子を効率的に駆動するための回路設計)
具体例として点灯回路が挙げられます。
従来のシーケンシャル点灯回路では複数の光源に並列にスイッチを設けて個別に制御していましたが、スイッチの特性ばらつきなどにより一斉消灯が困難になる場合がありました。また、昇圧型のDC-DCコンバータを用いた場合、回路設計が複雑になるという問題がありました。
これに対して、直列接続された第1光源と第2光源を含む複数の光源と、電源ラインと接地ライン間に設けられた第1スイッチ(NMOSトランジスタ)、第2光源の電源ライン側ノードと接地ライン間に設けられた第2スイッチ(NMOSトランジスタ)、各スイッチのオンオフを制御することで各光源の点灯・消灯を行う制御回路および光源に駆動電流を供給する昇降圧コンバータを備える点灯回路であって、昇降圧コンバータにより、光源の接続順に依存せずNMOSトランジスタをスイッチとして使用でき、回路設計を容易にし、電源ラインと接地ライン間の第1スイッチをオンにするだけで全ての直列接続された光源への電流を遮断し、一斉に消灯できるため、異常時や消灯指示時の応答遅れを防ぐ消灯回路が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7645782/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(バッテリー電圧の変動に対応した昇降圧コンバータの設計、各光源に適切な電流を供給するための定電流制御)、情報工学(光源の点灯パターン、タイミングおよび異常検知・制御をおこなう組み込みソフトウェアの設計)
従来のレベリング制御では路面の急な変化に対して前照灯の追従が遅れ、照射領域がずれやすいという問題がありました。
これに対して、車両の現在地を特定する位置特定部、前照灯の実レベリング角を検出する実レベリング角検出部、路面角度に応じた目標レベリング角を算出する目標レベリング角算出部および走行中に取得したこれらの情報を位置情報と関連付けてレベリング角履歴データベースに登録する履歴登録部を備え、路面変化に対するレベリング制御の遅れが発生しやすい地点の特定やより高度なレベリング制御のための基礎データを効率的に収集することが可能なレベリング角データ収集システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7612512/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(レベリング角のずれが大きい地点の地理的特徴やその地点における車両の速度変化、路面勾配の変化パターンなどの抽出、レベリング制御の遅れを予測するモデルの構築)制御工学(位置情報、実レベリング角、目標レベリング角といった複数のセンサ情報の統合的な解析、車両の走行状態と路面状況を高精度に推定するアルゴリズム設計)
具体例として視野を奥行き方向に分割し、各レンジに対応するスライス画像を生成するゲーティングカメラが挙げられます。
従来のゲーティングカメラではイメージセンサから画像処理装置への画像伝送速度がボトルネックとなり、スライス画像の生成に時間がかかってフレームレートが制限されるという問題がありました。
これに対して、プローブ光を照射する照明装置、露光により生画像を生成し、物標を含まない無効ラインの画像情報を圧縮して出力するイメージセンサ、発光・露光タイミングを制御するカメラコントローラおよび圧縮画像を受信してスライス画像を復元する画像処理装置を備え、イメージセンサが生画像を構成するライン毎に物標の有無を判定し、無効ラインの画像情報を圧縮することでデータ伝送量を削減し、スライス画像の生成時間を短縮するゲーティングカメラが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7653436/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(イメージセンサから得られる生画像データに対して物標の有無をより高度かつ効率的に判定するアルゴリズムの設計)、電気電子工学(アナログ-デジタル変換回路(ADC)の最適化、デジタル信号処理回路の設計)
(8)東海理化|開発トレンドと専門性

B60Rが最も多いです。次いでG06F、E05B、B60K、H01Hが多いです。
具体例としてシートベルト装置に用いられるバックル装置が挙げられます。
従来のバックル装置ではシートベルトの引出しを制限する部材が単一であるため、引出許容荷重を大きくすると通常の使用時にも作動しやすく、緊急時以外でのバックル本体の延出を招く可能性がありました。
