今回は印刷業界に焦点をあてます。
印刷、という言葉には伝統的なイメージが漂っていますが、ディスプレイスクリーンや電子機器に関わる最先端の素材科学や微細加工技術が結集する分野でもあります。
ただ、さまざまな印刷物やデジタル表示の裏側でどのような開発がおこなわれているのか外部からは見えづらいです。
これを特許情報からみていきます。
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
実際にどのような開発がおこなわれたのか特許情報に記載されています。
今回は、印刷メーカー4社の特許情報からどのような開発がおこなれてきたのか、また、開発にどのような専門性が求められるのか読み解きました。
結論(概要)は以下の通りです。
・化学、材料系分野(応用化学、高分子化学、有機化学、物理化学、材料化学、電気化学、材料工学、材料科学など)
・機械系分野(機械工学、人間工学、精密工学など)
・物理系分野(応用物理学など)
・情報系分野(情報工学、通信工学、制御工学、情報科学、経営情報学など)
・電気系分野(電子工学、電気電子工学など)
1 業界サーチの概要
特許情報は企業の開発情報だと言えます。
業界サーチは、業界における主要企業の特許情報から、その業界の企業がどのような開発をおこなってきたのか、客観的な情報を導き出そうとするものです。
特許分類(後述)からは、その特許に関わる開発の主な技術分野がわかります。
すなわち、その企業の開発職においてどのような専門性が求められるのか特許情報から推測できます。
2 印刷業界
2.1 印刷界とは
ここでは、紙媒体への印刷だけでなく、印刷技術を基盤として多岐にわたる事業展開をおこなっている業界を意図します(「印刷メーカー」という表現が妥当かどうかという問題はありますが、本記事では各プレーヤーを「印刷メーカー」と表現します)。
印刷技術や関連技術の厳密な区別はおこなっていません。
2.2 サーチ対象
以下の印刷メーカー4社を対象にしました。
(2)凸版印刷
(3)NISSHA
(4)共同印刷
2.3 使用プラットフォーム
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)
3 サーチ結果
3.1 結果概要
開発イメージは下表のとおりです。
|
モノの開発 |
サービスの開発 |
|
|
個人向け |
|
|
|
法人向け |
・化粧シート |
・自立包装袋の設計方法 |
3.2 出願件数の推移
下図は印刷メーカー4社の特許出願件数の推移です。

大日本印刷と凸版印刷の特許出願件数が多く、他2社との差が大きいので縦軸のスケールを変えた図を以下に示します。

NISSHAと共同印刷も毎年数10件の特許出願をおこなっていることがわかります。
これらの図から各社とも特許出願につながる開発がおこなわれていることが推測されます。
3.3 開発の活発度
特許出願件数≒開発の活発度、だと考えるなら、
大日本印刷>凸版印刷>NISSHA≒共同印刷
だと言えます。
3.4 主な開発分野
各社ごとに特許出願件数が多かった技術分野を以下に示します。
各社の出願上位3つの技術分野を抽出して並べています(特許出願されていても、その企業の出願件数上位に入っていない技術分野は除外されています)。
各記号は発明の技術分類をあらわします。

分類参照:FIセクション/広域ファセット選択(特許情報プラットフォーム)
架橋や加硫などがこれに該当します。
NISSHAがこの分野から多く出願しています。
非平面形状を有する積層体などがこれに該当します。
全4社がこの分野から多く出願しています。
本の表紙などがこれに該当します。
共同印刷がこの分野から多く出願しています。
生分解容器などがこれに該当します。
大日本印刷、凸版印刷、共同印刷がこの分野から多く出願しています。
顕微鏡などがこれに該当します。
凸版印刷がこの分野から多く出願しています。
プログラム制御のための装置などがこれに該当します。
大日本印刷、NISSHAがこの分野から多く出願しています。
3.5 印刷メーカー4社の近年の開発トレンドと求められる専門の例
特許情報の出願年数が新しいほど、その企業の開発実態を反映していると言えます。
ここ10年のトレンドは以下のとおりです。
発明の主要な技術分野(筆頭FI)の出願年ごとの出願件数です。
出願件数が少ない技術分野は除外しています。
発明の説明は、必ずしも特許請求の範囲を完全に表現したものではありません。
関連する専門分野の例はあくまでイメージです。また、専門の概念レベルを必ずしも同一レベルで表示してはいません。
特許は難解ですが、GeminiやChatGPTなどのテキスト生成AIを活用すると簡単に解読できます。以下の記事を参考にしてください。
(1)大日本印刷|開発トレンドと専門性

上図期間中、B32BとB65Dが同程度で最も多いです。次いでG02B、H01L、G06F、H01M、G06Q、B41Mが多いです。
具体例として建材の内装、外装部材などに用いられる化粧シートが挙げられます。
従来、表面保護層が化粧シート全面に配置されていたため、意図せず充填部の表面が覆われない場合、その部分の耐候性が課題でした。
これに対し、基材層、意匠層、樹脂層、表面保護層を有し、樹脂層表面に凸部と凹部が形成された化粧シートであって、凹部には着色剤および/またはマット剤を含む意匠性向上層の充填部が配置され、一部が表面保護層で被覆されない充填部が存在し、表面保護層と意匠性向上層の両方に紫外線吸収剤を含有し、特に意匠性向上層の紫外線吸収剤の割合が表面保護層よりも多くなっていることにより、表面保護層で完全に覆われていない充填部においても紫外線による劣化を抑制し、耐候性を実現する化粧シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7491356/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(耐候性、柔軟性、基材や意匠層との密着性に優れたアクリル系、ウレタン系、ポリエステル系などの高分子材料の評価、紫外線吸収剤や光安定剤との相溶性を考慮した最適な組成の決定)、有機化学(トリアジン系紫外線吸収剤の種類と配合量の決定、意匠性を高めるための有機顔料や無機顔料の分散性、耐光性、耐薬品性などの評価、マット剤の種類や粒径が意匠性や表面保護層の平滑性に与える影響の解析)
従来、素材のポリオレフィンが紫外線により劣化しやすく、屋外での長期使用で化粧シートにクラックが発生し、耐候性が低下する問題がありました。
これに対して、基材層、意匠層、透明樹脂層、表面保護層をこの順に備え、基材層および透明樹脂層がポリオレフィンを含有する外装材用化粧シートであって、2000時間の超促進耐候性試験後における透明樹脂層中のポリオレフィンの分子量維持率が50%以上であることにより、紫外線によるポリオレフィンの劣化を抑制し、クラックの発生を防ぎ、長期にわたる耐候性を実現する化粧シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7399997/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(紫外線劣化に対する安定性の高いポリオレフィンの選定、必要に応じて紫外線吸収剤や光安定剤との相溶性を向上させるための表面処理や共重合などの改質技術の検討、超促進耐候性試験における分子量変化の追跡、分子量維持率50%以上を達成するためのポリオレフィンの種類、分子量、添加剤の配合などの最適化)、材料工学(基材層、意匠層、透明樹脂層、表面保護層の各層の材料、厚さの検討、紫外線遮蔽効果を高めるための紫外線吸収剤の選定と各層への配合、層間の密着性を向上させるためのプライマー層や接着層の設計、透明樹脂層のポリオレフィンの劣化を防ぐための表面保護層における紫外線吸収剤の種類と配合量の最適化、280nm以上350nm以下の波長域における積層部分の吸光度A4を0.2以上にするための具体的な設計指針の確立)
具体例としてテイクアウト商品などに利用される蓋材付き紙製容器が挙げられます。
従来の蓋材付き紙製容器では、フランジ片が切り取り難く、開封性に課題がありました。
これに対して、紙容器のフランジ片上に内シール部が、フランジ片に重ならない位置に外シール部が設けられるとともに、少なくとも1つのフランジ片において内シール部と外シール部の外縁の一部を外側に向かって凸形状であることで、剥離のきっかけを作り、開封性を向上させた蓋材付き紙製容器が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7324431/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(蓋材付き紙製容器の開封プロセスの力学的解析、内シール部と外シール部の凸形状が開封時に蓋材に加わる応力や変形にどのように影響するかのシミュレーション評価、最適な形状の設計、製造工程におけるシール不良のリスクを低減するためのシール機構や熱圧着条件などの検討)、人間工学(消費者の開封動作の分析、より少ない力でより安全かつ容易に開封できるための容器形状、フランジ片の大きさ、凸形状の位置などの設計、さまざまな年齢層の被験者に対して開封動作の観察やインタビューの実施、把持力や指の動きの解析、開封時の力の分布の測定、シミュレーションに基づいた最適なフランジ片形状と凸形状の配置の決定)
