消費者の健康志向の高まりから肩身が狭くなっているイメージがあるたばこ。
最近では、火を使わない電子たばこなど新たな製品が広まってきましたが、業界全体の開発実態は見えにくいかもしれません。
これを特許情報からみていきます。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
今回は、たばこメーカー3社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。
結論(概要)は以下の通りです。
・化学系分野(化学工学、分析化学、有機化学など)
・材料系分野(材料工学、材料科学など)
・機械系分野(機械工学、システム工学など)
・電気系分野(電気工学、電子工学、電気電子工学など)
・薬学系分野(薬理学、薬化学、製剤学など)
・情報系分野(情報工学、制御工学など)
・食品系分野(食品科学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 たばこ業界
2.1 たばこ業界とは
ここでは、喫煙具やたばこ製品の研究開発、製造、販売などをおこなう業界を意図します。
ただし、たばこ以外の事業との区別はしていません。
2.2 サーチ対象
以下のたばこメーカー3社を対象にしました。
(2)ブリティッシュ・アメリカン・タバコ
(3)フィリップ・モーリス・プロダクツ
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
・非燃焼式加熱式の香味吸引器 |
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法人向け |
・加熱式たばこにおける喫煙システム |
・葉たばこからネオフィタジエンを分離精製する方法 |
個人向けか法人向けかについては、明細書だけでは読み取れない場合もあり、上記の区分けは曖昧なものが多々あります。
3.2 出願件数の推移
下図はたばこメーカー3社の特許出願件数の推移です。

企業によって、また、出願年によって出願件数に差があります。
ただし、いずれの企業も毎年一定数以上の特許出願をおこなっており、そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されています。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
日本たばこ産業(JT)>フィリップ・モーリス・プロダクツ>ブリティッシュ・アメリカン・タバコ
だと言えます。
ただし、2社は海外企業であるため、日本における特許出願数で比較することが妥当かどうかという問題はあります。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
紙巻たばこなどがこれに該当します。
日本たばこ産業、フィリップ・モーリス・プロダクツがこの分野から多く出願しています。
フィルタチップなどがこれに該当します。
全3社がこの分野から多く出願しています。
パイプ用火ざらなどがこれに該当します。
全3社がこの分野から多く出願しています。
樹脂製容器などがこれに該当します。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコがこの分野から多く出願しています。
3.5 たばこメーカー3社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)日本たばこ産業(JT)|開発トレンドと専門性

上図期間中、A24Fが最も多いです。次いでA24D、A24B、C07D、A61Kが多いです。
具体例としてたばこなどの香味発生物品を加熱してエアロゾルを発生させる非燃焼式加熱式の香味吸引器が挙げられます。
従来の加熱式香味吸引器は気密性が不十分でエアロゾルが漏れたり香味物品の位置が不安定で均一に加熱できなかったりする問題がありました。
これに対し、円筒形状の第1、第2、第3の筒部材が軸方向に連結されて気密性を高めた空気流路が形成された香味吸引機であり、具体的には、香味物品を挿入する第1の筒部材と外側を取り囲む第2の筒部材の間に加熱部材と断熱材が収容されることで加熱効率を向上さ、第2開口側の第1の筒部材の上流端が空気入口を形成する第3の筒部材の下流端に密接に接続されて気体やエアロゾルの通過を遮断する接続構造により、空気流路の気密性を高めてユーザーが吸引した際に意図しないエアロゾルの漏出を防ぎ、第3の筒部材には香味物品を所定の位置に固定する係止部が設けられて香味物品が安定的に保持されることで均一な加熱が可能となり、安定した香味吸引を実現する香味吸引機が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7708842/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(香味発生物品内部での熱および物質移動プロセスのモデル化および装置全体のエネルギー収支と物質収支の解析、香味発生物品の加熱温度プロファイル、エアロゾル生成速度、揮発性成分の濃度分布および空気流速が香味・ニコチン成分のデリバリー効率に与える影響の評価)、材料工学(加熱部材や筒部材に用いられる材料の熱伝導性、熱膨張率、熱的安定性の評価および香味吸引器の耐久性や性能の最適化、加熱部材として使用されるフィルムヒーターの耐久性試験、筒部材の金属や樹脂の熱サイクル試験および断熱材としてのエアロゲルの熱遮蔽性能の評価)
従来の加熱式たばこはカートリッジの挿入が不適切だと加熱ムラが生じたり、強く押し込みすぎて変形したりする問題がありました。
これに対して、香味吸引器の収容部と香味発生物品(カートリッジ)の挿入時の抵抗力を制御するものであり、まず、カートリッジが収容部の末端に到達したときの抵抗値(挿入力A)が2.00N以下とされてユーザーが無理なく挿入できる抵抗感を実現し、次に、収容部の末端から10mm〜5mmの範囲における平均抵抗力(前半部平均抵抗力)と5mm〜0mmの範囲における平均抵抗力(後半部平均抵抗力)の比較により、後半部平均抵抗力が前半部平均抵抗力より大きい、すなわち抵抗力比Bが1.0より大きくなるように設計されることにより、挿入が完了する直前に抵抗が増加する感覚をユーザーに与えて挿入の完了を予見しやすくし、適切な位置への挿入を可能にする喫煙システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7445075/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ユーザーが感じる抵抗力の評価および製品の挿入感および耐久性の最適化、摩擦係数や表面形状の異なる材料における挿入力(抵抗値)の測定、測定データから抵抗力比Bが1.0を超える適切な設計値を見つけ出すための実験計画法の立案、収容部のボス形状や弾性特性が挿入力に与える影響の解析、ユーザーが快適な挿入感を得られる条件の導出)、材料工学(喫煙システムの部品を挿入力の制御に適した物理的特性と加工性を両立する材料の選定、収容部の把持部や香味発生物品の巻紙など挿入時の抵抗力に直接影響する部品について摩擦係数、剛性、弾性回復力、耐熱性などの評価、収容部に摩擦係数が比較的安定し把持部を精密に成形できる樹脂の選定および材料特性が挿入力Aおよび抵抗力比Bの要件を満たすか検証、製造工程における成形条件(射出成形温度や金型温度など)が材料の表面粗さや硬度にどう影響して最終的な挿入感にどのように反映されるかの検討)