これに対して、バックル本体と巻取軸を連結する連結部材の引出しを制限する制限部材と、制限部材が変形を開始された以後に変形を開始し破断することで引出しを許可する破断部材とを備えるバックル装置であって、通常時は制限部材が引出しを制限し、大きな荷重が加わった際には制限部材の変形に加えて破断部材の変形と破断によって段階的に連結部材の引出しを許容することにより、連結部材の引出許容荷重を制限部材と破断部材それぞれの変形に必要な荷重の合計として大きくすることが可能なバックル装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7648478/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(制限部材と破断部材の材料選定および形状設計、各部材に要求される強度、変形量、破断荷重の解析)、材料工学(限部材と破断部材の最適な材料選定、要求される機械的特性を実現するための熱処理プロセスの検討)
従来のウェビング巻取装置ではクラッチギヤ(動力伝達ギア)とスプール(ウェビング巻取ドラム)を連結するためにかしめ加工が必要であり、スプールに延性の高い高価な材料の使用を強いるという問題がありました。
これに対して、スプール内部に軸部材と軸部材に保持されるプッシュストッパ(押さえ部材)が設けられ、リング状のリングクラッチ(動力連結リング)をプッシュストッパとスプールの底部で軸方向に挟持する構成であって、プリテンショナ(緊急巻取機構)作動時にはその駆動力がリングクラッチに伝達され、挟持されたリングクラッチを介してスプールが回転し、ウェビングが巻き取られることで、スプールに特別な加工を施すことなくリングクラッチを固定できるため、安価または軽量な材料をスプールに適用できるウェビング巻取装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7576003/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(プリテンショナの作動タイミング、出力特性、ウェビングの巻取量を最適化する設計)、応用物理学(リングクラッチやプッシュストッパにかかる応力分布の解析、最適な形状や材料特性の特定、リングクラッチとスプール底部間の滑り挙動の評価)
具体例として金属製フレームを有する静電容量式タッチ検出装置が挙げられます。
従来の静電容量式タッチ検出装置では操作面周囲の金属製フレームに人体が触れるとフレームを介した静電容量変化が電極に影響し、タッチ操作位置を正確に検出できない可能性がありました。
これに対して、操作面に複数の電極と、電極の静電容量変化に基づき操作位置を演算する演算部を備える検出装置であって、操作面が複数のエリアに区分けされている場合に演算部が静電容量変化から求まる演算座標をエリア境界から離れた補正座標に変換し、その補正座標をユーザ操作の操作位置とすることにより、フレームの影響で演算された誤った座標を操作された可能性の高いエリア内の適切な位置に補正し、誤検出を抑制し、操作精度の向上を図る検出装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7662488/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(静電容量式タッチセンサの電極設計と配置、静電容量変化を検出・処理する電子回路の設計)、情報工学(さまざまな操作パターンにおける静電容量変化の特性の分析、正確な演算座標を算出するアルゴリズムの設計)
具体例としてモバイル装置を用いた認証システムが挙げられます。
従来のモバイル装置による認証システムでは認証情報の送受信のみに基づいて被制御装置の動作を許可していましたが、意図しない誤動作や不正な動作を招く可能性がありました。また、ユーザの操作意思を別途検知するためのセンサが必要となる場合がありました。
これに対して、モバイル装置から近接無線通信で認証情報を受信するループアンテナと、そのインピーダンス特性変化を検出する検出部、受信した認証情報を用いた認証処理の結果と検出部による検出結果に基づいて被制御装置の動作を制御する制御装置を備え、さらに、ループアンテナから放射される磁場の振幅変調を行う第一状態と、行わない第二状態とを切り替える処理部を備えることで、近接無線通信による認証とインピーダンス特性変化によるユーザの意図的な操作の検出という二つの要素を組み合わせた制御を可能にし、状況に応じて磁場の振幅変調を切り替えによってシステムの柔軟性や効率性を高めた認証システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7642494/15/ja
関連する専門分野の例:通信工学(モバイル装置との通信距離や角度による通信品質の変動の評価、安定した通信が可能なアンテナ構造の設計、ユーザの接触や近接による微小なインピーダンス変化を高精度に検出するための検出回路の設計)、制御工学(認証成功とインピーダンス変化の検出という二つの条件に基づき被制御装置の動作許可・不許可を決定する論理の設計)