従来の加温用ペットボトルは内圧吸収のために胴部に圧力吸収パネルを備えていましたが、内容物の視認性やラベル貼付の妨げになるという問題がありました。圧力吸収パネルをなくすと、加温時に底部中央部が変形し、安定性を損なう可能性がありました。
これに対して、胴部を平滑な形状としつつ、底部を円周状接地部と、上方へ突出する底部中央部そして接地面に対し0~30°の範囲で傾斜する円周状境界部を有する構造によって、円周状境界部が変形することで加温時の内圧を効果的に吸収し、底部中央部の落ち込みを防ぎ、底部中央部には複数の外方へ突出する突出部と凹部を設けられ、突出部が上端部に向かって延びることで底部中央部を強化し、ペットボトルの全長と底部中央部の高さが特定の範囲に設定されることで、強度と安定性を両立するペットボトルが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7432163/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(加温用ペットボトルの全体的な設計、底部形状の詳細設計(円周状境界部の角度、底部中央部の形状と寸法、リブの配置など)、強度、安定性、製造性、意匠性、加温時の機能性の最適化)、材料工学(PET樹脂の熱的特性(融点、ガラス転移温度)、機械的特性(引張強度、弾性率)、耐薬品性などの評価)
具体例として有機EL装置などに適用される長尺位相差フィルムが挙げられます。
従来の長尺位相差フィルムでは、位相差層が全面に亘って一定方向に配向されていたため、基材を剥離する際に位相差層の端部にバリが発生しやすく、製造ラインの汚染や製品の不良を引き起こすという問題がありました。
これに対して、位相差層に、短手方向の中央に配向された第1領域と、その両側に無配向の第2領域、さらに外側に水平配向された第3領域が設けられた長尺位相差フィルムであって、無配向の第2領域によって基材剥離時に位相差層が意図的に分断されやすくなり、長手方向に沿った安定した剥離を促進し、第2領域の外側に水平配向の第3領域が設けられたことで、基材との密着性を高め、無配向領域での密着性低下を補い、意図しない剥離を抑制することで、転写される位相差層の端部へのバリの発生を効果的に抑制し、高品質な長尺光学フィルムの製造を可能にする長尺位相差フィルムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7491349/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(無配向領域と配向領域で適切な硬化性を示す液晶モノマーやオリゴマーの選定、水平配向を促進するための添加剤の検討、基材や配向膜との密着性を制御するための表面改質剤の評価、得られた硬化物の位相差特性、耐熱性、耐光性などの評価)、応用物理学(複屈折率、位相差量、透過率、反射率などの光学特性の波長依存性の評価、所望の光学特性を実現するための液晶材料の選定や配向状態の最適化、偏光板との組み合わせによる円偏光特性の評価、表示デバイスへの組み込み後の光学性能の評価、バリ抑制のための無配向領域や水平配向領域が位相差フィルム全体の光学特性に与える影響の評価)
具体例として発光ダイオード素子(LED素子)を封止する封止部材を備える面発光装置用封止部材シートが挙げられます。
従来の面発光装置では、LED基板と封止部材の線膨張係数の違いにより製造時や使用時に反りが発生し、製造歩留まりの低下や信頼性の問題を引き起こす可能性がありました。
これに対して、ヘイズ値が4%以上のポリオレフィン系樹脂からなる特定の厚み(50μm以上800μm以下)の封止部材上に、線膨張係数が-10×10⁻⁶/℃以上0×10⁻⁶/℃以下の範囲内であり、かつ封止部材よりも小さい線膨張係数を有する反り防止層を配置されることで、熱圧着後の冷却時や温度変化による収縮差を抑制し、反りの発生を防止し、面発光装置の製造歩留まりを向上させることが可能になる面発光装置用封止部材シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7659622/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(所望のヘイズ値、厚み、線膨張係数を実現するためのポリオレフィン系樹脂の分子量や結晶化度、添加剤の種類と配合量の調整、反り防止層の材料として特定の線膨張係数、弾性率、融点を有する高分子材料(例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリイミドなど)の選定、封止部材との密着性を向上させるための表面処理や接着層の検討、異なる材料間の界面における応力緩和機構の解析、長期信頼性を確保するための材料設計)、応用物理学(封止部材のヘイズ値と光拡散性の関係の評価、LED素子からの光を効率的に拡散して輝度ムラを抑制するための最適なヘイズ値の特定、封止部材と反り防止層の線膨張係数の差が温度変化による反りの発生に与える影響の解析、反りを最小限に抑えるための材料の組み合わせや層構成を最適化)
具体例として電子情報記憶媒体が挙げられます。
従来の技術では、SIMカードなどの電子情報記憶媒体が正規の機器から外され、悪意のある改造を施された機器に接続されるリスクがありました。また、機器と記憶媒体が固定されないため、故障時の交換など利便性の課題がありました。
これに対して、メモリと通信手段、識別情報取得手段、書込手段、照合手段を備える電子情報記憶媒体であって、最初に接続された通信機器から第1の識別情報の一部である第1データをメモリ内の更新制限領域の一部である第1領域に書き込み、その後、別の通信機器から第2の識別情報が取得された場合、第1領域の第1データと更新制限領域の別の領域に書き込まれた第2データから特定される第3の識別情報と、第2の識別情報とを照合し、ペアリング相手として許可するか否かを判定することにより、利便性を損なうことなく最初にペアリングされた正規の通信機器との関連付けを検証し、不正な機器の利用を防止することが可能な電子情報記憶媒体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7211451/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(電子情報記憶媒体における識別情報の安全な書き込みおよび照合プロセスの設計、更新制限領域への不正な書き込みを防ぐためのアクセス制御機構の検討、照合アルゴリズムの安全性評価(総当たり攻撃や中間者攻撃に対する耐性分析)、照合データの秘匿性を高めるための暗号化技術の適用、セキュリティ対策を実装したプロトタイプの設計と脆弱性評価)、通信工学(電子情報記憶媒体が接続される通信機器との効率的かつ安全な通信プロトコルの設計、識別情報の取得、書き込み、照合のためのコマンド設計、通信エラー検出と回復メカニズムの導入、異なる通信インターフェースにおける最適なプロトコルパラメータの検討)
具体例として蓄電ユニットが挙げられます。
従来の組電池では、蓄電デバイスが充填剤で覆われているため放熱が困難であり、充放電に伴う温度上昇によって劣化しやすいという問題がありました。
これに対して、第1方向に配列された複数の矩形状蓄電デバイスと、当該配列方向と交差する第2方向に近接して配置される板状の金属製冷却部材とを有し、蓄電デバイスが蓄電素子を収納する収納部と、当該収納部の第1方向の面から外方に突出するフランジ部とを有し、冷却部材には各蓄電デバイスのフランジ部の第2方向に突出する部分の少なくとも一部が貫通する複数のスリットが形成されており、スリットを貫通したフランジ部は冷却部材に固定されている構成により、蓄電デバイスの収納部が冷却部材に直接的または間接的に接触するとともにフランジ部を介しても熱が伝導するため、効率的な放熱が可能となり、温度上昇を抑制して劣化を防ぐ蓄電ユニットが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7396412/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(蓄電デバイスの熱マネジメントシステム全体の設計・最適化、冷却部材の構造(スリット形状、配置)、冷却方法(自然冷却、強制空冷、液冷など)の検討、熱シミュレーションによる冷却性能の評価、蓄電ユニット全体の構造設計、強度解析、振動解析)、材料工学(熱伝導率が高く、軽量かつ蓄電デバイスとの固定に適した金属材料(例えば、アルミニウム合金、銅合金)の特性の比較検討、冷却部材の製造プロセス(プレス加工、切削加工など)がコストや精度に与える影響の評価、大量生産に適した加工方法の確立)
具体例としてテーマパークなどにおける撮影システムが挙げられます。
