今回は医療機器業界に焦点をあてます。
AIなどの発達によって医療機器の進化には目覚ましいものがあります。
ただし、それを医療に使用するのは医療関係者である場合が多いため、外部からは開発の最前線が見えづらい分野かもしれません。
これを特許情報からみていきます。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
今回は、医療機器メーカー5社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。
結論(概要)は以下の通りです。
・情報系分野(情報科学、情報工学、通信工学、ソフトウェア工学、制御工学など)
・電気系分野(電気電子工学、電子工学、電気工学など)
・機械系分野(機械工学、精密工学など)
・材料系分野(材料科学、材料工学など)
・化学・生物・薬学系分野(生物化学、化学工学、有機化学、分析化学、電気化学、生物化学、生物工学、生物学、分子生物学、製剤学、免疫学など)
・物理系分野(応用物理学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 医療機器業界
2.1 医療機器業界とは
ここでは、診断から治療、予防、リハビリまで多岐にわたる機器を開発・提供する業界を意図します。
ただし、医療の対象者や技術的な垣根(医療用技術か医療外の技術か)などについて厳密な区別はしていません。
2.2 サーチ対象
以下の医療機器メーカー5社を対象にしました。
(2)テルモ
(3)ニプロ
(4)シスメックス
(5)キヤノンメディカルシステムズ
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
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モノの開発 |
サービスの開発 |
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個人向け |
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法人向け |
・座標系の自動補正をおこなう内視鏡システム |
・内視鏡の先端部に配設される撮像装置のレンズユニットの製造方法 |
3.2 出願件数の推移
下図は医療機器メーカー5社の特許出願件数の推移です。

上図期間中、前半部分はオリンパスの出願件数が相対的に多いですが、後半減少しています(出願人名に「オリンパス」を含む出願に範囲を広げても同様の傾向でした)。
縦軸のスケールを変えたものをもう一つ示します。

出願件数は企業によって、また、出願年によって大きく異なります。
ただ、いずれの企業も毎年、一定数以上出願しており、そのような出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
オリンパス>キヤノンメディカルシステムズ>テルモ>ニプロ≒シスメックス
だと言えます。
直近5年(2018年から2022年)では、
キヤノンメディカルシステムズ>テルモ>オリンパス>ニプロ>シスメックス
です。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
各種診断装置などがこれに該当します。
オリンパス、テルモ、ニプロ、キヤノンメディカルシステムズがこの分野から多く出願しています。
軟膏用容器などがこれに該当します。
テルモがこの分野から多く出願しています。
ペプチドを含有する医療製剤などがこれに該当します。
ニプロがこの分野から多く出願しています。
カテーテルなどがこれに該当します。
テルモ、ニプロがこの分野から多く出願しています。
微生物の処理などがこれに該当します。
シスメックスがこの分野から多く出願しています。
抗菌活性試験などがこれに該当します。
シスメックスがこの分野から多く出願しています。
材料分析などがこれに該当します。
シスメックス、キヤノンメディカルシステムズがこの分野から多く出願しています。
放射線測定装置の細部などがこれに該当します。
キヤノンメディカルシステムズがこの分野から多く出願しています。
顕微鏡などがこれに該当します。
オリンパスがこの分野から多く出願しています。
手術中の撮影用装置などがこれに該当します。
オリンパスがこの分野から多く出願しています。
3.5 医療機器メーカー5社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)オリンパス|開発トレンドと専門性

上図期間中、A61Bが最も多いです。次いでG02B、H04N、G03Bが多いです。
具体例として座標系の自動補正をおこなう内視鏡システムが挙げられます。
従来の技術では、画像内の被写体が固定されている場合にのみ座標系のずれを補正できましたが、内視鏡画像では処置具などの動体が頻繁に存在するため、正確な補正が困難でした。
これに対し、内視鏡とこれを保持・移動させる移動装置、1つ以上のプロセッサを備え、プロセッサが、まず移動装置の座標系における内視鏡の移動方向を検出し、次に内視鏡によって撮像された画像の中から動体(例えば処置具)の領域を推定し、その動体領域を除いた画像の他の領域に基づいて、被写体の移動方向を検出し、内視鏡の移動方向と被写体の移動方向から内視鏡の座標系と移動装置の座標系との間のずれを算出し、そのずれに基づいて移動装置の座標系を補正することにより、画像内に動体が存在する場合でも内視鏡の実際の移動方向とユーザーが意図する操作方向とのずれを正確に補正する内視鏡システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7637794/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(画像データから動体領域を効率的に特定するための機械学習モデルの設計、動体領域を除いた画像データから、内視鏡の移動に伴う被写体の移動方向を推定するアルゴリズムの設計、検出された複数の移動ベクトルから、ノイズの影響を排除し、内視鏡の真の移動方向を示す被写体移動ベクトルを導出するための統計的処理やフィルタリング手法の検討)、電気電子工学(高解像度かつ高フレームレートな内視鏡画像を安定して取得するための撮像素子の選定およびそれらを駆動する回路の設計、内視鏡の移動装置である電動ホルダのモーター制御回路の設計、角度センサから得られる情報を正確に読み取りノイズを除去してデジタル信号に変換するインターフェース回路の設計)
従来の締結装置付き内視鏡では、体内で組織を縫合する際に内視鏡に対する締結装置の向きを細かく調整する必要がある一方で、挿入時には意図しない接触や視野の遮りを防ぐために回転を固定したいという課題がありました。
これに対して、内視鏡に固定されるシャフトの先端に長手軸周りに回転可能なステープルユニットを備えた締結装置であり、シャフトの基端部に設けられた操作部を操作することでステープルユニットの内視鏡に対する長手軸周りの回転を規制する回転規制機構により、体内に挿入する際は締結装置の回転を固定して安定性を確保し、目的の組織に到達した後は、回転規制を解除して縫合する組織の向きに合わせてステープルユニットを自由に回転させることが可能な締結装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7659788/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ステープルユニットの長手軸周りの回転を可能にする機構の設計、回転規制機構の応力解析と材料選定、締結装置全体の小型化・軽量化を図りながら必要な剛性や強度を維持するための構造設計)、材料科学(ステープルユニットや回転規制機構に用いられる部品について強度、耐久性、耐摩耗性、軽量性といった機械的特性と生体内での安全性を両立させる高分子材料や金属材料の選定、複数の材料を組み合わせる複合材料の適用可能性の検討)
従来の技術では、高周波医療機器の電極は導電性を保つと生体組織が付着しやすく、また付着防止膜は剥がれやすく、剥がれると性能が低下するという問題がありました。
これに対して、シリコーン樹脂と導電性を有する少なくとも1種類のフィラーからなる導電性付着防止膜が形成された電極であり、フィラー同士およびフィラーと電極基材との少なくとも一方が融着接合されて導電路が形成され、被覆膜の電極表面にはフィラーがシリコーン樹脂から露出する露出部と、それ以外のシリコーン樹脂による平滑面が存在し、露出部の平面視の面積はシリコーン樹脂の表面積より小さく設計されており、フィラーは粒径の異なる2種類以上からなり、電極基材の近傍は粒径の小さいフィラーの比率が高くなっていることで、電極基材との密着性を高めつつ全体として導電性と生体組織の付着防止性を両立する高周波医療機器用電極が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7620706/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(さまざまな粒径、形状、材質の導電性フィラーについてシリコーン樹脂との分散性、熱による融着挙動の評価、走査型電子顕微鏡(SEM)やX線回折(XRD)によるフィラーの融着状態や導電路の形成状況、被覆膜の微細構造の解析、最適な材料設計と製造プロセス条件の確立)、電気工学()
具体例として内視鏡の先端部に配設される撮像装置のレンズユニットの製造方法が挙げられます。