従来の技術では吸引可能期間中であることをユーザーに通知する技術はあったもののユーザーが特に喫味や風味をよりよく感じられるタイミングでの報知は考慮されていませんでした。
これに対して、加熱部を制御する制御部と発光部および振動部からなる報知部を備えた電源ユニットであり、制御部がまず、吸引可能期間の開始を発光部による第1の報知でユーザーに知らせて吸引可能な状態になったことを伝え、次に、吸引可能期間が終了する前に振動部による第2の報知(終了予告報知)で吸引がまもなく終了することを予告し、制御部は第1の報知後から吸引可能期間の終了までの間に吸引可能期間がまだ残っていることを示す第3の報知を振動部におこなわせ、この第3の報知の態様は吸引開始からの経過時間に応じて変化するよう制御されるため、ユーザーは単に吸引可能であるというだけでなく吸引可能期間のどの段階にいるのかを感覚的に把握できるようになる電源ユニットが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7492562/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(吸引器の電源ユニットにおける電力供給、制御および報知システムのハードウェアとソフトウェアの設計、バッテリー管理システムの設計、ヒーターへの電力供給を制御するパワーエレクトロニクス回路の設計、各種センサー(温度、圧力など)からの信号処理、報知部(LED、振動モーター)を駆動するための制御ロジックのプログラミング)、電子工学(制御部のマイクロコントローラーと関連するデジタル回路の設計、ファームウェアの設計、温度プロファイルや報知設定情報を記憶する不揮発性メモリの選定、ユーザーの操作やデバイスの状態をリアルタイムで監視するための割り込み処理の設計、複数の報知(発光、振動)を協調して動作させるためのタスクスケジューリング、スマートフォンとの連携を実現する無線通信プロトコルの実装)
従来の技術では電源の不具合を検知してもそれがどのような不具合であるかをユーザーに伝える手段が不足しており、不具合の内容や原因の特定に手間がかかるという問題がありました。
これに対して、電源と発光部と振動発生部を含む通知部とこれらを制御する制御部を備えた装置であり、制御部がバッテリーの電圧、温度、充電時間などの情報に基づいて複数の不具合内容(例えば内部短絡、容量劣化、温度異常など)の中から特定の不具合を識別し、この特定された不具合の内容に応じて発光部と振動発生部を組み合わせた不具合ごとに異なる通知動作を所定のタイミングで実行し、この通知は不具合を検知した瞬間やユーザーが吸引操作を試みた瞬間など複数のタイミングでおこなわれることで、ユーザーが不具合の内容を直感的に把握でき、修理や対応が迅速におこなえるようになりユーザーの利便性を向上させたエアロゾル生成装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7480407/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(装置のバッテリーとヒーターへの電力供給回路の設計、バッテリーの状態を監視するための回路設計、バッテリーの充放電効率を最大化する回路構成の検討、過電圧・過電流保護回路の設計、電圧・温度・電流といったパラメータの測定および制御部へ送るためのアナログ・デジタル変換システムの最適化)、情報工学(バッテリーの不具合を識別して適切な通知動作を実行するための制御アルゴリズムの設計、収集したバッテリーデータ(電圧、温度など)の分析および不具合の種類を特定するための診断ロジックの構築、各不具合に対応する複数の通知パターンの設計、ユーザーの操作タイミング(例:吸引操作の開始)に応じて通知をトリガーするイベント駆動型の制御プログラムの実装)
具体例として非燃焼加熱型香味吸引器具が挙げられます。
既存技術ではエアロゾル生成装置のフィルターの通気抵抗を下げると煙量感が増す反面、香味成分とエアロゾルのバランスが崩れ、ユーザーが刺激を感じるという問題がありました。
これに対して、たばこ含有セグメントとフィルターセグメントの間に周上に複数の穿孔を有する筒状の冷却セグメントが配置しされ、通気抵抗が特定の範囲内(2.5 mmH2O/mm以下)であるシートが充填されたフィルターセグメントが酸を含むように構成され、この酸が香味成分に含まれるニコチンなどの塩基成分を選択的に捕捉する機能を有するため、通気抵抗を低くして全体的な吸引量を増やしつつも香味成分に対するエアロゾルの割合(G/Ni値)を高めることができ、煙量感とたばこ感を向上させながらユーザーへの刺激を抑制し、バランスの取れた喫味を提供する非燃焼加熱型香味吸引器具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7667202/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(フィルターセグメント内での酸と香味成分(ニコチン等)の物質移動プロセスの最適化、フィルターに充填されたシートの物理的特性(多孔度、表面積、孔径分布など)と酸の種類および濃度が香味成分の吸着効率に与える影響の評価、酸が液状である場合のシートへの含浸方法や時間の経過に伴う酸の揮発・劣化を抑制するための材料選定、製造プロセスのスケールアップに向けた条件検討)、分析化学(フィルターセグメントに用いる酸の種類と香味成分(特にニコチン)との相互作用の分析、さまざまな有機酸(乳酸、クエン酸など)とニコチンの塩形成反応の反応速度論的および熱力学的解析、最も効率よくニコチンを捕捉できる酸の選定、加熱時に酸やその塩が分解して生じる可能性のある副生成物やそれが喫味に与える影響を評価するための分析手法の確立)
既存技術では、フィルター部材の充填密度管理が複雑で添加物の適正配置も困難という問題がありました。
これに対して、不織布からなる1枚のシートが幅方向に折り込まれ、その周方向の一部に軸線方向に開口する間口と、それに連なる断面U字状の凹条が形成された充填要素であり、この凹条は充填要素の径方向中央まで凹んでおり、間口を介して凹条内に液体添加物やカプセルを容易に配置できるため、1枚のシートの折り込み回数や形態、縮径度合いを調整するだけで充填密度を容易に制御でき、添加物の正確な位置での配置により品質のばらつきを抑えることができる充填要素が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7724311/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(充填要素の製造プロセスを機械システムとして設計・最適化、不織布シートを折り込む、凹条を形成する、添加物を供給する、という一連の動作を正確かつ高速におこなうための搬送機構、折り込み機構、供給機構の設計と各機構の動作タイミングの制御システムの構築、シートの物理的特性(厚み、強度、柔軟性など)に基づいた各ローラセットやガイドの形状、圧力、速度などのパラメータの決定)、材料工学(充填要素の主原料である不織布シートの特性の評価および製品の要求品質を満たす材料選定、シートの通気性、吸着性、剛性、延伸性といった物理特性が完成品の充填密度や喫味に与える影響の評価、加熱や水分、添加物との相互作用における材料の耐久性や変質の分析および最適な原料配合や製造条件(延伸処理、押圧処理など)の決定)
具体例としてシワの少ない再構成たばこシートを製造する装置が挙げられます。
既存技術は原料の水分量に応じて製造方法を選択する必要があり、簡素な製造工程で均一な厚さのシートを得ることが困難でした。また、吐出時に流量ムラが発生するとシートにシワが生じる問題がありました。