従来の撮影システムでは、全入園客にIDを発行するため管理コストが増大し、保存データ量の予測が困難で大容量ストレージが必要となりコスト高でした。
これに対して、画像保存用のキー情報を販売し購入者にコード情報を発行するサーバ装置と、ユーザを撮影する撮影装置と、コード情報を読み取る読取機と、読取ったコード情報と撮影画像をサーバへ送信する制御装置を備える撮影システムであって、サーバ装置は受信したコード情報と撮影画像をコード情報に対応するキー情報に紐付けて記憶部に保存し、キー情報に紐付けられた撮影画像のデータ量とキー情報の販売数には上限が設定されており、サーバ装置はキー情報を購入したユーザからの販売価格設定を受け付け、そのキー情報を再販売可能であることにより、ID発行やデータ保存のコストを抑制しつつ、再販売による付加価値と権利の希少性によるプレミアム感を顧客に提供できる撮影システムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7585993/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(サーバ装置のアーキテクチャ設計、キー情報、コード情報、ユーザ情報、撮影画像などのデータを効率的に管理するためのデータベーススキーマの設計、大量のアクセスやデータに対応できるスケーラブルなサーバシステムの構築、不正アクセスやデータ漏洩を防ぐための認証機能や暗号化技術の実装)、経営情報学(キー情報の販売価格戦略、再販売市場の活性化策、データ保存容量に応じた料金体系の検討、顧客データ分析によるマーケティング戦略の立案、システムの導入効果を評価するための指標設定や費用対効果分析、持続可能なビジネスモデルの構築)
具体例として熱転写シートが挙げられます。
従来、ピールオフシート(意図した部分を剥離するシート)を用いて中間転写媒体の転写層の一部を除去する際に正確な除去(ピールオフ性)が課題となっていました。
これに対して、第1の基材と、その一方の面上に面順次に設けられた第1の転写層及びピールオフ層を備え、特定の条件下で中間転写媒体に転写後の第1の転写層の算術平均高さ(Sa)が0.1μm超0.6μm未満であり、ピールオフ層の算術平均高さ(Sa)が0.1μm超1.0μm未満という表面粗さ範囲により、ピールオフ時に第1の転写層とピールオフ層との接触面積が増加し、結果としてピールオフ性が向上し、中間転写媒体の転写層の不要な部分をより正確に除去することが可能となり、高品質な印画物の製造に貢献する熱転写シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7257005/15/ja
関連する専門分野の例:物理化学(転写層とピールオフ層の界面エネルギー、濡れ性、摩擦特性などの測定、これらの物性がピールオフのしやすさに与える影響の評価、熱エネルギー印加時の材料の熱挙動や相変化の解析)、高分子化学(ピールオフ層と転写層の密着性、剥離性に関与する高分子の分子量、ガラス転移温度、結晶性などの特性の制御、さまざまな組成のポリマーの合成・評価、表面粗さを制御するための添加剤や成膜方法の検討、最適な高分子材料の組み合わせと配合比率の検討)
(2)凸版印刷|開発トレンドと専門性

B65Dが最も多いです。次いでB32B、G02B、H01M、G02F、H01L、G06Q、B41Mが多いです。
具体例としてプラスチックフィルム(調光シート)の巻き取りロールの巻き解き時の調光シートの破損を抑制する梱包体が挙げられます。
従来のプラスチックフィルム等の巻き取りロールでは、巻き始め部分を粘着テープで固定するのみであり、曲げ剛性の高い調光シートを同様に梱包した場合、巻き解き時にシート端部、特に角部に過度の応力が集中し、折れや破損が生じやすいという問題がありました。
これに対して、2つの透明電極フィルム間に液晶組成物を封入した調光シートを筒部材に巻きつけた梱包体であって、巻き始め部である短辺が第1易剥離テープで筒部材に固定されるとともに、短辺に繋がる2つの長辺に設けられた被固定部が第2易剥離テープで筒部材の両端部に固定されていることにより、筒部材から調光シートが巻き解かれる際に、巻き始め部に作用する浮き上がり力による負担を短辺とその両側の被固定部に分散させることが可能となり、特に応力が集中しやすい角部への負担を軽減し、被固定部のうち最も短辺から遠い固定終了点と短辺とが筒部材の中心に対して形成する第1角度を69度以下であることで、巻き解き時に角部をめくり上げる力を抑制し、角部の折れを防ぐ梱包体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7332019/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(調光シートの曲げ剛性、易剥離テープの剥離強度および巻き解き時に調光シートに作用する応力分布の解析、さまざまな巻き付け角度や固定方法における調光シートの変形挙動と応力集中箇所のシミュレーション、第1角度と角部に作用する応力の関係性の評価、調光シートの破損を防ぐための最適な梱包設計パラメータ(第1角度の範囲、テープの配置、材質など)の特定)、人間工学(包体の開梱作業におけるユーザーの操作性と調光シートの取り出しやすさの評価、テープの剥がしやすさ、シートの取り出しやすさ、作業時の姿勢などの観察・分析、易剥離テープの材質や形状、貼り付け位置、梱包体の構造などの改良、ユーザーにとって負担が少なく調光シートを破損させにくい梱包体の設計)
従来の自立包装袋では、液体充填時に底面が設計通りに広がらず歪みが生じ、落下衝撃時にその歪み部分に応力が集中して破袋しやすいという問題がありました。特に、底テープの折り返し部分とサイドシール部が交差するシール交点付近が破袋の起点となりやすいため、この部分の強度向上が課題でした。
これに対して、表面・裏積層フィルムと底テープをシールした自立包装袋の設計方法であり、充填前の同寸法の仮製袋に液体を充填し、底テープ展開後の平面視外周形状(シール交点高さ)を計測し、自立包装袋のボトムシール線をシール交点近傍が上凸となる曲線とし、その曲率半径Rを、充填前後幅(W、W2)と外周形状の曲率半径R2を用い、(W/W2)×R2≧R>R2 の関係を満たすように設定することで、充填時の底面歪みを抑制し落下衝撃への耐性を高める設計方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7409469/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(包装袋に使用される積層フィルムの材質(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステルなど)の選定、それぞれの材質の特性(剛性、柔軟性、耐衝撃性、シール性など)が液体充填時の袋の変形挙動および落下衝撃に対する強度に与える影響の評価)、機械工学(ボトムシール線を有する包装袋の充填試験、落下試験、振動試験、圧縮試験などの各種物性試験の実施、耐破袋性の向上効果の検証、包装袋の使いやすさ(開けやすさ、持ちやすさ、廃棄のしやすさなど)や内容物の保護性、表示適性、コスト、環境負荷などの評価)
具体例として化粧板用裏面防湿紙が挙げられます。
従来の化粧板用防湿シートでは、防湿性が不十分なため温湿度差の大きい環境下で長期間使用すると化粧板の反りを十分に防止できないという問題がありました。
これに対して、紙基材側から順にポリビニルアルコール系樹脂を含む層、蒸着層、そしてカルボキシル基、その塩、カルボン酸無水物基またはカルボン酸エステルから選ばれる少なくとも1種を有するポリオレフィンを含む層の3層で構成され、ポリビニルアルコール系樹脂を含む層は紙基材と蒸着層との密着性を向上させ、蒸着層の割れを抑制し、蒸着層は水蒸気に対するバリア性を示し、最外層の特定の官能基を有するポリオレフィンを含む層は蒸着層を保護するとともに水蒸気バリア性を付与するため、従来の防湿シートと比較して透湿度が格段に低減され、両側の温湿度環境に大きな差がある場所で使用しても、化粧板の反りを抑制することが可能な化粧板用裏面防湿紙が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7658220/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(真空蒸着法やスパッタリング法などの成膜条件(真空度、蒸着速度、基板温度など)の制御による均一で欠陥の少ない金属または無機化合物(アルミニウム、酸化ケイ素など)の蒸着層の形成、透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)による蒸着層の微細構造の解析、最適な防湿性能と機械的強度を有する蒸着層の作製条件の確立)、材料化学(ポリビニルアルコールのけん化度や重合度、ポリオレフィンの種類や官能基の種類と導入量などの変化による各層の厚みとの関係性の評価、紙基材や蒸着層との密着性、柔軟性および水蒸気バリア性の最適化、高分子材料の塗布プロセス(溶液の粘度、乾燥条件など)の検討による均一な薄膜を形成するための最適な条件の確立)