具体例としてシフト体(レバーなどの操作部)の複数の移動位置において早期に移動を規制するシフト装置が挙げられます。
従来のシフト装置ではロック部材(係止部材)を変位させて係合部に係合させることでシフト体の移動を規制していましたが、規制のタイミングが遅れる可能性がありました。
これに対して、複数の係合部、係合位置の規制部材および変位可能な変位部材を備え、変位部材が係合部と係合して動き、規制部材に対し変位することで規制部材を係合部に係合させシフト移動を規制または規制部材と共に動き規制せずにシフト移動を許容することにより、複数の係合部で多段の移動規制を可能にし、変位部材による規制部材の早期操作でシフト移動を迅速に規制するシフト装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7502082/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(シフトレバーや内部機構の具体的な形状、寸法、材質などの設計、操作性の良いシフトレバーの形状や配置の検討)、電気電子工学(シフトレバーの動きや位置を正確に検出するセンサの選定、信号を処理する回路の設計)
具体例として操作表示の配置変更を容易にするスイッチ装置が挙げられます。
従来のスイッチ装置では操作表示と制御機能の対応付けに識別情報を必要とし、マスク層の交換に加えて、制御部への識別情報伝達機構が複雑化していました。
これに対して、操作を検出する電極と、その検出結果を機能割当に応じて処理する制御部を備え、機能割当のない電極の操作判定閾値を高く設定することによって物理的な電極配置を変えることなく、制御部がソフトウェア的に操作が有効となる範囲を切り替えることで、煩雑な識別情報伝達の仕組みを省き、操作表示の配置変更が容易なスイッチ装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7597662/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(静電容量式タッチセンサの電極設計、操作検出のための信号処理回路の設計)、情報工学(操作の有無を判定するための最適な閾値設定方法の検討、誤操作を防ぎつつ意図した操作を確実に検出するアルゴリズムの設計)
(9)まとめ
車の各部(エアバック、ハンドル、スピーカー、モーターなど)に関するものが大半です。
そのような各部の装置の形状や構造に関する出願、電気的な制御に関する出願、化学反応や化学的構造に関わる出願が確認され、これらの開発がおこなわれていることが推測されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
トヨタとの共同出願件数は非常に多いので(数千件という企業も)、横軸スケールは2番手以降に合わせています。
(1)豊田自動織機

既存のリチウムイオン二次電池の負極活物質として用いられるシリコン材料は充放電に伴う体積膨張・収縮が大きといった問題がありました。
これに対し、モリブデン(Mo)、パラジウム(Pd)、ジルコニウム(Zr)、銀(Ag)、コバルト(Co)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)、及びバナジウム(V)からなる群から選択される少なくとも一つの金属を含有するクラスレート型シリコン粒子(クラスレート構造はシリコン原子が形成する籠状の骨格の中に金属原子を内包)の特異な構造によってリチウムイオンの挿入・脱離に伴うシリコンの体積変化を緩和し、負極の構造安定性を向上させた負極物質が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7578649/15/ja
従来のハイブリッド車両ではエンジンアシストによる二次電池の放電後、その充電回復方法が具体的に示されておらず、充電量不足によるアシスト不能や排ガス悪化、動力性能低下といった問題がありました。
これに対し、車速、要求トルク、エンジン、モータジェネレータ、二次電池の状態量に基づきエンジントルクとモータジェネレータトルクを演算し、駆動制御をおこなう制御装置であって、要求トルク増加時にはエンジンアシストをおこない、二次電池の充電量が第1基準値以下になると、アシスト終了後に直ちに充電モードへ移行し、充電モードでは残り充電時間を設定し、その時間内に二次電池の充電量が第2基準値以上となるように走行に必要なトルクに充電に必要なトルクを加算してエンジントルクを算出することで、走行性能を維持しつつアシストによって消費した二次電池の充電量を効率的に回復させるハイブリッド車両の制御装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7653938/15/ja