従来のウエハレベル製造では、ガラスと樹脂を含むレンズウエハのダイシング時にガラスに欠けが生じ、信頼性が低下する問題がありました。また、レーザ切断では遮光層が切断できませんでした。
これに対して、ガラスウエハに遮光層が配設された光学ウエハを含む積層ウエハを複数のレンズユニットに分割する製造方法であり、まず積層ウエハの主面にダイシングブレードを用いて遮光層を切断する深さまで格子状の溝を形成して遮光層を切断し、次にこの溝に沿ってフィラメンテーションレーザ(高出力レーザ光が媒質中で細く収束し長い距離を伝わる現象を利用したレーザ)を用いたステルスダイシング(レーザを材料内部に集光して改質層を作り後から割って分割する加工方法)をおこなうことにより、ガラスの欠けを防ぎながら遮光層を含むレンズユニットを製造することが可能なレンズユニットの製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7456072/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ブレードダイシングにおける切削抵抗、工具摩耗、振動解析、チッピングやバリの発生を最小限に抑える加工条件の導出、レーザ加工においてレーザ光の吸収、熱伝導、材料の相変化といった現象のシミュレーション、非破壊かつ高効率なステルスダイシングを実現するためのレーザ出力、パルス幅、集光条件などの決定)、応用物理学(フェムト秒レーザがガラスや遮光層といった異なる材料中でどのように振る舞い内部改質やアブレーションを引き起こすのかの解析、レーザの波長、パルスエネルギー、時間特性が加工精度や材料へのダメージに与える影響のモデル化と最適なレーザパラメータの特定、レーザ光の伝播特性や集光特性を最適化するための光学系の設計)
従来の撮像光学系は広い被写界深度を得るためにレンズ枚数が増え、全長が長くなる問題がありました。
これに対して、光学系と撮像素子を有する内視鏡撮像装置であり、この光学系は物体側から順に負の第1レンズ群、第2レンズ群、正の第3レンズ群で構成され、第1レンズ群の最物体側に平凹負レンズを配置することで広画角を確保し、レトロフォーカス型構成(広角レンズで長いバックフォーカス(レンズ後端からセンサーまでの距離)を確保するための光学系)により長いバックフォーカスも実現し、第2レンズ群に配置された絞り又はその隣に位相変調をおこなう光学面が設けられ、この光学面が波面の位相を変化させ、意図的に球面収差を付加することで、被写界深度を広げ、この球面収差はFナンバーが小さくなるほどマイナス方向に大きくなる特性を持ち、第1レンズ面における軸上光束と軸外光束の直径に関する特定の条件式(D2×cosα<D1、D1<D2、65°≦α)を満たすことで、軸外での収差量を抑制しつつ被写界深度を短縮し、製造誤差による画像の劣化も抑えることができて、小型で広画角かつ広被写界深度の撮像が可能な内視鏡撮像装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7501985/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(像素子(CMOSやCCD)の駆動回路設計、アナログ-デジタル変換器の選定と最適化、位相変調によって生じる画像のぼけを補正するためのデジタル画像処理アルゴリズムの設計)、情報工学(光学系からの画像データに対する被写界深度を拡張するための画像復元アルゴリズムの設計、さまざまな撮影条件下(異なる距離、明るさなど)で画像が鮮明に復元されるようアルゴリズムのパラメータの最適化)
具体例として撮像装置が挙げられます。
従来のCMOS撮像装置は画素小型化で電荷蓄積量が減りS/N比が劣化し、チャージポンプによる昇圧回路では大型化するという問題がありました。
これに対して、行列状に配置された複数の画素と、電圧生成回路および出力回路で構成された撮像しであり、各画素は光電変換を行うフォトダイオードと、電荷を蓄積するフローティングディフュージョン(電荷を電圧に変換する蓄積部)、これらを制御するリセットトランジスタ(電荷蓄積ノードを初期化するスイッチ)および転送トランジスタ(フォトダイオードの電荷を蓄積ノードに送るスイッチ)を備え、電圧生成回路は大小2つの容量素子とスイッチを組み合わせ、チャージポンプに頼らずに電源電圧よりも高い制御電圧を生成し、この制御電圧をリセットトランジスタまたは転送トランジスタのゲート端子に供給することで、トランジスタが確実にオンになり、画素の電荷蓄積能力を向上させて信号のS/N比劣化を抑制し、この電圧生成回路を複数の画素行で共通利用することにより、チップ面積の増加を抑えつつ画質の向上を実現する撮像装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7419500/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(フォトダイオードの量子効率と暗電流特性の評価、フローティングディフュージョンの容量値とリセット電圧の関係の解析および最大電荷蓄積量の決定、電圧生成回路における容量素子の選定、スイッチング周波数の最適化、トランジスタのサイズ設計)、材料工学(フォトダイオードの光吸収効率を最大化する薄膜材料の選定、トランジスタのゲート絶縁膜の欠陥密度低減や信頼性向上のためのプロセス(熱処理条件など)の最適化)
従来の無線画像伝送システムでは、画像データの再送処理がリアルタイム表示のための通信帯域を圧迫し、表示の乱れやデータ欠落が生じるという問題がありました。
これに対して、送信装置から送られてくるシーケンス番号付きの画像データを受信する受信装置であり、受信した画像データのシーケンス番号をメモリに記録し、モニタへ出力する一方で、記録されたシーケンス番号から未受信の画像データ(再送候補)を特定し、同時に無線通信機の物理レートと画像データの通信レートに基づき、再送可能なデータ数の上限(再送上限数)を算出し、この再送上限数以下で再送許容数を設定し、特定された再送候補の数が再送許容数を超えた場合でもリアルタイム表示への影響を避けるため、再送許容数分の再送のみを送信装置に要求し、この再送要求処理はフレームデータの送信が終わってから次のフレームデータの送信が始まるまでのブランキング期間に実行されることで、リアルタイム表示に必要な通信が優先され、再送処理がその帯域を圧迫することなく効率的なデータ再送と画質維持を両立する受信装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7286868/15/ja
関連する専門分野の例:通信工学(無線LAN標準におけるMAC層の動作の分析、パケット再送メカニズムとの連携の最適化、異なる無線環境下でのシミュレーションや実測および再送上限数算出式のパラメータの調整、再送許容数をリアルタイムで調整する適応型アルゴリズムの設計)、ソフトウェア工学(画像データの受信、欠損検出、再送要求、表示処理といった各機能モジュールの連携がスムーズにおこなわれるようなソフトウェアアーキテクチャの設計、リアルタイム性を要求される画像表示処理とバックグラウンドで動作する再送制御処理の間でシステムリソースの競合を最小限に抑えるためのスケジューリングアルゴリズムの設計、再送要求のタイミングをブランキング期間に最適化するためのイベント駆動型プログラミングモデルの設計)
具体例としてデジタルズームと連動する観察装置が挙げられます。
従来の観察装置は光学ズームでは大型化や高速切り替えが難しく、デジタルズームでは光学系との不適合により画質維持が困難でした。
これに対して、物体からの光を結像する結像光学系と、その射出側の開口数を変更する手段、像を画像信号に変換する検出手段(カメラ)を備えた観察装置であり、検出手段で得られた画像信号の抽出範囲を電子的に変更することで観察範囲を調整する観察範囲変更手段(デジタルズーム機能)と、その変更された観察範囲(具体的には、表示手段にピクセル等倍表示されるように擬似的に調整された画素ピッチ)に応じて開口数変更手段を自動で制御する制御手段が組み合わされ、観察範囲が狭く(高倍率に)なるほど光学系の開口数を大きくして解像度を確保し、観察範囲が広く(低倍率に)なるほど開口数を小さくして収差補正を容易にすることで、機械的な光学ズーム機構に頼らずデジタルズームの利点を活かしつつ画質の劣化を抑制し、広範な倍率で高品質な観察像を提供できる観察装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6962714/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(撮像素子の駆動回路やアナログ・デジタル変換(ADC)回路の設計、開口数変更手段を精密に制御するためのモータドライバ回路や位置検出回路の設計、画像信号の高速データ伝送インターフェースの設計、膨大な画像データを効率的に処理するシステムの構築)、情報工学(検出手段から送られる画像データに対して指示された観察範囲を高速に抽出しピクセル等倍表示に対応できるよう画素ピッチを擬似的に調整する画像処理アルゴリズムの設計、開口数制御との連携に関するソフトウェアの設計)
(2)テルモ|開発トレンドと専門性

A61Mが最も多いです。次いでA61B、A61F、A61J、Ⅽ12Mが多いです。
具体例として腹膜透析の排液の検査デバイスが挙げられます。
従来の腹膜透析では、排液中の成分から患者の症状を知る手段が限られており、感染リスクを伴う誤接続の懸念がありました。