これに対して、再構成たばこ原料をシート状に吐出するダイと、そのシートを受け取る引き取り装置を備えており、引き取り装置はシートを挟み込む一対の第1駆動ローラとその下流に配置された一対の第2駆動ローラを有し、第2駆動ローラの回転数が第1駆動ローラの回転数よりも高く設定されることでシートは第1と第2のローラ間で張力が加えられた状態で引き取られてダイからの吐出時に生じたシートのシワが機械的に伸ばされ、また、引き取り装置はシートを常温で引き取るためシートの物性が変化しにくく破れを抑制しながらシワを効果的に伸ばすことができるこれらの構成により、製造工程が簡素化され、シワが少なく均一な再構成たばこシートを安定して製造することが可能となる装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7732099/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(駆動ローラやテンション機構といった機械要素の設計、システム全体の力学的な挙動の解析、再構成たばこシートの引張強度や弾性などの物性の測定および第1駆動ローラと第2駆動ローラの最適な回転数比の導出、駆動ローラの材質選定や表面処理の検討、駆動システム全体の振動の解析、安定した搬送を保証するための防振設計や駆動系の制御パラメータの調整)、化学工学(押出機からダイに至るまでの流動プロセスのモデル化・制御、再構成たばこ原料の水分量や温度が粘度に与える影響の評価、ダイからの均一な吐出を可能にするための最適な温度と圧力の設定、ダイ内部の流路におけるせん断応力や流速分布の解析および流量ムラを最小化するダイ形状の設計)
従来の単離方法ではネオフィタジエンを高収率かつ高純度で得ることが困難でした。
これに対して、葉たばこからネオフィタジエンを単離精製するための特定の溶媒抽出と精製ステップからなる方法であり、まず、葉たばこを非プロトン性溶媒で抽出し、この抽出液に酸性水溶液を添加して液液抽出をおこない、ニコチンなどのアルカロイド類を水層に移行させて除去し、次に、プロトン性溶媒を加えて液液抽出をおこない、葉面樹脂成分を除去し、溶媒を乾固させて得られた物質を再びプロトン性溶媒に溶解させ、生成した沈殿物(高級炭化水素)を除去し、最後に、非プロトン性溶媒に溶媒を置換し、順相系高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて最終的にネオフィタジエンを単離精製することにより、高収率で95質量%以上の純度を持つネオフィタジエンを得ることが可能となる方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7724374/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(たばこ抽出物中のネオフィタジエンおよび不純物の分子特性の解析と精製プロセスの最適化、各溶媒抽出ステップにおけるネオフィタジエン、ニコチン、センブラトリエンジオール、高級炭化水素などの分配係数の測定および溶媒やpH条件が分離効率に与える影響の評価、HPLCの分離カラムの選定や移動相の組成の最適化によりネオフィタジエンを単離する条件の確立)、化学工学(工業生産にスケールアップするためのプロセス設計と効率改善、溶媒抽出や溶媒除去、ろ過、クロマトグラフィーなどの各工程について物質収支と熱収支の計算および連続的な生産プロセスへの移行の検討、多段液液抽出塔や連続クロマトグラフィー装置の設計、エネルギー効率を考慮した溶媒回収システムの構築およびコストと収率のバランスの最適化)
具体例としてNLRP3インフラマソーム阻害剤としての新規なピラゾロピリミジン化合物が挙げられます。
既存技術は炎症性疾患の治療においてNLRP3インフラマソーム阻害薬が有効であることは示されていましたが、安全性や有効性の点で十分なものがありませんでした。
これに対して、ピラゾロピリミジン骨格の5位に特定の置換基、特にシクロプロピル基やハロゲン基を持つこと、および、1位の芳香環の特定の箇所にアルキル基やハロゲン基といった置換基を持つ構成により、多発性硬化症やアルツハイマー病などの神経変性疾患を含む広範囲のNLRP3インフラマソーム関連疾患に対して治療効果を発揮する化合物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7585409/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(多段階の有機合成反応によるピラゾロピリミジン化合物の効率的な合成、目的化合物の合成ルートの複数検討により収率が高く、不純物が少ない最適な合成法の確立、各合成中間体の構造解析、目的の分子構造が正確に構築されていることの確認)、薬理学(合成された化合物がNLRP3インフラマソーム阻害剤として期待される薬理作用を持つかどうかの評価、細胞レベルでNLRP3インフラマソームの活性化を抑制する作用を評価するin vitro試験や動物モデルを用いたin vivo試験の実施および化合物が疾患の症状を改善する効果があるかの検証、有効性や安全性のデータの収集)
具体例としてクエン酸第二鉄を含有する錠剤が挙げられます。
従来は有効成分であるクエン酸第二鉄を高含有量で錠剤化すると、打錠時の成形不良や、ひび割れ、溶出性の低下といった問題がありました。
これに対して、高含量のクエン酸第二鉄を有効成分として特定の割合のアルファー化デンプンが配合されて整粒末を形成する錠剤であり、クエン酸第二鉄中の水分を除いた素錠100質量部に対してクエン酸第二鉄を無水物換算で70質量部以上という比率で含み、かつ、クエン酸第二鉄無水物換算100質量部に対してアルファー化デンプンを3〜20質量部の比率で配合されることにより、高い有効成分含有量を維持しつつ打錠時の成形性を向上させ、ひび割れを防ぎ、溶出試験において30分で75%以上という溶出率を達成する錠剤が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7395653/15/ja
関連する専門分野の例:薬化学(クエン酸第二鉄の化学構造や物性(溶解性、安定性など)の解析、アルファー化デンプンとの相互作用が錠剤の成形性や溶出性に与える影響の検討、クエン酸第二鉄の含水率が最終的な錠剤の品質にどう影響するかの評価)、製剤学(医薬品を最終的な製品形態(錠剤、カプセル剤など)に加工するための処方設計、クエン酸第二鉄とアルファー化デンプンの最適な配合比率や製造工程(造粒、混合、打錠)の条件の検討、錠剤の硬度や崩壊性、溶出性を評価するための試験方法の確立)
(2)ブリティッシュ・アメリカン・タバコ|開発トレンドと専門性

A24Dが最も多いです。次いでA24F、B65D、A24Bが多いです。
具体例としてタバコ風味の喫煙品の包装材が挙げられます。
従来の喫煙品はパッチの位置や組成が単一的で喫煙の進行に伴う味の変化に対応することが困難でした。