従来のメカニカルシール装置ではメイティングリングとシールリングが別部品であり、機器への取り付け作業中に摺動面間に塵埃が侵入する可能性があり、慎重な取り扱いが要求されていました。
これに対し、軸に垂直な摺動面とフランジを有するメイティングリング、軸方向に移動可能でメイティングリングと接触するシールリング、シールリングをメイティングリング側に押圧する弾発部材およびこれらを内包するケースを備え、ケースに設けられたガイド片の係合片とメイティングリングのフランジが係合することで、シールリングとメイティングリングが弾発部材によって押圧された状態で保持されることで、機器に取り付ける前においても両リングの摺動面が密着し、塵埃の侵入を抑制するメカニカルシール装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6573631/15/ja
(2)豊田合成

従来の光触媒式水素製造装置では水の分解効率向上のための加温に外部エネルギーを要したり、水中に光源を配置する際に筐体材料が劣化したりする問題がありました。
これに対し、水を受容する容器部、水中に分散された光触媒体、光触媒体を照射する光源および光源を担持する筐体を含むもので、筐体が水中に配置され、光源の排熱で水を加温すると共に、筐体の水接触面が光触媒物質で被覆されてることにより、水の加温による水素製造効率の向上、外部エネルギーの削減および筐体表面の劣化抑制を実現する水素ガス製造装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7643997/15/ja
従来のポリロタキサンを含む高分子アクチュエータは変位が大きいものの出力に課題があり、誘電率向上を目的とした高誘電率フィラーの添加は柔軟性を損ない、カーボンナノチューブの添加は絶縁破壊を引き起こしやすいという問題がありました。
これに対し、誘電エラストマ層と両面電極を備え、その誘電エラストマ層がポリロタキサンを含む樹脂成分と、ポリエチレングリコールを側鎖に有する(メタ)アクリルポリマーがグラフト重合した特定の平均粒子径(0.1~10μm)のグラフト化カーボンナノチューブを含有する硬化物から構成されることにより、柔軟性を維持しながら誘電率を向上させ、カーボンナノチューブによる絶縁破壊を抑制する高分子アクチュエータが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7453938/15/ja
(3)トヨタ紡織

従来のエアマット式睡眠器具では幅方向の体圧を左右で個別に調整できず、利用者の姿勢によっては快適性が損なわれる可能性がありました。また、変形機構を有するものでも体圧分散機能が十分でない場合がありました。
これに対し、中央、上側、下側支持部を有するマット本体がベッドと椅子の間で変形し、マット本体には長さ方向に複数の長尺状空気袋が配列され、少なくとも一部は幅方向に左右分割され独立して膨張収縮可能であり、複数の空気袋は各支持部が負担する荷重の目標分担率(体重に対する割合)に従って膨張収縮することで左右の体圧差や部位ごとの荷重集中を緩和し、仰臥位・着座時双方で最適な体圧分散を実現する睡眠用器具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7393101/15/ja
従来の車両用シートのロック解除装置はシートバックを前方に倒す際や元の位置に戻す際に操作が煩雑であり、特にシートバックが折り畳まれた状態からの復帰操作に課題がありました。
これに対し、シートバック上端の凹部に収容された操作レバーが、シートバック幅方向に延びる軸を中心に回動し、後方に延びる延在部と下方の操作部を持ち、操作部には指掛け孔と凹部との間に手指を挿入可能な先端隙間があることで、シートバックを倒す際、前後どちらからでも指を掛けレバーを回動させ、ロックを解除しつつそのまま傾倒させ、戻す際も同様にレバーを操作してロック解除後に引き起こすことができ、ロック解除からシートバックの傾動までを持ち替えることなく一連の動作で容易におこなえる車両用シート装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7198725/15/ja
(4)アイシン

従来の自動運転システムでは画一的な安全基準に基づいて走行制御がおこなわれており、運転者が特定の状況下で不安を感じる可能性がありましたが、その不安感を走行制御に反映させる仕組みは十分ではありませんでした。
