化学は、日常生活に欠かせない素材や製品を生み出す分野です。
一般的には半導体材料とかプラスチックとか医薬品、化粧品の原材料などが関連製品としてイメージされることが多いでしょう。
ただ、化学メーカーがどのような製品や技術を開発しているのか、外部からは見えづらいです。
結局、化学メーカーが何を開発しているのがわかないという人が多いのではないでしょうか?
これを特許情報からみていきます。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
今回は、大手化学メーカー10社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。
結論(概要)は以下の通りです。
・化学系分野、材料系分野(高分子化学、有機化学、無機化学、電気化学、物理化学、化学工学、材料化学、材料工学など)
・その他(電気系、機械系、物理系など)
1 業界サーチの概要
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 化学業界
2.1 化学業界とは
ここでは、化学反応や物理的プロセスを利用して、さまざまな素材や製品を生産・開発する業界を意図します。
2.2 サーチ対象
以下のを対象にしました。
(2)住友化学
(3)信越化学工業(信越化学)
(4)三井化学
(5)旭化成
(6)東ソー
(7)レゾナック
(8)三菱ガス化学
(9)カネカ
(10)クラレ
以下、上記括弧書があるものは、その中の略語で記します。
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
|
モノの開発 |
サービスの開発 |
|
|
個人向け |
|
|
|
法人向け |
・各種の組成物、化合物 |
|
モノの開発としては、例えば、フィルムやフィルムなどに用いられる樹脂組成物が挙げられます。
3.2 出願件数の推移
下図は化学メーカー10社の特許出願件数の推移です。

各社、毎年、一定件数特許出願していて、技術開発が継続的におこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えた場合、2000~2022年では、
住友化学>レゾナック>三菱ケミカル>カネカ>信越化学>三井化学>旭化成>クラレ>東ソー>三菱ガス化学
です。
ただ、出願件数が相対的に少ない三菱ガス化学でも、上記期間において5000件を超えており、いずれの企業もこれまで紹介してきたどの業界よりもかなり多いです。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
殺虫剤などがこれに該当します。
住友化学がこの分野で多く出願しています。
粒状物や繊維などからなる積層体などがこれに該当します。
三菱ケミカル、三井化学、三菱ガス化学、クラレがこの分野で多く出願しています。
アルカンやシクロアルカンなどがこれに該当します。
三菱ガス化学がこの分野で多く出願しています。
重合反応などがこれに該当します。
三菱ケミカル、住友化学、三井化学、東ソー、カネカ、クラレがこの分野で多く出願しています。
縮重合反応によって得られる縮重合体などがこれに該当します。
信越化学、旭化成、東ソー、レゾナック、三菱ガス化学、カネカがこの分野で多く出願しています。
高分子物質の物理的処理や化学的処理などがこれに該当します。
三菱ケミカル、信越化学、旭化成、クラレがこの分野で多く出願しています。
合成接着剤や無機接着剤などがこれに該当します。
レゾナックがこの分野で多く出願しています。
重量測定や電気的測定などがこれに該当します。
東ソーがこの分野で多く出願しています。
レンズや光学系を組み込んだ装置などがこれに該当します。
住友化学がこの分野で多く出願しています。
感光材料などがこれに該当します。
信越化学がこの分野で多く出願しています。
半導体デバイスの製造方法などがこれに該当します。
レゾナックがこの分野で多く出願しています。
燃料電池、一次、二次電池などがこれに該当します。
旭化成がこの分野で多く出願しています。
3.5 大手化学メーカー10社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)三菱ケミカル|開発トレンドと専門性

上図期間中、C08LとB32Bが多いです。次いでC08Gが多いです。
具体例としてメタクリル系樹脂組成物が挙げられます。
従来は光安定剤として知られるヒンダードアミン系化合物(HALS)を添加する方法がありましたが、HALSの添加量増加に伴い着色や重合効率の低下、残存モノマー増加による光安定性低下といった問題がありました。
これに対し、特定の化合物、ピルビン酸メチルおよび2-メチル酪酸メチルのうち少なくとも1つを特定の量含有させることで、HALSを用いずに光安定性を向上させ黄変を抑制させたメタクリル系樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7338797/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(所望の耐熱性、光安定性、成形性を有するメタクリル系樹脂の設計・合成)、有機化学(ピルビン酸メチルおよび2-メチル酪酸メチルのより効果的な誘導体の設計・合成)
従来はフッ素系樹脂フィルムの艶消し方法として表面に凹凸を付与する方法や艶消し剤を添加する方法がありましたが、均一な艶消し性の実現やフィルム物性の維持に課題がありました。また、フィッシュアイと呼ばれる異物欠陥の発生も問題視されていました。
これに対し、3種類の重合体(反応性基を有する第1の重合体、特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする第2の重合体、特定の(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする第3の重合体)をフッ素系樹脂に配合することでフィッシュアイを低減し、艶消し性、透明性、耐薬品性を向上させた樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-111655/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(フッ素系樹脂、各種アクリル系重合体の分子量、組成、構造などを最適化する樹脂組成の設計・合成)、有機化学(より効果的なモノマー、重合開始剤、添加剤の設計・合成)
具体例としてプレススルーパッケージ包装材用底材が挙げられます。
従来、医薬品包装などに用いられるプレススルーパッケージ(PTP)包装材の底材にはポリ塩化ビニル(PVC)が用いられてきましたが、環境問題や防湿性の課題がありました。代替素材としてポリプロピレン(PP)が用いられるものの防湿性が不十分であり、環状ポリオレフィン系樹脂を用いたシートではPP やポリエチレン(PE)との接着性、耐衝撃性、コストの問題がありました。
これに対し、PP系樹脂層(A)とPE系樹脂層 (B)を積層し、両層に特定の熱可塑性樹脂(石油樹脂、テルペン樹脂など)を添加することで層間強度を向上させて接着層を不要としたことで防湿性、透明性、耐衝撃性を有し、層間接着力を有するプレススルーパッケージ包装材用底材が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-009065/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(各種樹脂の種類、配合量、積層構造などを最適化し、シートを作製)、有機化学(PP/PE 複合シートの物性を改善する添加剤 の設計・合成)
従来、シリコーン含有離型層を備えた離型フィルムは溶剤接触により剥離性能が低下する問題がありました。
これに対し、離型層に特定のシリコーン化合物と (メタ) アクリロイル基含有化合物を組み合わせることで溶剤接触後もポリエステルフィルム基材と離型層の密着性を高めています。具体的には、Si-H基を有するシリコーン化合物を主成分としウレタン (メタ) アクリレートと多官能 (メタ) アクリレート化合物を併用することで離型層の架橋構造を最適化して耐溶剤性を向上させた離型フィルムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-186742/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(シリコーン化合物、(メタ) アクリロイル基含有化合物の種類、配合量、架橋構造などを最適化し、所望の離型層を作製)、有機化学(離型層の耐久性、耐溶剤性を向上させる添加剤の設計・合成)
具体例として硬化性樹脂組成物が挙げられます。
従来、ポリウレタン樹脂は柔軟性に優れる一方、機械的強度が低いという問題がありました。特に高温環境下では伸びやすく形状保持性が損なわれる場合がありました。
これに対し、3個の水酸基を有するポリウレタン化合物Aと2個以上の水酸基を有するアクリル重合体Bを組み合わせ、イソシアネート基を有する化合物を架橋剤として用いることで、硬化後の破断伸度を低減し高温環境下での形状保持性を向上させた硬化性樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-016875/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(化合物A、重合体Bの種類、配合量、架橋構造などを最適化し、所望の硬化性樹脂組成物を作製)、有機化学(硬化性樹脂組成物の物性を改善する添加剤の設計・合成)
(2)住友化学|開発トレンドと専門性