これに対して、喫煙材を巻くラッパーにそれぞれ異なる位置と組成を有する複数のタバコ風味パッチが配置されることで、喫煙過程に応じて風味が変化するタバコ風味の喫煙品の包装材が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7463453/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(異なる風味や強度を持つ複数のパッチをラッパーに確実に接着させて喫煙の熱でパッチが燃焼・劣化しないように材料の選定と配合を検討、パッチの主成分であるタバコ風味材料やラッパーに貼り付けるための接着剤の耐熱性、燃焼時の有害物質の発生の有無などの評価、それぞれのパッチの組成(風味成分の配合比率など)の調整、喫煙の進行に伴って意図した風味の変化が実現するようにパッチの材質や厚み、密度などの設計)、化学工学(高速な製造ライン上でのパッチの供給・位置決め・接着の自動化プロセスの設計、パッチの組成や形状が異なっても安定して品質の高い喫煙品を大量生産できるためのプロセスパラメータ(速度、温度、圧力など)の最適化および製造コストの削減と品質管理体制の確立)
既存のタバコ製品は購入後に風味や喫煙体験を変更することができず、ユーザーの多様なニーズに応えることが困難でした。
これに対して、くり抜かれた溝を持つ第1ロッドと、その溝に挿入可能な第2ロッドという2つの構成要素からなるタバコ製品であり、第2ロッドは透過性の外方ラッパーで包まれており、ユーザーが異なる喫煙材や風味を持つ第2ロッドを自由に選択・挿入することで喫煙時に第1ロッドと第2ロッドの煙が混ざり合い、喫煙の進行に合わせて風味が変化することで、ユーザーは複数の製品を購入することなく1つの基本製品で様々な喫煙体験を楽しむことが可能になるモジュラー式タバコ製品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7260683/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(異なる喫煙材からなる第1ロッドと第2ロッドの燃焼特性や燃焼時の化学反応生成物の特性の解析および喫煙の進行に伴う風味や煙質の変化の予測、第1ロッドと第2ロッドを構成するタバコや植物性原料の組成、構造、熱分解挙動の評価、第2ロッドの透過性ラッパーが燃焼時の煙の混合に与える影響の検討、ユーザーが好む風味が得られるような材料の設計)、機械工学(ユーザーが第2ロッドを第1ロッドにスムーズに挿入・保持できるようにロッドの形状や寸法、摩擦特性の設計、第1ロッドのくり抜かれた溝と第2ロッドの外径との間に適切な締まりばめを実現するための公差設計、製品が運搬や保管中に変形しないようにロッドの剛性や強度の評価および耐久性のある構造の確立)
従来の風味カプセル入りタバコはカプセルを壊すことしかできず、風味の調整ができませんでした。
これに対して、シート状の材料を折りたたんで作られたプラグ状の本体に添加剤を内包するカプセルとカプセルを破壊しやすくする粒子を組み込んだ送出システム用部品であり、カプセルと粒子はシート材をプラグに成形する過程で折り目の中に保持され、ユーザーが本体に圧力を加えると内部の粒子がカプセルを壊し、添加剤が放出されユーザーは加える力の強弱や回数に応じて風味の放出量をコントロールできる送出システム用部品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7577139/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(材料の配合比率や製造プロセスの最適化設計、添加剤カプセルのシェル材と内包物の選定、粒子の化学組成と物理的特性(硬度、密度など)の調整を通じてカプセルの破壊効率を最大化する条件の特定、シート材とカプセル、粒子の間の相互作用の評価、製造時や輸送中のカプセルの意図しない破損を防ぐためのプロセスパラメータ(温度、湿度、静電気制御など)の確立)、材料科学(各構成要素の物性の解析・評価、カプセルを構成する材料(アルギン酸塩、ゼラチンなど)の機械的強度と耐熱性の評価および最適な厚みと配合の決定、粒子を構成するセルロースアセテートなどの高分子材料について可塑剤の種類と添加量による硬度や脆性の変化の分析、期待通りの性能が安定して発揮されるように材料の組み合わせの最適化)
具体例として吸入デバイスの製造におけるモジュール式組立装置が挙げられます。
従来のタバコポッド充填装置はタバコ材料を充填することに特化しており、製造プロセス全体の自動化や多品種生産に対応するのが困難でした。
これに対して、吸入デバイスの部品を一連の組立動作で製造するためのモジュール式装置であり、それぞれ異なる組立工程を担う複数のワークステーションで構成され、各ワークステーションには部品を載せた機械トレイを正確に配置するためのトレイ支持体が備えられており、さらに、各ワークステーションを統合的に制御するコントローラとワークステーションとコントローラを繋ぐインターフェースユニットが組み込まれ、各機械トレイに取り付けられた固有の無線タグ(RFIDタグなど)をワークステーションの無線タグリーダーがトレイの情報として読み取り、その情報をコントローラに送信し、コントローラはどのトレイがどの工程を完了したかを追跡し、次工程のワークステーションに正しいトレイが挿入された場合にのみストップ/ゴー・ライトを通じてオペレーターに作業の続行を指示することにより、多岐にわたる手動作業が組み込まれた製造ラインでも工程の抜けや順序の間違いを防ぎ、また、このモジュール構造と制御システムによって特定の組立工程に特化したワークステーションの追加や交換が容易になり多品種の製品製造にも対応できるモジュール式装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7627739/15/ja
関連する専門分野の例:システム工学(モジュール式製造ライン全体の統合的な設計と最適化、各ワークステーションの処理能力(タクトタイム)の分析および生産ライン全体のボトルネックの特定、RFIDタグの読み取りエラー率、コントローラーのデータ処理速度、オペレーターの動作時間などを考慮したシミュレーションモデルの構築、最も効率的なレイアウトや制御アルゴリズムの設計)、電子工学(モジュール間の通信プロトコル設計、センサー、コントローラー、アクチュエーターなどの電子部品の選定および制御回路の設計、無線タグリーダーとコントローラー間のデータ通信の安定性を確保するための信号処理回路の設計、ストップ/ゴー・ライト、近接スイッチ、アクチュエーターなどを制御する組み込みシステムの構築)
従来のタバコ加熱式デバイスは喫煙材の燃焼残渣やタールが付着しやすく内部の清掃が困難でした。
これに対して、喫煙材を燃やさずに加熱してエアロゾルを発生させる装置であり、本体には2つの開口部があり、喫煙材を入れるための入口(第1開口部)とその反対側の清掃用の出口(第2開口部)があり、ユーザーは出口側にあるドアを開けることで入口と出口の両方から内部のチャンバーにアクセスでき、中空の円筒形ヒーターも清掃経路の一部を形成しておりブラシなどを両側から通して清掃が容易になる装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6764505/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(喫煙材の加熱効率と清掃の容易性を両立させるためのヒーターとハウジングの材料選定および表面加工技術の探索、ヒーターの加熱エレメントに用いるセラミックス材料や金属薄膜の耐熱性・耐久性評価、タールやニコチン残渣が付着しにくい撥油性・撥水性コーティング材料の選定およびコーティングがヒーターの加熱性能に与える影響の評価)、機械工学(喫煙デバイス内部の気化・伝熱プロセスを最適化およびユーザーに安定した蒸気を供給するための機器設計、デバイスの効率を最大化するための熱交換器の設計、熱損失を抑えてデバイス表面の温度上昇を防ぐための断熱構造の設計、気化された成分が冷却されてエアロゾルとして安定して供給されるための流体経路の設計)