従来のポリエチレンやポリプロピレン製のシーラント層は内容物成分を吸着しやすく、低吸着性のポリエステル系樹脂などはヒートシール性に劣っていました。また、強浸透性物質を含む内容物を包装した場合、積層体内部に浸透した物質が接着層を溶解し、剥離を引き起こすという問題がありました。特に、バリア層とシーラント層の間に中間基材層が存在する場合、従来の接着剤ではこの剥離を抑制できないことがありました。
これに対して、基材層、バリア層、ポリアミド系樹脂を含む中間基材層、2以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物を含む第1接着層、低密度ポリエチレン樹脂またはエチレン-メタクリル酸共重合体を含む接着性樹脂層、そして環状オレフィン系樹脂を含むシーラント層がこの順に積層されており、中間基材層のポリアミド系樹脂は第1接着層との接着強度を高め、強浸透性物質による剥離を抑制し、第1接着層の特定のイソシアネート化合物を含む接着剤は中間基材層との強固な結合を形成するとともに、接着性樹脂層とも接着し、接着性樹脂層は第1接着層とシーラント層との接着を媒介し、シーラント層の環状オレフィン系樹脂は内容物に対する耐吸着性を付与し、ヒートシール性も確保することにより、バリア層とシーラント層の間に中間基材層が存在する場合でも、内容物に含まれる成分に対する耐吸着性に優れ、かつ強浸透性物質によるラミネート強度の低下を抑制し、剥離を防ぐことが可能な包装用積層体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7666221/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(シーラント層に用いられる環状オレフィン系樹脂の分子構造、ガラス転移温度および結晶性などが内容物吸着性、ヒートシール性、および強浸透性物質に対するバリア性に与える影響の解析、異なる種類の環状オレフィン系樹脂やそれらと他のポリオレフィンとのブレンド材料によるシーラント層の評価、最適なシーラント層の組成と構造の決定)、材料化学(第1接着層に用いられるイソシアネート化合物の種類、反応性および塗布量が中間基材層のポリアミド系樹脂との接着強度および強浸透性物質に対する耐性に与える影響の評価、さまざまな種類のイソシアネート化合物を含む接着剤の設計・合成、中間基材層と接着性樹脂層との界面における接着強度の測定、強浸透性物質存在下での接着強度変化の評価、長期保存においても安定した接着性を維持できる最適な接着剤組成と塗布量の特定)
具体例として光学フィルムが挙げられます。
従来の波長選択吸収色素を用いた光学フィルムは耐光性や耐熱性が低く、長期間使用すると色素の機能が低下し、表示品位の低下を招く場合がありました。ガスバリア層を設ける対策も提案されていますが、厚膜化やコストアップ、欠陥部からの劣化といった問題がありました。
これに対して、シート状の透明基材上に着色層と機能層を設けた光学フィルムであって、着色層は特定の吸収波長特性を有する少なくとも1つの色素(A)とエネルギー線硬化型化合物(B)と光重合開始剤(C)とラジカル捕捉剤(D)とを含有する硬化物から構成され、エネルギー線硬化型化合物(B)は(メタ)アクリロイル基を2個のみ有する化合物を20重量%以上含有し、透明基材および機能層の少なくとも一方は特定の紫外線遮蔽率を有し、特定の耐光性試験条件下において、特定な赤外線吸収スペクトルの変化を示す式(A×(B/Ⅽ)-D≦0.018)を満たすことにより、ガスバリア層を必要とせずに、長期間の使用においても高い表示品位を維持できる光学フィルムが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7207598/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(着色層を構成するエネルギー線硬化型化合物(B)として用いられる(メタ)アクリロイル基を2個のみ有する化合物の種類、配合量および硬化後の架橋構造が色素(A)の耐光性に与える影響の解析、異なる種類の二官能性(メタ)アクリレートモノマーや多官能性モノマーとの配合比率を変化させた着色層の耐光性試験後の色素の構造変化の分析、耐光性の向上に最適なモノマー組成と架橋構造の特定)、応用物理学(光学フィルムの透明基材および機能層における紫外線遮蔽メカニズムの解析、特定の紫外線遮蔽率が着色層の耐光性にどのように影響を与えるかの評価、異なる紫外線吸収特性を持つ透明基材や機能層の光学フィルムの耐光性試験、耐光性向上に最適な紫外線遮蔽率の範囲の特定、光学フィルム全体の光学的特性(透過率、反射率など)の評価、表示装置の品位を維持するための最適な積層構成の検討)
具体例として高分子電解質膜に接合する電極触媒層が挙げられます。
従来の燃料電池の電極触媒層は製造時にクラックが発生しやすく、プロトン伝導経路や電子伝導経路が遮断され、発電性能や耐久性が低下する問題がありました。
これに対して、高分子電解質膜に接合する電極触媒層であって、触媒と、フッ素を含む高分子電解質と、繊維状物質とを含み、電極触媒層の断面の特定領域(アゾール構造の繊維状物質を50面積%以上含み、かつ触媒を含まない領域)において、エネルギー分散型X線分光法により得られるフッ素の原子数の比が0.2at%以上であることにより、繊維状物質周辺に高分子電解質が適切に存在し、電極触媒層内のプロトン伝導経路が効率的に構築され、低電流密度領域から高電流密度領域にかけてガスバリア層を必要とせずに初期発電性能を発揮する電極触媒層が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7677220/15/ja
関連する専門分野の例:電気化学(電極触媒層におけるプロトン伝導と電子伝導の最適化条件の解析、電極触媒層のインピーダンス測定に基づく周波数応答解析によってプロトン伝導抵抗と電子伝導抵抗の分離評価、繊維状物質周辺の高分子電解質の存在量とこれらの抵抗値の相関関係の解明、さまざまな運転条件下(温度、湿度、電流密度)における電極触媒層の電気化学特性の評価)、材料化学(電極触媒層を構成する各材料(触媒、担体、高分子電解質、繊維状物質)の化学的性質と電極触媒層内におけるそれらの相互作用の解明、最適な材料設計指針の確立、繊維状物質の表面特性(官能基の種類、密度)の高分子電解質の吸着能の観点からの評価、電極触媒層の断面における元素分布を透過型電子顕微鏡(TEM)や走査型電子顕微鏡(SEM)とエネルギー分散型X線分光法(EDX)による解析、繊維状物質周辺における高分子電解質の局在化状態と発電性能との関係性の特定)
具体例として視界の遮断や映像の投影に用いられる調光シートが挙げられます。
従来の調光シートは不透明状態での視界遮断性や画像投影への利用のため高いヘイズ(濁り)が求められていましたが、外光下で白っぽく見える白化現象が発生しやすいという課題がありました。また、意匠性向上のために有色化する場合、スモークフィルムの積層などがおこなわれていましたが、白化現象を十分に抑制できませんでした。
これに対して、複数の空隙を有する透明高分子層と、液晶化合物および二色性色素を含む液晶組成物で空隙が埋められた調光層と、その両側を挟む一対の透明電極層とを備えた調光シートであって、電極層間の電位差により液晶化合物と二色性色素の配向変化で透明状態と有色の不透明状態が切り替わり、不透明状態でのヘイズが85%以上95%未満、液晶化合物としてトラン系化合物を含まず、その複屈折率異方性(Δn)が0.18未満、調光層における液晶化合物の割合が60質量%未満、二色性色素の割合が2質量%以上とされることで、低いヘイズでありつつ二色性色素による光吸収効果で不透明時の透けを抑制し、外光下での白化現象を抑え視界遮断性や画像投影に適した有色の不透明状態を実現する調光シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7484976/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(透明高分子層の材料選定と構造最適化、さまざまなモノマー組成や重合条件におけるポリマーネットワークの形成過程の解析、空隙径、空隙率、連続性を制御する要因の特定、液晶組成物との界面相互作用の評価)、応用物理学(調光シートの光学特性(ヘイズ、透過率、クラリティ)の評価・解析、電場印加による液晶および二色性色素の配向変化と光学特性の変化の評価、白化現象のメカニズムの解析)
具体例として薄膜トランジスタが挙げられます。
従来の可撓性基材を用いた薄膜トランジスタは外部応力である曲げによって半導体層の移動度が変化しやすいという問題がありました。