G02Bが最も多いです。次いでH01M、C07Dが多いです。また、2022年に急増したのはG03Fです。
具体例として光学積層体が挙げられます。
従来、偏光板と導電層を粘着剤層で貼り合わせた光学積層体において、高温高湿環境下で偏光フィルム中の二色性色素が導電層へ移行し、導電層の劣化や表示不良を引き起こす問題がありました。
これに対し、偏光フィルムと導電層の間に特定の硬化性組成物からなる第1硬化物層を設けるて二色性色素の移行を抑制しています。より具体的には、ヨウ化カリウム水溶液に浸漬後の吸光度上昇率が20%以下という特性を有する第1硬化物層が二色性色素を捕捉し、導電層への移行を阻止する光学積層体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-024446/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(第1硬化物層の吸光度上昇率、二色性色素の移行抑制効果、導電層との密着性などを評価・解析)、有機化学(硬化性組成物の重合開始剤や各種添加剤を設計・合成し、硬化性や光学特性を改善)
近年、表示装置の薄型化に伴い、光学フィルムの薄膜化が求められていますが、薄膜基材上に塗布膜を形成した従来の表面処理フィルムは搬送時に端部が破断しやすいという問題がありました。
これに対し、引裂き強度が0.5N以上である第1端部を設けて引裂き強度を向上させています。具体的には、第1端部が基材層表面に塗工層が設けられていない未塗工領域を含み、未塗工領域における基材層の端から塗工層の端までの距離を特定範囲(基材層の厚み20μm未満、塗工層の厚み5μm以下)にすることで引裂き強度を向上させた表面処理フィルムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7220311/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(第1端部の最適な形状、寸法を設計)、高分子化学(基材層と塗工層の材料の組み合わせの検討)
具体例としてリチウム二次電池用正極活物質が挙げられます。
従来のリチウム二次電池用正極活物質は充放電の繰り返しに伴いサイクル維持率が低下するという問題がありました。
これに対し、層状構造を有するリチウム二次電池用正極活物質の形状に着目し、その平均アスペクト比と平均包絡度を特定範囲に制御(第1平均アスペクト比を0.755以上1.000以下、平均包絡度を0.983以上1.000以下)にすることで二次粒子の形状を最適化し、リチウムイオンの挿入・脱離反応を安定化させてサイクル維持率を向上させたリチウム二次電池用正極活物質が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-085141/11/ja
関連する専門分野の例:応用化学(正極活物質の組成や結晶構造を微調整し、サイクル維持率向上に最適な材料を探索)、材料工学(正極活物質の二次粒子の形状、サイズ、凝集状態を制御し、リチウムイオンの拡散経路を最適化)
具体例として2つのチアゾール環を有する化合物の製造方法が挙げられます。
従来は2つのチアゾール環を有する化合物の合成は多段階の工程を必要とし十分なものではありませんでした。
これに対し、ハロゲン化鉄化合物を酸化剤、過硫酸塩を酸化助剤、ピリジン誘導体を塩基として用いて特定の当量比で反応させることで、2つのチアゾール環を有する化合物を一段階で合成する製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2021-195359/11/ja
関連する専門分野の例:有機化学(効率的な反応条件や触媒の探索)、反応工学(反応条件の最適化、反応器の設計・最適化)
具体例としてレジスト組成物が挙げられます。
従来技術のレジスト組成物では得られるレジストパターンのCD(デバイスの性能に重要な影響を与える微細な寸法)均一性が必ずしも満足できない場合がありました。
これに対し、特定のハロゲン原子またはフッ化アルキル基を有する化合物、酸不安定基を有する樹脂、酸発生剤、酸発生剤よりも酸性度の弱いカルボン酸を発生する塩を含有することでレジストパターンのCD均一性を向上させたレジスト組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2021-140148/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(所定構造の化合物に由来する構造単位を含む新規樹脂を設計、合成し、レジスト特性を評価)、材料化学(レジストパターンの解像度、感度、耐薬品性などを評価し、材料設計や配合の妥当性を検証)
(3)信越化学|開発トレンドと専門性