従来の加熱式喫煙デバイスはカートリッジとマウスピース間の気密性が不十分で、エアロゾルの漏れや空気の混入が起こる可能性がありました。
これに対して、喫煙材を加熱してエアロゾルを発生させる器具であり、カートリッジを収容する凹部を持つケーシングと着脱可能なマウスピースで構成されていて、マウスピースには入り口と出口を繋ぐ流路があり、入り口の周囲には封止部が備えられており、マウスピースがケーシングに装着されると封止部が凹部に収容されたカートリッジの端部と密着し、マウスピースの入り口をカートリッジに対して気密に封止することにより、ユーザーが吸入する際に外部の空気が混入することなくカートリッジ内で発生したエアロゾルのみを効率的に流路へと導くことができる装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6754865/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(カートリッジとマウスピースが確実に密着して気密性を保つための機構設計と評価、封止部に使用するOリングなどの弾性材の材質選定と形状設計、着脱時の摩耗や長期使用による劣化を考慮した耐久性試験、流路の流体力学的なシミュレーションを通じた最適な空気の流れを確保するための構造の設計)、化学工学(喫煙材の加熱・揮発プロセスの最適化および安定したエアロゾルを生成するための熱・物質移動の解析、喫煙材の成分が均一に気化する温度プロファイルの特定およびヒーターの出力制御ロジックの設計、カートリッジ内の熱・物質移動のシミュレーション、エアロゾルの粒子サイズや成分がユーザーの吸入速度や吸引量に応じて安定するよう加熱エレメントと喫煙材の配置の最適化)
具体例として喫煙品などの送出システム用ヒンジ式蓋付きパッケージが挙げられます。
既存技術は適切に閉じない傾向があり、内容物が水分やゴミなどの混入物質によって汚されてしまう問題がありました。
これに対して、容器とヒンジで接続された蓋、蓋が閉じられた際に蓋内に収容される部分を有する内方フレームを備えたパッケージであり、この内方フレームの側壁には摩擦係数が異なる少なくとも2つの領域が設けられ、摩擦係数が小さい第1の領域と摩擦係数が大きい第2の領域を含み、これらの領域は蓋を閉じる際に蓋の側部パネルがまず低摩擦の第1の領域に対してスライドし、その後、高摩擦の第2の領域に対してスライドするように配置されているため、蓋の初期の動きはスムーズでありながら完全に閉じる直前に摩擦が増加することで消費者に確実な閉鎖を感覚的に認識させて意図しない開放や異物の侵入を防ぐパッケージが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7509979/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(蓋の開閉をスムーズにしつつ確実に閉鎖するための摩擦係数の異なるコーティング剤や材料の選定、材料がパッケージとして長期間使用される際の耐久性や製造プロセスへの適合性の評価、低摩擦を実現するフッ素系やシリコーン系ポリマーおよび高摩擦を実現するエラストマーや微粒子を添加したインクやワニスの探索)、機械工学(蓋の開閉動作における摩擦力、トルクおよび消費者への触覚フィードバックの評価および最適なパッケージ構造の設計、摩擦係数の異なる領域の配置、形状、面積が蓋の開閉に必要な力に与える影響の解析、蓋が確実に閉鎖されるための容器と蓋の重なり部分の寸法やヒンジ線に対する摩擦領域の最適な配置の決定)
具体例としてタバコ材を短時間で急激な高温に晒すことで特定の化学的・物理的変化を促すタバコ材の処理方法が挙げられます。
既存技術のタバコ乾燥方法は緩やかな加熱であるため、タバコ材に風味や物性の所望の変化を生じさせることが困難でした。
これに対して、加熱されたスクリュー機構のような加熱面にタバコ材を直接かつ連続的にごく短時間(約5秒間)接触させてタバコ材を急な高温に晒すことで局所的な焼けまたは焦げを発生させ、同時に、加熱されたスクリュー機構によってタバコ材は常に撹拌され、加熱面と間欠的に接触する処理により、タバコ材の水分量を特定のレベル(0〜約10%)まで減少させ、また、タバコの糖分、ニコチン、アンモニアなどの量を減少させて充填値が増加するといった物理的・化学的変化をタバコ材に生じさせることができ、風味や感覚刺激特性を向上させる効果が得られるタバコ材の処理方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7702059/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(タバコ材の処理プロセスにおいて熱と物質の移動の最適化、所望の化学反応を効率的に引き起こすための装置設計と運転条件の確立、タバコ材の乾燥と化学成分の変化を制御するためのプロセス全体の物質収支および熱収支の解析、加熱されたスクリューの回転速度、加熱面の温度プロファイル、タバコ材の滞留時間がタバコ材の水分量、糖分、ニコチンなどの減少率に与える影響の予測、水蒸気や不活性ガスを導入して装置内の酸素濃度を制御してタバコの燃焼を抑制しつつメイラード反応やキャラメル化反応を促進させる最適な条件の決定)、食品科学(タバコ材の化学組成変化が最終製品の風味や感覚刺激特性に与える影響の評価、タバコ材の処理前後での成分分析と官能評価に基づき品質管理の基準の構築、処理前後のタバコ材に含まれる糖類、アミノ酸、ニコチン、および揮発性化合物の種類と量の比較検討、化学成分の増減と官能特性の変化との相関の解明および製品の品質を客観的に評価する基準の策定)
(3)フィリップ・モーリス・プロダクツ|開発トレンドと専門性

A24Fが最も多いです。次いでA24D、A24B、B65D、A24Cが多いです。
具体例として小型エアロゾル発生装置に用いられるヒーター組立品が挙げられます。
従来の技術ではプリント回路基板とヒーターを電線で接続しており、小型化が難しく、断線のリスクが高いため信頼性が低いという問題がありました。
これに対して、細長い電気ヒーターの第一の端が剛直な主要部分から延びる可撓性を有する接続部分に直接はんだ付けられるヒーター組立品であり、可撓性のある接続部分がヒーターと剛直な基板本体との間の相対的な動きを吸収するため、はんだ付け部分への機械的応力を低減し、ヒーターと基板の直接接続により従来のワイヤー接続が不要となり、製造プロセスが簡素化され、電気的接続の信頼性が向上されたヒーター組立品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7709513/15/ja
関連する専門分野の例:電子工学(ヒーター組立品の電気的特性と信頼性の評価、回路設計、部品選定および試験方法の確立、最適なはんだ付け条件や材料の選定、繰り返し曲げ応力に対する耐久性と電気伝導性を両立させるための試験および最適な設計パラメーターの決定、ヒーターの抵抗変化を利用した温度制御アルゴリズムの精度を向上させるための回路設計)、機械工学(ヒーター組立品の構造強度と製造プロセスにおける機械的安定性を確保するための設計、材料選定および応力解析、ヒーター組立品のハウジングへの挿入時や使用時にかかる応力集中箇所の特定、ヒーターのブレード形状やブッシングの材料について熱膨張や収縮による応力変化を考慮した設計)
従来の電子タバコはニコチン濃度が低く、常習的な喫煙者へのニコチン送達量が不十分で満足のいく体験を提供することが困難でした。