これに対して、腹膜透析で排出された使用済み透析液(排液)を検査するための検査デバイスであり、腹膜透析デバイスの透析コネクタにのみ接続でき、患者のカテーテルには誤って接続できない形状のコネクタ部を備え、コネクタ部から導入された排液はデバイス本体内の排液流路を流れ、そこに設けられた検出部で所定の成分が検出され、検出部には例えば排液中の白血球などの特定成分に反応して色が変わる試薬部が設けられ、外部から視認できるように透明な保持部によって保持されており、患者は自宅などで簡便に排液検査をおこない、腹膜炎などの症状を早期に把握することが可能な検査デバイスが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7687925/15/ja
関連する専門分野の例:生物化学(排液中の白血球エステラーゼなどの酵素活性を検出するために酵素と特異的に結合して発色や蛍光を伴う新規な基質分子の設計と合成、試薬が排液中の他のタンパク質や代謝物からの干渉を受けずにターゲット生体分子のみに選択的に反応する条件の探索、試薬が長期保存や輸送条件下でも生体分子としての活性や安定性を維持できるよう保存液の組成や乾燥方法の検討)、機械工学(排液が検出部に効率的かつ確実に流入し空気の滞留なくスムーズに流れるためのマイクロ流路の設計、誤接続を防ぐコネクタ部の成形、製品の小型化、量産性、コスト効率を考慮したデバイス全体の構造設計)
従来のチューブ接合装置では、チューブ内に残留した異物が切断部材に付着し、接合不良やピンホール発生の原因となることが問題でした。
これに対して、医療用チューブ(第1チューブと第2チューブ)を切断し、切断した端部を入れ替えて接合する際に切断部材(ウェハー)に付着する異物を拭き取って除去する除去部が設けられたチューブ接合装置であり、チューブはチューブ保持部に保持され、加熱されたウェハーによって溶断することにより、異物が接合部に混入することによる接合強度の低下やピンホールの発生を防止するチューブ接合装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7688553/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(塩化ビニル等の樹脂材料の分子構造、添加剤、および結晶構造が溶着性に与える影響の評価および最適なチューブ材料の選定、切断部材の表面に異物が付着しにくいよう表面改質技術(例:DLCコーティング、フッ素系コーティング)の検討、除去部材として使用する不織布の繊維構造、密度、吸着特性の分析および繊維の脱落や破れが生じにくい材料の選定)、機械工学(チューブが確実に固定され切断時に位置ずれが生じないようチューブ保持部のクランプ機構やガイド機構の設計、切断部材がチューブの最適な位置を適切な速度で通過するような駆動機構の設計、チューブの切断端部を入れ替える回転機構の設計)
従来のスタイレットは先端の柔軟性と基端の硬度を両立させようとすると、材料の接合部でキンクや破損が生じたり、ガイドワイヤーの挿入が困難になったりする問題がありました。
これに対して、軸方向に伸びる外層チューブと、その内側に配置され外層チューブより硬い中空の内層チューブの二重構造であり、内層チューブの先端部内周に基端側に向かって径が細くなる縮径部が設けられ、外層チューブの内周面には径方向外側に凹む凹部があり、内層チューブの先端部がこの凹部の先端部に突き当たるように固定されていることにより、先端に柔軟性を持たせつつ基端側で必要な硬度を維持でき、生体内にカテーテルを挿入する際のキンクや破損を防ぎ、また、内層チューブの縮径部と外層チューブの凹部によってガイドワイヤーがスムーズにルーメンを通過できるためカテーテル全体の挿入性を向上させたスタイレットが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7157283/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(スタイレットの外層チューブと内層チューブに異なるポリマー材料を適用いおける接着性、熱的特性、機械的特性の評価、血管内での摩擦抵抗を低減して挿入性を向上させるためのチューブ表面に施す親水性コーティングや潤滑剤の組成の設計、内層チューブの縮径部の成形に適した熱可塑性樹脂やエラストマーの選定および射出成形や押し出し成形などの加工条件の最適化)、機械工学(異なるチューブ径、肉厚および接合部の形状が全体の柔軟性や剛性にどのように影響するかのシミュレーション、内層チューブの縮径部と外層チューブの凹部の最適なテーパー角度や長さの設計、スタイレットがカテーテルに挿入された際にカテーテルの拡張部が適切に伸長して挿入後にスムーズに元の形状に戻るための寸法関係の設計)
具体例として管腔器官の画像診断において診断に必要な解剖学的情報を提示するコンピュータプログラムが挙げられます。
従来の管腔器官内イメージングでは、ノイズや断線などで部分的に画質が低下した際、オペレーターが全ての画像を確認するのは非常に煩雑であり、問題箇所を特定することが困難でした。
これに対して、カテーテルに搭載されたイメージングデバイスが管腔器官を螺旋状に走査して取得した複数の断層画像を分析するコンピュータプログラムであり、まず、各断層画像において検出に問題がないかを判断し、問題がないと判断された画像から管腔器官の解剖学的特徴(例:内腔径やプラーク面積)を示すデータを算出し、管腔器官の長軸方向に対するこれらの解剖学的特徴データの分布をグラフなどで表示し、この表示された分布上に走査中に問題が発生したと判断された断層画像に対応する箇所を視覚的なオブジェクト(例:アイコンや強調表示)で明確に示すことにより、医療従事者が全体的な解剖学的特徴の傾向を把握しつつ同時に画像の欠損や問題発生箇所を容易に認識できるようになるコンピュータプログラムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7686525/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(イメージングデバイスから得られる信号データの前処理手法(ノイズ除去、アーチファクト補正など)の検討、画質不良の有無を判定する画像分類モデルや管腔器官の解剖学的特徴を自動でセグメンテーションする画像セグメンテーションモデルの設計、問題発生箇所における解剖学的特徴データの補間や劣化した画像から健全な画像を生成する画像生成モデルの設計)、機械工学(イメージングデバイス(超音波振動子や光学素子など)をカテーテル先端で高精度に回転・軸方向移動させるための小型駆動機構の設計、カテーテルが血管内をスムーズに挿入・追従できるようなカテーテルチューブとイメージングデバイスの剛性分布、柔軟性、表面摩擦特性を考慮した材料選定と構造設計)
従来の穿刺針では、超音波反射構造が針の外表面にあると穿刺抵抗が増えたり、内表面にあると強度が低下したりするという問題がありました。
これに対して、先端に刃面を持つ筒状の筒部(外針)と、その筒部に挿入される内挿体を備えた穿刺針であり、超音波を反射するための超音波反射構造がこの内挿体の一部である平面部に形成されており、この超音波反射構造は筒部の内部に収められつつも筒部の先端開口から外部に露出していることにより、穿刺針の機械的強度を損なうことなく超音波診断装置で針の先端位置を明確に視認でき、内挿体が筒部を内側から支持することで針全体の強度が向上し、穿刺時の抵抗や破損リスクを低減できる穿刺針が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7686520/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(筒部や内挿体の材料として金属材料や樹脂材料などの中からそれぞれの部位に求められる剛性、柔軟性、耐久性、生体適合性を満たす最適なものを評価・選定、内挿体の平面部に所望の超音波反射構造(コーナーキューブ、凹凸パターンなど)を形成するための最適な加工条件の確立)、機械工学(超音波反射構造が外部に露出する開口部からの超音波の入射・反射効率を最大化するための幾何学的形状と配置の設計、内挿体が筒部の内部で適切に支持され必要に応じて抜去可能な嵌合公差や固定機構の設計、穿刺時の抵抗を最小限に抑えつつ針の曲がりや破損を防ぐための筒部や内挿体の肉厚、材料特性、全体構造の応力解析および最適な強度設計の導出)
具体例として生体内留置用ステントが挙げられます。
従来のステントは縮径時(挿入時)に連結部が邪魔をして細くしにくく、特に細径化が必要な脳血管などへの適用が困難でした。
これに対して、単一の線状構成要素からなる複数の環状体が軸方向に連結された構造を有するステントであり、ステント中央部の環状体において一端側屈曲部から軸方向に平行に延びる軸方向線状部と、そこから周方向に曲がる折曲部が設けられており、この軸方向線状部の終端と隣接する環状体の一端側頂点とが連結部でつながっていることにより、連結部が従来の十字交差構造ではなく、軸方向にずれた2つの分岐点として機能してステントを圧縮する際に各部が干渉しにくくなり細径化を実現する生体内留置用ステントが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7617247/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(Ti-Ni合金などの超弾性合金の組成の調整による生体温度で最適な超弾性特性を発揮する材料の探索、冷間加工率や熱処理条件の制御によるステントの座屈強度、復元応力および疲労特性の改善、複雑な環状体、軸方向線状部、折曲部および連結部の形状を高精度に形成するためのプロセスの確立)、機械工学(ステントの各環状体の形状、軸方向線状部、折曲部、連結部の幾何学的パラメータの最適化および縮径時の圧縮性(小径化率)と拡張時の径方向支持力を最大化する設計、軸方向剛性と径方向柔軟性のバランスを考慮した構造設計、ステントを目的部位まで正確に運搬・留置するためのシース、内管、およびステント保持機構を含むデリバリーシステム全体の設計)