C08Lが最も多いです。次いでG03F、C08Gが多いです。
具体例として絶縁性熱伝導シートが挙げられます。
近年、電子機器の高密度化に伴い放熱部材には高い熱伝導性が求められていますが、従来の熱伝導シートは窒化ホウ素等の異方性フィラーを高充填・配向させることで硬度が高くなり、発熱部品との密着性が低下するという問題がありました。
これに対し、特定のシリコーン樹脂組成物と特定の形状・サイズを有する窒化ホウ素を組み合わせたシート、具体的には、ケイ素原子に結合したアルケニル基を2個以上有するオルガノポリシロキサン、特定のオルガノハイドロジェンポリシロキサン、ヒドロシリル化触媒を含む熱硬化性シリコーン樹脂、平均粒径40~100μm、アスペクト比20~100の窒化ホウ素を含有させた所定の方法により熱伝導性と柔軟性を向上させた絶縁性熱伝導シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-173096/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(化合物の組成比などを最適化し生成物の物性制御)、材料化学(窒化ホウ素の平均粒径、アスペクト比の最適化)
従来、熱伝導性シリコーンゴム組成物では熱伝導性を高めるために熱伝導性フィラーを高充填すると硬化物の弾性や伸びが低下し電子部品への装着時に破損しやすいという問題がありました。また、低分子シロキサンによる接点障害を防止するために高温ポストキュアを施すとさらに硬化物が脆化するという問題がありました。
これに対し、特定の平均重合度を持つジオルガノシクロポリシロキサン含有量が少ないオルガノポリシロキサン、分子鎖両末端にのみアルケニル基を有する特定の平均重合度のオルガノポリシロキサン、熱伝導性充填材、硬化剤を組み合わせることで強度と低分子シロキサン除去効果を得る熱伝導性シリコーンゴム組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-071105/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(分子鎖両末端にのみアルケニル基を有するオルガノポリシロキサンの平均重合度を最適化し架橋構造を制御)、材料化学(試作品を評価し、材料設計や配合の妥当性を検証)
具体例として有機膜形成用組成物が挙げられます。
近年、半導体素子の微細化に伴い高アスペクト比パターンの形成が求められており、ドライエッチング耐性に優れた有機膜材料が不可欠となっていますが、従来の有機膜材料ではエッチング耐性、パターン倒れ耐性、成膜性、昇華物抑制などの課題がありましたた。
これに対し、特定の置換基を有するスマネン誘導体を主成分とすることで対応しています。スマネン誘導体の高い炭素含有量と特異な分子構造によって高密度で強靭な炭素膜、ドライエッチング耐性、パターン倒れ耐性が実現され、また、熱硬化性によって架橋剤なしで膜形成が可能になり、有機溶剤への溶解性と成膜性、昇華物の少なさから微細パターン形成が可能な有機膜形成用組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-128578/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(さまざまな置換基を導入した誘導体を合成、評価)、材料化学(合成されたスマネン誘導体から有機膜形成用組成物を作製、評価)
従来のフォトマスクブランクは吸収体層の表面が粗く、欠陥と凹凸の区別が困難であり、膜抵抗が高いため製造装置内の異物吸着を阻害し装置管理に支障をきたす恐れがありました。
これに対し、基板上にクロムを含有する材料で構成された多層膜(基板から離間する側から、表面粗さの改善と特定の波長域における反射率の低減のための第1層、導電率の向上のための第2層、反射率の調整のための第3層)により高感度な欠陥検査が可能なフォトマスクブランクが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-071513/11/ja
関連する専門分野の例:材料工学(多層膜の各層の材料組成、膜厚、積層構造の最適化)、応用物理学(多層膜の反射率、透過率、吸収率などを計算し、波長特性を予測)
具体例として熱硬化性エポキシ樹脂組成物が挙げられます。
従来のエポキシ樹脂組成物は可とう性を付与するために熱可塑性樹脂を配合すると硬化物のガラス転移温度が低下し、保存安定性を向上させるために特定の硬化剤を用いると成形性や金属基板への接着力が低下するという問題がありました。
これに対し、結晶性エポキシ樹脂、25℃で固体の非結晶性エポキシ樹脂、フェノール化合物、窒素原子含有硬化促進剤、反応抑制剤、無機充填材を特定の割合で配合すること硬化後のガラス転移温度が高く、金属基板への接着力に優れる熱硬化性エポキシ樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-076872/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(各成分の配合量と硬化物のガラス転移温度、接着力、可とう性などの関係を評価して最適な配合量を決定)、有機化学(硬化促進剤、反応抑制剤の構造と反応性の関係を明らかにして最適な化合物を選定)
(4)三井化学|開発トレンドと専門性

C08Lが最も多いです。次いでC08F、C08Gが多いです。
具体例として金属酸化物を含有する熱可塑性樹脂組成物が挙げられます。
従来技術では金属酸化物を多量に配合すると熱可塑性樹脂との混練性が悪化し成形体の表面が親水性を帯びる問題がありました。
これに対し、未変性ポリオレフィン系ワックスを特定の量配合することで混練性を改善して親水性を抑制し硬質感と陶器に近い質感を得る熱可塑性樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7605988/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(熱可塑性樹脂組成物の構造、形態、結晶性の評価、成形加工条件の最適化)、高分子化学(熱可塑性樹脂との混練性を改善するメカニズムの解明)
従来は自動車材料の軽量化ニーズに対応するためプロピレン系材料の高剛性化が求められていました。
これに対し、特定の要件を満たすプロピレン重合体(A)(特定の分子量分布、数平均分子量、および昇温溶出分別測定法(TREF)で溶出する成分の割合を満たすプロピレン重合体)とプロピレン重合体(B)(特定の分子量分布および数平均分子量、または特定の分子量分布比(Mw/Mn)を満たすプロピレン重合体)を組み合わせ、剛性を向上させたプロピレン系樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-164842/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(プロピレン重合体(A)と(B)に基づく最適なプロピレン系樹脂組成物の設計)、材料工学(成形体の評価、成形条件の決定)
具体例として液晶表示パネル用シール剤に用いられる光硬化性樹脂組成物が挙げられます。
従来の液晶シール剤は基板表面に配向膜があると基板との接着強度が不十分であったり、柔軟性を高めると耐湿性が低下したりする問題がありました。
これに対し、ゴム構造(硬化時の残留応力や外部からの応力緩和)とアルコキシシリル基(基板表面のOH基と反応して強固な結合形成)を有するカップリング剤(D)を配合することで、基板との接着強度と耐湿性を両立させた光硬化性樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7557607/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(カップリング剤(D)、ゴム構造、アルコキシシリル基数などから所望の機能を有する分子設計)、材料工学(光硬化性樹脂組成物の粘度、塗布性、硬化速度などの評価)
具体例としてチオウレタン樹脂原料の製造方法が挙げられます。
従来、チオウレタン樹脂は廃棄物として処理されていました。
これに対し、チオウレタン樹脂をアルコール化合物と第3級アミン触媒の存在下で反応させることでチオウレタン樹脂を分解し再利用可能なチオウレタン樹脂原料の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-019137/11/ja
関連する専門分野の例:応用化学(オウレタン樹脂の分解反応の反応条件の検討)、材料工学(リサイクルされたチオウレタン樹脂原料の評価)
(5)旭化成|開発トレンドと専門性