これに対して、液体エアロゾル形成基体を保持する貯蔵部とヒーター組立品およびこれらを制御する制御回路を備えるエアロゾル発生装置であり、制御回路がユーザーによる吸煙と吸煙の間にヒーターを摂氏150〜200度の第1の温度に保ち、ニコチンよりも沸点の高いエアロゾル形成体(グリセリンなど)よりも優先的にニコチンを気化させ、吸煙時にはヒーター温度を第1の温度よりも高い第2の温度に上げることでエアロゾル形成体を気化させてユーザーに十分な量のエアロゾルとニコチンを効率的に送達する加熱制御により、低いニコチン濃度の液体でも従来の紙巻きタバコに匹敵する満足感を提供できるエアロゾル発生装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7698023/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(液体エアロゾル形成基体(リキッド)の組成と加熱プロセスの関係の解析、ニコチンの優先的な気化を最大化するための最適なプロセス条件の設計、ニコチン、グリセリン、プロピレングリコールなどの成分の蒸気圧、沸点および熱力学的データを基に各成分の気化速度を予測するモデルの構築、ヒーターの温度や加熱時間、吸煙時の流量変化が生成されるエアロゾル中のニコチン濃度に与える影響のシミュレーション、液体供給機構(毛細管材料など)における毛管現象と液体の物理化学的特性(粘度、表面張力)の関係の解明および安定したリキッド供給を実現するための材料選定と構造設計)、電子工学(二段階の加熱制御を実現するための電子回路および制御アルゴリズムの設計、ヒーターの抵抗値変化を検知して温度を正確に制御するためのフィードバック制御回路の設計、吸煙を検知するセンサーからの信号を処理して適切なタイミングでヒーターへの電力供給を切り替えるためのマイクロコントローラーのプログラミング)
従来の電気加熱式エアロゾル発生システムは発熱体がカートリッジに含まれるため、製造コストが高く、電気接点が必要となり、清掃が困難でした。
これに対して、高周波振動電流を発生するインダクタコイルと電源を内蔵した装置本体および液体または固体のエアロゾル形成基体を含む流体浸透性サセプタ素子を備えた使い捨てのカートリッジから構成されるエアロゾル発生システムであり、カートリッジが装置本体にセットされるとインダクタコイルからの変動磁場がサセプタ素子を誘導加熱してエアロゾル形成基体を気化させ、また、本システムは装置本体とカートリッジ間に物理的な電気接点を必要としないシンプルな構造でカートリッジを安価に製造できるため効率的な加熱とクリーンな使用感を実現できるエアロゾル発生システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7710022/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(誘導加熱システムの電力効率と信頼性を高めるための高周波電力変換回路と制御システムの設計、サセプタ素子を効率的に加熱するための高周波DC/ACインバータの設計、発熱体とコイル間の誘導結合効率を最適化するための共振周波数やインピーダンスマッチングを調整する回路の構築、加熱中の温度変化や負荷変動に対応するための安定した電力供給と過熱防止機能を実現する制御アルゴリズムの設計)、材料工学(誘導加熱によって効率的かつ安全にエアロゾル形成基体を気化させるためのサセプタ素子およびカートリッジ構成材料の選定、サセプタ素子の材料としてキュリー温度が加熱目標温度とほぼ一致する磁性材料の探索、エアロゾル形成基体と接触する流体浸透性サセプタの耐久性、耐食性および生物適合性の評価、カートリッジハウジングの材料について誘導加熱による影響を受けずリキッドやその他の化学物質に対して安定した特性を持つ軽量かつ安価なポリマー材料(ポリプロピレン、PEEKなど)の選定)
従来の誘導加熱式エアロゾル発生装置はインダクタコイルから発生する電磁場が外部に漏洩し、装置の効率を低下させたり、周辺部品を不要に加熱したりする問題がありました。
これに対して、インダクタコイル、磁束コンセントレータ(磁束を特定の領域に集中させるための高透磁率材料でできた部品)、導電性シールドおよび内側スリーブ(インダクタコイルを巻き付けて保持し、エアロゾル発生装置のチャンバーを形成する筒状の部品)という技術要素から構成され、誘導加熱によりエアロゾルを発生させる装置であり、インダクタコイルの周囲に配置された磁束コンセントレータによって変動電磁場をチャンバー内のサセプタ素子に集中させて加熱効率を向上させ、また、磁束コンセントレータの外側に設けられた導電性シールドが電磁場の外部漏洩を抑制して装置の効率を高めると同時に周辺部品の不要な加熱を防ぐことで安全性を確保し、さらに、内側スリーブの突出部がインダクタコイルを所定位置に保持することで信頼性の高い構造を実現させるこれらの技術要素の組み合わせにより、効率と安全性を両立させたエアロゾル発生装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7682586/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(高周波電力変換回路の設計、磁束コンセントレータと導電性シールドの特性を考慮したインダクタコイルに最適な高周波電流を供給するための回路の設計、磁束コンセントレータと導電性シールドの配置、インダクタコイルの形状や巻き数に応じてサセプタ素子へのエネルギー伝達を最大化する制御アルゴリズムの設計、装置全体の温度上昇を管理するシステムの設計)、材料科学(磁束コンセントレータおよびサセプタ素子に最適な材料の選定および特性の評価、磁束コンセントレータとして機能する高比透磁率材料(フェライトなど)の選定、使用周波数帯域(500 kHzから10 MHz)における比透磁率やキュリー温度の測定および加熱効率や耐熱性の観点から最適な材料組成の特定、サセプタ素子として機能する導電性・強磁性材料(ステンレス鋼、アルミニウムなど)の誘導加熱特性(渦電流損失、ヒステリシス損失)の解析および最適な形状や寸法を設計)
具体例として吸入可能なエアロゾルを発生するためのエアロゾル発生物品が挙げられます。
既存の加熱式たばこ製品はエアロゾルを効率的に発生させるために多くのエアロゾル形成体が必要で、それがラッパー(エアロゾル形成基体の周囲に巻かれた熱伝導層と熱絶縁層からなる多層構造の紙またはシート)の汚れにつながるという問題がありました。
これに対して、植物材料の葉身部分であるラミナを多く含むカットフィラーと、約6%〜20%のエアロゾル形成体からなるエアロゾル形成基体と、その周囲を少なくとも部分的に覆う積層ラッパーから構成されたエアロゾル発生物品であり、積層ラッパーは熱伝導性層と熱絶縁層が製品の軸方向に沿って重なり合うの2層でできており、熱伝導性層のみが配設された特定の加熱領域が設けられ、外部から供給される熱を効率的に内部のエアロゾル形成基体に伝えて均一に加熱することが可能になり、これにより従来の製品よりも低温でのエアロゾル発生を可能にするエアロゾル発生物品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7601995/15/ja