これに対して、平坦面を有する可撓性基材上に素子構造体を備える薄膜トランジスタであり、素子構造体は基材の一部に位置するゲート電極層と、基材の他部に位置し基材に追従する平坦部と、ゲート電極層を覆い平坦部から隆起する段差部とを有する第1ゲート絶縁層(有機原子団を含む)、段差部上面に位置する第2ゲート絶縁層(無機化合物)、第2ゲート絶縁層上面に位置する半導体層(酸化物半導体)および半導体層に接続されるソース・ドレイン電極層を備え、ソース・ドレイン電極層が平坦部から半導体層まで段差部の端面と第2ゲート絶縁層の端面に追従する段差形状を有し、段差部の厚さ(DA)と平坦部の厚さ(DB)との比率が0.30≦DB/DA≦0.94の範囲を満たす構成により、可撓性基材の曲げによる薄膜トランジスタの移動度低下を抑制する薄膜トランジスタが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7369340/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(薄膜トランジスタの電気的特性(移動度、しきい値電圧、リーク電流など)の評価、可撓性基材の曲げによる特性の変化の解析、さまざまな曲げ半径や曲げ方向におけるトランジスタの電流-電圧特性の測定、移動度低下のメカニズムの解明)、材料科学(薄膜トランジスタを構成する各層(ゲート絶縁層、半導体層、電極層)の材料特性(機械的強度、弾性率、密着性など)の評価、曲げに対する耐久性を向上させるための材料選定および積層構造の最適化、有機絶縁層と無機絶縁層の界面における密着性の評価)
具体例としてグループ単位で仮想施設空間を生成する仮想空間生成装置が挙げられます。
従来の仮想空間システムでは、複数ユーザのグループでの活動においてメンバーの位置把握やコミュニケーションが困難であり、グループでの活動に適した機能が不足していました。
これに対して、仮想施設空間を生成する仮想空間生成部と、ユーザをアバターとして仮想施設空間に入場させる入退場管理部と、複数ユーザのグループを設定するグループ管理部を備える仮想空間生成装置であり、仮想空間生成部がグループに含まれるユーザのみが入場できる仮想施設空間をグループごとに生成し、ユーザのアバターが仮想施設空間への入場前に待機する待機空間を生成し、グループへの参加招待が承認されたユーザのアバターを当該承認を条件として同じグループの他のユーザのアバターと同一の待機空間に配置することにより、グループメンバーは入場前に待機空間で合流し、グループごとに用意された排他的な仮想施設空間で活動できるため、他のユーザとの混在を避け、アバターを通じたコミュニケーションや位置把握が容易になり、仮想空間におけるグループでの活動が円滑に進められる仮想空間生成装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7359271/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(グループメンバーのアバターのリアルタイムな位置情報共有や音声・テキストチャットなどのコミュニケーション機能の実装、グループ内での協調作業を支援するインタフェース設計、大規模なグループに対応するためのサーバ負荷分散技術の検討)、認知科学(待機空間における自然な出会いとグループ形成を促すデザイン、グループメンバー間の親密度や役割を可視化する表現方法の検討、グループ目標達成に向けた協調行動を促進するインタラクションパターンの分析、ユーザの認知特性に基づいたアバターの表現方法や操作方法の最適化)
具体例として複写機などにおいて原本との識別を可能とする表示体が挙げられます。
従来の偽造防止技術は特殊な用紙製造技術や大掛かりな装置を必要とする、あるいは複写物との識別が必ずしも容易ではないという問題がありました。
これに対して、光透過性基材の両面に、微細なパターンで交互に配列された着色部と非着色部を有する第1着色層と第2着色層を備え、第1着色層の着色部は第1着色光を透過し、第2着色層の着色部は第1着色光とは異なる第2着色光を透過し、それぞれの着色部と非着色部の配列方向において隣り合った非着色部間の距離は5μm以上20μm以下の範囲内という微細な構造を有することで、通常のカラー複写機による複写の場合に、スキャナの解像度やプリンタの印刷解像度の限界から原本の微細なパターンが忠実に再現されず、第1着色光と第2着色光の減法混色による色ずれやモアレのような意図しないパターンが発生し、肉眼または低倍率の拡大観察によっても原本と複写物との間に視覚的な差異が生じ、容易に識別することが可能となる表示体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7581914/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(さまざまな波長の光に対する着色部材の分光透過率の測定と複写機の光学系の解像度特性の評価、モンテカルロシミュレーションなどによる光線追跡による複写画像の予測、微細パターンの寸法・形状が複写結果に与える影響の解析、新たな着色材料や薄膜形成技術の探索)、精密工学(フォトリソグラフィー、インクジェット印刷、グラビア印刷などの微細加工・印刷技術の適用可能性の検討と最適化、量産化に向けたプロセス条件の最適化、異なる基材やインク材料に対する適応性の評価)
(3)NISSHA|開発トレンドと専門性

G06Fが最も多いです。次いでG01N、B29Ⅽ、G01Lが多いです。
具体例として指の押圧力と引張力を検出可能なコントローラーが挙げられます。
従来のフィルム型3軸力覚センサーを用いたコントローラーでは、主に指の押圧力を利用した入力に限定されており、より多様な指先の動きを活用した入力方法が求められていました。
これに対して、筐体表面に配置されたフィルム型3軸力覚センサーと、そのアクティブエリア表面を覆う操作部を備え、操作部は、指の腹で押圧する押圧面に加え、押圧面から離れる方向に指を動かす際にセンサー表面に引張力を作用させる拘束面を有し、この拘束面によりユーザーは単に押し付けるだけでなく、指を引っ張る動作によっても3軸の力を加えることができ、センサーはこれらの3軸の力を検出し、指先の限られた動きの中で、より多様かつ繊細な入力操作を実現することができるコントローラーが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7500147/15/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ユーザーの指の動きとコントローラーの機械的な応答性を最適化する操作部の設計、センサーからの力を効率的かつ正確に伝える機構の検討)、電子工学(フィルム型力覚センサーの電気的特性(静電容量、抵抗値など)を正確に測定するための回路設計、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバーターの選定、インターフェース設計、適切なサンプリングレートや分解能の設定)
従来のメッシュ状導電シートでは、金属細線が交差する角度が鋭角であると印刷時の滲みやエッチング不良により交点部分の面積が大きくなり、金属細線が視認されるという問題がありました。
これに対して、透明基材の一方の面に、第1方向と第2方向に延びる複数の金属細線が交差してメッシュ状の第1導電パターンを形成し、交差部には第1・第2金属細線が共有する第1屈曲線があり、対向する第1鈍角部同士を接続する形状で、第1屈曲線間の第1・第2金属細線をそれぞれ第1・第2金属辺とした場合、対向する金属辺の長さは等しく300~1300μm、両端の第1屈曲線は平行で長さ8~20μmであることにより、交差部のパターニング不良による金属面積増大を抑制し、金属細線が視認されにくい導電シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7266955/15/ja
関連する専門分野の例:応用物理学(スパッタリング、蒸着、メッキなどの薄膜形成プロセスにおける成膜条件(成膜速度、ガス圧、基板温度など)の最適化、金属材料(銀、銅、ITOなど)および黒化層材料の選定と特性評価、透過率、反射率、ヘイズなどの光学的な評価、シート抵抗、接触抵抗などの電気的評価)、材料科学(金属薄膜の微細構造の制御による導電率向上の検討、金属表面の粗さ制御による光散乱抑制の検討、黒化層の材料選定(金属酸化物、金属窒化物など)と成膜条件の最適化、黒化層の膜厚、組成、微細構造が反射防止効果に与える影響の評価)
具体例として抵抗値記憶に基づくガス分析装置の電圧制御方法が挙げられます。
従来のガス分析装置では、反復使用時に毎回ヒートクリーニングをおこなっていましたが、感ガス体の抵抗値が安定せず、ガス感度が変動するという問題がありました。
これに対して、感ガス体とヒータ電極を有するガスセンサ素子を備えたガス分析装置の電圧制御方法であり、初回起動時に駆動電圧よりも高い電圧をヒータ電極に印加して感ガス体の抵抗値を記憶し、その後駆動電圧で濃度を算出し、2回目以降は高い電圧を印加し、抵抗値が記憶値に達した時点で駆動電圧に降下させ濃度を算出することで反復使用時も初期抵抗値を基準に駆動し、抵抗値変動を抑制して安定したガス感度を維持できるガス分析装置の電圧制御方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7366507/15/ja