C08Lが最も多いです。次いでC08G、H01Mが多いです。
具体例としてセルロース繊維とポリアミド樹脂を含む樹脂組成物が挙げられます。
従来はセルロースナノファイバー(CNF)を樹脂に配合する際にCNFの凝集による分散不良やセルロースのピーリング反応による着色・臭気の問題がありました。
これに対し、カルボキシル基末端を多く含む特定のポリアミドと平均繊維径が500nm以下のセルロース繊維を組み合わせることでCNFの優れた機械特性を発現しつつ着色や臭気を低減した樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-024787/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(カルボキシル基末端濃度を制御したポリアミドの合成条件の最適化)、材料工学(セルロース繊維の分散状態、ポリアミドとの界面構造を制御する混練方法、成形条件の検討)
従来は赤外線吸収剤を配合したメタクリル系樹脂組成物において長期使用における赤外線吸収能の低下や屋外環境における耐候性の不足が問題になっていました。
これに対し、特定の重量平均分子量を持つメタクリル系樹脂と、特定の融点を持つ紫外線吸収剤、リン酸系安定剤、ヒンダードフェノール系安定剤、及び特定の赤外線吸収剤を組み合わせることで赤外線吸収能、耐候性、耐熱性、耐湿熱性に優れたメタクリル系樹脂組成物の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-001307/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(メタクリル系樹脂の分子量、構造、組成と物性の関係性の解析)、材料工学(温度、時間、せん断速度などの混練条件を最適化し、各成分の分散状態、界面構造を制御)
具体例としてメタクリル基を有する低分子量ポリフェニレンエーテルの製造方法が挙げられます。
従来はポリフェニレンエーテルの末端にメタクリル基を導入するのにメタクリル酸無水物を用いる方法が一般的でしたが副生物であるメタクリル酸の除去が困難で精製収率が低いという問題がありました。一方、メタクリル酸ハライドを用いる方法は高収率が期待できるものの、ダイマーが生成しやすくこれが不純物として残留すると製品の性能低下を引き起こす恐れがありました。
これに対し、未変性ポリフェニレンエーテルとメタクリル酸ハライドを反応させた後に特定の温度で加熱処理し蒸留することでダイマー由来の不純物を除去することにより高純度なメタクリル変性ポリフェニレンエーテルを効率的に製造する方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-182500/11/ja
関連する専門分野の例:有機化学(加熱処理におけるダイマー分解反応の最適条件の検討)、高分子化学(ポリフェニレンエーテルの分子量、末端構造がメタクリル化反応に与える影響の評価)
具体例として蓄電デバイス用セパレータが挙げられます。
従来はセパレータ基材上に接着層を設ける際に電極との接着力向上と電解液の注液性向上とがトレードオフの関係にあって両立が困難でした。
これに対し、熱可塑性ポリマー含有層を特定のドット状パターンで基材表面に形成、具体的にはドットの直径、ドット間距離、直径とドット間距離の比を特定範囲に制御して熱可塑性ポリマー含有層と電解液との接触角を一定値以下にすることで電極との接着性と電解液の注液性を両立させる蓄電デバイス用セパレータが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7560678/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(熱可塑性ポリマーの種類、分子量、ガラス転移温度、粒子径が接着性・注液性に与える影響の解析)、化学工学(均一なドット状パターンを形成のための塗工方法、乾燥条件の検討)
(6)東ソー|開発トレンドと専門性