具体例として医療用具と薬剤容器との接続に用いられる医療用デバイスが挙げられます。
従来の薬剤移送器具は安全性が不十分で汚染や無菌性維持に問題がありました。
これに対して、医療用具接続部と薬剤容器接続部を備え、これらを連通する流路開閉機構を有する医療用デバイスであり、医療用具の回動に連動して流路を切り替える回動部を備え、非連通状態から所定方向に回動させることで薬剤容器側流路と医療用具側流路を連通させ、連通位置への到達を規制する回動規制部により過度な回動を防ぎ、非連通状態からの回動に抵抗を付与する回動抵抗付与部により、医療用具の確実な装着後にのみ流路が開通する操作性と安全性を両立する医療用デバイスが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7594513/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(デバイスのプラスチック部品の成形性と耐久性の評価および適切な材料の選定、回動抵抗付与部のばね定数や摩擦係数などの最適化および操作時のクリック感や回動トルクの評価、流路の液密性を確保するためのパッキン構造の設計)、材料工学(薬液との接触部(例: 流路の内壁、パッキン)における材料からの溶出物試験の実施、滅菌方法が材料の物性(強度、柔軟性、色調など)に与える影響の評価、デバイス全体または構成部品の細胞毒性、感作性、発熱性などの生物学的安全性試験の計画・実施)
具体例として細胞に物質を導入する物質導入装置が挙げられます。
従来の装置では、処理量に応じたエレクトロポレーション(電気の力で細胞に一時的な穴を開け、物質を導入する技術)条件の再設定や、多数のウェルへの細胞懸濁液の注入・回収が煩雑でした。
これに対して、細胞と導入物質を含む細胞懸濁液を収容する袋状の可撓性のある収容部と、この収容部を挟み込む第1電極部と第2電極部、電圧を印加する電圧印加部から構成された装置であり、電極部の少なくとも一方に枠が設けられており、この枠が電極部で収容部を挟み込んだ際に可撓性のある収容部外面を均一に押圧し、収容空間を複数の均一な小室に区画することにより、従来の確立されたエレクトロポレーション条件をそのまま適用できる小室が多数形成され、大量の細胞懸濁液を一度に処理できるため、再条件設定の手間や煩雑な操作を排除し、処理の有用性が向上した物質導入装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7633847/15/ja
関連する専門分野の例:生物工学(小室におけるエレクトロポレーションの導入効率と細胞毒性の評価、小室のサイズや形状のバリエーションが細胞の形態変化、細胞膜の穿孔状態、遺伝子発現量などに及ぼす影響の解析、電極に印加する電圧波形(パルス幅、強度、回数)と小室の物理的特性の組み合わせが最適な物質導入条件となるか否かの検証)、電子工学(各小室に印加される電界強度分布をシミュレーションおよび均一性を確保するための電極配置や枠構造の最適化、高電圧パルスを正確かつ短時間に生成・印加できる電源回路の設計およびその波形特性の評価、細胞懸濁液の量に応じた最適な処理時間と効率を実現するためのシステムの構築)
(3)ニプロ|開発トレンドと専門性

A61Mが最も多いです。次いでA61K、A61B、A61J、A61F、G01Nが多いです。
具体例として透析室の加湿システムが挙げられます。
従来の加湿器では水道水の使用によりミネラルが堆積し、定期的なメンテナンスが頻繁に必要でした。
これに対して、RO水(逆浸透膜処理水)を製造するRO水製造装置と、そこから透析装置へRO水を供給する循環・供給流路を備えたシステムであり、循環流路から分岐したRO水を透析室に設置された加湿部に供給し、これを気化させて透析室を加湿することで、(RO水はミネラル分が極めて少ないため)加湿器内部でのミネラル堆積が抑制され、清掃やフィルター交換といったメンテナンスの頻度を低減した透析室加湿システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7543951/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(RO水が循環流路、供給流路、分岐流路、加湿部へ効率的に送られるためのポンプの選定、配管径、バルブの配置などの設計、加湿部でのRO水の気化効率を最大化するための熱交換器や噴霧ノズルの設計、必要な加湿量に応じた熱量計算や送風システムの検討)、化学工学(RO水製造装置から加湿部までの流路における微量ミネラル成分の残留と析出傾向の分析および加湿部内部材へのスケール付着メカニズムの解明、RO水が気化する際の水滴サイズ分布や空気中への均一な拡散性の評価、循環流路や加湿部における微生物(細菌、真菌など)の増殖リスクの評価)
電解質とブドウ糖のような非電解質を同時に含む溶液の調製では、非電解質の溶解特性(粒径や温度依存性)が電気伝導率測定に影響し、目標濃度から外れる問題がありました。
これに対して、溶質を投入する駆動ユニットと、その駆動を制御する制御ユニットから構成された溶液調整装置であり、溶液のブドウ糖濃度が第一閾値に達した時点での電気伝導率(特定電気伝導率)を測定し、その値に基づいて補正値を算出するもので、この補正値はブドウ糖の粒径の違いによる溶解速度の差異や温度による溶解度の変化が電気伝導率に与える影響を相殺するように機能し、補正を適用した電気伝導率が第二閾値に到達した時点での溶質の投入速度の速い第一モードから遅い第二モードへの切り替えにより、非電解質の溶解特性に左右されず、所望の濃度の溶液調製が可能になる溶液調整装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7548065/15/ja
関連する専門分野の例:化学工学(異なる粒径のブドウ糖と電解質についてさまざまな温度条件下で水に溶解させた際の溶解速度、平衡溶解度、溶液の電気伝導率変化の測定およびデータに基づく数学的モデルの構築、構築したモデルによるブドウ糖濃度と電気伝導率の相関関係の評価および非電解質の溶解特性が電気伝導率測定に与える誤差を予測できる補正関数やルックアップテーブルの作成)、制御工学(グルコースセンサーと電気伝導率計からのリアルタイムデータをもとにしたPID制御などのフィードバック制御アルゴリズムの設計、ブドウ糖濃度の第一閾値到達および補正後の電気伝導率の第二閾値到達を正確に検出するための信号処理(ノイズ除去、平滑化など)と閾値判定ロジックの設計、溶質投入モード(第一モード、第二モード)の切り替えタイミング、駆動ユニットの停止タイミングを決定するための状態遷移ロジックの設計)
従来のシリンジポンプは画一的な閉塞検出基準しかなく、シリンジごとの抵抗差で誤警報や検出遅れが生じる問題がありました
これに対して、シリンジを支持する支持部、シリンジの表示要素から情報を読み取る読取部、制御部を備えたシリンジポンプであり、シリンジのIDや充填された薬剤の種類といった情報を読取部が取得し、それを基に1つ以上のデータベースから当該シリンジに特化した警告用圧力値を取得するもので、第1データベースがシリンジIDとシリンジに関する条件(薬剤の種類など)を関連付け、第2データベースがその条件と警告用圧力値を関連付け、薬剤の流路内の圧力がこの取得された警告用圧力値以上になった場合にのみ警告が出力されるため、シリンジの個体差や薬剤の粘性などによる流路抵抗の違いを考慮した適切なタイミングでの閉塞検出が可能なシリンジポンプが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7615751/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(シリンジの内圧を検出するトランスデューサやシリンジの表示要素(RFIDタグなど)から情報を読み取るリーダライターの信号特性の解析およびノイズ除去や信号増幅のための電子回路の設計、制御部内のマイクロコントローラやプロセッサの選定、データベースとのデータ通信プロトコルやインターフェースの設計)、材料科学(異なる素材や形状を持つガスケットの摺動抵抗特性の薬剤(粘性、pHなど)との組み合わせでの測定および流路圧力上昇との相関関係の解明、シリンジバレル内側のコーティング剤の種類が薬剤の流動抵抗やガスケットとの摩擦に与える影響の評価および薬剤の種類に応じた最適なコーティング技術の探索)
具体例として経口フィルム製剤の製造方法が挙げられます。
微量投与の高力価薬物(ごく微量で強い薬効を示す薬物)において、従来の固形製剤では含量均一性の確保が困難であり、経口フィルム剤では均一性や安定性に課題がありました。
これに対して、ナルフラフィン塩酸塩を有効成分とする経口フィルム製剤の製造方法であり、まずヒドロキシプロピルセルロースとヒプロメロースの混合物(フィルム形成ポリマー)と抗酸化剤を溶媒に溶解した溶液を調製し、同時に、ナルフラフィン塩酸塩も別の溶媒に溶解し、次にこれら二つの溶液を練合(混合)することで、有効成分が均一に分散した薬液を得て、この薬液を一定の厚さに展延し、その後乾燥させるという溶液状態を経る製造工程により、ナルフラフィン塩酸塩がフィルム中に均一に分散され、亜硫酸水素塩などの抗酸化剤の添加により、酸化に弱い薬物の安定性も向上した経口フィルム製剤の製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7347474/15/ja