関連する専門分野の例:薬化学(植物材料カットフィラーおよびエアロゾル形成体の化学組成の分析、加熱時の反応生成物やエアロゾル成分の特定、加熱温度、加熱時間、カットフィラーの組成比などの条件がグリセリンやニコチンといったエアロゾル形成成分の揮発挙動や熱分解による有害物質の生成に与える影響の評価)、材料工学(積層ラッパーを構成する熱伝導性層(アルミニウム、スズ、銅など)と熱絶縁層(紙など)の物性(熱伝導率、熱容量、厚さ、積層強度)の最適化、熱伝導シミュレーションにより積層ラッパーの各層の厚さや配置がエアロゾル形成基体への熱伝達効率に与える影響の解析、製品全体の熱特性を改善するための設計指針の策定)
従来の風味付きタバコは風味剤が時間経過とともに揮発・拡散し、効果が減少してしまう問題がありました。
これに対して、たばこ基質とフィルターを備えた喫煙物品であり、フィルターはフィルター材料でできたフィルターセグメントの中に液体風味剤を内包する風味送達部材(カプセル)が埋め込まれた構造を有し、このカプセルはフィルターの断面積の30%以上を占め、フィルター材料によって全方向を囲まれ製造や流通の過程で保護され、また、フィルター材料はフィラメント当たり5.0〜12.0デニール、合計10000〜35000デニールの繊維で構成されており、カプセルの周囲で変形することなく適切な通気抵抗を維持し、タバコ基質とフィルターを繋ぐチッピング材料にはフィルターの下流端から11mm以上離れた位置に換気孔が設けられてることにより、喫煙者が外力でカプセルを潰すまで風味剤が放出されず風味の劣化が防がれる喫煙物品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7714604/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(フィルター材料と風味送達部材の最適な材料設計およびそれらの組み合わせの機械的特性評価、フィルター材料(酢酸セルロース等)のフィラメントのデニール数や合計デニール数が通気抵抗や風味送達部材の保持性能に与える影響の評価および最適な繊維径や密度の特定、風味送達部材(カプセル)のシェル材料について重合体(ゼラチン、変性セルロース等)の組成や厚さの調整による製造時の安定性や外力による破壊強度(破裂強度)制御の検討)、化学工学(喫煙中の物質移動現象の解析および風味剤の放出と煙への移行プロセスの最適化、フィルター内での主流煙の流動解析、風味送達部材の配置やサイズ、換気孔の位置とサイズが煙の流れに与える影響のシミュレーション、風味剤の放出速度論のモデル化、カプセルが破壊された後の風味剤の拡散挙動と煙の流速に応じた風味剤の気化・移行効率の評価)
具体例としてニコチン含有ゲル組成物が挙げられます。
従来の液体ニコチン組成物は漏れや揮発による組成変化の懸念があり、ゲル状組成物も安定性が低く、保管中に液相を放出する問題がありました。
これに対して、特定の割合で配合されたゲル化剤、グリセロール、ニコチン、二価のカチオンおよびカルボン酸から構成される固体媒体であり、2~5重量%のゲル化剤が固体媒体を形成し、その中に70~95重量%のグリセロールと1.5~3重量%のニコチンが分散され、また、二価のカチオンとカルボン酸を0.1~1重量%含むことでゲルの安定化を促進し、水の含有量が22重量%未満、グリセロールと水の合計が90~95重量%の範囲であることで、外部湿度変化に左右されず組成物の質量や形状が大きく変動しない安定性を実現し、エアロゾル発生装置で加熱されても液相を放出することなくニコチンを効率的に気化させることができて漏れの問題を解決するゲル組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7733086/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(ニコチン、カルボン酸およびゲル化剤の相互作用の解析および目的のゲル組成物の合成・設計、ニコチンとカルボン酸(レブリン酸など)の反応メカニズムの解析、ニコチン塩の生成がゲルの物理的安定性や加熱時のニコチン気化特性に与える影響の評価、グリセロール、ニコチン、ゲル化剤および二価カチオンを含む混合溶液の相挙動(溶解度、ゲル化温度など)の解析および安定なゲルが形成される最適な組成範囲の特定、製造プロセスにおける再現性の高いゲル形成条件の確立)、化学工学(ゲル組成物の製造プロセスの確立および物質移動と熱移動の観点から生産効率と品質の最適化、ゲル組成物の加熱・冷却プロセスにおける粘弾性、流動性の測定、混合、成形および包装プロセスをスケールアップするためのモデルの構築、組成物の水蒸気圧と平衡相対湿度の関係の解析および製造環境の湿度制御パラメータの決定、製品が製造から消費者に届くまでの間、質量変化や形状変化を最小限に抑えるための包装材料や保管条件の設計)
従来の液体ニコチン組成物は取り扱いが煩雑で漏れる可能性があり、また貯蔵寿命が短いという問題がありました。
これに対して、加熱によりニコチンを含むエアロゾルを発生させる基体(ニコチン塩、結合剤および繊維質材料を含むシートを集合させてロッド状にしたもの)で構成され、シートは乾燥質量基準で1~6重量%の総ニコチン塩と8重量%未満の結合剤を含み、結合剤にはグアーガムやキサンタンガムなどの天然ガム、繊維質材料にはセルロース繊維が用いられ、これらの構成要素の特定の比率と液体を含まない固体シートにより製造・輸送時の取り扱いが容易になり、液漏れが排除され、ニコチンを遊離塩基ではなく安定な塩の形で含むため貯蔵寿命が延長されるエアロゾル発生物品が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7733075/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(シートの機械的強度、熱安定性およびエアロゾル発生効率を制御するための材料選定、異なるセルロース繊維や結合剤(グアーガム、キサンタンガムなど)の組み合わせの評価およびシートの成形性や強度に与える影響の分析、製造プロセスに適合して加熱時に形状を維持できる最適な配合比率の決定、ゲルの熱分解挙動の解析、ニコチン塩、結合剤およびその他の添加物が分解・気化する温度の特定)、薬化学(ニコチン塩の化学的特性の解明およびニコチンの安定性、生体利用効率、加熱時の揮発性を最適化するための分子設計、複数のニコチン塩(例:ニコチンレブリン酸塩、ニコチン安息香酸塩)の合成および結晶構造や熱力学的安定性の評価、ニコチン塩が加熱によってニコチンとして気化する際の反応速度論的解析、エアロゾル中のニコチン濃度や粒子サイズ分布の測定、ユーザーに効率的で安全なニコチン供給を保証できる最適なニコチン塩の組み合わせの特定)
具体例としてエアロゾル発生物品またはエアロゾル発生物品のための容器が挙げられます。
従来のヒンジ式容器は不注意にリッド(蓋)が開くリスクがあり、中身の消費財が脱落したり、鮮度が損なわれたりする可能性がありました。