C08Gが最も多いです。次いでG01N、C08L、C07Dが多いです。
具体例としてポリウレタンを安定的に得るためのウレタンプレポリマー組成物溶液が挙げられます。
従来、不飽和モノオールを多く含むポリアルキレンオキシドを用いたポリウレタンは硬化性に問題があり不飽和モノオールが少ないポリアルキレンオキシドを用いても硬化性や引張強度が不十分でした。また、特定のポリオールを導入すると硬化性は向上するものの塗膜にシワが発生しやすいという問題がありました。
これに対し、特定の組成のプレポリマーと特定の性状の溶媒を組み合わせ、具体的には特定のポリオールとポリイソシアネートを反応させたウレタンプレポリマーに金属成分を含むウレタン化触媒とsp値が8.0以上のグリコールエーテル系溶媒を配合することで高透明性、高引張破断強度、良好な硬化性、良好な成形性を満たすポリウレタンを得ることができるウレタンプレポリマー組成物溶液が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2021-187886/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(ポリオール(A)の種類、分子量、配合量などを最適化してプレポリマーの物性、反応性、溶媒との相溶性を調整)、有機化学(適切な官能基、分子量、構造を有する化合物(A、B、C)を合成)
具体例としてヘモグロビン分析装置が挙げられます。
従来の液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いたHbA1c測定では異常ヘモグロビンがHbA1cの測定を妨害し正確なHbA1c濃度を報告できないという問題や、異常ヘモグロビンを検出するために詳細な測定をおこなうと測定時間が長くなるという問題がありました。
これに対し、クロマトグラムデータに対して微分係数を算出し微分クロマトグラムにおける極小点または極大点の存在を検出し、異常ヘモグロビンの存在を判定することにより分離が不十分な状態であっても異常ヘモグロビンを簡便に検出し迅速なHbA1c分析を可能にするヘモグロビン分析装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-090737/11/ja
関連する専門分野の例:分析化学(異常ヘモグロビンの種類に応じた適切な微分係数の算出方法や極値の判定基準の設定)、医学(臨床データを収集し有用性、適用限界、改善点を評価)
具体例として医療容器に用いられるポリエチレン樹脂組成物が挙げられます。
従来のポリエチレン製医療容器は透明性と耐熱性の両立が困難で、高温滅菌処理によって透明性が低下したり内面融着が起こったりするという問題がありました。
これに対し、特定の物性を有する高密度ポリエチレン(A)とエチレン系重合体(B)を特定量配合する、具体的には密度、メルトフローレート(MFR)、長鎖分岐数(LCB)などが特定範囲内にある高密度ポリエチレン(A)とエチレン系重合体(B)をそれぞれ20~50重量%、50~80重量%の割合で配合することで高温滅菌処理後も透明性を維持し、内面融着(積層体の内層同士の融着)を起こさないポリエチレン樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-124557/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(A、Bの種類、分子量、配合量などの最適化)、材料工学(医療容器の成形方法の最適化)
具体例として有機電界発光素子に用いられるピリミジン化合物が挙げられます。
従来のピリミジン化合物は有機電界発光素子関連の用途において電流効率、発光効率、寿命特性の3つの特性を十分に満たしているとは言えず、特に電流効率の向上が求められていました。
これに対し、特定の置換基を有するピリミジン環と特定の構造を有する置換基を組み合わせることで電流効率と発光効率が高く長寿命特性を有する有機電界発光素子を実現するピリミジン化合物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7624132/15/ja
関連する専門分野の例:有機化学(各種置換基を導入したピリミジン化合物を合成、評価)、物理化学(電荷輸送、発光などの素子特性とピリミジン化合物の分子構造、物性との関係の解明)
(7)レゾナック|開発トレンドと専門性

H01Lが最も多いです。次いでH01M、C08Lが多いです。
具体例として有機絶縁層同士の接着強度を高めた積層体の作製方法が挙げられます。
従来のダイレクトボンディング技術では絶縁層に無機絶縁材料を用いるため切削くずや表面の凹凸が原因で接着不良が発生しやすいという問題がありました。一方、絶縁層に有機絶縁材料を用いる場合は無機絶縁材料よりも接着強度が低いという問題があった。
これに対し、熱硬化性樹脂と無機酸化物粒子を含む有機絶縁層を用いること、具体的には、第1の有機絶縁層を第1の支持基板上に形成し、その表面を研磨して平坦化した後に第2の有機絶縁層の表面に貼り合わせることで、熱硬化性樹脂同士の接着に加えて無機酸化物粒子同士の接合が起こり高い接着強度を実現する積層体の作製方法 が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7548455/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(熱硬化性樹脂と無機酸化物粒子の種類、配合量などの検討)、機械工学(研磨、貼り合わせなどの加工プロセスにおける精度、均一性を向上させるための制御設計)
従来のチップファースト/フェイスダウン方式のファンアウトWLP製造では封止層形成後にキャリア基板を剥離する際、半導体チップと封止層間に段差が生じることがありました。
これに対し、仮固定材層の厚さと支持体の引張弾性率を特定範囲内で選択することで段差を5.0μm以下に抑えることにより応力特異点の発生を抑制し、再配線層の信頼性を向上させる半導体装置の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7343080/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(仮固定材層、支持体の材料選定、層の厚さや引っ張り弾性率などの最適化)、機械工学(キャリア基板の剥離、半導体チップの配置、封止層の形成、再配線層の形成、研削、分割などのプロセス設計)
具体例としてリチウムイオン二次電池用正極合剤層が挙げられます。
従来のリチウムイオン二次電池では導電助剤としてカーボンブラックなどが用いられてきましたが充放電特性(レート特性)に課題がありました。
これに対し、導電助剤として、カーボンブラック(電解液の保持に寄与)、平均繊維径が80~400nmのカーボンナノチューブ1(活物質間の長距離電子伝導経路の提供に寄与)、平均繊維径が0.4~3.0nmのカーボンナノチューブ2(導電助剤ネットワークの形成に寄与)を特定の割合で含むことでレート特性を向上させたリチウムイオン二次電池用正極合剤層が開発されています(以下URL)。
関連する専門分野の例:応用化学(カーボンブラック、カーボンナノチューブ1、2の種類、平均繊維径、平均繊維長、含有率などの検討)、材料工学(各種材料の特性の評価)
従来のリチウムイオン二次電池の負極材には黒鉛などの炭素材料が用いられてきたが、高エネルギー密度化、急速充電、長寿命化などの課題がありました。
これに対し、特定の粒子径分布、比表面積、円形度などを満たす炭素材料を用いることで、具体的には、体積基準による粒子径のD90/D10、窒素吸着測定より求めた比表面積と円相当径5μm以下の粒子個数の比、5μm以下の粒子個数割合、5μm以上の粒子径に限定した粒子径と円形度の関係、タップ密度、平均円形度、平均面間隔d002、ラマン分光測定のR値、示差熱分析における発熱ピークなどを制御することでリチウムイオンの挿入・脱離反応をスムーズにし、電極材料と電解液との界面での副反応を抑制し、サイクル特性を向上させたリチウムイオン二次電池用負極材が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7521693/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(炭素材料の粒子径、比表面積、円形度などを制御する製造プロセスの設計)、応用化学(炭素材料の前駆体となる有機化合物の種類、分子量、構造などの検討、炭素化プロセスの最適化)
具体例として高周波デバイス用電子部品封止に用いられる成形用樹脂組成物が挙げられます。
従来は高誘電率な材料は誘電正接も高くなる傾向があり、伝送損失が増大し通信効率が低下しやすいという問題がありました。
これに対し、エポキシ樹脂を含む硬化性樹脂とチタン酸カルシウム粒子を含有する無機充填材と硬化剤とを含む組成物を用いることで、硬化物において高い誘電率と低い誘電正接を両立させる成形用樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7485088/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(チタン酸カルシウム粒子の粒子径、形状、含有量などの検討)、応用化学(チタン酸カルシウムの合成プロセス、表面処理などを検討し、粒子特性を制御)
(8)三菱ガス化学|開発トレンドと専門性