関連する専門分野の例:製剤学(ナルフラフィン塩酸塩とヒドロキシプロピルセルロース、ヒプロメロース、抗酸化剤、可塑剤などの各成分の適合性(相互作用、溶解性、安定性)の評価および最適な配合比の決定、練合工程における混合条件や展延時の塗布厚み、乾燥条件がフィルムの均一性、機械的強度、崩壊性、薬物放出性に与える影響の検討)、有機化学(ナルフラフィン塩酸塩の酸化による分解経路の同定、生成分解物の化学構造について質量分析法や核磁気共鳴分光法などを用いた解析、選択された抗酸化剤がナルフラフィン塩酸塩の酸化を抑制する化学的メカニズムの解明およびその効果を最大化するための条件(濃度、共存物質など)の検討)
具体例として心房中隔などの体組織に開存孔を形成する体組織穿孔用デバイスが挙げられます。
従来のデバイスはチューブ先端の開口部が閉塞されやすく、流体の放出方向が制限されたり、体腔内からの流体吸引や圧力検出の精度が不安定になる問題がありました。
これに対して、チューブ状の本体部分と、その先端から離れて配置された穿孔用頭部を備えたデバイスであり、本体部分の先端にルーメンが常に開放状態に維持される先端開口部が設けられており、この開放状態を維持しつつ本体部分と穿孔用頭部を繋ぐのが連結部材であり、この連結部材は穿孔用頭部とは別の部材で構成され、それぞれに最適な材料選定や加工が可能となり、連結部材が本体部分のルーメン内に挿入されて複数本の線状体で構成されることでルーメンの連通状態を確保でき、体腔内への造影剤や生理食塩水の安定した放出および体腔内圧の正確な検出が可能な体組織穿孔用デバイスが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7674700/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(チューブ状の本体部分、連結部材、穿孔用頭部といった各部品の構造設計、体組織への挿入時や穿孔時の応力分布の評価および最適な厚みや材質の決定、細径の連結部材を複数本撚り合わせる際の製造工程における張力、撚りピッチ、熱処理条件などの最適化)、電子工学(穿孔用頭部に高周波エネルギーを供給するための高周波発振回路とマッチング回路の設計、ルーメン内の圧力を高精度で検出する圧力センサーの選定・実装および得られたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターを含むデータ取得回路の設計)
具体例としてバイアルとシリンジとを連結する連結器具が挙げられます。
従来の連結器具はシリンジの着脱に複雑なねじ込み操作が必要で、操作に手間がかかり部材の製造も困難でした。
これに対して、ロックカラー付きシリンジが装着されるシリンジ装着部と、バイアルが装着されるバイアル装着部、両者を繋ぐ両頭針を備えた連結器具であり、シリンジのノズル部を覆うキャップはロックカラーと係合するキャップホルダに組み込まれており、その係合状態は保持機構によって維持され、この保持機構によりシリンジの不意な脱落が防止され、シリンジとバイアルが両頭針によって連通状態となる操作(接近移動)に連動して保持機構による係合状態が自動的に解除される解除機構が設けられていることにより、シリンジの離脱時に回転操作が不要となり、引き抜くだけで容易にシリンジを取り外せるようになり、従来の複雑なねじ構造が不要となり、器具の構造が簡略化されて製造が容易になる連結器具が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7553753/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(ロックカラー、キャップ、キャップホルダなどのプラスチック部品について生体適合性、強度、耐薬品性、成形性などを考慮したポリマー材料の選定、射出成形条件の最適化、成形後の残留応力評価、両頭針や連結部材に用いられる金属材料について耐食性、剛性、生体適合性の評価)、機械工学(シリンジとバイアルの連結・解除操作における人間の力学的負荷の測定・分析、医療従事者がより少ない力でより直感的に操作できるような機構設計)
具体例としてステントが挙げられます。
従来のステントは、再狭窄防止のために気孔を小さくすると拡張力が不足し、また近年の二重スリーブ構造では層間剥離による血流阻害や血栓形成のリスクがありました。
これに対して、拡張力の小さい素線と拡張力の大きい素線を組み合わせて構成された単一層の周壁を有するステントであり、拡張力の小さい素線は互いに逆方向の螺旋状に複数本配置され、かつ周壁を構成する層の内外で織り重なるように構成され、拡張力の大きい素線は少なくとも一方向に螺旋状に少なくとも1本配置され、拡張力の小さい素線に対して周壁を構成する層の内外で織り重なるように織成されて周壁が単一の層で構成され、拡張力の大きい素線のみによって形成されるリード角が拡張力の小さい素線のみによって形成されるリード角よりも大きいため、拡張力の小さい素線によって形成される気孔は小さくなり、狭窄部からの組織の再突出を防ぎ、また、拡張力の大きい素線の拡張力が従来の二重層構造で懸念された層間剥離の問題も解消するステントが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6955679/15/ja
関連する専門分野の例:材料工学(ステントの素線に最適な材料の選定および機械的特性、生体適合性、形状記憶特性(例: Ni-Ti合金)の評価・改善、異なる拡張力を持つ素線の素材の組み合わせがステント全体の性能に与える影響の解析)、機械工学(素線の線径、本数、ピッチ、リード角、織り方(平織、綾織、編組など)といった構造パラメータによるシミュレーション解析およびステントの縮径率、拡張時のラジアル強度、軸方向の柔軟性の評価、シースからの放出時にステントが均一に拡張し特定の箇所に応力が集中しないような素線の配置や織り方の設計)
具体例として血液試料中の測定対象物を測定する乾燥型免疫比濁法デバイスが挙げられます。
従来の免疫比濁法では、非特異反応により測定値が不正確になる問題があり、これを防ぐための試薬の改善が求められていました。
これに対して、測定対象物に対する特異的結合物質(例えば抗体)を感作した担体粒子と、カゼインまたはその塩を含む免疫比濁法測定用試薬が塗布されたデバイスであり、この試薬は測定に使用されるまで乾燥状態で保持されており、デバイスには特異的結合物質が固定化されはおらず、血液試料を被検試料として供給すると乾燥試薬が溶解・混合され、被検試料中の測定対象物と担体粒子が特異的に結合し、複合凝集物が形成され、カゼインまたはその塩が非特異反応を抑制して測定精度を向上させる免疫比濁法デバイスが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7658077/15/ja
関連する専門分野の例:分析化学(カゼインやその塩の濃度、担体粒子の種類と平均粒子径、特異的結合物質の感作量および試薬に含まれる糖類や界面活性剤の種類と濃度が非特異反応の抑制効果やシグナル強度に与える影響の評価、反応時間、温度、pHなどの反応条件の最適化、比濁測定における適切な測定波長の選定および散乱光や吸光度変化の経時的データ解析による定量性の高い測定システムの構築)、精密工学(血液試料を正確に供給して燥試薬と効率的に混合させるためのマイクロ流路構造や反応チャンバーの設計、乾燥試薬をデバイス表面に均一かつ安定に塗布するための精密塗布技術や乾燥プロセスの検討、試薬層の厚みや均一性が測定精度に与える影響の評価および最適な製造条件の確立)
(4)シスメックス|開発トレンドと専門性

G01Nが最も多いです。次いでⅭ12Q、Ⅽ12N、G16H、Ⅽ07Kが多いです。
具体例として検体容器を保持するラックを有する検体検査システムが挙げられます。
従来のシステムでは、空のラックを補充する作業がオペレータにとって煩雑でした。
これに対して、検体並び替え装置、検体処理装置、検体保管装置、これらを繋ぐ搬送装置および搬送制御装置で構成さたシステムであり、検体並び替え装置が空のラックを貯留するラック貯留部を持ち、搬送制御装置が検体並び替え装置と検体保管装置間でラックを双方向に搬送制御するもので、検体並び替え装置で処理された検体容器入りのラックは検体保管装置へ送られ、検体容器が保管具に移し替えられて空になったラックは検体保管装置から検体並び替え装置のラック貯留部へ自動で戻されることにより、空ラックの補充作業が不要となり、オペレータの作業負担を軽減する検体検査システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7407211/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(搬送装置のモーターを正確に制御するためのモータードライバー回路の設計、ラックや検体容器の位置を検出する各種センサーからの信号を正確に読み取りノイズを除去するアナログ・デジタル変換回路の設計、システム全体の安定した電力供給を確保するための電源回路設計、装置間のデータ通信をおこなうための通信インターフェース回路の設計)、情報科学(搬送制御装置の制御ソフトウェアの設計、各装置から送られるラックや検体容器の現在の状態をリアルタイムで把握して最適な搬送経路を決定するアルゴリズムの設計、検体IDやラックID、処理履歴などの膨大なデータを効率的に管理するためのデータベース構造の設計)