これに対し、周辺画像から物体を検出する物体検出部と、顔画像から運転者の視線方向を検出する視線検出部と、視線方向にある物体を特定する特定部とを備え、運転者が危険回避操作をおこなった場合、視線検出部が捉えた運転者の視線方向にあると特定部で特定された物体と当時の状況条件(例:物体との距離)が関連付けられ条件記憶部に記録され、自動運転中、記憶された物体が検出され、かつ状況が記憶された状況条件を満たす場合、基準変更部によって運転者がより安全と感じるように所定の安全基準(例:車速や物体との距離)を変更することで、運転者の主観的な安心感を考慮した自動運転制御を実現する走行制御装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-097183/11/ja
従来の水素濃度推定方法には特殊な装置や高温環境が必要なもの、特定の用途にしか適用できないものがあり、汎用性や簡便性に課題がありました。
これに対し、混合ガスの流量を測定する互いに異なる流量-出力特性を持つ2つ以上の流量センサー(第1~第m流量センサー)と、それらの出力値を記憶する記憶部と、記憶された出力を用いて水素濃度を推定する推定部とを備え、推定部は予め取得された少なくとも2つの流量センサーの出力を説明変数とし、水素濃度を目的変数とする関数(多変数非線形関数や機械学習モデルを含む)により、水素濃度が変化すると各センサーの出力が異なる割合で変化する特性を利用して、簡便に水素濃度を推定することができる水素濃度推定システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7634494/15/ja
従来のドアロック装置ではフェールセーフ機能のために全閉保持解除に必要な作動レバーの回動量が増加し、解除動作に時間がかかるという問題がありました。
これに対し、電動モータに連結され回動する作動レバーと、中立領域内の第1中立位置で信号が切り替わる第1中立検知スイッチと、中立領域のクローズ側境界(第2中立位置)とリリース側境界(リリース開始位置)で信号が切り替わる第2中立検知スイッチを備え、通常時はクローズ位置から中立領域へ作動レバーを戻す際に第2中立検知信号の変化でモータを停止させ、異常時(フェールセーフ)として第2中立検知信号が変化しない場合は第1中立検知信号の変化でモータを停止させるため、リリース開始位置からリリース位置までの作動レバーの回動量をドアの保持解除に必要な最小限の量に設定でき、全閉状態の保持を解除するまでの作動レバーの回動量を低減し、解除時間を短縮できる車両用ドアロック装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6553485/15/ja
(5)デンソー

従来の技術では必ずしも実際の電力需要を反映した価格設定ができておらず、需要と供給のバランスを最適化することが困難な場合がありました。
これに対し、各車両からの給電予約に基づき各給電装置の給電予定電力量に関連するパラメータを算出する予定電力算出部と、そのパラメータに基づいて各給電装置の電力価格を設定する価格設定部と、設定された電力価格を車両に通知する価格通知部とを有するサーバであって、価格設定部が一つの電力供給源に接続された複数の給電装置に対して同一の電力価格を設定することにより、電力需要が高い時間帯や給電装置においては価格を高く設定し、需要の低い場合には価格を低く抑えることで、電力需要の平準化を図り電力供給を効率化するサーバが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7628995/15/ja
従来のピッチ角推定装置では道路の勾配変化と車両の加減速によるピッチングを区別できず、勾配変化のある道路で加減速をした場合にピッチ角の推定精度が低下する可能性がありました。
これに対し、カメラ画像の変化から上下方向の動きを推定する上下運動推定部と、それに基づいてピッチ角を推定するピッチ角推定部、車両の加減速に応じたピッチ角成分を推定する加減速推定部、加減速成分を除去したピッチ角の低周波成分(勾配成分に相当)を推定する低周波推定部、その低周波成分に基づいて勾配変化路か否かを判定する勾配判定部、推定されたピッチ角を出力する出力制御部を備え、勾配変化路と判定された場合、出力制御部が推定されたピッチ角から推定された低周波成分を除去したものを出力するか、またはピッチ角の出力を停止することにより、勾配変化による誤ったピッチ角出力を抑制し、推定精度の低下を防ぐ車両ピッチ角推定装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6462557/15/ja
従来の走行路推定技術では前方カメラで捉えた情報のみに基づいて走行路を推定するため、先行車による遮蔽や路面状況によって十分な情報が得られない場合に推定精度が低下する課題がありました。