C08Gが最も多いです。次いでC08L、C07Cが多いです。
具体例として高圧ガス容器に用いられるエポキシ樹脂組成物が挙げられます。
従来の樹脂トランスファー成形法に用いられる低粘度なエポキシ樹脂組成物は水素ガスバリア性が低いという問題がありました。
これに対し、低粘度性と速硬化性を付与するためのレゾルシノール誘導体と水素ガスバリア性を向上させるためのビスフェノールF誘導体を特定割合で含むエポキシ樹脂と特定のアミン系硬化剤を用いることで低粘度性と高い水素ガスバリア性を両立させたエポキシ樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7279869/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(エポキシ樹脂、硬化剤、添加剤の種類や配合量の検討)、応用化学(エポキシ樹脂の分子構造、反応性などの検討による硬化特性の制御)
従来のポリウレタン系樹脂は引張強度、引張弾性率、硬度などの機械的特性の点で改善の余地がありました。
これに対し、アミン化合物の中でもトランス体の比率が特定の値以上であるものを用いることで分子構造を制御し、機械的特性を向上させたポリウレタン系樹脂が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7468780/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(アミン化合物のトランス体比率と得られるポリウレタン系樹脂の機械的特性の解析)、材料工学(ポリウレタン系樹脂の機械的特性の評価)
具体例として硬化性組成物が挙げられます。
従来は耐熱性、機械的強度、電気特性、耐薬品性、低線膨張性などをバランス良く兼ね備えた硬化性組成物を得ることが困難でした。
これに対し、アルケニルフェノールA(硬化性向上に寄与)、エポキシ変性シリコーン(柔軟性、耐熱性、低線膨張性に寄与)、エポキシ化合物C(硬化性、機械的強度、電気特性に寄与)、アミノトリアジンノボラック樹脂D(耐熱性、耐薬品性)の組合せにより各種特性を向上させた硬化性組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7428981/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(各成分の配合量の最適化)、材料工学(硬化物の特性の評価、成形加工方法の検討)
具体例としてニトリル化合物の製造方法が挙げられます。
従来はアンモ酸化反応後の残ガスに含まれる炭酸アンモニウムがライン閉塞を引き起こす可能性があり安定運転を阻害する要因となっていました。
これに対し、ミストエリミネータを用いて残ガス中のミストを捕集して炭酸アンモニウムを除去してライン閉塞を抑制し、反応器に再供給されるガスの酸素濃度を一定に保ち安定したニトリル化合物を製造する方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2020-203581/19/ja
関連する専門分野の例:化学工学(ミスと捕集効率向上の検討、残ガスの再供給量の制御)、反応工学(アンモ酸化反応の反応条件の最適化)
(9)カネカ|開発トレンドと専門性

H01Lが最も多いです。次いでC08J、C08L、C08Gが多いです。
具体例として太陽電池パネルが挙げられます。
従来は透明電極層のパターニングにUVレーザーを使用すると下地の半導体層も損傷してしまうためウェットエッチングなどの複雑な工程が必要でした。
これに対し、深紫外レーザーにより透明電極層のみを選択的に除去して半導体層への影響を低減し、露出部における第1テクスチャ構造の山部の頂点の角度調整により反射損失を低減することで発電効率を向上させ製造工程を簡略化できる太陽電池パネルが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-154445/11/ja
関連する専門分野の例:材料工学(透明導電性酸化物の種類、組成、製膜条件などの検討)、応用物理学(深紫外レーザーと半導体材料の相互作用の解析と加工プロセスの最適化)
従来は結晶シリコン基板に貫通孔を形成すると結晶面に沿って割れが発生しやすくなり太陽電池の強度が低下する問題がありました。
これに対し、貫通孔の配列ラインを結晶面に対して非平行とし、特定の条件を満たすように配置することで結晶シリコン基板の強度低下を抑制することで、貫通孔を有するシースルー型太陽電池においても十分な強度が確保された結晶シリコン系太陽電池が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-135633/11/ja
関連する専門分野の例:材料工学(貫通孔の形状、寸法、配置などが強度に与える影響を解析)、応用物理学(太陽電池の光学的特性を評価し、貫通孔による光透過と発電効率の関係を解析)
具体例としてポリ(3-ヒドロキシアルカノエート)系(P3HA)発泡成形体の製造方法が挙げられます。
従来はP3HA系発泡粒子を型内発泡成形する際に発泡成形体の表面にしわや凹凸が発生したり発泡粒子同士の融着が不十分であったりする問題がありました。
これに対し、架橋構造を有するP3HA系発泡粒子を特定の圧力範囲(0.12MPa~0.19MPa)となるよう加圧処理する工程を含むことにより表面美麗性と融着性を有するP3HA系発泡成形体の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-104389/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(P3HAの種類や分子量、架橋度が発泡粒子の気泡径や嵩密度に与える影響の評価)、材料工学(P3HA系発泡粒子の製造プロセスの設計)
具体例としてシード重合に用いられるスチレン系種樹脂粒子が挙げられます。
従来はスチレン系種樹脂粒子の粒度分布が広く、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の発泡性が低かったり、ポリスチレン系発泡粒子のセルが粗大で美麗性が不十分であったりする問題がありました。
これに対し、可塑剤と造核剤の含有量を特定の範囲に制御し、かつ粒度分布のバラつきを示す粒度分布のバラつき(UT)を規定値以下とすることで粒径が均一で意匠性に優れるポリスチレン系発泡粒子が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-144234/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(可塑剤、造核剤がスチレン系種樹脂粒子のガラス転移温度などの特性に与える影響の評価)、材料工学(製造プロセスが粒度分布やセル密度に与える影響を評価)
具体例としてエポキシ樹脂組成物が挙げられます。
従来はエポキシ樹脂硬化物は破壊靭性が低く、脆性的な性質を示すという問題やビスフェノール化合物を多量に含有する組成物は粘度が高く作業性が悪いという問題がありました。
これに対し、特定のコア層を有するコアシェルポリマー粒子、特定の構造を有する2個のフェノール性水酸基を有する化合物、重付加反応を促進する触媒を配合することにより硬化前は低粘度で、硬化後に耐衝撃剥離接着性を示すエポキシ樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-050820/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(コアシェルポリマー粒子のコア層のジエン系ゴムの種類や含有量が硬化物の耐衝撃性、剥離接着性に与える影響を評価)、材料工学(エポキシ樹脂組成物の製造プロセスの最適化)
(10)クラレ|開発トレンドと専門性