従来の技術では、冷却保管された精度管理検体を適切に攪拌せずに測定すると、検体成分が均一に分散されず、正しい測定結果が得られないという問題がありました。
これに対して、冷却保管された精度管理検体に対して、被検者検体を攪拌する際の第2動作モードよりも強化された第1動作モードで攪拌をおこなう測定方法であり、第1動作モードでは攪拌回数を増やす、転倒速度を速める、転倒角度の振り幅を大きくする、繰り返し衝撃を与える、攪拌途中で容器の姿勢を変更するといったパラメータ調整により低温保管による成分の凝集や沈殿を解消し、検体内の成分を均一に分散させることにより、精度管理検体の測定結果の信頼性を向上させる精度管理検体測定方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7262558/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(容器を把持して転倒攪拌をおこなう攪拌機構の強度計算と機構設計、磁石と金属部材による衝撃付与メカニズムの最適な配置と材料選定、搬送装置や移送部におけるラックや容器の正確な位置決めと搬送を実現する機構の設計、システム全体の熱対策(加温部、保冷部など)に関する熱伝導解析)、制御工学(攪拌機構のモータ制御(ステッピングモータの速度・位置制御など)アルゴリズムの設計、バーコードリーダーからの検体ID情報に基づき精度管理検体と被検者検体を識別して適切な攪拌モード(第1動作モード、第2動作モード)へ自動的に切り替えるシーケンス制御プログラムの設計)
従来のイオンセンサ、特に内部液を用いたものはメンテナンスが煩雑で大量生産に向かないという問題がありました。また、内部液を用いない全固体型イオンセンサは大量生産には適するものの、電位のばらつきが大きいという課題を抱えていました。
これに対して、イオン選択性電極と参照電極のいずれも、電気化学的に安定なインサーション材料とイオン伝導性セラミックスが組み合わされた内部固体層を核とするイオンセンサであり、 イオン選択性電極の内部固体層上には目的イオンに選択的に応答するイオン選択膜が、参照電極の内部固体層上には電位基準点となるイオン液体含有膜がそれぞれ配置され、電位の安定性を高めて測定時のばらつきを低減するイオンセンサが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7685381/15/ja
関連する専門分野の例:電気化学(インサーション材料とイオン伝導性セラミックスが形成する界面でのイオンおよび電子伝導パスの解明、それらの相互作用が電極電位の安定性に与える影響の評価、電極材料の電子状態やバンド構造の予測および安定した電位応答に寄与する因子の特定、溶液中の妨害イオンが存在する環境下での各電極の選択応答性の解析)、材料科学(インサーション材料およびイオン伝導性セラミックスの合成法の検討、粒径、結晶性、表面積などの物性の制御による内部固体層におけるイオン伝導パスの効率の最大化、内部固体層、イオン選択膜、イオン液体含有膜の積層プロセスの最適化)
具体例として細胞の分化状態を非破壊的に評価する方法が挙げられます。
再生医療において、iPS細胞などの多能性幹細胞を目的の細胞へ分化させる際、未分化な幹細胞が残存すると腫瘍形成のリスクがあるため、分化状態の正確な評価が不可欠です。しかし、既存の評価方法には細胞を消費する破壊検査であったり、検出感度が不十分であったりする問題がありました。
これに対して、多能性幹細胞が培養上清中に特異的にmiR302/367クラスターのmiRNAを放出する知見に基づき、細胞培養液の培養上清中のmiR302/367クラスターのmiRNA濃度を測定し、その測定値が所定の閾値以上である場合に細胞培養液中に未分化細胞、特にiPS細胞やES細胞などの多能性幹細胞が含まれると評価することで細胞を採取・破壊することなく、未分化細胞の残存を検出する評価方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6918062/15/ja
関連する専門分野の例:生物学(miR302/367クラスターmiRNAの放出量やパターンの分析、miRNAの細胞内における発現量と細胞外への放出量との相関関係の分析およびmiRNAの放出経路の特定)、情報科学(測定されたmiR302/367クラスターmiRNAのデータの解析、未分化細胞の有無を正確に判定するためのアルゴリズム開発設計、診断基準となる閾値設定の最適化)
具体例として抗体が挙げられます。
従来の抗体改変技術では、抗原への親和性向上と引き換えに熱安定性が低下する課題がありました。
これに対して、カバット法(抗体のアミノ酸配列を比較するために特定の位置に番号を割り当てる標準的な規則)に基づく軽鎖の可変領域80番目および定常領域171番目のアミノ酸残基がシステインではない抗体に対し、これらの2つのアミノ酸残基をシステインに置換することにより、軽鎖の可変領域と定常領域の間に新たなジスルフィド結合が形成され、抗体全体の構造が安定化し、熱安定性が向上した抗体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7117088/15/ja
関連する専門分野の例:分子生物学(カバット法に基づく軽鎖の可変領域80番目および定常領域171番目のアミノ酸残基をシステインに置換するためのプライマーの設計・合成、作成した変異型抗体遺伝子を含む発現ベクターの構築、改変抗体を効率的に生産するための条件の最適化)、生物化学(改変型抗体と野生型抗体の熱変性挙動の比較分析、温度やpHなどの環境因子が抗体の立体構造や凝集状態に与える影響の評価、ジスルフィド結合が抗体全体の安定性にどう寄与しているかの解明)
具体例としてゲノム医療における専門家会議の情報共有システムの制御方法が挙げられます。
従来、異なる施設に分散する患者の遺伝子情報や臨床情報の共有に多大な労力が必要でした。
これに対して、遺伝子パネル検査の結果に基づく患者の治療方針を検討する専門家会議(エキスパートパネル)において複数の医療機関や検査施設、外部施設に所属する専門家が円滑に情報を共有するための情報管理システムであり、遺伝子パネル検査の検査結果を含む症例情報と、その共有範囲を制御するアクセス権限情報を医療関係者の識別情報と紐付けてデータベースに記録し、医療関係者の端末からのアクセス要求に対して認証をおこない、認証された医療関係者に対応するアクセス権限情報に基づいてデータベースから関連する症例情報(自身の所属施設の症例情報だけでなく、他施設の症例情報も含む)を抽出し、その医療関係者の端末に提供することにより、多施設間の専門家が患者情報を安全かつ効率的に参照できる情報共有システムの制御方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7254855/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(異なる医療機関や検査施設に散らばる多様な医療データ(遺伝子パネル検査結果、電子カルテ、病理画像など)を統合するためのデータベース設計と構築、専門家会議の参加者が安全かつ簡単にシステムにログインし、自分に必要な情報だけを閲覧できるようなアクセス制御の設計、大量の医療データを高速に処理し専門家がリアルタイムで参照できるような情報検索システムの設計)、ソフトウェア工学(医療情報システムに求められる高い信頼性と安全性を実現するためのソフトウェアアーキテクチャの設計、医療システムのバグやセキュリティ脆弱性を最小化するための品質保証プロセスの導入、医療現場のニーズに迅速に対応できる開発プロセスの検討)
具体例として肝細胞がんの診断マーカーとして知られるフコシル化AFP(AFP-L3)を特異的に検出するためのモノクローナル抗体が挙げられます。
従来のLCA(レンズ豆レクチン)結合性AFP検出抗体はその結合エピトープ(抗体が結合する抗原の特定の部位)が不明であり、フコースの有無にのみ依存して他のフコシル化タンパク質にも非特異的に結合する可能性がありました。
これに対して、重鎖および軽鎖の特定のCDR配列(抗体の多様性決定領域のアミノ酸配列)を有し、フコースを有する糖ペプチド(a)には反応する一方で、フコースを有さない糖ペプチド(b)には反応しないという特異的な結合特性を有し、糖鎖部分とペプチド部分の両方を同時に高い特異度で認識しフコシル化AFPを正確に検出するモノクローナル抗体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7002190/15/ja
関連する専門分野の例:分子生物学(産生された抗体が(a)に示す糖ペプチドに反応して(b)に示す糖ペプチドに反応しないという特異性を確実に持つように抗体遺伝子に変異を導入(CDRの改変など)して結合特異性や親和性を向上させるための最適化、設計した抗体を大量に安定的に発現・産生するための培養条件の最適化)、免疫学(キャリアタンパク質との結合方法やアジュバントの選定、免疫経路、免疫回数、免疫間隔などの免疫プロトコルの最適化、目的の特異性を持つ抗体を産生するクローンのスクリーニング・選別、選別されたモノクローナル抗体の結合特異性(フコシル化AFPへの特異的結合、非フコシル化AFPや他のフコシル化タンパク質への非結合)や親和性の評価)
(5)キヤノンメディカルシステムズ|開発トレンドと専門性