これに対して、リッド部分とボックス部分からなる外側ハウジングを備えた容器であり、リッド部分はボックス部分に対して閉位置から開位置まで直線的にスライド移動し、この開位置に到達した時にヒンジを軸に旋回する二段階の開閉機構を持ち、また、リッド部分に取り付けられたリッド係止構成要素とボックス部分の壁の内表面に設けられたボックス係止構成要素が協働するロック機構を有し、リッドが閉位置にある時、これらの構成要素が噛み合う係止状態となり、リッドの不注意な直線移動を阻止し、ユーザーがボックス部分の壁を押し込むなどしてロックを解除すると係止解除状態に移行してリッドを直線的にスライドさせられるようになり不注意な開閉を物理的に防止する容器が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7648596/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(容器の開閉機構とロック機構の力学的特性の解析およびユーザーが快適かつ安全に操作できる最適な機構設計、リッドとボックスの間の摩擦力やロック機構の係合力の測定およびスムーズなスライドと確実なロックを両立させるための材料と形状の決定、容器に外部から力が加わった際の変形の予測および不注意な衝撃でもロックが外れないよう構造の最適化)、材料科学(容器を構成する材料の物理的・機械的特性の評価および耐久性、製造コスト、ユーザーの操作感の要求を満たす最適な材料の選定、容器の主要な構成要素(ボックス、リッド、ロック部分)について厚紙、プラスチック、金属箔などの候補材料の剛性、耐摩耗性、成形性の評価、コスト効率の良い材料組み合わせの検討)
具体例としてたばこ製品などのロッド形状の物品を搬送して検査に適した向きに回転させるドラムコンベヤが挙げられます。
従来の線形コンベヤではロッド状の物品が端と端を接して搬送されるため、その端面を検査することが困難でした。
これに対して、ドラム回転軸と直角に配置された複数のシャフトを備え、各シャフトにはロッド形状の物品を保持するシートが取り付けられたドラムコンベヤであり、各シャフトはドラムの回転と同期して直線的に移動するプッシャーに連結され、プッシャーはカムによってドラム回転軸に沿って往復運動するように強制され、プッシャーの直線運動はラックとピニオンからなる機械的連結機構を介してシャフトの回転運動に変換されることで、ドラムコンベヤが回転する間にシートに保持された物品はその長軸方向をドラムの回転軸に対して直角な向きから検査に適した平行な向きへと90度回転させられるため、少ない部品でロッド形状の物品を任意の角度に回転させることが可能となり、端面の検査を容易におこなうことができるようになるドラムコンベヤが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7730842/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(カムとプッシャー、ラックとピニオンの組み合わせが目的の回転角度と同期を正確に実現できるかの評価、各部品にかかる応力、ひずみ、摩耗の解析および材料選定や形状の最適化、カム形状とプッシャーの往復運動の関係の数理的モデル化およびシートの回転角度が正確に制御できることの検証、全体のエネルギー効率の計算および動力源であるアクチュエータの選定指針の策定)、制御工学(ドラムコンベヤの安定した連続運転を実現するための制御システムの設計および各機構の協調動作の最適化、ドラム回転、プッシャーの往復運動、物品の吸着・解放タイミングを制御するためのシーケンスプログラミングの設計、プッシャーの動作タイミングや振幅をリアルタイムで微調整するフィードバック制御システムの構築、センサー(エンコーダ、近接センサー等)の配置とデータ処理アルゴリズムの設計)
(4)まとめ
電子たばこ関連の出願が多く確認されます。これにより、紙タバコの場合と比較し、電気系や機械系の専門性が求められる場面が多くなっていることが推測されます。
また、たばこ以外に医療関係の出願も見れます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)日本たばこ産業(JT)

(2)ブリティッシュ・アメリカン・タバコ

詳細の説明は省略します。
(3)フィリップ・モーリス・プロダクツ

(4)上記(1)~(3)(共同出願人)のまとめ
共同出願は多くないです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・化学系分野(化学工学、分析化学、有機化学など)
システム(製品)のエネルギー・物質収支解析、伝熱・流動プロセスの最適化、反応器・熱交換器の設計とシミュレーション、フィルターの吸着特性の評価、化学反応による生成物の同定と安全性解析、喫味成分の放出動態の測定、原料特性の評価、均一な製品物性制御のためのプロセス条件の最適化、天然物由来有機化合物の特性解析、標的化合物の分離・精製プロセスの最適化、不純物の同定および除去方法の検討、標的分子の構造活性相関に基づく分子設計、効率的な合成ルートの探索と最適化などが求められます。
・材料系分野(材料工学、材料科学など)
材料選定と特性評価、熱的・機械的信頼性の検討、接合・成形技術の探索と評価、製品特性を決定づける素材の選定、環境および使用条件下の材料挙動の検討、材料表面の物理的特性と機能性の制御、シート材料の力学的・物理的特性評価、添加物と材料の相互作用に関する適合性検討、最終製品の品質を左右する材料物性の制御、機能性材料の設計、材料間の界面相互作用の解析などが求められます。
・機械系分野(機械工学、システム工学など)
システムの力学的な動作解析と制御、ヒューマンファクターを考慮した機構設計、部品間の相互作用と動特性の最適化、製品製造のための加工機構の設計、シートの折り込み・成形プロセスの運動学的検討、生産ラインにおける材料搬送システムの最適化、成形用駆動機構および搬送システムの設計、シートの張力制御機構の検討、複雑なシステムの全体最適化と効率向上を目的としたプロセス設計と評価、人と機械の協働を考慮したヒューマンファクターの分析とインタラクション設計などが求められます。
・電気系分野(電気工学、電子工学、電気電子工学など)
電力供給システムの効率的な設計、エネルギー変換と熱制御の最適化、バッテリーマネジメントシステムの設計、ユーザー体験を向上させる制御ロジックの設計、ヒューマンインターフェースの信号処理と実装、通信機能を含む集積回路の統合、電源システムの安全性と信頼性に関する回路設計、バッテリーの充放電特性と劣化状態の監視技術の検討、センサー・アクチュエーター・コントローラー等の電子制御回路の設計などが求められます。
・薬学系分野(薬理学、薬化学、製剤学など)
in vitroアッセイ系の構築と薬効評価、薬物動態および毒性プロファイルの検討、疾患モデル動物におけるin vivo薬効の検証、有効成分の物性・安定性の評価、賦形剤との相互作用の解析、製剤構成成分の選定と配合比率の最適化、最終製剤の物理的・化学的品質の評価などが求められます。
・情報系分野(情報工学、制御工学など)
複雑な機器状態を識別するためのアルゴリズムの設計、機器の異常を自動的に識別する診断システムの構築、ユーザーへの情報伝達を最適化するインタフェースの制御ロジック構築、システム全体の動的挙動のモデリング、位置・速度・タイミング制御系の設計、複数のアクチュエータおよびセンサー間の協調制御アルゴリズムの構築などが求められます。
・食品系分野(食品科学など)
熱処理プロセスにおける素材の化学成分変化の解析、素材の化学的・物理的特性と製品の官能特性の相関関係の解明、消費者の嗜好を反映した風味・品質評価基準の設計、生産プロセスに適用可能な品質管理のための評価指標の設計などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
電子たばこ関連や従来の紙たばこ関連(容器や装置を含む)の出願が多いです。
また、医薬関係の出願も一部に見られます。
大学の専攻と関連づけるとしたら、主に化学、材料、機械、電気を中心に、薬学、情報、食品における研究分野が該当する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
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