C08Lが最も多いです。次いでC08F、B32Bが多いです。
具体例としてポリビニルアルコール樹脂(PVA)を含む樹脂組成物が挙げられます。
PVAの不純物由来の臭気に対して多量体アルデヒド化合物を添加する方法が知られているが、この方法では着色が発生する場合がありました。
これに対し、PVA、多量体アルデヒド化合物に加え特定量のカリウム化合物を配合することで着色が抑制された樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-142054/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(PVAのけん化度や重合度が着色に与える影響の評価)、材料工学(樹脂組成物の製造プロセスの最適化)
EVOHはガスバリア性に優れるがリサイクル性に課題があり、延伸多層構造体とした際にMD方向(製膜方向)には直進カット性に優れるもののTD方向(MD方向と直角な方向)には直進カット性が劣るという問題もありました。
これに対し、特定の溶融張力を有する2種類のEVOHペレットを特定の割合でドライブレンド、具体的には、溶融張力が10mN以上30mN以下のEVOHペレット(A1)と2mN以上10mN未満のEVOHペレット(A2)を質量比(A1/A2)が20/80以上99/1以下となるように配合することでガスバリア性、直進カット性を向上させた樹脂ペレット が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7137734/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(EVOHの種類、エチレン含有量、ケン化度が溶融張力、ガスバリア性、直進カット性に与える影響の解析)、材料工学(最適な成形条件の検討)
具体例として包装材や絶縁フィルムなどに用いられる1,3,7-オクタトリエン重合体が挙げられます。
従来、1,3,7-オクタトリエンの重合は不純物の影響で分子量分布が広く力学物性に劣るという問題がありました。
これに対し、純度98.0%以上の1,3,7-オクタトリエンを用いて分子量分布を1.80以下に制御し、重量平均分子量を7,000~200,000の範囲にすることで力学物性に優れた重合体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-075867/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(不純物が重合に与える影響の解析)、材料工学(重合体の物性の評価)
具体例として積層体が挙げられます。
従来技術としてガスバリア層とエラストマー層を積層したフィルムが知られていますが、環状にした際の端部の接着性が課題でした。
これに対し、特定の極性基を有するスチレン系エラストマーを特定量含ませたエラストマー層を、ガスバリア層と交互に積層する構成により端部接着性を向上させた積層体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-034426/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(最適な極性基の種類、含有量の探索)、材料工学(積層体のガスバリア性、耐屈曲性、接着性などの評価)
(11)まとめ
出願に係る発明の大部分が化学分野ですが、各種の化合物から電池や半導体に関わる部材までさまざまです。
また、半導体や電池の部材に関わるものあり、電気や機械、物理などの分野も関わってくるものもあります。
開発メインは化学分野で、その他化学的特性を活かし他分野にも関わる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
共同出願人が筆頭出願人(願書の【出願人】の欄の一番上に記載された出願人)になっているものをカウントしました。
また、グループ企業や現存しない企業については、共同出願人としてのカウントから除外している場合があります。
(1)三菱ケミカル

共同出願の例としてポリビニルアルコール系フィルムが挙げられます。
既存、ポリビニルアルコール系フィルムに界面活性剤などを添加することで気泡を低減する試みがなされてきましたが、十分な効果は得られていませんでした。
これに対し、ポリビニルアルコール系樹脂に特定の低級アルコールを微量添加、具体的には、炭素数1~3の1価アルコールを特定の量(1~2000ppm)含有させて特定の分子量とケン化度を有するポリビニルアルコール系樹脂を主成分とし、特定量の可塑剤を含有するフィルムとすることで気泡欠点が低減された偏光膜製造用のポリビニルアルコール系フィルムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2019-119878/11/ja
既存はポリブチレンテレフタレート(PBT)にジブチレングリコールを共重合させることで耐衝撃性を向上させることが知られていますが、十分な効果は得られていませんでした。
これに対し、特定の割合(0.13~1.0モル%)でジブチレングリコールを共重合させることで耐衝撃性を向上させたジブチレングリコール共重合ポリブチレンテレフタレートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-158961/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(ジブチレングリコールの共重合量、分子量などの耐衝撃性影響を解析、最適条件探索)、材料工学(得られたポリマーの物性評価、成形条件の探索)
(2)住友化学

共同出願の例として半導体積層物が挙げられます。
従来、窒化物結晶基板を精度良くかつ再現性良く加熱することが困難でした。
これに対し、特定の吸収係数を満たす窒化物結晶基板を用いることで加熱を精度良く、再現性良くおこなうことができる半導体積層物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2022-140445/11/ja
従来は溶液堆積法によるデバイス半導電層の堆積において層の混合や溶解が起こりデバイスの性能が低下する問題がありました。
これに対し、ノルボルネン基で置換された第1の材料と特定のアリール基で置換された第2の材料によって、熱処理による架橋で安定な層を形成可能になる組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2021-050349/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(第1の材料と第2の材料の混合物の架橋反応の最適化)、材料工学(作成した薄膜の特性評価)
従来、高融点金属を溶解するためにフッ酸が必要であり、毒性や環境負荷、高コストが問題でした。
これに対し、キレート剤、過酸化水素、アンモニア水溶液を混合したアルカリ水溶液を用いることでフッ酸を用いずに高融点金属を溶解させる非フッ酸系水溶液の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2015-131775/11/ja
関連する専門分野の例:無機化学(高融点金属のパーオキシキレートの構造と特性の解析、キレート剤の種類や濃度、過酸化水素の濃度、アルカリ水溶液の種類やpHの最適化)、材料工学(液相プロセスの最適化)
(3)信越化学