関連する専門分野の例:電気化学(感ガス体表面でのガス吸着・反応メカニズムの解明、ヒータ温度と感ガス体抵抗値の相関性評価、異なる検知対象ガスに対する応答特性の解析、電圧印加プロファイルと抵抗値変化の動的解析、電気化学インピーダンス法を用いた感ガス体の特性評価、長期使用における感ガス体の劣化メカニズムの解明と対策検討)、応用物理学(感ガス体の材料物性(結晶構造、キャリア密度など)と抵抗値の関係の解明、ヒータによる加熱が感ガス体の物性に与える影響の評価、記憶された抵抗値への制御精度が濃度算出の精度に与える影響の分析)
従来の昇温脱離ガス分析法では、真空下で金属から微量のガスを発生させ質量分析計で分析するため、装置が大型かつ高価であり、前処理も煩雑でした。
これに対して、金属片を収容する炉心管、昇温冷却機構を有する炉、ガスクロマトグラフおよびコントローラを備える分析装置であり、炉は炉心管及び金属片を0℃以下の第1温度から100℃以上の第2温度まで所定の昇温速度で昇温し、金属片から分析対象成分を脱離させ、また、炉は炉心管を加熱する第1ヒータと冷却流体が流れる冷却管を含み、炉心管の金属片収容領域が冷却管内に位置し、ガスクロマトグラフは炉心管からの分析対象成分を分離する分離カラムと、分離された成分を検出する半導体ガスセンサを有し、コントローラは所定の昇温速度で昇温するように炉を制御することにより、氷点下で脱離する微量の分析対象成分を小型かつ安価な装置で大気圧下でガスクロマトグラフにより分離・検出することが可能となる分析装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7353936/15/ja
関連する専門分野の例:精密工学(炉心管、冷却機構、ヒータ、ガスクロマトグラフへのガス導入経路などの設計、微量の脱離ガスを効率的にガスクロマトグラフへ導入するための流路設計、精密な温度制御を実現するための機構設計、装置全体の小型化と可搬性を考慮した構造設計)、制御工学(第1ヒータと冷却機構を統合的に制御し金属片を所望の昇温速度で精密に昇温・冷却するための制御システムの設計、温度センサの選定と配置の最適化、制御アルゴリズムの設計とパラメータチューニング、昇温速度のプログラミング機能の実装、冷却機構との連携制御ロジックの検討、リアルタイム温度モニタリングシステムの構築)
具体例として転写シートの製造方法が挙げられます。
従来の赤外線レーザによる転写シートのパターニングでは、レーザ照射による衝撃で基材と剥離層間に剥がれが生じ、加飾品の外観不良を引き起こすという問題がありました。
これに対して、基体シート上に剥離層、アンカー層、UV波長を吸収しにくい透明樹脂を含むブロック層、ベース色層を順に積層する工程と、ベース色層側からUVレーザを照射し、ベース色層を貫通する穴部を有する任意のパターンを形成する工程を含み、UVレーザはベース色層の除去によりエネルギーが減衰し、吸収されにくいブロック層を透過する際にさらに減衰するため、下層のアンカー層や剥離層は除去されないので、基体シートと剥離層間の剥がれを抑制し、外観不良のない転写シートを得ることが可能となる転写シートの製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7591455/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(各層(剥離層、アンカー層、ブロック層、ベース色層)の材料となる高分子樹脂の設計・選定、UVレーザに対する適切な吸収特性、耐熱性、基材との密着性、剥離性などの物性の最適化、UV波長を透過しやすいブロック層用樹脂の選定、レーザ照射による分解や変質を抑制する添加剤の検討、各層間の界面における接着メカニズムの解明)、応用物理学(各種UVレーザー(エキシマレーザー、固体レーザーなど)の特性評価と加工への適合性検討、レーザー照射エネルギー密度の最適化、スキャン速度とパターン形状の関係解析)
従来の回路シートがインサートされた成形品の製造方法では、複数回の成形や複雑な金型構造が必要となり、製造コストが増加するという問題がありました。
これに対して、回路シートを第1型の台地状部と突出部を利用してセットし、第1型と第2型でキャビティを形成する第1・第2ステップと、キャビティに溶融材料を導入し、回路シートの露出面に接触させる第3ステップと、溶融材料を冷却固化させ、回路シートがインサートされた成形体を形成する第4ステップと、型開きして成形品を取り出す第5ステップとを備える製造方法であり、回路シートは第1被固定箇所が第1型の突出部に沿う部分に、第2被固定箇所が突出部のない部分に配置されることで、1つの金型内で回路シートの位置ずれを抑制しつつ溶融材料を充填し、回路シートがインサートされた成形品を効率的に製造可能になる製造方法が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7142067/15/ja
関連する専門分野の例:精密工学(金型の設計の最適化、回路シートの正確な位置決め機構の検討、成形時の溶融材料の流動解析による回路シートへの影響の最小化、成形後の製品の寸法精度評価)、材料工学(成形材料(樹脂)の選定と最適化、回路シートとの接着性向上の検討、熱膨張率の差異による成形後の変形抑制の評価、成形材料の機械的特性評価)
具体例として応力を検出する応力検出シートが挙げられます。
従来の応力センサーでは、検出分解能を維持したまま大型化すると多数の検出素子に対応するために配線数が大幅に増加し、外部回路との接続が煩雑になるという問題がありました。また、電極間の距離の差に起因する検出感度のばらつきや他軸の応力による測定への干渉も問題でした。
これに対して、M行N列の検出領域に対応し対向する第1・第2電極層と絶縁弾性体層を備え、第1電極層はN列に延びるM対の行電極と配線を、第2電極層はM行に延びるN対の列電極と配線を有し、列電極対間には第1・第2方向に延びる各M本の溝が形成され、行電極対はこれらの溝と重なり、検出回路は列電極対を時分割駆動し、行電極対との静電容量変化の測定で各検出領域の2方向のせん断応力と圧縮応力を検出することにより、少ない配線数で多点同時検出が可能となり、シートの大型化や薄型化、感度均一化、他軸干渉低減を実現する応力検出シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7583782/15/ja
関連する専門分野の例:電気電子工学(M行N列の電極マトリクスの駆動シーケンスの最適化、微小な静電容量変化を高精度に検出するための回路設計、検出された静電容量変化からせん断応力と圧縮応力を正確に算出するための信号処理アルゴリズムの設計)、応用物理学(絶縁弾性体の誘電率や弾性率と応力による変形との関係性の解明、センサーの感度、線形性、ヒステリシスなどの特性を向上させるための材料設計、電極形状の最適化、応力分布と静電容量変化の相関に関する理論モデルの構築)
(4)共同印刷|開発トレンドと専門性

B65Dが最も多いです。次いでB32B、Ⅽ08L、G06K、B41Mが多いです。
具体例として押圧解除吐出用ボトルが挙げられます。
従来の押圧式ボトルは押圧と同時に内容物が吐出されるため、意図した箇所への塗布が難しく、また、押圧力の変動や内容物の残量によって吐出量が不安定になるという問題がありました。
これに対して、キャップと容器本体を備え、容器本体の胴部には押圧により体積を増加させるための押圧部と、押圧により外側方向に弾性変形して体積変化させる弾性変形部が設けられ、キャップには吐出口があり、キャップまたは容器本体には外気導入口が設けられており、押圧部の押圧により弾性変形部が外側に変形し、容器本体の体積が増加するとともに外気導入口から外気が導入され、この状態で押圧が解除されると、弾性変形部が元の形状に戻る際の復元力により容器本体の体積が減少し、内容物が吐出口から吐出されるため、押圧という力を加える操作と内容物が吐出される現象との間に時間差が生じ、容器本体の体積増加量に相当する内容物が吐出されるため比較的安定した定量吐出が可能な押圧解除吐出用ボトルが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-2023-045144/11/ja
関連する専門分野の例:機械工学(ボトル変形シミュレーションによる最適形状の設計、繰り返し押圧試験による耐久性評価、流体解析ソフトウェアを用いた吐出口形状と吐出特性のシミュレーション、試作品の製作と実験による吐出量の安定性評価)、高分子化学(容器本体の材料選定と配合による弾性特性の最適化、内容物との適合性評価、成形方法の検討、長期使用における材料の劣化や変形に関する評価)
従来の再封可能容器は開封時に剥離した粘着層とヒートシール層を元の位置に正確に戻して再封することが難しく、再封後の密着強度が低下し、再封機能が不安定になるという問題がありました。