A61Bが最も多いです。次いでG01N、G16H、G01T、G06Qが多いです。
具体例として超音波プローブの変換アダプタが挙げられます。
従来の超音波診断装置では、プローブの識別情報の出力方式(ハードワイヤードまたはメモリ)によって装置側コネクタの端子数が増え、汎用性が低いという問題がありました。
これに対して、超音波プローブと超音波診断装置本体の間に接続される変換アダプタであり、超音波プローブがハードワイヤード回路でプローブIDを出力する場合、その並列出力されたプローブIDを受信し、メモリフォーマットに変換して内部に保持し、一方、超音波診断装置本体からプローブIDのアドレスを指定した読出要求がシリアル通信で入力された場合、アダプタは保持しているメモリフォーマットからプローブIDを取得し、これをシリアル通信で装置本体に出力することにより、装置本体側のコネクタ端子数を削減しつつハードワイヤード方式のプローブIDも読み出し可能となり装置の汎用性を高めた変換アダプタが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7686538/15/ja
関連する専門分野の例:電子工学(各回路を構成する論理ゲートの選定、FPGAやASICなどのハードウェア記述言語を用いた設計、信号のタイミング最適化、シリアル通信プロトコルの実装と検証)、情報科学(プローブIDのメモリマッピング、チェックサムやCRCなどのエラー検出符号の計算および検証アルゴリズムの設計、異なる通信プロトコル(シリアル通信、パケット通信など)に対応するためのソフトウェアドライバおよびプローブの認識や選択画面表示に関わるユーザーインターフェースの設計)
従来、過去に取得された医用画像と対応する位置での再撮像が困難であり、経時的な変化を正確に追跡することが課題でした。
これに対して、まず過去に撮像された基準画像と新たに撮像された複数の候補画像からそれぞれ解剖学的特徴点などのランドマークを抽出し、次にこれらの基準画像と候補画像のランドマーク間の類似度を算出して類似度が所定の閾値を超える候補画像を適合画像として選択(この適合画像は、基準画像と最も対応する撮像位置で撮像された画像であると判断)し、最後にこの適合画像の撮像時の設定情報(スライス位置や角度など)に基づいて実際の医用画像診断装置が次に撮像すべき最適な撮像位置を決定してその情報を装置に適用することにより、経時的な画像比較において、過去の画像とほぼ同一の部位を再撮像することが可能となる医用画像処理装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-045877/11/ja
関連する専門分野の例:情報科学(ランドマークの安定した抽出を可能にするための医用画像のノイズ除去、強調処理、セグメンテーションなどの前処理技術の検討、抽出されたランドマークの比較、類似度計算および位置合わせのアルゴリズム設計)、電気電子工学(ランドマーク抽出や類似度算出の結果に基づいて装置の撮像シーケンスやパラメータを最適に制御するための設計、装置のハードウェアとソフトウェア間のインターフェースの確立、高精度な撮像位置決定を装置に反映させるためのシステム統合)
従来の小視野高解像度X線画像では、画像内の特徴点が少なく、またカテーテルなどの移動体による影響が大きいため、経時的な位置合わせが困難でした。
これに対して、X線を光に変換するシンチレータと、これを共有する大視野・低解像度の第1検出器と、小視野・高解像度の第2検出器とを有するX線検出器を備えた装置であり、補正部が異なる2つの時点でそれぞれ取得された第2検出器による2つの小視野画像の間の位置ずれを補正する際に、同時に取得された第1検出器による2つの大視野画像を利用、具体的には補正部がまず大視野画像から高精度に位置ずれ量(ピクセルシフト値)を算出し、その値を第1検出器と第2検出器の視野比に基づいて小視野画像用のピクセルシフト値に変換し、この変換されたピクセルシフト値により小視野画像を位置合わせすることで、特徴点の少ない小視野画像でも体動などによる位置ずれを補正して診断の精度を向上させるX線診断装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7691306/15/ja
関連する専門分野の例:電気工学(X線照射によって発生する微弱な電気信号を効率的かつ低ノイズで増幅・デジタル化するための回路設計、複数の検出器からのデータ同期や高速伝送を実現するためのデジタル回路およびシステム制御の最適化)、情報科学(医用画像データからX線管や被写体の動きによる位置ずれを正確に推定するための画像処理アルゴリズムの設計、医用画像データの取得から表示に至る一連の画像処理パイプラインの設計、小視野画像内でのデバイス(カテーテルなど)の動きが位置ずれ補正に与える影響を最小化するためのアルゴリズムの設計)
具体例として血液検体の自動分析装置が挙げられます。
従来のピアサ針洗浄は専用の洗浄ユニットを密着させる必要があり、洗浄水の飛散や逆流のリスク、装置のスペース確保と製造コスト増大の問題がありました。
これに対して、試料容器のキャップを穿孔するピアサ針を備えた自動分析装置であり、ピアサ針は先端でキャップを穿孔するピアサノズルと、そのピアサノズルの内部を洗浄するための洗浄媒体供給部を有し、洗浄媒体供給部がピアサノズルの軸方向に対し斜め上方から洗浄媒体を供給し、洗浄媒体は洗浄水と洗浄空気の双方であり、洗浄媒体供給部にはこれらが流れる共通流路部と、洗浄水、洗浄空気またはその双方の供給を切り替える切替弁を備えていることにより、洗浄ユニットを別途設けることなく、ピアサ針と一体的に効率的な内部洗浄が可能となり、洗浄時の飛散や逆流を抑制し、装置の小型化とコスト削減に貢献する自動分析装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7669203/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ピアサ針の機械的構造設計、洗浄媒体(水、空気)の流れを最適化するための流体力学的な解析、ピアサ針がキャップを効率的に穿孔し摩耗を最小限に抑えるための材料選定と耐久性評価、装置内でのピアサ針の正確な動作を実現する駆動系の設計)、化学工学(ピアサ針に付着する血液などの生体試料の洗浄メカニズムの化学的・物理的観点からの解明、洗浄水や洗浄空気の組成、供給量、温度などの洗浄条件の最適化、装置全体における洗浄排水の処理方法や洗浄プロセスが環境に与える影響の評価)
従来の画像表示では、組織画像に重なって情報が表示され、医師が観察したい領域が見えにくくなる、または手動での表示調整が必要で作業負荷が高いという問題がありました。
これに対して、まず認識部が診断用画像から観察対象領域(例えば組織切片が写された領域)を認識し、次に興味領域情報取得部がその観察対象領域内にある1つまたは複数の興味領域(例えばAIによる病変検出部位や、ユーザーが指定した注目箇所)の位置や範囲を示す情報を取得し、生成部がこれらの情報に基づき観察対象領域と重ならない位置に表示されるべき第2の領域情報(表示用アノテーション)を生成(観察対象領域の輪郭の外側に沿うように、かつ興味領域の位置や範囲に対応する形で生成)し、最後に表示制御部がこの第2の領域情報を観察対象領域の外側の位置に表示させることで、画像本来の視認性を損なうことなく必要な情報を提示することが可能となり、診断作業の効率化と正確性向上に貢献する情報処理装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7654450/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(医用画像データから病理組織の異常部位を自動認識するための機械学習モデルの設計と訓練、画像データの前処理・後処理技術の検討、診断結果やアノテーション情報を効率的にデータベース化して高速に検索・表示するシステムの構築)、ソフトウェア工学(医師や医療従事者が直感的に操作できるユーザーインターフェース/ユーザーエクスペリエンスの設計、情報処理装置の各機能(画像認識、情報生成、表示制御など)を連携させるためのソフトウェアアーキテクチャの設計、医療情報システムとの連携に必要なデータインターフェースの設計)
具体例として就寝中の生体情報から症状の発生を予測して生体刺激によって症状を抑制する生体情報処理装置が挙げられます。
就寝中の症状は未検知または対処が遅れがちで患者の苦痛や状態悪化を招き、生活の質を低下させるという問題がありました。
これに対して、まず生体情報取得部が被検体の心拍数や呼吸数などの生体情報を継続的に取得し、次に予測部が取得した生体情報を就寝時の症状発生を予測するために事前に学習されたモデルに入力して症状の発生を予測し、この予測がなされた場合、介入部が被検体に対して症状の予防を目的とした第一の生体的な刺激(例えば、弱い電気刺激や振動)を印加し、さらに、検知部が実際に症状が発生したことを検知した場合(例:心拍変動や呼吸パターンの急激な変化を検知した場合)、介入部は既に印加されている第一の刺激よりも強力な第二の生体的な刺激(例:より強い電気刺激や覚醒を促す振動)を被検体に印加することにより、症状の発生を未然に防ぐ、または症状発生時に早期かつ効果的に介入して被検者の苦痛を軽減し、安眠を促進することが可能となる生体情報処理装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7677838/15/ja