共同出願の例として非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法が挙げられます。
従来、ケイ素を負極活物質に用いると充放電時の膨張収縮によりサイクル特性が低下する問題や、リチウム挿入後のケイ素酸化物は耐水性が低くスラリーの安定性が不十分になるという問題もありました。
これに対し、ビフェニル、ターフェニル、これらの誘導体から選ばれる1種以上を含み、溶媒がエーテル系溶媒である溶液を用いることで均一なリチウム挿入を実現し、加熱により活性なリチウム化学種を安定化させる非水電解質二次電池用負極活物質の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2017-179457/19/ja
従来は剥離フィルムに帯電防止性を付与するため導電性高分子が用いられてきたが、剥離性成分との相溶性が低、均一な塗膜を形成することが困難でした。また、剥離性と帯電防止性を両立させることも難しいという問題がありました。
これに対し、ポリアニオンの一部のアニオン基に特定の置換基を有するアミン系化合物を配位または結合させることで導電性高分子と剥離性成分の相溶性を向上させ、均一な塗膜を形成する帯電防止性剥離性組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2014-189597/11/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(π共役系導電性高分子の種類やポリアニオンの種類、アミン系化合物の種類の最適化)、材料化学(剥離フィルムの基材、剥離剤層の厚みや構造の最適化)
(4)三井化学

共同出願の例としてプロピレン系重合体組成物が挙げられます。
従来、プロピレン系重合体組成物を射出成形して得られる成形体は機械物性や成形性に優れるものの、近年、自動車材料の分野においてさらなる高剛性を有する成形体が求められていました。
これに対し、特定の極限粘度を有するプロピレン単独重合体(A)、プロピレン系重合体(B)、プロピレン系重合体(C)を特定の割合で組み合わせることで高剛性な成形体を製造できるプロピレン系重合体組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7284821/15/ja
(5)旭化成

件数が少ないので詳細省略します。
(6)東ソー

共同出願の例としてゼオライトの構造指向剤として用いられるジアンモニウム塩が挙げられます。
従来、小細孔ゼオライトを製造するための有機構造指向剤としてアダマンチルアンモニウム誘導体などが知られていましたが、ジアンモニウム塩であるトリシクロ[7.3.0.03,7]ドデカン-5,11-ジアザニウム塩をゼオライト製造用有機構造指向剤として利用した例はありませんでした。
これに対し所定構造の特定の置換基を有するジアンモニウム塩を用いることでゼオライト、特に小細孔ゼオライト、より好ましくはAFX型ゼオライトの製造を可能にするジアンモニウム塩が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2021-109855/11/ja
(7)レゾナック

新神戸電機は吸収合併により現レゾナックです。
件数が少ないので詳細省略します。
(8)三菱ガス化学

共同出願の例としてポリカーボネート樹脂層とアクリル樹脂層を有する多層体が挙げられます。
従来、ポリカーボネート樹脂の表面硬度の低さから、表面にアクリル樹脂層やハードコート層を設けることが検討されていますが、熱成形時にスプリングバックが発生するという問題がありました。
これに対し、粘度平均分子量が特定範囲のポリカーボネート樹脂とポリカーボネートオリゴマーを特定割合で含むポリカーボネート樹脂組成物をポリカーボネート樹脂層に用いることでスプリングバックを抑制し熱成形性に優れた多層体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7427731/15/ja
(9)カネカ

共同出願の例として内視鏡用バスケット把持具が挙げられます。
従来はバスケット部の最大径部が先端側に位置するため結石をバスケット内に取り込みにくいという問題や胆管内でバスケット部が押し潰され形状が安定しないという問題がありました。
これに対し、バスケット部の最大径部を後端側に配置することで結石の取り込み口を広くして捕捉を容易にし、最大径部を後端側に配置することで外部からの圧力に対する強度を高めてバスケット部の形状を安定させて開き幅が確保することで結石等の回収を容易にする把持具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2014-230580/11/ja
(10)クラレ

共同出願の例として樹脂組成物が挙げられます。
従来、熱可塑性エラストマーを含むゴム組成物のウェットグリップ性能を向上させるためにさまざまな検討がおこなわれてきましたが柔軟性、引裂強度、引張特性、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能のバランスに優れた樹脂組成物を得ることが困難でした。
これに対し、特定の水添ブロック共重合体と架橋剤によって加硫速度、柔軟性、引裂強度、引張特性、ドライグリップ性能、ウェットグリップ性能が改善された樹脂組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2019-026826/11/ja
(11)上記(1)~(10)(共同出願人)のまとめ
各社の総出願件数に比べると、他社を筆頭出願人とする共同出願件数は少ないです。
また、共同出願に係る発明の多くは上記3.5に示した発明の分野と大差はないです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記3で多かった専門分野は以下のとおりです。
・化学系分野、材料系分野(高分子化学、有機化学、無機化学、電気化学、物理化学、化学工学、材料化学、材料工学など)
生成や反応のためのさまざまな条件の検討や評価が求められます。
・その他(電気系、機械系、物理系など)
ただし、これらの専門は表現上のものであり、境界があいまいな場合も多く、単純に大学の専攻名と結びつけられるものではないです(上記3の具体例などから判断する必要があります)。
また、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
化学メーカーという通称のとおり、化学分野に関わる出願が大半を占めており、技術開発も当該分野に関わるものが大半であることが推測されます。
ただ、半導体や電池といった特定の最終製品に関わる出願もそれなりにあり、企業によっては化学分野以外の専門ニーズもあることがわかります。
これらを大学の専攻と関連づけるとしたら、化学、材料(一部、機械、電気、物理)の研究が該当する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年版 東洋経済新報社
<留意事項>
本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
詳細な確認や重要な判断が必要な場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。