これに対して、基材層、粘着層、ヒートシール層をこの順に含む複合フィルムから形成され、容器の接合部はヒートシール層同士がヒートシールされたものであり、開封時には粘着層とヒートシール層が層間剥離し、ヒートシール層が粘着層に再封可能な状態で露出し、接合部は面状にヒートシールされた面状シール部と、その内部に線状にヒートシールされた線状シール部とを備え、線状シール部の両側には基材層の材料によるリブが形成され再封時に剥離面同士を元の位置に合わせる際のガイドとして機能し、線状シール部と共に凹凸形状を形成することで、再封時の位置決めを容易にし、密着安定性を向上させた再封可能容器が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7565878/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(さまざまな熱可塑性エラストマーの粘着特性の評価、ヒートシール条件と剥離強度の関係性の解析、基材層の剛性とリブ形成性の評価、走査型電子顕微鏡(SEM)などによる剥離界面の観察、耐久性試験による繰り返し再封性能の評価)、機械工学(容器の形状、シール部の構造(面状シール部と線状シール部の配置、リブの形状など)が開封性、再封性および内容物の保護性に与える影響の評価、最適な包装設計)
具体例としてプラスチック容器の印刷などに用いられるラミネートチューブ用積層体が挙げられます。
従来のラミネートチューブでは、識別性や外観向上のために印刷層が用いられていましたが、光輝性を高めるために印刷層を厚くすると無機光輝性顔料が配向しにくく、十分な光輝性が得られない場合がありました。また、複数の印刷層を重ねる際に紫外線硬化をおこなうと、過剰な紫外線照射により黄変が生じ、光沢感が損なわれるという問題がありました。
これに対して、表層、光輝性印刷積層体(10~40μm)および基材をこの順に有し、光輝性印刷積層体が紫外線硬化性樹脂と無機光輝性顔料を含む複数の光輝性印刷層(1μm以上)が互いに積層されており、紫外線硬化性樹脂は脂肪族系ポリウレタンアクリレートと、ベンゼン環の数が3個未満でアミノ基を有さない光重合開始剤を含有することで複数の印刷層を積層する際の紫外線硬化による黄変が抑制され、また、複数の薄い光輝性印刷層の積層により無機光輝性顔料が良好に配向し、厚膜の単層印刷では得られない良好な光輝性が実現されるラミネートチューブ用積層体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7482679/15/ja
関連する専門分野の例:応用化学(外線硬化性樹脂の組成(脂肪族系ポリウレタンアクリレートの種類と分子量、光重合開始剤の種類と添加量)が硬化性、塗膜の柔軟性、耐屈曲性および黄変性に与える影響の検討、さまざまな脂肪族系ポリウレタンアクリレートと非アミノ系光重合開始剤の組み合わせによるインキの調製、硬化速度や硬化後の塗膜特性の評価、加速劣化試験による黄変の度合いの評価、最適なインキ組成の設計)、材料工学(光輝性印刷積層体の積層構造(層数、各層の厚さ、無機光輝性顔料の種類と分散状態)が光輝性、密着性および積層体全体の機械的特性に与える影響の評価、異なる層数や厚さの光輝性印刷積層体の試作、分光光度計を用いた光輝性の評価、層間剥離試験による密着性の評価、最適な積層構造の設計)
食品や医薬品包装に用いられる酸素吸収性フィルムは酸素欠損型酸化セリウムにより酸素を吸収しますが、フィルムロールとして巻き取ると巻き取り時や梱包前にフィルム端部が大気に曝露され、速い酸素吸収速度ゆえにその部分が失活するという問題がありました。
これに対して、第1スキン層、酸素吸収層、第2スキン層をこの順に有する酸素吸収性フィルムが巻芯に巻回された酸素吸収性フィルムロールであり、酸素吸収層は酸素欠損を有する酸化セリウムと熱可塑性樹脂を含んでおり、2つの酸素吸収性フィルムを積層した際のスキン層間の静摩擦係数が0.50以上、かつ、各スキン層の厚さ(A、μm)と酸素吸収層中の酸化セリウム含有量(B、質量%)の比A/Bを0.18μm/質量%以上とされることで、フィルムロールの端部からの酸素侵入が抑制され、製造時の酸素吸収能を広い範囲で維持できる酸素吸収性フィルムロールが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6664283/15/ja
関連する専門分野の例:材料科学(フィルムの各層(スキン層、酸素吸収層)を構成する高分子材料の選定、それぞれの材料がフィルム全体の機械的特性(特に摩擦係数)や酸素バリア性および酸素吸収性能に与える影響の評価)、化学工学(製造プロセスにおける樹脂の溶融温度、押出速度、冷却条件、巻き取り張力といったパラメータの調整、各層の均一な厚み、スキン層間の良好な密着性や酸化セリウムの最適な分散状態が実現される条件の特定)
具体例として防藻剤として用いられる希土類フェライト分散樹脂液が挙げられます。
近年、環境負荷の低い防藻剤として希土類フェライトが注目されています。しかし、これを塗料などに配合して建材や船底に適用する場合、希土類フェライトが塗料中で均一に分散しないという問題がありました。
これに対して、特定の組成(Ln2xFe2(1-x)O3、ここでLnは特定の希土類元素、xは0.45以上1.00未満)を持つ希土類フェライトと、水酸基を有する溶剤系アクリル樹脂を含み、この水酸基を有する溶剤系アクリル樹脂の電荷の偏りと、希土類フェライトが持つ電荷との間に静電的な相互作用が生じることで希土類フェライト粒子が樹脂液中で高い分散性を示し塗料として使用された際に希土類フェライトが均一に分布し、防藻、防カビ、抗菌などの効果を安定して発揮できる希土類フェライト分散樹脂液が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7664801/15/ja
関連する専門分野の例:無機化学(組成式Ln2xFe2(1-x)O3を持つ希土類フェライトの合成条件(原料の種類、モル比、粉砕方法、焼成温度・時間、雰囲気など)の最適化、結晶構造、粒子径、比表面積および表面電荷特性の制御、これらの物性が分散性や防藻・防カビ・抗菌性能にどのように影響するかの解明)、高分子化学(酸基を有する溶剤系アクリル樹脂の分子設計、水酸基の種類、数(水酸基価)、分子量、ガラス転移温度(Tg)が希土類フェライト粒子の分散安定性、分散樹脂液の粘度および最終的な塗膜の性能(機械的特性、耐久性)に与える影響の評価、最適な樹脂構造を確立)
具体例として二次元コードが挙げられます。
従来の二次元コードは面積効率やコスト面で優れるものの、撮影環境(歪み、ブレ、汚れなど)による認識精度低下や複数のコードを一括で読み取る際の処理時間の増大が問題でした。特に、細長い形状のコードでは、位置検出パターンが1つしかないために破損時に読み取り不能になる問題がありました。
これに対して、二進コードでデータを表す複数のセルに加え、3個以上の形状の異なる位置検出パターンを備え、これらの位置検出パターンは特定の1つの位置検出パターンの対向する辺を延長した線内に他の全てのパターンが重なるように配置されていることにより、画像からの正確な位置検出と座標変換が可能となり、歪みやブレの影響を補正し、複数のコードを一括認識する際の処理負担を軽減し、安定した高速認識を実現する二次元コードが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6952846/15/ja
関連する専門分野の例:情報工学(さまざまな撮影条件(歪み、ブレ、ノイズ、照明変動など)下でのロバストな座標変換アルゴリズムの設計、特徴点検出アルゴリズムによる位置検出パターンの形状、面積、回転角度の特定と射影変換行列をリアルタイムで計算するシステムの構築、ディープラーニングを用いた画像補正モデルの訓練)、情報科学(複数存在する位置検出パターン候補の中から正しい二次元コードを構成する位置検出パターンの組み合わせを効率的に探索・検証するアルゴリズムの設計、各位置検出パターンの特徴量(形状、面積、回転角度、相対位置関係)に基づいたハッシュ関数の設計、組み合わせの候補数を削減する探索アルゴリズムの設計)
具体例としてインクジェット記録媒体が挙げられます。
従来のインクジェット記録媒体は顔料を定着させる層に水溶性バインダ樹脂を使用していたため、耐水性に課題がありました。
これに対して、基材層の上に多孔質溶剤吸収層、その上に多孔質顔料定着層が積層された構造で、この顔料定着層にスルホン酸基を有する非水溶性の非晶性ポリエステル樹脂とゲル法シリカ粒子(平均一次粒子径0.5μm~20.0μm)を含むことで、樹脂がシリカ粒子に吸着しやすくなり、溶剤吸収層への浸透を防ぎ、安定した塗膜形成が可能となり、インク速乾性を保ちつつ耐水性を実現するインクジェット記録媒体が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7645677/15/ja