これに対し、前方路面画像、車両速度、ヨーレイトを取得する取得部と、これらの情報を用いて予測走行路情報を認識する認識部、認識した予測走行路情報を走行路区間毎に更新し履歴情報として記憶する記憶部を備え、認識部は前方路面画像から抽出した車線抽出情報、車両速度、ヨーレイト、記憶された履歴情報の中心点を用いてモデルフィッティングをおこない予測走行路情報を推定することで、前方路面情報が不足する場合でも、過去の走行情報を活用して推定精度を維持する走行推定装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7641881/15/ja
(6)ジェイテクト

従来の弁構造体では摺動部への異物混入やグリスの局所的な欠乏が原因で弁の動作不良や耐久性低下が生じる可能性がありました。特に、微細な異物が摺動面に挟まると弁の固着や漏れを引き起こす恐れがありました。
これに対し、流路を開閉する弁体と、異物を取り除くフィルタを内蔵するハウジングで構成され、弁体はハウジング内部の円柱状空間を移動し、その摺動面間には潤滑材であるグリスが配置され、少なくとも一方の摺動面には複数の凹部からなる凹部列を軸方向に位置をずらして複数有し、隣り合う凹部列の凹部が周方向の位置が異なるため、弁体の移動に伴ってグリスの供給と保持性が向上し、フィルタを通過した微細な異物もこの凹部に捕捉されることで摺動面の摩耗や固着が抑制される弁構造が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7658884/15/ja
(7)小糸製作所

従来のヘッドランプユニットでは可視光照射用の灯具と障害物検知用のレーダーなどを並べて配置する必要があり、ユニットの大型化や車両外観の悪化を招く可能性がありました。
これに対し、視光と検知光を照射する光源と、これらを異なる角度で車両前方に反射するMEMSミラーと、障害物からの検知光の反射を受光する受光素子が一体化された車両用前照灯装置であって、車両正面視において可視光源と受光素子をMEMSミラーで挟んだ上下配置により従来の別々の灯具やレーダーが不要となり、一つの小型なMEMSミラーが異なる角度で可視光照射と障害物検知という二つの役割を担うため、ヘッドランプユニットの車幅方向への大型化を防ぎ、車両デザインの自由度を高めた車両用前照灯装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6809946/15/ja
(8)東海理化

従来の車両搭載指紋認証装置ではユーザーが不用意に指紋センサに触れた際にも指紋検出処理が実行され、その際に発生する電波ノイズがラジオの音質低下などを招き、車内の快適性を損なう可能性がありました
これに対し、指紋認証処理をおこなうセンサと、車両電源オン時に他の認証が成功した場合にセンサへの電力供給を制限する制御部を備え、制御部が車両速度、ドア開閉、プッシュスタートスイッチの状態、他の車載機器からの認証要求、電源オフからの変化といった条件に基づき指紋認証が不要と判断される状況下ではセンサへの電力供給を制限し、指紋検出処理を抑止することにより、ユーザーが誤って指紋センサに触れても不要な電波ノイズの発生を防ぎ、車内の快適性が維持されるシステムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7397154/15/ja
(9)上記(1)~(8)(共同出願人)のまとめ
各社ともトヨタ自動車との共同出願が最も多いです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・化学、材料系分野(応用化学、化学工学、物理化学、電気化学、生化学、材料工学など)
材料、化学物質が目的とする性能に与える影響の評価や反応条件の最適化などが求められます。
・電気系分野(電気電子工学、電気工学、電子工学など)
機器の電気的な特性評価、制御アルゴリズムの設計や電気回路設計などが求められます。
・情報系分野(情報工学、制御工学、通信工学、ソフトウェア工学など)
情報の分析、情報処理方法の検討、所望の学習モデルの構築、処理アルゴリズムの設計などが求められます。
・機械系分野(機械工学、繊維工学、人間工学など)
製造プロセスの検討や各種物品の構造設計などが求められます。
・その他(応用物理学、応用数学など)
スピーカーの音響や車両走行中の振動などの物理的な評価(応用物理学)、各種情報を処理するためのモデル検討(応用数学)などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
各種自動車部品の構造や制御、電池などに関わる出願が多く確認され、技術開発も当該分野に関わるものが多いことが推測されます。
これらを大学の専攻と関連づけるとしたら、主に機械、電気、情報、化学、材料に関わる研究が該当する可能性があります。ただし、その境界はかなりあいまいです。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
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