関連する専門分野の例:電子工学(被検体の体温、心拍、呼吸、血中酸素飽和度といった生理学的データを計測するための各種バイオセンサーの選択、微弱な生体信号を増幅・フィルタリング・デジタル変換するためのアナログおよびデジタル回路の設計、生体への刺激(電気パルス、振動など)を安全かつ効果的に印加するためのアクチュエータの駆動回路設計、ワイヤレスでのデータ通信のためのRF回路設計)、情報科学(大規模な生体データセットを解析して症状発生の予兆となる特徴量を抽出する統計的手法や機械学習アルゴリズムの設計、リアルタイムで生体データを処理し低遅延で症状予測をおこなうためのアルゴリズムの設計、予測された症状の重症度や緊急度に応じた最適な介入強度やタイミングを決定する制御ロジックの設計)
目的外検査で偶発的に見つかる血管石灰化は心血管疾患の発症リスクを示すが、その情報が臨床に活用されず、患者が予防的介入機会を失う問題がありました。
これに対して、まず処理回路が患者のマンモグラフィ画像や胸部X線画像といった心臓以外の撮影画像の読影結果(第1の読影情報)を取得し、次にその読影情報に基づいて心血管以外の部位(例:乳房動脈、大動脈)に石灰化が存在するか否かを判定し、もし石灰化が存在すると判定された場合、処理回路は患者の医用情報(例:年齢、性別、生活習慣、健診結果など)に基づいて心血管疾患の発症リスクを算出することで心血管疾患リスクの評価を実行し、この石灰化の判定結果と算出された心血管疾患リスクの評価結果(例:CVDリスク値)およびその数値を含む第2の読影情報を出力し、一方で、石灰化が存在しないと判定された場合は心血管疾患リスクの評価はおこなわず元の第1の読影情報のみを出力することにより、偶発的に発見された石灰化情報が心血管疾患リスク評価のトリガーとなり、医師や患者が早期にリスクを認識し、予防的な介入へ繋げることが可能となる診断支援システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7674860/15/ja
関連する専門分野の例:情報科学(X線画像やCT画像に現れる石灰化の画像特徴を識別してその存在や程度を自動で判別する深層学習モデルの設計・訓練、患者の属性情報(年齢、性別など)や健診データ(コレステロール値、血圧など)と画像所見を統合して心血管疾患リスクをより高精度に予測する統計的手法や機械学習アルゴリズムの構築)、電気電子工学(X線装置やCTスキャナなどの医用画像診断装置から得られる画像信号の品質向上(ノイズ除去、解像度向上)のための回路設計、生体情報の取得や画像処理をおこなうための高性能なプロセッサを搭載したデータ処理基板の設計と最適化、システム全体の消費電力と熱管理に関する設計)
具体例としてポジトロン放出断層撮影(Positron Emission Tomography:PET)装置が挙げられます。
従来のPET装置の品質管理では、PET検出器全体または単体の異常しか検出できず、局所的な性能の偏りによる画質劣化を見逃す問題がありました。
これに対して、リング状に配列された複数のPET検出器単位を備えた装置であり、取得部が各検出器単位の第一の状態情報(時間情報)と、種類が異なる第二の状態情報(温度)を継続的に取得し、第一の検出部が取得された状態情報に基づいて各検出器単位または装置全体の状態を示す指標値が事前に設定された閾値を超えた場合に装置の異常として検出し、第二の検出部が装置に全体的な異常が検出されない状況下でも特定の少なくとも2つのPET検出器単位の時間情報とそれ以外の少なくとも2つのPET検出器単位の時間情報との間に温度の差から換算された時間情報の差以上の乖離がある場合に検出器間の状態の不均一性を検出し、このような不均一性が検出された際にはシステムの画質劣化を未然に防ぐためPET検出器のキャリブレーション実施をオペレーターに報知することで、従来の品質検査では見逃されがちだった個々の検出器の微妙な性能変化に起因する画質低下を事前に察知できるPET装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7636263/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(各PET検出器単位からリアルタイムで取得される時間情報や温度データを高速に処理してデータベースに格納するためのデータパイプラインの設計、検出器間の時間差や温度差のばらつきの統計的な解析、異常なパターンやトレンドを自動的に識別する機械学習アルゴリズムの設計)、電気工学(シンチレータからの光信号を電気信号に変換する光検出器の出力特性を測定するための高速アナログ・デジタル変換回路の設計、各検出器ユニットに均一な電源を供給して温度変動を最小限に抑えるための安定化電源回路と温度制御システムの設計、検出器間の微妙な時間差を高精度に検出するためのタイミング測定回路の設計)
具体例として機器の故障予兆検知感度を向上させる機器管理装置が挙げられます。
従来の機器管理では、自機器の故障予兆しか把握できず、類似の潜在的故障リスクを複数の機器間で早期に把握することが困難でした。
これに対して、第1の機器で故障予兆と推定部位が検知された際、その情報に基づき関連性の高い複数の第2の機器を自動的に特定し、故障推定部位の種類や重要度、推定原因のリスク度に応じて第2の機器の故障予兆の検知感度を調整する機能を備えるもので、具体的には、故障推定モデルの教師データ更新、閾値の緩和、データサンプリング間隔の短縮、検知頻度の向上などにより関連する第2の機器の潜在的な故障リスクを早期に捉えることが可能な機器管理装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7408366/15/ja
関連する専門分野の例:電子工学(振動、温度、電流、電圧、音響などの物理量を正確に計測するための最適なセンサーの選定および機器の適切な部位に配置する設計、各種センサーから出力される微弱なアナログ信号を増幅、フィルタリングしてデジタル信号に変換するためのA/Dコンバータを含む回路の設計)、情報科学(機器の正常時のデータと異常時のデータの統計的な解析および故障予兆の発生を示す特徴量やパターンを特定するための数学的モデルの構築、構築したモデルを用いて故障予兆を検知するためのアルゴリズムの設計)
(6)まとめ
内視鏡などの従来の医療機器に情報処理技術が組み合わされた装置、イオンセンサやシリンジなどの医療機器の改良技術、機器や人体の異常を事前予測する機器から診断や治療をおこなう装置など、さまざまな種類、段階において求められる技術に係る出願が確認されます。
このような開発がおこなわれていることが推測されます。
求めらられる専門性は情報系から電気系、機械系、材料系、化学系などさまざまです。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
グループ企業や個人など情報から除外している場合もあります。
(1)オリンパス

出願数が少ないので詳細は省略します。
(2)テルモ

出願数が少ないので詳細は省略します。
(3)ニプロ

(4)シスメックス

出願件数が少ないので詳細は省略します。
(5)キヤノンメディカルシステムズ

出願件数が少ないので詳細は省略します。
(6)上記(1)~(5)(共同出願人)のまとめ
各社ともさまざまな組織との共同出願をおこなっています。
ただし、出願数は平均すると年1件にも満たないものがほとんどです。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・情報系分野(情報科学、情報工学、通信工学、ソフトウェア工学、制御工学など)
装置が取得したデータから所望の処理をおこなうためのアルゴリズム設計、画像などのデータから特定結果を推定する学習済みモデルの構築などが求められます。
・電気系分野(電気電子工学、電子工学、電気工学など)
装置におけるが画像データなどの情報取得、駆動部の制御、電気信号の処理、装置全体のシステム設計などが求められます。
・機械系分野(機械工学、精密工学など)
装置の回転機構などの応力解析や材料選定、小型化や軽量化、高強度などを踏まえた構造設計などが求められます。
・材料系分野(材料科学、材料工学など)
体内挿入部品などに求められる生体適合性、滅菌性や軽量性、耐久性などの機能を鑑みた材料の選定、材料設計、製造プロセス条件の検討などが求められます。
・化学・生物・薬学系分野(生物化学、化学工学、有機化学、分析化学、電気化学、生物化学、生物工学、生物学、分子生物学、製剤学、免疫学など)
生体成分と反応する試薬の設計、分子レベルでの反応の解析、分子間相互作用などを踏まえた最適条件の探索、装置が生体などに与える影響の細胞レベルでの解析、微生物増殖などのリスク評価、薬物の物理化学的性質に基づいた製剤設計や製造プロセスの確立および品質評価などが求められます。
・物理系分野(応用物理学など)
レーザと物質の相互作用など各種物理現象や物性の解析、最適なレーザパラメータの特定など理論モデルからの最適値の導出、光学系などの設計などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
医療分野に特化された出願が大半だと言えます。
出願の内容は従来の医療機器などに情報処理が組み合わされたものが多いです。
大学の専攻と関連づけるとしたら、特に多いものとして、情報、機械、電気、材料、化学、生物、薬学、物理などの研究が該当する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
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