関連する専門分野の例:高分子化学(ポリエステル樹脂の重合条件(モノマー比率、触媒、反応時間など)の検討、スルホン酸基の導入量や位置の制御によるゲル法シリカ粒子との親和性、非水溶性、非晶性および塗膜形成性(造膜性)の向上、樹脂の水酸基価や分子量とインクジェット記録媒体としての性能(耐水性、速乾性など)との相関関係の解析)、材料工学(走査型電子顕微鏡(SEM)や原子間力顕微鏡(AFM)による顔料定着層の微細構造の観察とシリカ粒子の分散状態や樹脂による被覆状況の評価、X線光電子分光法(XPS)やフーリエ変換赤外分光法(FTIR)によるスルホン酸基とシリカ表面の相互作用の解析、耐水性が向上するメカニズムの実証)
(5)まとめ
化粧シート、導電シート、調光シート、光学フィルム、薄膜トランジスタのような化学的、物理的に微細加工された製品に関する出願多く確認されます。
また、撮影システム、仮想空間生成装置、分析装置など情報系、電気系、機械系の要素を含む出願も確認されます。
3.6 共同出願人との開発例
共同出願人からはビジネス的結びつきがわかります。
技術によっては、開発をアウトソーシングしている可能性もあります。
各社の共同出願人(筆頭出願人)は以下のとおりです。
(1)大日本印刷

共同出願の例として顔写真や個人情報を印刷するIDカード作成装置が挙げられます。
従来の装置では、カードの製造過程で個人情報(ID、顔画像、氏名など)のデータが誤って入れ替わってしまうという問題がありました。
これに対し、カードが搬送される各工程(供給、カラー画像形成、白黒文字画像形成、情報記録)において、固有の個人識別情報(ID)に基づき、現在処理中のカードと、そのカードに紐づく電子情報内容(顔画像データや文字データ)のIDとを継続的に比較・照合することでデータの一致性を常に確認することにより、誤った情報がカードに記録されることを防ぐカード作成装置が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-5267897/15/ja
ただし、確認された共同出願は2011年までです。
従来の機構は回転する部品を使用するため機構部が大型化したり、開閉を繰り返すと部品が破損したり、蓋を開けたときにロック部品がずれてうまく閉まらなくなるなどの問題がありました。
これに対し、容器本体と、それにヒンジ部を介して取り付けられ開閉する蓋、そして蓋の開閉を行うプッシュロック・オープン機構で構成され、蓋に固定された係止部が容器本体内のロック具収容室に収納されたロック具に形成されたカム溝と係合することで動作し、このロック具は係止部の進入方向に対し直交する方向に摺動可能であり、さらにロック具の摺動方向両側に配置された弾性要素がロック具収容室の側壁に設けられた溝に接触することでロック具の可動範囲が規制されることで、係止部は常にロック具の所定の位置に誘導され、円滑な開閉と耐久性を実現するワンタッチ開閉容器が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6550282/15/ja
従来のインクジェット方式で木目調などの暖色系の図柄を印刷すると青みが強く出てしまい意匠性が低下するという問題がありました。また、青みを抑えるためにインク濃度を調整すると粒状感の発生やインクの裏抜け、乾燥性の低下といった新たな問題が生じる可能性がありました。
これに対し、シアン、マゼンタ、イエローの顔料を含むインクジェット用のインクセットにおいて、シアンインクの顔料含有量がマゼンタインクやイエローインクよりも少なくされ(シアンインクの顔料含有量が2.5質量部以上、マゼンタインクとイエローインクの顔料含有量がそれぞれ4.0質量部以上、かつシアンインクの顔料含有量に対するマゼンタインクとイエローインクの合計顔料含有量の比((M+Y)/C)が2.5以上)、各インク組成物中の水溶性有機溶媒の含有量が20~55質量部、沸点が250℃以上の水溶性有機溶媒の含有量が10質量部以下に制限された構成により、意匠性に優れた暖色系の図柄を形成でき、粒状感や裏抜け、乾燥性の問題を抑制できる化粧板用インクセットが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7500303/15/ja
(2)凸版印刷

共同出願の例として建装材などに用いられれる化粧シートが挙げられます。
従来のオレフィン系樹脂を使用した化粧シートは環境負荷は低いものの、表面の傷つきやすさや後加工(V溝曲げなど)への耐久性が低いという問題がありました。
これに対し、トップコート層に超臨界逆相蒸発法で微細なベシクル(カプセル)に内包させた分散剤(アミノ基を持つ)と、特定の割合の無機微粒子が添加されることで、これらを均一に分散させて耐擦傷性を高め、透明樹脂層にもベシクル化した造核剤が添加されることで、透明性と後加工性も向上した化粧シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-6537306/15/ja
従来の化粧シートは意匠性や耐傷性が重視されてきましたが、現代の住宅ニーズの多様化に伴い付加価値の高い機能が求められています。
これに対し、基材シート、絵柄層、透明熱可塑性樹脂層、透明表面保護層の積層構造で、透明表面保護層にポリウレアを壁材とする芳香剤を内包したマイクロカプセル、またはメラミン樹脂を壁材とする蓄熱剤を内包したマイクロカプセルが特定の割合で配合され、また、透明熱可塑性樹脂層をグロス面とマット面の両方を持つ積層構造により、豊かな質感表現と優れた視認性を可能に、美観と機能性を両立させた高付加価値の化粧シートが開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7333188/15/ja
従来の有機ELマイクロディスプレイでは、画素の微細化に伴い、ブラックマトリクスなどの遮光層を形成する際の耐熱性、微細パターンの遮光性、保存安定性および現像性に課題がありました。
これに対し、光重合開始剤として1分子中に2個以上のオキシムエステルを有する化合物を含み、重合性化合物として6官能および3官能重合性化合物が特定の比率で配合され、さらにカーボンブラックを組成物の不揮発分中の30~50質量%で含有することにより、低温での硬化性を維持しつつ高い遮光性を実現し、同時に保存安定性と良好な現像性、微細パターンの直線性を両立させた有機ELディスプレイ用遮光層の形成を可能にする組成物が開発されています(以下URL)。
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/c1801/PU/JP-7370425/15/ja
(3)NISSHA

(4)共同印刷

出願件数が少ないため、詳細は省略します。
(5)上記(1)~(4)(共同出願人)のまとめ
カード作成装置からシートまでさまざまな製品について共同出願されています。
4 開発に求められる専門性
上記3で示した特許分類≒開発人材に求められる専門性、だと仮定します。
上記各特許情報には以下の人材が関わっていると言えます。
・化学、材料系分野(応用化学、高分子化学、有機化学、物理化学、材料化学、電気化学、材料工学、材料科学など)
耐候性や柔軟性などの目的とする性能を実現するための素材の選定、素材配合などの検討や評価などが求められます。
・機械系分野(機械工学、人間工学、精密工学など)
対象物の力学的な評価、構造設計、使いやすさの評価などが求められます。
・物理系分野(応用物理学など)
光学特性、電気的特性などの物理的特性の評価、それらの物理的特性の最適化のための検討などが求められます。
・情報系分野(情報工学、通信工学、制御工学、情報科学、経営情報学など)
所望の情報処理をおこなうための制御アルゴリズムやシステムの設計、所望の通信をおこなうためのプロコル設計などが求められます。
・電気系分野(電子工学、電気電子工学など)
所望の機能を実現するための回路設計などが求められます。
ただし、上記特許出願にあたっては、共同出願者やその他事業者に技術をアウトソースしている可能性もあります。
5 まとめ
全体としては各種シートや容器などに関する出願が多く、当該分野の開発が多くおこなわれていることが推測されます。
ただし、仮想空間生成装置や分析装置などの出願もあり、技術分野は多様です。
大学の専攻と関連づけるとしたら、主に化学、材料、機械、物理、情報、電気における研究分野が該当する可能性があります。
本記事の紹介情報は、サンプリングした特許情報に基づくものであり、企業の開発情報の一部に過ぎません。興味を持った企業がある場合は、その企業に絞ってより詳細を調べることをおすすめします。
参考記事:1社に絞って企業研究:特許検索して開発職を見つける方法4
以上、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
<出典、参考>
・特許情報プラットフォーム(https://www.j-platpat.inpit.go.jp/)にて公開されている情報
・会社四季報 業界地図2024年、2025年版 東洋経済新報社
<留意事項>
本サイトでは、特許情報を正確かつ最新の状態でお伝えするよう努めていますが、情報の完全性を保証するものではありません。
特許情報のご活用や解釈は読者ご自身の責任でお願いいたします。
詳細な確認や重要な判断が必要な場合はお問い合わせフォームからご連絡ください。